LPGAツァーの花形だった頃のKarrie Webb(カリィ・ウェッブ)によるラフからの脱出法。
'Tough It Out'
by Karrie Webb with Peter Morrice ('Golf Magazine,' September 2000)
「ボールが潜ってしまうようなラフでは、クラブがボールにクリーンに接触することが第一。そのためには急角度のスウィング軌道が必要。コンパクト・スウィングでクラブをボール目がけて落とせばよい。
急角度のスウィング軌道を得るためには、体重の多くを左足(ターゲット方向の足)にかけ、ボールはターゲットから遠い位置(両足の真ん中より後ろ)に置く。コントロールを良くするため、1インチ(3cm)ほどクラブを短く持つ。さらに、長い草にヘッドが絡まり左へ出易いので、フェースをオープン目にする。
以上は、ラフの深さによって適宜調整しなければならない。ボールが本当に埋まっているなら、体重をもっと前方に、ボールはもっと後方に、フェースももっと開く。
以上がちゃんとセット出来たら、ほぼ成功は疑いなし。クラブをややアウトに引いて、Out-to-Inの急角度のダウン・スウィングが確実になるように集中する。3/4スウィング、スウィングの間中左足重心を変えないこと。
爆発するような力でボールを出そうと思ってはいけない。スムーズなスウィングを心掛ける。ボールは必ず脱出すること、長いランがあることを念頭に置くこと」
(August 03, 2001、増補May 31, 2015、改訂January 01, 2017)
'Putting Out of Your Mind'
by Dr. Bob Rotella with Bob Cullen (Simon & Schuster Source, 2001, $23.00)
PGAプロ達の心理学的コーチとして活躍し、既に三冊の本を出しているBob Rotella(ボブ・ロテラ)によるパットだけの本。 「グリーンに上がる時に、まるで歯医者に行くように怯えるゴルファーが多い。ゴルフはスコアを勘定するゲームだから、いいスコアのためには上手にパットしなくてはならない。パットが好きになって、パッティングと一生続く色恋沙汰を始めるべきである。 パットが成功しようがしまいが関係無いという態度でパットせよ。あるいは、どういうストロークをしようが、カップに転げ込む運命にあると思ってパットせよ。Paul Azinger(ポール・エイジンガー)は『OKされたボールを打つようにパットしている』と語る。 パットのプレショット・ルーティンを実行中であっても心が他所にある人は、日曜に教会に座っていても仕事、学校、セックス、ゴルフなどについて考えている人と同じだ。心が伴わない行いは意味が無い。 いざストロークとなった時、ターゲットを見、ボールを見、ストロークする。これらの三つの動きの間に遅滞があってはならない。 人々は3パットしたがらない。次のパットのためにうまく寄せようとパットする。あまりオーヴァーせず、チビりもしないように。こういう態度は駄目だ。パットは入れるべきものだ。 ブレイク(曲がり)のあるパットにおいては、正しいラインは正しいスピードと結婚すべきものだ。名手Brad Faxon(ブラッド・ファクスン)は、練習グリーンで、カップから5フィート(約1.5m)の距離の、中程度のブレイクの場所を探す。三個のボールを使って、三種類のスピードでパットを成功させる。先ず、強めに打つ。ほとんど曲がらないので、正しい目標はカップの内側である。次に中程度の強さで打つ。ボールは曲がるので、狙いはカップの数インチ外になる。最後に、ソフトに打つ。これはかなり曲がる。Brad Faxonはカップの横から入れる。ラインは大抵の場合スピードと一心同体であり、不可分のものである。 |
私が誰にでも薦めるタッチとペース(速度)を鋭敏にする方法は、練習グリーンの縁にパットすることだ。これにはカップが無い方がいい。もし、どうしても物足りないならティーを差しても構わない。
いいパットをぶち壊す最悪の要因は、パッティングのメカニクスについて考えることだ。パッティングは自転車に乗ることや署名をするのと同じ、潜在意識で行なうのがベスト。脳と神経組織に最高の力を発揮するようにさせ、それを自意識で妨げることさえしなければ、結果は目を見張るようなものとなる」
(August 08, 2001)
プロに云わせると「バンカー・ショットは簡単。何しろ、ボールを打つ必要もない」とのこと。難しいホールでは直接ピンを狙わず、わざとバンカーに落としたりもします。U.S.オープン 2001におけるRetief Goosen(ラティーフ・グーサン)のバンカー・ショットも見事でした。三日目、四日目、ショットが定まらなかったRetief Goosenはかなりの数をバンカーに入れましたが、ほとんどワン・パット圏内に寄せていました。
私はバンカー・ショットが苦手でした。しかし、Retief Goosenのバンカー・ショットを見てから、事情は変わりました。
“エクスプロージョン”という言葉がありますね。「バンカー・ショットは砂を“爆発”させ、その煽りでボールを運ぶ」と云われていました。私などはそれを真に受けて、振り抜けないほどの砂を取っていたようです。しかし、Retief Goosenなど名手のバンカー・ショットは全く力がこもっていず、ほとんどピッチ・ショットと同じ感じです。
ある日、似たようなスウィングで軽〜く振ったところ、これがピン傍。あっけない思いでした。この時取った砂は紙一枚という感じ。「ドル紙幣を掬う感じ」というtipがありますが、全くその通りを実行出来ました。これには、最近仕入れたバウンスの少ないサンド・ウェッジが貢献したと思われます。これですと薄く砂を取り、軽く振り抜くことが出来ます。
思うに“エクスプロージョン・ショット”という言葉は誤解を招き、砂地獄への招待状みたいなものですね。目玉や顎が高くて近い場合には“エクスプロージョン”しなければならないでしょうが、普通はそんな馬鹿力は要らず、ピッチ・ショットと何ら変わりません。違いは、公然とダフるだけ:-)。
“エクスプロージョン”なるイメージを私の頭に植えつけた本やプロの言葉を恨みます。
【参照】「最大コックがバンカー・ショットの決め手」(tips_193.html)
(August 12, 2001、追補January 06, 2019)
LPGAツァー時代賞金王として名を馳せ、現在はTVでのトーナメント解説者として活躍中のJudy Rankin(ジュディ・ランキン)による、バンカーショットの秘訣。
'Tempo in the Sand'
by Judy Rankin ('A Supplement to Golf Digest Woman,' 2000)
「比較的いいライのバンカー脱出の秘訣は、いいテンポである。テンポに集中すると、伸び伸びした淀みないスウィングが可能になる。ゴルフにおける“テンポ”とは、正確なスウィングの速度を維持することを意味する。
他のショット同様、バンカー・ショットでも加速は必要だが、それはヘッドの重さと重力の作用であって、人間の努力によるものではない。
“爆発”というような言葉が暗示する短く、荒っぽい砂への一撃ではなく、長く、スムーズなストロークを試みなさい。
テンポの感覚を身につけるには、一定のリズムを持つ心地好い歌かダンスのステップを思い浮かべる。そのリズムをスウィングに適用する。LPGAツァーのバンカー・ショットの名手達のストロークの長さに注目。彼等はみなスムーズな3/4スウィングをしている」
(August 12, 2001、増補May 31, 2015)
スポーツ心理学者Dr. Bob Rotella(ボブ・ロテラ博士)のショートゲームの心構え。
'Putting Out of Your Mind'
by Dr. Bob Rotella with Bob Cullen (Simon & Schuster Source, $23.00, 2001)
「優秀なゴルファーはウェッジ・ショットをカップの近くに、あるいは直接チップインするように打つ。
いいチッパー、ピッチャーが最重要と考えることは、ある距離からはチップインさせようとすることだ。これはパットの名手が常にボールをねじ込もうとするのと同じ。彼等は近づけようとしたり、上りのラインを残そうなどと考えない。両者に共通するのは、その一打でホールアウトすることだ。
いいチッパー、ピッチャーは寄せワン、あるいはチップインに恋していて、そのための練習も大好きである。PGA Tourプロがグリーン周りの練習に一時間半費やすのは共通の傾向だ。
アマチュアの多くは短いショットで、(特にタイトなライから)トップしたりダフったりすることを恐れる。これに対する最良の処方は、禿げた地面からの練習を重ねることだ。
どんなライからでもウェッジが打てるように熟練するまで、タイトなライからパターを使うのは悪い考えではない。スコットランド人がゴルフを発明したわけだが、グリーンから40ヤード以内ではどんな場所からでも彼等はパターを使ったものだ。しかし、悪いライでウェッジ使用を諦めるような段階では、あなたは自己ベストのゴルフを期待出来ないだろう」
(August 15, 2001、増補May 31, 2015)
'Golf Digest' 2001年9月号の読者欄に「記事のおかげで30〜40ヤード距離が増えました」とか、「アイアンで15〜20ヤード、ウッドではもっと飛距離が増えました」とかいう投稿がありました。これは下記の記事に対する反響です。
'The Y Factor'
by Jim MacLean with Ed Weathers ('Golf Digest,' July, 2001)
インストラクターJim MacLean(ジム・マクレイン)は有名プロやアマチュアのスウィングをヴィデオに収め、アドレス時からどれだけ左肩が飛行線後方に移動するか、その左肩はどれだけ下がるか、アドレス時からどれだけ頭が飛行線後方に移動するかなどを調べました。
その結果、有名プロにとって「不動の頭」、「背骨を中心に回転する」などはもはや反古であり、誰もが多かれ少なかれ飛球線後方にスウェイし、同時に頭も水平移動していることが分ったそうです。彼の集めたデータは種類が多いのですが、特に肩と頭の部分を中心に引用します。
・左肩の後方への移動幅
Tiger Woods | 48cm | |
Shigeki Maruyama | 32cm | |
David Duval | 31cm | |
Se Ri Pak | 43cm | |
Karrie Webb | 41cm | |
Annika Sorensta | 34cm |
・頭の(右への)水平移動幅
Tiger Woods | 13cm | |
Shigeki Maruyama | 4cm | |
David Duval | 3cm | |
Se Ri Pak | 18cm | |
Karrie Webb | 14cm | |
Annika Sorensta | 10cm |
プロは背骨の角度を維持するために、廻しながら肩を8〜12 cmほど下げますが、頭の上下動はありません。ここで重要なのは“飛ばし屋”であればあるほど肩の捻転、それに追随する頭の水平移動巾が大きいことです。
読者の一人は「肩の移動を最大にして練習したが、当初はテンプラや力の抜けたショットばかり。その原因を突き止めると、折角後方にスウェイしたのにインパクトでターゲット方向に身体を戻していたのだった。頭を右踵上にキープしたままインパクトを迎えるように専念し、30〜40ヤード飛距離を増すことが出来た」とリポートしています。
Jim MacLeanはこの読者に「あなたの発見を祝したい。全てのクラブでそうだが、特にドライヴァーではパワー生成のため頭をボール後方に保持すべきだ。我々の調査ではプロの頭は、インパクト時に平均22cmはボール後方にある。これはアドレスした時より8cm後ろである」と付け加えています。つまり、頭はインパクトまでボールより前方に出ないということです。もっと積極的な例もあります。Jim Flick(ジム・フリック)は現在のJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のコーチですが、
'100 Top Tips'
by Jim Flick et al. ('Golf Magazine,' June 2001)
「ダウン・スウィングでJack Nicklausの頭は実際には数インチ右へ動く。これがインパクトの時点で彼をボールの背後のパワー・ポジションに位置せしめる。アマチュアはダウンスウィングで往々にしてターゲット方向にスライドしてしまい、弱く撫でるようなヒッティングになってしまう」
次のはTiger Woods(タイガー・ウッズ)のコーチ"Butch" Harmon(ブッチ・ハーモン)の言葉。
'The Four Cornerstones of Winning Golf'
by Claude "Butch" Harmon, Jr. and Hohn Andrisani (Simon & Schuster, 1996, $15.00)
「私は飛球線後方への2〜3インチの頭の水平移動は容認していいと考える。特にドライヴァーを打つ場合は。しかしながら、頭の縦の上下動は、フォロー・スルー以前のどの部分にもあってはならない。頭や上体の縦の動きはダフるかトップという、ガックリする悪いショットの原因にしかならないからだ」
私の場合、飛距離が増えたとまでは行きませんが、身体のスライドが減ってトップが少なくなった気がします。「グワシッ!」というスウィート・スポットで打った感覚が得られます。また、ボール後方に錨を下ろすことになるため、砲丸投げのように遠心力を使った快いスウィングになります。
(August 29, 2001、改訂January 01, 2017)
「両手の向きとグリップ」で「まだ発見出来ませんが、生得の掌の向きに合わせた正しいグリップという理論が、どこかにあるような気がする」と書きました。これは新発見のパッティング・グリップ篇。
'Hands Down'
by Anonymous ('Golf Digest,' September 2001)
「両手の掌が向き合うのが伝統的パッティング・グリップとされている。一応自然に見える。しかし、次の要素が無視されている。軽く上体を折って両手をぶら下げた時、両手の掌は互いに向き合うのではなく、身体の方を向いていないだろうか?その通りにパターを持つのが、より自然ではないのか?
パターを握った時、左手の親指は(パターのグリップの)右外側に位置し、右手親指は左外側に位置する(どちらも親指の内側の端だけがパターに接する。親指の裏全体ではない)。結果として、見下ろした時に両手の甲が見えなくてはならない。
このグリップを用いると、ストロークの間に手首が折れることが無いため、両腕で作られる三角形が維持出来て、ストロークの間中フェースをスクウェアに保つことが可能になる。その結果は正確度に結びつく」
(September 04, 2001)
「両手の向きとグリップ」で「まだ発見出来ませんが、生得の掌の向きに合わせた正しいグリップという理論が、どこかにあるような気がする」と書きました。これは新発見のスウィング・グリップ篇。
'Power Options'
by Laird Small with Lorin Anderson ('Senior Golfer,' March 2001)
「大方のゴルファーはウィーク・グリップを採用している。これはスウィングの間の両手の折れ具合を制限してしまい、従ってパワーを損なう原因となる。
あなたの自然なポスチャーにマッチするグリップの見つけ方:先ず、左腕を左脚の前にだらんと下げる。そのままの状態の左手にクラブを滑り込ませる。そして、左掌に向き合うように右手を添える。これがあなたのニュートラルな(ウィークでもストロングでもない)グリップだ。これは手首の最大限の折れ具合を許し、同時にインパクトでクラブフェースをスクウェアに保ち易い」
これを実践するのは簡単です。普通のポスチャーを作ってから(両足を開き、腰を折る)左の太股前方にクラブを立てかけます(右利きの場合)。左手をダラリとさせ、掌の向きを自然の状態にして、そのままクラブを握ればいいのです。私の場合、この形のグリップだとかなり伏せ目に握ることになりフックが多発しそうで恐かったのですが、やってみるとそれは全く杞憂でした。フェードやフックという軌道の調整は、右手のグリップだけでやることになりそうです。
(September 04, 2001)
'How I Shot 59'
by Annika Sorenstam with Dave Allen ('Golf Magazine,' June 2001)
Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)は、2001年3月にLPGA Tour公式記録初の59を達成しました。
「人々は私がこの日に18ホール全てパー・オンしたことを大変なことのように話す。でも、そんなことは前にもやってるの。全てのパットを規定通り成功させたことが無かっただけ。
過去二年間Karrie Webb(カリィ・ウェッブ)が独走していた。私は彼女のゲームをつぶさに観察した。彼女はボール運びが上手く、グリーンを規定打数で捉えた。その上、彼女はパットを成功させた。それが毎週アンダー・パーで廻っていた理由だった。もっとパットを成功させること—私が彼女に追いつくにはそれしかなかった。
以前の私のパット練習法は、ラインよりは感覚を大事にしたものだった。現在は右手だけで50〜100パット、まさにいいストロークを目指す。次にホールから9〜15フィート(2.7〜4.6m)の間に三つのティーを刺す。各々のティーにボールを置き、短いものからラインを読み、カップ・インさせる。三通りの距離を成功させたら、ホールを中心に別の角度で同じ練習方法をして一周する。
そういう練習を今年の初めから継続して来た。こんなに早くいい結果(59)が出るのであれば、残りの月日で何が起るのか待ち切れないわ」
(September 11, 2001)
'Five Musts for High-Spinning Wedges'
by Bill Moretti with Kathryn Maloney ('Golf Magazine,' June 2000)
私は馬鹿の一つ覚えでロブ・ウェッジを使います。ひと頃はピン傍にポコポコ寄っていたのですが、最近ランが増えて計算が難しくなっています。もっとスピンがかかればいいのですが。インストラクターBill Moretti(ビル・モレッティ)は最高にスピンがかかる方法を教えてくれます。 Bill Morettiは、先ずライの重要性を指摘します。「ボールが芝の上に浮いていて、ボールの後ろとクラブの間には草が入らないこと。 ポスチャーは「体重の殆どを左脚に、上体を若干ターゲット寄りに。これはターフの前にボールに接触する急角度のスウィングを推進する。オープンなスタンスも、過度の平行移動を防止し、バックスウィングの長さを制限するために重要。 バックスウィングの間、アドレス時の重心をキープする。アップライトなスウィング・パス。 インパクトでは左手首がボールの前方になるため、シャフトはターゲット方向に先行・傾斜する。右膝もボールの前方を指す。このインパクト・ポジションを鏡でチェックすること。 インパクト前後で右腕を左腕の上に返さない。その代り、右半身全体を回転させる。これは加速を促進し、掬い上げを阻止する。クラブフェースでボールを押しつぶす感覚が得られればベスト」 問題は、私には「ボールを打った後、ターフを取る」という打ち方が出来ないことです。これは生まれ、育ちの問題です。芝生など無い家に育ったものですから、恐れ多くてとても芝生を傷つけられない。私の通常のショットはクリーンに、芝の上部を撫でる打ち方です。ターフを取るのはダフった時だけで、これは不可抗力。意図したものではありません。 そういう打ち方では、どうも最高のスピンはかからないようですね。残念。 |
この号の'Golf Magazine'は皮肉な編集になっていて、「ロブはお止めなさい」という辛口の記事も掲載されています。
'High Anxiety'
by Darrell Kestner with Dave Allen ('Golf Magazine,' June 2000)
「以前に増してアマチュアが担いでいる一本のクラブはロブ・ウェッジだ。他のウェッジより簡単に打てるからというわけではない。逆だ。アマチュアが何故ロブ・ウェッジを好むかというと、プロ達がこのクラブで驚異のプレイを展開するからだ。ボールは高く上がり、ソフトに着地、くるくると踊りながらホールへ入り込む。正しく使われれば、アマがプロに見えるクラブではある。
実際のところ、アヴァレージ・ゴルファーはロブ・ウェッジの練習をほとんどしないし、どういう場面で使ったらいいかも知らない。結果として、ストロークを減らすより増やす要素になっている。
ロブ・ウェッジはアマチュアにはとりわけ難しいクラブだ。短い距離に長いスウィングを必要とする。そして、失敗した場合の許容度が小さい。トップ、掬い打ち、垂直ジャンプ・ボールなどの危険が待っている。
私はロブ・ウェッジを絶対に使うなと云っているわけではない。しかし、大抵のショート・ゲームにおいては、ロフトが小さければ危険も少ない」
こういう前置きで、二つの例が挙げられています。「受けている20ヤードの距離」では、手で高くボールを放って、いかにそれを止めるのが難しいかを説明し、バンプ・アンド・ランを奨励します。「深いラフ」の例では、ドライヴァー用にティーアップしたボールをロブ・ウェッジでジャスト・ミートする難しさを示し、9番アイアンかピッチング・ウェッジによる短めのスウィングを推奨します。
まあ、高級なコースでグリーン周りが絨毯のような芝でびっしり覆われていれば、無難な“転がし”ショットも出来ましょう。ほぼ凸凹が無いわけですから。しかし、私がこちらでプレイ出来るパブリックは、いずれもフェアウェイに禿げちょろけがあったり、凸凹があったりします。こういう地形ではどんなイレギュラー・バウンスがあるか分ったもんではありません。私がロブを多用するのは、こういう理由からです。
ただ、最近は“芸域”が広がって来て、木の枝が軌道を妨げている場合はバンプ・アンド・ランをやります。地面が湿っている場合はパターで転がします。湿っているとザックリになり易いということを学んだからです。
また、ウェッジの表面がツルツルになるほど練習していますから、私には筆者Darrell Kestner(ダレル・ケストナー)の批判は当てはまらないのです:-)。
(October 02, 2001)
'Golf My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Simon & Schuster, 1974, $14.00)
「ハイ・レヴェルのゴルファーでない限り、クラブフェースはスクウェアにすべきである。普通は本能的にクラブフェースが向いている方向に合わせて身体をセットしてしまうからだ。
フックのために右を狙ったとしても、フェードのために左を狙ってカットしようとしても、問題は大抵のゴルファーがそういう風にスウィング出来ないことだ。ダウンスウィングの際、身体のアライメントに沿ってではなく、本能的にターゲット・ラインに沿って振ってしまう。右を狙った場合の結果は、アウトサイドからボールを打つことになり、プルかプル・スライス(左へ出て右へカーヴ)になる。左を狙った場合、インサイドからボールを打つため、プッシュあるいはプッシュ・フック(右へ出て左へカーヴ)という結果になってしまう。
私の若い頃は、フェードを打とうとするとダウンスウィングでアウトサイドから振り下ろさなくてはならず、脚、腰、両手の加減によってはスライスになることも珍しくなかった。
ある時、アドレスで全てやってしまったらどうか?と閃いた。身体を若干左に向け、僅かにクラブフェースをオープンにする。そして、身体の線(両足、腰、両肩に平行なライン)に沿った自然な軌道で普通のスウィングをする。これは非常に簡単で、しかも自由にパワフルにボールを打てる。
ドローを打つ場合は、右を狙って若干クラブフェースをクローズにし、身体の線に沿って、脚の動きを抑え両手の動きを早めながらスウィングする。
アドレスの際注意しなければならないのは、両足を意図した方向に向けたからといって、身体全体が連動するとは限らないことだ。一番重要なのは両肩である。足の向きに関係なく、無意識に両肩を結ぶ線に沿ってスウィングしてしまうものだからだ」
(October 09, 2001、改訂December 04, 2015)
'On Learning Golf'
by Percy Boomer (Alfred A. Knopf, Inc., 1946, $22.00)
「逆説的ゴルフ」のPercy Boomer(パーシイ・ブーマー)はイギリスのプロですが、後年パリ郊外のゴルフ場に所属してインストラクターをしつつ、欧州の数々のトーナメントで優勝しました。その時期に、彼が10フランで購入したゴルフ教本'Le Jeu de Mail'は200年も前のものなのに、現在の教えにそっくりだと驚いたそうです。以下は「身体の構え」と題する章を、彼が英訳したもの。フランスのプロJean Van de Verde(ジャン・ヴァン・デ・ヴェルデ)は原本で読んでいるかも知れません。
「身体は真っ直ぐでも、カーヴしてもいけない。やや曲げるべきである(原註:"curved"と"bent"のニュアンスに注意。数世紀前に、既に彼等は言葉を選ぶのに注意深かった)。打つ時は腰(reins)の力によって引き上げられるべきである。ボールを視界から失わずに、腰からゆっくりと後方にターンする。これは腰によるプレイ(あるいはピヴォット)と呼ぶ身体の半回転で、それがクラブヘッドの広い円をもたらす。
クラブは急激に持ち上げられるべきではなく、持ち去られる(原註:最近はスウェイと云う)のを許してもいけない。力強くスウィング・プレーンに沿って("sur le champ")打つために、スウィングのトップで一寸待つ("se tenir un instant")。身体、両脚、両腕の位置を変えずに、手首の力("la force du poignet")を増す。これによってアドレスで調整された調和を保つことが出来る」
「スウィングのトップで一寸待つ」というのは“トップの間(ま)”ではありませんか。これは驚きです。
(October 21, 2001、改訂May 31, 2015)
'Putts to Die for'
by Annika Sorenstam ('Golf Magazine,' August 2001)
LPGA名誉の殿堂入りしたAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)によるパットの秘訣。
「59はどう達成されたか?バーディ・パットが沢山入ったから。私の場合、“入った”ではなく、ホールで“死んだ”から。果敢に攻めて長い戻りのパットを残すより、私はゆっくり転がってカップの中で死ぬパットを好む。LPGA最初の59を記録した日、私は11個のワン・パットでバーディを決め、失敗しても易しいタップ・インのパーが残っただけだった。
アマチュアのプレイを見ていて感じる問題点は、(3フィートであれ30フィートのパットであれ)彼等がラインのことばかり考えていることだ。彼等はパッティングの最重要な要素“スピード”を忘れている。スピードが正しければ3パットは起り得ない。
スピードをマスターするには、ミスしてもホールを18インチ(4.6 cm)以上通過しない程度の強さでストロークする。この一定の強さを身につけることによって、グリーンの読み方に上達出来る。強く打つ傾向の人は、曲がりの多いパットに合わせられないため辛い思いをする。
パットのラインの中ほどの低い側に立ち、勾配と距離を測定する。ボールとホールを見ながら、同じ場所で素振りをする。
パットの長さはバックストロークの長さで決める。ボールに向って加速すること。たとえ、下りのパットであっても加速しなければならない。オーヴァーするのが恐いなら、バックストロークを短くする。
ボールの後ろに立ち、パットの全行程を視覚化する。ラインが見えたら、その最も高い海抜地点を狙って打つ」
(October 24, 2001)
'All Woods Are Not Created Equal'
by Editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' December 2000)
「ドライヴァーは3番ウッドとは一寸違うスウィングが必要なのは知ってましたか?そして、5番ウッドや7番ウッドは、3番ウッドとはまた違うスウィングが必要であることは?ハイ・ハンデの人間はこんなことを知らないか、知っていてもどう実行していいか分らない。これが、発展途上のゴルファーが、5番ウッドはうまく打てても3番ウッドと格闘する主な理由である。 ・ドライヴァー ドライヴァーはスウィングの弧の最低点から上昇し始めるところでボールを打つべく作られている。その結果最小のバックスピンによる軌道、最大のキャリーとランをもたらす。 アセンディング・ブローを実現するには、 ・3番ウッド、4番ウッド これらはディヴォットをほとんど取らず、クラブヘッドが芝を掃くようにスウィングするのが理想である。 掃くようなスウィングを実現するには、 ・5番ウッド、7番ウッド |
これらはグリーンを狙うクラブだから、飛ばすのではなく正確度が再優先である。バックスピンをかけて、着地後出来るだけ早く停止させることも大切だ。そのためには弧の最低点へ向う一歩手前の、下降中にインパクトを迎える必要がある。
ディセンディング・ブローを実現するには、
1) 胸の中心の左のポイントの延長線上にボールを置く。
2) 両手をターゲット方向に若干プレスする。
以上の全ては、等身大の鏡でチェックするのが望ましい」
経験的にやってはいましたが、「知っていたか?」と問われるとそう系統立てて知っていたわけではありません。特に5番ウッドはディセンディング・ブローで打つというのは初耳でした。ある日、5番ウッドをディセンディング・ブロー専門で打ってみました。いやはや、惨憺たる有り様でした。ザックリばかりで、距離は出ないわ、腕に衝撃が走るわ…で。その後、3番ウッドと全く同じ掃くスウィングで打ってみましたが、これですと惚れ惚れするほど理想的に飛びます。私の場合、5番ウッドは以前から両足の真ん中に置いています。ですから、もともとディセンディング・ブローの要素が備わっていたわけですね。それを更に鋭角に降り下ろしたからザックリになったのでしょう。
(October 28, 2001)
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