公開：1958
監督：Martin Ritt
出演：Paul Newman、Joanne Woodward、Orson Welles、Anthony Franciosa、Lee Remickほか
範疇：原作もの（William Faulkner）／ドラマ

私の評価 ：☆1/2

【Part 1】

ミシシッピ生まれのノーベル文学賞作家William Faulkner（ウィリアム・フォークナー）の作品三つを一緒にしたという、贅沢な作品。

開巻、“文芸もの”としては珍しく主題歌（歌唱：Jimmie Rodgers）が流れる。まるで小林　旭の“渡り鳥シリーズ”のよう。流れ者のPaul Newman（ポール・ニューマン）がミシシッピ州の小さな町へやって来る。ここは綿プランテーションの地主Orson Welles（オーソン・ウェルズ）が牛耳っていて、町にある店のほとんどは彼の資本だった。

Paul NewmanはOrson Wellesの息子Anthony Franciosa（アンソニー・フランシオサ）から家の外回りの雑用係として雇って貰う。Anthony Franciosaは妻のLee Remick（リー・レミック）とのセックスに明け暮れていて、商売に身が入らない。

Orson Wellesの悩みは孫がいないことだった。彼の娘Joanne Woodward（ジョアン・ウッドワード）は学校の先生で、女友達の兄を慕っているが、彼の方は全く彼女にアプローチする気配を見せない。

Paul Newmanの才気と行動力を見抜いたOrson Wellesは、この男こそ立派な孫を作ってくれる“種馬”だと考え、Paul NewmanとJoanne Woodwardを結婚させる腹を決める。自分の存在を無視されたAnthony Franciosaは逆上し…。

William Faulknerはアメリカ各地を転々としたものの、最後にはミシシッピ州に戻りOxford（オックスフォード）という学園都市に腰を落ち着けました。このOxford近郊の町をモデルに架空の町を構築して、そこを舞台にいくつもの長編、短編を書きました。Oxfordは、私の住んでいるMeridian（メリディアン）から北へ車で四時間のところにあります。

冒頭、納屋が焼け、Paul Newmanはシェリフによる略式裁判で、ある町を追放されます。このシェリフの背後には、星条旗と南部連合軍の旗が同じ比重で飾られています。Orson Wellesの邸宅にも、南北戦争時に使われたものらしい破れた南部連合軍の旗が額縁に入って飾られています。これらが象徴するものは、ここが"Deep South"であり、黒人差別、女性差別の中心であるということです。

タイトルバックでPaul Newmanはタグボートに乗せて貰っていますが、桟橋で下りるのではなく、浅瀬へボチャンと飛び降りるのでびっくり。そうした行動を初め、彼の男性的魅力が十分に発揮されています。この映画は後に彼の妻となったJoanne Woodwardとの最初の共演だそうです。

(March 22, 2001)

【William Faulknerもの一覧】

・The Story of Temple Drake『暴風の処女』(1933) Miriam Hopkins主演
・Intruder in the Dust（未公開）(1949) David Brian主演
・The Long, Hot Summer『長く熱い夜』(1958) Paul Newman主演
・The Sound and The Fury『悶え』 (1959) Yul Brynner、Joanne Woodward主演
・The Reivers『華麗なる週末』(1969) Steve McQueen主演
・Tomorrow（未公開）(1972) Robert Duvall主演

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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