Paul Runyan(ポール・ラニャン、1908〜2002)はショートゲームの達人で、PGAツァーで二度も賞金王になったことがあります。 'The Short Way to Lower Scoring' 「バックスウィングで手首のコックを多用する方法は、ボールとのソリッドなコンタクトを得るには複雑過ぎるし、クラブの動きが急速になり過ぎる。手首を動かさなければ、クラブの動きは徐々に早さを増すので、距離のコントロールがし易くなる。 手首を動かさないチッピングはそうでない方式に較べ、距離が減る。これは当然のことなので驚くにはあたらないし、練習によってすぐ調節出来るので、心配は無用である。 手首を動かさないチッピングは、原理的にパッティングと同じメソッドだ。クラブを両方の掌(パーム)を向かい合わせるように握る。両方の前腕部を45°の角度に折ってクラブを保持する。 ボールが目の下になるように立つ。人によってはシャフトの金属部分を握ることになるほど短く持つ必要がある。ボールが目の下にあり、クラブを短く持つことは、方向性を良くする効果絶大である。 |
パッティングの際はボールを左足親指の先に置くのだが、チッピングの場合はライによってボール位置を変える必要がある。いいライの時は左足親指の先からややスタンス中央に寄せる。体重は両方の足に五分五分。まあまあのライの場合はスタンス中央から右にボールを配置し、体重は左に寄せる。非常に悪いライの時は、ボールを右足爪先の前に配置し、体重は左足。これらの処置は、全てボールをクラブでつまむ(押しつぶす)ようにするためである。クラブでつまむショットは、ロフトが減るのでボールは低く出て距離が増す。例えば8番アイアンでしっかりボールをつまんだ場合、ボールは5番か6番アイアンで打たれたように飛ぶ。8番アイアンの軌道が必要なら、ピッチング・ウェッジかサンド・ウェッジを手にするべきである。
両腕はパッティングのように肩の関節から動く。身体や脚で大きな動きをするべきではないが、幾分かの身体の回転は必要なので、無理に抑制せず自由に両手が動くようにすること。
このメソッドに上達したら、高い軌道を求めてピッチング・ウェッジやサンド・ウェッジを使ってみる。ボールはゆっくり上がり、着地してすぐに止まる。バックスピンではなく、高い軌道とソフトな飛び方のせいである。チップショットは基本的には最小の滞空時間で最大の転がりを得るショットだが、ロフトの多いクラブを用いれば最大の滞空時間と最小の転がりを得ることも可能なのだ」
私のホームコースのPGAインストラクターのJerry(ジェリィ)も、手首をコックしないチッピングをするそうです。ただし、Paul Runyanとは多少違って、「ランを多くする時は両手をリリースする(返す)、すぐ止めたい時は左手首を凸(甲側に折る)にしてインパクト後に腕と手の動きをストップする」そうです。
Paul Runyanのパッティングもどきのチッピングに慣れるには時間がかかりますが、距離によってアイアンを使い分けするタイプのゴルファーであれば、上の方式は理に適っていると思われます。私は色んなアイアンを使う方式ではなく、ロブウェッジを持つ長さで距離を調節しています。それをPaul Runyanの云う手首を返さないスウィングにしてから方向性が良くなりました。
(December 01, 2005)
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。編著者Bill Kroen(ビル・クロエン)は精神療法士、児童心理学者として著作をものにするかたわら、ゴルフ・インストラクターとしても活躍し、Callawayのプロ・スタッフの一員ともなっています。
「いいパッティングはいいリズムを伴う。赤子を抱いてあやすように左右に肩を揺すりなさい。ボールを打つのではなく、肩の動きの途中でパターがボールと接触するように考える。カップに転げ込む音が、妙なる音楽のように聞こえる筈だ」
この譬えは絶妙です。赤ん坊を抱いたことがない人には解りにくいでしょうが…。上下に揺するんではありません。左右です。まさにインサイド←→インサイドの肩の動きです。
(December 01, 2005)
'Ask the Top 100'
by Don Hurter ('Golf Magazine,' December 2005)
「高い発射角度と少ないバックスピンが長い飛距離を生む。バックスピンが多過ぎるとティー・ショットは高く上がるだけであり、少な過ぎると低いボールしか出ない。
あなたが平均的ゴルファーならドライヴァーのヘッド・スピードは90mph(40.23m/sec)ぐらいだろうから、発射角度が10〜13°でスピン率は3,500rpmが望ましい。スピン率を減らすには次のような方法がある。
・ティーアップを高くする
低いティーアップは急角度のスウィングに繋がり、それはスピンを増す結果となる。
・姿勢を直す
スウィング初期の体重はターゲット・ライン後方の足の上にあって、背骨もそちら側に傾いでいるべきである。
・ストロング・グリップにする
左手を右に廻したストロング・グリップはクラブフェースのロフトを減らし、スピンを減少させる」
(December 01, 2005)
Jimmy Connors(ジミィ・コナーズ)は、アメリカ生まれのテニス・プロで、Bjorn Borg(ビヨン・ボルグ)やJohn McEnroe(ジョン・マケンロー)以前の大スターでした。シングルスのグランド・スラム八回、ダブルスのグランド・スラム二回という記録を持っています。以下はインストラクターJim Flick(ジム・フリック)の回想。
'Lighten your grip'
by Jim Flick ('Golf Digest,' December 2005)
「私は企業主催のゴルフ・イヴェントでJimmy Connors(ジミィ・コナーズ)と一緒になったことがある。彼はシングル級のゴルファーだった。
Jimmy Connorsがゴルフにも通じるテニスのtipを教えてくれた。コートで跳ね返ってこちらに向かって来るボールはガットを活性化し、その反動で何もしなくても勢いがつく。しかし、サーヴの場合はボールには勢いがないため、ラケットのスピードによってガットを活性化しなければならない。彼がサーヴする時は、最大のスピードを作り出すために必要とされる緊張状態でラケットを握った。ここ一番という局面でエースを狙う時は、コントロールのために指はしっかり握るが、腕はほとんど緊張させない状態でラケットを握ったそうだ。
リラックスした筋肉は敏速な筋肉である。ゴルフにおいては、ガチガチにきついグリップは間違いなく短い飛距離に繋がる。反対に、クラブが滑り落ちない程度に握るように努めるべきである。指はしっかり、しかし手首と前腕部はリラックスさせるというテニス名人の魔法を身につけるべきだ」
(December 05, 2005)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
「ボールをより遠く、より真っ直ぐに飛ばす簡単な秘訣。《バックスウィングで、左肩が右足の上に来るようにする》 頭が若干横移動しても、この方法は身体のフル・ターンとソリッドなボールとの接触を確かなものにする」
単に「充分肩を廻せ」などという助言より、ずっと具体的でいいですね。私には一寸きついですが:-)。
(December 07, 2005)
ごく短いパットを除き"straight back, straight through"(真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す)が幻想であることは、もう御理解頂けたことと思います。これから学ぶべきは「インサイド←→インサイドのパッティング」です。その練習道具として'Putting Arc'というものが売られています(11/13)。
11月初旬、ゴル友のDavid(デイヴィッド)と一緒にPGAツァーのSouthern Farm Bureau Classicを見物に行った時、Edwin Wattsというゴルフ・ショップに寄りました。そこでは二種類の'Putting Arc'を売っていて、MSIIIという屋内・屋外兼用のタイプが目新しいものでした。私が試させて貰うと、この製品に詳しい店員が「あ、そんなにフェースを開いちゃ駄目!」と云いました。説明書を見ると正しくは写真Aのように殆どオープンにせずにバックストロークするらしいのです。私のは写真Bのようでした。
Davidはクリスマスに買う予定だった'Putting Arc'を、急遽一ヶ月早めてその場でMSIII購入を決意。その後、家でも猛練習しているようですが、時々練習グリーンにも持って来ます。私が使わせて貰うと、「あ、そんなにフェースを開いちゃ駄目!」とゴルフ・ショップの店員と同じことを云います。私は、肩+腕+手を一体にしてバックストロークすると自然にオープンになってしまうのです。コンパスの動きのように。これですと、当然結果はプッシュ。
写真Bのパター・シャフトはゴルファーの身体を指していますが、写真Aのシャフトは違います。これならプッシュしないでしょうが、箒(ほうき)の三倍位の長さのパター・シャフトでないと、こうはなりません。あるいは、バックで若干クローズ目にするか。Davidも「おれは一寸クローズにするが、意図してやるわけではなく自然にそうなる」と云っていました。しかし、'Putting Arc'は手や腕の独立した動きをしない正確なストロークが売りなので、ストロークの途中でクローズにするのは趣旨に反しています。'Putting Arc'製作者たちが批判する"straight back, straight through"と同じことになってしまうからです。Davidの最近のパット数は30だったそうで(当人は自慢気でしたが)、26近辺にならないのはその「クローズ目」にあるのではないかと思われました。
Davidが「類似品を作る参考に…」と、'Putting Arc'の円弧を紙にトレースしてくれました。一見すると殆ど直線のような、極めて緩い楕円の円弧です。30cmのバック・ストロークでも、ターゲット・ラインからたった5mmインサイドになる程度。その紙を下敷きにパターで素振りして分ったのは、バック、フォロー共にパターを充分浮かすべきであるということです(説明書にも「パターを低く保ってはいけない」とありました)。バックとフォローでパターを浮かせば写真Aのようにすることが可能です。よく考えれば時計の振り子も両端では上がりますね。あれと同じことです。その際に、ごく僅かインサイドへの向きを加味する(ここだけが普通の振り子と異なる)。これなら無理にクローズ目にする必要はありません。
では、'Putting Arc'が無ければその微妙な円弧によるパッティングは出来ないでしょうか?出来ます。
(December 03, 2005)
'Putting Arc'という練習道具無しでインサイド←→インサイド・ストロークをマスターする試みですが、その前にグリップをチェックする必要があります。振り子式パッティングに最適なグリップを採用するのが、いい結果への近道です。
「自然流グリップの探究・パット篇」(tips_59.html)で、私は次のような記事を紹介しました。
「軽く上体を折って両手をぶら下げた時、両手の掌は互いに向き合うのではなく、身体の方を向いていないだろうか?その通りにパターを持つのが、より自然ではないのか?」
上の方法はフルスウィングの場合について、「'One Move' Video篇」、「自然流グリップの探究・スウィング篇」(tips_59.html)や「ランキン・グリップ」(tips_82.html)などで提唱されていることと共通していて、別に珍しいものではありません。フル・スウィングで役立つことならパッティングにも役立つ筈です。ゴルフというものは、そう複雑怪奇なものではないと考えましょう。
パッティングの姿勢を取り、パターを身体の中央に立てかける。両腕は楽に肩からダランと下げる。この時の手の向きは各人各様だと云われています。私の場合、両手の向きが写真Aのように若干伏せ気味になっていて、「気をつけ!」する時のように(写真B)身体の横を向いているわけではありません。そのまま両腕を左右に振ってみると、両手は伏せ気味のまま行ったり来たりします。掌を向かい合わせに振ろうとすると、僅かですがテンションを感じます。つまり、腕をダランと下げた時に両掌が向かい合う人は両掌を向かい合わせてグリップしても良いが、私は両方ともやや伏せ気味のグリップが自然ということになります。
で、パッティングの姿勢を取ったら、ダランと下げた時のままの手の向きを変えないようにパターを握ります。その時、無理にパターの端を持つというようなことをせず、自然に手が届いた位置でグリップします。私の場合、これまではパターの端を握っていましたが、この位置は高過ぎたようです。伏せ気味の手ですので、両方の親指はグリップの角にタッチします(真上ではありません)。
上の方法は普通のゴルフ教科書には載っていないグリップですが、ゴルファーの身体に合った最も自然なグリップと云えます。私は右手だけ、左手だけのストロークを個別に試し、左右どちらででも最も真っ直ぐ打てるのは上のグリップであることを確認しました。一本ずつでOKなら、両手でもOKである理屈です。読者も試してみて下さい。
今後このグリップに言及する時のために、上のA、Bどちらかを選択して握られたものを「カスタム・グリップ」と呼ぶことにします。
【参考】 「自然流グリップの探究・パット篇」、 「ランキン・グリップ」
(December 05, 2005)
'Putting Arc'という練習道具無しでインサイド←→インサイドのストロークをマスターする最終回。'Putting Arc'の製作者たちは、ボール位置はスタンス中央を推奨します。取りあえず、それでやってみましょう。
どのようにインサイドにパターを引くかというヒントは、「'One Move'追補」(11/11)にありました。'One Move'とは、バックスウィングで左肩を前方(正面)に押し出してから身体の回転を始めるというものです。なぜ前方に出すかというと、それが背骨を軸とした正しい回転運動になるからです。左肩を押し出さない動きは真の回転ではなく、単に両手を“後ろへ引く”動きに過ぎません。'One Move'の動きをパッティングに応用して、バック・ストロークの最初で実行します。パターヘッドは自然に弧を描いてインサイドへと向かいます。時計の振り子のようにパターヘッドを(手・腕ではなく肩で)僅かに持ち上げるようにすれば、パター・フェースが過度にオープンになることを防げます。フェースの舵を取ろうなどと考えず、ゆったりしたグリップを保ちながらフォワード・ストロークに移ります。緊張していない身体は、自然に同じ往復運動をするものです(註)。何も考えずフォワード・ストロークします。左肩主導でフォワード・ストロークすれば、インパクト後、パターは自然にインサイドへと向かいます。
【註】フル・スウィングで、急角度のバックスウィングをするとダウンも急角度になり、フラット目のバックスウィングはフラットなダウンに繋がります。これはティー・ショットからバンカー・ショットまで全てに共通する真実ですが、当然パッティングにも通用する原理です。
以下は'One Move'の「パッティング」の項にある一節。
'One Move to Better Golf'
by Carl Lohren with Larry Dennis (Golf Digest, Inc., 1975)
「パター・フェースは、ターゲット・ラインにではなく一貫して両肩にスクウェアのまま。短いパットではラインにスクウェアに見えるだろうが、実際には肩が回転するにつれフェースは僅かにオープンになる。長いパットではさらにオープンになる。パターヘッドを真っ直ぐ引き続けようとしないこと。ボールを打った後も、パターヘッドはターゲット・ラインの僅か内側へと振られる。これはストロークが両手ではなく両肩の動きでリードされている理想的状態にあることを示す。パターヘッドを無理に真っ直ぐターゲットに向かわせるようなフォロースルーは、両手にコントロールを委ねてしまうことになり、いい結果は期待出来ない」
上の引用の最初の部分は、'Putting Arc'の説明書の文章と全く同じです。手と腕が独立した動きをしないパッティングでは、パターは肩の回転に伴ってインサイドへ向かい、フェースが若干オープンになって当然なのです。逆に云えば、左肩を前方(正面)に押し出しさえすれば、'Putting Arc'の円弧をなぞる必要もなく、自然にその軌道が得られるという寸法です。
以下の記事は「円弧でストロークせよ」として2004年に紹介したものです。前回の記事で省略した部分から、参考になる個所を拾ってみました。
'Arc Stroke'
by Wiilie Toney with Al Barkow ('Golf Illustrated,' Feburuary and March, 2004)
「一般的なボール位置は背骨と左肩の間の一点である。確実に云えることは、左踵とスタンス中央の範囲内のどこか一点だということだ」
この記事の筆者は、'Putting Arc'の製作者たちが説明書でスタンス中央のボール位置を推奨していることを承知していますので、彼独自の見解でやや左に移してもよいと考えているわけです。ボール位置は練習によって個々に決定すべきことでしょう。もしインパクトでフェースがオープンになる傾向が続くようであれば、ボールを少し左に置くとか。
「円弧でストロークする際は、アドレスで自然な位置でパターを握ること。それはかなり低い位置になる筈だ。パターを不自然に長く持つのは"straight back, straight through"(真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す)信奉者のアドレスであり、アウトサイド→(トップ)→アウトサイド→(インパクト)→インサイドの軌跡を描き、プッシュやプルになり易い。
'Putting Arc'による練習は、両手の動きを殺し、腕と肩によるストロークを身につけさせてくれる。その正確さは驚くべきものがある」
【インサイド←→インサイド・ストロークのまとめ】
・パターはダランと垂らした両手が合わさる部分で短めに持ち、カスタム・グリップで自分の掌の向きに合わせて握る。
・グリップは柔らかく、手は肩+腕の動きに従う。
・最初に左肩を前方(正面)に押し出し、パターが少し上昇するバック・ストローク。
・パターフェースの舵を取ろうとせず、戻る肩の動きのままにフォワード・ストローク。
【参照】 「パットでも'One Move'」、 「円弧でストロークせよ」
(December 07, 2005)
「長いパットでストレートにパターを引こうとするのは腕と手に不自然な動きを強制する。ストロークの間中パター・フェースをターゲットにスクウェアに保とうとするのも、バック・ストロークで腕と手に異常な反時計方向への動きを強制する。自然で論理的な結論は、ストロークの間中パター・フェースを軌道(ラインではない)にスクウェアにすることだ。軌道はバック・ストロークでインサイドに向かい、パター・フェースはラインの右を向く。フォワード・ストロークではパターはインサイドからターゲット・ラインに沿って戻って来てスクウェアとなる」
'The Short Way to Lower Scoring'
by Paul Runyan(ポール・ラニャン、ショート・ゲームの達人、Golf Digest/Tennis, Inc.刊、1979)
「ストロークが長くなるにつれ、パターヘッドはバックスウィングでインサイドへ、そして上方へと向かわざるを得ない。インパクトで水平にラインと一線になり、フォロースルーで再びインサイドかつ上方に向かう。フェースはバックスウィングでオープンになり、インパクトでスクウェア、フォローでクローズになる。全体のアクションはフル・ショットと同じなのだ」
'The Inside Path to Better Golf'
by Peter Kostis(ピーター・コスティス、インストラクター、TV解説者、NYT Special Services, Inc.刊、1982)
「ターゲット・ラインに対するパッティング軌道の角度も重要である。その角度はバックストロークでは常にターゲット・ラインのインサイドであるべきで、インパクトではターゲット・ラインにスクウェアに戻る。実のところ、いいストロークの全体の形は浅い三日月形なのだ。『真っ直ぐ引き、真っ直ぐ出す』方式のどこがいけないかって?別にいけなかない、それが60cm以下のパットなら。それ以上でもいけなくはない、もしあんたに出来るなら。残念ながら、それは滅法難しい」
'The Master of Putting'
by George Low(ジョージ・ロウ、パット名人、Atheneum刊、1983)
「私はバック・ストロークで若干アウトサイドに引き、フォワード・ストロークでインサイドに戻す。多くのプロ、中でもBen Crenshaw(ベン・クレンショー)やBilly Casper(ビリィ・キャスパー)などは少しインサイドに引き、インサイドに戻している」
'Putt to Win'
by Dave Stockton (デイヴ・ストックトン、パット名人、Simon & Schuster刊、1996)
「『真っ直ぐ引き、真っ直ぐ出す』方式のほかに一般的なものは、『インサイド→スクウェア→インサイド』のストロークである。Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)を御覧なさい。彼はパターが身体の周りで弧を描くようにストロークする。すなわち、バックでターゲット・ラインのインサイドへ、インパクトでスクウェア、フォローでインサイドに戻る。パターがミニアチュアながらもフル・スウィングと同じ軌道を辿ることと、両肩が背骨の周りを廻るためインパクトでパターが地面すれすれになるという理由で、インストラクターの中にはこれを好む人もいる。ただ、Ben Crenshawは、このメソッドを用いてソリッドなコンタクトを得るに足る素晴らしいフィーリングに恵まれていたことを忘れてはいけない」
'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (ジョージ・ペパー他、Harry N. Abrams, Inc.刊、1997)
「パターヘッドは地面近く低く動く。腕と両肩は一体となって動くので、パターの軌道はバック・ストロークで自然にターゲット・ラインのややインサイドへ向かい、インパクトでスクウェアとなり、フォロースルーでまた少しインサイドに戻る。長い距離の場合、これは最も確かな方法であることは疑いがない」
'The Four Cornerstones of Winning Golf'
by Butch Harmon(ブッチ・ハーモン、Simon & Schuster刊、1997)
「5フィート(1.5m)以下のパットでは真っ直ぐ引き真っ直ぐ出す軌道が大事だ。そういうパットでは私はかなり強くボールを打つ。長いパットでは、パターをかなり後ろに引くため両肩を回転させることを余儀なくされるので、パターヘッドは少しインサイドに向かう傾向がある。それは構わない。パターを真っ直ぐ引き続けようとすると、両腕は身体から離れ過ぎてしまう」
'How I Play Golf'
by Tiger Woods(タイガー・ウッズ、Warner Books刊、2001)
(December 09, 2005)
'Master Strokes'
by Nick Mastroni and Phil Franke (Running Press, 2003, $9.95)
「フル・スウィングが思うようにいかない日があるものだ。そういう今イチの日は、“プランB”(ブロック・ショット)に切り替えるのが賢明である。これはティー・グラウンドからでもフェアウェイからでも使える。
・ターゲットにフェースをスクウェアにする。
・身体はやや左を向く。
・短めのバックスウィング。
・しっかりした左腕で、クラブヘッドをターゲットラインに向かって引き下ろす。
・インパクトを越えても、クラブヘッドは低く長くターゲットラインに沿って動くように。
この場合、通常のスウィングと異なり、腕は返さない。ボールはやや低めに、ストレートか若干フェード気味に飛ぶ。ボールをターゲットに向かわせる効果的なショットである」
「低いボールは曲がらない」というtip(tips_80.html)でJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)は「Lee Trevino(リー・トレヴィノ)は、高いボールは大きく曲がるが、低いボールは曲がる率が低いと云う。だから、私はナーヴァスになり始めた時は、ボールをややスタンス後方に置き、低めのボールを打つ」と云っていました。それに通じるtipですね。こちらはどういう風に低いボールを打つかという、実技篇として有益です。
(December 09, 2005)
George Low(ジョージ・ロウ)は自身ツァー・プロでもありましたが、パットの名人としてArnold Palmer(アーノルド・パーマー)に助言して彼のMasters 1960優勝に貢献し、彼が開発したGeorge Low Wizard 600というパターをJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)に贈呈して、Nicklausの15のメイジャー優勝に貢献しました。
"straight back, straight through"(真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す)が主流で、それ以外のパッティング・メソッドは考えられなかった1950年代、George Lowはインサイド←→インサイド・ストロークで目覚ましい成果をあげていましたが、そのメソッドは秘密にして誰にも明かしていませんでした。70歳になった時、初めて彼のパッティングの秘密を出版する決意をしたのです。
'The Master of Putting'
by George Low with Al Barkow (Atheneum, 1983, $12.95)
「私は僅かに下降気味の軌道でパットする。一般には『やや上昇気味にストロークして、ボールにオーヴァー・スピンを与えるべきだ』と考えられているが、科学的事実はどんな角度で打ってもスピンには関係ない。打たれたボールは最初は地面の上を短く(パットの距離の20%)横滑りし、やおら転がり始める。物理学的にはパターヘッドの角度は転がる動き(=オーヴァー・スピン)には何ら貢献しない。しかしながら、もしボールが赤道の上を打たれた場合には、迅速に転がり始めることが科学的に実証されている。私の下降気味のストロークは、ボールの赤道のすぐ上を叩くので、ほぼ打たれてすぐオーヴァー・スピンを得ることが出来る。
ターゲット・ラインに対するパッティング軌道の角度も重要である。その角度はバック・ストロークでは常にターゲット・ラインの内側であるべきで、インパクトではターゲット・ラインにスクウェアに戻る。実のところ、いいストロークの全体の形は浅い三日月形なのだ。『真っ直ぐ引き、真っ直ぐ出す』方式のどこがいけないかって?別にいけなかない、それが60cm以下のパットなら。それ以上でもいけなくはない、もしあんたに出来るなら。残念ながら、それは滅法難しい。
『バック・ストロークではパターを低く保て』とよく云われる。しかし、60cm以下のパットでない限りこれは不自然であり、スウィングというよりぐいと引っ張る動作になり易く、感心出来ない方法だ。ぐいと引くとフェースがかぶせ気味になり、上腕部と両肩が出しゃばり過ぎ【編者註: George Lowは手首を使ったパッティングだった】、正しいスピードと方向を追求するアクションとならない。振り子式ストロークでは、パターは自然に地面から離れて上昇するものである。
4.5m以下のパットでは、私の下降気味のストロークは非常に短いフォロースルーを迎える。長いパットではパターは自然に持ち上がる。
多くのゴルファ−のバック・ストロークは余りにも短い。多分、パターがターゲット・ラインから逸れないようにするには、短いバック・ストロークが安全だろうと思っているに違いない。当然ながら、カップに届かせるために彼らはインパクトで余分の力を加えなくてはならず、その結果スムーズとは無縁のストロークとなり、多くの場合ボールは距離も方向もいい加減になってしまう」
(December 11, 2005)
以下のはErnie Els(アーニィ・エルス)執筆による記事ですが、同じチッピングでも、インストラクターBill Moretti(ビル・モレッティ)の「チッピングの留意点」(次項)とは極端に相反するメソッドです。両方試してみて、納得出来る方を採用して下さい。
'The Complete Short Game'
by Ernie Els (Broadway Books, 1998, $27.50)
「三つの原則がある。
1) ボール位置は後ろ(左足踵の7〜10cm後方)
2) 両手はボールの前。
3) 体重も前。
多くのゴルファーはボールを掬い上げようと両手をボールの後方に構える。これではボールと一緒に地面も掬い上げたりして、かなりげんなりさせられるものだ。
上の三原則はどれもボールめがけてシャープに打ち下ろすための条件である。ややオープンなスタンスとか柔軟な膝も望ましいが、三原則さえ守れば成功は疑いない。
一つだけグリップについて。2〜3インチ(5〜7.6cm)ほど短く持つ。それがクラブヘッドのコントロールを確実にする。クラブを軽く握ることも重要」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(December 13, 2005)
以下のはインストラクターBill Moretti(ビル・モレッティ)執筆による記事ですが、同じチッピングでも、「Ernie Els(アーニィ・エルス)のチッピング」(前項)とは極端に相反するメソッドです。両方試してみて、納得出来る方を採用して下さい。
'Turn Three Shots Into Two'
by Bill Moretti with Mike Stachura (Andrews McMeel Publishing, 2002, $19.95)
「45フィートのショットを空中に放つ時、あなたは快適な気分を味わいますか?その距離を飛ばすに最適のバック・スウィング、フォローの長さを知ってますか?ノーですって?しかし、45フィートのパットをしなければならない時、どんなストロークが適切な距離を転がせるか瞬時に察知するでしょう?これがチッピングはパットの延長であり、フル・スウィングの短縮版ではない理由です。パットが出来る人なら誰でもチッピングが出来、ドライヴァーで飛ばすことしか知らない人よりいいスコアを達成することが可能なのです。
・リヴァース・オーヴァラップのパッティング・グリップがお薦め。
・狭いオープンスタンスで、ボールに近く立つ。
・ボール位置は左足の親指の前方。チッピングの一般的ミスは、ボールをかなり後方に置くことだ。
・両肩は水平に。
・パッティングと同じ動作をする。
・グリーン・エッジから1mに着地するように打つ。出来るだけ転がす割合を増やすのがチッピングの目的である。
・ボールを上げようとか加速しようと思ってはいけない。単純に振り子運動をする。クラブのロフトが自然にボールをグリーンに運んでくれる。
・手首を折らないこと。手首を折ると余分なロフトが生じ、思ったように転がらずショートしてしまう。
・色々なクラブを使うことにより、一つのセットアップ、一つのボール位置、一つのスウィングでこと足りる。
・チップショットは約六歩分だけ空中を飛行する。それ以上のキャリーを得ようとすると、チッピングは失敗する。真実はこうだ:六歩以上空中を飛行させるのであれば、ピッチ・ショットに変更すべきである」
【参考】「チッピングの公式」に距離によるクラブ選択の目安があります。
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(December 13, 2005)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
「多くのゴルファーはボールからどれだけ離れてアドレスすべきか知らない。
理想的な距離を見つけるいい方法の一つは次のようなものだ。両肘を身体に付けながらクラブを身体の前に突き出す。そのまま、そのクラブを地面に下ろす。ヘッドの場所が理想的なボール位置である」
(December 17, 2005)
インストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)による短いピッチのコツ。
'Simple rules'
by David Leadbetter with Ron Kaspriske ('Golf Digest,' January 2006)
「10〜30ヤードの距離のミニ・ピッチショットを成功させるには、切れ味のいいボールとのコンタクトと、一貫して加速することが条件だ。そのためには、バックスウィングで充分コックすること、ダウンスウィングでターゲットに向けて胸を回転させることが重要。
コックは切れ味のいいコンタクトのためであり、胸の回転は加速を生む。もし、胸でなく腕だけでクラブを振ろうとするとヘッド・スピードが不足し、失敗するのがオチである。終始腕は伸ばしたまま、バックで手首を曲げ、ダウンで身体をターゲット方向に回転させるのがコツ。
【ポイント】
・通常のピッチショットよりオープンに構える。
・距離のコントロールは、どれだけ勢いよく胸を回転させるかで行う。
・体重の60%はターゲット方向の足にかける」
(December 19, 2005、改訂June 02, 2015)
Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のロブ・ショット解説。
'Light on the lob'
by Tiger Woods with Pete McDaniel and Mark Soltau ('Golf Digest,' January 2006)
「アマチュアの最大の過ちの一つは、クラブを絞め殺すようなグリップでスウィングを始めるか、途中からインパクトにかけて握力を増すことだ。どちらもボールとのコンタクトと方向を不正確なものにする。
ロブ・ショットを例に取れば、スウィングの間中軽いグリップで通すのが鍵である。腕と手だけを使うのも避けるべきだ。ボールの下を滑るヘッドに仕事をさせるのだが、両腕+両手+下半身等が一体となって動くべきであることを忘れないように」
(December 19, 2005、増補June 02, 2015)
Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のスウィング・コンサルタントHank Haney(ハンク・ヘイニィ)のtip。
'Fix your game in a weekend'
by Hank Haney with Matthew Rudy ('Golf Digest,' October 2005)
「アマチュアが88でなく94を叩く理由の一つは、バンカー・ショットがへたくそだからだ。脱出に二打費やす人が多い。
クラブフェースをオープンにし、ボール位置はスタンス前方、ボールの後ろの砂をひっぱたき、フル・フィニッシュを作る。アマチュアの多くが、この最後の部分を実行出来ない。砂をまき上げ、クラブを動かし続けて、大きいフィニッシュを取ればいいだけなのだ」
(December 21, 2005)
'Revive your driver with this set-up tip'
by Tom Perkins ('Golf Digest,' October 2005)
「他のクラブの構え方がドライヴァーでも同じように必要かというと、そうではない。例えば、どのクラブでも両手がクラブヘッドよりターゲット方向に出ている必要があるが、ドライヴァーは別である。それなのに、多くのゴルファーはグリップが左のポケットの前に位置すべきだなどと考え違いしている。そういう構えはロフトを減少させて、10°のドライヴァーを7°に変えてしまう。それはボールを上げにくくし、サイドスピンの影響を受け易くする(スライスやフックになり易い)。
アドレスでドライヴァーのシャフトを垂直にするか、シャフトを飛行線後方に傾ぐようにする(両手をスタンス中央寄りにする)。これがドライヴァーのロフトを活かすアドレスである」
Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)は、右図のようにYの字のアドレスです。シャフトは逆Kの字アドレスのように真っ直ぐではありません。この構えは高いローンチ・アングル(発射角度)も得られ、長い飛距離が期待出来ます。
【参考】「AnnikaのYの字アドレス」
(December 23, 2005)
'Get in position for your putt'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' December 2005)
「パッティングの鍵は、ストローク弧の最低点でボールと接触することだ。あなたが快適と思う姿勢によって、その最低点の位置は変わる。姿勢とボール位置は不可分な関係にある。
・オープン・スタンス この場合、ストローク弧の最低点はスタンスのかなり後方になる。だから、多くのゴルファーがやっているように左足踵の前にボールを置くのではなく、右足の内側の前が最適のボール位置である。これのいい点は体重が右足の上にかかり、頭、胸がボールの真上になることだ。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)がこの姿勢である。
・左足体重 左足に体重を乗せるのは結構。しかしその場合、ストローク弧の最低点も左に移る。ボール位置は左足内側の前方か、もっと左になるべきだ。このスタイルで注意すべきなのは、頭を動かさないということだ。そうでないと、スクウェアにボールを打つことは先ず望めない。この姿勢は遅めのグリーンや風の強い日に効果的である。
・スクウェア 体重が左右均等にかけられスクウェアな姿勢であれば、ボール位置はスタンス中央である。誰かが『ボール位置は左足の前に置くべきだ』と云っても無視すること」
(December 25, 2005)
女性インストラクターJane Horn(ジェイン・ホーン)によるパワー増強tip。
'Power Golf for Women'
by Jane Horn (Citadel Press, 1999, $16.95)
「クラブヘッド・スピードはパワーの第一の要素である。しかし、クラブヘッド・スピードというのは最も誤解されがちなコンセプトだ。大抵のゴルファーはインパクトで手と手首を弾くのがクラブヘッド・スピードを増すことだと考えるが、これはパワーをロスするものである。クラブヘッドを速く動かそうとすると、実際にはインパクトの瞬間にスピードを失ってしまう。クラブヘッド・スピードは、ダウンスウィングで両手に遅れて下りて来るクラブヘッドによって作られるものだ。
ティーショットで、ヒールあるいはトゥで打たれたボールは最高で15ヤード距離が短くなる。スライスは平均15〜20ヤード距離を失う。
アドレスする際、クラブを地面に置いてグリップしないこと。クラブを空に向けた状態でグリップを完成させるように。こうすれば、クラブを地面に押し付ける時のテンションも無く、クラブの重さを感じながら適切な圧力でグリップ出来る。
アドレスではクラブを接地しないように。アイアンもウッドも、僅かに地面から浮かす。これが早めのコックを可能にする。
バックスウィングで左腕を真っ直ぐ伸ばそうと緊張すると、適切なコックが得られない恐れがある。それはまた、クラブをアウトサイドに引いてしまうことに繋がり易い。左腕をリラックスさせること。
あまりにもゆっくりなバックスウィングは過度のテンションを作り出す。その緊張はトップで最高潮となり、ダウンスウィングを急ぐことを誘い、早期にパワーを使い果たす結果となる。
肩を廻し過ぎる害というのも存在する。肩は90°廻せば充分である。
チキン・ウィングは、過度にアウトサイド→インサイドのスウィング軌道をした証拠である」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(December 27, 2005、改訂June 02, 2015)
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