公開：1998
監督：Peter Werner
地域：ミシシッピ州
出演：Cicely Tyson、Erika Alexander、Blair Underwood、Queen Latifahほか
範疇：実話の映画化／原作もの／TV映画／ドラマ／人種問題

私の評価 ：☆

【Part 1】

'Roots'『ルーツ』の作者Alex Haley（アレックス・ヘイリイ）が、自分の母親の一生をベースに書いた小説の映画化。CBS TVは『ルーツ』の続編として宣伝したが、共通のキャラクターは登場しません。

1970年に黒人の老婦人Flora Palmer（フローラ・パーマー）が、あまり子供思いでない孫娘Diana（ダイアナ）に語って聞かせる家族の歴史。映画は現在形と過去形が随時交錯します。

1900年のミシシッピ・デルタのどこか。5歳の誕生日にFloraは母親から卵を一個貰う。生まれた雛を自分で育てることになる。Floraの子育て第一号だった。

Erika Alexander（エリカ・アレクサンダー）演じる17歳のFlora。ダンスパーティで黒人の富豪の若息子に見初められ、病気の母親のヘルパーとして住み込むことになる。息子の子供をお腹に宿し、家で出産するが、子供だけ富豪の家に取られてしまう。

Floraはテネシー州メンフィスに移り住む。そこで結婚して長男を生む。夫は「この子は教育を受けさせて弁護士にしたい」と夢見る。しかし、思うように生活費も稼げないため、夫は夜中に綿畑で綿を盗み摘んで撃たれて死ぬ。

1937年、Cicely Tyson（シシリィ・タイスン）演じる42歳のFlora。長男が白人を殴り、リンチを恐れてシカゴに逃げる。白人たちは腹いせにFloraの家を燃す。

1941年第二次大戦勃発。長男は志願して戦場に赴く。Floraは街頭で戦士用の献血に応募するが、「二グロの血は要らない。あっちへ行け」と云われる。「息子が怪我したら、血が要るではないか！」と憤慨する。

…とまあ、こんな調子で1970年まで続きます。

印象的なシーンを一つ挙げましょう。1965年、公民権は発布されましたが、まだ南部では徹底されていませんでした。勇敢な黒人青年が「白人専用」食堂に入って袋叩きにあいます。教会の礼拝で牧師が青年を讃えます。翌日、Floraは一番のよそ行きの服を来て、孫息子に「食堂へ行こう」と誘いますが、孫息子は尻込みします。Floraは一人で食堂に乗り込み、周囲の白人たちの「お前の来るところじゃない、ニガー！」とか「帰れ、帰れ！」という罵声を浴びながら、「コーヒー、砂糖一杯とミルクを入れて」を繰り返します。白人の若者二人が彼女を追い出そうとしますが、「私はあなたと同じ人間よ。同じ血が流れてるのよ。こんなお婆さんを殴りたいなら殴りなさい。そして、婆さんを殴ったとみんなに自慢しなさい」と立ち向かいます。シェリフまで呼ばれて来ますが、彼もFloraの気迫におされて手出し出来ず、ウェイトレスに頷いてコーヒーを出させます。Floraは心配して見に来た孫息子を招じ入れ、呆気にとられている彼にもコーヒーを出させます。孫息子が「グランマ、自分が何をやってるのか分ってるの？」と云うと、彼女は「こんなショーを演じるなんて生まれて初めてよ」と囁いてニンマリ笑います。

(April 07, 2001)

【黒人の生活】

・Nothing But a Man（未公開）(1964)
・Sounder『サウンダー』(1972)
・Conrack『コンラック先生』(1974)
・I Know Why the Caged Bird Sings（未公開）(1979)
・Color Purple『カラーパープル』(1985)
・Once Upon a Time...When We Were Colored（未公開） (1996)
・Down in the Delta（未公開）(1998)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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