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日米異文化体験のリポート

これは、もともとはDTPで友人、知人向けに発行している同名のnewsletterの記事がオリジナルです。 WWWでonlineになってしまうと、もはやofflineではなくなってしまうのですが:-)

by E. T.



Contents

車検車社会挨拶芝生

Vol.2Vol.3Vol.4

車検

[Car]

Barbaraの母親の車に貼ってある車検のシールが期限切れとかで、Barbaraが自動車修理工場へチェックに行くのに付き合いました。担当の女性が「5分で終る」というのでびっくりしたのですが、彼女が車の前方に、アシスタントが後方に位置し、ドライヴァー・シートのBarbaraに「右のウィンカー作動、次は左のウィンカー。ブレーキを踏んで。ヘッドライトを点灯。ビームにして、ワイパーを動かして。警笛を鳴らして」とか指示します。ほとんどライトの点検ばかりみたいなもんですが、これで終り。お値段は$5.00。信じられないでしょうが、本当にこれだけです、これだけ。以上の検査だけで「検査済」のスティッカーを貼ってくれます。日本の車検の厳密なこと(実態は判りません。車検代行業者が厳密にやっていると仮定しての話)、料金の高いことに較べれば雲泥の差です。

車のオーナーの負担は、実は他にもあり、毎年登録を更新しなければなりません。これが約$70.00するそうです。これは単に税金を払ってナンバープレートに「登録更新済」のスティッカーが貼られるだけ。このお金は道路の補修などに使われるのだそうです。ですから、車検と呼べるものは上のものしか無いわけです。

Barbaraの姉Alisonの話では、New Orleans(Louisiana州)では$20.00程度の車検費用だそうで、これを済ませたスティッカーが無いと$45.00だかの罰金。たった$20.00の車検でもやらない人が沢山いるそうで、何故かというと「パスしない車が多いからだ」そうです。確かに、事故にあったまま修理もしないで動かしているような車もかなり見られますので(ほとんどは黒人)、こういうのは上記のような簡単なチェックもパスしないのでしょう。恐ろしいのは、このスティッカーを盗むためにフロント・グラスをブチ破る人間がいるんだそうで。New Orleansには住みたくありません。なお、Louisiana州の登録更新は5年に一回程度だそうです。

【追伸】このミシシッピ州の$5.00の車検制度は、2015年に廃止になりました。Wikipediaで"Vehicle inspection in the United States"のページを見ると、ミシシッピ州と東部のウェスト・ヴァージニア州が未だに「毎年車検が必要」となっていますが、ミシシッピに関しては間違いです。売買・登録時に排気ガスの検査を必要とする地域があるものの、ほとんどの州から車検制度は消えたようです。


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車社会

[UPS car]

「アメリカでは車が必需品」とか、「日本も車社会になった」とか云われますが、その実態についてはあまり知られていません。大袈裟に表現すると「アメリカ人は車から出たがらない」とすら云えます。

ファースト・フードの店のドライヴ・スルーは日本にもありますね。車に乗ったまま順番を待ち、窓口で注文・支払いをし、食べ物を受け取るやつ。アイスクリームの売店にも、ドライヴ・スルーがあります。銀行にも同じスタイルのサーヴィスがあり、預金や小切手の現金化が出来ます。大きな雑貨スーパーでは、材木を車に乗ったまま購入出来ます。写真屋さんもドライヴ・スルーで現像の受付、写真の引き渡しをするところがあります。Meridianには無いのですが、ドライヴイン・シアターというのは車に坐って映画を観るもの。

Barbaraの話では、HattiesburgというMeridianに近い町に、ドライヴ・スルーの葬儀場(Funeral home)というのがあるそうです。葬儀場にはその日火葬にされる予定の遺体が並んでいて、車で来た会葬者はドライヴ・スルーで心当たりの遺体を見つけ、ガラス越しに最後のお別れをするんだそうです。車の中から記帳出来るようにもなっているとか。車に乗ったままの会葬というのは、これは驚くべきことですね。Barbaraに云わせると、車の乗り降りが大変なお年寄りなどにはとてもいいシステムなのだそうです。

ある日の新聞にMeridianで開催された「Mississippi州女子アマチュア・ゴルフ選手権」の記事が載っていました。チャンピオンの写真が出ていまして、これが堂々たる高見山級の体格の女性。これを見たBarbara、「ゴルフって別に痩せないのネ?」 そう云えば、日本のゴルフ・カート(電動車)というのは、たいていはクラブ・バッグを積むだけで、人間は誰も乗れません。こちらのは反対に人間用で、打つ、車に乗って移動、打つ、車に乗って移動…です。これでは痩せるわけがありません。なお、車に乗ったまま打てるドライヴ・スルー・ゴルフというのは今のところありませんが、将来はどうか分りません。

日本の新聞配達は駆け足で一軒一軒新聞受けに入れてくれますが、アメリカの新聞配達は車の中からポンポン家の前庭に放り投げて行きます。ゆっくり走りながら両側に放るので、これは一種の名人芸です。雨の日は新聞をビニールの筒に入れて配っています。郵便配達の方式も違います。日本の場合、途中まではバイクや自転車で来ますが、最終的には一軒一軒駆け足しなくてはなりません。こちらでは、特別に右ハンドルの郵便車を使い、運転台から出し入れし易い郵便受けとそれ用の支柱の高さおよび道路からの距離も条例で決まっていて、配達人は一切車を出ないで仕事出来ます。出て来るのは、書留のようにサインが必要な時だけ。

これらは「どこに行くにも車」、「成人一人に一台は車」という実態に加えて、「土地が余っている」という日本には無い条件が成立するから出来ることでしょう。つまり、家の区画はどこも車が入れるようになっているということです。日本人も車は持っているがこれは路上駐車で、家は自転車がやっと入れる路地の奥にあるというのも珍しくありません。これでは車で郵便配達は不可能です。こういう観点からすると、「日本の車社会」というのは到底アメリカ並みになることは不可能だという気がします。


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挨拶

スーパーの駐車場や売り場で、見も知らぬ御婦人からニッコリされたらどう思いますか?「オレに気があるのかな?オレも満更捨てたもんでもないな」と考える人は幸せです(実は私がそう思った一人)。これは只の一般的な挨拶なのでした。日本では顔見知りでない限り、目が合っても会釈もしません。アメリカでは目が合えばニッコリすることになっているみたいです。おまけに"Hi!"と云う人もいます。機嫌が悪い日でニッコリしたくない場合は、他人と目が合わないようにしているようです。

前庭で草むしりなんぞしていると、通行人は大人も子供も片手を上げて挨拶して行きます。みんな知らない人達です。通り過ぎる車も手を上げて行くのが少なくありません。通る犬も、…これは片足を上げて、暫く立ち止まって行きます:-)。

近所の人や顔見知りが出会うと"How are you doing?"が定番の挨拶です。スーパーや小売り店のレジ係の挨拶もこれです。お金を払うと「ありがとうございました!」の代りに"Have a nice day!"が定番で、これには"Thanks. You, too!"と応じます。お店によっては"You come back!"「又どうぞ!」と云うところもあるので注意しなくてはなりません。"Have a nice day!"を予期していて"You, too!"と云ってしまうと、"You come back!"、"You, too!"という意味不明のやりとりになってしまいます:-)。

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過去に一度でも会って名前を云い合った仲であれば、挨拶には必ず相手の名前を付け加えます。"Hi, Barbara!"、"Good morning, Eiji!"という具合です。日本ではこういう習慣が無いので、つい名前を省略しがちです。隣りの男の子(4歳)に、二回ほど"Hi!"だけで済ましたら、ある時、"Eiji. You don't remember my name, do you?"(ボクの名前を覚えてないんでショ)と云われてしまいました。彼の名前はTonyなので、"Hi, Tony!"と云わないと相当よそよそしい挨拶に聞こえるようです。

日本の教科書では初対面の挨拶を"How do you do."としているものが多いですが、これを聞いたことは一度ぐらいです。たいていは"Nice to meet you!"、"Nice to meet you, too."というやりとりです。個人的に紹介された場合でもこれですから、パーティなどで大勢を相手に紹介された時のお互いの挨拶は"Hi!"でお仕舞い。簡単でいいですね。


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芝生

[Lawn mowing]

見た目には綺麗だし、芝生の庭など経験したことのない私には大変魅力的ですが、これは大変なお荷物です。

春から夏へは芝の伸びも早く、週に二回は刈らないといけません。芝刈り機は重いのです。乗って運転するタイプなら楽ですが、これはお年寄りかお金持ち用で、大抵の家は自分で押すタイプを使っています。道路に面した部分はかなり急な勾配になっていますので、ここでは芝刈り機が転げ落ちないよう、全力で保持しなくてはなりません。歳取ったら無理ですね。壁やフェンスに近い所は芝刈り機では無理なので、今度はトリマーという草刈機を使用します。これも重いのです。このようにして前庭、裏庭両方をやり終えると、もうヘトヘトです。

なぜ、一戸、一戸広大なスペースの芝生を備えるというスタイルを定着させたのかは分りませんが、アメリカ人は芝生というお荷物のせいで相当のエネルギー、時間とお金を浪費していると思われます。上のような道具も必要ですし、枯れたところには新しい芝を買って来て植えなくてはなりませんし、春の肥料、除草剤の購入・散布、週二回の芝刈り…やはりこれは庭師を雇って刈って貰えるようなお金持ちにふさわしいものですね。芝を刈る代りに読書したり、ゴルフに行く方がいいようです。堂々廻りになりますが、でも綺麗なことは綺麗です。



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Kudzu

[Kudzu Jungle]

拙作のMacintosh用ゲーム『いまどきの Hijacker! 』(HyperCardスタック)に、日本の首相への要求としてこういうのがあります:「アメリカから葛を持ってってくれ!」。これはBarbaraがくれたアイデアの一つです。その昔、アメリカ政府は土砂崩れを防ぐために日本の葛を利用したんだそうで。それが今やアメリカ南部を覆いつくして迷惑しているとか。これは面白いと思いまして、ゲームの英語版の方に取り入れることにしました。確かにMeridian周辺は葛のジャングルだらけです。Barbaraの両親と一緒にドライヴしたりすると、「見なさい、ここにも葛、あそこにも葛!」と声をかけて来ます。まるで私が葛を輸入した張本人のような感じで。冗談じゃありません。こっちにだってカウンター・パンチがあるのです。「セイタカアワダチソウを日本から持って帰ってくれ!」


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