'Breaking 90--Make it a habit'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' June 2000)
「調和の取れたフル・スウィングをするには、バック・スウィングの完了を明確にすることだ。トップでやや“間(ま)”があるように感じられる位に…。視覚的には、誰も“間”があるとは気づかないだろう。しかし、あなたの心の中では、ダウンスウィングを開始する前に到達するポイントがあるかのように感じるべきだ。
多くのゴルファーは、そのポイントに到達せず、準備が整う前にダウンスウィングを始めてしまう。結果として、こういう人々のリズムと姿勢は調子が狂ってしまう。
ワインドアップを完了させ、“間”を感じなさい。そうすれば、スムーズにうまくダウンを開始することが出来る」
これでButch Harmon(ブッチ・ハーモン)もトップの間を奨励すると完璧なのですが、無理でしょうね。彼がいいと思えば、Tigerもやってるでしょうから:-)。
【参照】
・「Tommy Armourのトップの間(ま)」(tips_4.html)
・「“トップの間(ま)”賛否両論」(tips_2.html)
・「積極的躊躇」(tips_2.html)
・「“トップの間(ま)”検事側の証人」(tips_25.html)
・「トップの間(ま)の正体」(tips_82.html)
(May 18, 2000)
ドライヴァーは人によって300ヤード以上飛ぶそうですから、まあ、ドライヴァーの場合は∞(無限遠)を期待してもいいのかも知れません。しかし、フェアウェイ・ウッドやアイアンはグリーンとピンを狙うものであり、出来るだけ遠く(∞)である筈はありません。クラブのロフトと自分のスウィングで距離が定まっているべきものです。
しかし、時としてそう簡単にコトが運びません。練習場で5番アイアンを打っていた時のことですが、スウィングのトップで自分の歯ぎしりが聞こえました。5番アイアンで歯ぎしりまでして、一体何ヤード飛ばそうというのでしょう?我ながら呆れます。ここ何十年、私の5番アイアンは平均150ヤードでした。大体、体型からしてパワー・ヒッターではないことを自覚していましたから、飛ばすことより9番アイアンで110ヤード、7番アイアンで130ヤード、5番アイアンで150ヤード…という、自分なりのキッチリした飛距離になっていることで満足していました。
それがここへ来て「マジック・コック」、「レイト・ヒット」、「フル・フィニッシュ」等によって飛距離が増えてみると、「もっと」、「もっと」となってしまう。欲望に際限がありません。しかし、どのアイアンでも∞を狙ったのでは収拾がつきません。それぞれ、クラブの分(ぶん)に応じた飛距離に留まるべきものです。
目一杯打つ一番の弊害はバック・スウィングで力んでしまうこと。これは最悪です。リズムを狂わすだけで、何の得にもなりません。
私が好調の場合、力まずにゆっくり振り上げ、頭の横移動を出来る限り少なくして(移動しないわけではない)、トップで十分に左腕を伸ばし、“間(ま)”を置いて、ハンマー投げのイメージで振り抜く。これですと、スウィート・スポットを打った“無抵抗の手応え”が得られ、期待通りの軌道となります。このとき、∞への欲望はかなり抑制されていて、いい手応えといい軌道だけで満足します。上のようなメカニクス(手順)をいいリズムで完遂することが使命と云えると思います。
【参考】「神の手ショット」(tips_193.html)
(May 18, 2000)
英国の高名なインストラクターJohn Jacobs(ジョン・ジェイコブズ)の「レイト・ヒットは忘れよ」というショッキングな証言。
'Practical Golf'
by John Jacobs with Ken Bowden (The Lyons Press, 1972, $13.76)
「ハイスピード・キャメラが開発されるまで、ゴルフ用語に“レイト・ヒット”などという言葉は存在しなかった。初期の名人達も、書物やレッスンでそれに類することを言及したことはない。
ある瞬間までクラブの動きを意図的に止めるなどというのは、真のスウィングの動きを妨げるものである。“レイト・ヒット”は反射的アクションである筈だ。即ち、他のアクションや相互作用の結果であり、全体の動きの自然な一部分である。人工的に心や筋肉を用いて発生するものではない。
“レイト・ヒット”へのわざとらしい努力は意図したこと--クラブヘッド・スピードを増す--の逆、即ちクラブヘッド・スピードを妨げることになるだろう。
ゴルフ本の著者達は、持って生まれた素晴らしく自然で意識せずにコントロール出来る手と手首のアクションの所有者である。彼等は子供の頃から日々練習とラウンドを重ねて成長したのである。彼等の手と手首は強力で生き生きとしており、身体の動きをバラバラに動かそうとするのはショットを破壊することになるほどだ。こういうわけで、いいプレイヤーは感覚としては両手、両手首、両腕を遅らせようとするが、実際にそうやっているわけではない。写真で見る“レイト・ヒット”は、両手、両手首、両腕の動きをわざと抑制するというより、総体的な身体のアクションの作用である。
偉大なプレイヤーによるゴルフ本は、彼等が所有する80%の核心(エンジン部分)について書かれていない。彼等が新たに発見した20%について書かれているのが普通だ。彼等が書く本も、彼等と同じような自然の能力を持った読者には有効だ。大抵のゴルファーの間違いは、自分も本の著者と同じ能力を持っていると想定することだ。もしそのような能力が無ければ(無いのが普通だが)、著者は読者の理解を超えた地点からスタートしていると云わねばならない。
そういう理由で、トップ・プレイヤー達の本のタイトルは"How To Play Golf"でなく、"How I Play Golf"であるべきだと私は思う。フックを恐れる偉大なゴルファー達が、生まれつきのスライサー軍団にフック矯正法を説くというのは滑稽である。まあ、だからこそ私のようなスウィング・コーチという商売も永遠に続くわけだが。
大方の人々にとって、意図的な“レイト・ヒット”の試みは、クラブヘッドがボールに接するスピードを間違いなく落とし、飛距離とショットの“威光”も減じてしまう。大事なのは“レイト・ヒット”を意識する考えを止め、クラブを自由に、流れるように、出来るだけ速く振ることである」
(May 23, 2000、改訂May 30,2015)
伝説的インストラクターHavey Penick(ハーヴィ・ピニック)から飛距離減に悩むシニアと女性への助言。
'The Game for a Lifetime'
by Harvey Penick with Bud Shrake (Simon & Schuster, 1996, $10.00)
歳をとってアイアンの飛距離は落ちても、クラブ毎の飛距離の差は一定であるべきである。ところが、どのクラブも似たような飛距離になって来たとしたら、これは問題だ。
この症状は特に女性、そして筋肉が衰えだしたシニア・ゴルファーに見られるものである。彼らは、ロフトを活かすだけ十分にボールを強打出来ないレヴェルに落ちつつある。云ってみれば、鉄の塊でゴン!とやっているに過ぎない。これが4アイアンも8アイアンも同じような距離になる理由である。
毎日、数分のストレッチングをお勧めする。毎晩五分ストレッチングし、続けて重さを足したクラブを何度か振れば、数週間で見違えるほどクラブヘッド・スピードがつく筈だ。
ゴルフの筋肉は金では買えない。重いクラブを振るのは最良の方法というだけでなく、私が知っている唯一確実に成功する方法だ」
'From The Hip'
by Lorne Rubenstein ('Sinior Golfer,' June 2000)
「Johnny Miller(ジョニイ・ミラー)はアイデアの塊だ。シニア・ゴルファーがもっとパワフルになるにはどうすればいいかを彼に聞いたところ、その答えは予想外のものだった。
『よりパワーを得る最良の方法の一つは、野球のバットを振ること。これは素晴らしい練習だ。Michael Jordan(マイケル・ジョーダン)は私より常に10ヤード短いドライヴをしていた。その後、彼は一年間野球をやり、いまや彼のドライヴは私より30〜40ヤード長くなった。野球のボールを打ったおかげだ』」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(May 23, 2000)
「リズム」と「テンポ」は往々にして混同されます。「ワルツのリズム」という云い方があり、『広辞苑』では「律動」、「詩の韻律」、「音楽で、音の強弱が周期的に繰り返される構造。節奏。拍子」という風に定義されているので、ゴルフの場合、スウィングを1・2の二拍子(2/4)でするか1・2・3の三拍子(3/4)にするかなどが「リズム」でしょう。この場合、遅い、速いは関係ありません。
遅い、速いを決めるのはテンポ。同じベートヴェンの『運命』でも、指揮者によって速度が違います。イタリアの指揮者Toscanini(トスカニーニ、速い)が振ったのとドイツのFurtwängler(フルトヴェングラー、遅い)が振ったのでは、全所要時間が数分も違ったそうです。「テンポは人それぞれが持って生まれた固有の速度」というのが定説です。歩く時の速度、喋る速度、運転の速度…これらが早めの人はゴルフ・スウィングも早めであり(例:Nick Price)、遅めの人はゆったりとスウィングします(例:Ernie Els)。
Se Ri Pak(朴セリ):「ゴルフ・スウィングの秘訣はテンポとリズム。LPGA最小スコア記録の61で廻った時に何を考えていたかというと、完璧なテンポ、完璧なリズム。スウィングが完璧でもテンポが良くなければ、何の足しにもならない」
Hale Irwin(ヘイル・アーウィン):「私はどのレヴェルのゴルファーにも、テンポを第一に考えよと云う。バック・スウィングからダウン・スウィングへのスムーズな推移が重要。スウィング・キイは諸々あるが、テンポはそれら全ての面倒を見ることが可能ほど大切な要素だ。二つ以上のスウィング・キイを持ってはいけない。テンポと何かあと一つ。あるいはテンポだけ」
Hale Irwinの言葉は「スウィングの速さだけに注意しろ」と云っているように聞こえます。多分、言葉の定義が混乱しているのでしょう。「バック・スウィングからダウン・スウィングへのスムーズな推移が重要」というのは、テイクアウェイはゆっくりでも、ダウンになると急に速く、荒っぽいスピードになることを指しているのでしょうが、これにはテンポだけではなくリズムも影響していると思われます。
もし「テンポは人それぞれが持って生まれた固有の速度」という定説が正しければ、我々に出来るのは他のゴルファーのテンポに引き摺られたりせず、自分固有のテンポを維持することだけです。
次はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のリズム、テンポとタイミング。
'Golf My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Simon & Schuster, 1974, $14.00)
「“テンポ”はスウィングの総体的ペースを意味する。フォワード・プレスからフォロースルーまでの経過時間とスウィング速度の度合いである。
“リズム”はスウィングの特質である。全体のペースの中の速度の変化と云える。
“タイミング”は個々の動きが一緒に流れる状態である(Tempo + Rhythm = Timing)。
リズムが良ければ、スウィングの全てのメカニカルな部分は融合する。
頭の中で『遅いバック、速いダウン』、あるいは『遅いバック、遅いダウン』と念じた時、それはアクションを強制することになり、先ず間違いなくリズムを壊すだろう。
きつ過ぎるグリップは荒っぽいスウィングへの招待状である。それはテンポとリズムを破壊する。クラブを絞め殺そうと思ってはいけない。
両腕にスウィングをリードさせないように。両腕は眼の次に敏捷かつ独立的動きをする部品である。両腕の犯罪行為は、しばしばリズムの破滅的変化を強いることだ。(肩や上体でなく)両腕がクラブをバックさせた場合、電光石火の速度でバックさせようとする。両腕がテイクアウェイをリードすると、ダウンでもリードしようとする(しかも可能な限り速く)。
『バックスウィングを完了させる』は、適切なテンポと調和のとれたリズムを形成するいい方法だ。バックスウィングの進行中、私は両手、両腕を引くクラブヘッドの重みを感じるのを好む。ダウンの最初では、私の両脚と腰が両腕・両手を引っ張り落とす間、遅れる(抵抗する)クラブヘッドの重みを感じるのが好きだ。私がこれらの感覚の到来を待てるようであれば、適切なテンポでスウィング出来るのは確実となる。
テンポを改良し、リズムをスムーズにし、バランスも良くするいい方法は、足をくっつけてスウィングすることだ。最初はボール無しで、ミドル・アイアンを前後に振る。次第にスウィングを大きくし、最後にボールを打つ。50球も打てば、テンポとリズムに驚くべき変化が出るだろう」
次のは「マジック・コック」のインストラクターJoe Dante(ジョー・ダンテ)。
'Four Magic Moves'
by Joe Dante with Len Elliott (Doubleday, 1995, $12.95)
「いいゴルファーのスウィングを映画フィルムで撮影すると、バック・スウィングはダウン・スウィングの長さの二倍かかっていることが判る。この2:1の割合がスウィングのリズムである。スウィングの所要時間(テンポ)は人それぞれで変る。しかし、2:1という割合(リズム)は変らない。いいゴルファーでは、クラブによってリズムが変るということはない。8アイアンからドライヴァーまで、割合は全て同じである。同じ人であれば、テンポも変らない。
下手なゴルファーだと、そうした確立されたリズムというものがない。クラブ毎に違うリズムになったり、同じクラブなのに違うリズムで打ったりする」
最後にクラシック・スウィングを自称するErnie Els(アーニィ・エルス)。
'How to Build a Classic Golf Swing'
by Ernie Els with Steve Newell (HarperCollins, 1996, $27.50)
「いいリズムは、ゴルフコースでのあらゆるトラブルを回避させてくれ、また、ひどいショットをそこそこのショットに変えてくれる。
ラウンドの最中にリズムを取り戻す方法:クラブを逆さに持って素振りする。通常ボールがある位置でヒューッという音がするようにスウィングする。何回か繰り返した後、クラブを普通に持って、ゆったりと前後に振る。直ちにクラブヘッドの重みが感じられ、自分のスウィング・ペースも意識される筈だ。これがリズムを取り戻す鍵である」
(June 04, 2000、増補May 30, 2015)
先ずSam Snead(サム・スニード)のリズム。
'The Game I Love'
by Sam Snead with Fran Pirozzolo (Ballantine Books, 1997, $18.95)
「フィギュア・スケートを見たことがあるだろうか?音楽が変ると、スケーターは直ちにビートに乗る。私もラウド・スピーカーで音楽を鳴らしながらゴルフが出来たらいいと思う。そこにリズムとタイミングが関わって来る。"One, two, three..."と。私のスウィングはスローに振り上げ、ダウンもスローにスタートする。次第にスピードを増し、インパクトでパン!と爆発する。"One, two, three..."という風だ。あなたに必要なのはゆっくりした何か、ワルツのようなものだ。もう若い世代はワルツなぞ知らないだろうが」
JazzミュージシャンのJulian(ジュリアン)と話しました。
彼に云わせると、「音楽の場合、リズムは音符によって規定されている。3/4拍子とか2/4拍子とかは、一小節を形成する音符の組み合わせに過ぎない」
しかし、『広辞苑』の「リズム」の定義:「律動。詩の韻律。音楽で、音の強弱が周期的に繰り返される構造。節奏。拍子」を前提にすれば、音楽では音符の組み合わせ(拍子)が決まれば自動的にアクセントが決まります。ワルツであればズンチャッチャ、ズンチャッチャと頭の“ズン”にアクセントがあるように。しかし、ゴルフの場合、3/4拍子だとしても最初の一拍にアクセントはありません。あったら、それは乱暴なスウィングになります。アクセントは最後の一拍、つまりインパクト前後のヒッティング・エリアにある筈です。こういう意味では同じ言葉を使っていても音楽とゴルフは完全には一緒くたには出来ません。
Julianは音楽の個人教授もしています。「生徒に新しい課題曲を与えると、サキソフォンを演奏する指が強ばってリズムもテンポも滅茶苦茶になる」
英国のインストラクターJohn Jacobs(ジョン・ジェイコブズ)が語るSam Sneadの秘密。
'50 Greatest Golf Lessons of the Century'
by John Jacobs with Steve Newell (HarperCollins, 2000, $17.50)
「Sam Snead(サム・スニード)の偉大なリズムの核心として、二つの鍵となる基本がある。一つはソフトなグリップ・プレッシャー。もう一つは80%のパワーだけを使い、常に制御され完璧なバランスのもとでスウィングすること。
ソフト過ぎるグリップというものにお目にかかったことはない。概ね、きつ過ぎる。
Sam Sneadの真似をしなさい。ソフトなグリップは、あなたのスウィングの自然なリズムを解放し、あなたの動きに流動的感覚をもたらす」
指が強ばっていれば、サックスもゴルフも上手くプレイ出来ません。大きな違いは、Julianの生徒は初めて見る曲を与えられて緊張するわけですが、我々はいつもと同じスウィングをすればいいということです。緊張する要素は無い筈なのです。
(June 06, 2000、増補May 30, 2015))
'How to Build a Classic Golf Swing'
by Ernie Els with Steve Newell (PolyGram Video, 56 min., 1995, $23.95)
同名の本とそっくり同じ内容です。不思議なのは本より先にヴィデオがリリースされていること(本は1996年出版)。本とヴィデオが一緒に制作されたのでしょうが、ヴィデオが先に出たようです。残念なのは、本の写真は南アフリカの熱く透明な空気が鮮明に写し出されているのに較べ、ヴィデオは複製のそのまた複製という感じの眠い画質になっていること。Ernie Els(アーニイ・エルス)の喋りの録音もややオフです。作品としての評価は☆☆(満点は星四つ)というところ。
しかし、こうした実用ヴィデオは“作品”として鑑賞するものではないので、何か得るところがあればそれでいいわけです。私がこのヴィデオに期待したのはErnie Elsのスウィングのリズムです。そういう意味では、ふんだんに彼のエフォートレス・スウィングが繰り返されるので、環境ヴィデオとしてしょっちゅう流しておくのがいいようです。
このヴィデオで恐れ入ったのは、彼の「不動の頭」です。上下左右前後、どこへも動きません。これはヴィデオでしか判らないことです。
Ernie Els(アーニィ・エルス)のリズム論:せっかちの人は普段歩くのも話すのも早い。こういう人はOneでバックスウィング、ヒッティング・エリアでTwoが相応しい。ゆっくり歩き、ゆっくり喋る人はOneでバックスウィング、Twoでトップ、ヒッティング・エリアでThreeのリズム。
ヴィデオではErnie Elsが実際に双方のリズムで打って見せます。彼が打つとどちらでもいいショットになるようですが:-)、彼自身はOne-Two-Three派だそうです。それでも結構早いOne-Two-Threeで、One-Twoとの違いがよく判らない。そこでヴィデオをキャムコーダーにコピーし、それをiMovieという編集ソフトで分析してみました。バック・スウィング開始からトップまでと、トップからインパクトまでの齣数を計算したのですが、両方の比率がリズムに相当します。齣数の合計はテンポ(スウィングの速度)の目安と云えるでしょう。なお、フォロースルーはどこが本当の終りなのか確定出来ないので省略しました。
Address |Top| Impact | Ratio | Tempo | |
---|---|---|---|
One-Two-Threeの場合 | |||
One-Twoの場合 |
非常に微細な差です。但し、上のは解説用に"One, Two,Three"とか云いながらのショットなので、通常のリズムではないようです。彼による2番アイアンのデモの際のリズムは次のようになります。これが彼特有のリズムと思われます。
Address |Top| Impact | Ratio | Tempo | |
---|---|---|---|
Ernie Els (1995) |
では、Fred Couples(フレッド・カプルズ)はどうでしょうか?
Address |Top| Impact | Ratio | Tempo | |
---|---|---|---|
Fred Couples (1988) |
Ernie Elsとほとんど同じです。「バック・スウィングはダウン・スウィングの長さの二倍」という説からすると、この二人はやや遅めと云えましょう。しかし、同じことをHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)門下生Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)とTom Kite(トム・カイト)でやってみると、バック・スウィングの遅さにびっくりします。
Address |Top| Impact | Ratio | Tempo | |
---|---|---|---|
Ben Crenshaw (1993) | |||
Tom Kite (1993) |
次は新しいところでTiger Woods(タイガー・ウッズ)とDavid Duval(デイヴィッド・デュヴァル)を…。
Address |Top| Impact | Ratio | Tempo | |
---|---|---|---|
Tiger Woods (1999) | |||
David Duval (1999) |
Tigerのスウィングは全体としても速いですが、特にバック・スウィングが速いのだということが判ります。
では、最近の私のスウィングは?
Address |Top| Impact | Ratio | Tempo | |
---|---|---|---|
Eiji Takano (2000) |
これはベラボーに遅いですね:-)。しかし、実はバック・スウィングが始まる前にマジック・コックを実施しているので、正確には次のようになります。
Address | Start |Top| Impact | Ratio | Tempo | |
---|---|---|---|
Eiji Takano |
これでも遅いと云えますが、Ben Crenshawのリズム(Back:Downの比率)に近いと云えなくもありません。スピードは別として。私の現在のリズムですが、Oneでマジック・コック、Twoでテイクアウェイ(ここは長い)、Threeでダウン…という感じです。ダウン・スウィングのスピードはFred Couplesと同じです。
最後に名著'On Learning Golf'の著者Percy Boomer(パーシイ・ブーマー)の言葉を引用しておきます。
「加速のクライマックスはボールを1ヤード(90cm)ほど過ぎた位置でなければならない。そのためにはバック・スウィングを短くする。ボール通過後までパワーを残しておくには、短いバック・スウィングしかないからだ。
いいプレイヤーは、フォロースルーの程度から逆算してバック・スウィングの長さを決める。彼はどこまでテイクアウェイするかを意識しているわけではないが、ボールを通過した後が加速の絶頂であることを知っている。つまり、ボールはスウィングの真の中心ではないということだ」
【註:題名はIra & George Gershwin(ガーシュイン兄弟)の唄より】(June 08, 2000、増補May 30, 2015、改訂Januey 03, 2017)
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