最近、どうもCleveland 588 60゜の止まりが悪くなりました。フェースがツルツルになって来たような気がします。まあ、溝が無くなる程使い込んだわけではないのですが:-)
私のウェッジはバラバラに買ったものなので、ギャップ・ウェッジ、サンド・ウェッジ等はメーカーも異なって、微妙にバランスまで異なるような気がします。Cleveland 588 60゜自体は気に入っていますが、買い換える場合はCleveland 588にするつもりはありません。588シリーズは何故か、4゜刻みになっていないので、52゜、56゜、60゜という風に揃えられないのです。52゜は無くて51゜になってしまう。これは私の気性からいって、耐えられません。
「チャンピオン達の道具」のPGA篇【編註:この記事はもう古いので削除】を調べている間に、TitleistのVokey DesignがCleveland 588を圧倒していることを知りました。通販では一本$109.95という値段ですが、私がプレイしている海軍航空訓練基地付属コースでは、これを$92.00(しかも無税)で売っています。すぐさま購入しようかと思ったところ、TitleistのWebサイトの情報には、同じロフトでもバウンス角やソール・キャンバーが微妙に違う選択肢があります。じっくり考えなくてはなりませんでした。
・Bounce angle(バウンス角):Titleistサイトの説明では「地面とリーディング・エッジの角度」で、「バウンス角が大きければ柔らかい砂や芝に向いており、少ないバウンス角は固めの砂とフェアウェイに向いている」そうです。
・Sole camber(ソール・キャンバー):「リーディング・エッジから後方にかけての蒲鉾型の丸味具合」で、「キャンバーが大きいほどバウンス効果を減少させ、オープンなフェースによるショットを可能にする。キャンバーが少ないフラットなソールは、よりスクウェアに構えてバウンス効果を高めたプレイを可能にする」そうです。
Vokey Wedges:
Model | Bounce | Sole Camber | |
---|---|---|---|
[52゜] | ☆252.08 | 08゜ | Flat |-----*-----| Round |
[54゜] | 254.10 | 10゜ | Flat |-----*-----| Round |
[56゜] | ☆256.12 256.14 | 12゜ 14゜ | Flat |-----*-----| Round Flat |--*--------| Round |
[58゜] | 258.08 | 08゜ | Flat |----*------| Round |
[60゜] | ☆260.06 260.12 | 06゜ 12゜ | Flat |------*----| Round Flat |--------*--| Round |
(200シリーズ以外は省略)
現在の私の購入予定は上の☆印三つです。バンカー用ではなくアプローチ用としてなので、バウンスの小さいものを選びました。たまたまTitleistの日本語サイトを覗いたら、「Rifleシャフト付きは六月以降に発売」と書いてありました。実はRifleシャフトが何なのか知らなかったので、当のシャフト・メーカーのサイトで勉強しました。シャフトの中を只の丸い空洞にしないで、いくつかの縦の突起を作ったもので、フレックスやねじれに均一の性能を持たせられ、従来のスティールに較べ正確度において優り、クラブ・セットの統一性も厳密に設定出来るとか。通販カタログで各社のクラブ(ウッド、アイアン)を見ると、どうもRifleシャフトはこれからのトレンドのようです。ということで、Rifleシャフト付きのVokeyウェッジを待っているところです。
'Corey Pavin's Shotmaking'
by Corey Pavin with Guy Yocum (NYT Special Services, Inc.)
「二本のサンド・ウェッジをバッグに入れることをお勧めする。56゜のロフトのものは、フェアウェイからの長い距離に有用で、60゜のものは60ヤード〜グリーンへの距離で使用する。何か減らす必要があれば2番アイアンを減らす。三本のフェアウェイ・ウッドを使っているなら、3番アイアンを減らす。
サンド・ウェッジを選ぶ際、最も重要なのはソールである。過大なバウンスは不要。バウンスとはクラブフェースの先端の下にどれだけフランジ(突縁)が突き出ているかの度合いである。バンカーではバウンスによってクラブが砂にめりこまずに済むが、フェアウェイでのショットの助けとはならない。少しでもボールの後方を打つと、クラブは芝によって跳ね返され、トップすることになる。バウンスを減らして、許容度を高めるべきである。
大抵のウェッジでフェースをオープンに構えると、バウンスが増す。これはミスした時の許容度が低くなることを意味する。ウェッジを購入する際はバウンスが増えないものを選ぶこと。
60゜ウェッジのソールの十分なバウンスは、グリーン周りでは有用だが、ハーフ・スウィングする場合にはトラブルの因になる。地面よりもボールを先に打つ練習をしなくてはならない」
'Roughed Up'
by Scott Kramer ('Golf Magazine,' June 2000)
これによると、「2ピース・ボールを百回以上打つと、伝統的ウェッジのフェースは表面のざらつきが減り、ボールを止める力を失う」そうです。百回やそこらで擦り減ってしまうんじゃ、ほぼ使い捨てみたいなものですね。
PureSpinというフェースにダイアモンド片を埋め込んだものは、当然擦り減らないものの、代りにボールがすぐ傷だらけで使い物にならなくなるそうです。ボールがすぐストップするのはいいとして、ボール購入資金もすぐストップしそうです:-)。
「スピンを増すには、毎ショット後、ブラシなどでフェースを綺麗にする。フェースの溝に草、水、土などが付着していれば、ボールの飛行を狂わせ、ナックル・ボールのような影響が出るだろう。
一年に一度は製造元に送って、もともとのフェースのざらつきを復活させること」
ウェッジでシャンクが出始めた時の特効薬。
1) 体重移動をしない。
2) グリップと手首を柔らかくする。
3) 加速してピシッと振り抜く。
(June 28, 2000)
以前「コーチ・ロボット」というものを作り、スウィングのトップを制限しようとしました。それは実際にボールを打つのに適していませんでした。
そこで考案されたのが'Top limiter'(トップ・リミター)です。「夏休みの宿題」銅賞風でもあり、「ぼくらの発明工夫展」選外佳作風とも云え、「これぞ珍道具」とも云えます。新案特許は申請しません。誰かがこの案を盗んで製品化しても構いません。あまりに簡単に作れるので誰も買わないでしょう:-)。
材料:
1) 使用済み割り箸一本
2) 洗濯ばさみ二個
3) 輪ゴム二本
これだけです。これだけ。
写真で想像して頂けると思いますが、割り箸を一個の洗濯ばさみに輪ゴムで固定します。製造作業はこれで終り。これをお手持ちの帽子の右側に装着します。御自分の理想とするトップの形をとってみて、割り箸の先が左腕に当るように長さと角度を調整します。割り箸だけですと腕との接触点が小さ過ぎますので、先端をもう一個の洗濯ばさみで挟みます。
・長さの調整
割り箸を上下させる
・角度の調整
帽子に付けた洗濯ばさみの角度を変える
以上で、何方のスウィングにもフィットします。タダ同然。無くしてもすぐ作れる。携帯至便。練習場で使っても目立ちません。付けているのを忘れて電車に乗ったりしないように:-)。
折角コンパクト・スウィングを試みても、「バック・スウィングが短か過ぎてタイミングが取れない」という場合は、「トップの間(ま)」、「コンパクト・スウィング」に関するTipsを参照して下さい。
【トップの間(ま)】
・Tommy Armourのトップの間(ま)
・“トップの間(ま)”賛否両論
・積極的躊躇
・“トップの間(ま)”検事側の証人
・物干し竿
・Leadbetterの“トップの間(ま)”
【コンパクト・スウィング】
・Don Trahanの短いバック・スウィングの勧め
・Hale Irwinの賞金王の倹約打法
・Liselotte Neumannのコンパクト・スウィング
・矢野さんのコンパクト・スウィング実践篇
(July 05, 2000)
「もう少しかっこいいのがいいと思います(せめて割り箸は使用前にしたいものです)」というお便りを頂きました。実は当人ももう一寸体裁のいいのが欲しいと思っていたところです。自宅で付ける分には全く構わないのですが、練習場で着用する際にはあまり安っぽくない方がいいですよね。そこで、改訂版の登場です。
最初、ヘッドフォンとマイクが一緒になった「ヘッドセット」の応用を考えたのですが、これは$20.00もするので止めました。文房具屋さんで柄の長いクリップを探しましたが、見当りません。電気工事用部品のお店で、ごく小さいワニ口を発見。目立たないし、五個で$2.00(約210円)とお値段も申し分ありません。
材料:
1) ワニ口一個
2) 針がね一本
もう割り箸、輪ゴムはさようならです。針がねは洗濯屋さんが付けてくるハンガーを切って使いました。相変わらず廉価です:-)。ワニ口は写真のように片方が筒になっているもので、そこへ針金を通し、固定するためにペンチなどで筒をつぶしてしまいます。長さが調整出来るようにしたい場合は、筒の部分を折り返して(写真の円内)針がねを通し、スライド出来る程度に筒をつぶします。私は調整可能の方が好きです。その日の体調(柔軟性)によって、多少トップの位置も変るからです。
色々工夫の余地はあると思います。端を曲げてあるのは、針がねの先で怪我をしないため。
多分、数メートル離れたらこの仕掛けは見えないでしょう。“かっこいい”とは云えませんが、目立たないという点で前作より優れていると思います。
ある読者の方からのメール:
「左腕が当る方には洗濯バサミをつけないでテイクアウェイすると、どうでしょう!自分では一定のプレーンでバックスウィングしていると思ってましたが、なんと左腕に当たらない(かすってしまう)場合があるのです。
コンパクト・スウィング習得にも効果があると思いますが、バック・スウィングを一定プレーンで上げる練習も出来る、一石二鳥の発明なのでは…(^_^) 。
特に『ELSのようにフラットにしたいなあ』とか『福嶋晃子のようにちぎれるほど腕を高くあげたいなあ』などと思いついた際の強い味方となるでしょう」
なるほど。上級の方のお考えは凄いですね。おっしゃるように「バックスウィングが小さ過ぎる人が、もっと大きくするための目標」としても使えるわけですね。
おっと、忘れていました。トップ・リミターはUSGAおよびR&Aの認可を得ていませんので、公式競技では御使用になれません:-)。
(July 07, 2000)
Nancy Lopez(ナンシイ・ロペス)はゆっくりのテイクアウェイ、アーリイ・コックで、結構私がやっていることに近いので親近感を持っています。昨年のU.S. Women's Open '99を見に行った時に彼女とスレ違い、"Good luck!"と声をかけたら"Thanks!"と応えてくれました。膝に痛々しいサポータを付けていたので案じていましたが、残念ながら予選で落ちてしまいました。彼女はメイジャーではU.S. Women's Openだけ優勝していないので、この大会優勝は悲願なのですが…。
'The Complete Golfer' 「子供の頃、私はよく父と母のラウンドに随いて歩いたものだった。私が八歳の時、父は母のバッグから4番ウッドを取り出し、ティーとボールを添えて私に与え、『打つんだ。グリーンに届くまで、何度も』と云い、二人で先に歩いて行った。想像出来るでしょうか?私の生涯最初のゴルフ・ショットが、ブーンと頭を越えて行った時の彼等の驚きが!この瞬間、私はゴルフにハマり、私がハマったことに両親も魅入られてしまった。 私の父はシンプルに教えるのが常だった。世間のゴルフの説明というと、何やら月面着陸機を建造するマニュアルのように難解なものが多いのと逆である。父のゴルフ・スウィングの基本をまとめると次のようになる。 『Nancy、クラブをとってもゆっくり、とっても高く持ち上げるんだ。精一杯両腕を伸ばす。スウィート・スポットでボールを打つ。そして、フェアウェイのど真ん中へ送る。で、ホールに入るまで打ち続けるんだ』 シンプルであればあるほど、私は良くプレイ出来た。私のスウィング・キイ:"Low and slow."(低く、ゆっくりテイクアウェイ)はこの時からだ。 'Fore!' 「私が80を切ったのは12歳の時だった。父と私はニュー・メキシコ州のある公営ゴルフ場でプレイしていた。 15番ホールで、誰かのボールが父の頭を直撃し、血が流れ出した。『お父さん!まあ、血が出てる!』 彼はこう云った、「続けろ、プレイを続けろ。お前の出来は素晴らしいんだから」 父は出血多量で死んでしまいそうなのに、私の生涯の記念すべきラウンドを続けることを望んだ。 |
私は「そんなこと出来ないわ、お父さん」と云い、父は「いや、出来る」と云い続けた。彼はいつもそうだが、とてもカッコよく私をサポートしてくれた。実際、私の出来は素晴らしかった。私はプレイを続け、78で廻った]
スコアのことを考えないでプレイする方法をお探しなら、あなたのお父上が血だらけで横たわっているのを想像するといいかも知れません(^^;;。
(July 05, 2000、改訂January 06, 2017)
著者Kenneth Baum(ケネス・バウム)はスポーツ・パフォーマンス・コンサルタントとして、アメリカの数々のプロ・スポーツ・チームやオリンピック・チームなどを助けた人。
'The Mental Edge'
by Kenneth Baum with Richard Trubo (The Berkley Publishing Group, 1999, $11.16)
「あなたの身体は、ゴルフ・レッスンと練習場で学んだことの全てを知っているということを忘れないように。コースに出た時、分析的な左脳を脇へどけて、クリエイティヴでヴィジュアルな右脳が後を引き継ぐようにしなさい。分析を減らし、身体に任せること。
Colorado(コロラド州)のオリンピック・トレーニング・センターが30人のカレッジ・ゴルファーを集め、次のようなパッティングの実験を一週間行った。あるグループは、パットの前にどのパットもホールに沈むことを視覚化した。彼等は、バックスウイングの段階からボールがカップの真ん中へ転げ込むまで、全てを頭の中で描くように指示された。二番目のグループにも似たような指示がなされたが、違うのはホールに近づいた頃ボールが右か左に逸れ、カップに1インチのところで止まることを想像することだった。三番目のグループは、何等視覚化せず、パットの練習だけさせられた。一週間後、第一のグループは約30%もパットの正確さを増した。視覚化をせず練習だけしたグループは11%正確さを増した。第二のグループは、その週のラウンドで21%も正確度を失った。貧弱なパッティングを思い描き、その通りの結果となったのだ。
真剣に上達を考えるのなら、希望や願望以上のものであるべきだ。『欲する("I want to")』という姿勢で始めなくてはならない。しかも、上達は可能だと信じなくてはいけない。ゴールに到達出来ると本当に信じるなら、それは実現する。信じる力は、本当の力である。それは、成功への代償を支払う情熱を創り出す。Yale University(エール大学)の卒業生を調査したところ、1953年のクラスで自分のゴールを明確に、具体的に記入出来た者は、たった3%だった。20年後、その3%の人々は97%のその他大勢よりも、格段に経済的に豊かな生活を送っていた。個人的なゴールを達成する公約によって、彼等は満足出来る人生を得たのだ。
あなたも人間だから、常に完璧にプレイ出来るわけではない。Babe Ruth(ベイブ・ルース)は714ホーマーへの道筋で、1,330回のストライク・アウトを食らっていることを忘れないように。
実験精神旺盛であれ。創作的であれ。世界のトップ・クラスのスポーツマンは、いつも上達への道を探し求めている。あなたもそうであるべきだ。
自分に期待すればするほど、もっと上の目標が達成出来る。上昇機運が無い場合、気力を奮い起こす方が現状維持を望むよりもいい結果を生む。『失敗しないように』という姿勢ではなく、自分のベスト・パフォーマンスを期待すべきだ。控え目な期待は、控え目な結果をもたらす。
自分を鼓舞する呪文をマスターする。“準備完了!”とか“リラックス!”など。文章になるような長い文句は不適。またポジティヴでなくてはならない。『…しないように』などのネガティヴな言葉は不可。この呪文によって、過去の成功に結びついた思考と情念が想起されるようになれば、自分に可能な最高の実力が発揮出来る」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(July 10, 2000)
'Stroke Savers'
by Ken Venturi with Don Wade (Contemporary Books, 1995, $14.95)
「ゴルフはインチのゲームである。実際には、時に数分の一インチのゲームである。
ボールには赤道(カヴァーの合わせ目)があり、両半球の極がある。
ティー・ショットはどちらかの極を打つ方がいい。極には大抵ボールのロゴがある。ここを打つと(赤道を打つより)ボールの反発力が大きい。
パットする時は赤道がパッティング・ラインに接するようにする。赤道にはディンプルが無いので、いい回転が得られる」
【参照】
「ボール・テスト法」
「ボール・テスト法」その後
(July 17, 2000)
「ボール解剖学」に関して、あるゴルフ用品メーカーにお勤めの今井さんから、以下のような補足説明のメールを頂きました。Ken Venturi(ケン・ヴェンチュリ)の記事から5年も経ちますと、相当劇的な変化があったようです。
【両極と赤道】
'Stroke Savers' にて説明されている通り、ゴルフボールにはCoreを取り巻くカバーがあり、そのカバーをくっつけているつなぎ目(Seam)があるのが一般的です。
→ソリッドボール・糸巻きボール共通です。
これは半円にカットされたカバーにCoreを入れてDimpleのついたモールド(型)で熱圧着させる工程で生産される、ゴルフボールにとって至極当たり前の結果です。もちろん一昔前の工程ではそのSeam面が非常に目立ったものが多く、目立つもので2〜3mmあるものも珍しくありませんでした。またその時代のカバー材質・圧着製法・構造なども影響し、「ボール解剖学」のような「ショットでは両極面、パットではSeam部分(赤道面)を打ったほうが良い」という理論が出たのかもしれません。
その後、このSeam部分にDimpleをうまく配列させSeam部分が目立たない様にするものも現れ始め、最近ではほとんどのボールでその工夫がなされているようです。実際、最近のボールで打撃個所を両極面とSeam部分で打ち較べた時、多少の差異は認められるとは思いますが、それは一般的な誤差の範囲にとどまるものと思います。
→それより偏芯のほうがはるかに影響があります(後述)。
また、Face Marking(ロゴ)については両極面に入れているメーカーと、ランダムに入れているメーカーがあり、一概にFace Marking部分が両極面というものではありません。
【偏芯】
ゴルフボールは当然真円・真球で、偏芯なんて言葉は耳にしたことがないという方も多いと思います。立体の、しかもいくつもの材質からなるゴルフボールを真円・真球にすることは非常に難しく、実際、市場に出ているゴルフボールを何らかの機械で真球度を計ると恐らくそのほとんどが多少の歪みが見られると思います。しかしながらこれは転がしたりスケールで計ったりするだけでは判らない非常に小さい歪みで、実際の使用上はになんら影響を及ぼさないと言ってもよいものです。
そうした微小な歪みより偏芯(いわゆるCoreの偏り)の方が重大な影響を及ぼします。この偏芯は大きく分けて二種類の状況があります。 一つはCoreの偏り・歪み、もう一つはカバーの歪みです。
Coreの偏り・歪みは糸巻き系に多いようです。構造上、中心には固体Coreあるいは液体Coreがあり、これに引き伸ばした糸ゴムをぐるぐる巻きにします。
→液体Coreと言うのは薄いゴムカバーの中に液体(重量調整剤入り)が入っているもので、凍らせておいて糸ゴムを巻きます。
その上にカバーをかぶせたのが糸巻きボールで、野球の硬式ボールに似ています。この構造はCoreへの糸ゴムの巻き方によって密度・テンションが変わりやすく、またカバー圧着が均一にならないことがあるようです。ソリッド系のCoreもゴム玉みたいなものですが、加硫工程でまれに歪んでいるものが出来上がることがあります。
もう一つ、カバーの歪みは糸巻き系・ソリッド系共に発生します。 Coreセッティングの際のずれや、熱圧着時のずれで、Coreが偏ったまま成型されてしまうものがあります。
【偏芯の利用(^^)】
メーカーからゴルフボールが出荷される時は大きさ・重量・X線内部チェックなどの検品工程がありますが、除外し切れず偏芯ボールが混じって市場に出てしまうこともあります。このボールは外観ではまず判りません。打撃後のスピンが弾道に影響して初めて判るものです。また、偏芯している向きにより上下左右どこにでもすっ飛んで行ってくれます。クラブヘッドのトウやヒールに当たってのギア効果もありますが、「すっぽ抜けたボールが戻って来た」とか「グッドショットが曲がってOBに」などという結果に偏芯ボールが一役買っている場合もあります。
糸巻き全盛時の頃のプロ達は三個のボールを1ホールずつローテーションさせ、一つのボールで3ホール(1・4・7番とか)といった方法でボールの均一化を保っていました。特にバラタカバーの場合はカバーの傷もボールの交換頻度をあげた要因ですが、中の糸ゴムはショット毎に多少とも歪むので2ホール休ませ元に戻すということだったみたいです。この部分においてはショット後の歪みの少ないソリッド系のボールに軍配が上がるようで、最近はUSPGAのツアープロもソリッド系を使う人が出て来ています。
→Tiger Woods(タイガー・ウッズ)とかNick Price(ニック・プライス)など。
しかしながら最近のボールは糸巻き・ソリッドともに均一化が向上していますので、偏芯ボールが混じっていることは非常に少ないと思いますが、もし偏芯ボールと思(おぼ)しきボールに出会った時には、むしろそのボールの特性を生かした上で、ここぞという時に勝負球にすると良いのではないかと思います(^^)。
【照準線】
“照準”として、あらかじめラインを引いたボールは結構使えそうです。自分の名前をボールに入れるOwn Name(名入れ)サービスが各メーカーから出ていますが、Seam部分指定でのライン引きはDimple高密度化、ランダムFaceMarking により少々難しいかも知れません。どうしても「Seam部分でなきゃ!」と言う方は、高野工房製'Ball Liner' を参考に御自身で線引きしたほうが良いようです。場所にこだわらなければメーカー指定の場所に名前の代わりにラインを入れることは出来ると思います。
このSeamを「目立たない」から「全く無い」という発想で作っているボールがあります。これはカバーを半円にして熱圧着させる方法から、特殊な製法にて一体成形させたSeamlessタイプのボールです。商品名はBridgestone 'Tour Stage MF432'(MF:MIRACLE FOUR PIECE)と言うもので、Seamが全くありません。
以上、皆様の参考になれば幸いです。
このように最新情報を頂き、さして日を置かずに補足・修正・訂正出来るのはインターネットの強味です。今井さん、御協力ありがとうございました。
(July 21, 2000)
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