Golf Tips Vol. 25

“トップの間(ま)”検事側の証人

“トップの間(ま)”賛否両論で、Tom Watson(トム・ワトスン)はByron Nelson(バイロン・ネルスン)の「トップで短い躊躇(ためらい)のときを作って、急がずにダウン・スウィングする」というメソッドを肯定的に紹介していましたが、その二年前の'Golf Digest'の同じコラムでは相当否定的なことを書いています。

'Should you pause at the top?'
by Tom Watson ('Golf Digest' 1996, No.3)

「週末ゴルファーがよく尋ねる質問に、『スウィングのトップで間(ま)を置くべきか?』というのがある。私は『理想的には間を置くべきではない』と答える。ゴルフ・スウィングは連続した、流れるようなモーションであるべきだと思う。トップであからさまに停止するというアイデアは好きではない。しかし、バック・スウィングからダウン・スウィングへと急激かつ粗っぽく方向転換するよりは、トップでややポーズがある方がましだ。かなりゆっくりテイクアウェイしたものの、なぜかダウン・スウィングを急ぐ人が多い。まるで、ホームを離れつつある列車に飛び乗るみたいに…。重要なのは、動作が途切れることなく、同じようにコントロールされたスピードで方向を変えることである」

【参照】
・「Tommy Armourのトップの間(ま)」(tips_4.html)
・「“トップの間(ま)”賛否両論」(tips_2.html)
・「積極的躊躇」(tips_2.html)
・「Leadbetterのトップの間」(tips_40.html)
・「トップの間(ま)の正体」(tips_82.html)

(July 08, 1999、増補May 30, 2015)


25の馬鹿げた理論

'Four Magic Moves to Winning Golf'
by Joe Dante with Len Elliott (Doubleday, 1995, $12.95)

「この本を形容するのに“毛色の変わった”というのは相当控え目な表現だ。過激で、異端で、偶像破壊的と云ってほしい」これは序文にある言葉です。筆者達のありきたりを打破した本にしたいという意欲が満ち満ちています。

[Magic]

最初の方の一章は「馬鹿げた理論の大掃除」と題されていて、25のポピュラーなセオリーがこてんぱんにやっつけられています。

1) リラックスする
 ゴルフ・クラブを振るというのはどちらかと云えば乱暴な動きである。リラックスして乱暴な動きを出来るものだろうか?Ben Hogan(ベン・ホーガン)やArnold Palmer(アーノルド・パーマー)がリラックスしてドライヴァーを打っていただろうか?

 メンタルにリラックスするというアイデアもおかしい。完璧にブランクな状態だったら寝てしまうではないか。

2) 軽くグリップせよ
 Bobby Jones(ボビイ・ジョーンズ)などは軽く握るグリップだったが、現代のトップ・プロ達は硬めのグリップである。軽い方のSam Snead(サム・スニード)でさえ、トップで弛むことはない。

3) ゆったりせよ
 捻(ねじ)り、緊張した全身がパワーを生むのである。一部分でもゆったりしていては、何も生まれない。

4) インサイドにクラブを引け
 ダウン・スウィングでクラブがインサイドからボールに接近するのは正しい。インサイドに引いてもアウトサイド・インのダウン・スウィングになっては意味が無い。

5) アップとダウンは同じ軌道を通る
 正しいスウィングでは、テイクアウェイの軌道よりダウン・スウィングの軌道はインサイドになる。これは正しい腰と肩の動きによって、自動的に決まるので、意図してコントロールするものではない。

6) トップで間(ま)を置く
 クラブが方向転換するという意味では、確かに間(ま)はある(たとえ、目に止まらなくても)。熟練したゴルファーは、クラブヘッドの方向転換を下半身先行のダウン・スウィングと並行して行なう。そのトップの間(ま)はまた、ゆったりしたダウン・スウィングへの助けとなる。

 しかし、アヴァレージ・ゴルファーがトップでクラブヘッドを止めるだけではなく、全身の動きを止めるとしたらどうか?このゴルファーはリズムを失い、野球のバッターのように電光石火のダウンスウィングをするだろう。

 あなたが正しいスウィングをしていれば、自動的にトップの間(ま)は生じる。わざわざトライする必要は無い。

7) 腰を左に廻せ
 水平移動抜きの腰の回転は、重心が右に残る。これはアウトサイド・インのスウィングを引き起こす。腰は水平に左へ移動すべきものだ。

8) 頭を動かすな
 これは不可能である。どんな名人の写真を見ても動いている。

9) 左腕を引いてダウンを開始せよ
 これは、多くのプロが必ず言及せねばならぬと思い込んでいるようなフレーズでしかない。実際には手打ちと同じようなアウトサイドからのダウン・スウィングになり易い。

10) トップではフェースをオープンにせよ
 これはスコットランドから渡って来た当時の古いメソッドだ。手首のアクションを多用した昔の名人達はこうしたが、現代では使われない。

11) 身体と両手をクラブに先行させてはいけない
 もう、あまり聞かれないメソッドだが、当然身体と両手が先行する。

12) 快適であれ
 スウィングのトップというのは快適から程遠いものだ。快適だとしたら、肱は折れ、手首は曲がり、オーヴァー・スウィングになっている証拠だ。アヴァレージ・ゴルファーにとっては、正しいスウィングは快適なものではないと知るべきだ。

13) 手首を折るのは最後に
 これは不必要であるばかりか、危険である。大きなスウィング・アークを作るための教えだが、プロ達は実際には早めに手首を折っている。ダウンのスウィング・アークは小さめが正しい。

14) クラブヘッドを振れ
 ヘッド・スピードは身体が作り出すものである。クラブヘッドのことなどは忘れるのが正しい。

15) 左の壁に向かって打て
 これは神話である。名人達の写真でも左側はダウンで着実に左へ移動するので、“左の壁”も動いてしまうからだ。

16) 手首をパチンと弾(はじ)け
 これはトラブルの因である。いいスウィングでは自動的にそうなるものであって、努力する目標ではない。「手首を弾け」などと教わっていない7歳の子供でさえ、連続写真で見るとちゃんと手首を弾いている。

17) 右手で目一杯ひっ叩け
 部分的には正しいが、毒の方が多い。左手を折ってまで右手でヒットしたら大惨事である。アウトサイドから打つことになり易い。右手のことは忘れなさい。

18) 右肩を落とすな
 右肩は左より低くあるべきだ。どのプロでもそうしている。

19) ボールに向かって打ち下ろせ
 トップ・ボールが出るとこう教えられるものだが、トップは無くなっても他のトラブルが出易い。そもそも、ボールに打ち下ろすというのは自然の成り行きである。

20) ナチュラル・スウィングを用いよ
 初めてクラブを握った者がいいスウィングをするなどということは、万に一つもあり得ない。スウィングは学ぶものである。ナチュラル・スウィングというものは存在しない。

21) フォロースルーをとれ
 昔の合い言葉は「ヘッド・ダウン、スロー・バック、フォロースルー」というものであった。最近はフォロースルーはいいショットの原因ではなく、結果であることが認識されている。いいスウィングであれば、いいフォロースルーがついて来る。止められるものではないからだ。

22) ショットを止めるな
 止めたくて止めるゴルファーはいない。コックがまずかったとか、手打ちになっているとか、何か不都合があったから不完全なダウン・スウィングになるのだ。

23) 手首を返せ
 昔のプロはバックで手首を右に捻ってフェースをオープンにし、ダウンで左に戻してスクウェアにしていた。これはタイミングが難しい。多く返すか早過ぎるとフックになる。危険が大きい。

24) 身体を捩(ねじ)れ
 間違いではないが、重心の水平移動(バックで右へ、ダウンで左へ)が無く、樽の中で身体を捩るように誤解され易い。重心を移動しつつ捩るのが正しい。

25) アドレスとインパクトの位置は同じ
 アドレスでは重心は真ん中で、両足は地面についていて腰はターゲット・ラインに平行、右肩は左より低い。しかし、インパクトでは、頭を除くどの部分も猛烈な動きを示す。体重は80%左足にかかり、右足は上がり内側に回転している。腰はターゲット・ラインを遥かに越えている。右肩はアドレス時よりずっと低くなる。このフレーズは理解不能である。

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(July 12, 1999)


パットの尺度

'Putting by the Rules'
by Leon Smith with Tom Ferrell ('Golf Tips.' June 1999)

パッティング・マットも要らず、思い立ったらすぐ実行出来るパット練習法。

アメリカには1ヤードの長さの木製の物差しがあり「ヤード・スティック」と呼ばれています。1ヤードは91.44cmですから、1mの木製の物差しがあればピッタリですが、無ければ薄い木の板で間に合わせます。原文では以下の所にマジックかマーカーで印をつけることになっています(只の目安ですから、そう精密である必要はありません)。

 6インチ = 15.24cm
18インチ = 45.72cm
30インチ = 76.20cm

定規を床に置き、18インチの目印の上にパターをアドレスし、(ボールは無しで)フェースが定規から外れないようにストロークを繰り返します。バック・スウィングの終りで"One"、18インチのところで"Two"と云います。これをワン・セッション25回。TVの前にでも転がしておくと便利です。ツァー生活をしていた頃のSam Snead(サム・スニード)も、ホテルの部屋でこの練習をやっていたそうです。

次に同じ定規をもう一本追加し、パターがギリギリ通れる間隔でレールのようにセットします。今度はボールを使い、3mほど先に硬貨などの目標を置きます。スウィート・スポットによるストロークを心掛けます。ワン・セッション10回。レールに触ればスクウェアにストロークしていない証拠です。

'A Smooth Stroke for Only a Dime'
by Jon Bartelli ('Golf Illustrated,' July/August 1999)

読者の投稿ですが、「パターに硬貨を乗せ、落ちないようにパットする」というもの。これは難しい。バック・ストロークの段階で早くも落ちてしまいます。

(July 15, 1999)


4 Magic Moves(四つの魔術的動作)

'The Four Magic Moves to Winning Golf'
by Joe Dante with Len Elliott (Doubleday, 1995, $12.95)

この本の存在は数年前から知っていたのですが、筆者が無名のスウィング・コーチ、古臭い幼稚なイラスト、褒める人がいない事実…などが相まって、何かしら安っぽい印象を持っていました。しかし、読んでみるとこれはなかなか立派な本です。「25の馬鹿げた理論」の過激な口調(原文では「ゴミだ」、「クズだ」と凄い表現)もユニークでしたが、本論である「四つの魔術的動作」もとても参考になります。自覚していなかったのですが、最近私のショットが安定して来たのは、多分にこの本の助けによるものだと思っています。

[Magic]

Magic Move #1: バックスウィングの初期に手首をコックする

 クラブを適切な軌道で持ち上げ、コックしながら正しいトップ・ポジションに納めるという動きは複雑過ぎる。コックを早めに終えてしまえば、後は肩を廻すだけのシンプルな作業になる。

【Nancy Lopez(ナンスィ・ロペス)がアーリイ・コックの代表ですね。現在、私のロング・ゲームはまあまあなので、アーリイ・コックを試してぶち壊したくありません。そのうち挑戦してみようと思いますが】

 そして、クラブを持ち上げるために肩を廻せば廻すほど、うまくボールが打て、遠くに飛ぶことを発見するだろう。腕で打つことは忘れなさい。肩に両腕とクラブを動かす仕事をさせるべきだ。

Magic Move #2: 手首のコックをキープした適切なトップ

 もし左手首が正しいままトップに辿り着けば、二つのナックル(指関節)が見える筈だ。三つ見えたら、それは崩壊したグリップだ。右手は一つのナックルが見えるだけでなければならない。

Magic Move #3: 腰を左に水平移動し、頭を後ろに残し、クラブを動かす努力をしない

 腰は回転するのではなく、水平移動するのである。腰、肩、手の動きが正しければ、手首のコックとその角度は保たれると云ってよい。左腕は腰に引っ張られる。腕はクラブと腰の間にある棒に過ぎない。もし、ゴルフ・スウィングにおけるたった一つの秘密があるとすれば、これである。

【腰の水平移動をこうまで断言した本も珍しい。名人達の連続写真を分析した結果だそうです】

バックスウィングで身体を捻り、緊張状態を保つのは、快適じゃない感覚、力を蓄える感覚である。これが飛距離をもたらす。腰を水平移動し、頭を残し、他には何もしない。腕と手は完璧に裏方に留まる。

Magic Move #4: 腕を振り抜く

人々は潜在意識の領域で、クラブヘッドが手に追いつかずストレートに打てないという危惧を抱く。オープンなフェースが遠く右方へと打ち出すことを恐れる。その結果、意識せずに両手の動きをスロー・ダウンしてクラブヘッドを手に追いつかせるわけだが、この愚かな試みは常に成功する。素振りというのが誰の場合でも素晴らしいのは、素振りでは上のような恐れを感じないため、理想的なレイト・ヒットのスウィングが出来るからである。

【私も右へ出て行くことを恐れたクチでした。頭を残して振り抜けばクラブは右へ出て行く感じがします。恐怖を抑えて振り抜くのはマゾヒスティックとも云えるものですが、これが正しいことは徐々に解って来ます】

クラブヘッドのことは忘れること。手首を弾(はじ)く動きを試みるなどは自殺行為である。心配しなくてもクラブヘッドが手に追いつく瞬間はやって来て、まさにその瞬間に手首の弾く動きが自動的に現出する。ゴルファーは、ひたすら腕を振り抜くだけでよい。

【昔、コックをほどかないとシャンクするんじゃないかと心配したものです。その当時こういう説明が読めると有難かった】

ドライヴァーであれば、ボールが低く出て、並のショットなら落下し始める地点で更に上昇傾向を見せるのがいいショットである。

【参照】「魔法のダウンスウィング」(tips_143.html)

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(July 16, 1999)


続・4 Magic Moves(四つの魔術的動作)

'The Four Magic Moves to Winning Golf'
by Joe Dante with Len Elliott (Doubleday, 1995, $12.95)

【グリップ】

 緩いグリップは様々なミス--トップで手が開いてしまう、左肱が折れる、オーヴァー・スウィング等々--を誘発する。

 トップでグリップを緩めるアヴァレージ・ゴルファーが多い。彼等はそこでグリップを握り直すので、クラブ・ヘッドがバウンスする。これはヘッドをボールへとスタートさせる。我々がトップから打ちに行く原因の一つはこれである。

【タイミングとリズム】

 いいタイミングとはレイト・ヒットである。ダウン・スウィングでクラブをスタートさせるのは身体に任せよ(手ではない)。

 いいゴルファーのスウィングを映画に撮影し、フィルムの駒数を数えると、バックスウィングはダウンのきっちり二倍かかっている。2:1の比率がスウィングのリズムである。人によってスピードは違うが、比率は変わらない。

 状況(ライ、距離)にかかわらず常に同じスピードでスウィングすべきである。もし、5番アイアンで長い距離を打つためリズムを壊すくらいなら、4番アイアンで通常のリズムで打つべきだ。

【パット】

 軽いパターより、中程度〜重めのパターがよい。

 オーヴァー・スピン、サイド・スピン、バック・スピンなどをかけようなどと考えないこと。そんなことは出来ない。考えるべき唯一のことは、スタートさせたい方向へフェースを向け、ボールにスクウェアに接触させることだけだ。

【戦略】

 クラブ選択は思考が活躍する唯一の部分だ。トラブルを避けるのがプランの大きな要素。ネガティヴあるいは守りの姿勢に見えるが、これは非常に重要である。

 アヴァレージ・プレイヤーの期待と誇り、そして奇跡を信じるような冒険は、高望み以外の何物でもない。コースを打ち負かそうという試みによって、大抵はストロークを失う。熟練者は違う。彼の場合はコースとの勝負が可能で、勝利は攻撃することによってしか得られない。

 アヴァレージ・プレイヤーにとって、フェアウェイでのウッドやロング・アイアンは最も難しいショットである。距離が必要だということで、プレイヤーは力一杯ひっ叩く。力を入れれば入れるほど正確さを失う。半ばトップするか、ボールの後ろをヒットする。先ずワン・クラブ下げること。なおかつグリップ半分ほど短く持つ。そして、忘れていけないのは、ダウン・ブローがボールを上げるという科学的事実だ。もう一つ、距離を出すのはクラブヘッドのスピードもさることながら、ボールとのスクウェアでバッチリした接触が条件でもあるということだ。

 コースで寝ていてはいけない。一つ一つのショットについて計画を立て、考えるべし。これを実行出来る能力は、ゴルフにおける真の集中心である。

(July 20, 1999)


Seeing is NOT believing

The Masters(マスターズ)1998最終日のNo.18で、Mark O'Meara(マーク・オメラ)とキャディJerry Higginbotham(ジェリイ・ヒギンボサム)は入念にグリーンを読みました。Jerry Higginbothamは「ブレイクはカップと同じ巾かそれプラス1/2」と判断します。Mark O'Mearaの読みも全く同じでした。

'The Majors'
by John Feinstein (Little, Brown and Company, 1999, $25.00)

「しかし、ボールにアドレスした時、Mark O'Mearaの中で何かが『ブレイクはもっとある』と囁いた。Augusta(オーガスタ)のグリーンの経験、14年にわたるゴルフ・コースでの経験が、『見えるよりも実際のブレイクは常に少し多い』ということを伝えたのだ。更に、彼はAugustaの最終日のホール・ロケーションはトリッキイな場所にあることを知っていた」

こうして彼は20フィートのパットをねじ込み、David Duval(デイヴィッド・デュヴァル)とのプレイ・オフを回避して優勝を決めたのでした。

以上は「パットに関する驚くべき事実」でDave Pelz(デイヴ・ペルツ)が述べていた「ゴルファーは本当のブレイクの25〜30%しか見ていない。…あなたの判断したブレイクを二倍に見積もること」という指摘に完全にオーヴァラップします。

(July 21, 1999)


Line vs. Speed(ライン vs.スピード)

'Line vs. Speed'
by Editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' September 1995)

「パット名人Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)の秘密は、スピードのコントロールにある。ブレイク(迂回巾)を読む時にも、彼はスピードと合わせながら読んでいるのである。

ブレイクの度合いはパットの早さによって決まる。カップの後ろにゴンと当って入るような2インチ(5cm)のブレイクは、もし弱めに打たれたら6インチ(15cm)のブレイクになるだろう。正確にブレイクを読むには、ボールがホールに届く時のスピードを考慮しなくてはならない。

弱めに打つとスパイク・マークや砂、凸凹の影響を受けやすい。安全でかつ成功率の高いのは1.5フィート(46cm)ほどホールを過ぎるようなスピードだ。このペースで打つ場合は、1インチ(2.5cm)程度の誤差は心配しなくてよい。

1) ラインを横からも見る。背後からでは感じ取れない勾配があるかも知れない。

2) コースではパッティングの動作をああだこうだ考えない。ホールにだけ焦点を合わせる。

3) ラウンド前の練習ではラインについて考えない。スピードのフィーリングだけを調整する。

【練習法】

フラットな部分を選び、ボールを三個用意する。1フィート(約30cm)の距離から一個はカップの向こう側の壁に当てて入れ、二個目はホールの真ん中に落ち、三個目はかろうじてホールに転げ込むように打つ。成功したら1フィート後退して同じことを続ける。失敗したら最初からやり直す」

(July 26, 1999、改訂January 04, 2019)


ペルツ伝福音書

'Dave Pelz's Short Game Bible'
by Dave Pelz with James A. Frank (Broadway Books, 1999, $30.00)

[Bible]

「足をオープンに構える場合、一挙動で構えてしまうと、往々にしてボールの位置が不適切になり易い。先ず爪先を真っ直ぐのままボール・ポジションを決め、その後爪先をオープンにする。

クラブヘッドを加速する秘訣は、短いバック・スウィング、長いフォロー・スルーである。

サンドウェッジはバウンス(接地面の角度)が大きいのでハードパンなどのタイトライには向かない。逆に、そのバウンスは深い芝やバンカーで効果的。

ロブウェッジは通常のロブ以外に、グリーンサイド・バンカーや短いラフでも良い選択肢である。深いラフや非常に長い芝では使わないこと。

横風が吹いている時に長い距離のウェッジ・ショットを打つ際は、ボールを2〜3インチ飛行線後方に下げるか、低いフォロー・スルーで手は低く肩を目一杯上げたフィニッシュを取る。

ピッチ・ショットは、少なくとも3フィートはフリンジを越えたグリーン上に着地させる。フリンジは越えるべきもの、グリーンはそこをめがけるもの。

スピンのかかったボールは、湿った(濡れた)グリーンでは十分止まらない。

『転がせる場合は、上げないで転がせ』という原理は、ウェッジ・ショットの距離をコントロール出来ないアマチュアには正しい助言である。プロ達はしばしば高く、ピン傍に着地させるショットで最大の成果を納める。

ダウンヒルにソフトに着地させなければならない場合などでは、クラブを短めに持つ(シャフトにかかるぐらい)。短く持ったクラブで大きいスウィングをする方が、長いクラブで短いスウィングをするより、コントロールし易い。

常に、大きいボール(地球)を打つ前に小さいボール(ゴルフ・ボール)を打つ。大きいボールを打つと、ファットなショットとなり、スコアを増やし、恥辱感をもたらし、ゲームの楽しさを奪う。

ルール違反でない限り、常にピンは抜かないこと。ピンが傾いていない限り、ピンのセンターを少々外れて当たったボールもカップ・インすることが証明されている。

四角い形のグルーヴ(フェースの溝)はV字型グルーヴよりもスピンがかかる。

トラブルに見舞われ場合、『ミスは二回連続させない』が鉄則。トラブルの下では良くて寄せワンによるパーのチャンスが60%、ボギーの確率が100%。ダブルやトリプルは絶対に避けなくてはならない。奇跡的に林を脱出し、木の下をかいくぐり、左に旋回し、急上昇してバンカーを越え、グリーンに乗って急停止する…などということを夢見てはいけない。これは大きい数字への招待状である。スマートに、ボールをグリーン手前にパンチ・アウトし、寄せワンでパーが取れることを信じなさい。悪くてもボギーで納まる」

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(August 05, 1999)


曲芸的ショット

'Scrambling Golf: How to Get Out of Trouble and Into the Cup'
by George Peper (Prentice-Hall, Inc., 1977)

木のすぐ傍にボールがある場合、どちら側にあるかによってはグリーンに向かって打てないという状況があります。グリーンに背を向けて右手一本で打つ、あるいはクラブを逆さにして左から右へスウィングするという解決方法があります。そういうのはよく知られた方法ですが、以下のような特殊な例はいかがでしょうか?

・The No-Backswing Shot(バック・スウィング無しのショット) 普通にバック・スウィングしようとすると木の枝が邪魔になるという場合。木の枝に触れるところまで振り上げ、十分コックしている状態で一旦停止。ボールから目を離さないようにしてスウィングする。

・The Kneeling Shot(膝をついてのショット) Craig Stadler(クレイグ・スタッドラー)が潅木の下でタオルを敷いて打ってペナルティを取られたり、最近では“トラブル・ショットの名人”Seve Balesteros(セヴェ・バレステロス)がしょっちゅう(?)やっているショットです。

なるべくフェースの大きいクラブ(7番アイアン〜ウェッジ)を選ぶ。インパクトでフックになり易いので、やや右を狙う。ゆっくりスウィングする。あるプロは、これで200ヤード飛ばしたこともあるほどなので、距離の心配は無用。

・The Slap Shot(びんたショット) こぶのある木の根の傍にボールが鎮座ましましていて、スウィングが出来ない場合。ボールが右足後方になるように立ち、左手だけでクラブを握る。グリップは通常通りで、クラブをボール後方1.5cm近辺にセット。フリーな右手でシャフト下部をひっぱたく。伝統的方法とは云えないが、ルール違反ではない。

・The Carom Shot(玉突きショット) ボールの背後に壁があってスウィング出来ない場合。救済措置が得られないか先ず訊いてみて、どうしても駄目な場合に選ぶショット。壁に向かって、やや強めに打ち、ボールのハネ返りを利用する。壁が平らであることと、ボールが自分に向かって来ないように注意。

・The Vibration Shot(振動ショット) OBの杭にボールが寄りかかっている場合。OB杭を抜くとルール違反。この状態で何とか100ヤード稼ぐにはどうするか?クラブでOB杭をひっぱたくのである。あまり強く叩くと、あなたの手首を痛めるので注意。これもルール違反ではない。

(August 12, 1999)


グリップ・プレッシャー

'Less is More'
by John Redman ('Golf Magazine,' August 1998)

「プレッシャー・ゲージに1〜10の目盛があるとする。1だとクラブが手から滑り落ち、10だと全力で搾り上げている状態。適切な値は4である。

左手のグリップがきつ過ぎると、クラブヘッドはトップでシャットになり、インパクトでターゲットの左を向く。

右手のグリップがきつ過ぎる場合、フェースはオープンになり、インパクトでターゲットの右を向く。

科学的研究では、インパクトに向かってグリップ・プレッシャーが増して行くと分析されているが、だからと云って軽めのプレッシャーがいけない理由は無い。自分でプレッシャーを増そうとするのは、車の走行中にブレーキをかけるようなものである。直ぐは止まらないが、急速に減速する。腕と手首の筋肉が固くなると、クラブヘッドのスピードは急速に落ちる」

(August 13, 1999)


['The Art of Putting']Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)のパッティング

Ben Crenshaw's 'The Art of Putting'
(HPG Home Video, Inc., 1986, 45 minutes, $19.99)

Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)のこのヴィデオについてはずっと前に簡単に触れましたが、今回は彼のメソッドを詳しく書き抜いてみました。

「パッティングは科学ではなく、芸術である。

【Crenshawの三原則】

1) 自分の流儀で通す
パッティングはレギュラー・スウィングの短いヴァージョンである。スローにスウィングする人は、スローなテンポのパッティングが相応しい。

2) 基礎を踏まえる

・スムーズなストローク。加速しつつ、ボールをストロークする。
・パターはインパクトでスクウェアになること。
・左手はターゲット・ラインに平行に動く。
・右手はパワーを供給する。
・メカニカルであってはいけない。フィーリングを大切に。
・ボールを小突くように打ってはいけない(Don't jab at the ball.)

3) 「スピードがラインを決定する」を理解する
 これは「逆は真」ではない。3パットの多くはラインのせいではなく、スピードの間違いが原因である。

【グリップ】

逆オーヴァラップ・グリップで、両手親指が地面を指す。このグリップは左手をターゲット・ラインに沿って伸ばすことを可能にしてくれる。

どのグリップであれ、パターは軽く握ること。誰かがあなたの手からパターを引き抜くことが出来る程度。固く握ると、ストロークするのでなくヒットすることになる。

【スタンス】

肩幅で立つ。これより広い巾だと身体が強ばってしまう。

[Ben--Side View]

【ボール・ポジション】

ボールは左足踵の前方。ボールが後ろだと、小突くようなヒッティングになる。

ボールと身体の間隔:ボールは普通目の下と云われるが、もっと遠くに置く(イラスト参照)。間隔が近過ぎると手首を使ったストロークになり易い。腕が肩からブラ下がる状態でアドレスする。ボールを身体から離した場合、腕と肩が一体となって動き、スムーズなスウィングを作り出す。

【ストローク】

スムーズに加速した場合はインパクトでスクウェアになるが、短く急激なバック・スウィングで、インパクトでスローダウンするようなストロークは、ターゲット・ラインにスクウェアにならないことが多い。常に同じテンポでストロークする。距離はバック・スウィングの長さで調節する。

リスト・ストローク(手首を使ってパチンと弾く)の名手もいるが、このモーションは複雑で難しい。手、腕、肩が一体となって動くアーム・ストロークは、よりシンプルである。

[Ben's Putting]

パターをバック・スウィングで押し、フォワード・スウィングで引く(I push the putter back, and pull it through.)。これが究極のテンポである(編者註:「バック・スウィングで押す」のは左手にしか出来ず、「フォワード・スウィングで引く」というのも、これまた左手にしか出来ません。故に、Ben Crenshawのメソッドは左手主導としか考えられないことになります。またBen Crenshawは特に強調していませんが、見る限り彼の左手とパターが終始一直線となって動くのが特徴です。アニメ参照)

云うまでもないが、ヘッドアップしないこと。

【ロングパット】

25フィートを超えるパットは、ホールの周りに大きな的を思い描く。アプローチ・パットのスピードが適切でないと、距離の長いパットを残すことになる。スピードが合っていれば、方向は少しズレてもかなり近い距離が残る。

【ショートパット】

直感を信じること。集中すること。

【グリーンを読む】

・スピードを先に読む。
・水(池など)のある方向に切れる。
・隆起したグリーンは固くて早い。
・低く設置されたグリーンは柔らかく、遅い。
・バミューダ・グリーンは芝目を読むこと。
・常にホールの高い方(プロ・サイド)を狙う。
・自分の判断を信じること」

【おことわり】画像はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/にリンクして表示させて頂いています。


(August 20, 1999、改訂January 04, 2019)


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