[一般] [風俗・慣習] [食事] [発音] [口語] [文法・表現] [その他] [Home]

[食事]

Contents



[・] アメリカの安い緑茶を美味しく喫む

アメリカでも、大都会にお住まいで日本食材店の高級銘柄のお茶を購入出来る方には意味のない記事です。私のように、日本食材店まで数時間もかかり、しかも滅多に行けない人のためのヒントです。

下記『アメリカの緑茶ティーバッグ』に詳しく書いたように、私は日本産の緑茶に近い味のお茶を探し続けて来ましたが、どれもこれも落第でした。ある日、ついに愛用の日本製玄米茶が底をついた時、あるアイデアが閃きました。「お米をこんがり焼いてティーバッグと一緒に煎れたらどうか?」

やってみました。市販の玄米茶は文字通り「玄米」を焙(あぶ)ったものですが、当家に玄米なんぞありませんから普通のお米を使いました。
1) 先ず、お米を一掴みほど耐熱皿に入れ、1分ほどレンジでチンしました。これは米に含まれている水分を抜く作業です。
2) そのお米を今度はオーヴントースターで10分ほど"bake"します。これも水分を抜くプロセスですが、同時に米の温度を上げます。
3) そのまま、"broil"(焙る)モードにしてこんがりと焦がします。お米を真っ黒焦げにしないよう、つきっきりで監視し、お米が薄茶色になり香ばしい匂いがし出したら、余熱で焦げてしまわないように、すぐ別のお皿か何かに移して冷まします。

その少量(小さじ半分)をティーバッグと一緒にして湯を注いだところ、安物ティーバッグがそこそこの玄米茶に変身しました。とてもマイルドないい味になります。

それ以後は十回分ぐらいになる量のお米を焙り、冷ましてガラス瓶に入れて保存しています。少なめでも多めでも、好きなだけお米を入れた“玄米茶”が喫めるようになりました。

カミさん相手にブラインドフォールド(目隠し)・テストをしてみました。
a) 市販の日本製玄米茶
b) 米国製緑茶ティーバッグ
c) 米国製緑茶ティーバッグに、上の製法で焙ったお米を混ぜたお茶

アメリカ人の舌では判らないか?と危惧されましたが、カミさんは見事に三つの正体を見抜きました。そして、cは限りなくaに近いと評価しました。

(April 08, 2012)

[Back to top]

[・] かりんとう

当地に住む日本婦人の一人が西海岸へ行ったお土産に、私におせんべだのかりんとうだのをくれました。カミさんは数年間日本に住んでいたのでおせんべは大好きです。しかし、かりんとうは食べられないと云いました。彼女に云わせると"do-do looking turds"だそうです。

"doodoo"《幼児語》《米》うんち
"turd"《俗・卑》糞(ふん)(の塊)

そうそう、貰ったかりんとうは黒糖をまぶしたものでした。白かりんとうならどういう反応だったかは分かりません:-)。

外人にかりんとうは上げないようにしましょう。勿体ない。

(December 10, 2011)

[Back to top]

[・] 韓国製うどんの天かす

「なぜこのサイトに韓国のうどんが登場するわけ?」と思われるかも知れませんが、アメリカで売られている'Mr. Udon'というパッケージに関する話題です。

うどん本体は生うどんを真空パックしたもので、日本製生うどんと同じ立派なものです。粉末スープは日本のうどんの味とは違う妙チキリンなものなので、私は「めんつゆ」や「追いがつお」のような醤油味で食べることにしています。

このパックに粉末スープとは別に'Dried Flake Sachet'という小袋が入っています。何だと思うと、これが「天かす」なのです。つまり、これを振りかけるとたぬきうどんになるわけです(少ないですけど)。しかし、色が白っぽく、油っこくもないので日本の「天かす」とは別物です。

包装紙に印刷された'Dried Flake Sachet'の材料を読むと、「小麦、卵白、ミルク」とあります。これらを混ぜて揚げたわけです。どうりでさっぱりしているわけです。パックには"98% Fat Free"と謳われていますので、「天かす」の風情を活かしつつ脂肪を減らす工夫なのでしょう。私も「天かす」が必要になったら、コーンスターチで作ろうと思った次第でした。

(December 10, 2011)

[Back to top]

[・] Kombucha

食料品店の紅茶、緑茶などのコーナーに"Kombucha"というのがあれば、昆布茶だと思いますわね?(え?思わない?)それは"Green Tea Kombucha"という名前でした。昆布茶は昆布だけで作るもので、緑茶を混ぜたりはしません。変だな?とは思いましたが、アメリカで売られるものは(Futonのように)妙なものもあるので、これもそうだろうと思いました。おまけに"AIDS immune"(エイズ免疫)という効能までついています。信じられない製品です。

http://www.yogiproducts.com/products/details/green-tea-kombucha/

御想像通り、これは昆布茶ではありませんでした。小さい文字なので店ではよく読めなかった成分表を見ると、緑茶にレモングラス、ハッカの葉、それにKombuchaとあり、海藻なんか全然入っていません。しかも、この起源は昔のロシアだとあるではありませんか!日本起源じゃないのです。

Wikipediaで"Kombucha"を調べると、これは日本では「紅茶キノコ」と呼ばれているものだそうです(私が買ったのは「緑茶キノコ」となるべきですが)。ロシア語の名前も出ていますが、どうひねくっても「コンブチャ」という発音になりそうもありません。どうして、こんな紛らわしい名前になったのでしょう?

このWikipediaのページでは「日本の海藻茶は"kombu"を見よ」となっていて、以下のように説明されています。

"Kombucha 昆布茶 "seaweed tea" is a beverage brewed from dried and powdered kombu. This is sometimes confused with the unrelated English word kombucha, a neologism for the fermented and sweetened tea from Russia, which is called kocha kinoko (紅茶キノコ) in Japan."

Kombuchaに昆布は入っておらず、紅茶キノコにキノコの成分は入っていません。【参照:http://ja.wikipedia.org/wiki/紅茶キノコ】世の中、嘘ばっかし。やだやだ。

(November 10, 2011)

[Back to top]

[・] 餃子の皮・完結篇

[wrappers]

前回予告したように、市販の「水餃子の皮」を9.5センチ程度に麺棒で延ばし、それを8センチの型で抜いてみました。

使用したのは前回も今回も同じ製品で、Wei-Chuan「味全」というカリフォーニア州の会社のものです。【写真】

延ばす前に、そのままの皮で数個餃子にし、試食してみました。やはりぼてっと厚い皮は、小麦粉だけの団子を食べる時と同じ感触で旨くありません。カミさんにもこの「延ばさない皮で作った餃子」を食べさせてみましたが、「正直云って、あなたが大騒ぎするほど悪いとは思わない」と云っていました。

9.5センチに延ばしたもので具を包んでいる時には、「これだと、やっぱり厚いんじゃないだろうか?」と感じるほどごわっとしていましたが、蒸し焼きにすると厚過ぎず薄過ぎずで丁度いい歯応えでした。10.5センチに延ばしたものは、皮が破れやすいほど薄かったのですが、9.5センチに延ばしてやっと最適の厚みが得られたわけです。

「水餃子の皮」の皮しか入手出来ない地域の方は、是非お試し下さい。製品によって多少厚みが異なるかも知れません。一度軽くテストしてみてから本格的に取りかかることをお勧めします。

(October 20, 2011)

[Back to top]



[・] しつこく餃子の皮

私の町にタイ人経営のアジア系食材店が出来ました。店というのは大袈裟で、ガソリンスタンドの商品棚の一列だけアジア系にしただけ。ただし、注文すれば冷凍さんまや大根、牛蒡などを買って来てくれるので便利です。ただし、ヴィエトナム系と中国系の店に買い出しに行くだけなので、純日系の食品はほとんど購入出来ません。この“店”もいつまで続くか分かりません。

というわけで、日本製の餃子も餃子の皮も入手出来ません。特別注文で仕入れて貰った餃子の皮もメイド・インUSAの中国系水餃子の皮でした。前にも書きましたように、水餃子の皮は肉の脂肪を逃がさないためとかで分厚く、焼き餃子には向きません。

私はその水餃子の皮を麺棒で延ばすことにしました。買い立てや解凍直後の皮はよく延びます。今回購入した水餃子の皮の直系は、8.5センチでした。これを10.5センチぐらいに延ばしてから8センチの型で抜いてみました。

結論から云うと、これは延ばし過ぎでした。焼いて蒸していると、皮が透き通り過ぎて、見るからに薄いことが分りました。9.5センチほどに延ばすのが正解だったようです。

(September 20, 2011)

[Back to top]

[・] チューブ入り香辛料

[tube]

スーパーWalmartの野菜売り場で、Gourmet Gardenというブランド(http://www.gourmetgarden.com/)のチューブ入り香辛料を見掛けました。生姜、ガーリック、basil(ベイズル。日本ではバジリコ)、cilantro(シラントロ、Corianderコリアンダーとも呼ばれる)などが売られています(この会社のサイトを見るともっと色々揃っています)。

私はS&B製のワサビや生姜、ニンニクのチューブを愛用していました。S&B製ワサビ・チューブだけは当地の多くのグロサリ・ストアも扱い始めてくれましたが、生姜やニンニクにお目にかかったことはありません。ま、生の生姜、ニンニクを擂ればいいことなので不自由はしませんでしたが、いつも「ああ、チューブがあれば簡単なのに…」という思いは消えませんでした。

チューブをよく見ると、オーストラリア製となっていました。私はチューブ入り香辛料はS&Bのパテントだとばかり思っていましたので、このオーストラリア製商品の出現に驚きました。日本製のチューブが35g〜40gであるのに対し、オーストラリア製は115gという大きなチューブで、価格は$3.78。生姜のチューブには21個分の生姜、ニンニクには23個分のニンニクが含まれていると表示されています。生姜やニンニクのサイズはまちまちですから、個数で数えるのは無理があります。これは一寸表示法違反の可能性ありです。

オーストラリア製香辛料は特許違反ではないかと思い、S&Bに問い合わせましたが現在まで何の返事もありません。

上記Gourmet Gardenは14種類のチューブ入り香辛料を製造・販売していますが、不思議なことにワサビのチューブだけ作っていません。S&Bはワサビに関してだけパテントを取っていたということでしょうか?

(August 30, 2011)

[Back to top]

[・] アメリカ内陸部の田舎でヴォンゴレ・ビアンコ

私は日本で食べるヴォンゴレ・ビアンコが大好きです。ニンニクの微塵切りにまみれた殻付きのアサリから、身を毟って食べると、海の香りと塩味、ニンニクの風味が渾然一体となって舌を襲撃します。こうやって書いているだけでも涎が垂れて来ます。

私が住んでいるアメリカ南部の田舎町では、生のアサリなど手に入りません。ある一軒の食料品店で冷凍のアサリを売っていますが、一度買って、袋の説明通りに解凍したものの、固くてとても食える代物ではありませんでした。

イタリアで食べたヴォンゴレ・ビアンコはムール貝を使っていました。ムール貝も冷凍で売っていますが、アサリに較べて甘い感じがするムール貝は食べる気がしません。

しかし、ヴォンゴレは食べたい。そこで缶詰のアサリで作ってみました。以前は"Minced"(細切れ)という缶詰しか売っておらず、これは身が細か過ぎて駄目でした。"Baby clams"という缶詰もありましたが、これはシジミのサイズだし、味もよろしくない。その後、"Chopped"(ぶつ切り)という種類のアサリ缶が出回るようになり、これだとまあまあ何とか…という感じになりました。

【私のヴォンゴレ・ビアンコ】

・アサリ缶を開け、身と汁を分離しておく。
・玉ねぎとニンニク(どちらも微塵切り)をオリーヴ油で炒める。
・塩大さじ2とアサリ缶の汁の4/5を入れて沸騰させた湯でスパゲティをアルデンテに茹でる。
・茹で上がったスパゲティの湯を切り、オリーヴ油を熱したフライパンで炒める。
・アサリ缶の汁の残りと炒めた玉ねぎとニンニクを入れて、スパゲティに混ぜ、汁気がなくなるまで炒める。
・パセリの微塵切りを散らす。

缶詰のアサリは香りが弱いので、スパゲティにアサリ缶の汁の味を絡めるわけです。

(June 10, 2011)

[Back to top]

[・] 食べ方について

作法(マナー)の問題ではなく、テクニック(あるいはスタイル)のことです。

私は古い世代なので、西洋料理は右手にナイフ、左手にフォークというスタイルで育ちました。ナイフでフォークの背にライスを乗せて左手で食べる方式です。アメリカでそんな食べ方をする人はいません(いたとしても、少なくとも私は見たことがない)。みな、フォークを右手で持ち、フォークの腹の方で掬って食べます。

アメリカ人の多くはあまり食べ方が上手くないようです。右手で持ったフォークで食べ物がちゃんと掴まえられないと、左手を応援に繰り出します。指先で食べ物を揃えてからフォークで刺すのです。これは育ちの問題ではなく、中流・下流、老若男女、平均して行なっている感じです。要するに手先が器用ではないということでしょう。

 

ですから、私がナイフでライスをフォークの背に乗せて食べたりしたら、まるで奇術師の手練を見るようなものではないでしょうか。私はその時々で両方の食べ方をします。ライスをフォークの背に乗せて食べてもキザだとは思いません。ただ、フォークを持つ手を変えるのも面倒な場合もあり、便利な方を選ぶだけです。

私が云いたいのは、日本人の多くがアメリカ人の多くより文法的に正確に話すように、食べるのも彼らより上手く出来る…ということです。われわれは鶏のもも肉でもない限り素手で食べ物に触ったりせず、実に上手に食べることが出来ます。

あるQ&Aサイトの「食べ物」のスレッドで、「スパゲティをスプーンとフォークでうまく丸めて食べることが出来ません。どうしたらいいでしょう?」という質問に、ある回答者は「スパゲティをスプーンとフォークで丸めて食べるのはキザな食べ方です。真似する必要はありません」と回答していました。驚きました。

仮にアメリカのQ&Aサイトで、「日本食を食べる時、箸がうまく使えません。どうしたらいいでしょう?」という質問に、「箸を使うのはキザな食べ方です。アメリカ人はナイフとフォークを使えばいいのです」と回答するような、傲慢で無責任な態度だと思ったからです。

では、スパゲティをスプーンとフォークで丸めて食べるのが正式なのか否かググルと、「イタリア人はフォークのみで食べる」という意見が多く、現地に住んでいたと称する人々の「スプーンを使うのは下品だ」という発言すらありました。しかし、その意見が優勢というわけではありません。

私はイタリアに出張する以前からスプーンとフォークでパスタを丸めていた口で、そのテクニックに上達し、一口分をお膳立て出来る便利な食べ方だと思っていました。ローマ、ヴェニス、ナポリ、フィレンツェなどを訪れ、各地でスパゲティを食べましたが、どこでもウェイターにスプーンを取り上げられたことはなく、特別にスプーンを注文する必要もありませんでしたし、一緒に食事した現地駐在の方々から「それは下品に見えるから止めた方がいい」と云われたこともありませんでした。

ウィーンのイタリア料理店でも何度かスパゲティを食べましたが、やはりスプーンを撤去されることはなく、いつもの食べ易い食べ方で楽しむことが出来ました。

食べ方というのは交通ルールと同じで、他人に不快な思いをさせたり迷惑をかけなければ、自分が食事を楽しめる方法を採用すればいいのだと思います。われわれ日本人も外国人に箸の使用を強制したりしませんし、彼らがナイフとフォークで日本食を楽しむのを「邪道だ」、「下品だ」などと云いません。ほほえましい感じであたたかく見守る筈です。日本人が外国で食事する場合も、現地人が眉を顰めるような無作法をするのでない限り、どんな食べ方をしてもいいのだと思います。

(May 10, 2011)

[Back to top]

[・] アメリカでもつ鍋

鶏のレヴァーはどこの食料品店でも"gizzards"として砂肝のパックを売っていますし、レストランのメニューになることもあります。しかし、牛もつのメニューというのは、レストランで見たことはありません。

スーパーWalmartでは様々なもつを売っています。牛もつには以下のようなものがあります。
・Beef Tripas([トリーパス] 小腸=“丸腸”)
・Scalded Beef Tripe([トライプ] 洗浄・熱湯消毒された第一の胃=“ミノ”)
・Honeycomb Tripe(第二の胃。蜂巣胃=“ハチノス”)
・Kidney(腎臓)
・レヴァー(肝臓)
・ハツ
【註】もつではありませんが、タン(舌)、オックステール(尻尾)なども売られています。

もつ鍋を作ろうと思って色々調べていて、初めて「ハツ」が"hearts"(心臓)だったということを知りました。驚きました。「カメヤ」みたいなもんですね:-)。

なぜWalmartでこんなに色々もつを売っているかというと、黒人が食べるからなんだそうです。黒人たちは"soul food"(ソウルフード)と呼んでいるとのこと。私の住むミシシッピ州は黒人の人口が多いですから、やはり売れる土地柄なのでしょう。なお、"soul food"は奴隷制度時代、栄養補給のために何でも食べなければならなかった黒人達の獣・魚・野菜などの料理全般を指し、もつだけに限るわけではありません。

私の周りやWalmartのレジ係の黒人に「Beef Tripas食べたことある?」と聞くと、「何それ?」と云われます。「small intestine(小腸)だよ」と云うと、食べたことはないと云い、想像も出来ないといった表情をします。黒人一般でさえそうですから、私の周りの白人たちで牛もつを食べたことがあるなんて人は、いまのところ皆無です。

さて、私のもつ鍋作りですが、牛もつが買えるのであれば、あとはニンニク、唐辛子、キャベツ、もやしなどはどこででも手に入りますから簡単です。ニラも私の冷凍室に貯蔵されています(冷凍保存出来るのです)。小腸の1パックは$3.67で1.2kgもあり、「こんなに食えない!」と思わされたのですが、これは杞憂でした。腸は煮ると半分かそれ以下に縮んじゃうので、1.2kgあっても二食分ぐらいにしかなりません。

仕上げに「タバスコ・スパイシー醤油」を加えたもつ鍋は、ピリッと締まった味になってとても良かったです。

(April 20, 2011)

[Back to top]

[・] アメリカで高菜漬けを作る

これはアメリカに住んでおられる方への情報です。自由に高菜が入手出来る日本の方には意味がありません。

私は関東生まれですが、子供の頃に高菜漬けの葉っぱを御飯に巻いて食べたクチで、この漬け物には愛着があります。アメリカの日韓中系食材店でも高菜漬けを見つけると買わずにはおられず、何度か購入したことがあります。出来れば自分で漬けられれば最高だと思っていました。

[greens]

Turnip greenという野菜があります。Turnipは蕪(カブ)ですが、Turnip greenはその葉っぱだけ売っている場合の名称です。ある日本婦人がそれを漬物にしたのを分けて貰ってびっくり。高菜漬けそっくりだったのです。

外国に住んでいて手軽に漬物を作るのに重宝なものに、『一時間漬(ふりかけタイプ)』(一袋70 g)というものがあります。野菜にこれを振りかけて半日〜一晩置くと立派な漬物が一丁上がり。糠床不要の優れものです。上の御婦人もこれを使っていました。

ただ、Turnip greenは安いせいもあって、普通もの凄く大きな束で売っています。とてもそんなには漬け切れませんし、食べ切れません。残念ながらずっとパスしていました。ところが、スーパーWalmartだと手頃な量で、たった98セントの束を売っていることを発見しました。

スーパーWalmartで売られている"Turnip green"は広く平らな葉っぱであり(写真左)、高菜のように葉の縁が紫色でもなく、葉の形も丸くありません。ですから、高菜とは完全に別物です。"Turnip green"の親戚である"Mustard Green"(カラシナ)は、Walmartで売られているものは葉の縁が縮れています。Wikipedia(日本語版、英語版とも)で「カラシナ」を見ると"Turnip green"そっくりの写真が出ています。Walmartの"Mustard Green"を買ってみたら、束ねた紐に"Curly Mustard Green"と印刷されていました。葉が縮れたものとそうでないのと、二通りあるということでしょうか。

Turnip greenを洗って束ねたものを、流しの上に数時間吊るして水を切り、それを食べ易いサイズに刻んで『一時間漬』をまぶします。さらに鷹の爪の種を除いて細かく輪切りにしたものと、昆布(味噌汁のダシを取ったもの)を千切りにしたものを混ぜています。

漬け物器に入れて一晩置くと、高菜漬けの一丁上がり。【『一時間漬』の説明では漬け物器で漬ける必要はなく、ビニール袋でいいそうですが…】水分を絞り過ぎると、繊維だけになってしまうので要注意。

Internetで高菜漬けのことを調べたら、主産地・九州では醤油漬けにしていることが分りました。で、『一時間漬』を使わない醤油漬けもやって見ました。高菜は中々水が上がらないので呼び水が必要とのことですが、Turnip greenも全くその通り。塩で下漬けしましたが、中々水が上がらず、合計“72時間漬け”くらいになってしまいました。醤油の量が膨大に要るのも驚きでした。

結果から云うと、『一時間漬』の方がずっと簡単です。私の高菜醤油漬けの味は単調で深みがなく、『一時間漬』を少し足してやっと食べられる味になりました。何度も試みた結果、葉の緑色を保つために塩を振り、『一時間漬』で一晩漬け、仕上げに醤油(出来れば、タバスコ・スパイシー醤油)を加えるのがいいようです。御飯に巻いて食べるのがお好きであれば、『一時間漬』だけよりも醤油味の方が向いていますが。

なお、"Curly Mustard Green"を同じ製法で漬けてみましたが、Turnip greenがやや辛目なのに対し、こちらはやや苦い味がします。Turnip greenと両方を混ぜるといいという話もあるのですが、私はTurnip greenだけの方が高菜風で好きです。

何たる偶然か、カミさんが本物の高菜の苗を買って来て育て始めました。私が高菜漬け模造品を作成していることなど知らず、「綺麗だから買って来た」とのことで、大きい葉を炒めて食べたそうです。私も数枚貰って試しに漬けてみました。間違いなく高菜でした。ただし、一鉢では本気で漬ける量が取れません。少なくとも二〜三鉢は必要で、園芸店に仕入れてくれるよう注文しました。

(March 30, 2011)

[Back to top]

[・] ニジマス

こちらのWinn-Dixieというグロサリ・ストアの鮮魚コーナーで、"steelhead trout"というのが鮭の切り身と並んで売られています。鮭の切り身にそっくりすが、サーモン・ピンクではなくやや赤茶色をしています。値段は鮭と同じ。

「鮭とどう違うの?」と売り場の黒人女性店員に聞くと、「どっちも同じだ」と云います。そんな筈はないだろうと英和辞典で調べると「降海型のニジマス」とありました。ニジマスなら味は鮭とは大違いの筈で、「どっちも同じ」とは云えません。Wikipedia英語版でも「降海型のニジマス」という説明の後、「鮭のように産卵後川で死なず、産卵後も海と淡水を行ったり来たりする」と説明されています。「食用としては、ある種の湖でとれたsteelhead troutは泥臭いと嫌われ、多くの消費者はどこでとれたか確認する」とも書かれていました。この種を「鮭」として売るのは違法で、市場では"rainbow trout"あるいはsteelhead troutと表示しなければいけないそうです。

Wikipedia日本語版で「ニジマス」の項を見ると、「基本的には、一生を淡水で過ごす河川残留型の魚であるが降海する個体もいる」とあり、「(養殖ニジマスは)飼料にもよるが、輸入物の鮭鱒に比べて脂の乗りが薄く、さっぱりとして癖が無いのが特徴となる。通常の輸入鮭鱒と比べても高価な部類に入る上に、生産量が少ない為、一般的に消費者の口に入る機会は少ない」と書かれています。アメリカのグロサリ・ストアでは鮭もsteelhead troutも同じ値段なのですから、大違いです。

 

確かにグロサリ・ストアで売られている鮭はかなり脂が乗っていて中トロ風ですが、steelhead troutにはトロっぽい感じはありません。どちらも養殖なのにそんな違いが出るわけです。

鮭とニジマスの両方を売っているグロサリ・ストアの店員の話では、お客はどちらも分け隔てなく買って行くそうです。アメリカ人の舌では違いが解らないのか、"trout"(マス)という語感を好むのか定かではありません。

(March 10, 2011)

【追記】その後、steelhead troutとsalmon(鮭)を続けて食べる機会に恵まれました。グロサリ・ストアの店員たちは「どっちも同じ味だ」と云い張りますが、明らかに違います。鶏肉に譬えると鮭は胸肉、ニジマスはもも肉の感じ。鮭の方が脂は乗っているものの、味は淡白です。ニジマスはこってりした味です。私は鮭の方が好きです。

(May 10, 2011)

[Back to top]

[・] てんぷら

[Tempura]

驚きました。スーパーWalmart(ウォルマート)の冷凍食品コーナーに、写真のような製品が並んでいたのです。"Premium Tempura --Battered Shrimp"(高級てんぷら〜衣つき海老)とあります。

驚いた最大の理由は、この製品が日系やアジア系の会社の製品ではなく、WalmartのOEMとして特注し販売する"Great Value"というラインの商品だったことです。アジア系の会社が製造・販売するものであれば"Tempura"と記すのは珍しくありませんが、WalmartのOEMということは、アメリカ最大のスーパー・チェーンWalmartが"Tempura"という日本語を認知したことを意味します。

アメリカの日本料理店のメニューでは"tempura"はこれまでも普通に見られましたが、一般の食料品店で日本語が認知されるのは"Panko"(パン粉)に続く快挙ではないでしょうか。ラージ・サイズの海老が15個と、天つゆのパックが一つ入って$4.98でした。パッケージをよーく見ると「製造国:ヴィエトナム」とありました。中国でなくて一安心。

私の町ではイカを売っていないので、"Breaded Calamari"(パン粉つき小イカのフライ)というのをたまに買っています。それはちゃんと揚げるので、この「冷凍てんぷら」も揚げて食べるのだろうと思い込んでいました。この「冷凍てんぷら」は違いました。

買ってから調理法をよく読んだら、揚げる必要はなく、単に450°F(232℃)に予熱したオーヴンで12〜15分bake(ベイク)するというものです。要するに、残り物のてんぷらを翌日食べるのと同じなのです。やってみると、衣の感じはカラッとして悪くないのですが、海老の肉がとろけるようで良くありません。ここで「とろける」は褒め言葉ではなく、シコシコ感がなく、海老を食べた気がしないということです。

これはそのまま食べるのではなく、天丼やてんぷら蕎麦の具として使うといいではないかと思いました。しかし、オーヴン・トースターで温めたてんぷらを煮ると、衣がぼてっとしてしまい落第でした。オーヴン・トースターで温めたままのものに天つゆをかけるか(ただし、添付の天つゆはひどい味なので駄目です)、うどんや蕎麦に入れるのが一番いいようです。

【後記】この製品は当地では売れなかったらしく、早々に消えてしまいました。

(February 20, 2011、後記September 24, 2017)

[Back to top]

[・] 皮の話いろいろ

「アメリカの餃子」でアメリカ製餃子の皮は厚くて駄目ということを書きました。同じことが春巻きの皮にも当てはまります。スーパーWalmartや普通のグロサリ・ストアで売っている春巻きの皮も厚くて興醒めです。アジア系食材店に行くと、極薄でパリパリするものを売っています。

私が合格点を上げられる春巻きの皮の一つは、Spring Homeというブランドの'TYJ Spring Roll Pastry'(25枚入り)です。このパッケージには「春巻皮」という文字と第一家食品厰有限公司とあるので、まるで中国製のように見えますが、実際にはシンガポール製です。シンガポールの人口の半分以上は中国人なので、驚くことはありませんが。

もう一つは「味全 Wei-Chuan」というブランド名、「春捲皮」という文字と"Spring Roll Shells"がでかでかと印刷されたもの(これも25枚入り)。これはよく見るとカリフォーニア州で作られています。心配しながら作ってみたのですが、シンガポール製と全く同じように極薄パリパリでした。

米国で販売されている中華料理の皮は普通"wrapper"と呼ばれるのですが、上の二つは"pastry"とか"shell"と表示しているのが珍しい。なぜ、"wrapper"としないのか不思議です。

私は焼売が大好きです。干した帆立貝柱も、味の素の『帆立だし』も手元にあるので、帆立貝柱を隠し味にした横浜・崎陽軒もどきの焼売を作ることが出来ます。ところが焼売の皮というものを手に入れるのが難しい。一般のグロサリ・ストアでは売っていませんし、アジア系食材店でもめったに扱っていません。餃子の皮は円形ですが、焼売の皮はやや小ぶりで四角形です。しかも餃子の皮より薄いのがスタンダード。アジア系食材店の店主(多くは中国人か韓国人)は「餃子の皮と同じだよ」とか云います。私は騙されませんが、カミさんに買い物を頼むと、いつも騙されて餃子の皮を買わされて帰って来ます。お蔭で、餃子の皮が溜まるわ、溜まるわ。

数年前、日本からの海外取材グループに依頼され、カリフォーニア州で撮影を行った時のこと。みんなでサンフランシスコでも人気があるという飲茶(やむちゃ)レストランへ行きました。日曜日の昼過ぎということもあったでしょうが、テーブルに着けるまでに40分近く待たされました。五分おきぐらいに様々な中華料理を乗せたワゴンが廻って来るのですが、何故か焼売だけ来ないのです。みんなで「焼売来ないか、焼売!」とジリジリしていました。他の料理を食べてしまうと焼売が食べられないので、お腹にスペースを空けて待っています。30分ぐらい経って、やっと焼売が来ました。みんなで分けたので、一人二個ずつぐらいにしかなりません。次の焼売のワゴンを待ちました。また30分待ち。

上の経験で分ったことですが、アメリカでは焼売ってそれほど人気がないんですね。私のカミサんは餃子は大好きですが、焼売を食べたいとは云いません。中華バッフェ(食べ放題)の店でも焼売にはあまりお目にかかりません。ですから、焼売の皮が中々入手出来ないのも当然の成り行きなのでしょう。

仕方なく、自分で焼売の皮を作ってみました。かなり薄くしたつもりですが、蒸してみるとぼてっとして落第点でした。しかし、具を保てなくてべちゃっとなるほど薄い(焼売としては恰好悪い)のに、これ以上薄くしたらどうなるのか?と思いました。

話は野菜の皮に移ります。アメリカ人の多くが食べ物に関して鈍感だったり調理にずぼらだったりするのは常識ですが、以下のような、私のカミさんの例はどうでしょうか?
・彼女はピーナッツの薄皮も食べます。もともとピーナッツに目がない方なのですが、これは驚きです。
・彼女が作る料理のトマトは湯剥きなどということをしません。そういう料理を出された私は、皿の横にナイフとフォークで剥いたトマトの皮を積み上げることになります。別に嫌味ではなく、皮を食べたくないからですが。
・彼女は茹でてあるかベークされたジャガイモの皮も食べます。料理する時も剥きません。
・人参も煮ると薄皮が剥がれて嫌なものですが、カミさんは当然包丁の峯で擦って剥いたりしません。
・セロリの筋は取るそうです。

あるアメリカ人夫妻に同じことを聞いてみました。旦那(68歳)の方は、
・ピーナッツの皮を食べる。
・ジャガイモの皮も食べる。
・(調理済みの)トマトの皮も食べる。
・人参の皮は剥く。
・セロリの筋を取ったりしないし、他のアメリカ人も取らないと思う。

彼の奥さんは、
・ピーナッツの皮を食べる。
・ジャガイモの皮も食べる。
・(調理済みの)トマトの皮も食べる。
・人参の皮を剥く。
・セロリの筋を取ったりしないし、他のアメリカ人も筋を取らないで食べると思う。

こんな少数のデータで決めつけるのはナンですが、アメリカ人が野菜の皮や筋に無頓着であるというイメージは窺えると思います。私などはカレーを作った時にピーマンの皮が剥がれて浮いているのを見るのも(食べるのはもちろん)嫌なので、ピーナッツの皮、ジャガイモの皮、人参の皮、セロリの筋なども口に入れたくない方です。鷹揚なアメリカ人とえらい違いです。

(January 30, 2011)

[Back to top]

[・] アメリカの餃子

アメリカのスーパーや食料品店では、どこでも餃子の皮を売っています。ところが、それらはどれも厚ぼったくて美味しくありません。日本風の薄い皮が欲しければ、日系か韓国系、中国系の食材店に行かないといけません。

最近になって、なぜ厚い餃子の皮しか見当たらないのか理由が判りました。中国では水餃子がスタンダードなのだそうです。具に牛脂を使っており、薄い皮だと流れ出してしまう恐れがあるため、厚い皮になっているのだとか。中国人は水餃子の残り物を焼き餃子にして食べる程度であって、滅多に焼いては食べないのだそうです。水餃子がアメリカにも広まってしまったので、同時に皮も厚いのばかり売られるようになってしまったわけです。

そう云えば、中華バッフェ(食べ放題)のレストランに置いてある餃子もお湯の中に浮かんでいましたし、私の知り合いの日本婦人がアメリカ人の集まり(家族や教会のグループなど)に餃子を振る舞う時も(焼かずに)水餃子にすると云ってました。

[wrapper]

アジア系食材店で売っている餃子の皮の包装をよく見ると「水餃皮 Gyoza Wrapper」と印刷されていました。いつも、「何で“水”の字があるのか?」と不思議でしたが、「水餃子の皮」という意味だったんですね。

ある時、スーパーWalmartで"TAIPEI Pork Potstickers"という冷凍餃子(アメリカ製)を見掛けました。"potsticker"というのが餃子に当たる英語です。その袋には"Pork and vegetable dumpling"とも添え書きしてありました。この製品の調理法を読むと、
1) フライパンで焼く【当社推薦の方法】
2) 茹でる【伝統的方法】
3) 電子レンジ【推薦出来ない方法】
…という順に説明がありました。「茹でる」のが伝統的調理法であると宣言されています。「フライパンで焼く」は「一分間中火で焼き、1カップの湯を加えて蓋をし、八分間(あるいは水分が蒸発するまで)蒸す」とあり、これは日本人が慣れ親しんだ典型的な焼き餃子の調理法です。

ところが、そうやって焼いた餃子は、具の味はとてもいいものの、皮は厚くてもったりしてひどいものでした。やはりアメリカ製の餃子は駄目です。日系食材店で購入出来る冷凍餃子が一番です。

(January 10, 2011)

[Back to top]

[・] アメリカ南部の北海道

カミさんの運転で、隣りのアラバマ州のTuscaloosa(タスカルーサ)という町に行きました。カミさんは衣料品の物色、私はこの町にある中国・韓国系の食料品店での買い物が目的。

韓国系食品店の学生風の店員の勧めで、Hokkaido(北海道)という名の日本料理店で昼食を摂ったのですが、色々驚かされました。

カミさんは海老天婦羅セット、私は巻き寿司セットを頼んだのですが、寿司より天婦羅の方が早く出て来たこと。それには海老が三個、マッシュルームとブロッコリとその他の正体不明の天婦羅が一個ずつ、それに餃子とミニ春巻きが一個ずつ。そのミニ春巻きは冷え切ったものでした。天婦羅も良い天ぷら粉を使っておらず、素材を冷やして揚げてもいないようで、衣がぼてっと厚く、しかもカツのように茶色でした(古い油を使っているのかも知れません)。私が作る天婦羅の方がずっと本格的です。おまけに御飯は炒飯で、不味い味だったとのこと。カミさんはがっかりしていました。

私の巻き寿司にもびっくり。伝統的巻き寿司なら、一個が5センチぐらいのものが出て来る筈ですが、ここのはその一個を三つに切ってあるのです。一個が1.5センチ見当。見た目には沢山あるように見えるのですが、実際には四個のカッパ巻きと四個のカリフォーニア巻きでしかありません(計二本の巻き物)。こんなのは初めて見ました。小さく切ったのはアメリカ人が食べ易いようにという配慮だという理屈は成立するにせよ、一杯あるように見せるという上げ底作戦でもあると思います。海苔もパリッとしておらず、色も赤みを帯びていました(新鮮なものなら黒光りしている筈)。

天婦羅セットも巻き寿司セットも、その値段が5ドル程度なら許せますが一人前が9ドルもします。いやはや、不運な日でした。私は五年ほど北海道で勤務したことがあるので北海道は好きですが、このアメリカ南部の北海道は嫌いになりました。

Yahoo英語版にこの店に関する感想を書くページがあるのを発見しました。誰かが「安いが不味い」と書いた意見に、別なアメリカ人が「昼でなく夜行きなさい。全く違いますよ」というコメントを加えていました。私は「では、この店は昼は閉めるべきだ」と書き込みました。

(December 20, 2010)

[Back to top]

[・] タバスコ・スパイシー醤油

スーパーWalmartでは一年以上前からタバスコ製スパイシー醤油が売られていたのですが、成分表を見ても醤油とタバスコを混ぜただけらしいので「それなら自分でも出来る」と思って買おうとは思いませんでした。

最近になって'Tabasco Cookbook'という、タバスコの会社が編集した料理本を読み、この堅実な会社が意味も無い試みをするとは思えないようになりました。事実、同じ会社のGreen Pepper Sauce(ヘラペーニャ・ペパーをフィーチャーした緑色のソース)は、野菜や魚主体の料理にマッチする素晴らしい調味料です。スパイシー醤油にもそのような魅力があるのではないか?私の好奇心は膨らむばかりでした。

で、ついに買ってしまいました。量はGreen Pepper Sauceと同じ148mlです(赤いペパー・ソースの標準的小瓶は59ml)。日本で売られている「タバスコ・スパイシー醤油」の塩分は12%と随分控え目のようですが、アメリカのは大さじ一杯(15ml)の37%も塩分があります。キッコーマンの普通の醤油の塩分大さじ一杯の38%とほぼ同じです。アメリカ人の方が塩分摂取に神経質の筈ですが、一体どういうことでしょうか?

“スパイシー”と云っても唐辛子の辛さなので、ワサビや生姜を必要とする料理の場合にはマッチしません。唐辛子を使う料理の仕上げにいいようです。私は「四川風ナス炒め」の仕上げに垂らしてみましたが、それ以前よりずっとシャープでいい味になりました。この分ですとラー油なしで餃子が食べられそうです。

博多風もつ鍋(醤油味)に鷹の爪は欠かせません。で、もつ鍋の仕上げにも「タバスコ・スパイシー醤油」を使ってみましたが、ピンポーン!とてもいい味になりました。

たまたま「真いかの一夜干し」(製造国:タイ、販売:紀文)を入手しました。「どうやって食べたらいいのだろう?」と思い、「真いかの一夜干し」で検索したら「マヨネーズと醤油と一味唐辛子を混ぜ、付けて食べるのは稚内っ子の常識です」と書かれたサイトに遭遇。醤油と唐辛子の組み合わせなら、ずばりタバスコ・スパイシー醤油ではありませんか。マヨネーズにタバスコ・スパイシー醤油をかけて混ぜ、炙(あぶ)って裂いたいかにつけて食べました。柔らかいいか、ピリッとしたスパイシー醤油とマヨネーズのまろやかさがミックスされて、絶妙のコンビネーションでした。タバスコ・スパイシー醤油だけでたべるよりもずっと美味しかったです。

タバスコ社の公式ウェブサイト(http://www.tabasco.com/tabasco_tent/condiments/soy_sauce.cfm)を訪れてみると、「アジア諸国の人々はこれまで常に醤油とスパイスを一緒に使って来た。古典的四川料理、セサミ・ヌードルやサテーなどのタイ料理、韓国料理、寿司や刺身、天婦羅などの日本料理。それが醤油とオリジナル・タバスコ・ソースを混ぜて提供する所以である」と書かれていました。

(November 30, 2010)

[Back to top]

[・] 冷凍ピザの価格

スーパーWalmartの冷凍ピザの値段は、ガソリンの値段のように上下します。円やドルの価格ほど目まぐるしく変動はしませんが、20〜30日おきぐらいに価格が変わります。

私の好きな銘柄はRed Baronの"Special Deluxe Pizza"("supreme"みたいなもの)です。冷凍ピザとしてはコスト・パフォーマンスが高いので、気に入っています。

最高値 $4.25
 ↓
中値  $3.33(この時期が最も長い)
 ↓
最安値 $2.88
 ↓
最高値(以下繰り返し)

どういう条件・契機で値段が変わるのか不思議なのですが、株価やガソリン価格の上下とは連動していないようです。他社の新製品登場時に値下げを敢行して、相手の出鼻を挫くということかも知れません。しかし、それにしては上記のようなサイクルになる理由が解りません。

当然、私は$2.88の時期を狙っているのですが、その時が到来しても私の冷蔵庫の冷凍室は狭いので三つ以上買い溜めするということが出来ません。痺れを切らして$3.33の時にも買わねばならないことがあります。一度、$4.25の時にも買ってしまったことがありますが、この“変動相場制”とサイクルに気づいてからは、最高値の時期にはじっと辛抱するようになりました。

日本の冷凍ピザの価格も、このように変動するのでしょうか?

【後記】残念ながら、Walmartでのこのピザの値段は$3.50ぐらいで固定してしまいました。他のグロサリ・ストアでたまに二個$5.00セールをやる時だけが狙い目になっています。

(September 30, 2010、後記September 24, 2017)

[Back to top]

[・] ヴォンゴレとオリーヴ油と

私は日本のヴォンゴレ・ビアンコが大好きです。ニンニクとアサリの風味の取り合わせがたまりません。“日本の”という枕詞を付けたのには理由があります。ずっと前にイタリアに出張した際、「本場のヴォンゴレ・ビアンコはさぞ美味しかろう!」と思ったのですが左にあらず。本場のヴォンゴレはアサリではなくムール貝だったのです。私はムール貝の甘い味が嫌いなのです。この時何度か挑戦しましたが、出て来たヴォンゴレはみなアサリではなくムール貝でした。もともとイタリア語の"vongole"は「二枚貝」を指す言葉だそうなので、アサリではなくムール貝が出て来ても悪くはないのですが。

本場のヴォンゴレ・ビアンコには失望しましたが、スパゲティや各種パスタの味は充分楽しみ、舌に覚え込ませて帰国。帰国したらすぐ札幌に転勤を命ぜられました。引っ越し騒ぎも終った頃、札幌市内のイタリア料理店へ行きました。注文はもちろんヴォンゴレ・ビアンコ。ところが出て来たスパゲティはパサパサしており、オリーヴ油のしっとりした滑らかさがありません。本場イタリアのレストランでは、客に「好きなだけかけろ」とでも云うようにテーブルにオリーヴ油の瓶が置いてあったことを思い出しました。で、ウェイターに「オリーヴ油を頂戴」と頼みました。ウェイターはキッチンに行きましたが、戻って来ると「シェフの指示ですので」と云ってヴォンゴレ・ビアンコの皿をキッチンに持って帰ってしまいました。数分後、「お待たせしました」と同じ皿がやや油にまみれて戻って来ました。シェフは、またスパゲティに油を足して炒め直したみたいです。【その後、唾を吐きかけたかも知れませんが:-)】

後で知ったことですが、イタリアのレストランのテーブルにあったのは「エクストラ・ヴァージン・オリーヴ・オイル」なんですね。この高級オリーヴ・オイルは炒め物などに使う油ではなく、香りを楽しむためにサラダなどにかけるものなのです(熱を与えると香りが飛んでしまうので無意味)。私にとっては炒め直したりせず、エクストラ・ヴァージン・オリーヴ・オイルが二、三滴あればそれでよかったのですが。

漫画映画'Popeye'『ポパイ』の恋人オリーブ・オイルの名が"Olive Oil"だと思っている人が多いようです(アメリカ人でもそう)。実は"Olive Oyle"です。Doyle(例:Arthur Conan Doyle)から"D"を取ったような名前で、いかにもありそうだけど無い名前。

ついでですが、日本のイタリア料理店のテーブルに必ずあるタバスコ。アメリカのイタリア料理店には、ほとんどと云っていいほどありません。あまり知られていない事実ですが、あのTABASCOはアメリカ南部ルイジアナ州の名産です。ですから、イタリアとは何の関係もないので、欧米のイタリア料理店が常備していなくても文句は云えません。しかし、タバスコの産地に近いアメリカ南部のイタリア料理店ぐらいでは置いといて貰いたいものです。私など、タバスコ抜きのピザなんて考えられないほどですので。

(August 10, 2010)

[Back to top]

[・] 青梗菜

中国野菜の青梗菜は栄養豊富で(カルシウム、ヴィタミンAやCなどが豊富)、日本でもポピュラーな青菜です。白菜はアメリカの南部の田舎の食料品店でもよく見かけるようになりましたが、青梗菜はどこにもありません。

仕方なく、アジア系食材店に行った時に新鮮なものがあれば買う程度で、これだと数年に一回ぐらいしか食べられません。

カミさんが日本野菜の種を蒔いて育てると云い出しました(料理するのは、私)。そして、カリフォーニア州の kitazawaseed.com から無料のカタログを取り寄せ、「どれがいい?」と云います。勿論私は青梗菜を第一に希望しました。

"Chinese Pak Choi"は"This Bok Choy variety has smooth green leaves and thick white leaf stalks."と説明されています。"thick white leaf stalks"(厚く白い葉柄)というのが引っ掛かります。「葉柄(ようへい)」は葉っぱのような茎という意味です。

その次の"Dwarf Pak Choi"は"This is 'Baby Bok Choi,' the famous Asian green with glossy dark green leaves and short white petioles."(光沢のある濃緑色の葉と短い葉柄の有名なアジアの野菜)と説明されています。「これだ!」と思いました。で、カミさんがこの種を仕入れて蒔いたのですが、全然育ちません。「肥料のせいだろうか?」とか色々悩みました。

ある日、カミさんが「近くの食料品店でBok Choiを売ってるわよ。見て御覧なさい」と云いました。私は「ウッソー!」と思いながらも、その食料品店に行って見ました。確かに"Bok Choi"という札がかかっていますが、見慣れた青梗菜はどこにもありません。店員に聞くと、セロリのような白く長い茎の、緑の葉の部分がホンの少ししかない野菜を指して、「これがBok Choiだ」と云いました。私はまた「ウッソー!」と思いましたが、試しに買って帰り、炒めてみました。確かに青梗菜の味はしました。

話を端折りますと、食料品店で売っているのは例のカタログの"Chinese Pak Choi"と判明しました。「厚く白い葉柄」という説明もぴったりです。日本で人気のある青梗菜とは違うのです。もう一度カタログを点検すると、"Hanakan, Hybrid"という種(たね)があり、"This compact Japanese Pak Choi is best known for it's good uniformity and early maturity. It has very short green petioles that are thick and sturdy, supporting the dark green oblong leaf."(厚く逞しくとても短い緑色の葉柄が、濃緑色の楕円形の葉を支えている)これが私の馴染んだ青梗菜です。日本のハイブリッドだったんですね!

"Dwarf Pak Choi"は"dwarf"(小人)という名称が表わすように、育ってもとても小さい種類の青梗菜だったのでした。日本の青梗菜の1/3ぐらいの丈で、とても貧相なものでした。

なお、白菜は"Chinese cabbage"ですが、スーパーWalmartなどでは"Napa cabbage"と呼んでいます。カリフォーニア・ワインの産地Napaとは無関係で、日本語の"nappa"(菜っ葉)が語源のようです。

(July 10, 2010)

[Back to top]

[・] アメリカの緑茶ティー・バッグ

緑茶ですがティー・バッグであり、日本茶のような"loose tea"(お茶っ葉)ではありません。ティー・バッグのお茶は味が薄いという先入観があり、全く手を出していなかったのですが、純粋の日本茶を切らしてしまった際に、仕方なく色々品定めをすることになりました。

ものによっては「中国古来の〜」などと謳っているものもあり、純日本風のお茶が欲しい場合にはよく見極めないといけません。私の関心は普通の緑茶であり、オレンジだのザクロだのの味を交えたお茶には興味がありませんので、お断りしておきます。

アメリカの"green tea"はどれも"antioxidants"(抗酸化物質)であることを“売り”にしています。添加物が含まれた食品、喫煙、大気汚染、紫外線、ストレスなどは活性酸素を発生し、それは体内のたんぱく質、脂質、DNAなどを酸化させてしまい、ほとんどの病気の原因であると云われています。その活性酸素を除去するのがこの抗酸化物質です。

2007年の日本の厚生省の調査では、一日に少なくとも五杯緑茶を飲む人は一杯だけ飲む人よりも前立腺癌に罹る率が低いという結果が出たそうです。アジア人種には比較的前立腺癌の罹病率が低いと云われていますが、それは緑茶の摂取が影響しているのかも知れません。

なお、大抵の製品はティー・バッグ一個で"8 fl. oz"分がサーヴ出来ると書いてあります。これは1カップの量ですから、大きめの容器で煎れないと濃く、渋くなります。


・Celestial社製 Green Tea "Authentic"(40袋) $3.18($0.08 per bag)

【パッケージに記された煎れ方】"freshly heated water"(新鮮な湯)に2分浸ける。

この会社からは色んな種類が出ていますが、"Authentic"というのを選んでみました。ただ、買う決断をするまでにかなり迷いました。"Green Tea with White Tea for Smooth Taste"という文句が付いていたからです。私は"white tea"なるものの存在を知らなかったので、妙な味だと困るなと思ったのです。しかし、外箱に岡倉覚三(天心)の『茶の本』の一節が印刷されているので、日本茶風であるとは期待出来ました。

ところが"white tea"とは文字通り「白茶」で中国のお茶なのでした。若葉や芽を摘んでわずかに発酵・乾燥させたお茶だそうです。「白茶」はBai Mu Danという高級なお茶に使われるものだそうですが、これがあまりにも味をスムーズにしてしまい、日本茶の刺激がありません。色もあまりなく、薄い黄色です。

"Sweeten if desired."(お好みなら甘くしなさい)と書いてあります。

なお、このティー・バッグには紐(糸)が付いていません。理由はゴミを減らすためだそうです。


・Lipton社製 Green Tea(Pure Green Tea)(20袋) $1.98($0.10 per bag)

【パッケージに記された煎れ方】"boiled water"(沸騰させた湯)に1分〜1分半浸ける。

この会社も様々な風味・香料を加えた緑茶を販売していますが、私は"Pure Green Tea"と銘打たれたものを選びました。これにはカフェインの少ないタイプもありますが、私のはカフェイン35%(ドリップ・コーフィーは100%)です。

これは色も茶色で味も渋く(カフェインのせいでしょうか)、安い日本茶に似ていますが、新鮮な緑茶の味ではありません。'The Steamy Kitchen Cookbook'という料理本の著者(中国人)が"Supermarket tea bags are stale tea dust!"(スーパーで売っているティー・バッグは、風味の失せたお茶っぱの屑に過ぎない)と云っている通りの味です。

外箱の「煎れ方」の説明に"sweeten to taste"(甘味料を足しなさい)と推奨されています。驚いちゃいますね。日本茶じゃなくなっちゃう。老舗Liptonともあろうものがこんなことを書くなんて、馬鹿じゃないの!


・Stash社製 Premium Green Tea(20袋) $2.99($0.15 per bag)

【パッケージに記された煎れ方】"bring fresh water to just below boil"(沸騰直前まで湯を沸かし)、それに1分〜3分浸ける。

カフェインの含まれているタイプを選択。これも新鮮な緑茶の風味はありませんが、色は(黄色っぽいものの)お茶の色をしており、カフェイン入りでも渋みはありません。ぬめっとしたようなまろやかな味です。まあまあ及第点。


・Bigelow社製 Green Tea(20袋) $2.04($0.10 per bag)

【パッケージに記された煎れ方】"boiling water"(沸騰した湯)に2分〜4分浸ける。

このパッケージには富士山をバックにした鳥居という純日本的な図柄が描かれているので期待したのですが、何の香りもない茶色の(やや渋い)液体が出来ただけでした。

煎れ方に「"boiling water"(沸騰している湯)に最長4分浸ける」(長い!)ということから、これが如何に味のないお茶か推測すべきでした。

本来の日本茶("loose tea")の美味しい煎れ方は、沸騰した湯を数分冷まし、30秒ほど煎れるというものです。それを基準に考えると、《ティー・バッグの場合も、低い温度で短時間で煎れられるものが最も香りが良い》と云えると思います。

売られている緑茶ティーバッグの数はまだ沢山ありますが、全てをカヴァーし切れるものではありません。機会があれば他の銘柄も試してみたいと思いますが、とりあえずここまででまとめました。以上の中で筆者が気に入ったものは「Stash社製 Premium Green Tea」です。「沸騰直前の湯」で「1分〜3分」と書かれている点も、私が発見した法則に合致しています。

(June 10, 2010)

・Twinings社製 Green Tea(20袋) $3.79($0.18 per bag)

【パッケージに記された煎れ方】"hot but not boiling water"(熱いが沸騰していない湯)に1分〜2分浸ける。

Twiningsは「英国王室御用達の紅茶およびコーフィー商人である」ことを自慢にしています。

このティーバッグのパッケージには"light flavour strength"という表示があり、最初から強い味ではないことが宣言されています。「当社の緑茶は“煎茶”と呼ばれるスムーズかつマイルドな特徴を持っている」とも書かれています。確かに、緑茶の味はします。しかし、いかんせん香りと味が弱過ぎます。ただし、渋い後味が残ります。安い日本茶の感じ。ペケです。


・Salada社製 100% Green Tea(20袋) $3.49($0.17 per bag)

【パッケージに記された煎れ方】沸騰した湯を1分間冷ましてから注ぎ、2〜3分待つ。

この製品のパッケージには"Naturally Decaffenated"と記されています。緑茶からカフェインを抜くのは"natural"とは思えないのですが、そんな方法があるのでしょうか?

"Salada"という社名が新鮮なお茶を連想させたので買ってみたのですが、別に新鮮な味わいはしません。スムーズな喉越しですが、それはカフェインがないからだと思います。渋くはないものの、茶色いお湯を飲んでいる感じでお勧め出来ません。


・Numi社製 Gunpowder Green(18袋) $4.99($0.28 per bag)

"gunpowder tea"というのは、『リーダーズ英和』によれば「珠茶(チューチャー)、玉(たま)緑茶[葉を粒状に巻いた上等の緑茶]」のことだそうです。昔の火縄銃の弾丸のイメージなのでしょう。Numi社のサイトの説明には「われわれの緑茶は穏やかに蒸され、真珠のように巻かれる【編註:味わいを保つための工夫】。この茶を煎れると、葉が広がり、充分にまろやかでスムーズな味を生み出す」と書かれています。

【パッケージに記された煎れ方】沸騰した湯を少し冷ましてから注ぎ、2〜3分待つ。

カフェイン含有とは思えないほどまろやかな味ではありますが、新鮮な緑茶の味はしません。セールの目玉商品として買ったので$4.99でしたが、通常価格は$6.29だそうで、18袋入りティーバッグとしては高価過ぎます。お勧め出来ません。


・Winn-Dixie販売 Green Tea(40袋) $2.99($0.07 per bag)

Winn-Dixie(ウィン・ディキシー)は南部中心の大規模食料品店チェーンですので、他の地域の方には役立たない情報でしょう。Walmartと同じように、Winn-Dixieも正体不明の製造元と特約して、無印良品のように安価な商品を色々販売しようとしています。40袋でこの値段ならお値打ちだと思い、試してみました。

【パッケージに記された煎れ方】沸騰した湯を5〜7分冷ましてから注ぎ、1〜2分待つ。

これもカフェイン含有とは思えないほどまろやかな味です。安い日本茶の味がしますので、単なる茶色いお湯でないところは評価出来ます。緑茶が入手出来ない非常時のために買うのであれば、コストパフォーマンスから云ってこれはお勧めです。

(October 10, 2010)

・Celestial社製 Green Tea(20袋) $3.79($0.18 per bag*)

*ただし、"Buy 1 Get 1 Free"で買ったので、実際には$0.09 per bagです:-)。この「アメリカの緑茶ティー・バッグ」という記事の最初に取り上げたのは、同社製の"Authentic"という品目で"white tea"を混ぜたものでしたが、今回のには"white tea"は含まれていません。

【パッケージに記された煎れ方】"very hot water(just at the brink of boiling)"(沸騰したての熱湯)に3分浸ける。

この製品のパッケージには日本の緑茶栽培・収穫・製造法についての簡単な説明があり、「当社は煎茶スタイルの緑茶が最もスムーズな味で、茶葉の繊細な個性を保つものと確信している」と書かれています。かなり薄い味で物足りません。その代わり、渋くもありません。普通の価格だったら「失敗した」と思うでしょうが、"Buy 1 Get 1 Free"なので許せます。

"Now with even more antioxidants"(抗酸化物質を増量)という表示があります。"Sweeten if desired."(お好みなら甘くしなさい)とも書いてあります。

"Sweeten if desired."(お好みなら甘くしなさい)と書いてあります。

このティー・バッグには紐(糸)が付いていません。理由はゴミを減らすためだそうです。


(December 17, 2010)

[Back to top]

[・] 刺身

あるグロサリ・ストア(大規模食料品店)の鮮魚コーナーを見ていたら、マグロの切り身のパッケージに"Sashimi grade"(刺身級の鮮度)というシールが貼ってありました。このグロサリ・ストアは日系食品店ではありませんから、ついに「サシミ」もアメリカ人に通用する言葉になったわけです。

この"Sashimi grade"のマグロは数日間売れなかったと見えて、賞味期限ギリギリのため安い値段がついていました。私は当然購入し、二日に分けて刺身として食べました。賞味期限が迫っていたということは、もはや"Sashimi grade"ではなかった筈ですが、私のお腹は無事でした:-)。ほっ!。

生鮭の切り身に"Sashimi grade"という表示はありませんが、私は買って来たら半分ぐらいは刺身で食べます。お腹を壊したことはありません。"Wild caught"(自然環境で捕獲)と"Farm raised"(養殖)と二種類ありますが、どちらも脂が乗っていて、あまり違いはありません。一説によれば、「養殖の魚の方が寄生虫の危険がなくて安全」だそうです。

鮭としては普通の"salmon"と"Steelhead trout"(ニジマス)の二種を見掛けることがあります。「川魚のtrout(鱒)よりは鮭の方が味が濃厚なのに違いないだろ」と思うと、これが左にあらず。味も魚の習性もほとんど同じなのです。どちらの魚も海で暮らし、産卵のために川に上(のぼ)って来ます。唯一の違いは、産卵を終えた鮭は死んでしまうのに対し、Steelhead troutは死なないでまた海に戻ることです。Steelhead troutの日本での商品名は「サーモントラウト」となっています。

なお、食料品店の冷凍魚セクションで、Sea Delightブランドの"Gourmet Tuna"(三角形の切り身二個入り)というのを売っていても買わない方がよろしい。これはマグロには違いないとしても筋が多くて、くちゃくちゃ噛まなきゃならないのが不愉快(しかも噛み切れない)。刺身として食べるなら、やはりウィンドウの中のマグロを買うべきです。

(May 10, 2010)

[Back to top]

[・] 枝豆

Panko(パン粉)もそうでしたが、Edamame(枝豆)もじわじわとアメリカに浸透しています。冷凍で売られているのですが、1) 生を冷凍してあり、購入者が茹でるもの、2) 塩味で茹でてあり、解凍するだけで食べられるもの…の二種類があります。

[Crane]

アメリカで売られている枝豆の「調理法」を読むと、日本のように熱湯で茹でるという方法は書かれておらず、電子レンジで五分チンするというタイプばかりです。そして、「sea salt(天然の粗塩)を掛けて食べる」というものが多い。そうやってみましたが、五分チンしても生っぽい枝豆にしかなりません。私は日本流の、熱湯に少し塩を入れて(これは新鮮な緑色を保つため)冷凍枝豆を五分ほど茹で、茹で上がった後水冷し、その水を切って食卓塩をまぶすという方法の方が好きです。この方が甘い味わいが出ます。

大豆に含まれるlecithin(レシスィン、日本語ではレシチン)は、脳の老化を防ぐ効能があると云われています。特に記憶能力の低下を防ぎ、アルツハイマーの予防にも役立つということです(現段階では科学的に立証されているわけではなく、「そう考えられる」という状況のようですが)。アメリカでは肥満の解消にも効果があるとされています。私も一時錠剤のlecithinを服用していたことがあるのですが、最近すっかり忘れていました。で、薬局のlecithinの価格を調べると、一瓶が$8.00とヴィタミン剤に較べると結構高いお値段です。

冷凍枝豆も格段に安いものではないのですが、錠剤を買うより、枝豆を普段スナック代わりに食べたらどうだろう?と思いました。錠剤では腹は膨れませんが、枝豆ならお八つになります。ポテト・チップスなどを食べるよりもずっと健康的です。アメリカでEdamame(枝豆)の人気が出ているのも、そういう理由かも知れません。

なお、アメリカで売られているEdamameの中には"Product of China."と書かれているものがあります。こういうのは違法の肥料や防虫剤が心配です。

【おことわり】画像はhttps://img.lancers.jp/proposal/にリンクして表示させて頂いています。

(April 20, 2010)

【追記】

カミさんが、友達の女性とアジア系の小さなレストランへ昼食を食べに行きました。ここのメニューにはオードブルとして枝豆があるそうです。彼女の友達は何と枝豆だけオーダーしたそうです。理由はダイエット中だから…。私はこの女性を知っていますが、肥満体というほどではなく、よく見られる中年の体型に過ぎません(太っていたら枝豆だけでは午後一杯もたないでしょうけど)。しかし、「枝豆=スナック案」を既に実践している人がいるのに驚きました。

(June 30, 2010)

[Back to top]

[・] フードスライサー

[slicer]

数年前、フードスライサーを購入しました。フードスライサーとはハムやステーキ肉、パン、チーズなど結構色々スライス出来るので“フード”と銘打ってあるのですが、私の眼目は牛肉の薄切りですき焼きやしゃぶしゃぶ、朝鮮焼き肉を食べたいという一点にあり、他の食品はまるで念頭にありません。

Atlanta(アトランタ)などの大都市へ行けば「すき焼き肉」とか「しゃぶしゃぶ肉」を売っています。ミシシッピ州でも州都Jackson(ジャクスン)まで行けば「すき焼き肉」は買えます。スライスしてあって、冷凍パックになっています。しかし、高いのです。そんなものを買っても贅沢過ぎて、何か特別の日でもないと食べちゃいけないような気になります。

私の住む町の食料品店で、いくら口を酸っぱくして肉の係に頼んでも日本のすき焼き肉の薄さにはしてくれません。アメリカ人としては「そんな薄くしてどうすんのか」という疑問もあるだろうし、スライスするのが難しいということもあるのかも知れません。上出来の場合でも3〜4 mmはあろうかという厚さで、不出来の部分はもっと分厚いスライスです。

インターネットでフードスライサーについて調べてみました。いいものは$200とか$300もします。これは私の経済事情では購入出来ません。中には$50というものもありました。これは買えますが、すき焼き肉の薄さまでスライス出来るかどうか疑問でした。あるサイトの投稿ページに「Walmartでフードスライサーを買った」というコメントがあり、「シースルーで新聞が読めるほど薄く切れる」とまで書いてあります。"slicer Walmart"で検索すると、「オンラインのみで販売」とあり、何と$30.00で買えます。早速注文。税金と送料・手数料が加わって合計$38.42でした。

中規模の食料品店で係を呼び出して聞いてみると、ステーキ肉を一晩冷凍すれば薄くスライス出来る筈だと云います。リブアイ・ステーキの二枚入り(計580g、$13.43)を購入。

一夜明けて、リブアイ・ステーキはパカチカに凍り付きました。さあ、いよいよです。肉を通して新聞が読めるように切れるか?切れました!カンナ屑と云っていいほど薄く切れます。以後、しゃぶしゃぶ、すき焼き、朝鮮焼き肉、そして牛丼と、牛肉三昧の日々となりました。最近は脂の多いリブアイはやめ、安売りのテンダーロインを見つけたら買うことにしています。

お断りしておきますが、「牛肉三昧」と云っても贅沢をしているわけではありません。二切れ$6.00前後の安売りステーキ肉を買って来て、それを数食分にするのですから、逆に貧乏人に相応しい素材と云えると思います:-)。

たった$30.00のフード・スライサーなので、作りはちゃちな感じです。使った後に洗わなければならない部品も多い。しかし、購入後数年経っても性能は変わらず、相変わらずしゃぶしゃぶ用牛肉が切れます。私はラーメンに入れる焼豚もよく作るのですが、それをスライスするのにも便利です。コスト・パフォーマンスは高いと云っていいでしょう。

(March 20, 2010)

[Back to top]

[・] コーヒーを供する

コーヒーの飲み方としては、ブラック、ミルクだけ、砂糖だけ、砂糖とミルク…など、いくつものスタイルがあります。では、お客にコーヒーを勧める場合はどう云うのでしょう?私は知りませんでした。

'The Human Stain'『白いカラス』(2003)というアメリカ映画を観ていたら、男子学生がお客(女子学生)にコーヒーを淹れるシーンが出て来ました。

"How do you take it?"

なるほど。云われてみれば「なあんだ」という感じですが、簡潔でいいですね。これは"How do you take your coffee?"の略です。

女子学生はブラックがお好みのようで、"Black is fine."と応じました。これも簡潔です。これは"I drink it black."とも云えます。

以下はカミさんに聞いた答え方です。友人同士なら"please"は省略可。

・ミルクだけ
"Just a little milk, please."

・砂糖だけ
"One sugar (or two sugars), please."

・砂糖とミルク
"Milk and sugar, please."

もし、"How much?"(何杯ずつ?)と聞かれたら"Two each."(二杯ずつ)などと答える。

(February 20, 2010)

【追記】

'Invictus'『インビクタス/負けざる者たち』(2009)では、南アフリカ大統領役のMorgan Freeman(モーガン・フリーマン)が自国ラグビー・チームのキャプテン役Matt Damon(マット・デイモン)に紅茶を供します。

Morgan Freeman: "How do you like your tea, François?"
Matt Damon: "Just milk, please."

(June 30, 2010)

[Back to top]

[・] コロッケ

「アメリカ人はコロッケなど食べたことがないだろう」と、ある友人夫妻(どちらも80代)の家に作り立てのコロッケを持参し、彼の家で揚げて御馳走しました。ところが、「鮭のコロッケはよくやる」と云うのです。缶詰めを買って来て丸めて揚げるのだそうです。なあんだ。

彼らの家へは御飯も持参して供したのですが、少なめによそったのに、夫婦ふたりとも御飯を残してしまいました。よく考えれば、じゃがいもコロッケも御飯も炭水化物で似たようなものです。さらによく考えれば、アメリカ人にとっては肉か魚がメイン・ディッシュであり、その付け合わせがライスやベークト・ポテトだったりします。私はその付け合わせだけを二つ並べて出したことになり、彼らを面食らわせたのかも知れません。いずれにせよ、彼らの褒め言葉に力が篭っていなかったのは確かです:-)。

その後、何人かのアメリカ人から「鮭コロッケは美味しい」という話を聞きました。79歳の友人は「おれのお袋は鮭のコロッケを作る名人だった。家内は小さな一口大のコロッケしか出来ないが…」と云っていました。結構ポピュラーなメニューなんですね。

同じ町に住む日本婦人のお宅をお邪魔したら、「これから鮭のコロッケを作るとこ」と云って、缶詰を開けて何か始めました。毛抜きで骨を取り除いているのです。「鮭缶の骨は柔らかいですよ」と私が云うと、「あたしは魚の骨を喉に刺して病院行きになったことがあるの」と、骨抜きをやめません。「これは刺さりませんよ、絶対に!」と云っても、完全に無視。ま、この御婦人はいつも私の云うことを信用しない人なのですが…。私は昔から鮭の骨が好きで、カルシウム欠乏症になってからはもっと好きになりました。黙々と骨抜き作業に従事する御婦人の脇に座って、除去された骨をむしゃむしゃ頂きました。「あなた、変わってるね!」と云われましたが、どちらが変わってるかは読者の判断に委ねましょう。

私は鮭缶もそのまま食べるクチだし、鮭の握り寿司や細巻きも好きなので、多分この鮭コロッケというのも好きになるだろうと思っていました。しかし、アメリカ人も日本人も、皆さん「美味しいよ」とは云うものの、誰も食べさせてくれません。仕方なく自分で作ってみることにしました。

鮭コロッケのレシピを調べましたが、どれも「皮は取り除く」とは書いてあっても、「骨も取り除く」というのはありませんでした。あるレシピは「骨が入っているのでカルシウム摂取に役立つ」とあるほどでした。

コロッケは何度も作ったことがあるので、鮭コロッケも問題なく出来ました。「うーん?こんなの?」誰も見本を見せてくれなかったので、私の味がこちらの標準なのかどうか判りません。何か、気が抜けたコロッケで、私は牛挽き肉を混ぜたコロッケの方がずっと美味しいと思いました。ま、鮭の方が脂肪が少ないので健康にいいことは確かですが。

ところで、私は日本の慣習に則り、鮭コロッケにも「とんかつソース」をかけて食べました。私の脳と舌にはコロッケと云えば「とんかつソース」と刷り込まれています。しかし、アメリカ人は普通「とんかつソース」などというものは持っていません。BBQソースか、よくてウースターシャー・ソースでしょう。あまり美味しそうに思えませんね。慣れの問題でしょうけど。

なお、最近は「皮なし・骨なし」を売りにした鮭缶が全盛で、鮭の骨大好き人間の私は困っています。骨付きのものも売っていないわけではないのですが、探すのが大変で、しかも大きい缶が多い。三食鮭ばかり食うというわけにも行かないので、鮭缶を食べる機会が減ってしまいました。残念です。

(January 30, 2010)

[Back to top]

[・] choppedとminced

私は"chopped steak"なるものを知りませんでした。レストランで行なわれた親睦のパーティで、メインディッシュ・メニュー三品の中からどれか一つを選べと云われました。他の二つには食指が動かなかったので、"chopped steak"は空手チョップの連想から「サイコロ・ステーキみたいなもんだろ」と、これに決めました。ウェイターに注文する際、「焼き加減は指定出来る?」と聞いたら、彼は面食らったような顔をして「どれもウェルダンです」とのこと。固い肉を持って来られると困るなとは思いましたが、「OK」と云いました。

届いた"chopped steak"を見て呆れました。ハンバーグ・ステーキだったのです。同席者に「これ、ハンバーグ・ステーキとは云わないの?」と聞くと、「同じものだ」と云っていました。ハンバーグをレアで食う人はいないでしょうから、ウェイターが面食らったのも無理はありません。

辞書を引くと"chop"は「小さな肉片」です。例えばアメリカの"clam"(アサリ)の缶詰には二通りあり、"minced"(ミンスト)はごく細かく刻んだもの、"chopped"は結構ぶつ切りになったものであることは知っていました。"minced"は通例「挽き肉」を指します。ハンバーガーには挽き肉を使うわけですから"minced steak"が正しい表現であると断固主張し、"chopped steak"なる呼称の撤廃を要求するものであります(よその国の言葉にいちゃもんをつけてどうする)。

日本には「メンチカツ」、「メンチボール」と呼ばれるものがありますが、これらは"minced"が訛ったもので、どちらも挽き肉が使われた食品です。研究社『和英中辞典』の「メンチカツ」を見ると"a fried cake of minced meat"となっており、この表現は正しいと思います。

(January 10, 2010)

[Back to top]

[・] アメリカの魚

サンフランシスコやロサンジェルスなどの大都市であれば、日本人にも馴染みのある魚が簡単に手に入るでしょう。私が住んでいる南部の内陸部では全く無理です。スーパーWalmartなどで売っているアメリカ人好みの魚を食べるしかありません。私のこれまでの体験では、
・Cod(タラ)は日本のタラとは異なり、パサパサで美味しくない。しかも、私の知人のアメリカ人(医師)に云わせると、「アメリカのcodだけは食べてはいけない」(理由不明、汚染?)とのことで、二度と試していません。【註:理由が判明しました。この記事の末尾にそれを追加しました】

・Orange roughy(オレンジ・ラフィ、右の写真)は日本のブリに似たこってりした味で美味しいのですが、深海に棲む魚なので水銀汚染が恐いと云われていますので御注意。

2009年半ばにWinn-Dixie(ウィン・ディキシー)という食料品店チェーンが、冷凍の白身魚の安売りをしていることに気づきました。各340g入り一袋が$6.99のところ、特売期間は"Buy 1, Get 1 Free"で、「一袋の値段で二袋買える」というものです。この機会にいくつかの白身魚で様々な料理を試してみました。

私の住む州でも大きな都市であれば冷凍アジフライ(揚げるだけ)や鰻の蒲焼き(温めるだけ)は手に入るのですが、買うために往復三時間もドライヴしなければならないし、輸入品ですからお値段も張ります。出来ればそういう味を冷凍の白身魚で再現出来ないか?というのが今回の試みでした。

 

1) Whiting Fillets(ホワイティング、小型のタラの仲間)
・辞書では「小型のタラ」と訳されていますが、タラの仲間とは到底思えない味です。
・身は薄くパサついており、脆(もろ)い。
・薄い皮が付いている。以下の魚よりやや魚臭い。淡白であまり味がしない。
・身のサイズは以下の他の魚より大きい。

2) Grouper Fillets(グルーパー、ハタの仲間)
・身は薄く脆(もろ)いが、ちり鍋には使える。
・魚臭くはない。こってりした味。フライにすると甘い味わい。ときどき小骨がある。
・サイズが小さい場合、一人二枚は必要。

3) Ocean Perch(オーシャン・パーチ、ハゼ科、アコウダイ、赤魚)
・身は薄い。
・魚臭くはなく、甘い味わい。皮がついているが薄いのでそのまま食べられる。
・サイズが小さく、二枚とか三枚一緒にパックされている。一人最低二枚は必要。
【特記事項】調理の前に皮に×××などと刻み目を入れないと、皮が縮んで魚全体が丸まってしまう。

4) Tilapia(ティラピア、カワスズメ科、イズミダイ、チカダイ)
・身は厚くもないが薄過ぎもしない。タラの身のように引き締まってはおらず、脆(もろ)い。
・西京味噌漬けのように焼いた場合は身が締まっておいしい。
・魚臭くはなく、多少脂が乗っている味わい。しかし、非常に淡白なので鍋物などには向いていない。
・サイズは中くらい。一枚ずつパックされている。

5) Orange Roughy(オレンジラフィ、ヒウチダイ科)
・身は厚い。煮ると脆いが、焼くと身が引き締まってしっかりする。
・脂が乗っている。
・魚臭くはない。
・サイズはまちまち。身の部分は厚いが比較的小さく、尻尾の方は薄く長く大きい。一枚ずつパックされている。

以下は、私の個人的な調理・試食結果です。【◎:very good、○:good、×:not good、-:unknown】

西京味噌漬け  蒲焼き  ムニエル  フライ    煮物  
Whiting Fillets
(ホワイティング)
× × × ×
Grouper Fillets
(グルーパー)
Ocean Perch
(オーシャン・パーチ)
Tilapia
(ティラピア)
× ×
Orange Roughy
(オレンジラフィ)
-

結論としてOcean Perchがお薦めということになります。【註】ただし、蒲焼風タレをまぶしても鰻の味にはなりません。なお、「魚臭くない」というのは日本人の感覚であって、アメリカ人の私のカミさんはOcean Perchの西京味噌漬けに「fishyだ」と云いました。日本人以外には、調理前に魚に日本酒をかけて10分ほど置き、臭み抜きをする必要がありそうです。

【註】以前はGrouperも推薦の一つに入れていましたが、その後Grouperの身が脆いのはかなりの難点であることが分りました。衣を付けて揚げるフライならいいかも知れませんが、解凍してそのまま煮たり焼いたりすると、細かくバラけてしまいがちです。従って、薄い皮が付いているOcean Perchの方がバラけない分優っています。(December 02, 2010)

なお、アメリカ人の友人から、「それって中国製じゃない?」と聞かれてよーくパッケージを見ると、"Wild caught product of China."と小さな文字で書かれていました。驚いて大手スーパーWalmartの冷凍物の魚のフィレをチェックしたら、ここのもことごとく中国製でした(鮭のフィレすらも。ナマズは別ですが)。まあ餃子とは違うので、殺虫剤や強力な農薬が混入しているとは思えませんが、中国の食品管理は杜撰ですからちと恐いです。

私はよく自家製の蒲鉾や薩摩揚げを作ります。鯛の仲間やキャットフィッシュの仲間で作ることが多かったのですが、商品の蒲鉾はPollock(スケトウダラ)から作られるということを知りました。スーパーWalmartで冷凍スケトウダラ・フィレを見掛けたので、「じゃあ、純正の蒲鉾を作ろうじゃないか!」と購入し、早速調理してみました。ところが冷凍スケトウダラは非常に水っぽくて、練ってもマシュマロのように泡立つだけで全然モチモチした手応えが出ません。布巾で水分を絞り出して、ようやく形が出来るようになったのですが、それでも仕上がりははんぺんの歯応えすら無いという悲惨なものでした。冷凍スケトウダラは二度と買いません。ちなみに、Walmartで売られていたこの冷凍スケトウダラ・フィレも"Wild caught product of China."でした。

(December 20, 2009)

【Cod(タラ)が危険な理由】

「タラには寄生虫がいるから」だそうです。次のサイトに"cod worm"について詳しく書かれています。http://beyondsalmon.blogspot.com/2006/09/parasites-in-fish-part-1-cod-worm.html

その記事によれば「寄生虫は白身の魚のタラ、haddock(ハドック)、flounder(カレイ)、sole(シタビラメ)、halibut(オヒョウ)、swordfish(メカジキ)、monkfish(アンコウ)などで見られる」そうです。タラだけ危険というわけではないわけです。

同じサイトですが、http://beyondsalmon.blogspot.com/2006/10/branzino-tartar-with-apples-and-ginger.html 寄生虫は一週間冷凍すると死亡するそうですが、冷凍に向いているのは脂肪の多い魚で、codなど脂肪の少ない魚は冷凍するとドロドロになってしまうそうです。上記の冷凍スケトウダラがドロドロになったのはこのせいでしょうね。(January 02, 2010)

【追記】食料品店チェーンWinn-Dixieが、Orange Roughy(オレンジラフィ)の"Buy 1, Get 1 Free"特売をしているのに出くわしました(この魚に限って年に一回程度だそうです)。寿命は長いが、きわめて成長の遅い深海魚なので乱獲が懸念されているそうで、それであまり安売り出来ないのかも知れません。4パックほど入手して色々試し、その結果を上の一覧表に含めました。(March 18, 2010)

【追々記】Greenpeace InternationalがOrange RoughyをRed List(乱獲を厳に戒めるリスト)に登録してから、スーパーでは全く見掛けなくなりました。(December 02, 2010)

[Back to top]

[・] 寝かせる

・うどん・蕎麦やパンなどの生地を一晩冷蔵庫に入れて発酵させることを、日本では「寝かせる」と云います。ピザ生地などを20〜30分ほど冷蔵庫に置くことも、日本では「寝かせる」です。
・「カレーを作った後、一晩寝かせると美味しい」とか「西京味噌を肉や魚に塗り、一晩寝かせる」などとも云いますね。

同じことを英語でどう表現するか?結論から云えば、「寝かせる」とは云いません。

次のはピザ生地ですが、15分"stand"(立たせておく)と云っています。
Cover and let stand 15 minutes.(http://recipes.howstuffworks.com/how-to-make-pizza.htm)

次のもピザ生地ですが、二時間"sit"(座らせる)と云っています。
Let the dough sit for about two hours to rise. (http://agoosa.com/?p=656)

「寝かせる」でないことは分った。でも「立たせる」のか「座らせる」のか一体どっちなんだ?

・パン生地を"sit"させる表現を「キーワード」を"dough sit -pizza"(pizzaを除く)、「地域」を「アメリカ合衆国」でGoogle検索すると、17,300,000件ヒット。【2009年11月下旬の調査結果。以下同じ】

・パン生地を"stand"させる表現を「キーワード」を"dough stand -pizza"(pizzaを除く)、「地域」を「アメリカ合衆国」で検索すると、22,100,000件ヒット。

・ピザ生地を"sit"させる表現を「キーワード」を"sit"、「フレーズ検索」を"pizza dough"、「地域」を「アメリカ合衆国」で検索すると、67,000件ヒット。

・ピザ生地を"stand"させる表現を「キーワード」を"stand"、「フレーズ検索」を"pizza dough"、「地域」を「アメリカ合衆国」で検索すると、96,100件ヒット。

"sit"も無視出来ない数字ですが、"stand"の圧勝です。つまり、日本では「寝かせる」ものを、欧米では「立たせる」のです。「ところ変われば…」の好例とも云えましょう。

(November 30, 2009)

[Back to top]

[・] パン粉

アメリカの食料品店で売られているパン粉はほとんど焦げ茶色をしています。パン粉をまぶした時点でもう揚がったような色になっちゃうので、本当にどの程度揚がったのか見当がつけにくい。

アジア系食料品店では"PANKO: Japanese Style Bread Crumb"というのが売られています。これはJFC Internationalという日系・アジア系食品の輸入・卸問屋が販売しているもので、真っ白いパン粉です。

私が住んでいる田舎町にはアジア系食料品店が無いので、JFCのパン粉が切れそうになって困っていました。ところが、大手スーパーWalmartの棚を仔細に点検していたら、なんと"PANKO: Crispy Bread Crumbs"という製品があるのを見つけました。Progressoというアメリカの会社が製造・販売しているものです。

この製品の外箱の説明には「Pankoとは日本語で『パン粉』のことである。パンの耳で作られる(西欧の)伝統的パン粉と異なり、pankoはパンの柔らかい内側で作られる。pankoはアメリカのシェフたちの間で人気上昇中だ。そのやや大きいサイズの薄い粉は、ベイキングやフライの衣に、また様々な料理のトッピングにも最高の歯応えをもたらす」とありました。

使ってみると、Progressoのパン粉は固過ぎる感じでした。口の中が荒れるほどではありませんが、結構チクチクします。私にはJFCのパン粉の方が合っています。

なぜパン粉についてこのページで取り上げたかと云うと、"panko"という日本語が世界的になって来たということをお伝えしたかったからです。少し嬉しい気分を禁じ得ません:-)。

【後記】現在はキッコーマンのPANKOとTEMPURA Batter Mixが入手出来、これらがベストです。

(November 10, 2009、後記September 24, 2017)

[Back to top]

[・] スープを食べる?

私の日本語の授業で「食卓」における様々な形容詞の使い分けを教えていた時、私は生徒のMike(マイク、元眼科医)に「あなた方はスープを『食べる』が、日本人はスープを『飲む』のだ」と云ったら、彼は驚いたようにしばらく沈黙していました。彼の脳内のコンピュータが相応しい答えを求めて、目まぐるしく活動しているのは明らかでした。

彼はやっと答えを見つけたようで、次のように云いました。「成長期の子供のスープには細かくした肉や野菜が入っている。だから"drink"ではなく"eat"を使う。母親は子供に"Eat it up!"(全部食べなさい!)と云う」

われわれ日本人は、毎日味噌汁を「飲む」ということで成長します【少なくとも私はそうでした】。次に出会うのがポタージュ・スープやコンソメ・スープで、これらはスプーンで啜るものです(正しい洋風マナーとしては啜っては駄目で、スプーンで口に流し込むわけですが)。和食でも豚汁などは具沢山で飲むよりも噛む方が多いので、「豚汁を食べる」と云いますね。お雑煮も「食べる」です。

Googleで"drink soup"を検索すると、かなり多くのQ&Aサイトに"Do you eat or drink soup?"(スープは食べるのか、飲むのか?)という質問が投稿されています。ある中国人の質問者によれば、中国語でも「スープは飲む」ものだそうです。答えの最大公約数は以下の通りです。
・正しい英語では"eat soup"である。
・"drink soup"でも理解されるが、教育レヴェルを疑われる恐れがある。
・カップ・スープなら"drink soup"でよい。
・具が沢山あるスープなら"eat soup"である。

味噌汁にわかめや里芋が入っていようが、澄まし汁にエビが入っていようが、汁碗で出されるものを、われわれは普通「食べる」とは云いません。【お雑煮を汁碗で出す場合は別ですが】

ちなみにGoogleの「フレーズ検索」で、地域を「アメリカ合衆国に限定」した場合、以下のようなヒット数になります。
・"drink soup"      18,300件
・"eat soup"       224,000件

drink soup"は僅か8%でしかありません。

(July 20, 2009)

[Back to top]

[・] おつまみとスナック

カミさんとアメリカで暮らし始めた頃のこと。夕食には一寸早い時刻に、お腹が空いたのでビールを呑むことにしました。ビールだけというのは寂しいので、簡単なおつまみを調理して食卓で呑み始めました。そこへカミさんが通りかかり、「一人で食事してるのっ?!」と凄い剣幕で詰め寄って来ました。「ビールを呑んでるだけだ」と云いましたが、「でも、何か食べてるじゃない!」と許してくれません。「これを呑んだらディナーを料理するつもりだ」と説明して、やっと放免して貰えました。

私が食卓で小皿を前にして箸を使って何か食べていたので、カミさんの目には「食事している」と映ったようです。これが、TVの前の長椅子に座って袋から手づかみでポテト・チップスを食べていれば問題なかったのでしょう。

アメリカ人にとって「おつまみ」という概念は理解しがたいのではないかと思われます。彼らもレストランやバーに行けば前菜(英語では「オダーヴ」に近い発音)を頼んで呑んだりするし、パーティでもおつまみは出て来ます。しかし、一人でビールを呑む際に何か料理したりはしないようです。

「おつまみ」を「スナック」と訳すことは出来ません。「スナック」は軽食やおやつみたいなもので、空腹を癒すものです。「おつまみ」は食事の前のビールや酒と共に食べるものなので、腹が膨れて食欲がなくなるほど重くてはいけません。本当の酒飲みは塩を舐め舐め呑むそうですが、それは極端としても、少なくともさきイカとかジャコ下ろし程度ではあってほしいものです(ピーナッツだけというのは最悪ですが、同じ豆でも枝豆なら最高です)。

では「おつまみ」は「前菜」でしょうか?『研究社 新和英中辞典』の「前菜」の項には「食前または酒の肴に食べるもの、オードブル」と書かれているのですが、フランス語の"hors d'oeuvre"は"outside of the work"という意味だそうで、本来は「主菜」(メインディッシュ)に対する「副菜」なのですね。「前菜」であれ「副菜」であれ、その後に「主菜」が予期されているのですが、日本の酒呑みの場合は、赤提灯や焼き鳥屋などで「主菜」などなく「おつまみ」ばかりつまんで一夜の宴を終えて寝てしまうこともあります。この場合、「前菜」とは云えず「スナック」とも云えません。

日本の「おつまみ」は、日本語の「よろしくお願いします」や「どうもどうも」のように、翻訳不能な代物なのかも知れません。

(May 10, 2009)

[Back to top]

[・] UPC code

私は、既に焼かれたフランス・パンではなく、柔らかいまま袋に入っていて、それを自分で焼くタイプのものを愛好しています。フランス・パンですから長いので、半分は袋に入れて冷凍保存します。これですとカビが生える心配もありません。残り半分をオーヴン・トースターで焼きます。この商品は"Bake & Serve"と呼ばれています。冷凍しておいたものも数日後に焼くと、フレッシュな味わいを楽しめるのが利点です。

[UPC code]

ところが、この商品が私の町から消えてしまいました。何ヶ所もの大規模食料品店を見て廻りましたが、見つかりません。そのまま数週間経ち、ついに私はその製造元である大ベーカリーに電話しました。電話に出た女性は、「UPC codeを教えてくれ」と云い、私が「それは何か?」と聞くと、「製品の箱に黒い四角で囲まれた中にある数字である」と云います。私が「これは袋であって箱ではない」と云うと、「どちらであっても、UPC codeが分らないとヘルプすることは出来ない」の一点張り。私が製品名を云っても、「UPC codeが必要だ」とお経のように繰り返します。

数分の押し問答の末、彼女は「UPC codeは10桁の数字である」と云いました。私がパンの袋を引っくり返して調べると、それに近い桁数の数字はバー・コードのところにしかありません。「バー・コードならあるけど」と云うと、「それだ」と云うのです。「最初からそう云えばいいじゃないか!」と私は怒鳴りました。一言「UPC codeはバーコードの下にある」と云ってくれれば何分もロスしたり、お互いに苛々したりせずに済んだのです。彼女は自分がプロであることを示すために"UPC code"なる言葉に拘ったに違いありません。

なお、"UPC"はUniversal Product Code(統一商品コード)の略で、「バー・コードと数字を組み合わせたもの」と定義されています。私が"UPC code"の意味を知らなかったのもお粗末ですが、上の定義からしても、彼女が「バー・コード」に全く言及しなかったのも片手落ちであると思います。

私は、ある大規模食料品店チェーンでは製造元からフランスパンが冷凍で送られて来て、末端の店員がオーヴンで焼いていることを発見。私は彼らが焼く前の冷凍されたままのものを購入することにしました。これはUPC codeの一件のベーカリーのものではありませんが、もっと美味しいです:-)。

【おことわり】画像はhttp://infinigeek.com/にリンクして表示させて頂いています。

(February 28, 2009)

[Back to top]

[・] フルーツ・ケーキ

ある日本婦人からフルーツ・ケーキを一本頂きました。一本と表現したように、これは羊羹みたいな長四角なお菓子で、固いところも羊羹に似ています。フルーツと呼ばれる所以は、ラム酒などにつけ込んだクルミ、レーズン、サクランボなどを刻んで入れてあるからです。

カミさんにそのフルーツ・ケーキを食べさせようとしたら、「これって、あちこちたらい回しされることが多いので有名なものなの。相当古いかも知れないわよ」と云いました。日本のお歳暮によく使われる、羊羹、カステラ、缶詰の詰め合わせなどと同じ類いのようです。そう思って食べると、相当古いようでもあります。もともとフルーツ・ケーキは熟成させるために数ヶ月寝かせるそうですが、製造年月日や賞味期限といった表示がないので不安です。そう云えば件の御婦人は、「製造日から180日以内が飲み頃」の「キリン一番搾り」が2,700日も経過したものをくれたり、十年前に製造されたブルドッグ・とんかつソースをくれた(のですが、馬鹿な私は賞味期限もチェックせずに$5.00未満を払った)ことがあります。これらは殺人未遂に該当するような気がしますが、どうでしょう。

結局、意地汚い私はそのフルーツ・ケーキを食べちゃいました。幸い、まだ生きています:-)。

(December 30, 2008)

[Back to top]

[・] ピーナツ

旅客機で飲み物と一緒にサーヴィスするものにピーナツがあります。これ、数年前にピーナツ・アレルギーが問題となり、ほとんど旅客機からは追放されかねないところだったそうです。

1998年7月、米国運輸省は各航空会社に対して「医者の証明のあるピーナツ・アレルギー患者が前もって要望した場合、患者の前後に少なくとも一列の空席を置き、最低三列のpeanut-free(ピーナツから隔絶された)席を設けること」という通達を出したそうです。ピーナツ・アレルギー患者は、周囲でピーナツを食べられても苦しくなるのだとか。

Harrison Ford(ハリソン・フォード)主演の映画'Firewall'『ファイヤーウォール』(2006)は、悪党どもが銀行のセキュリティ担当責任者であるHarrison Fordの家族を人質に、大金をせしめようという筋立てでした。悪党の頭(かしら)は、Harrison Fordの長男(小学生)がピーナッツ・アレルギーであることを知っていながらピーナッツ入りクッキーを食べさせ、死ぬほど苦しませて平然としているような冷酷な男。私は花粉アレルギーどころではない、長男の苦しみの描写の凄さにびっくりしました。

米国運輸省の通達により、いくつかの航空会社はピーナツのサーヴィスを止めたそうですが、ほとんどは「運輸省は食物を管理する組織ではない筈」と無視。「航空会社がピーナツを出さないとしても、お客が持ち込むピーナツ、あるいはピーナツ・バター・サンドウィッチを阻止することは出来ない」として、運輸省の要請はナンセンスだという態度です。

ある日、私が乗ったNorthwest航空は、スチュアーデスが「プレッツェルがいいですか、ピーナツがいいですか?」と聞いて歩いていました。

(October 20, 2008)

[Back to top]

[・] 選択自由な国アメリカ・グルメ篇

アメリカに長く駐在され、各地を経巡っておられた横浜市の田中さんに寄稿して頂きました。駐在員予備軍(とその家族)や観光でアメリカを訪れる方々に役立つ、とても実際的なお話です。

選択自由な国アメリカ、でもレストランでのお話です。

夕食時にレストランに入ると必ず最初に聞かれるのが何を飲むかと言う事。最近は日本でも、食事処でビールを頼むと、アサヒにしますか、キリンにしますかと、ビールの種類を聞かれる場合が偶にありますが、以前は、又は今でも通常はその店の標準のビールが供される事が多いです。アメリカの場合はどうでしょうか。ビールを頼む場合は、ビールの種類の多さを売りにしているレストランでなくてもたいがいは5〜6種のビールが置いてあるので、アサヒ、キリンと言ったメーカー名ではなく、バドワイザーとか、ミケロブ・ライトなどと指定しないと、ビールが出て来ません。

バーで頼む場合も同様で、例えばウイスキー・オン・ザ・ロックスでは駄目で、Black Label on the rocksとかJack Daniel's on the rocksと頼まねばなりません。ジンの場合もBombay SapphireとかBeefeaterとかを指定しないと駄目です。但し、お店の標準的な銘柄が決められている場合があるので、その時はHouse WineとかHouse何とかで大丈夫な場合もあります。

その次の選択がアペタイザーで、更にその次がサラダかスープ。アペタイザーを頼んでいる場合は、これらはスキップする事が出来ますが、問題はサラダです。サラダを頼む場合、それにかけるドレッシングの選択が必要となります。但し、シーザー・サラダは除きます。シーザー・サラダは、ブルー・チーズ入りのドレッシングがセットになっていますので、特に選択する必要はありません。それ以外の場合は、自分のお気に入りのドレッシングを指定しても良し、新しい店であれば、ウエートレス、ウエーターに種類を聞いて、その店オリジナルのドレッシングを選択するも良し。万が一、ドレッシングをかけたくない場合、実は私は時々何もかけずに食べますが、これがまた問題です。何も要らないと言ってもウエートレス、ウエーターは許してくれませんので、本当に要らない場合は、何か適当な種類を頼んで、一言、"Dressing on the side, please."と付け加えれば、別添えの容器に入れて持って来てくれる事になります。若しくは、"Oil and vinegar, please."と言えば、各々の入った小瓶を持って来てくれますので、ウエートレス、ウエーターと揉めることもなく、かける、かけないが選択できます。ウエートレス、ウエーターがon the sideの指示を忘れた場合は、やむをえません。断固として掛けていない物との交換を要求する事も出来ますが、気の弱い私としては我慢して食べる事になります。

メイン・ディッシュも、肉であれば焼き加減(これは日本でも当り前ですね、でもハンバーガーであっても、焼き加減を聞かれる場合がある)、付け合せの野菜、芋の種類であれば、ベイクド・ポテト、マッシュド・ポテト、フレンチ・フライにするか、ベイクド・ポテトであれば、さらにそのトッピング、バターとサワー・クリームの両方乗せるか、片方だけか聞かれ、さらには刻みネギ、ベーコン・フレークを乗せるか聞いてくる場合もあります。

レストランで、ここまでウエートレス、ウエーターと会話しながらオーダー出来ればもう1人前ですが、最後にデザートの選択が待っています。

食事が終るとウエートレス、ウエーターがデザートのオーダーを取りにやって来ます。口頭での説明だけの場合もありますが、お店によって種類が多い場合、実物を乗せたデザート・プレートを持って来ますので、見ながら選べます。

【編註:飲み物は水を頼んでもちっとも恥ずかしくありませんし、胃袋の小さい日本人が前菜やデザートなど全てを頼む必要もありません。詳しくは『英語の冒険』正篇の「食事」の頁の「レストランの公式」を御覧下さい】

話題変って、私はシー・フードが大好きで、アメリカ駐在期間中に1週間に1度以上はオイスター・バー若しくはそれに準ずるレストランに通っていた時期(合計で8年間程度)がありました。オイスター(牡蠣)は通常6個単位でいくらと表示されており、夫婦2人で1回に付きアペタイザーとして4種類X 6 pcs=2ダースほどを平らげておりました。よく牡蠣は"r"の付く月がシーズンと言われますが、真夏でも特に問題ありません。

これは当り前かも知れませんが、オイスターも、オイスター・バーと名前が付いたお店では、銘柄を指定しなければなりません。通常は、手書きの黒板等に、当日の入荷のあった牡蠣の名称と産地が表示されています。産地では見慣れたアメリカの州コード、アルファベット2桁以外にも、カナダの州もあり、因みにPEIはプリンス・エドワード島(カナダ)産、NSはノーバ・スコーシア州(カナダ)産です。お店によっては、サンプラーと言って、お店のお勧めを取り合せたプレートがありますので、最初にそれで味見をしてから気に入った種類を追加でオーダーする事も出来ます。日本では1個の大きさが通常の2〜3倍の岩牡蠣という種類が人気があるようですが、私は小振りなサイズの牡蠣が好きです。アメリカの牡蠣は昔から親しんだサイズで、どちらかと言えば(当然種類にもよりますが)小振りの範疇に入ります。小振りと言えば極めつけ、ワシントン州Seattle(シアトル)産の、貝そのものの大きさが親指大の"Kumamoto"(熊本)という牡蠣があります。大きさ的にここまで小さいと多少の物足りなさがありますが、美味しいです。尚、牡蠣は日本でも生で食べますが、アメリカでしか食べられないシー・フードの一つとして、生の貝のCherrystone Clam、 Little Neck Clam等もお勧めですよ。【編註:New Orleansなどメキシコ湾岸沿いのオイスター・バーでは、メキシコ湾産の牡蠣一種類しかないようです】

あるお店では、月曜日の晩をロブスター・ナイトと呼んで、客足の少ない週初めの月曜日の客寄せイベントとしており、通常メニューにはマーケット・プライスと表示されて確か20ドル前後したロブスターを12ドル前後で食べる事が出来ました。このせいかこのお店は結構月曜日でも混んでおりました。通常ロブスターと言えば、東海岸のメイン州を中心に取れるメイン・ロブスターで、お店によっては大きさ(標準が1ポンドで、1.5ポンド、2ポンド等の重さで表現)が選択出来ます。よってお店でロブスターを頼む場合、料理方法と付け合せの野菜、場合によってロブスターのサイズを選ぶ事になります。ロブスターの調理方法は、通常、ボイル(Boiled)、スチーム(Steamed)、ブロイル/グリル(Broiled/Grilled)が選べる場合が多いですが、私はスチームが好きです。

ボストンにAnthony's Pier 4と言う有名なシー・フード・レストランがありますが、ここでもロブスターと言えばメイン・ロブスターで、ロブスターの大きさ、調理方法を選びます。サン・フランシスコのFisherman's Wharf(フィッシャーマンズ・ウォーフ)でもロブスターはメイン・ロブスターです。蛇足ですが、Fisherman's Wharfでは、そこのマークにもなっているDungeness Crab(アメリカイチョウガニ)の方が美味しいかも知れません。これも私の好物の一つです。

フロリダのキー・ウエストか、そこへの道すがらの出来事ですが、折角、海辺に来たのだからロブスターでも食べようと、とあるSeafoodの表示のあるレストランに入りました。取り敢えずメニューにロブスターがある事を簡単に確認後、ロブスターをオーダーしたら、通常であれば、大きさ、若しくは、調理方法を聞かれるだけなのに、ここでは何と、どんなロブスターにするかと聞かれました。メニューを良く見ると、何処どこ産の、何々と言うロブスターとメニューに載っており、メイン州産のMaine Lobster、南アフリカ産の何とかLobster、フロリダ産のSpiny Lobsterとか、6〜7種類の選択が出来ました。通常ロブスターと言うとMaine Lobsterですが、私は試しにと、ロブスターの特徴的な2本の大きなハサミが無く、日本の伊勢エビに似て見えるSpiny Lobsterを頼んでみました。同行の友人は定石通りにMaine Lobsterを頼みました。尚、調理前に、このワカランチンの東洋人達は大丈夫かと言わんばかりに、お前らの頼んだのはこれだぞと実物を持って来てくれました。まー親切だったんでしょうけどね。折角選んだSpiny Lobsterは、ハッキリ言って美味しいとは言えず、失敗でした。珍しいせいか頼む人がそう多くなく、多分長い間水槽に居たせいなのか、身が痩せていて、味も通常のロブスターとは違っていて、ロブスターの味を期待していたので、今一でした。残念。

(August 30, 2008)

[Back to top]

[・] Popsicle

「アイスキャンデー」とは云わず、popsicle(ポプシクル)と云います。実はこれはある会社の商標なのに、あまりにも大手なので一般名詞になってしまったものだそうです。

「アイスキャンデー」にも色々あるでしょうが、元々popsicleはペロペロ・キャンディ("lollipop")のように棒が付いているものを指したようです。英語の説明だと"ice-lollipop"あるいは"frozen ice on a stick"とされています。

透明なチューブ(細長い袋)に入った氷菓子で、袋の先だけ破き、氷の先端だけ絞り出して舐めるタイプの(棒が無い)ものは、正しくは"pop"と呼ばれるようですがpopsicleと呼ぶ人もいます。私にこのタイプのものを沢山くれた人がいまして、あまり甘くないのでがっかり。捨てるのももったいないので、何本かまとめてフード・スライサーでぐしゃぐしゃにし、人工甘味料をかけて「かき氷」として食べました。なかなか良かったです。惜しむらくは、着色料がお粗末なので、ものによって舌が緑になったり真っ赤になったりすること。害はないのでしょうが(と思いたい)、気持が悪いですね。「あ、この人、popsicle食べたな?」とバレちゃうし。

 

(August 10, 2008)

[Back to top]

[・] ビスケット

アメリカの"biscuit"はおやつで食べるものではありません。ま、お茶の時間に食べてもいけなくはありませんが、サイド・ディッシュとして(パンやライスのように)食事にくっついて来るほど重たいもので、日本のビスケットとは大違いです。

[biscuit]

私が初めてアメリカ風"biscuit"に遭遇したのは、南部に発祥し今や(日本を除く)アジア諸国にまで支店網を持つ'Popeys Chicken'(ポパイズ・チキン)というチェーンにおいてでした。ここで鶏の唐揚げ("spicy chicken"がおいしい)、飲み物、コールスローかフライド・ポテトのコンボを注文すると、黙っていても"biscuit"がついて来ます。月餅(中国の饅頭)のように大きく、表面に油の照りがあります。食べるとぼろぼろと崩れるほど柔らか。パンと同じ範疇です。

最近ではKFCなどのフライド・チキンの店でも"biscuit"を出すようですが、このサーヴィスを始めたのは'Popeys Chicken'で、そのオフィシャル・サイトを見てもかなり誇りにしていることが分ります。同種のものをイギリスでは"scone"(スコーン)と呼びます。

なお、日本の「ビスケット」は、アメリカでは「クッキー」と称されるものに当たりますが、イギリスでは日本同様「ビスケット」だそうです。

(May 20, 2008)

[Back to top]

[・] eatをeatする?

アメリカ南部に関連するサイトを探していて、"Guide to Southern eats"という見出しがある日本のサイトに遭遇しました。"eat"って名詞もあったの?知りませんでした。辞書を調べると、長い長い動詞に関する記述の後に、短く「【名】[複数形で]《口語》(すぐ食べられる)食物:食事」という一行がありました。へーえ?しかし、私の感覚からすると、"food"に較べると"eats"という語感は、テーブルについてナイフとフォークで食べるというよりも、犬・猫のように皿に口をつけてばくばく喰うという感じで、ちょっといやしい気がします。

"eats"がどの程度一般的な言葉なのか、Googleで検索してみました。フレーズ検索を用い、「英語のみ」を指定し、"Guide to Southern eats"を試すと、これはゼロ件でした(英語圏で同名の文章は使われてないということ)。

"Guide to **** eats"という設定で、****の部分を考えられる限りの食べ物関連の形容詞、国の形容詞(Mexican, Chineseなど)に換えて検索してみました。引っ掛かったのは、僅かに"quick, local, ethnic, neighborhood, tasty, cheap"などでした。そして、これらの件数もゼロに近いごく僅かな数字でした。"eats"を"food"に換えて検索すると、数字はポーンと撥ね上がります。

《"Guide to **** eats (or food)"の検索結果》

****の置換語 "eats"の場合 "food"の場合
quick 3件 0件
neighborhood 3件 0件
local 4件 1,900件
ethnic 4件 143件
cheap 68件 6件

どうも、名詞としての"eats"は滅多に使われず、使われても手近の安食堂の食べ物に限定されるようです。もし私が翻訳するとすれば、"food"は「食べ物」、"eats"は「食いもの」がふさわしいように思われました。しかし、無理に"eats"を使う必要もないし、使わない方が無難でさえあるという調査結果でした。

ここまで書いたところで、当市の新聞に"We know great eats"という見出しの広告がでかでかと掲載されました。私は「えっ?ここまで書いた記事は没かい?」とショックを受けましたが、それはショッピング・モール内の"food court"が連名で出した広告でした。"food court"は、モールの中で多数のファーストフード店が沢山の椅子テーブルを取り囲んでいる一角のことです。外観はモダンですが、屋台が集まった広場というイメージ。つまり、"great eats"とは云うものの、ファーストフードと同じ出来合いの食べ物のことに過ぎません。アメリカには"diner(ダイナー)と呼ばれる「軽食堂」がありますが、"eats"はファーストフードとdinerの中間で出される食べ物と考えたらいいのでしょう。

(April 20, 2008)

[Back to top]

[・] ピーマンの話

ゴルフ・ファン以外にもよく知られているトーナメントにThe Masters Tournament(マスターズ)というのがあります。ジョージア州アトランタ郊外に位置するオーガスタという町で開催されます。

このトーナメントの名物の一つが「ピメント・チーズ・サンドイッチ」。三、四種類のチーズを混ぜ、それをパンに塗るのですが、その主役はピメント・チーズ。では、ピメントとは一体何か?と調べたら、オリーヴの漬け物に挟まっている赤いものがありますね。あれなんだそうです。元はと云えば「赤ピーマン」。

あるゴルフ雑誌に『ピメント・チーズ・サンドイッチの作り方』というのが載っていたので、私も作ってみました。食料品店に行くと、ピメント・チーズというのは何種類もあります。クリーム状になったものから、赤ピーマンの小さなかけらが入ったものまで。

ピーマンの英語名は"green pepper"か"bell pepper"です。確かに“鐘”のような格好ですから「ベル・ペパー」と云うのがぴったりです。「なぜ、日本ではピーマンと呼ぶのだろう?」と思いました。『広辞苑』を見ると「ピーマン【piment フランス】西洋とうがらし」とあります。フランス語で"ment"は「マン」と発音しますから、「ピーマン」はかなり原音に近い。「ピマン」ならもっと正確だったでしょう。何のことはない、ピメントはそのものずばりピーマンだったわけです。

ところでpimentはフランス語の綴りであって、英語では"pimento"と最後に"o"が加わり、その正しい発音は「ピメント」ではなく「プメントゥ」に近いようです(『研究社 リーダーズ英和』による)。"pimiento"とも呼ばれ、この場合は「プミェントゥ」です。『研究社 リーダーズ英和』には「スペイントウガラシ、ピミエント」となっていますが、pimentoの項に「=pimiento」となっていますので、単なる異音同義語、pimientoはラテン語からスペイン語になったというだけの違い。

「英語版Wikipedia」によれば、イギリスではこれを単に"pepper"と呼び、元英連邦であったオーストラリア、インド、マレーシア、ニュージーランドでは"capsicum"(ケァプシカム)と呼ぶそうです。他のヨーロッパ諸国では"paprika"(語源はpepper)と呼ぶということです。英語のpaprika(パプリカ)はピーマンから作られた粉末スパイスとのこと(知らなかった)。

なお、ピーマンはヴィタミンCが豊富で、green pepper(緑色のピーマン)は同量のオレンジやレモン等の二倍、red pepper(赤色のピーマン)は三倍も多いそうです(知らなかった。汗)。「これからはred pepperだ!」と思いましたが、値段がベラボーに高い。ヴィタミンの量が三倍なら値段も三倍。毎日食べるにはちょっと贅沢ですね。

(March 01, 2008)

[Back to top]

[・] ビュッフェとバッフェ

日本では新幹線が「ビュッフェ」という名称を有名にしてしまったので、「立ち食い」を英語で「バッフェ」と呼ぶのを聞くと面食らいます。アメリカで「ビュッフェ」と云うと、フランスの画家Bernard Buffet(ベルナール・ビュッフェ)のことを云っているのだと思われます(相手に教養があれば…ですけど)。【スペルは全部同じ】

ホテルの朝食やパーティなどで食べ物が沢山並んでいて、どれでも好きな物を好きなだけ食べられるスタイルが「バッフェ」で、お皿に食べ物をとったら、立食パーティでない限りテーブルに持って行き、座って食べることが出来ます(最近は、立って食べるという語源は必須要件ではなくなっています)。日本ではこれを「バイキング」と呼んでいます。英語では「バッフェ」か"smorgasbord"です。どちらも意味は同じ。

レストラン全体が食べ放題の店もあり(特に中華が多い)、そういう店は"buffet-style restaurant"と呼ばれ、こういうところの謳い文句は"all-you-can-eat"です。均一料金で食べ放題ですから、お腹の空いている時や常時お腹の空いている人(?)には最適です。このテのレストランではその場で食べることが前提なので、"doggie bag"に残りを詰めて持ち帰るということは出来ません。別料金で、お土産として「お持ち帰り用容器」に食べ物を詰め込むことになります。

January 30, 2008)

[Back to top]

[・] 皮むき器

[PICT]

初めて米国産皮むき器(写真上)を見た時、私は呆れました。その貧弱なデザインもさることながら、包丁も使えずそのような器具に頼らざるを得ないアメリカ人の不器用さに呆れたのです。試しに使ってみましたが、くるくる廻る刃先が扱いにくくもどかしい思いでうんざりしました。

あるアメリカ映画を観ていました。二人の兵隊が不品行の罰としてジャガイモの皮むきを命ぜられます。二人はべちゃくちゃ喋りながら例の皮むき器を扱います。私は彼らの手つきを見ていてびっくりしました。二人とも、皮むき器を往復させているのです。包丁のように一方に剥いて行くのではなく、ジャガイモを撫でるように行ったり来たりさせ、その度に双方向に皮が剥けるのです。

私は米国産皮むき器を包丁のように扱って、「こりゃ駄目だ」と断定していたのでした。包丁の代わりではなく、全く別物なのです。私は映画の兵隊のように手首を急速に往復させながら皮を剥いてみました。「いいじゃない、これ!」目から鱗が取れました。

刃先が薄いだけに、包丁のように深く抉り過ぎるということもなく、均一に皮が剥けます。これは、セロリの筋取りにはしごく重宝な機能です。皮むきという用途でなく、牛蒡や人参を「ささがき」にする時にも便利です。私は「ちゃんこ鍋」をする際には、この皮むき器で牛蒡、人参、大根などをささがきにします。均一な薄さで、スピーディに処理出来ます。

馬鹿にしていた米国産調理道具ですが、これは逸品であると断言します。現在、私は一寸豪華版の皮むき器(写真下)を使っています。これは道具をゆったり持つことが出来、使い心地も満点です。

(December 20, 2007)

[Back to top]

[・] イカの話

イカの話はイカにまつわるイカにも南部の田舎らしさをイカんなく発揮したものですが、イカに下らなくてもおイカりになられるのはイカがかと思う次第でありまする。

珍しく大根が手に入りました。大根とイカは相性が良く、お互いに味を引き立てます。スーパーWalmartでは解凍したイカを量り売りしていたことを思い出して行ってみました。ありません。ある大規模食料品店(grocery storeと呼ばれる、日本のスーパーに近い店)では小イカの冷凍パックを売っていたことがあります。見に行ったのですが、もう置いていません。町にある大規模食料品店を全部廻りました。無し。最後に行った店の魚・肉売り場の女性(55歳ぐらい)は"squid"という言葉すら知りませんでした。「それは魚なの?」と云うので、「タコは八本足、イカは十本足」と説明しましたが、やはり知らないようでした。

私の日本語教室の生徒の一人はお寿司が好きなのですが、一緒に行って私がいくら「このイカは新鮮だ。おいしい」と云っても食べようとしません。イカの実態を知らず、クラゲかなんかと間違えているのではないか?と思いました。聞くと「イカを食べないわけではない」と云い、イカの形も知っていました。ただし、彼が食べるのは「フライド・カラマリ」という小イカの唐揚げでした。

私のカミさんがイカを食べないのは"It's chewy."(簡単に噛み切れない)という理由です。新鮮なイカはシャキシャキしていて、簡単に噛めます。古いイカしか食べたことがないんですね。

ふっと小さい鮮魚店がこの町に二軒あることを思い出し、出掛けました。イカは無し。一軒のオーナーの老婦人は「私は30年店をやってるけど、この30年で『イカはあるか?』と聞いたのは、あなたが初めてだ』と云っていました。この店については後日談があります。

翌日、再度この店に出直し、特別に取り寄せて貰うことが可能かどうか聞きに行きました。老婦人はいなくて、その旦那が「どの位の量が欲しいんだ。次の水曜日にニューオーリンズで仕入れて来てやる」と云いますので、一番小さいパックを頼みました。さらに翌日、私が健康診断を受けたところ「血圧も高くコレステロール値も高い」と宣告されてしまいました。イカやエビはコレステロール値が高いことで有名です。またまた例の魚屋に行きました。老人はいなくて、今度は老婦人だけ。「あたしは特別注文は受けない主義なの。客が文句云うのが嫌いだから。うちの旦ツクはお小遣いが欲しかったのかどうか知らないけど、あなたの注文を受けてしまった。あたしは一切関係ないから、夫と話しなさい」と剣もホロロでしたが、私が注文をキャンセルしたいのだと知ると、急に笑みを浮かべて私の注文票をびりびりと破きました。凄い夫婦もあったものです。

(November 20, 2007)

[Back to top]

[・] ビールの値段

Budweiser(バドワイザー)というアメリカのビールがあります。小さめの缶ビール(12 FL OZ = 35 cc = 355 ml = 0.35 liters)を24本詰めた箱が約$16.00です。夏に安く、秋口以降高くなるような印象です。日本の350mlの缶ビールは230円だそうですので比較してみました。

アメリカのは24本入り$16.00を24で割りますと67セントですから、現在の為替レート$1.00=115円では77円で、ほぼ1/3ということになります。

日本のビールの値段というのは一定していた筈ですので、こちらの変動する価格は不思議でした。平均して安い値段をつけているギャス・ステーション(ガソリン・スタンド)へ行って聞いてみました。黒人女性のレジ係が「私らが値段を決めてるんじゃなくて、ビール会社が値段を変えるんだわよ」と云います。じゃあ、ということで、当市全体をカヴァーしているBudweiserの倉庫兼配送所へ行きました。「我々の卸値はいつも一定だ。販売する食料品店とかギャス・ステーションが勝手に値段を決めるんだ。独立記念日とかクリスマスとかには安くしてるね。時には卸値に近い値段で売ったりしてる時もある」「客寄せの目玉ですね」「そう、その通り」

それで分りました。夏に安く、冬に高いわけではないのです。販売店の業績を伸ばしたい時に安くなるわけです。そうなると、あちこち駆けずり廻って一番安いところを探すべきでしょうか?う〜ん、たった$1.00程度の差なんで、そこまでしなくても…という気もするし、ビール一缶に相当する差額だと思えば「それは大きい!」とも思いますね:-)。

アメリカのガソリン価格は最近高騰していますが、それでも意味も無く値上げすると州司法長官から注意を受けたりします。ですから、諸物価の中では比較的低めに抑えられているようです。車社会なので、車が使えないほど高騰すると国の経済にも影響しますのでね。

(September 20, 2007)

[Back to top]

[・] 食虫人種

カミさんの菜園でオクラが一杯育った時のこと。南部名物の一つ「フライド・オクラ」を作ろうと、料理の本を研究しました。必要なものはコーンミール(とうもろこしを碾いた粉)だけ。1センチ巾に切ったオクラにコーンミールをまぶして揚げればいいのだそうです。早速コーンミールを買いに行きました。

一回目の調理は油の温度が適切でなく、やや焦げてしまいました。数日後に二回目にトライしようとした時、コーンミールの紙袋を開けたカミさんが「虫がいる!」と云いました。見分けるのが難しい位に小さいのですが、確かに表面で何匹かモゾモゾ動いています。「コーンミールはすぐに虫が付くの。このテの虫はどんな小さな隙間からでも入って来る」のだそうです。仕方無く、新しいコーンミールを買いに行きました。「すぐに虫が付く」のならプラスティック・ケースで売ればいいのに、どれも紙袋入りです。私は買ってすぐファスナー付きビニール袋に入れましたが、アメリカ人は虫も食べるのでしょうか?

グロサリ・ストア(大規模食料品店)で、当家の猫に箱入りの固形の餌を買って来ました。箱を開けたところ、中から数匹の蛾が飛び立ちました。びっくりしましたねえ。箱の中には幼虫なのか、別の虫なのか、何かが何匹かうごめいています。当然、食料品店に出向きお金を返して貰いました。管理が悪いわけでしょうから、他の箱に取り換えてもどうせ虫入りに決まっています。他の店に行って買いました。こちらは大丈夫でした。ところで、箱から出て来た蛾は、食べ物がありそうに見えない室内で奇跡的に繁殖を続けていたらしく、いくら殺しても後を絶たず、長い間悩まされました。

こちらのカリフォーニア米は、大小のサイズがありますが、私は9キロ入りの袋をいつも買っています。ある時、車で40分ほどのアジア系食品店に行ってその袋を購入して来ました。帰宅して開けたら、蛾が飛び出して来ました。店に電話すると『持って来て下さい」と云うので、また40分走ることになりました(二回で計160分)。お金を返して貰ったのは当然ですが、160分時間を無駄にしたことに対する詫びは言葉だけでした。この店はその後潰れました。

私は、軽い朝食が望ましい体調の時はコーンフロスト(コーンフレークの甘いやつ)を食べます。コーンフロストは湿気るとまずいので密封したいのですが、袋に簡易ファスナーが付いていません。私はゴミ袋などを縛る針金で口を閉じていました。ある時、コーンフロストを食べ始めてから、「仕舞いの方のせいか、焦げた粉が多いなあ」と思いました。黒い、細い粒が混じっているのです。あらかた食べ終わる頃、「ひょっとして虫じゃないだろうな!?」とルーペで覗きますと、これが全部虫でした。げええっ!

以上のどの例も日本では起らなかった現象です。気が付かなかっただけなのか、アメリカは虫の天国なのか?いずれにしても、こちらではファスナー付きビニール袋が必須のようです。

(August 10, 2007)

[Back to top]

[・] アメリカの寿司

他のエスニック料理に較べれば、やはり寿司の値段は高い方ですが、それでも日本よりは安いです。寿司屋でも日系の店は高く、中国人や韓国人、ヴィエトナム人などが経営している店は安いようです。日系の店にはアメリカでも「時価」という寿司職人の胸三寸で請求される灰色のカテゴリーがあるのですが、他では"Market price"というのは普通ありません。明朗会計です。日本の回転寿しも明朗会計ですが、あれはまだアメリカでは広まっていません(特に田舎では)。

日系の店以外ではネタは豊富とは云えません。ウナギと称していても穴子だったりしますし、トロやウニ、イクラがない店もあります。冷凍技術が発達したせいか、ネタの新鮮さはどこも優秀です。寿司飯の炊き方が下手な店では、ちょっと固過ぎたりします。海苔がしけている寿司屋もあります。日系の店でさえ海苔がしけていて、噛み切れないことがありました。日本だったら、こういう店は潰れるでしょう。

日系の店ですと寿司のサイズは日本の標準ですが、他では異常に御飯が少ないことがあります。欧米の食卓マナーでは一旦口に運んだものを噛みちぎってまた皿に戻すということをしませんから、御婦人たちが一口で頬張れ、なおかつ口を開けないであぐあぐと咀嚼出来るサイズにしたということかも知れません。ただし、「ケチって御飯を少なくしたわけではない」と弁明するためか、具(御飯の上に乗っている刺身)は標準サイズだったりします。御飯の上に納まり切れず、垂れ下がってしまいます。こういう店の寿司は、御飯の上にワサビが塗ってないことが多いようです。自分で具をめくって塗らなくてはなりません。アメリカ人は、刺身を食べるようにワサビを溶いた醤油に具を付け、また御飯の上に戻してから食べています。

そういう小さい握りを提供する店では、巻き物も細いのが普通です。鉄火と云っても、マグロは鉛筆の太さもありません。一度、ミズーリ州のJoplin(ジョプリン)という田舎町の寿司屋に入ったら、小指の先ほどもあるマグロが入った充分な太さの鉄火が出て来て感激したことがあります。中国人の女性寿司職人でしたが、なかなかいい寿司を食べさせてくれました。

日系であると他のアジア系であるとを問わず、アメリカの寿司屋は味噌汁をつけて来ます。洋食のスープという感じで、食前に運ばれて来ます。大体は味噌の量が少なく、薄味です。

私の住む町に中華バッフェの店があるのですが、ここに中国人の寿司職人がいて昼も夜もせっせと寿司コーナーを埋め尽くしてくれます。「銀座で一年修業した」と自慢しています。中華料理と寿司を両方好きなだけ食べられて、ランチ・タイム$7.5ドル、夕食$10.00です。ここでは味噌汁は出ませんので、中華のスープを飲むことになります。寿司はカリフォーニア巻きやそのヴァリエーションが多いのですが、握りはマグロ、穴子、エビ、イカ、タイなどがあります。ここで初めて知ったのがサケ(鮭)の美味しさです。トロに近い舌触りなので、トロだと思って食べるようにしています。これは自宅でも時々作ります。

私のアメリカ人の友人は上の中華バッフェの寿司の大ファンです。何しろ、安い。いくらでも食える。彼を他の町の寿司屋(アメリカ人経営)へ連れて行ったところ、値段の高さと量の少なさにぶったまげていました。彼は「中華バッフェが一番だ。あの店があって、おれはとても幸せだ」と云っています。日本人経営の寿司屋へ行ったら、もっと値段が高いので気絶するでしょう。

最近、大・中のグロサリ・ストアが寿司の折り詰めを売り出しました。Walmart(ウォルマート)のは冷凍ですが、他の店のは冷蔵食品。その値段が呆れます。1パック$7.00もするのです。中身はカリフォーニア巻きだのかまぼこの蟹を入れたような子供騙し。上の中華バッフェに行けば同じような料金で食べ放題なんですから、こんなものを買うのは馬鹿げています。

アメリカの寿司職人の多くは中国人のようです。店主とすれば、似たような顔だからお客には日本人に見えるだろうという姑息な策かも知れません。日本人よりは安く雇えるというメリットも大きいでしょう。しかし、アメリカ人の目はごまかせても、私の目には中国人、韓国人、ヴィエトナム人などは見当がつけられますし、第一彼らの言葉ですぐ分ります。

日本人の職人がやっているところは値段が高いのが普通です。まあ、ネタも本格的に色々揃えようとすれば高くもなるでしょう。日本人の職人さんたちは寡黙な人もいるし、日本と同様に客を小馬鹿にしたようなぞんざいな物言いをする人もいます。アメリカ人に"broken English"でぞんざいに云うわけです。私は、こういう職人の何割が正規の許可を得て働いているのか、時々訝ります。

アパート住まいの私が、カリフォーニアの日本食品通販店に生ものを注文した時のこと。ゴルフから帰ると、向かいのアパートの御婦人が「エイジ、小包が届いてるわよ。“冷凍もの”だそうだから冷やしといた」と云います。私は彼女の配慮に感謝し、御礼をしようと思いました。「寿司を作って御馳走しよう!」多分、生魚は食べないだろうから、カンピョウ巻きとカッパ巻きがいいのじゃないか?彼女は当時20代の娘と暮らしていて、隣家の障害者の男性の食事の面倒も見ていました。で、私は以上の三人が充分たべられる量のお寿司を作って届けました。一時間も経って、私が「お寿司はどうでした?」と聞くと、"We can't eat it. They are too foreign!"(私たちには食べられない。あまりにも見慣れないものなので)と、お皿には寿司がほとんど(99%)手つかずで残っていました。

私はお寿司を持って帰って、むしゃむしゃ食べながら「へん!何が"too foreign."だ。生魚が入ってるわけでもあるまいし。折角初体験させてやろうと思ったのに。見慣れないものが嫌ならハンバーガーばかり食ってろ。バカな連中だ」と怒っていました。後に彼女の娘が「エイジ。あなた春巻きは出来ない?」と云いました。「出来るよ」と云いましたが、当然持って行きません。私は義理を果たしたし、春巻きならスーパーでも冷凍で売っていますし、どこの中華料理店のメニューにもあります。日本人の私が何も中華料理を作る必要はないのです。

(May 30, 2007)

[Back to top]

[・] SPAM

最近私はSPAMが好きになりました。いえいえ、迷惑メールじゃありません。迷惑メールは大嫌い。食べ物です。

以前から缶詰食品にSPAMという製品があることは知っていました。しかし、その名称が迷惑メールと一緒なので、うさんくさい気がして手を出す気になれませんでした。当市に住む日本婦人の一人から「便利よ。もし、脂っこいと思うようならSPAM Liteというのもある」と勧められまして、とりあえず缶ではなくスライス一枚だけのSPAMを買って食べてみました。美味しかった。ハムのような外見・質感で、コンビーフのような味。

[SPAM]

アメリカ人たちとSPAMについて話していたら、「あれはコンビーフだよ」と云う人間がいました。それほどコンビーフっぽい味なのですが、実は豚肉を原料とするハムに香辛料を混ぜたものと鶏肉が主であって、牛は一切入っていません。普通のSPAMは脂っこく、かなり塩っぱいものでした。次にSPAM Liteを食べてみたら、これの方が私に向いた味でした。そのままサンドイッチに挟んでもよし、お菜のない時はフライパンでちょいと炒めて食べるもよしで便利です。

なぜ、この食べ物がSPAMと命名されたかというと、"SPiced hAM"(香辛料入りハム)の大文字の部分だけ取ったのだそうで。

SPAMが誕生して、2007年で70周年だそうです。私が知らなかっただけで、とてつもなく長い歴史を持った食べ物だったわけです。詳しい説明は http://ja.wikipedia.org/wiki/SPAM を御覧頂きたいと思いますが、第二次大戦中、前線の米軍兵士は来る日も来る日もSPAMばかり食べさせられたとか。イギリスのTV番組'Monty Python'がそういう状況をからかったエピソードによって、「呆れるほどの繰り返し」がSPAMと呼ばれるようになり、ひいては嫌気がさす洪水のような迷惑メールもSPAMと呼ばれるようになったのだそうです。SPAMの缶詰を製造・販売する会社は、自社製品は"SPAM"と大文字で、迷惑メールは"spam"と小文字で表記するように主張し、世界の慣行もそうなっているようです。コンピュータ雑誌'Macworld'も"anti-spam software"という表記をしています。「缶詰のSPAMをボイコットするソフトウェア」ではなく「spam撃退ソフトウェア」という意味になります。

今度SPAMを食べるようになって調べてみるまで、迷惑メールの"spam"が実は缶詰から派生した言葉だったとは知りませんでした。

(April 30, 2007)

【追記】その後、第二次大戦や朝鮮戦争に従軍したアメリカ人男性数人と話しましたが、誰一人「SPAMにはうんざりした」という人間はいず、皆「SPAMは大好きだ」と云っています。日本人が戦中・戦後初期の食べ物(例えばすいとんとか、スケトウダラ)を嫌うのと正反対です。戦勝国と敗戦国の違いでしょうか?引き続き、調査を続けます。

(May 13, 2007)

[Back to top]

[・] 揚げ物の色

日本の料理用語には味のあるものが多いようです。「茹でこぼす」とか「隠し包丁」とか。見慣れない言葉は必死でGoogleしないと解読出来ません。「炒りつける」などという言葉は、ただ「炒める」のと違う断固たる響きがあります。

英語の料理用語は概ね即物的で、理解に苦しむようなものは見掛けません。そんな中で私が気に入ったのは揚げ物の色の表現です。

私の日本の友人で料理の得意な男性は、カツやフライの揚げ方について独特の表現を使います。彼は「美味しそうな揚げ物の色になるまで揚げる」と云うのです。これは、われわれ誰しもが、とんかつ屋さんやレストランで出て来る美味しい揚げ物の色を知っているという事実に立脚しています。その見慣れた色になるまで待っていればいいわけで、何分揚げるなどいう以上に正確な表現と云わねばなりません。

しかし、英米ではそういう曖昧な表現は通用しないようです。英米人にとって「美味しそうな揚げ物の色」は"golden brown"なのです。「黄金色に近い茶色」ですね。この色になるまで揚げろという表現が一般的に使われます。たかがカツやフライでも、"golden brown"という華麗な響きの衣に包まれると、とても豪華な食べ物のように思えて来ます。

(March 10, 2007)

[Back to top]

[・] アメリカのビフテキ

アメリカは牛肉の大産地ですが、やはり牛肉の値段は他の肉に較べて高い。以前、日本では外国産の牛肉は堅くて不味いと云われ、赤ワインに漬けてから料理した方がよいとされていました。部位を選べば、アメリカの牛肉も結構柔らかくて、ワインに漬けたりしなくても美味しいものがあります。

[Beef_Cut_US]

日本でビフテキと云うとサーロインかテンダーロインが代表的ですが、こちらのは種類も多く迷ってしまいます。「トップ・サーロイン」というのはサーロインより上等なんだろうか?と思ったら、「トップ」というのは部位の名前であって、質を表す形容詞ではありませんでした:-)。トップ・サーロインは日本では「内もも」と呼ばれていることから分るように、運動量が多い部位なので低脂肪で肌理(きめ)も粗く煮過ぎると堅くなる部位です。柔らかさで云うと"Tender Loin"(テンダーロイン)とか"Filet Mignon"(フィレ・ミニョン)と呼ばれる部分が最高で、一頭の牛から多く取れないせいもあって値段も高い。しかし、豚のフィレ・カツを想像して頂ければ解るように、脂っ気がなく、味気もない肉です。私はフィレ・カツよりはロース・カツを好む方なので、ビフテキの場合も"Ribeye"(リブアイ)などやや脂肪が混じっている部分が好きです。ここは薄切りにすれば霜降り風すき焼きの肉にもなります。

なお、レストランや肉屋によっては Filet Mignon(フィレ・ミニョン)、Chateaubriand(シャトーブリアン)、Tournedos(トゥルネードー)、Medallion(メダイヨン)、Filet de Bœuf(フィレ・ド・ブフ)など色々に呼ばれているようですが、どれも同じテンダーロインです。

日米の牛肉部位対照表を作ることにしました。どこが柔らかく、どこが堅いとか、すき焼きや朝鮮焼き肉に向いた部位を調べるためです。その結果驚くべきことが分りました。アメリカのウェブサイトの牛肉部位図解も、日本のものも、一つ一つ違うのです。最も困惑したのは、日米で「サーロイン」と呼ばれる部位が異なること。アメリカの"Short Loin"(ショート・ロイン)を日本の多くのウェブサイトでは「サーロイン」と呼んでおり、アメリカの「サーロイン」の部位は日本では「ランプ」と呼ばれていることです。つまり日米でそれぞれの部位がひっくり返っているのです。その「ランプ」も図解によってはアメリカでは"Round"と呼ばれているお尻の肉を含む場合すらあります。"Round"は低脂肪ではあるものの肌理(きめ)も粗く、やや堅めのところですから、「サーロイン」と一緒にはなりません。【上図のShort Loin(緑色)とRound(空色)に挟まれた部位は、上からサーロイン、テンダーロイン、トップ・サーロイン、ボトム・サーロインとなっています】 [Beef_Cut_J]

私の住む町にもビフテキの美味しいレストランはあるのですが、やはりメニューの中で一番高い部類です。目の玉が飛び出るほどではありませんが、毎月一回行ける値段でもありません(私はここ数年行っていない)。この店も"Ribeye"が美味しい。カミさんの姉さんが「New Orleans(ニューオーリンズ)に世界一美味しいビフテキの店がある」と云うので行ったことがありますが、不味くはないものの、私の町のレストランとそう変わらない感じでした。付け合わせの玉ねぎの味が素晴らしかったことを覚えているだけ。

私はスーパーのWalmart(ウォルマート)へ朝11:00〜12:00頃に行った時は、牛肉コーナーで黄色いシールが貼られたパックを探します。割引値段の目玉商品の印です。"Ribeye"は人気があるので黄色シールのパックは中々買えません。先日買ったものは特別厚切りの553 gの重さで、正札$9.24のところを$4.92でした。ほぼ半額!私のお腹にはそれでも大き過ぎるので、半分に切って二回楽しみます。250〜300円でビフテキが食べられるわけです。これは最高です。

買って来てすぐ食べるのは愚の骨頂です。肉に幾分か黒ずんだ部分が出るまで寝かせます。日本の肉屋さんで聞いて御覧なさい、「食べごろのビフテキ肉ありますか?」って。するとウインドウに並んでいる肉ではなく、別なところから晒しに巻いた肉が出て来ます。肉屋さんも“通”のために、寝かせたものを用意して待っているのです。「今日食べごろなのはテンダーロインしかないですね」と云われることもあります。

私は叩いた後の肉には塩をまんべんなく振っていました。バターの塩味だけでは満足出来なかったのです。胡椒は軽く振りますが、レストランのテーブルに並べてあるようなBBQソースなど使いません。そう云えば、私の友人の一人は塩・胡椒すらかけず、肉そのもの味を賞味すると云っていました。ある時、Walmartの精肉担当者にその話をしたら、「それは正解だ」と云い、ステーキ肉のパックの成分表を見せてくれました。「ほら、塩分110g 19%と書いてあるだろ?防腐剤として最初から入れてあるのさ。だから、これに塩をかけたらかけ過ぎだよ」とのこと。以来、私も塩を振るのは止めました。

レストランで「スープがいいですか、サラダにしますか?」と聞かれたら、ステーキを食べる時は迷わずサラダにすべきです。食べた肉は体内で燃焼してリン酸や硫酸などの酸性物質となるそうですが、それを中和するアルカリ性の無機質が必要。ところが野菜を食べないと酸がうまく処理出来なくなり、身体に負担がかかるのだそうです。

【後記】ある時、グロサリ・ストアで「ステーキ大好きだけど高いんでね」と云ったら、精肉担当者が「これはどう?」と指差したものがあります。"chuck eye steak"という二枚入り牛肉パックでした。「これは"poorman's rib eye"(貧乏人のリブアイ)と呼ばれてるもんだ」とのこと。リブアイの半分にも満たない額です。買ってみました。悪くありません。ステーキだと、たまに固い筋にぶつかることがありますが、薄くスライスしてしゃぶしゃぶにしたりすき焼き、牛丼にするには最適。以後、私はこの"poorman's rib eye"一辺倒です。"chuck eye"はリブとchuck(日本では肩ロース)との間の僅かな部分なので、あまり沢山とれない肉だそうです。

【図はhttp://www.jewishrecipes.org/recipes/meat/beef/beef-images/beef-cuts-L.gif と http://www.sanuki-beef.com/image/bui/ushi.gif にリンクして表示させて頂いています。当サイトが作成したイラストではありません】

(February 10, 2007、後記September 24, 2017)

[Back to top]

[・] 新・食卓のマナー

'What Not to Do in Polite Company!'
by Linda J. Beam (Sweetwater Press, 2005, $7.95)

『英語の冒険』正篇の【その他】篇(「べからず集」)で紹介した'What Not to Say!'という本の姉妹篇。アラバマ州の書店チェーンが発行しているローカル本です。

「今さらテーブル・マナーなんて」とも思います。しかし、「お付き合いのべからず集」というタイトルの小さな本にわざわざ書かれていることは、多分アメリカの一般人もやりがちなマナー違反と考えていいでしょう。常識として知られていることを除き、日本人が欧米で冒しそうな過ちだけピックアップしてみました。

・食べ始める前に料理を全部一口大に切ったりしないこと。一口分ずつカットして食べる。
・食べ物の筋や軟骨などをナプキンに吐き出さないこと。その食べ物に使った道具(スプーンあるいはフォークなど)を使って、皿の縁に乗せ、出来れば他の食べ物(ジャガイモの皮とか何か)で覆う。
・食事中に席を立ってはいけない。どうしてもどこかに行かなくてはならない時は、周囲に詫びてから席を立つ。
・食卓に肘や個人的持ち物を乗せないこと。
・公衆の面前で楊枝を使わないこと(食後にお手洗いで使う)。
・食卓に寄りかかったり、椅子に反っくり返ったりしないこと。
・あなたが招かれた食事で"doggy bag"(ドギー・バッグ)を頼んだりしないこと。フォーマルな食事でなく、くだけた状況下でなら構わない。
・あなたが招かれたレストランの食事で、サーヴィスに対して不平を云ってはいけない。

・手の届かない塩や胡椒を取って貰う時は、必ず"Please"をつけ、"Thank you."と云うこと。
・塩か胡椒、どちらかを頼まれても、その両方をセットで渡すように。
・もし、食事中にゲップ、シャックリ、その他の不幸に見舞われたら、"Excuse me."と誰にともなく呟くこと。
・食べている最中はナイフとフォークを、それぞれをお皿の左右の端にXの形になるように置く。料理を食べ終わったら、ナイフとフォークの先端が自分から遠くなるようにして両方をお皿の上に並べる。食事が終わったらナプキンをお皿の脇に置くが、これは食卓の全ての人が食べ終わった時まで待たなくてはならない。

(November 10, 2007)

[Back to top]



[一般] [風俗・慣習] [食事] [発音] [口語] [文法・表現] [その他] [Home]


Copyright ©  Eiji Takano  2006-2011
Address: 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, Mississippi 39301, U.S.A.