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公開:1965
監督:Joseph P. Mawra
地域:ミシシッピ州
出演:Sheila Britt、Sam Stewart、Derek Crane、Lew Stone、Martin St. John、Irv Seldinほか
範疇:公民権運動/黒人の選挙権登録支援活動/保安官の迫害/殺人/誘拐/強姦/去勢
私の評価 :☆
【Part 1】
『ミシシッピの殺人』というタイトルでは観なくてはいけないと思い、どんな映画かもよく調べないでレンタルしてしまいました。それが私の姉妹サイト『公民権運動・史跡めぐり』のテーマに関わって来るものだとは想像していませんでした。
多分1964年頃。北部からヴァージニア州を経て南下し、ミシシッピ州を目指すオープンカー。それには黒人と白人の青年男女数名が乗っていた。保安官助手から「白人と黒人が相乗りしている車を見掛けた」という報告を受けた黒人差別主義者のシェリフDerek Crane(デレク・クレイン)は「そんなことは許せない」と、その若者たちを保安官事務所に勾引させる。シェリフは「直ちに北方へ去れ。さもなくば逮捕する」と警告する。
ミーティングで黒人のオルガナイザーが北部から来た青年男女に云う、「これはピクニックではない。黒人の選挙権登録を促進する活動だ。K.K.K.などの迫害があるだろうが、無視すること。怒ってはいけない」と。
翌日、大勢の男女が保安官事務所に連れて来られる。黒人のMartin St. John(マーティン・セント・ジョン)は、シェリフから暴力を容認されたレッドネックSam Stewart(サム・スチュアート)に痛めつけられる。
翌日、三人の男女が保安官事務所に勾引され、黒人のMartin St. Johnはシェリフからでっち上げの泥棒の自白書にサインさせられそうになる。殴られるMartin St. Johnを白人青年Irv Seldin(アーヴ・セルディン)が庇おうとした時、保安官助手がピストルを抜き、揉み合いの最中に暴発しIrv Seldinが死ぬ。抗議したMartin St. Johnも絞め殺される。白人女性Sheila Britt(シェイラ・ブリット)は惨劇に悲鳴を挙げる。
シェリフの命を受け、レッドネックSam Stewartとその弟Wayne Foster(ウェイン・フォスター)が青年たちの死体を埋める。目撃者として自分も殺されると悟ったSheila Brittは「私を殺したら、Irv Seldinが事故で死んだという証人がいなくなるわよ。私を助けてくれれば、私の兄は映画俳優だから、あなたたち一人につき$5,000ずつ上げられる」と説得する。男たちはハリウッドに電話し、Sheila Brittに兄と話させる。兄は承諾する。
シェリフは青年活動家たちのアジトを突き止め、アシスタントの少年を逮捕する。シェリフから脅された運動のリーダーである黒人青年と活動家の黒人女性は、恐怖を忘れるために夢中でセックスする。身代金を持ったSheila Brittの兄の到着まで、軟禁されたSheila BrittはレッドネックSam Stewartからレイプされる。到着したSheila Brittの兄は、ホテルの部屋にシェリフから黒人売春婦の差し入れを受け、ありがたく頂戴する…。
上の段落のセックス関連は当然フィクションとしても、他の部分は実際に当時の南部のあちこちで起ったことをまとめたようなお話です。黒人の選挙権登録促進運動はかなり以前から行なわれていましたが、1963年にアメリカ国内において黒人の投票権登録数が最も少ないミシシッピ州で"Freedom Vote"(フリーダム・ヴォート)という運動が成果を収めたため、翌1964年には"Freedom Summer"(フリーダム・サマー)なる運動が大々的に展開されました。この運動では北部の大学生(黒人・白人男女)800人を募り、オハイオ州で研修を終えると一人一人をミシシッピ州各地へ派遣しました。彼らは白人の迫害を恐れて尻込みする貧しい黒人たちを激励し、登録のためのテストの要領を指導しました。
この映画では北部の青年たちが自分勝手にやって来たように描かれていますが、実際にはもっと組織的な運動でした。私の住むMeridian(メリディアン)に派遣された青年はニューヨーク在住の学生で、地元の活動家二人(白人と黒人)をサポートする役目でした。しかし、青年が到着した翌日、活動の拠点に予定していた田舎の教会を下見した帰り、三人はK.K.K.の一員である保安官助手に捕らえられ、釈放された後行方不明になりました。この事件は全米を揺るがすニュースとなり、彼ら(の遺体)を探す警察・軍隊の活動が数ヶ月間継続されました。結局、彼らは射殺された腐乱死体となって地中から発見されたのです。この事件は'Mississippi Burning'『ミシシッピー・バーニング』(1988)として映画化されていますが、この'Murder in Mississippi'はその23年も前(というか事件の直後に製作を開始して、翌年)に公開したという点で、そのニュース性と概ね事実に基づいている点で評価さるべきでしょう。
インデペンデント映画でスターは皆無ですし、全体にローキイ(暗い画面)で、しかも画面の縁が感光したネガも平気で繋いでいるような雑な作品で、よくまあこれが保存されていてDVDにまでなったものだと驚きます。
【参考】実際に起った事件については、http://www2.netdoor.com/~takano/civil_rights/civil_16.html 『フリーダム・サマー』活動家三人の暗殺(1964)をお読み下さい。
(May 06, 2007)
【公民権運動関連】
・Crisis at Central High『アーカンソー物語』 (1981)
・For Us, the Living(未公開)(1983)
・Eyes on the Prize(未公開)(1987)
・The Long Walk Home『ロング・ウォーク・ホーム』 (1990)
・Separate But Equal『裁かれた壁〜アメリカ・平等への闘い』(1990)
・The Ernest Green Story(未公開)(1993)
・The Vernon Johns Story『怒りを我らに』 (1994)
・4 Little Girls(未公開)(1997)
・Ruby Bridges(未公開)(1998)
・Selma, Lord, Selma(未公開)(1999)
・Crazy in Alabama『クレイジー・イン・アラバマ』 (1999)
・Freedom Song『フリーダム・ソング』(2000)
・The Rosa Parks Story『ローザ・パークス物語』(2002)
・Sins of the Father『父と罪 重き告発』(2002)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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