'The Art and Science of Putting'
by Rik DeGunther (Masters Press, 1996, $14.95)
「ラウンド中、意図的にクラブの特性を調整(あるいは他の手段)によって変更することは出来ない。【Rule 4-2】
「怒り狂ってクラブ(パター)を木に叩きつけ変形させたとすると、再使用の前にルールを満足させるまで原形に戻さなくてはならない。それが不可能な場合、そのクラブ(パター)は使用出来ないし、他のクラブ(パター)と取り替えることも出来ない。取り替えられるのは、“たまたま”損傷した時だけである。
ラウンド前に鉛テープを貼り付けるのはいいが、ラウンド中に付けたり剥がしたりすることは許されない」
'Smart Golf'
by Hale Irwin with R. McMillan and J. Hartley (HarperCollins Publishers, 1999, $24.00)
「ルールは罰打をくれるだけではなく、救済法も教えてくれる。
例:赤杭あるいは赤い線で示されるラテラル・ウォーター・ハザード区域へ打ったとしよう。スマートなゴルファーは彼が選択出来るオプションを知っている。
a. 元の場所から打ち直す。
b. ハザードの端を横切った地点の2クラブ・レングス以内にドロップ。
c. ハザードのどちらか一方の側にドロップ。
この最後のオプションは黄色杭あるいは黄色い線で示される単なるウォーター・ハザードには無いオプションである。
【編註】上記(c)についてはJGAの「ゴルフ規則裁定集」26-1/14(http://www.jga.or.jp/jga/html/rules/decisions/rule26/IT26_10.html#26-1/14)を参照されたい。
(b)のオプションを選択したとしよう。邪魔物無しでグリーンを狙えるなら、チップ・インのチャンスもあり得る。そのためにはライが良くなければならない。ドロップ地域の傾斜が急であるとすると、スマートなゴルファーは災いを福に転ずる。ドロップしたボールがハザードに転がる、ホールに近づく、2クラブ・レングス以上になるというような場合、再ドロップし、同じ結果ならボールをプレースすることになる。注意深くプレースすることによって、いいライからグリーンを狙える可能性が生まれるわけだ。
'On caddie advice'
by Editors of 'Golf Digest Woman' ('Golf Digest Woman,' April 1999)
「ショットの前に他のプレイヤーにクラブ選択について聞いた場合、ストローク・プレイで2ペナ、マッチ・プレイではそのホールの負けとなる。助言を与えた場合も同じ【Rule 8】。
しかし、Rule 8は全ての質問を拒むわけではない。競争相手に対してであっても、常設物(ハザード等)からグリーンへの距離を聞くとか、ピンの位置が前面か背面かを聞くことは構わない。あなたのボールは常設物ではないので、ボールからグリーンへの距離を聞くのはルール違反。
ホールの長さを聞くのはいいが、どうプレイするかを聞いてはいけないし、教えてもいけない。どちらにも同じペナルティが課せられる。
キャディを共有する場合、キャディが知っている情報は何を聞いても構わないので、キャディを共有する同伴競技者の使用クラブを聞くことも許される」
'Mind Over golf'
by Dr. Dick Coop with Bill fields (Macmillan, 1993, $12.95)
「同伴競技者のクラブ選択を知るために、彼のバッグを覗くのはルール違反ではない。ヴェテランのプロは3Wと4Wのヘッドカヴァーを取り替えて、同伴競技者を欺いたりしたものだ」
【おことわり】画像はhttps://www.thoughtco.com/にリンクして表示させて頂いています。
(August 01, 1999、増補May 29, 2015)
「自己催眠」で御紹介したDr. Bee Epstein-Shepherdが、いくつかオーディオ・テープも制作・販売しています。そのうちの一つが私の欠点である集中心養成に役立ちそうでした。
'Maintaining Focus & Concentration'
(Side B: Mind over Putter)
by Dr Bee Epstein-Shepherd (Distributed by the author, 1996, $15.00)
Dr. Bee Epstein-Shepherdの声は、何やら魔法使いのお婆さんか、水晶球占いのジプシーみたいで、そういうのが好きな人には雰囲気が出ていると云えます。しかし、ゴルフというテーマからするとちと妙な取り合わせです:-)。
P3では"Trigger gesture"(引き金となる仕草)が設定されていて、コース上で自分で“引き金”を引く必要がありました。こちらは白いボールを見、クラブのグリップを握ると、自動的に心の焦点が狭められ、集中するようになるのだそうです。「白いボール」と限定されているので、カラー・ボールや緑や茶色に汚れたボールは駄目みたい:-)。P3に慣れてしまうと、自分できっかけを作る引き金が無いのは寂しい気がします。
ショット毎に"concentration"と呟くのをやってみて、結構役に立っていたと思ったのですが、どうもモノの本を読むと違います。
'The Golfing Mind'
by Robert Brown, Ph.D. (Lyons & Burford, Publishers, 1994, $22.95)
「集中しよう」と自分に語りかけるのは、実行しようとする事柄にではなく集中しようとする想念に意識を集中する。集中というのは受動的なものであって、何かを起こすものではない」
'The New Golf Mind'
by Dr. Gary Wiren and Richard Coop with Larry Sheehan (Simon & Schuster, Inc., 1978, $9.00)
「有名な話。Joyce Wethered(ジョイス・ウェザード)がSt. Andrews(セント・アンドリュース)でマッチ・プレイを闘っていた時のこと。彼女はNo.16グリーンで重要なパー・パットに臨んでいた。ここは鉄道線路の傍である。彼女のストロークの最中に列車が轟々と通過したが、彼女はパットを沈めた。後で、『列車が邪魔じゃなかったか?』と聞かれた彼女、『どの列車?』と云った。この話に感銘を受けたあるクラブ・プロがいて、Northwest Open(ノースウェスト・オープン)のNo.1ティーに立った。近くのポートランド国際空港を離陸しようとするジェット機の音が聞こえた。アドレスした時、ジェット機が頭上を通過。彼は『どの飛行機?どの飛行機?』と考えつつスウィングした。ボールは40ヤード右へ低空飛行した。教訓:集中せよと自分に語りかけても集中は不可能。
集中に役立つのは、ショットの前30秒にはお喋りや他のどうでもいいことを止めることだ。
囲碁、将棋、チェスなどのプレイヤーは、時計を進めて集中した後一手指し、時計を止めくつろぎ、自分の番が来たらまた時計を進めて集中する。ゴルファーに必要なのもこのイメージだ」
(Aug 03, 1999)
プエルトリコ(カリブ海)在住のけいさんからドミニカ・ゴルフ・ツァーのリポートをお寄せ頂きました。想像するだけで鳥肌が立つような、暑中お見舞いの一編。お楽しみ下さい。
お隣の国ドミニカ共和国のリゾート、Casa de Campo(カサ・デ・カンポ)に行ってきましたので簡単に紹介致します。
ドミニカ共和国は、キューバの東に位置する、カリブ海の島国で国の西側がハイチ、東側がドミニカです。カリブ海では、当地プエルトリコ、トリニダッドトバコに次いで、裕福な国と言われていますが、プエルトリコでさえ、平均世帯所得が$27,000.00前後ですので、ゴルフはもっぱら観光目的になります。ゴルフではプロは知りませんが、サミー・ソーサ(シカゴカブス)の出身国です。
街中を走ると、窓にガラスのない家や、バナナの木の皮で屋根を葺いた家などが目立ちます。
Casa de Campoはドミニカの東南海岸に作られた、滞在型リゾートで、中に3つのゴルフコース(但し、1つは会員制)があり、レストランも色々な種類が豊富に揃っています。ゴルフ場の一角に飛行場まで作ってしまったと言う代物です。
ここSan Juanから飛行機で1時間。金曜日の夜出発で、日曜日午後便で帰国。(尚、マイアミからジェット便が飛んでます)
2人1部屋使用、朝食-昼食-夕食各2回、ゴルフ3ラウンド、飛行機代、全て込みで$500.00少しと破格の値段。
コースは有名なTeeth of the DogとLinksがあり、Linksはこれと言った特徴のないものでしたが、Teeth of the DogはPete Dye(ピート・ダイ)設計。通常Pete Dyeと言えば“人工的設計”、“鉄道枕木で囲まれ、池に突き出たグリーン”を思い出しますが、このコースは自然の地形を十分に活かしています。
White 6,057 yards、70.1、Slope 129でPlayしました。Blue 6,888 yards、74.1、Slope 140は、見た限りSingle Hdcpの人でないと楽しめないと思います。
Teeth of the Dogは名の通り、18ホール中7ホールは、犬歯の如く、海岸線上にTeeとGreenが突き出ているタフなもの。その7ホール中3ホールはパー3で、グリーンに乗らないと、見事に海です。
#5 Par 3 - 139 yard 左、手前、奥が海。左(海)から横風がきつく、グリーンが縦長で 非常にタフ。
#7 Par 3 - 120 yard 左、手前が海。当日は165 yard付近にTeeがありました。 左(海)から横風がきついが、#5よりグリーンが大きく、右側に多少 ラフ(又はバンカー)の逃げ道がある。
#16 Par 3 - 158 yard 右、手前が海。奥はバンカーと木、左は木又はOB。右(海)からの 横風がきつく、グリーンが横長なので、えいやーと目を瞑るしかない。
因みに、残るPar 3も、グリーン周囲は全てバンカーです。
Teeth of the Dog1日目は、パー3で3オーバー、90゜F(32.2゜C)以上の暑さの中でしたが、快適なゴルフ、スコアー90。ゴルフ歴約12年、昨年漸く平均スコアーで90を切ったので、明日こそは80台と意気込んだ2日目は、Pete Dyeの罠に見事に陥り、パー3が10オーバーでスコアー98と惨澹たるものでした。
一方、パー5は、1つを除くと500 yards以下。しかしながら、Pete Dye設計ですので、短いなりに色々な仕掛けがあります。パー5で、無理をせずに、グリーンを攻めやすい方向で且つ、自分の得意な距離を3打目として残して、パーを纏める。そして、パー3の大叩きに備えるのが、いいのでしょうね。
キャディーを雇いませんでしたが、きっちりゴルフをしたい人はキャディー付きがいいでしょう。スタートの所でカートの近くにいると近寄って来ます。料金には含まれないので、終了後$20.00をチップとして渡す必要があります。
1年に1度は1ヶ月位閉鎖して、コースメンテナンスをやるとの話で、再開直後にプレーしましたが、コンディションは最高です。カリフォルニアや日本で、海沿いコースの経験がないので、比較できませんが、カリブの青い海と青い空(加えておいしい料理)が満喫出来る、お薦めコースのひとつです。
帰ってきてから、http://www.casadecampo.com.do/golf/にアクセスすると、コース攻略法まで書いてありました。どうして事前に調べなかったのかと、後悔先に立たず。
Microsoft Golfにもコースが登場した模様です。ゴルフゲームでじっくり研究してからプレイするのも手ですね。でも、どこかの航空機乗っ取り容疑者みたいに、シュミレーションと実際は違う!と叫ばないで下さい。
【おことわり】画像はgolfzoo.comにリンクして表示させて頂いています。
(August 08, 1999、改訂January 03, 2017)
'Tao of Golf'
by Leland T. Lewis (R&E Publishers, 1992, $9.99)
欧米では"Tao of ..."というコンピュータの本だの、スポーツの本だのが沢山出ています。Taoism(タオイズム)とは道教のことで、何故道教の教えがもて囃されるのかよく分りません。日本人には昔から染みついた教えなので、いまさらという感じがします。
「心は宝玉の如し。玉磨かざれば光無し。
あなたの心があなたの能力に疑問を抱けば、その懐疑心は端的にプレイに反映する。心がベストを期待すれば、それが反映する。
Bill(ビル)はハンデ22。70歳で、毎日のようにプレイしている。彼とプレイしていたある日のこと。No.9 (295 yard) パー4で、Billのドライヴはグリーンまで130ヤードを残した。距離を測定した後、Billは私にこう云った、『嬉しいね、お気に入りのクラブが使える。これはいつも上手く打てるんだ』私が何番のクラブか尋ねると、『6番さ』と答え、クラブを取り出しスムーズで自信に満ち溢れたスウィングをした。ボールは高く舞い上がり、ピンから4フィート(1.2m)に着地した。私はボールの軌道の高さに驚いていた。突然、Billが笑い出し、『信じられない。6番だと思ったが、逆さまに見ていた。打ったのは9番だったよ』 9番で打ったのに、プロ並の距離と方向性だった。何故か?彼はうまく打つことを期待し、グリーンに綺麗に乗ることを期待していた。そうなることに自信を持っていて、事実そうしたのだ。マインド・パワー、恐るべし」
'A Golfer's Life'
by Arnold Palmer with James Dodson (Ballantine Books, 1999, $26.95)
これはArnold Palmer(アーノルド・パーマー)が生い立ちから最近までを綴った完璧な自伝。彼はフロリダのBay Hill Club and Lodge(ベイ・ヒル)というコースのオーナーですが(出身地にも一つ持っている)、ここでは毎日'Bay Hill Shootout'というハンデを元に編成されたチームによる対抗戦を行なっているそうです。次はPalmerの回顧談。彼のキャディーはこのコースでのPalmer専属のTomcat(トムキャット)。 ずっと前の話だ。我々のチームがNo.17 (210 yard) パー3にさしかかった。ここはグリーン手前に大きな池とバンカーがある難しいホールだ。私はTomcatに「2アイアンをくれ」と云った。 |
(August 13, 1999)
'Mind Under Par'
by David F. Wright, Ph. D (Behavior Change Media, 1997, $15.96)
この本には脳の働きをX線画像にしたものが提供されています。テキサス州サンアントニオにあるBrain Imaging Center(脳撮像センター)の研究成果。被験者が右手を動かした場合と、右手を動かすことをイメージした場合の、二種類の脳の活動状況です。脳を上から1.5〜2.0mm単位で区分けし、その一部をスキャンしたもので、実際に手を動かそうが動かすまいが、脳の中では同一部分が同じように活発に準備する様が明らかに写し出されています。つまり、あるイメージを視覚化すれば、それはGoサインが出る前から既に実行可能な、準備OKの状態になっていることの証明です。
視覚化には明暗両面があります。前回の池ボチャを思い出して、その視覚化が払拭出来なければ、脳は池へのショットを準備します。梅干し(原著では“レモン”)のイメージを描きます。その梅干しを取り上げ、齧(かじ)ります。酸っぱい味が口内に染み渡ります。唾が湧いて来たでしょう。梅干しというニュートラルな存在が唾という生理学的反応をもたらすなら、失敗のイメージが神経システムに及ぼす影響も想像出来るでしょう。試しに、梅干しのことを考えるのを止めなさい。梅干しを齧って酸っぱい味を味わうのを止めなさい。梅干しの切れっぱしを舌の上で転がすのを止めなさい。どうです?また唾が湧いた筈です。「止めろ」と云われても、あなたの生理学的反応は同じです。思考のターゲットは依然として梅干しなのです。「池に入れるな」という思考が、池へのショットを導く証明です。常にポジティヴな思考・態度が、いいショットへの近道です。
Dr. Wrightが説く視覚化術向上法はいくつかありますが、どの方法でも必ず腹式呼吸を先ず実行すること。深い呼吸が神経を鎮め、脳への情報流入を制御し、焦点が合わされた集中を可能にするそうです。
1. イメージを焼き付ける
何か小さく派手な色の物体を目の高さに持ち上げ、15秒間その物体のディテールと色に注意を集中します。目を閉じ、物体の残像があることに注目します。深呼吸しながら、物体のイメージを保持します。その間、物体のディテールを復習します。
2. イメージを保持する
離れたところにある物体を見つめ、目を開けたまま壁のようなニュートラルなものへと頭を廻します。先ほどの物体のイメージをどの位長く保持出来るか試します。壁には向いているが見ているのは壁ではなく、先ほどの物体のイメージであれば成功です。
コンスタントに成功出来るようになったら、ショットする時のようにボールを両足の間に置きます。アドレスのポスチャーをとり、今度はコーラの缶のようなものを5〜10秒間見つめ、目をボールに戻します。ボールを通してコーラの缶のイメージを出来るだけ長い間保持します。これがうまく行くようになったら、次は5〜150ヤード離れた物体で練習します。ボールを通して離れた物体のイメージを5〜10秒間保持出来るようになったら、練習場やコースへ行く準備が出来たことになります。
3. 特定の明確なターゲットを定める
フェアウェイの色が変わっている地点、遠くの家の煙突、右から三番目の松の木…など。自動車を運転する場合、目的地の明確なイメージを持っている筈。どこへともなくドライヴする場合は、何も無い。特定のゴールを持っていれば、人生でもコースでもゴールに到達する成功率は高くなる。
4. 過去の成功を呼び戻す
過去のうまく打てたショットを思い起こし、頭の中でそのボールの軌道を描き、スウィングを見、感じる。
5. ショットを予告する
ボールの軌道と着地点を胸の中で説明する。画像の中で考える。これから打つショットの説明は、脳が完全に遂行する下地を作る。
この練習の間、常にターゲットに焦点を合わせ、スウィング・メカニックスは切り離すこと。ショットの説明がメカニックスに関するものだと、確実に失敗する。
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(August 15, 1999、改訂January 04, 2019)
'Tee Dance'
by George Peper ('Golf Magazine,' August 1996)
この記事は1996年に書かれたものであることを御承知おき下さい。USGAは1998年に「最近のクラブは違法なスプリング的効果がある」として調査を開始するような発言をして話題になりました。
「1996年1月にTaylor Madeから記者を対象にした、Ti Burner Bubble(タイ・バーナー・バブル)ドライヴァーを試打するラウンドへの招待状が来た。その日はドライヴァーの調子が悪く、インではBig Bertha(ビッグ・バーサ)の2Wでラウンドしてしまった。4月になって久し振りに取り出してみたら、このBubbleは火を吹き、爆発寸前だった。
USGA Executive DirectorのDavid Fay(デイヴィッド・フェイ)に電話でBubbleの素晴らしさを話したところ、
『良かったね。でもそのクラブを使ってどの位になる?』
『約一ケ月だけど、どうして?』
『一ケ月だったら丸二週間残っている。いずれにせよ、あんたも45日ルールからは逃れられないよ』
『45日ルールって、一体全体何だい?』
『"Human kinetics"(人間の運動力学)理論に基づいているんだが、つまりゴルフクラブとの蜜月を過ごせるものの、その魔法は永遠には続かないってことさ』
『もっと知りたければ…』ということでUSGA Technical DirectorのFrank Thomas(フランク・トーマス)を紹介された。Frankの云うことを要約すると、
『現在のオーヴァーサイズ・ヘッドや宇宙時代の素材、軽量シャフトなどには、殆ど技術的長所は無い。USGAはゴルファーに1ヤードでも付け加える技術に神経を尖らしているが、現在販売されているどのクラブも問題視するにあたらない。飛距離が増したとしても、それはゴルファーの能力で飛ぶだけだ。砂糖水を薬だと思い込んで病気が治るようなものさ。
ゴルファーは、友人のクラブなどを試し打ちさせて貰い、一目惚れし、$300.00以上を投げ出すまでのワクワクする婚約期間を経る。購入後、直ちに練習場へ直行する。当然ミスショットも出るわけだが、飛距離の長い強打だけが選択されて記憶される甘く幸せな結婚に突入する。この記憶が自信を生み、自信は恐れを知らぬスムーズなスウィングを生み、恐れを知らぬスムーズなスウィングは長い真っ直ぐなショットを生む。
これが永遠に続けばいいが、間違いなく自信過剰になり、有頂天でスウィングするようになるため、長く真っ直ぐなボールは長く屈曲したボールになり果てる。自信はどっかへ行ってしまい、欲求不満が芽生え、スウィングは速くなり、ショットはあちこちに飛び散る。魔法のクラブとの蜜月は45日で幕…ってわけだ』」
あれま。でも、それもゴルフの魅惑の一つでしょう。あたしゃ、少なくともあと12回はドライヴァーと“結婚”したいと思っています」
1998年の「違法クラブ」騒ぎの発端を作った人物は、上の最初の電話の相手であるUSGAのDavid Fayなのです。この記事から二年経ってみたら、オーヴァーサイズ・ドライヴァーは45日を超えても長く真っ直ぐ飛ぶことが明らかになり、突如「スプリング的効果」として違法視されるようになったのでしょうか?しかし、USGAは実際にはこの問題をお蔵入りさせ、私のような慌て者が急いでTi Bubble 2(タイ・バブル2)を買いに走ったという結果だけを招きました。1998年はゴルフ用品の売れ行きが沈滞気味だったので、USGAがクラブメーカーに協力したのではないかという憶測も可能です:-)。
(August 17, 1999)
Arkansas(アーカンソー)州にお住まいの熊丸さんからのリポートです。練習についての独特のお考えが参考になります。やはり、練習は量より質、旺盛な実験精神が必要のようです。
日時:1999年7月4日
場所:Burns Park Golf Course (North Little Rock, Arkansas)
5,830 yards (Par 71、短い)
Course rating : 69.5 (簡単。笑!)
スコア : 77
パット数: 34
真剣に練習に取り組んでから僅か2年ですが、このほどついに80を切ることが出来ました。「その日」に特別に工夫したこととか、注意したというようなことはなく、“涙のチーピン”は出る、クラブ選択の間違いはある…という、いつもと変わらないラウンドでしたが、ボールがクラブに「ぶちぃ」と張り付く感じのフェードがびしびし出たことと、ミスがあっても大叩きしなかったのが特徴でしょうか。工夫と云えば、日頃の練習で工夫していたことが、知らず知らずに身について、それが「80を切る」ことに結びついたように思えます。
【ゴルフ歴】
私が中学生1〜2年生の頃、当時家族を無視して毎週末ゴルフに行っていた私の父は、スポーツ万能の次男(私)をよく打ちっぱなしに連れて行きました。今考えれば、「家族サービスとゴルフの練習が同時にできてしまう画期的な時間の過ごし方だ!」と親父は考えていたのかもしれません(笑)。 練習といっても、要は「ボールが飛んで気持ちいいな」ってな感じでどスライスを連発していたのを覚えています。
しかし、スポーツ万能の次男(私)は中学高校大学と体育会系バスケットボール部に所属し、ゴルフなんてまったく無関心。たまに親父に練習場につれていかれても、ゴルフスイングというより、ほとんど野球打ちでした。実はスポーツ万能の次男(くどい!)は小学生の頃は熱血野球少年だったのです。親父は色々教えてくれましたが、毎回言うことが違って(笑)あまり上手くはなりませんでした。社会人になっても、会社のコンペ前に数回練習に行く程度でまったく上達せず、ベスト・スコアー115くらいでした。
3年前、アメリカに駐在を言い渡されました。赴任してすぐアイアンセットを買ったものの、忙しくゴルフなどする暇全く無し。しかし、アメリカ生活も1年たったある日、お客さんとのゴルフでボロボロになり、「スポーツ万能次男のプライド」がズタズタに引き裂かれてしまいました。これほどプライドが傷つけられたのは、小学生の頃、鉄棒ができず友達に馬鹿にされた時以来でした。そこで以下を実行しました。
1. 週4回練習(下記)
2. 週1ラウンド
3. 毎日The Golf Channelを最低2時間は見て、化粧の濃い(蝋人形のような)TVキャスターのピーター・ケスラーを拝む。
その結果、練習開始後2ヶ月で100切り、1年でAve 95、2年でAve 90、最近はAve 88位と上達しています。
【練習】
本格的に練習を始めたときは、以下のことに気を付けていました。
1. ボールの位置
「ショートアイアンは体の真ん中。ミドルは真ん中よりちょっと前。ロングアイアンと、フェアウェーウッドは左踵からボール一個分内側。ドライバーは左踵」…このような一般的なことはゴルフ教本に書いてありますが、じゃあミドルアイアンを打つとき、ボールを左踵に置いたらどうなるんだろう?ドライバーで打つ時ボールを左踵からもっと内側に入れたらどうなる?と色々疑問を持ち、試してみました。そうするとボールの位置によってボールの飛び方が変わっているではないですか!(笑)当たり前といえば当たり前なのですが当時はそりゃー大発見でしたよ(笑)。ゴルフ教本には、「ボールの位置はここです」って書いてありますが、状況によってはその位置は変わるものだと思います。どのクラブで打つとき、ボールの位置が何処だとボールは何処に行くかを知ることが大切だと思います。
2. クラブフェース
これは1の続きなのですが、ボールの位置を色々変えると、とんでもないボールになったりします。たとえば隣のコースのグリーンを捉えるボールとか(笑)。ここでクラブフェースを色々変えてみました(例えばボールを真ん中より若干右に置いてフェースを被せて打ってみたり...)。フェースを変えることにより、ボールはまた違う飛び方を見せます。これも色々試しました。
3. グリップ
ストロンググリップやウイークグリップはあまり考えたことありません。グリップ1つだけ主義(何じゃそりゃ)を信じています。セットアップ時のグリップでインパクト時のフェースの向きを調整するのは難しいと思います。(どのくらいストロングにしたらフェースがどのくらい閉じるか)セットアップの時クラブフェースの向きを変えて、いつも通り振るだけ。バンカーショットでクラブフェースを開いて打ちますよね。でも誰も「グリップをウイークにして...」なんて事は言いません。初めからクラブフェースを開いてクラブを握れば良いのですから(セットアップの時に、グリップをウイークにしたりストロングにしたりすると、スイングするときに違和感ありまくりです)。
4. タイミング
タイミングを取るのに、チャーシューメンとか、エーデルワァーイスとか、いち、にで打てとか色々言われているようですが(笑)、そんな事はあまり役に立たないような気がします。要は、クラブを振る時にクラブの「しなり」をどれだけコントロールできるかだと思います。これは当然シャフトの特性にもよると思います。バックスイングが速すぎる人がいますが、「そんなに速く上げて自分のクラブがどうなっているが分かってんの?」と聞きたいものです。それと、巷の人々はどうして硬いシャフト=ゴルフが上手いと思うのでしょうか?スイングスピードが遅い人が硬いシャフトを使うと、当然しなりを感じることができません。しなりが感じれないからスイングのタイミングが掴めない...。あるゴルフ雑誌には、「硬いシャフトを使った方が方向性はよい」と書いてましたが??です。しなりを感じる範囲で硬めのシャフトが、方向性が良いというのなら、まだ分かるような気がします。話は練習からそれまくってますが、要は、「クラブのしなりを感じながら振る」ことを心がけました。その為にクラブも全部スティッフからレギュラーに変えました。
5. インサイド・アウト
私は、かなり立派な(?)スライサーだったので、スイングがインサイド・アウトになるように心がけました。自分で「こりゃ、やりすぎだろう」と思っても実際はそうでもなかったりして...。これは色々試して、「この位だとやりすぎ」というポイントを見つけるしかないような気がします。
6. インテンショナル・フック(ドロー)& スライス(フェード)
5の延長線上にこの6があったような気がします。インサイド・アウトを続けていると当然フックの嵐になります(笑)。こうなると本当にフックが恐くなる。そこで、わざとアウトサイド・インでスライスを打ってみる。これが結構うまく打てるようになると、10発ドローを打って10発フェードを打つ練習を始める(ドロー、フェードといいながら、チーピンやどスライスだったりする。しかし曲がる方向が合ってればOK。曲がり具合のコントロールは目下の課題)。これで打った瞬間球がどう行くか分かるようになれば、かなりボールコントロール出来てきた証拠。この練習を始めた頃、3 Woodで打ち分けの練習してました。3 Woodが一番曲がりが大きいような気がします(長いクラブほど曲がりも大きいのでドライバーがこの練習には適しているのかも知れませんが、あまり長いとジャストミートしないし、ティーアップするのが面倒でした(笑))。
7. ショートゲーム
最近、Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)の'Short Game Bible'買いました!(笑)。でもまだちゃんと読んでません。高野さんのホームページに書いてあった3x4 Systemとか言うやつを試してみましたが、結構よかったです。なんとなく感覚で打つよりかなりマシかと。しかし、ゴルフの楽しみの一つは「ボールが遠くに飛ぶ」事で、このショートゲームはその点つまらないですね。でも良いスコアーを出す楽しみを満足させる為には、ショートゲームの上達が必須なのは分かっているので、ぼちぼち練習してます(ショートゲーム30%:ロングゲーム70%位。本来逆であるべきだと思いますが)。パターの練習は、家でPelz Truthboardを愛用してます!(水準器がついててボードが常にフラットにできる。ボールの位置の背後に鏡がついており、目線をボールの上にセットできる代物)。あと、手・腕は固定して肩を回して打つように心がけてます。ロングパットの際だけはオープン・スタンスで打ってます。なんとなくその方が距離感が合う感じがします。さすがにロングパットの練習は、家ではできないのでプレイ前後にコース付属のパッティング練習場で練習してます。そうそう、私が行っている打ちっぱなしにはバンカーもあるので、バンカーショットの練習をよくします。私は結構バンカーショット得意です。バンカーショットはちょっと練習するだけで上手くなるので練習しがいがあります(笑)。砂の取り方を色々変えて距離を調整したり、砂への進入角を変えてみたり...。
いやいや相当長くなりましたが、まとめると…
「練習で色々試してみる」
これが、あらゆるスポーツの練習の基本だと思います。
(August 23, 1999)
'Golf: The Mind Game'
by Marlin M. Mackenzie, Ed.D. with Ken Denlinger (Dell Publishing, 1990, $12.90)
この本の著者は、読者の過去最高のショットの詳細、感覚、その時の環境を調べることを「あなたはシャーロック・ホームズ」と定義します。探偵の天眼鏡、聴音器などを使うようにして、こと細かに思い出す必要があります。最高のものが見つかったら、それを保持しつつ身体の一部を指でしばらく押し続けます。コースで、同じ動作をすることによって、最高のショットをした自信、満足感、爽快感が蘇り、目の前のショットに引き継がれます。(これはP3シリーズと同じメソッドです)
「コースのコンディションがあなたに影響するだけなく、あなたの心を占領しているものも影響する。仕事、学校、家族、交友関係等。いかなるゴルファーにとっても、スウィングの際に何も考えないというのは不可能に近い。目の前のショットに専念するには、集中、自信、心と身体の一体感が必要。集中というのは逆説的であって、集中しようと考えない場合に集中出来る。
多くのゴルファーは、ボールをセットしてからスウィングする間中、頭の中で自分を指導する悪い習慣を作り上げる。ボールをセットする前ならいいが、スウィングの最中では、それでなくても複雑なゴルフ・スウィングのメンタルな調整に混乱を引き起こす。誰かがスウィングする間、あなたは喋ったりしますか?自分に対しても静かにすべきである。こういう内面の声を黙らせるには、音楽をハミングする方法が有効。人によって、『ベートーヴェンの第五交響曲』だったり、『ニュー・オーリンズの闘い』だったりする。ソフトなラヴ・ソングをアプローチ・ショットに、ドライヴァーにはスーザの行進曲がいいかも知れない。
あなたにぴったりの音楽を探すには、家で安楽椅子に座り、あなたの過去最高のショットを思い浮かべ、そのショットのリズムとパワーを注意深く調べる。それにマッチする心地よい音楽を聞く。既に何か悲しい個人的思い出などと結びついている音楽はいけない。ゴルフとも無関係なものを選ぶ。
プロ達が最も効果的であるとするのは、フリーで"effortless"な(努力しているように見えない)スウィングである。これを実現するには、人生で(ゴルフに無関係で)本当にフリーだった時間を思い出す。ボールをセットし、クラブを握ったまま、両手に先程のフリーだった場面を投影する(両手がTV画面になったように、その上にイメージを重ねる)。そのままスウィングに入る。この練習を数週間続ける。全てのクラブを使う。常に"effortless"なスウィングが出来るようになったら、イメージの投影は忘れてよい。身体が緊張していると感じられたら、意識的に投影を再実行する。
自分の経験であるが、インパクトでのスウィング・スピードを上げようとすると、腕は緊張しスウィングを急ぎ、トップから打ちに行ってしまう。望んだもの(パワーと飛距離)は失われる。しかし、ボールの後ろをクラブがヒットするところを見ようと集中した場合、スウィングは満足出来るものとなり、かなりのパワーを生み出す。
数名のプロが、彼等はショート・ゲームとパッティングのスウィングを、バック・スウィングの長さで調整していると語った。しかしながら、彼等のプレイを見ていても、バック・スウィングとパットのスピードには何ら関係が無い。彼等は長いパットではパターを長くバックさせていると思っているが、実際にはやっていないのだ。これを彼等にぶつけてみたところ、グリップの強さ、インパクトでのターゲット側の脚の緊張、フォワード・ストロークでの力加減、こういったものがクラブヘッドのスピード(=ボールのスピード)を決定していることに彼等は改めて気がついた。
注意深く検討すると、大半のボギー、ダブルボギー、バーディ・パットの失敗等は、“しなきゃ族”によって引き起こされている。誰しも「乗せなきゃ」、「寄せなきゃ」、「入れなきゃ」、「パーをとらなきゃ」、「バーディとらなきゃ」など、“しなきゃ族”になり易い。これらの「…しなきゃ」(should、must、need to、got to、have to)群は「…したい」(want to)に置き換えるべきである。同時に、「こうこういう理由で、こうしたい」と理由も付ける。理由は期待とアクションへの責任を明確にする。以上の結果、エネルギー源と実行の動機、双方を解き放つことになる。
【実習】
・あなたの身近なことで「…しなきゃ」と云いなさい(例:皿を洗う、車を洗う、掃除機をかける、家計簿を付ける、誰々さんに手紙を書く)。云った瞬間の身体の中の肉体的刺激(反応)に注意しなさい。
・次に、同じ文句を「…したい」に置き換えて云いなさい。再び身体の肉体的刺激を感じ取る。二つを比較し、違いに注目しなさい。
違いが分りましたか?これを忠実に二週間続ければ、あなたとあなたの人生は別物になること請け合いです」
(August 25, 1999)
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