Golf Tips Vol. 12

Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)の遺産

'And If You Play Golf, You're My friend'
by Harvey Penick with Bud Shrake (Simon & Schuster, 1993, $21.00)

Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)は四冊の本を遺していますが(英語版では四冊から抜粋して合本としたものも刊行されている)、その二冊目は緑色のカヴァーなので'Little Green Book'(リトル・グリーン・ブック)と呼ばれています。最初の'Little Red book'(リトル・レッド・ブック)に較べると読み物が多く、残念ながらスウィングやパットの秘訣といったものは多くありません。

[Harvey]

'Harvey Penick's Little Green Video'
(HPG Home Video, Inc., 1994, 45 minutes, $14.95)

Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)の'Little Green Book'のヴィデオ版。

'Little Red Video'とどう違うのかというと、これがほぼ同工異曲(まあ、本にもインストラクション風な記述が少ないので当然でしょうが)。'Little Red Video'では練習方法の一つでBen Crenshaw(ベン・クレンショー)がバケツを振ったので、こっちではTom Kite(トム・カイト)がバケツ当番。せいぜいその程度の違い。Harvey Penickのトークはこちらの方が分量が多くなっていて、おまけにずっと聞き取り易い喋り方です。'Little Red Video'が整然と格調高い作りを目指していたのに対し、こちらは説明がより詳しい。ヴィデオの中に'Ten Tips'としてHarvey Penickが重要視した項目がまとめられています。

【Harvey Penick's Ten Tips】

(1) グリップをチェックせよ
  スライスやフックもスウィングをいじらないで、グリップで直せる場合もあるし、正しいと思っていてもいつのまにか間違ったグリップになっていることもあります。

(2) スローモーション・ドリルを怠るな
  非常にゆっくりスウィングする練習。スウィングの点検になると同時に、マスル・メモリに動きをインプット出来ます。ダウン・スウィングでクラブが垂直になったらトップへ戻し、これを四回繰り返してフォロー・スルーに続ける。

(3) 雑草カッターを使え
  重くて長い道具なので、スウィングの基本を身につけるのに最適というわけですが、日本ではどこでも買えるという代物ではないでしょうね。

(4) 一本のクラブをマスターせよ
  7番アイアンあたりがお薦めで、低いボール、高いボール、スライス、フック等を打ち分けられるようにする。

(5) ショート・ゲームに習熟せよ
  5ストロークは縮まる。

(6) ウォームアップを忘れるな
  スタート直後の連続ボギーを防げる。ティー・ペグを弾く練習だけでもよい。

(7) 日記を付けろ
  弱点を克服するための次回への課題など。

(8) 3番ウッドでスタートせよ
  距離よりは、望むところへ真っ直ぐ飛ばすことが大事。

(9) 強くヒットせよ
  長いクラブでいい加減なスウィングをするのはいけない。バランスを崩さない程度に強くヒットする。必要ならクラブを短く持つ。

(10) デッドに狙え
   これはHarvey Penickの十八番です。「いまあなたの人生で最重要なことは、ターゲットをデッドに狙うこと。他の全てのことは忘れなさい」

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(January 10, 1999)


右膝を入れる

Tommy Armour's 'Classic Golf Tips' (Video)
(MasterGrip, Inc., 1994, 40 minutes, $14.95)

Tommy Armour(トミィ・アーマー)の同名の本に基づいて、彼の孫でPGAプロフェッショナルのTommy Armour IIIが実演して見せるヴィデオ。「トップの間(ま)」があるようには見えないので、孫はそれを実践していないか、ベラボーに短い「間」のようです。

ときどき晩年のTommy Armour自身のモノクロ映像も出て来ますが、なんか私の周りのシニアの一人みたいで、迫力がありません。「斬新な特撮を採用」というのが何かと思ったら、親指カメラをパター・シャフトに付けて、スクウェアに当たったかどうかが分るというだけでした。

Tommy Armourの教えの一つは、「パワーを加えるために、ダウンスウィングでターゲット方向に右膝を入れる」というのがあります。「アンダーハンドでボールを投げる時と同じ、これが数ヤード距離を伸ばす筈だ」。彼の孫はこれを最大限に実行しているのが分ります。オーヴァー気味なほど押し込んでいます。

(January 10, 1999)


スウィングしなけりゃ意味がない
[Ernest Jones]

Ernest Jones(アーネスト・ジョーンズ)は、第一次大戦前にイギリスのプロとしてKent Cupなどのトーナメントに優勝。大戦に従軍し、右下肢切断という運命に見舞われますが、退院して間もなく、松葉杖で歩き一本脚でスウィングするというゴルフに挑戦。OUTは38、INは慣れない松葉杖歩行に疲れ果てたため45でした。その後72、70というようなスコアを出し、義足を得てからはKent Cupで二度目の優勝をします。一本脚でもバランス良くプレイ出来ることを証明した快挙でした。その後アメリカに渡り、インストラクターとして活躍しました。

'Swing the Clubhead'
by Ernest Jones with David Eisenberg (Dodd, Mead & Company, 1952)

この本は5歳半の女の子がクラブを振っている連続写真で始まります。「この子はゴルファーが1,000人いたら999人が羨むような、楽な振り方でクラブを振っている。U.S.オープンを見に行ってもここまで完璧なスウィングはそうお目にかかれない」5歳半の子供ですから、理屈も理論も何にも知らないわけです。理屈や理論に邪魔されず、無心に振っているからいいのだとErnest Jonesは云います。「スウィングは一瞬のアクションなのだから、一つ以上のことが考えられるわけがない。左腕を伸ばすだの、右腕を脇から離すなとかに拘るのはゴルフを台無しにする因である。百足(ムカデ)が一本一本の足の動きを考え出したら歩けなくなってしまうのと同じだ。他の全てを忘れて、クラブヘッドをスウィングすることに専念せよ」

Ernest Jonesは口を酸っぱくして(自称「口うるさい女房のように」)「ゴルフはスウィングである。Hitするのではない。力強くボールを打つにはクラブヘッドを速く動かす必要がある。だが、スウィングする以外にクラブヘッドを速く動かすことは不可能だ」と云います。

Ernest Jonesの有名な解説法:ハンケチに小型のナイフ(でもなんでもいい)を結びつけ、左右に振る。ナイフがスムーズに振れれば、それがスウィングの原理。テコのような動きではパワーは伝わらない。次に、ナイフを結んだハンケチをクラブと一緒に振る。正しいスウィングならナイフがクラブヘッドに追随する。

「ダッファーがたまたまいいスウィングをすることがある。ウォーター・ハザードがあるので、その手前に刻むというような場合だ。刻むのだから目一杯の距離を出す必要は無い。これがのびのびしたスウィングの引き金となり、ジャストミートしたボールは当人も驚くほど良く伸び、哀れウォーター・ハザードに飛び込んでしまう」

タイトルはDuke Ellington(デューク・エリントン)の曲:'It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)'から。

(January 12, 1999)


飛距離を伸ばす

「高あ〜いティーアップ」による練習というのを「汝のドライヴァーを愛せよ」で紹介しましたが、練習法としてではなく実際のティー・ショットで使うという記事がありました。

'Max out your ball'
by Josh Zander and Art Chou ('Golf Digest,' February 1999)

この記事の骨子は「飛距離を伸ばすにはバックスピン率を低くし、アッパーに打つこと」というもの。これによって15ヤードは伸びるそうです。

バックスピン率を低くするには、
・ロフトの少ないクラブを使う
・フラットにスウィングする

アッパーに打つには
・ボール位置をターゲット方向に寄せる
・高いティーを使う
・右肩を低く構える
・右に重心を残すように打つ

バックスピン率を低くするとスライスやフックが出易い等、各項目が孕む危険性にも触れているので親切な記事です。

さて、今回の「高あ〜いティーアップ」は3インチ(7.6cm)以上のティー・ペグを購入するか、スコア記入用の鉛筆を使うのだそうです。なおかつ、ボールの南半球を打つこと。アップライトなスウィングだとてんぷらになり易いので、フラットなスウィングがお薦めだそうです。

(January 13, 1999)


下りのパット、上りのパット

'The Golf Channel'の講座でDave Pelz(デイヴ・ペルツ)が教えてくれたTips。

1) 上りのパットではボールから数10cm〜数m(勾配による)下のところで素振りをし、下りではカップに近いところ(これも勾配による)で素振りをする。

これは目から入る情報によって脳が手に距離感を指示するというメカニズムを逆手に取って、脳を胡麻かすわけです。上りのパットの場合は実際より遠いという情報をインプットして強めのパットを指令させ、下りの場合はより短いという情報によって弱めを指示させるという仕掛け。しかし、折角脳を胡麻かしても、正式アドレス後にじっくりカップを見てしまっては元の木阿弥だと思いますが。

2) 凄い下りのパットはパターのトゥ(つま先)寄りで打つ。

スウィート・スポットで打つとどんどこ転げ落ちてしまいますが、スウィート・スポットの周辺を使うことによって衝撃を和らげるという頭脳作戦。ひょろひょろと転がるので、距離は伸びません。何度もやってみてますが、これは使えるテクニックです。

(January 13, 1999)


プラム・ボビング(Plumb-bobbing)

パターを目の前にぶら下げてグリーンの傾斜を読む方法ですが、ショート・ゲームGuruのDave Pelzは「あれは既に感じ取ったことを再確認する方法に過ぎない。覚える必要は無い」と、全く無視しています(The Golf Channellの講座)。

'Putt Like The Pros'
by Dave Pelz with Nick Mastroni (HarperPernnial, 1991)

Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)のこの本には'To bob or not to bob'という一節がありますが、「プレイヤーの位置と姿勢によって、ラインがどれだけ曲がるかは三通りにもなる。しかもそのどれもが、実際には曲がり具合をコントロールする要素であるパットの強さを教えてはくれない」

(January 13, 1999)


ブレイク

Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)がどっかで書いていました。「ゴルファーはグリーンの勾配から正しくラインを読んだとしても、いくら何でもそう大きくは曲がらないだろうと、つい下方修正して失敗してしまう。勾配を小さく見積もらないこと。直感が常に正しい」これを読んでから、かなり大胆に勾配を見積もるようにしていますが、それでも滅多にプロ・サイド(ホールの上)には行きません。まだまだ大胆さが足りないわけです。

(January 13, 1999)


高い弾道、低い弾道

'Scrambling Golf: How to Get Out of Trouble and Into the Cup'
by George Peper (Prentice-Hall, Inc., 1977)

高い弾道が必要な時は、目の前に木がある時などです。

「このショットの要素としては、どの程度木に近いか、グリーンからどの程度遠いのかの二点がある。しかし木を越えるのが最大の課題なので、グリーンとの距離は無視すべきである。

木のてっぺんを越すことが可能なクラブを選び、ボールが普通より左足寄り(2.5cm〜5cm)になるようにアドレス。どの程度左かは、木の高さと木までの距離によって調整する。ボールの後ろに重心が留まるようにスウィングし、伸び上がらないように注意する(アッパーにヒットすべきなのに、伸び上がるとダウンブローになってしまう)。

もし、木から非常に近い場合はピッチング・ウェッジがベスト(サンド・ウェッジではない)。オープンに構え、クラブヘッドを寝かせて最大限のロフトを得る。これで木が越えられなければ、このルートを選んだあなたの判断が悪かったという結論になる」

低い弾道が必要なのは、目の前に木の枝があって越えられない場合。

「この場合も低い弾道を得るのが優先課題なので、グリーンまでの距離は二の次になる。ロング・アイアン(2番、3番、4番)を選び、ボールが普通より右足寄り(2.5cm〜5cm)になるようにセットする。これで必然的に両手はクラブヘッドより先行した形になる。低めのバックスウィング、フォローも低めにターゲットを指すようにスウィング」

筆者のGeorge Peper(ジョージ・ペパー)は高い弾道、低い弾道の双方に共通する重要事項として、「ゆったりとスウィングし、ヘッドアップしないこと」とまとめています。こういう特殊な状況下のゴルファーの自然の傾向として、スウィングが速くなり、結果見たさにヘッドアップしてしまうから…だそうです。「誰でも知っている通り、これらによって得られるのは惨めなフォロースルーでしかない」

(February 07, 1999)


Tom Watson(トム・ワトスン)のテンポ

名人Tom Watson(トム・ワトスン)が薦める理想的テンポのモデル。

'Tempo: How to find it and How to keep it'
by Tom Watson with Nick seiz ('Golf Digest' January, 1992)

「あるアヴァレージ・ゴルファーが教えてくれたtip:ミュージカル'Sound of Music'の中にEdelweiss(エーデルワイス)という曲がある。この曲名を"Ed-el-weiss"と三つに分け"Ed"でバックスウィングの途中まで行き、"el"でトップ、最後の"weiss"でインパクトに向かう。これはなかなかいい。

しかし、一番いいのはSam Snead(サム・スニード)のスウィングを思い浮かべることだ。クラブフェースがスクェアでない、脚の動きが最高とは言い難いなどの点はあるものの、テンポに関してはSam Sneadは万人の模範としか云い様がない。当人は"Oily"(油質の=澱みのない)フィーリングを追究していると表現している。実にスムーズな理想的テンポである。

テイクアウェイを急ぐと、コントロールを失いやすい。ダウンスウィングを急ぐと、開始直後にパワーを失ってしまう。急いでいいのは、クラブが腰の高さまで下りて来た時点だけである」

現在、私が試しているのは次のようなものです。「ワン・ツー・下半身」。ワンでトップまで行き、ツーで間(ま)を取り、「下半身」というキイワードで腰の回転をスタートさせます。ちと字余りですが、下半身がリードしない「手打ち」を撲滅したいという願いからです。これが成功すると、距離も方向もまずまずの結果が得られます。「ワン・ツー・腰」なら字余りになりませんが、「腰」という言葉が短すぎるせいかズッコケて腰砕け(!)になります。左肱が曲がっているとトップしたりするので、「ゆっくり・肱・下半身」とかいうのも考えてみましたが、短い時間に意味のある言葉を連続して聞かされると脳と身体が混乱するようです。

(February 08, 1999、増補May 29, 2015)


Dave Stockton(デイヴ・ストックトン)のパッティング練習法
[Stockton]

'Dave Stockton's Putt to Win'
by Dave Stockton with Al Barkow (Simon & Schuster, Inc., 1996, $22.00)

「1934、1937、1948と全英オープン・チャンピオンだった Henry Cotton(ヘンリイ・コットン)だが、意外に早くゴルフから足を洗うことを余儀なくされた。どうしてかというと、パットの技を磨くために練習グリーンで何時間も屈んで過ごしたからだ。

パッティングはフルスウィングと同じように背中の負担になる。背中を伸ばすことなく、数え切れないほどパットするのは良くない。三個程度のボールを使って練習するのが普通だが、中には練習ボール一篭をぶちまけて同一地点からパットしたりする人もいる。どっちにしろ、パットし、次のボールをかき寄せ、またパットし、次をかき寄せの繰り返しである。ずっと屈みっぱなしもまずいし、惰性でパットするようになるのもまずい。

私の提案だが、二個同じラインで練習したら、別のラインで次の二個をパットする。この間15秒から20秒は背中を伸ばして移動する。これなら背中にも優しく、惰性に流れない練習が出来るはずだ」

私が最近やっている練習は、練習グリーンの1〜9のホールを順に廻る(時には逆に廻る)という方式。実際のラウンド同様、最小スコアを目指す。現在の記録は13パット。これだとラインも読まなくてはならないので惰性に流れず、記録を作るという楽しみもある。勿論、ほとんど人がいない時にやっていますが。

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(February 08, 1999)


Percy Boomer(パースィ・ブーマー)の逆説的ゴルフ

'On Learning Golf'
by Percy Boomer (Alfred A. Knopf, Inc., 1946, $22.00)

[Bomer]

英国のインストラクターPercy Boomer(パースィ・ブーマー、1885〜1949)のこの本『ゴルフの習得について』は名著として知られています。特にスウィング・コーチらが選んだベスト2でもあります(ベスト1はBen Hoganの'Five Lessons'で、ベスト3はHarvey Penick's Little Red Book''Golf Magazine' December 1997による)。ただ、一昔前のイギリス人らしい語り口なので、なかなか本題に入らず、じれったくて途中で別の本が沢山割り込んでしまいました。やっと面白くなったのは100頁を過ぎてから。ミステリならとっくに投げ出していたところです。

Percy Boomerは1896年にツァー・プロとなり、1913年にパリ郊外のゴルフ場に所属してインストラクターを勤める傍ら、欧州の数々のトーナメントで優勝しました。よく引用される彼の教えは「ビア樽の中でスウィングするように身体を廻せ」というものです。ここでは、もっと基本的な部分に焦点を当ててみます。

「スウィングの基盤は足と脚である。仮に空中に宙づりになっているとしたら、どうやってスウィングしますか?

しっかりと地面を踏ん張る足と脚によるスウィングがゴルフの基本。手と腕ではない。手と腕はゴルフ・ショットのパワーを生み出す要因ではなく、クラブヘッドと下半身の連結点でしかない。パワーは足、脚、そして腰から来るものである。

クラブヘッドのスピードを上げるのは速いスウィング・スピードではない。ヘッド・スピードを最大限に上げる秘訣は、クラブヘッドを他の全ての動きよりも遅らすことである。これを実行するには、手首を緩やかなフリーの状態にしておかねばならない。何ものにも妨害されないフリーな手首である。ボールの行方をコントロールしようとする動きは手首を硬直させ、結果としてクラブヘッドのスピードをダウンさせる。

“打つ”のではなく“スウィング”である。掃くようなスウィング(sweeping swing)の途中にたまたまボールがあると考えるべきである。これが最大のヘッド・スピードをもたらす。

ボールの位置がスウィング軌道の中心と考えてはいけない。ボールの前ではなく、ボールを通過した直後で最大のヘッド・スピードを達成しなくてはならない。ボールを通過した1ヤード(約90cm)付近で加速のクライマックスを迎えられるのは、スリー・クウォーター・スウィングだけである(オーヴァー・スウィングのパワーは、ボール到達のずっと前に弱まってしまう)。ごく楽にクラブを振った際に、驚くような距離が得られるのはこのためである。

トップでは戻りのパワーを待たねばならない。右腕で意図的に引っ張るのではなく、身体が引っ張るのを待つ。足と脚の始動を待つ。動きの中で待つ。

ゴルフのリズムはクラブヘッドをぐずぐずと引き摺る感覚である。これは脚のパワーから得られるもので、脚のパワーは左方向への回転に備えている腰によってコントロールされている。これらが自由で何ら束縛されない状態で、腕を左半身の外側および周辺へと解き放つ」

以上を実証するために実在の人物が登場します。Mr. Turquand Young(ターカンド・ヤング)。当時80歳に近い年齢にもかかわらず、掃くようなスウィングで完璧なティー・ショットを放ち、ほぼPercy Boomerの飛距離と変わらないほど。彼のスウィングは力まないリズム(effortless rhythm)の研究材料として最適な部類でした。

ある日、Percy Boomerが彼に尋ねました。どのようにして、かくもゆっくり、スムーズなスウィングで、ごく僅かな力(so little effort)で結構な飛距離が出せるようになったのか?彼の答えは次のようなものでした。

『16歳の時に、ゆっくりした動きが腕力を凌ぐ二つの事例を発見した。一つはハンマー投げ、もう一つはクリケットのボールを投げる動作だ。これらを体験してから、私は出来るだけゆっくりスウィングすることにした。パワーは腰の下から得る。その結果、力まないで(without any effort)かなりの距離を稼ぐことが出来るようになった。

病気で数年のブランクがあったが、たった一、二時間の練習で元通りのゲームが再開出来た。力まないスウィングのおかげだ。

ゆっくりしたスウィングはかったるく(lazy)見えるが、パワーはちゃんと内包されている。パワーは手と腕から来るものでないのは確かだ。ワンピースでバックスウィングし、タイミングが正しければ、誰でも力むことなく(without effort)ボールをかなり遠くにもっていける。おまけにミスも無い。長い経験から、それは断言出来る』

「スリー・クウォーター・スウィングが最大のパワーを生む」というのは、全く逆説的です。「パワーの源泉は腕ではなく脚と腰」、「力まず、かったるいようなスウィングが長い飛距離をもたらす」というのも逆説的。しかし、説得力があります。Mr. Turquand YoungはErnie Els(アーニイ・エルス)やFred Couples(フレッド。カプルズ)のモデルのようなゴルファーですね。

【参照】「Percy Boomer(パースィ・ブーマー)の続・逆説的ゴルフ」(tips_12.html)

【おことわり】画像はamazon.co.ukにリンクして表示させて頂いています。

(February 20, 1999、増補May 29, 2015、改訂Dec. 09, 2015)

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