Golf Tips Vol. 10

Natural golf(ナチュラル・ゴルフ)

'Natural Golf: Get a Grip on Your Game'
by Peter Fox with John Burril (Masters Press, 1996, $14.95)

[Moe Norman]

知る人ぞ知るカナダの伝説的異才Moe Norman(モゥ・ノーマン)。カナダを中心にアマ時代の優勝12回、プロとして優勝37回、コースレコード40以上(うち59が三回)。何故、あまり知られていないかというと、彼が凄くシャイな性格だからなんだそうで。

Moe Normanはその異常なスウィングにもかかわらず正確なショットで有名です。Sam Sneadとのラウンドで、フェアウェイ260ヤード付近に小川が横切っているPar 4にやって来ました。Samはアイアンでティーショットして刻みます。ところがMoeがドライヴァーを抜き出したので、Samが「小川をキャリーで越えるのは無理だ」と云うと、Moeは「キャリーで越すんじゃなくて橋を狙って向こうへ渡すんだ」と答え、実際に言葉通りのショットをしたそうです。小川にだだっ広い橋が架かっているわけはないので、いかにMoeのショットが正確だったか分ります。

この'Natural Golf'なる本は、独自のスウィングを追究して行った人物が、結果的にMoe Normanのスウィングにそっくりだったことに気づいて自信を持ち、'Natural Golf Swing System™'というメソッドを教えるゴルフ・スクールを開くのですが、どうもそこの教科書として作られた感じです。専用のクラブまで販売しているらしく、その宣伝まで含まれています。そんなものを本屋で“売る”というのが図々しい。ただ、Moe Normanはこの本に一行も執筆していず、上のような“商売”とは無関係です。彼の成功が、'Natural Golf Swing System™'というメソッドを認知させる材料として使われているだけです。

さて、その“異常な”スウィング。左手も右手もパームで握ります。左は全てのナックルが見え、右はナックルが一個見えるか見えないかというストロング・グリップ。アドレスがまた尋常ではありません。スタンスはかなり広め。クラブ・ヘッドはボールの直後ではなく、身体の中心に置きます(ショットによってはかなり後ろ)。

'Natural Golf'は「右手(利き腕)主導」なので、クラブと右前腕部が一直線になるように構えます。普通のポスチャーだと腕が垂直に下がり、手のところから“く”の字になってクラブが連結されますが、'Natural Golf'では肱から先を一直線にするのです。推奨されているパームで握ると、ある人が「滑稽なまでに異常なアドレス」と評したくらいボールからかなり遠く立つことになります。しかし、ここが'Natural Golf'の核心です。普通のスウィングは、“く”の字なのでスウィング・プレーンの軸が二つになる。これは常人にはコントロール不能な複雑なスウィングであり、軸が一つの'Natural Golf'は科学的に優るという主張です。そう云われれば、こちらの方がシンプルです。

バックスウィングでの体重移動は顕著に行なわれず、トップの高さも左腕が地面と平行になるまでというコンパクト・スウィング。普通のスウィングでは下半身の激しい動きで上半身をリードしますが、'Natural Golf'では下半身の動きはごく控え目で、インパクト時もボディはターゲット・ラインにスクウェアのまま(身体の前で打つ感じ)。右手をフルに伸ばしてインパクトを迎えます。ボールがクラブを離れた後は、もうどうでもいいということで、「楽なフィニッシュをとりなさい」と書かれているだけ。これもまあ、云われてみれば理にかなっています:-)。

カナダへ行って来たからこの本を買ったというわけではなく、オーソドックスなスウィングでいくら頑張っても80を切れそうもないので、藁にも縋る思いで目新しいものを探しているというところ。しかし、David Duval(デイヴィッド・デュヴァル)の「ヘッドアップ・スウィング」は通常のスウィングの最後だけモディファイすればよかったのですが、この'Natural Golf'はグリップからセットアップから全部変えなくてはなりません。おおごとです。一寸考えちゃいますね。

(November 08, 1998)


チキン・ウィング

'How to Cure the Dreaded Chicken Wing'
by Kip Puterbaugh ('Golf Digest' 1997, No.2)

インパクト後は右手が伸び、左手は肱を折って掌が空を向くようにならないと、クラブが首に絡まるようなフィニッシュになりません。左肱が硬直していると、脇にたたまれずに宙に突き出した形になります。これが「チキン・ウィング」。なぜこうなるかというと、頑なに頭を固定したスウィングをしようとした時に起きるのだそうで、体重が適切に移動せず腰の回転が不足なので、腕の行き場が無くなるからだそうです。結果的にはトップしたボールが出やすい。

これを防ぐ練習は、普通に腰の高さまでバックスウィングし、ダウンでインパクト直前に右手をクラブから離し、左手一本でフィニッシュまで振る。左の掌が空を向くように。これを目をつぶって行なうと、手の感覚をつぶさに掴めるそうです。

以前は「ゴルフは野球とは違う」とか云われていましたが、最近は野球と同じ説明が増えています。クラブを胸の高さで右から左へ振ると、いやでも手首を返さなくてはなりません。これだとチキン・ウィングにはならないわけです。同じことをクラブを地面に下ろして繰り返せばいい…というものです。

(November 11, 1998)


素振り

「チキン・ウィング」に出て来た「インパクト直前に右手を離す」という方法は、チキン・ウィングへの対症療法だけではなく、普通のショットの前の素振りとしても有効です。やってみると分りますが、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)張りの首にクラブが絡みつくようなダイナミックなフィニッシュが得られます。右手を添えるとこうはならないのが不思議ですが、両手でもこのように振り抜くための目標として最適です。

(November 11, 1998)


Next Move(ネクスト・ムーヴ)

'Getting Set for Golf'
by Carl Lohren with Al Barkow (Viking Penguin, 1995, $18.95)

[Set]

'One Move'(ワン・ムーヴ)の著者Carl Lohren(カール・ローレン)の二冊目の本を見つけました。Dallas Fortworth空港内にPGA Tour Shopを見つけて冷やかしたときのことです。不思議なことに表紙に貼り付けてある値段表が、$19.00を消して$9.99になり、それを消して$4.99になっていて、更にその$4.99も消されて$2.99になっていました。落丁、乱丁があるわけでもなく、汚れているわけでもありません。前著'One Move'は絶版ですし、二冊目も何故か疎んじられているようです。

しかし、これは結構いい本でした。当然ながら'One Move'のおさらいも出て来るので、絶版の本の代用品にもなります。「前著の執筆時には重要と思えなかったことを網羅した」と云う通り、Carl Lohrenのとっておきのノウハウや知恵が詰まっています。

書名に'Getting Set'という言葉が使われている通り、「打つ前」の段階のインストラクションに本の1/3が使われています。「プレスウィングが正しくなければ、スウィングも正しいはずがない」という信念で、「私はプレスウィングのコーチである」とまで云い切っています。

「腰は15゜程度、肩は20゜程度オープンに構える」ことの重要性が力説されています。例として、Ben Hogan(ベン・ホーガン)、Chi-Chi Rodriguez(チ・チ・ロドリゲス)、Laura Davies(ローラ・デイヴィス)、Fred Couples(フレッド・カプルズ)らのアドレスが図示されています。もう一点重要とされているのは、「左肩が右より高いこと」です。これらが'One Move'によるスウィングの開始を容易にし、スウェイやリヴァース・ピヴォットなどを防止するそうです。

フォワード・スウィングについては、「何も意図的にコントロール出来ない部分なので、その途中で何をすべきか語ることは出来ない。唯一、そこで何が起り、その原因は何かだけが説明出来る」として、「ダウン・スウィングに際し、手首と手はコックされたままである。遠心力のみがアンコックの原因となる。努力してアンコックしたり右サイドを用いる動きがあってはならない。右サイド全体は受動的であるべきだ。

理想的には、Lee Trevino(リー・トレヴィノ)がやっているようにレイト・ヒットすると、上半身の回転がインパクトでクラブ・フェースをスクウェアにし、インパクト後まで手首はアンコックしない。皮肉なことに、右サイドの受動的な状態が、最強で最も正確なショットを生み出す」

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(November 15, 1998)


グリーン上の公式

'Scrambling Golf: How to Get Out of Trouble and Into the Cup'
by George Peper (Prentice-Hall, Inc., 1977)

  切れ巾(break)が大きい    切れ巾が少ない
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1. 傾斜がある          平坦
2. 固い             柔らかい
3. 乾いている、露に覆われている 湿っている
4. 傾斜に沿った順目       傾斜に対して逆目
  パット方向に順目       パット方向に逆目
5. 傾斜に沿った横風       傾斜に反対の横風、向かい風
                 強い追い風
6. 下り坂            上り坂
7. 短く逆立った芝(バミューダ) 長くしなやかな芝(ベント)
8. 午前             午後

(November 20, 1998)


常識外れのチッピング

'Unorthodox chip'
by Liselotte Neumann ('Golf Digest Woman,' December 1998)

'Golf Digest Woman'は、現在'Golf Digest'定期購読者には付録として送られて来ているもの。まだ60頁ほどの薄いものですが、そのうち独立して店頭に並ぶのでしょう。最新号にLiselotte Neumann(リセロッテ・ノイマン)の寄せの記事が載りました。

「今年のU.S.女子オープンで、グリーンから2〜6mでボールを上げなければならない場合、常にこういう方法を使った。両方の足をほとんどくっつけてアドレスするのである。やや常識に反するが、このスタンスなら下半身の動きを封じることが出来る(もしパワーが必要な時はスタンスを広げて、腰の回転を容易にする)」 私はこのトーナメントをTV観戦していたものの、Liselotte Neumannに関してはコンパクトなバックスウィングしか気が付きませんでした。こういうこともやっていたんですね。

ピン傍に寄せるのは簡単、上手く行けばチップインという場面で、痛恨のザックリ(結果はチョロ)というのがままあります。半分は過大な期待で身体が強ばってしまうためでしょうが、半分は不要な重心移動によるものと思われます。こういう症状が出たら、Liselotte Neumannの“常識外れの”アドレスを試してみる価値がありそうです。まあ、絶対にザックリが出ないという保証はありませんが、10m以内であれば腕(と肩)の動きだけで済むので、足を開く必要は全くありません。

(November 28, 1998)


効果的練習法

'Get More Out of Practice'
by Billy Harmon ('Golf Illustrated,' August, 1996)

「最近のゴルファーの練習ときたら、ただひっきりなしにボールをぶっ叩くだけ。何の目的も無く、結果をロクに見もしない。徒(いたずら)に長く練習するので、良かったスウィングも悪くなってしまう。

昔のように、打ったボールを自分で拾わなければならないとしたらどうだろうか?一球、一球、目的をはっきりさせて打つだろう。拾い易いように、一ヶ所にまとまるように打つことにもなるだろう。

ボールを打ったら、最後までよく見ること。軌道、着地の仕方、どの程度転がるか、すぐ止まるのか?観察に時間をかけるのは、こうした情報を得るためだけでなく、スウィングに影響するテンポを理想的に保つためでもある。ボールをぶっ叩くだけの連中は、おおむね速いスウィングと相場が決まっている。

ターゲットを4〜5球毎に変え、高い弾道、低い弾道、意図的スライスやフックを織り交ぜる。いつも理想的ライばかりで打っていてはいけない。芝の薄いライやディヴォットも交えること。

グリーン周りの寄せの練習を欠かさないこと。ドライヴァーよりも直接スコアに影響するショットである」

(November 28, 1998)


エルキントンの秘密

PGA選手権優勝者Steve Elkington(スティーヴ・エルキントン)が執筆した技術書。題名'Five Fundamentals'『五つの基本』はBen Hogan(ベン・ホーガン)の'Five Lessons'『五つの講義』の向こうを張ったようで、彼の意気込みが窺われます。

'Five Fundamentals'
by Steve Elkington with Curt Sampson (Ballantine Books, 1998, $27.00)

[Elkington]

「ボールに向かってセットアップした後、私は腹筋とお尻の筋肉を締める。これは今迄ほとんど話したことが無いので、“エルキントンの秘密”と呼んでもいいものだ。これは私のメソッドでもきわめて重要な部分である」

'Greg Norman's Secret'「グレッグ・ノーマンの秘密」という練習道具が売られています。スウィングの間中手首の角度を保持するというもの。Greg Norman自身が宣伝しているので、結構著名な商品。Steve Elkington(スティーヴ・エルキントン)は同じオーストラリア出身のプロですから、先輩にウィンクしながら“エルキントンの秘密”と云っているわけです。

「五つの基本」とは、グリップ、セットアップ、バックスウィング、ダウンスウィング、リズムとテンポです。「五つの基本」を要約するスペースはありませんので、目に付いた珍しいところだけ抜き出してみます。

Steve ElkingtonのグリップはBen Hogan(ベン・ホーガン)のと一寸異なり、右手の指の(三つに別れる)真ん中の部分で握る。Hoganグリップは掌と指の境界で握ります。

Ben HoganがSteve Elkingtonにこう云ったそうです、「球を打つ前の素振りは時間とエネルギーの無駄だ」。それ以来、Steve Elkingtoは完全な練習スウィングは止め、小さなハーフ・スウィングだけにしたそうです。

「最近のゴルフの指導では手首の動きを制限するのが主流だが、手首は運動の基本なので、十分に使いこなすべきだ」

「いいスウィングになるかどうかは、バックスウィングで全て決まる」

「ダウンスウィングでは、クラブがフリーに下りて来るというのが重要な部分である。クラブは外見上も感覚としても、真っ直ぐ下りなければならない。この鍵は、あなたの体重を真っ直ぐ下、すなわち両足へとプッシュする感覚を得ることだ」

「私の腕は異常に長く、吊るしのドレス・シャートでは合わないので、いつもオーダーメイドである。長い腕はゴルファーの財産だ。疑いも無く、私の身体はゴルフ用に作られている」

この本のユニークなのは、パラパラ漫画の要領でSteve Elkingtonのスウィングが連続して見られる趣向。ドライヴァー(正面と後方から)、6番アイアン(後方から)、バンカー・ショット(正面)の四種類。ヴィデオを買わないで済む親切設計。付録として、写真入りで24頁にわたって身体鍛錬の方法が説明されています。編集者とデザイナーがしっかりしているせいでしょうが、全体的に写真の質が良く、レイアウトも上品です。ちゃんと索引まで付いているのは、こういう本としては異例。いかにキチンと作られているかが分ります。

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(December 01, 1998、増補May 29, 2015)


フック矯正法

'Two Ways to Handle the Hook'
('Golf Magazine,' December, 1993)

「一時的矯正法:フックが出る場合は徒(いたずら)にフックと共存することを止め、単に一寸した集中力が必要なだけだと考えること。たまにいいショットが混じったとしても、出て欲しくない最も大事な時にフックが出る恐れがある。右から左へのボールをパワー・フェードで根絶しよう。

やや左目を狙い、ウィーク・グリップ(左手を若干左に回す)にし、ボールを1〜2インチ左足寄りにする。アウト→インのスウィングを目指す。これは目標の左にボールをスタートさせる。インパクト前後は左手を返さないで保持する。これがボールを右に戻す役割を果たす。パワーフェードは極めて有用なコントロール・ショットであり、スコア・メーキングにつながるものでもある。

「長期的矯正法:時に応じてドローも打ちたいという場合は、こちらを選択する。フックはダウンスウィングでクラブが過度にインサイドに降りて来るから起るのである。つまり、スウィング・プレーンのかなり下方に降りてしまい、右から左への過度のスピンを与えてしまう。これを防止するにはクラブをスウィング・プレーン上で保ち、ダウンスウィングでクラブをインサイドに下ろすのを避けることだ」

(December 12, 1998)


続・ストックトンの技法

'Dave Stockton's Putt to Win'
by Dave Stockton with Al Barkow (Simon & Schuster, Inc., 1996, $22.00)

[Stockton]

'Teed Off'の筆者Dave Hill(デイヴ・ヒル)によれば、「Dave Stockton(デイヴ・ストックトン)はしょっちゅう自分のパッティングについて不満を云う。これは他のプロ達をカッカとさせる。何故なら、大抵の連中はDave Stocktonの出来の悪い時の半分も上手くパット出来ないからだ。あるプロは、Stocktonが自分のパッティングについてこぼすのを止めないのなら、いつか仲間から殺されるだろうと予言している」これはDave Stocktonがレギュラー・ツァーにいた時代の話です。殺されずにシニア・ツァーで頑張っているところを見ると、もうこぼすのは止めたのでしょうか。

「ソフトな転がりというのは、バックスウィング→インパクト→フォロースルーにかけて常に一定のスピードによるストロークが生み出すものである。長いパットというのは早く、強めに打つのではなく、ストロークが長くなるだけである。

私はパットの間じゅうパターヘッドは出来る限り低く保持すべきだと思っている。このための練習として、ボールを打った後、そのままクラブを地面に置くというのをよくやる。クラブを垂直に持ったまま、トンと置くだけである。大抵のゴルファーは、グリップ・エンドが腰の辺りを指していて、低めのフィニッシュになっていないことが露呈する」

【編者補足】この「ボールを打った後、そのままクラブを地面に置く」というのは凄いTipです。これだけでも$22.00出して本を購入した価値がありました(他にもいい記事が一杯ありますけど)。皆さんも、試してみて下さい。なお、「フォロー・スルーを長めに」というのもお忘れなく。

「"Never up, never in."は迷信だ。パットがショートして入らなかったとしても、たった1インチのところで2パット必要になって合計3パットということはあり得ない。1ラウンドにある三つや、四つの3パットが無くなれば、突如あなたのハンディキャップは少なくなる。派手なロングパットを沈めるのが必須条件では無い。常にかなりの距離をオーヴァーするのは、時々2〜3インチ足りないよりずっと悪い」

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(December 17, 1998)


グリーンとのつきあい方

'Golf Magazine's Handbook of Putting'
by Editors of Golf Magazine (Harper & Row, 1959)

「芝の種類に関係無く、グリーンは朝の方が午後よりも遅い。ただし、早朝の朝露がある場合は最も早い状態になる。しかし、No.4かNo.5に到達する頃にはパッティング・サーフィスの状況は相当変わる筈だ。風と暖かい日光はグリーンを急速に乾燥させる。ただ、芝の成育シーズンには芝が急速に伸びるので、午後遅くまでの数時間の成育はグリーンが乾燥するのを多少相殺する。

通常、山岳コースでは山側から谷側に水が捌(は)けるので、芝目もそれに沿っていると考えてよい。しかし、ある地域のグリーンでは、グリーンに埋設されている排水設備のせいで、それが通用しないことがある。入念に設計されたグリーンでは、三方向への地表排水が設置されていて、その水捌けに沿って芝が伸びる。これは芝目に影響し、当然ながらパットのブレイクとスピードにも影響する。

湿ったグリーン:乾いている場合の半分しか曲がらない。

芝が刈られていない(ボサボサの)グリーン:こういう例外的なケースではロフトのあるパターを使うのが理想的。ボールは通常より進行方向に寄せる。これはアップライトに打ち、芝から持ち上げて転がすためである。長い芝は早いグリーン同様、ブレイクが少ない。よって、曲がりは少なく見積もり、強めに打つこと。

凸凹の多いグリーン:Lee Trevino(リー・トレヴィノ)の作戦が助けとなる。「大胆にパットせよ!」強めに打って、ブレイクを許さない。こういうグリーンは読むのが不可能に近い。ブレイクを読めたとしても、弱めに打ったのでは凸凹のためにライン通りに転がらない。Trevinoはこういう場合、ホールめがけてイチかバチかボールをぶっ叩いたものだ。

 

風の中のグリーン:ゆっくり転がっているボールは風の影響を受ける。ロング・パットが止まる前などは要注意。止むことなく風が吹いている時は、グリーンを乾燥させ、転がりのスピードを早める。強風だと芝も風下の方向に寝る傾向がある。

厳寒期のグリーン:手がかじかんで、フィーリングが掴みにくくなる。オーヴァー・スピンをかけられるように、しっかりと、しかしスムーズなストロークに専念する。ボールをスタンスの進行方向寄りに置くと、アップスウィングになっていい転がりが得られる」

(December 21, 1998)


曲がった手首

「小人閑居して不善を為す」とか云いますが、“不善”とは云わないまでも、またまた良からぬ発見をしてしまいました。ゴルフが出来ないので、町の図書館に行ってゴルフ雑誌のバックナンバーを読んでいてのこと。

Vijay Singh(ヴィジェイ・スィン)とFred Couples(フレッド・カプルズ)の相似点は何か?「クロスハンデド・グリップ?」Yes! 他には?まだあるんですよ。

[Crooked hands]

図の左のVijay Singhは'Golf Digest'の1998年10月号に載った写真を模写したもの。右のFred Couplesは'Golf Digest'の1992年6月号に載ったものの模写です。どちらも彼等の右手首に御注目下さい。この人達はほとんど右手を使っていないんです。

Vijay Singhの方の解説はティーチング・プロのChuck Cook(チャック・クック)で、「Vijayはフェード・ボールが好きだが、そのための代償の一つはこのほとんどクラブから外れそうな右手である。これはもう一人のフェード打ちのFred Couplesと同じアクション。Vijayはトップで右手首を逆に曲げる。フェードを打つためには左の前腕部を回転させたくないのだが、かと云ってクラブをリリースさせないわけにはいかない。そこで右手をひっくり返し、トップで作られた逆向きの角度の反対の状態を作り出している。もし、右手がしっかり握られていたら、ボールは左へ飛ぶところだ。これがコントロールされたフェードを生み、彼をメジャー優勝者にしたのである」

Fred Couplesの方の解説は、やはりティーチング・プロのCharlie Epps(チャーリイ・エップス)。「いいスウィングにおける右肩は、ボールに向かって手と腕を追いかける動きをする。これは右肩がリラックスしてゆったりとしている場合に理想的に実行出来る。このゆったりとした状態は、軽いグリップがもたらすものである。Fredの右手は、インパクト直後完全に伸ばされている。腕による優れたスウィング巾と拡張が見られるが、これはリラックスした遠心力が右手を真っ直ぐに伸ばすからである。偉大なプレイヤーでありインストラクターでもあったTommy Armour(トミイ・アーマー)は、右手はボールを投げるようにクラブを放り投げるものだと云っていた。Fred Couplesがここでやっていることはまさにそれであり、彼が驚異的なクラブヘッド・スピードを達成している理由でもある」

「フェード・ボールが打てないといいプレイヤーにはなれない」とはよく云われることです。フックやドローは距離は伸びるものの、転がりの分が計算しにくく危険が大きいという理由。私もフェード打ちになりたいのですが、しかし、この二人の右手首は異常過ぎて、真似するのに躊躇しますね。

(December 23, 1998)


汝のドライヴァーを愛せよ

先頃のThe Golf Channel(ゴルフ・チャネル)のニュースで、何人かのプロ達に「好きなクラブは何か?」というインタヴューをしていました。驚いたことに、90%位がドライヴァーと答えていました。確かに飛べば楽しいし、運動神経も良く練習量も多いプロ達は自信を持ってドライヴァーを楽しんでいるのだと、いまさらながら感心したことでした。

'How to Hit It Long & Straight...'
by Mike Wilson with Andy Brumer ('Golf illustated' December 1998)

「ドライヴァーを使うのを恐れて、ティー・グラウンドから3ウッドでスタートするハイ・ハンデの人が多い。ラウンドの間、ドライヴァーよりはアイアンやフェアウェイ・ウッドを使う頻度が高いわけだから、そういうクラブに自信を持つのは理論的に当然だ。だが、その結果、ハイ・ハンデの人はドライヴァーもアイアンのように急角度のダウンスウィングの軌道で打ちに行ってしまう。これはターゲット・ラインのアウトからインにボールをカットし、スライス、プル、あるいはプル・フックを生じやすい。

急角度のダウンスウィングの軌道は、ショート・アイアンに最適で、ロング・アイアン、フェアウェイ・ウッドなどにもまあ悪くはない。問題はハイ・ハンデの人の場合、スライス、プル、プル・フックなどに加えて、てんぷらも出し易いことだ。

ドライヴァーはややアッパー・ブローに打つべきなので、アドレスで体重を右足に多くかけ、背骨を若干右側に寄せる。これがドライヴァーを打つ簡単なコツである。

練習法:
(1) 右足を15cmほど引いて、意図的にクローズ・スタンスをとる。これが身体のフル回転を促し、右側寄り体重になることを助ける。

(2) ティー・ペグがかろうじて刺さる程度に高いティー・アップで、ティー・ペグを打たずボールだけヒットする。アッパーに打たないとティー・ペグが飛んでしまう。

(3) ドライヴァーを短めに持ち、3/4スウィングで打つ。ボールとのしっかりした接触が得られ、真っ直ぐ飛ぶことに驚くだろう。次に、ボールとのしっかりした接触を継続しながら、フル・スウィングだがソフトにヒットする。距離は通常の半分になる筈だ。しっかりした接触が確実なものになったら、クラブを普通の長さで持ち、次第にスウィング・スピードを上げる。

最後に、同伴競技者との(内心の)ドラ・コンを避けること。ボールを可能な限り遠くへ飛ばそうというのは、世界的かつ永遠の欲望である。これは過度にハードにヒットする原因となる」

(December 30, 1998)

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