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Pinky

(未)

[VHS]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1949
監督:Elia Kazan
地域:ディープ・サウスのどこか
出演:Jeanne Crain、Ethel Barrymore、Ethel Waters、William Lundigan、Basil Ruysdaelほか
範疇:原作もの/人種差別/白人と黒人の混血/看護婦

私の評価 :☆

【Part 1】

Jeanne Crain(ジーン・クレイン)は黒人の母と白人との間に出来た子供で、一見しては白人そのものだった。母が早くに亡くなり、洗濯婦の祖母Ethel Waters(エセル・ウォーターズ)の仕送りで北部の看護学校に通っていた。あくまでも白人として通し、ボストンの白人医師Tom(トム)とも親しくなっていた。映画は看護学校を卒業したJeanne Crainが、南部の祖母の家に戻って来るところから始まる。

[the South]

祖母はJeanne Crainの卒業を祝福し、歓迎してくれた。白人医師Tomがわざわざボストンからやって来る。しかし、彼女はまだ今後の人生設計を立てていない。近くの黒人医師が「看護婦を教育してくれ」と頼みに来るが、彼女は断る。

ここには荘園の地主の大きなお屋敷があった。祖母が長く女主人Ethel Barrymore(エセル・バリモア)の女中として仕えていたが、その女主人はJeanne Crainを黒人として蔑んだ扱いしかせず、Jeanne Crainは今もってそれを忘れていなかった。彼女はこんな土地に定着するつもりはなかった。

地元の白人連中は、彼女を白人だと思っていた間は礼儀正しく接するが、黒人の血が混じっていると分ると急に態度を変え、あげくは彼女を犯そうとする始末だった。Jeanne Crainはすぐさま荷造りし、旅立つ準備をする。

祖母が「お屋敷の女主人の死期が近く、医師がちゃんとした看護婦を必要としている。行ってくれ」と頼む。Jeanne Crainは「死期が近いのなら、そのまま逝かせればいいじゃない」と答える。しかし、貧乏な生活の中から長く仕送りしてくれた祖母の願いは拒否出来ず、制服を着てお屋敷に出向くことになっる。

女主人Ethel Barrymoreの視線は相変わらず冷たかったが、Jeanne Crainの訓練された看護婦としてのプライドと気立ての良さに、次第に態度を変え始める。

ややあって女主人が亡くなり、彼女は家屋敷をJeanne Crainに遺す。これを不満とした女主人の従姉妹は「遺言はJeanne Crainが強制して書かせたもので、無効」という訴訟を起こす。医師のTomは「家など誰にでもくれてやって、ボクと結婚しよう」と云うが、白人の横暴に負けたくないJeanne Crainは「もう自分をごまかしたくない。黒人として、この件にケリをつけたい」と法廷闘争に臨む…。

アメリカでは(州によって違うようですが)何分の一かでも黒人の血が混じっていれば黒人として扱われます。母あるいは父が黒人であれば1/2の黒人の血、祖母あるいは祖父が黒人であれば1/4が黒人の血ということになります。ルイジアナ州では1983年まで、黒人の血が1/32混じっていると出生証明書には「黒人」と記されたそうです。曾祖母が黒人だと、当人の肌の色には関係なく「黒人」と分類されたわけです。

私の見聞では黒人の遺伝子は相当強いようで、黒人と白人、黒人とアジア人が結婚しても、大抵は黒人の子供が生まれるケースが多いようです。勿論、白人っぽい子供が生まれることも珍しくはありませんが、顔つきは白人でも肌の色は真っ白ではないようです。この映画のJeanne Crainのように一見白人そのものが生まれるというのは奇跡に近いのではないでしょうか?

この映画の主人公の名前はPatricia(パトリシア)ですが、地元では黒人風にPinky(ピンキー)と呼ばれ、それが原題になっています。

Jeanne Crainは'A Letter of Three Wives'『三人の妻への手紙』(1949)など多数の映画に出ていますが、あまり役に恵まれず、アカデミー主演女優賞にノミネートされたこの映画が代表作のようです。

女主人を演じているEthel Barrymoreは堂々たる貫禄と気品を見せます。Drew Barrymore(ドリュー・バリモア)の大伯母さんにあたるそうです。この人もこの映画でアカデミー助演女優賞にノミネートされました。

Ethel Watersは歌や舞台で人気の高かった人だそうで、"Stormy Night"というJazzのスタンダードは、彼女の歌として書かれたものだそうです。なお、Ethel Watersもこの映画でアカデミー助演女優賞にノミネートされました。女優が三人揃ってノミネートされるというのは凄い。

(June 24, 2002)




Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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