公開：1990
監督：Richard Pearce
出演：Sissy Spacek、Whoopi Goldberg、Dwight Schultzほか
範疇：ドラマ／人種問題／公民権運動

私の評価 ：☆

【Part 1】

1955年アラバマ州の州都モンガメリ。Whoopi Goldberg（ウーピィ・ゴールドバーグ）は白人夫婦と一人娘の家庭にメイドとしてバス通勤していた。

当時、バスは白人席と黒人席に別れていて、黒人は前部の運転台で料金を払うと、一旦バスを降り、後方のドアまで歩いて行き、指定された黒人席へ座らねばならなかった。黒人席が満員で、いくら白人席が空いていても、黒人が白人席に座ることは許されていなかった。しかし、この年ある黒人女性が白人席に座ったのを咎められて逮捕されるという事件が起きた。これに抗議した黒人達はバスをボイコットし、どこへ行くにも歩くという運動を開始した。

Whoopi Goldbergも運動を支持し、長い道のりを歩き始めた。最初は運動のための靴ではなかったため、血が滲み、帰宅するとぐったりするほどだった。親切な雇い主の主婦Sissy Spacek（シシー・スペイセク）は、見兼ねてWhoopi Goldbergを車で送り迎えするようになる。

黒人達はバスの代りに自家用車を相乗りするシステムを考え出した。ダウンタウンには「カー・プール」と呼ばれる黒人の車の溜まり場が出来た。同じ方向へ帰る人々を乗せる奉仕活動である。

バス・ボイコットは町の大きな問題となった。Whoopi Goldbergの雇い主の弟は白人至上主義者で、次第に兄を感化し始める。黒人を差別しない妻と、そういう妻を白眼視する世間を気にする夫との間に溝が深まる。Whoopi Goldbergの職も危うくなって来る…。

実際の事件を元にしたフィクション。Whoopi Goldbergの家族が彼女に靴をプレゼントするシーンとか、雇い主夫婦が彼女を解雇するかどうか話し合っている時、同時進行で雨の中を黙々と歩いている彼女の姿を挿入する編集が泣かせます。

雇い主の夫が参加する市民集会には、正面のパネルに南北戦争の南部連合軍の旗をアレンジしたデザインが採用されています。これはほとんどK.K.K.の集会に近いものであることをほのめかしているわけです。

『地球の歩き方〜アメリカ南部』（ダイヤモンド社刊）に「バス不乗運動とキング牧師」というコラムがあります。その要点をメモしてみますと、

・最初に逮捕された黒人はローザ・パークスというデパート勤務の女性（42歳）。彼女は白人席ではなく、その後ろに座っていたが、白人で立っている人がいたのに気付いた運転手が、彼女に席を立てと命令し、疲れていた彼女はそれを拒否したために逮捕された。

・ローザ・パークスは即日釈放されたが、NAACP（エヌ・ダブルエー・シー・ピー＝全国黒人地位向上協会）の要請で裁判を起した。

・その裁判の当日（12/5）、バス・ボイコットが計画された。大規模な支援が必要とされ、黒人に大きな影響力のあるデクスター・アヴェニュー・バプティスト教会が呼びかけることになった。その指導者がマーティン・ルーサー・キング牧師だった。

・12月5日は空っぽのバスが町を走った。しかし、裁判ではローザ・パークスは有罪となった。

・バス・ボイコットはその後一年近く続いた。

・この運動の結果、キング牧師の名は全米に知れ渡り、公民権運動の指導者になるきっかけとなった。

(March 19, 2001)

【公民権運動関連】

・For Us, the Living（未公開）(1983)
・Eyes on the Prize（未公開）(1987)
・Separate But Equal『裁かれた壁〜アメリカ・平等への闘い』(1990)
・The Ernest Green Story（未公開）(1993)
・The Vernon Johns Story『怒りを我らに』 (1994)
・4 Little Girls（未公開）(1997)
・Ruby Bridges（未公開）(1998)
・Selma, Lord, Selma（未公開）(1999)
・Crazy in Alabama『クレイジー・イン・アラバマ』 (1999)
・Freedom Song『フリーダム・ソング』(2000)
・The Rosa Parks Story『ローザ・パークス物語』(2002)
・Sins of the Father『父と罪　重き告発』(2002)

・公民権運動・史跡めぐり

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。