Golf Tips Vol. 82

ロブ・ショット成功の秘訣

'Make Your Lob Deadly'
by Editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' February 2003)

「ライがふわふわしていて、ボールの下をクラブヘッドが通過出来ることが条件。サンド・ウェッジかロブ・ウェッジを、フェースが空を向くぐらい寝せた角度で構える。

ターゲットの30°左を狙って、左足踵の前にボールが来るようにする。グリップ・プレッシャーは緩めで、ソフトな両腕でオープンな身体のラインに沿ってゆったりとスウィングする。

・ショットはゆったりでも、焦点は定めなくてはならない。ボールの後ろの一点を凝視すること。
・両手を返してしまうとフェースがクローズになり、低めのボールを左方向へオーヴァーさせることになる。右手はインパクトの後空を向くように。それが高く真っ直ぐなボールを生む」

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僭越ですが私の経験も付け加えたいと思います。私は「この道ウン十年」とは行きませんが、十年近くロブ・ショットだけに専念しています。私の場合、よほどピンに近くない限り上の記事のようにフェースを寝せないので、アライメントはターゲットに真っ直ぐです。バンカー・ショットのように30°左を狙ったりしません。両足はオープンですが、肩とスウィング・ラインはターゲットを指します。ボール位置は両足の真ん中です(極端にランを減らす時は前方)。

私もグリップ・プレッシャーは緩めですが、スピンをかけランを少なくするため、ダウン・スウィングの途中で強くリグリップする(握り直す)ようにします。地球の引力がクラブ・ヘッドを戻し始めるのを待ち、それに合わせてリグリップし、必ず加速するようにインパクトを迎えます。加速しないとバックスピンがかからずランが増えてしまいます。

私のフォーカスは「ボールの後ろの一点」ではなく、「ボールと地面(芝)の接点」です。ぼんやりしたフォーカスだと、トップしたりダフったりします。「ロブ・ショット成功の秘訣」は、実はこのフォーカス一点にあるのではないかと思うほど重要なポイントです。私のロブ・ショットは手でボールを放り投げるようにフォローを大きくします。その日の芝の状態やグリーンの勾配によって落としどころを調節し、そこに落ちたボールがカップ・インする様(さま)を視覚化します。

(August 04, 2004)


天才のようにパットする

'Putting Like a Genius'
by Bob Dr. Bob Rotella (Simon & Schuster Audio, 1996, $13.00)

[Genius]

これはスポーツ心理学者Dr. Bob Rotella(ボブ・ロテラ博士)が、自分で吹き込んだカセット・テープで、両面で約一時間あります。有名・無名取り混ぜて多くのゴルファーを指導して来た経験から、パッティングに焦点をあてた講義です。ゴルファーのための教会があるとすれば、さしずめそこの司祭か説教師という感じの語り口。

「カップに近づけば近づくほどゴルファーの恐怖心が高まる。そのパットがイージーに見えれば見えるほど、失敗した場合の周囲の嘲りを恐れるからだ。失敗への不安はパットの大敵である。羞恥心もパットをぶち壊す要素である。ある人は、『どうせミスするなら、自分は攻撃的にミスする』と常にオーヴァー目のパットをする。これは周囲にかっこよく見えるかも知れないが、正しい態度ではない。

パッティングに成功するには、メンタルな要素の存在を認識すべきである。そして、先ず練習をする。次にその練習を信じる。練習の際、別にボールは必要としない。失敗を繰り返し体験すると自信につながらないから、ボールが無い方がいいとも云える。自信をつけるには《ボールにチャンスを与える》と考えることだ。ワールド・クラスの名人でも失敗をするのは御存知の通り。Tom Watson(トム・ワトスン)のU.S. Open 1982(Pebble Beach)におけるNo. 17でのチップインは有名だが、そのずっと前に2フィートのパットをミスしたことはほとんど知られていない。その時どう考えたのかと聞くと、Tom Watsonは『名人だってミスはする。この先で自分にチャンスを与えればいいのだと思った』と語った。

ラインとスピード(グリーンの速さ)を読んだら、それが正しい判断であると確信すべきだ。もし疑念が湧いたら、アドレス・ポジションから身を引き、仕切り直しすること。周囲がどう思うだろうとか仕切り直しに要する時間を気にしたりしてはならない。自宅や練習グリーンでプレ・ストローク・ルーティーンを確立しておけば、効率よくパット出来る。仕切り直しを数回したところで時間の浪費とはならない。

素振りをボールの後ろでしようが横でしようが、何回素振りしようが、そういうことは重要ではない。目が見ているものに感覚が反応するように素振りするべきである。だから、目はターゲットを見ているべきであり、ボールを見ていてはいけない。

小さいターゲット・スポット(点)を設定し、そこに集中する。ことさら鋭く見つめる必要はない。見るだけで自動的に集中出来る。ターゲットを大きく考えるという教え方があるが、私はそれは誤っていると思う。ショートゲームの名人Paul Runyan(ポール・ラニャン)が破竹の勢いで連勝していた頃、勝ち目のないツァー・プロたちが「カップを大きくして我々にもチャンスを与えよ」と運動し、PGAツァーが数トーナメントで大きいカップを使用したことがある。結果はPaul Runyanが以前に増してパットを沈め、さらにチップインの割合まで増加させただけに終わった。Paul Runyanはカップではなく、カップの一部かカップの向こうの小さなスポット(点)をターゲットにしていたので、そのスポットをミスしたとしてもカップには沈むのだった。ターゲットを小さくし、そこに集中すれば入る確率は高くなる理屈である。

ゴルフ・ボールは静止しているだけに、ストロークするまでに色々考えたり、疑念が湧いたりする。『野球やテニスは考える時間が無いからいい』という人がいる。ゴルフでは、ストロークするまでに過去の素晴らしいパットを思い起し、自信を漲らせればいいのだ。そして、ボールがカップに沈む場面を視覚化する。ある人々はカップの底に到達したボールが立てる音まで聞こえると云う。彼らはその感覚に悦びを見出す。

最後にターゲットを一瞥した後、何秒後にパットするかも重要な問題だ。私は1〜2秒でも長過ぎるという見解だ。しかし、あなたのタイミングが遅いとしても、常に一定時間でパットを実行するように。ボールがパターを離れたら、どうなろうとも結果を受け入れること」

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私は《ボールにチャンスを与える》あるいは《自分にチャンスを与える》という考え方がユニークだと思います。ボールと、あるいはもう一人の自分との二人三脚なんですね。一人だけで頑張るのではなく…。ティー・ショットでフェアウェイをキープするのも次打にチャンスを与えることであり、グリーンに寄せることもファースト・パットにチャンスを与えること、ファースト・パットの距離感を合わせることもバーディ・チャンスを与えることになるわけです。距離が合わなくては、入るものも入りませんから。

米欧対抗戦Ryder Cup(ライダー・カップ)の種目の一つに、二人のプロが一つのボールを打ち継いで行くというのがあります。これなどは、まさにパートナーにチャンスを与えて行く競技です。個人競技ならミスは自分がリカヴァーすればいいのですが、パートナーにリカヴァーさせるのは責任が重く辛いことです。常よりも一打に真剣にならざるを得ません。《自分にチャンスを与える》は、それを一人でやるわけです。この考え方には、何か“冷静になれる秘訣”といったものがあるような気がします。

(August 09, 2004)


ランキン・グリップ

 

Judy Rankin(ジュディ・ランキン)は1962年に17歳でLPGAツァーに参加、全部で27勝を飾りました。以後はABC-TVのトーナメント解説者、オンコース・リポーターとして活躍。Ryder Cupの女性版Solheim Cup(ソルハイム・カップ)の米国チーム・キャプテンを1996年と1998年の二度勤め、どちらもチームを勝利に導きました。2000年にはLPGA名誉の殿堂入りを果たしています。

'A Woman's Guide to Better Golf'
by Judy Rankin with Peter McCleery (Contemporary Books, 1995, $29.95)

「リラックスして両手を垂らした時、掌が背後を向くのが一般的な現象です。『気をつけ!』の時のように身体の側面を向くわけではありません。そのままクラブを握れば、自然に“ストロング・グリップ”になります。私の場合、このグリップで飛距離を伸ばすことが出来ました。何年も、多くの人々がこのグリップをやめるように進言しましたが、私はやめませんでした。ある人々はこれを“ランキン・グリップ”と呼ぶようになりました。

【Paul Azinger(ポール・エイジンガー)の証言】「1970年代のJudy Rankinの“ストロング・グリップ”による素晴らしいプレイは、私のグリップも問題無いと教えてくれた」(編者註:彼も“ストロング・グリップ”で有名)

一寸、実験してみましょう。左手だけを使い、クラブを“ウィーク・グリップ”(親指がシャフトの真上で一線になるグリップ)で握って下さい。一本腕で、左腕を曲げないようにバックスウィングします。とても窮屈でしょう。では、あなたの自然な“ストロング・グリップ”(親指と人差し指の付け根に出来るVの先端が右肩を指す)に変えます。今度も一本腕で、左腕を曲げないようにバックスウィング。どうです?十倍も楽でしょう?

 

このように快適に左腕を伸ばしてスウィング出来るなら、どんな初心者も空振りなどしなくなります」

【参照】「自然流グリップの探究・スウィング篇」

(August 11, 2004)


泥付きボールの打ち方

Tiger Woods(タイガー・ウッズ)による滅多に聞けないプロ的tip。

'How I Play Golf'
by Tiger Woods with the editors of Golf Digest (Warner Books, 2001, $34.95)

「ボールは泥が付いている反対側に飛ぶ。泥がボールの左側に付いていれば、通常よりも右へ飛ぶ傾向がある。逆もまた真。

あなたがハードにヒットすればするほど、ボールはもっとターゲット・ラインから逸れて行く」

(August 11, 2004、改訂June 01, 2015)


Hogan(ホ−ガン)の左肘

「続・左肘の研究」でBen Hogan(ベン・ホーガン)のアドレス時の両肘の状態について、'Five Lessons'(邦訳『モダン・ゴルフ』)の記述を紹介しました。Ben Hoganは「両肘の窪みはどちらも空を向くべきだ」と主張し、さらにイラストで両肘が胸の前に絞られているようなイメージも見せています。

[Elbow]

ところが、上の'Five Lessons'のイラストの元となった膨大な写真を点検したDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)は'The Fundamentals of Hogan'(邦訳『モダン・ゴルフ徹底検証』)という本で、「Ben Hoganの通常のアドレスでは両肘の窪みは空を向いてもいないし、胸の前に絞られてもいない」と書いています。確かに、写真を見て行くとイラストレーターに示した一枚の写真だけが異常に誇張されているだけで、他は全てリラックスした両肘です。左肘の窪みは真横を向いており、やや折られた右肘の窪みでさえどちらかというと横・前向きという感じ。そして、どちらも全く絞られていません。

念のため'Hogan vs. Snead'(1965)というヴィデオを見てみました。'Five Lessons'が書かれた八年後に撮影されたものです。右の写真のように、右肘の窪みは空を向いているものの、左肘の窪みは横向きです。プロが本を書くと、通常自分がやってもいないことを書くことがあると云われます。「理想的にはこうしたい」という願望を書いてしまうのでしょう。この部分はその典型のようです。

何故、いまこの左肘の窪みが気になっているか?というと、これを空に向けるとトップで左肘が折れず、ボールが正確に飛ぶように思えるのです。やってみて下さい。トップで肘が折れるとしてもごく僅かです。普通の腕の構えだと、いくらでも“快適に”折ることが出来ます:-)。ただ、左肘の窪みを空に向けるのはやや窮屈なので、それがテンションを作り出して距離を損するのではないか?という一抹の不安もあり、現在の研究課題の一つとしています。

(August 17, 2004)


頭を動かせ

LPGAツァーの賞金王となり、現在はTV中継の解説者となっているJudy Rankin(ジュディ・ランキン)によるスウィング理論。

'A Woman's Guide to Better Golf'
by Judy Rankin with Peter McCleery (Contemporary Books, 1995, $29.95)

「『頭を動かすな』という格言は、もう古い。ボールから右に動いて、また左に戻るのは何の害もないことだ。あなたの頭が上下に動くとしたら、それは問題だが。私自身、そういう状態が数年間続き、貧弱なプレイしか出来なかったことがある。私の頭はバックスウィングでやや下がりがちで、その反動でダウンスウィングではバネ仕掛けのように上がってしまい、トップを打つ弊害があった。記憶すべき格言は『いいプレイヤーはボールに向かって動き、駄目なプレイヤーはボールから遠ざかる』というものだ。

私の信頼するPGAツァー・プロは『ボールの後ろに留まるのは正しい方法ではない。重要なのはボールの後ろに位置し、そこからボールを通過するように動くことだ』と云っていた。

女性ゴルファーの多くはあまりにも動かな過ぎる。『スウィングの間、頭を動かすな』と云われ続けて来たからに違いない。頭を動かさずに逆Cの字のようにそっくり返っていては、いいゴルファーになれっこない。

多くの女性プレイヤーはもう少し頭を柔軟にし、バックスウィングの際の脚と腰をコントロールすべきだ。スウィングのトップで体重を右サイドに移して良いバランスを得るには、上半身の若干の動きが必要である。頭を動かさずに体重移動出来る人もいないわけではないが、しかしとても難しいことだ。右サイドに確実にパワーを蓄積するため、上半身の動きにちょっぴり自由度を与えるべきだと思う。

私の現役当時の日本のプロ・樋口久子(編者註:現JLPGA会長)をご記憶ではないだろうか?彼女は頭をボールから右方に動かす典型だった。彼女はバックスウィングで大幅に右へ動き、ダウンスウィングでボールに戻って来て振り抜いた。彼女はとても素晴らしいプレイヤーだった。日本女性の多くは小柄なので、クラブヘッド・スピードとパワーを生み出すためにそういう動きをするようにコーチされていたのだと思う」

(August 25, 2004、改訂June 01, 2015)


パットの狙いは正しいか?

'Follow the rule'
by Rick Martino with Greg Midland ('Golf Magazine,' September 2004)

「我々には利き目というものがあり、それがパットの狙いを左右する。以下はその狙いが正しいかどうかをチェックする方法。

約3mのストレートなラインを選んでパターを構える。ボールを取り去り、パターに一端を接するようにして物差しをラインに揃える。アドレスを解き、物差しが正しくカップを指しているかどうか確認しよう。

正しく狙えるようになるには時間と練習が必要だ。ツァー・プロでさえ完全に習得するのは難しく、以下のような応急手当でしのぐことも稀ではない。

・あなたがカップの右を狙ってしまう傾向があれば、ボールをスタンス前方(ターゲット方向)、左足爪先近くに置く。
・あなたがカップの左を狙ってしまう傾向があれば、ボールをスタンス後方、両足の真ん中に置く。

上のようにすれば、インパクトでフェース角度が自然に狙いの誤差を解消してくれる」

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これを読んで、実際のグリーンでも利き目でボールをターゲットに向けるようにしています。ボールに描いた線をターゲットに揃え、数歩下がって利き目だけでチェックします。両目で見た感じとは異なる場合が多く、ボールの向きを変えることもしばしばです。

(August 27, 2004)


女性と飛距離、14人に聞きました

'A Woman's Guide to Better Golf'
by Judy Rankin with Peter McCleery (Contemporary Books, 1995, $29.95)

【編註:括弧内の肩書きは、いずれも出版当時のもの】

・Helen Alfredsson (ヘレン・アルフレドソン、スウェーデン、LPGA、写真上)

 「女性は『ゆっくり、いいテンポで振れ』と教わる。本当はスウィングの間じゅう加速しなければならない。試しに、ボールをぶん殴って、結果がどうなるか見てみるべきだ」

・Beth Daniel (ベス・ダニエル、LPGA)

 「リズムが大事(男女とも)。ツァー・プレイヤーが飛ばそうとする時、彼らは速く、力一杯ボールを打ったりしない。大きく、流れるようなスウィングをする」

・Marlene Hagge (マーリーン・ヘイジー、LPGA)

 「女性はアドレスする時、両脚で立っていない。脚に寄りかかっているだけだ。脚の筋肉と力を使うことをしていない。女性は下半身によってパワーを構築するセットアップ方法を学ぶべきである」

・Tom Kite (トム・カイト、PGA)

 「現在のベスト・プレイヤーたちは上半身が下半身の捻じりに抵抗するようなスウィングを模索している。女性は下半身を廻し過ぎる。これではパワーを蓄えることは出来ない」

・Sandra Post (サンドラ・ポスト、LPGA、TV解説者)

 「女性は脚の役割を誤解している。バックスウィングで脚を使い過ぎ、実際には台無しにしている。女性たちの左膝は行き過ぎており、右膝にキスしている。これではボールの後ろの地面を打ってしまう。両膝の間にサッカー・ボールがあるようにスウィングしなさい」

・Davis Love III (デイヴィス・ラヴ三世、PGA)

 「私の父(コーチ・故Davis Love II)が母に教えていたのは『飛ばそうと思うな』ということだった。母が飛ばそうとすると、スウィングが速くなり力一杯叩こうとしてチョロになってしまう。肩を十分に廻してクラブを振った時だけ、彼女にとっての最長の飛距離を出すことが出来た。父はいいリズムとスムーズなスウィングだけを母に教えていた」

・Steve Melnyk(スティーヴ・メルニック、U.S.アマ・チャンピオン、TV解説者)

 「スピードの問題だ。速く振ることが出来る女性は遠くに飛ばすことが出来る。グリップの握力を軽くするのが第一歩だ」

・Louise Suggs (ルイーズ・サグズ、LPGA)

 「女性にはクラブをリリースする(解き放つ)のと、手首を返すことが難しいように思う。女性はインパクト以後もクラブはスクウェアに保たねばならないと誤解し、クラブのリリースと返すことをしない」

・Laura Davies (ローラ・デイヴィス、英国、LPGA)

 「ドローを打つことを学びなさい」

・Jan Stephenson (ジャン・スティーヴンスン、オーストラリア、LPGA、写真下)

 「男性のように大きな筋肉を使うこと。私は下半身の回転を抑制し、上半身の回転を増やして飛距離を伸ばすことが出来た」

・Juli Inkster (ジュリ・インクスター,LPGA)

 「コンパクト・スウィングがお勧め。大きくルーズなスウィングは距離を失う」

・Curtis Strange (カーティス・ストレンジ、PGA)

 「フックを打ちなさい。ロフトを増やすのも助けとなる。ティーから3番ウッドで打ってみるのも効果的である」

 

・Hale Irwin (ヘイル・アーウィン、PGA)

 「女性の多くは肩を目一杯廻していない。腰を廻さず横にスウェイしている。必然的にアップライトなスウィングになり、本来身体の周りを廻すべき両手を、単に上下させている。両肩を廻し、両腕を追随させなさい」

・Dottie Mochrie(ドッティ・モックリー、後に結婚してPepper、LPGA)

 「女性は下半身の動きを無視している。クラブに繋がっている両腕からパワーが生まれると誤解し、手先で打っている。女性が下半身主導のスウィングを学べば、パワーは全く異なる様相を見せるだろう」

(August 29, 2004、改訂June 01, 2015)


失敗しないフェアウェイウッド

'Fearless Fairway Woods'
by Mike Lopuszynski with Greg Midland ('Golf Magazine,' September 2004)

「ティーアップされたボールを打つのでない限り、クラブヘッドはターフをヒットしなければならない。クリーンに払うような打ち方では、ボールを上げる助けとならない。ボールにディセンディング(下降気味)の角度で接触するようにスウィングし、小さなディヴォットを取ることを恐れてはいけない。ヘッドのロフトとソールの重みがボールを高く上げてくれる。

リラックスしてバランスのとれたフォロースルーを思い描き、素振りでそれをなぞる。クラブシャフトが肩を叩くようなフィニッシュを作り、数秒間そのまま保つ。あなたの両腕は脱力し快適に折られている筈だ」

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最近私がフェアウェイウッドで成功しているのは、「とにかくボールを宙に浮かべよう!」と思うことによってです。距離とか方向はおいといて、とにかく空中に弾き出す。3番ウッドなどはとにかく距離が欲しいわけですが、空中を飛翔させなければ距離に結びつきません。ゴロでは駄目なのです。ですから、150ヤードでも170ヤードでもいいから、ボールを宙に浮かべたい。ボールを宙に浮かべるには、クラブを短く持ち、短いバックスウィング、掬い打ちせずピシッと打ち、大きいフォロー。驚くような結果が得られます。距離もついて来ます。

(September 02, 2004)


ゴロの根絶

ゴロが出る原因はいくつかあります。一つはトップすること。トップは右へ移動した体重が完全に左へ戻らなかった場合や、インパクトで伸び上がった場合、また左肘が折れてスウィング半径が短くなった場合、ボールを上げようとしてしゃくりあげた場合などに起ります。以下の記事はトップによるゴロではなく、英語で"smother"(窒息死させる、押さえ込む)と呼ばれる、フェースが極端にクローズになった場合のゴロを防止する方法です。

'Another Smother?'
by editors of "Golf Magazine' ('Golf Magazine,' September 2004)

「"smother"によるゴロは醜いだけでなく欲求不満をもたらす。一見トップしたように見えるが、"smother"はフェースがインパクトで極端にクローズであることが引き起こす症状である。

ニュートラルなグリップをすること。クラブフェースをスクウェアにし、両方の指の付け根に出来るVの字が、顎と右肩の間を指すように握る。

いいグリップをしていても、バックスウィングで左の手首が内側に折れるとクラブフェースがクローズになってしまう。左手首は真っ直ぐであるべきで、折れてはならない。そのためのいいメソッドは、左肩から身体の回転をスタートし、両手の動きを封ずることだ。

【参照】'One Move'

チェック法:ニュートラルなグリップをしている場合、トップでは左の親指はシャフトの真下にあり、指の先端はターゲットを指しているはずだ。この状態を心掛けながら練習ボールを打ってみるとよい。クラブフェースがスクウェアになる率が高くなる」

(September 04, 2004)


中間のクラブで打つ

'Be the Ball'
by Charlie Jones and Kim Doren (Andrew McMeal Publishing, 2000, $14.95)

Chris Hoy(クリス・ホイ、クラブ・プロ):「3/4(スリー・クォーター)や1/2のスウィングは、あなたが滅多に練習しないものであるに違いない。そういうショットに直面した時、『こりゃ困った』と先ず思うだろう。

しかし、たった一度でも過去に成功したことがあったら、その記憶にしがみつくことだ。『おれにだって出来る』 こういうショットで大事なのは、加速することだ。大きなバックスウィングをしながらダウンスウィングで減速して、たった20ヤードしか飛ばないということのないように。短いバックスウィングで、加速しながら振り抜くこと」

(September 07, 2004)


ダウンで両手を引き下ろす動きについて

'The Natural Golf Swing'
by George Knudson with Lorne Rubenstein (McClelland & Stewart Ltd., 1988, $13.95)

[Sergio]

George Knudson(ジョージ・ヌードソン、1937〜1989)はカナダのプロで、その流麗なスウィングによってJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)から“ミリオン・ダラー・スウィングの持ち主”と評された人です。少年の頃からスウィングの細部について研究心旺盛で、青年時代はBen Hogan(ベン・ホーガン)を追っかけて彼のスウィングを真似しようとしました。George Knudsonの理論の骨子は求心力と慣性に逆らわない“ナチュラル・スウィング”で、バランス重視を貫く解りやすいものです。この本の巻末には、世間でよく云われるゴルフのポイント23項目について、「これらは間違いだ」という彼の反論が掲載されています。その一つ。

「《ダウン・スウィングの開始では教会の鐘のロープを引くように》という言葉があり、ゴルファーたちに『これこそゴルフの秘密!』と思わせ、彼らを狂わせる。しかし、この言葉は誤解に基づくものでしかない。

“引く”ように見えるのは、実は右足から左足に体重が移動する時に起る結果に過ぎない。これはダウンスウィングのプレーンを下方に落す。あたかも教会の鐘のロープを引くように、クラブを引っ張り下ろすように見える。

しかし、我々が引くのではない。体重移動によって引かれるのだ。意識的に引くとスウィング・プレーンを破壊してしまう。引くように感じるのは求心力によるものだ。クラブヘッドは外側へ、そして下方へと引かれる。ゴルファーがリラックスしていれば、肩の付け根は引かれる力によって伸びる」

(September 08, 2004)


高い木を越える

'Trees? What Trees?'
by Annika Sorenstam with Dave Allen ('Golf Magazine,' September 2004)

LPGAのメイジャーの一つMcDonald's LPGA Champinship 2004の最終日、Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)はグリーンまで94ヤードの距離から高い木越えのウェッジ・ショット(54°)を成功させ、見事優勝しました。

「木越えのショットが可能かどうか、以下のポイントをチェックする。

1) ボールをクリーンに打てるかどうか?草が介在するとスピンがかからないので、木越えは無理である。
2) 数本の木がある場合、奥行きはどの程度か?それを越えるだけの距離を打てるかどうか?
3) 木に近過ぎないか?私の場合、木から40ヤード離れていた。30ヤードだったら諦めなくてはならなかった。

ウェッジでボールを高く上げるにはバックスピンを最高にかけなくてはならない。そのためには…
・スタンスとクラブフェースをオープンにする。
・アドレスでは両腕を若干ボールより後方にする。
・ややボールに近めに立つ。
・Vの字のような急角度のダウンスウィング。
・フィニッシュを大きく取る」

(September 12, 2004)


ボール位置で高さを打ち分ける練習

'LPGA's Guide to Every Shot'
by LPGA (Human Kinetics, 2000, $19.95)

「7番アイアンを使う。通常の軌道(この場合、高さ)のボールを三個打つ。

1. ボール一個分ターゲット方向に寄せた位置で、ボールを三個打つ。軌道がどのように変わったか記憶する。

2. さらにボール一個分ターゲット方向に寄せた位置で、ボールを三個打つ。同上。

3. 今度は通常のボール位置からボール一個分後に移してボールを三個打つ。同上。

4. 最後に、さらにボール一個分後に移してボールを三個打つ。同上」

(September 12, 2004)


スウィング・スピード

'Gear Effects'
by Tom Wishon ('Golf Tips,' Aug. / Sept. 2004)

「あなたのドライヴァーのロフトの少ない数字は、もはや力強さの印ではない。それは馬鹿さ加減の印になりつつあり、少なくとも、飛距離を増やすことが出来るローンチ・アングル(発射角度)について無知であることを示す印となっている。

ホースで水を撒いたことがあれば、遠くへ水を飛ばすにはどうしたらいいか分っている筈だ。ホースの角度を上に向ける。正確には地面に対し45°の角度にすれば、最も遠くに飛ぶ。ドライヴァーも同じである。角度(ロフト)が多い方が飛ぶ。勿論、ゴルフの場合45°の角度はオーヴァーだし、ボールにはバックスピンが加わるが、水にバックスピンはかからない。

ゴルファーのスウィング傾向に合わせた適切なロフトと正しいボールの組み合わせは、10ヤードかそれ以上の距離を増すことが証明されている。これは遅いスウィング・スピードの人にとっても当てはまることだ。遅い人はローンチ・アングルを高めにする。

我々は各種のロフトのドライヴァーをテストした。USGA認可のCOR 0.820のドライヴァーを用い、一般的なゴルファーのスウィング・スピード、平均海面、無風、気温21℃という条件。9°のドライヴァーで85 mph(38 m/s)のスピードでは、ボールは182ヤード飛んだ。ロフトを14°に増やしたところ、キャリーは197ヤードに増え、全体的に15ヤードの増加をみた。下表は一般化した結果の一部。

 スウィング・スピード     過去のキャリー距離    最長飛距離を出すロフト

  60 mph(26.8 m/s)      ロフト12°で100ヤード  ロフト19°で116ヤード
  70 mph(31.3 m/s)      ロフト11°で135ヤード  ロフト17°で153ヤード
  80 mph(35.8 m/s)      ロフト10°で169ヤード  ロフト15°で182ヤード
  90 mph(40.2 m/s)      ロフト9°で199ヤード    ロフト14°で210ヤード
 100 mph(44.7 m/s)     ロフト8.5°で227ヤード   ロフト11°で234ヤード

つまり、スウィング・スピードの遅い人々にとってはロフトを増やした方が距離が伸びるということだ。クラブ・メーカー数社は12°〜15°のドライヴァーを販売し始めた。かなりスウィング・スピードの遅い女性、シニアなどは、3番ウッド、5番ウッド、7番ウッドによって最長飛距離を得るべきで、ドライヴァーを使うべきではない。

最適のロフトはゴルファーのスウィングのアタック角度(ボールに接する時の角度)によって異なって来る。上向きの角度で打つ傾向がある人はロフトを減らした方がよい。逆に下向きの角度で打つ人はロフトを増やすべきである」

(September 22, 2004)


バンカー・ショットの秘訣

'A Woman's Own Golf Book'
by Barbara Puett and Jim Apfelbaum (St. Martin's Press, 1999, $21.95)

「バンカーは物理的障害物であると同時に、メンタル的障害物でもある。砂の上のショットはゴルファーを怖じけづかせる。恐怖心がスウィングを遅くしたりストップさせてしまったりする。本当は逆であって、バンカー・ショットは加速しなければならないものだ。

砂の上ではボールを忘れること。砂のことだけを考える。バンカーから脱出する秘訣は、ボールの下の砂を浅く取り除くことだ。勢いをつけ、きっぱりした動作で砂に溝を作る。

『エクスプロージョン』とか『掘る』、『強打』などの言葉を忘れること。ボールの数インチ(5〜8cm)後ろの砂を見つめ、砂を浅くえぐる。最も重要なことは、断固たるフォロースルーを取ることだ。

バンカーに入ったら、我々は貪欲さを捨てなくてはならない。唯一の目標は脱出することである。距離を犠牲にすることになっても脱出可能なクラブを選ぶこと。前方へ出すのが難しそうなら、後ろに打つのも賢い選択である。全英オープンのポット・バンカーに入ったプロたちを思い出しなさい。

練習することによって、バンカーは次第に恫喝的威勢を失い、恐怖の的ではなくなってしまうものだ」

(September 27, 2004)


Payne Stewartの頭

Payne Stewart(ペイン・スチュアート)の奥さんの助言が、彼にU.S. Open 1999の優勝をもたらしたことは、以前に「内助の功」として紹介したことがあります。それは新聞記事を元にしたものでしたが、今回のは当の奥さんが執筆した経緯です。正確で、詳しく、そして感動的です。

[Payne]

'A mate's memory of Payne's Open victory at Pinehurst'
by Tracey Stewart ('Chicken Soup for the Golfer's Soul 2,' Health Communications, Inc., 2002, $12.95)

「夫Payneは、私がトーナメントの間じゅう、彼について歩くことを望んだ。私がどこにいても、彼は常に私の居場所をつきとめた。私が『ゴルフに集中したら?』とからかうと、『集中してるさ。でもキミがどこにいるか、いつも分るんだ』と彼は云った。

U.S. Open 1999の会場Pinehurst(パインハースト)は三日目までに超満員となり、もう私が彼のショットを見ることは不可能になった。私は『今日はTV観戦にする。でも、あなたがラウンドを終えたら来るから』と彼に云った。

午後一杯、私はTVの前に座っていた。テニスの方が好きな私はほとんどゴルフをしない。しかし、Payneを20年も見て来たので、彼のゲームはよく知っている。私はPayneがパットする時、微かに頭を前方へ、そして上方へ、まるでボールがカップに入るのを見ようとするように動かすのに気付いた。彼のパットは、一つ、また一つと失敗し、私は為すこともなく見守るしかなかった。『おお、Payne!』私はTV画面に向かって大声で叫んだ。『Keep your head down!(頭を動かしちゃ駄目!)』彼は72で廻り、それは彼のU.S. Openのスコアとしては最悪だった。Phil Mickelson(フィル・ミケルスン)を一打差でリードしているとはいえ、そんなものは安眠出来るほどのリードではなかった。

彼がラウンドを終えた頃、私はコースに駆けつけた。彼は『少しボールを打つつもりだ』と云った。『OK。私も一緒に行く。あなた、練習グリーンにも行く必要もあるわよ』Payneが頷く。私は静かに云った、『頭を動かさないようにしなくちゃ』Payneは驚いた、『本当?』『あなたはボールがカップに入るところを見ようとした。頭をじっとさせてなきゃいけないのに』

ボールを打ち終えた彼は、練習グリーンで45分費やした。彼は頭をじっとさせ、ボールがパターを遠く離れるまで見上げないように努力した。目をつぶってパットする練習をし、ほとんど毎回ボールはカップの中央を通過するまでになった。

日曜日の朝、PayneはTVの前で泣いていた。NBCが父の日の特集の一つとしてPayneとその亡き父の物語を放送したからだ。彼は父の日のベスト・ラウンドをしようと決意したようだった。

最終ホール。Phil Mickelsonは6mのバーディ・パットに挑戦し、失敗した。Payneの番だ。これに失敗するとプレイオフである。4.6mのパット。Payneがストロークした。彼は頭を動かさなかった。ボールはのろのろとスローモーションのように転がり、そして…カップに消えた。

私は人垣をかきわけ、選手退場口のロープ際に進んだ。それでも群衆の陰だったので、Payneは通り過ぎようとしてから私に気付いた。彼は私を引き寄せ、私たちは抱き合った。私は頭を彼の肩に埋めていたが、その耳に向かってPayneが云った、『I did it. I kept my head down. All day...all day, I did it. I kept my head down.(実行したよ。頭を動かさなかった。一日中、ずっとやり抜いた。頭を動かさなかったよ)』私は涙でぐしょぐしょになりながら云った、『I know you did, and I'm so proud of you.(分ってるわ、あなたをとても誇りに思ってるわ)』

(October 04, 2004)

ショートゲーム練習の勧め

'A Woman's Own Golf Book'
by Barbara Puett and Jim Apfelbaum (St. Martin's Press, 1999, $21.95)

著者Barbara Puett(バーバラ・ピュエット)は伝説的コーチHarvey Penick(ハーヴィー・ピーニック)に師事し、テキサス州女子アマチュア・チャンピオンになり、その後コーチとなって数多くの女性を教えています。

この本はHarvey Penickの教えや逸話がちりばめられているのも魅力ですが、著者のコーチ経験を活かした明快な理論が特徴でもあります。第一章がパッティングから始まるのもユニークです。

「誰もが遠くへ打ちたがる。それは練習していても楽しいし、短いパットをするよりドラマティックである。しかし、ゴルフは距離のゲームというより正確度を求められるゲームである。

以下のお話は実話である。オハイオ州Cleveland(クリーヴランド)のあるゴルフ場のメンバーの一人が背骨を痛めた。医者は一年間はゴルフをしないように命じた。Frank(それが彼の名だ)はゴルフも何も出来なかったわけだが、彼の奥さんは彼が家でごろごろしているよりはクラブハウスに行くことを望んだ。

Frankはゴルフ場にいる以上何かなすべきだと考えた。やっと動ける程度だからフル・スウィングは無理である。しかし、パットとチップなら痛みもなしに出来ることが分った。で、彼は回復までの数ヶ月間、念入りにショート・ゲームに時間を費やした。

彼が再びゴルフに復帰出来た時、Frankは自分の素晴らしいスコアに驚嘆した。それだけなく、彼は夢にも達成出来ると思わなかったクラブ・チャンピオンの称号を獲得してしまった。熱心な練習は、彼をクラブ随一のパット名人に変えたのだ。

あなたがFrankのようになるためには、別に背骨を痛める必要はない。100ヤード以内の練習に精出せばよいのだ」

(October 09, 2004)

当世風バンカー・ショット実践編

「バンカー・ショットは手打ちでいい」…昔はこう云われたものです。そういうメソッドは砂にドカーン!と打ち込む場合はいいでしょうが、ウェッジを浅くスライドさせる「当世風バンカー・ショット」には合いません。

浅く30cmもヘッドを滑らすというのは、実際には結構難しい。何故難しいかというと、昔風の手打ちメソッドが邪魔をするからです。手打ちでは腕の長さが一定せず、縮こまってトップしたり、伸び過ぎて砂を多く取ったり、たった10cm砂を掬うだけになったりしがちです。

当世風バンカー・ショットでは、ショート・アイアンを打つように身体でスウィングする必要があります。アドレスした腕は棒のように伸ばしたまま、低目にテイクアウェイ。下半身主導でダウン・スウィングに移り、クラブをボールの10cmほど後ろに進入させ、砂を30cm掃くことに専念します。

ウェッジをどの程度の長さに握るかは重要な問題です。砂にどれだけ足が沈むかにもよりますので、ホームコースの通常の砂の状態の時に足を潜らせ、クラブを接地してみて最適の長さを定めておくべきでしょう。これを標準のグリップ位置とし、ライや砂の柔らかさ、堅さによって微調整するのがよさそうです。その長さに握って、バンカーの外で、一、二度、素振りをします。

これまで学んだことのまとめ。

・バンカー・ショットはフェースの向きではなくスウィングの方向に飛ぶ。
・スウィングの弧の最低点はボールの下である(ボールの後ろではない)。
・靴底を、その最低点に揃える(これが砂に足を潜らせる理由の一つ)。
・ボール位置は胸骨の下。
・体重は50:50(ピンに近い場合、体重は左、遠い場合は右に寄せる)。
・3/4(スリー・クォーター)のトップ。
・下半身主導(手打ちは駄目)。
・左腕を伸ばしたまま(縮めるとトップしてホームランになる)。
・大きいフォロー。
・バンカー・ショットはリズムが大事。私の場合、「エイ、ヤッ!」という二拍子です。「エイ」で低く3/4にテイクアウェイし、「ヤッ!」で浅く砂を掃くことに専念します。思い切りよくスウィングして、大きなフォローを取るのがコツのようです。

 

上のようなことを練習で身につけたら、もうバンカーでは本能のままにスムーズに振り抜くべきだと思われます。考え過ぎて身体が強張ってしまうと失敗します。

【参考】胸骨の位置について: 「信ずる者は砂地獄から救われる」

(October 09, 2004)

パットにはトップ・スピン

'Better by Saturday...Putting'
by Top 100 Teachers with Dave Allen (Warner Books, 2004, $15.00)

「世界の一流プロに共通するパットの方法は、ボールをパターフェースの下半分で打つことだ。こうすると、ボールは一瞬滑るような動きをして、すぐトップ・スピンで転がって行く。これは意図したラインにボールを沿わせるもので、我々も模倣すべき手法と云える。

五枚ほどの硬貨をボールの後ろ15〜20cmに積み重ねる。これを崩さないようにパットする。硬貨に触らなければ、パター・フェースの下半分でストローク出来る。これによってラインをキープし、真っ直ぐカップに向かうチャンスが生まれる。

パターフェースの上部でボールに接触するパッティングはディセンディング(下降気味の)・ストロークであり、これはボールを一旦グリーンに叩き潰し、ピョンと空中に跳び上がらせ、狙った方向とは異なる方へバウンスさせてしまう。こういうパットは大体においてショートするに決まっている」

(October 11, 2004)

終わりよければ全てよし [Wie]

このシルエットのモデルが誰かはさておき、これは惚れ惚れするほど素晴らしいフィニッシュです。ボールは右方へ飛んでいるので、お臍はターゲットの遥か左を向いています。若い身体でないと、とてもこうは行きません。全体が“く”の字になっているところも凄い。普通はフィニッシュでは身体が一直線に立ってしまいます。こういう風に“く”の字で、しかもクラブがこんな風に首に巻き付くようなフィニッシュが出来たら、さぞ気持ちがいいだろうなあと思います。

この女性の十分の一にも達しないのですが、少なくとも右肩がターゲットを指すようなフィニッシュが出来ると、ボールの方向と距離は満足出来るものになることを経験しています。スウィングの細部にこだわるより「大きいフィニッシュ」を目指した時、いい結果が得られることが多いようです。

バンカー・ショットも大きなフォローを心掛けると、必ず脱出出来ます。

ピッチングでは、ピンと握手するようなフィニッシュが出来ると真っ直ぐ寄ります。

パッティングでもボールを目で追わずに、頭を残したフィニッシュが出来ればいい結果が待っています。

「終わりよければ全てよし」と云えるのではないでしょうか?

(October 13, 2004)

パッティングの要点

'A Woman's Own Golf Book'
by Barbara Puett and Jim Apfelbaum (St. Martin's Press, 1999, $21.95)

「・ボール位置はスタンス中央から5〜8 cm左。
・両肩と両肘を常にリラックスさせること(これはどのショットにも共通する)。
・ターゲット(カップあるいは目印)はじっくり見つめていいが、ボールは2秒以上長く見ないこと。ボールを長く見つめていると手から始まって全身が痺れて来る。筋肉も緊張する。私たち々のフォーカスはターゲットにあるべきで、ボールではない。
・バックストロークはゆっくり。ペンキを塗るように、あるいは猫を撫でるように。
・全てのパットはストレートである。勾配があったとしても、ターゲット(目印)に向かって真っ直ぐストロークする。パターでボールをカーヴさせようとしてはいけない。

あまり過度に結果に期待しないこと。最高のゴルファーでさえ、2 mの距離を沈められる確率はたった55%である。思うに、TVのゴルフ中継が私たちを惑わせるのだ。カメラはトーナメント・リーダーを追い、見事なパットばかり見せる。リーダーだからパットが好調で当然である。しかし、そのプロが翌週は不調で全く画面に出て来ないことだって珍しくない。1 mのパットには自信を持つべきだが、それ以上長いパットには運も影響する。虚心に、ボールにカップインする機会を与えることだけを考える」

(October 17, 2004)

トップの間(ま)の正体

これまで「トップの間」についてあれこれ書き抜いて来ましたが、やっと分りました。

「トップの間」はギア・チェンジなんです。車を運転する方はお分かりでしょう。自動車はR(後退)からそのまま前進は出来ません。オートマティックであろうとマニュアル・ミッションであろうと、一旦ギアを切り換えないといけない。ゴルフも同じ。R(バックスウィング)でトップに達したら、「ガチャ」とギア・チェンジしなければいけないのです。これがトップの間で、下半身のエンジンに「前進してよい」というキュー(合図)を与えます。

実際のスウィングでも、トップで心の中で「ガチャ」と呟いてギア・チェンジするといいようです。理想的には、左肩が顎の下に来た時がそのタイミングでしょう。

ギア・チェンジがはっきりしないスウィングは、何やら滑らかに流れているように感じられますが、その実手打ちになっていることが多い。少なくとも私の場合はそうです。ボールも流れるような(!)スライスになったりします:-)。

【参照】
・「Tommy Armourのトップの間(ま)」(tips_4.html)
・「“トップの間(ま)”賛否両論」(tips_2.html)
・「積極的躊躇」(tips_2.html)
・「“トップの間(ま)”検事側の証人」(tips_25.html)
・「Leadbetterのトップの間」(tips_40.html)

(October 19, 2004、増補May 30, 2015)

17°と21°のウッドを使いこなす

ユーティリティ・ウッド、レスキュー・クラブ、アイアン・ウッド、アプローチ・クラブ、どれが何やら解りませんが、最近のものになるほど低い重心によってボールが上がりやすく、距離も伸びているようです。以下の記事は飛距離の表現が標準的かどうか分りませんが、読者の飛距離に合わせて読み替えて下さい。

'Real Golf'
by David Gould (Andrews McMeal Publishing, 2002, $10.95)

「サウス・ダコタ州のインストラクターであるCraig Hatch(クレイグ・ハッチ)は、80や90で廻るゴルファーに二本のクラブの使い方を極めることを推奨する。その二本とは17°と21°のウッドである。

典型的なハンデ15の男性が17°のウッドで、通常の位置でグリップして打つと195ヤード飛ぶ。もし1インチ(2.54 cm)短く持つと、同じスウィングで飛距離は185ヤードとなる。2インチ(約5 cm)短く持つと175ヤードである。

同じように、21°のクラブを普通にグリップすれば170ヤード、同じスウィングで1インチ(2.54 cm)短く持つと160ヤード、2インチ(約5 cm)短く持つと150ヤードの飛距離となる。

【編者註:私のハイブリッドの21°は180〜190ヤードです。私は飛ばし屋ではありませんが】

練習場で17°と21°のウッドを1インチずつ短く持って、同じスウィングをしながら距離の違いを記憶する。20分も打てば十分。パー4の第二打や刻む場合に威力を発揮する。これは賢い方法である。

アイアン・セットを購入すると3番アイアン、4番アイアン、5番アイアンなどが含まれているので、人はこれらを使わないといけないような気にさせられる。また、人々はクラブを短く持つことに尻込みする。短く持つとグリップは細くなり、ボールに近く立たねばならず落ち着かないからだ。しかし、爪先上がりのライでは、誰もがクラブを短く持ち、ボールに近く立つではないか。尻込みする理由にはならない」

(October 22, 2004)

グリーン奥の土手から落とす

よくありますよね。池越えとか凄い打ち上げのグリーンで、グリーン奥の土手がストッパーになってくれているレイアウト。転げ落ちてくれればともかく、途中で止まってしまうとグリーンへの短く急な打ち下ろしが待っています(着地してすぐ止まらないと、ピンを越えてどんどん転がって行ってしまう)。

[Bank]

'The Scoring Zone'
Edited by Steve Hosid ('PGA Tour Partners Club,' 2000)

この本はPGA Tourのファン・クラブとも云うべきPartners Clubが発行したもので、多分会誌に連載した記事の総集編として会員に特典として配ったものでしょう。値段が書いてないのがその証拠です。Tom Lehman(トム・レーマン)、Bruce Fleisher(ブルース・フライシャー、現Champions Tour)、Billy Mayfair(ビリィ・メイフェアー)、Mark MacCumber(マーク・マカンバー)の四人が、主に150ヤード以内のショットについて蘊蓄を傾けるという趣向です。この項はMark MacCumber執筆のtip。

「急な打ち下ろしで落下地点がすぐ傍という場合は以下のようにする。ボール位置は右足の後方約30cm(かなり後ろ)、クラブフェースは自然に60°ぐらいに立つ。ボールが足よりも上なので、クラブは短く持つ。距離によるが、7番アイアンだと4番アイアンのロフトになるので、適宜調節する。短い距離ではサンドウェッジを使う。

下半身は極力動かさず、インパクトまで手首の角度を維持する。ソリッドなインパクトを迎えるように」

やってみました。ピンまで7mで、ボールは1.5mほど高い土手の中腹。ロブウェッジを使って、指示通りボールをかなり後ろに配置。グリーンも傾斜しているので落としどころはエッジの一寸内側。なんと、ピン傍に寄ってしまいました!ボールは上がりませんが、かといってベラボーにランが多いわけでもありません。これは使えます。

普通のロブ・ショットと比較すると、このMark MacCumber方式の方が安全です。得てして土手のあるグリーンは、土手からフェアウェイ方向に急勾配で下っているものです。ですから、着地点がエッジのすぐ内側でないとピンをオーヴァーします。バックスウィングの大きさは同じにして、エッジからピンまでの距離によって、ボール位置を右足から20cmにしたり10cmにしたり調節するのがいいようです(ロフトが増す)。上の指示にあるように、手首を使わないのがポイントです。距離感覚は練習してみるしかありません。あまり混んでいない日のラウンドで、土手を見つけてトライしてみましょう。

(October 24, 2004)

ウェッジの怪

練習グリーンの周りで、ロブウェッジによる寄せの練習をしていました。《ボールをスタンス中央より前方に置けば比較的高い軌道となり、ボールを止め易い》と云われています。それを試したのですが、ボールはどれもターゲットの右へ出ます。私のいつもの寄せではボールをスタンス中央からやや後方に置きます。これだと真っ直ぐ飛びます。どうして前に置くと右へ行くのか不思議でした。

「ライ角の重要性」という記事を読み返してみました。コース所属のPGAプロ(インストラクター)のJerry(ジェリィ)は「ヒールを浮かせばボールは右へ、トゥを浮かせば左へ行く」と云っていました。アドレスして、二つのヘッド位置によるフェースの変化を交互に調べてみました。ヘッドを後方に置いた時にはリーディング・エッジは完全に地面に接しています。そのままヘッドを前方に移すと…あれあれ?! 僅かですが左腕が上がりヒールも上がってしまうではありませんか。これでは右へ出て当然です。この傾向は何度やっても繰り返されました。

後方で構えたヘッドを前方に移すのでなく、ウェッジを緩く握ってスタンス前方にストンと置き、次いでグリップを締めるのであれば問題ありません。全体のリーディング・エッジは地面に接します。

どうして、前方・後方のボール位置によって私のポスチャーが自然に変化してしまうのか、そのカラクリは分りません。しかし、今後ボールを前方に置く場合の対応策は出来たわけです。それを忘れて右へ打つようだと、私は大間抜けということになります。

(October 24, 2004)

グリーンの読み方・達人篇

あるゴルフ場のコーチMichael Downey(マイケル・ダウニィ)は「ラインよりスピードの方が四倍も重要である」と説きます。勿論、ラインとスピード(ストロークの強さ)は不可分のものですが、スピードはブレイク(曲がり具合)を決定するもので、芝の長さやグリーンの湿り具合、勾配、風などを考慮に入れなければなりません。

'Putting in the Cup for Par'
by Michael Downey with Larry Dennis ('Player,' March/ April 2001)

「コース設計者がどこに雨水の捌け口を求めているか見極める。芝目はその方向に寝る。普通はグリーンの傾斜に沿ってボールが転がる筈だが、芝目によっては見た目の傾斜と反対にブレイクすることもある。

どのパットでもラインの横(低い側)から傾斜の度合いを確認し、次いでボールの後ろからブレイクを読む。過剰な分析は混乱を来たすだけなので、本能的な第一勘を信ずること。

上りのパットは強めに打たれるのでブレイクは少ない。下りは弱めに打たれるので、想像以上に傾斜の影響を受ける。もし、ストレートに見えるラインか、どちらに切れるのか分らないという場合、私は上りでは右に切れ、下りでは左に切れると考える。科学的根拠はなく経験則である。

 

プラムボビングなどを使ってもブレイクの有無が不明の場合、カップの後ろに廻ってラインをまたぐように立ってみる。両脚の間隔をやや広めにして、どちらの足が低くなり体重がかかるか感じ取る。その足の方向がボールの切れる方向である。

たいていのグリーン(特に古いデザインのグリーン)は、そうは見えなくてもグリーン奥から前方にかけて下り傾斜となっている。これを前提にすると、カップの右からのパットは右から左に切れる。カップの左からのパットは左から右に切れる。

短く刈られたベント・グリーンは芝目の影響は少ないが、アメリカ南部、ハワイ、カリブ諸島などのバミューダ・グリーンは夕日が沈む方向に順目となる。バミューダ・グリーンのカップを点検して、縁が荒れている方へ順目であることも覚えておく。

グリーンを歩く時、その表面の固さを感じ取る。湿気や乾燥の度合いはスピードへのヒントを与えてくれる。湿ったグリーンはブレイクが少ない。

(カップのライト・エッジとかレフト・エッジなどの)『エッジ』と云う言葉はよくない。イメージ上のカップ全体を左右にシフトし、常にカップの真ん中を狙うように考えれば、成功するパットの数が驚くほど増える。

一旦グリーンを読んだら、間を置かずにパットすること。パットの名人Dave Stockton(デイヴ・ストックトン)は、頭で描いたラインのイメージが薄れるのを恐れて、絶対に練習ストロークはしないと語っている」

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パットでは自信が大切。グリーンを読み終え、いったん結論を出したらもう迷わないようにしましょう。迷いや不安がルックアップを誘い、プルやプッシュを招きます。読みに自信が持てれば、頭を残したプロ並みのパッティングが実行出来ます。

(October 28, 2004)

顎を上げるな

カナダのプロGeorge Knudson(ジョージ・ヌードソン、1937〜1989)による“Ernie Els(アーニィ・エルス)への反論”。

'The Natural Golf swing'
by George Knudson with Lorne Rubenstein (McClelland & Stewart Ltd., 1988, $13.95)

「《アドレスで顎を上げろ》という説は、左肩が廻って行くための空間を作るためのものとされている。しかし、顎を上げたために生じる首の後ろのテンションは、肩の回転を制限してしまう。

“ナチュラル”なセットアップをする限り、無理に顎を上げたりする必要はない。自然なポスチャーを取れば、顎はちゃんとあるべきところに位置するものなのだ」

【参照】「顎を上げてアドレスせよ」

(October 30, 2004)

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