公開：1974
監督：John Korty
地域：ルイジアナ州
出演：Cicely Tyson、 Odetta、Josephine Premice、Michael Murphy、Thalmus Rasulalaほか
範疇：原作もの／TV映画／奴隷／南北戦争〜公民権運動までの100年

私の評価 ：☆1/2

【Part 1】

1974年度Emmy Award（エミー賞）において主演女優Cicely Tyson（シシリィ・タイスン）が二つの賞を受賞したのを初め、全部で9つの賞を獲得した作品。原題を直訳すれば『ミス・ジェイン・ピットマン自伝』。

1962年。ルイジアナ州の州都Baton Rouge（バトン・ルージュ）近郊の農村。Cicely Tyson（シシリィ・タイスン）演ずる黒人の老婦人Jane Pittman（ジェイン・ピットマン）は110歳の誕生日を迎えた。彼女はプランテーションの小作人の家の一つに住んでいて、そこでバースデイ・ケーキで祝福されていた。

そこへ公民権運動の若者が二人やって来る。一人はJane Pittmanが息子のように可愛がっている青年Jimmy（ジミィ）だった。彼は「明日、町の裁判所前の水飲み場で若い女性に水を飲ませる。みんなに尊敬されているおばさんにも立ち会ってほしい」という頼みだった。その水飲み場は人種平等が宣言されて以後も「白人専用」と書かれていて、黒人が飲むことは禁じられていた。Jane Pittmanは断る。

ニューヨークの雑誌記者Michael Murphy（マイケル・マーフィ）がやって来る。彼は、奴隷時代を生き抜いてまだ生き残っている黒人女性の一生を記事にするのが役目だった。

Jane Pittmanは彼女が10代の時のことから話し出す。当時彼女はあるプランテーションの奴隷で、Tissy（ティシィ）という奴隷名で呼ばれていた。南北戦争が始まり、北軍がやって来る。オハイオ出身の将校がやさしく彼女に語りかける。「キミのように可愛い娘はTissyなどという名を捨てるべきだ。北部の女性はみないい名前を持っている」「どんな？」と彼女が聞くと「Betty（ベティ）とかJane（ジェイン）とか…」「Janeがいい。私、Janeになる」その将校は「自由になったらオハイオに来い」と云って去る。

1862年。戦争は終わり、奴隷は解放された。Janeの仲間の元奴隷たちは揃って北部への移住を決断する。人のよい荘園主夫婦は黒人たち一人一人にさつま芋や水の入った瓶などを餞別に上げ、涙で見送る。野を越え、薮を漕ぎ、黒人たちは歩きに歩く。ある土地で空き家同然の納屋で休息していると、大勢の白人が乱入して来て、黒人たちを皆殺しにする。Janeと仲良しの少年Ned（ネッド）と二人だけが隠れていて助かる。

Janeと少年は北部の将校が云っていたオハイオを目指す。ミシシッピ川を渡らなければならないがフェリーに乗るお金などない。結局、二人はサトウキビのプランテーションで働くことにする。

Cicely Tyson演ずる成長したJaneは、馬を乗りこなすのが上手な黒人の小作人Joe Pittman（ジョー・ピットマン）と結婚して、Jane Pittmanとなった。二人はオハイオに行こうとするが、荘園主は「$50.00貸しがある。それを返せ」と云う。二人は結婚指輪を荘園主に渡して出て行く。

二人は十日間歩いてテキサス東部に着く。Joeはそこでカウボーイとして雇われる。Janeは牧場の白い馬が不吉に思え、占い師のところへ行くと、夫の死を予言される。Janeは白い馬を解き放つが、Joeは責任感から馬を追って行く。しばらくして白い馬が戻って来るが、死んだJoeを引きずっていた。

ある日、Thalmus Rasulala（タルマス・ラスラーラ）演ずる成長した少年Nedが妻子を連れてニュー・オーリンズから戻って来る。彼は公民権運動に取り組んでいて、すぐさま農園の黒人たちの覚醒を促す。白人たちはそんなNedを敵視し、彼の死を予告するのだった…。

'Roots'『ROOTS/ルーツ』 (1977)の老けの特殊メークを担当した人がやっているだけあって、この映画の老けのメークも凄い。不自然ではなく、「本当にCicely Tysonなのー？」と思うほどです。また、彼女の老けの演技が素晴らしく、よぼよぼになって杖を頼りに歩く110歳の姿など、心を打たれます。

成長した少年を演じているThalmus Rasulalaは、'Roots'『ROOTS/ルーツ』では生まれたばかりのKunta Kinteを満点の星空にかかげた人物。この時はCicely Tysonと夫婦でした。

(June 04, 2003)

【人種問題関連】

・Pinky（未公開）(1949)
・The Defiant Ones『手錠のまゝの脱獄』 (1958)
・To Kill a Mockingbird『アラバマ物語』 (1962)
・Black Like Me（未公開）(1964)
・In the Heat of the Night『夜の大捜査線』 (1967)
・The Liberation of L.B. Jones『Ｌ・Ｂ・ジョーンズの解放』 (1970)
・The Klansman『クランスマン』 (1974)
・The Lords of Discipline『影の私刑（リンチ）』(1983)
・A Soldier's Story『ソルジャー・ストーリー』 (1984)
・Eyes on the Prize  （未）(1987)
・Driving Miss Daisy  ドライビング・MISS・デイジー (1989)
・Sudie and Simpson（未公開）(1990)
・The Long Walk Home  ロング・ウォーク・ホーム (1990)
・Separate But Equal  （未）(1991)
・The Ernest Green Story  （未）(1993)
・The Vernon Johns Story  怒りを我らに (1994)
・The Tuskegee Airmen『ブラインド・ヒル』 (1995)
・A Family Thing『ファミリー／再会のとき』 (1996)
・Once Upon a Time...When We Were Colored（未公開） (1996)
・Nightjohn（未公開）(1996)
・Miss Evers' Boys（未公開）(1997)
・Rosewood『ローズウッド』 (1997)
・Remember the Titans『タイタンズを忘れない』 (2000)
・Boycott  （未）(2001)
・The Rosa Parks Story  （未）(2002)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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