'How to Smoke Your 3-Wood'
by Scott Sackett ('Golf Nagazine,' September 2005)
「Tiger Woods(タイガー・ウッズ)は3番ウッドで280ヤード飛ばす。あなたに280ヤードは無理だろうが、Tigerの打ち方でPar 5に2オンすることは出来るかも知れない。
・Tigerはアドレスで右膝をターゲット方向に押し込む。これは下半身の不要な動きを封じ、パワーを蓄える源となる。
・ボール位置をドライヴァーより1インチ(約2.5cm)スタンス中央に寄せる。こうすることで、水平に掃くように打つことが可能になる(クラブはインパクト前後を通して水平の軌道でなくてはならない。上げようとするとトップする)。
・Tigerはクラブヘッドをターゲット方向に出来るだけ長く保持している。
・心構えとしては、7番アイアンを打つテンポでスウィングする。あるいは精一杯のパワーの80%で打つ。ソリッドに打つことが20〜30ヤード増すことに繋がる」
(October 02, 2005)
インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)によるチッピングのお薦め。
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
「ハンデ1〜3のグループとハンデ4〜9のグループを比較してみると、ハンデの低いゴルファーたちはほとんどのチップ・ショットをロブ・ウェッジで行なっている。あなたがさらに上達を望むのなら、多くのツァー・プレイヤーが用いている次のような作戦をお勧めする。
【編註:Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)を始めとするLPGAツァー・プロたちは、長い間、グリーンまでの距離によって各種アイアンを使い分けるチッピングをしていました。しかし、2003年、Annika SorenstamはPGAツァーの一つColonial Tournamentに参加し、男子プロたちがロブ・ウェッジ一本でアプローチを行なっているのを目撃し、今では彼女もロブ・ウェッジ主体のチッピングを行なうようになっています。今後はこの方式がLPGAツァーにも広まることでしょう】
短いチップ・ショットでは、
・ボール位置は左踵のすぐ内側。
・バックスウィングで手首の角度を作り、その角度を維持しながらインパクトを迎える。
・クラブフェースでボールの下をスライドさせる(ボールは上がり、ソフトに着地する)。
中距離のチップ・ショットでは、
・距離によってボールをスタンスの中程に移す(長い距離ではかなり後方)。
・手首を殺したストロークで、低く、転がるショットをする。
このメソッドは、各種のクラブを用いるよりも簡単にマスター出来、距離のコントロールも容易である。数個のボールを練習グリーンの周りに落とし、ロブ・ウェッジで異なるチップ・ショットを試みる。これは難しいグリーンや早いグリーンのプレイに役立ち、スコアを少なくしてくれるテクニックである」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(October 03, 2005、改訂June 02, 2015)
'A Round with The Tour Pros'
by Steve Newell (CollinsWillow, 2002, $37.50)
この本は'Golf World'誌(ヨーロッパ版)の編集者たちが、ヨーロピアン・ツァーのトップ・プロ(現役、引退者、女性を含む20名)と18ホールのラウンドをして、プロの素顔に迫りながら様々なこぼれ話を聞くという趣向です。ラウンド・リポートの間にプロのtipがいくつもちりばめられています。 昨夜、この本を持ってベッドに入り、tipのコラムだけ拾い読みしていました。PGAツァーから選ばれたうちの一人Peter Jacobsen(ピーター・ジェイコブセン、写真左)のtipを一読して、眠気が一遍にさめてしまいました。 「《短い寄せではシャフトを握れ》 短いピッチング/チッピングでは、右手はウェッジの金属シャフト部分を握るべきだ。クラブを短く持つと、フィーリングを増すことが出来る。もっと重要な効果は、そうすることでスウィング弧を小さく出来るため積極的に打て、ターゲットをオーヴァーする恐れ無しにボールに向かって加速することが可能になるということだ。 大方のアマチュアはクラブの持ち方が長過ぎるので長いスウィングをし、結果的にインパクトで減速しなければならなくなる。ある時はダフり、ある時はトップしてグリーン・オーヴァー。短いショットを長いスウィングで正しく打つなんて、とても難しいことだ。 クラブを短く持てば、自動的にスウィング弧は小さくなり、コンパクトなスウィングとなる。たとえ短いショットでもヘッドは加速してボールを打つ必要があるわけだが、スウィングがコンパクトなので何の心配もなく加速出来る。 故Payne Stewart(ペイン・スチュアート)は、常にこの方法でプレイしていた。彼はファンタスティックなウェッジ・プレイヤーだった」 |
私の最近のロブ・ウェッジによる寄せは、着地点をピンの手前2mほどに想定して打っているのに、ピン傍に着地しピンを2m通り過ぎるという傾向がありました。スウィングを短くしてもオーヴァーしてしまうので、途方に暮れていました。
「そうか、シャフトを握るのか!」そう云えば、私は方向のコントロールが必要な時はドライヴァーを短く持ち、急な下りのパットでもパターを短く持つということをしていました。ウェッジも短く持てば良かったのです。早く気がつくべきでした。その夜は興奮して身体がほてり、中々寝られませんでした。
本日、練習グリーンへ二つのロブ・ウェッジを持って行きました。一本は普通のVokey Wedgeで、もう一本はTom Kiteと同じ33.5インチに縮めたCleveland 588 Wedge。両方試しましたが、Clevelandの方が良さそうでした。33.5インチをさらに短く持つのは極端ですが、私は極端を恐れない質(たち)ですので…。
この日のラウンドではチップインもなく、ピン傍数10cmという結果も数えるほどしかなく、驚異的なパフォーマンスとは云えませんでした。しかし、悩みの種だった「ピン傍に着地して2mオーヴァー」というミスはぐーんと減りました。私としてはそれだけでも大満足です。
(October 03, 2005、改訂January 01, 2019)
以前、インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)の「ロング・パットは片腕で」(9/25)というtipを紹介しましたが、それは練習に関するものでした。この短いパットの場合、本番でも両腕均等でなく《左右どちらかの腕をメインにストロークせよ》というものです。
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
「初心者にパッティングを教える際、私は片手・片腕の方がコントロールし易いと説いてかなりの成功を納めて来た。あなたがTom Watson(トム・ワトスン)のように左サイド主導であろうと、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のように右サイド主導であろうと問題ではない。私は身体のどちらか一方にフォーカスを当てることがパターを正しく動かし、意図したラインに沿って転がすことを助けてくれることに気づいたのだ。
ショート・パットでは、左右どちらかの側がメインでパターを動かすのであって、両方ではない。これはあなたの意識を単純化する。
私はこのメソッドをSergio Garcia(セルジオ・ガルシア)に教え、彼は2004年のRyder Cupで次から次へとパットを成功させ、ヨーロッパ・チームの勝利に貢献した。彼はショート・パットにおいては、頭を静止させたまま左肩を若干下方に揺するバックストロークをし、それは私の助言によるものだった。
短いパットでは(特に早いグリーンでは)、パターを真っ直ぐ後退させ、真っ直ぐ前進させるべきである。この際、両手の動きははほとんどない【編者註:肩と腕が動くだけ】。過剰な動きはパターをインサイドかアウトサイドに揺らす原因となり、害をもたらす。必要なのは、ほとんど弧を描かない真っ直ぐ後退、真っ直ぐ前進の動きである」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(October 07, 2005)
Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の二人目のコーチとなったJim Flick(ジム・フリック)によるドライヴァーの練習法。
'Make center-face hits for more distance'
by Jim Flick ('Golf Digest,' August 2005)
「ティーショットを遠くへ放つには四つの要素が不可欠である。
1) 速いスウィング・スピード
2) ボールに向かうヘッドの正しい角度
3) インパクトでスクウェアなフェース
4) フェースの中央で打つ
四番目の重要性について、故Davis Love Jr.(デイヴィス・ラヴ二世、現在PGAツァーで活躍中の三世の父で著名なインストラクター)が、よくデモンストレーションを見せたことがある。
彼はボールの一個をフェースの中央で打ち、もう一つをトゥ(あるいはヒール)で打った。フェース中央で打った場合の飛距離は驚くべきものだった。自分で試されたい。
フェースの中央で打つための簡単な練習法がある。練習場でドライヴァー用にティー・アップする。次に、ドライヴァーのトゥの外側1/4インチ(約6mm)に長いティーを刺す。クラブのヒールの外1/4インチ(約6mm)に短いティーを刺す。
上のように二本のティーで作られた“門”の間をスウィングする。最初はいつもの半分のスピードで。続いて、3/4のスピードで。“門”のどちらにも触らないでスウィング出来るようになるまで続ける。最後にフル・スピードでスウィングする。この練習をすれば、力一杯打たなくても飛距離が増す筈だ」
半分のスピードでも“門”を壊してしまう場合は、クラブを短く持ってスウィングすることをお勧めします。私は厳しく方向性が要求されるホールでは、ドライヴァーをやや短く持つことにしています。
(October 09, 2005、改訂June 02, 2015)
'No More Idiot Marks'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' July 2005)
「ドライヴァーによるティーショットで、"pop-up"(ポップ・アップ、ほぼ垂直に飛び上がるようなボール)を打った時に出来るかすり傷を"idiot mark"(馬鹿のしるし)と呼ぶ。名前通り知性と関係あるかどうか証明は出来ないが、クラブヘッドがあまりにも急角度にボールへと接近するせいで起ることだけは間違いない。これを避けるには、フラットなインパクトを迎えるようにするか、上昇気味の軌道でスウィングすることだ。
・ティーを高くする
ティーを高くすると尚更ボールの下を叩きそうに思えるが、実はフラットなスウィング弧になるので、浅い進入角度が得られる。アドレスではボールがクラブのてっぺんから3/4は出ていること。
・インパクトを予習する
バックスウィングの最初の18インチ(46cm)がスウィング全体を決定する。ゆえに、手で急激にクラブを引っ張り上げるのではなく、低く掃くようにテイクアウェイを行なう。ボール位置は左足の内側とし、充分伸ばした両腕でクラブを引き摺り上げる。こういう具合にクラブをワイドな弧でスタートさせれば、ダウンでも同じ高さで戻って来る。
・頭に気をつけろ
頭は身体の重心のような働きをする。ボールの位置に透明な壁がせり上げって来たように考え、アドレスではその壁の数インチこちら側に頭を置く。ダウンスウィングでは、壁の方向に若干頭がスライドしてもよいが、壁を越えてはならない。それではクラブが急角度でボールに向かってしまうことになる」
(October 20, 2005)
'Putting for dough'
by John Federline ('Golf Illustrated,' September/ October, 2005)
これは素晴らしいtipです。そこら辺に転がっているありふれた材料で、振り子式パッティングのテンポが完璧に会得出来ます。重力がどうたらこうたらと考える必要もありません。馬鹿でも免許皆伝。
【材料】
1) タコ糸 70〜80 cm
2) 錘(おもり) 原文ではナットやワッシャーとなっています。しかし、金物はシャフトに当たって音がうるさいので、私はビニール・テープ一巻きに変更しました。余りにも軽いと揺れが納まるまでに時間がかかります。適当に重くないといけません。いい物を見繕って下さい。
先ず、タコ糸に錘を取り付けます。パッティングのアドレスをして、錘が足に当たらない長さに調節し、タコ糸の反対側を指に縛ります。どの指かと云うと、「グリップして最も下に位置する指」だそうですので、普通は右手の人差し指でしょう。私はレフトハンド・ロウですので左手です。いちいち糸を縛ったり解いたりは面倒なので、指が入るような輪っかを作っておきます。
この糸と錘を付けたまま素振りしてみます。振り子運動に慣れるのが先決。適当な振幅で始め、振幅を大きくしたり小さくしたりします。錘の方が常に大きい振幅になりますがそれは無視し、錘が戻り始めるのに合わせてフォワード・ストロークを開始することだけに集中します。かなりゆっくりなので最初はまごつくかも知れませんが、振り子のテンポに慣れるまで続けます。最後に錘を外し、同じテンポでボールを打ってみましょう。スムーズなストロークが出来るのに驚くでしょう。
筆者John Federline(ジョン・フェダーライン)は「一日数分、この練習をすれば3パットを根絶出来る。バッグに入れておいて、練習グリーンでも使うことをお勧めする」そうです。
(October 22, 2005)
「パットの距離とストローク時間」(tips_76.html)で次のような理論(というかツァー・プロたちのデータから導き出された結論)を紹介しました。「パッティング・ストロークには三つの要素が絡む。距離、テンポ、所要時間である。最初の二つは常に変わるが、所要時間は同一である。所要時間が同じである以上、テンポが変わらざるを得ない。4.6 mのパットのテンポは1 mのパットのテンポよりずっと速くストロークされなければならない」
「究極の振り子式パッティング」を試してみると、上の理論の正しさがよく理解出来ます。パターと錘(おもり)の振幅を大きくした場合、結構早いテンポでストロークしなければならない。小さい振幅ではかなりゆっくり振らなくてはならない。つまり、《パターの振幅に関わらずパッティングの所要時間は同一である》は正しいことが身体で判ります。
ロング・パットで振幅が大きいからとゆっくりストロークしたり、短いからと急いだストロークをするのは、どれも振り子式パッティングの原則から外れているということになります。
(October 26, 2005)
PGA Championshipの開催コースの一つで、ティー・ショットの着地点のフェアウェイ幅が僅か18ヤードしかなく、閉所恐怖症になりそうなホールが過去にあったそうです。私のホームコースのNo.12(318ヤード)Par 4は着地点の幅こそ広いのですが、ティー・グラウンド前方に両側から木の枝がせり出していて、隙間は20ヤード以下(15ヤードと云う人もいる)。真っ直ぐ打たないといけない点では全く同じです。
'Split the Fairway'
by Craig Harmon with Dave Allen ('Golf Magazine,' October 2003)
「・スウィングをブロックしないこと
頭を残すのはいいことだが、それはインパクトを迎える時までのことである。その後は体重が左足に移ると同時に、身体と一緒に頭もターゲット方向に動き、フィニッシュでは左足の上でターゲットを直視すべきである。【編者註:正しく体重移動がされず、スウィングがブロックされるとスライスになり易い】
【処方その1】アドレスの際、ターゲットを見つめる時間を僅かに増やす。これは頭を硬直させるのを防ぎ、打たれたボールを追うように動くことを助けてくれる。
【処方その2】先ずフィニッシュの姿勢を取る。体重は左足にかかり、胸はターゲットのやや左を向く。そのまま、クラブをバックさせてトップの形を作り、休まずにフィニッシュまで行くことを繰り返す。フィニッシュから始めることによって、その状態に戻るのだという前提を構築出来る。
・クラブの舵を取らないこと
ターゲット・ラインに沿ってクラブを後退・前進させようとするゴルファーが多い。これは前腕部の自然な回転を邪魔し、インパクトでフェースをオープンにし、弱々しいスライスを生じ易い。
【処方その1】クラブの軌道はアドレスでスクウェア、バックスウィングでインサイドへ、そしてインパクトでスクウェアに戻り、フォロー・スルーでまたインサイドへと動くのが正しい。ターゲット・ラインに平行な両足を結ぶ線を視覚化し、スウィングがその線を跨いで動くように努力する。
【処方その2】右手一本でクラブを握り、リラックスした状態でクラブを左右に振る。クラブが身体の周りを廻り、かなり左のインサイドでフィニッシュする点に注目。これが自然のスウィング弧である。これ以外のどんな動きも予想外の結果を生むことになる」
(October 24, 2005)
Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)の3x4(スリー・バイ・フォー)システム は有名ですが、実践している人は少ないのではないでしょうか。ウェッジを四本にすると、ウッドやアイアンの数本を縁切りにしなくてはなりません。辛いことです。しかし、「何もウェッジを四本にしなければならないというわけではない。二本のウェッジでも、このメソッドは実践出来る」というDave Pelzの言葉を見つけました。また、以前は気づかなかったこの3x4システムの正しい方法も判って来ました。
'Mickelson's Wedge Secrets'
by C.C. Reynolds ('Golf Illustrated,' Nov./ Dec., 2005)
この記事は「Dave PelzはPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)に3x4システムを導入すべきだと説得し、2005年のPhil MickelsonのPGA Championship優勝に貢献した」と伝えられている報道の真偽と、3x4システムがアマチュアにも有益かどうかを探るというものです。
先ず、Dave PelzはPhil Mickelsonを説得したわけではなく、単にPhil Mickelsonの寄せのデータ(クラブの種類、ショットの種類[フロップ、ピッチ、チップ、転がしなど]、結果[ピンにどれだけ寄ったか]など)を当人に見せただけだと主張しているそうです。「データを見ただけで、Philはよりよい結果を得るにはどうすべきか理解した」とDave Pelzは云っています。つまり、少ない本数のウェッジで正確な距離を打つ成功率は意外に少ないという事実がデータに如実に表われていて、Phil Mickelsonもそれを否定出来なかった。かくして彼は3x4システム導入に踏み切ったのだそうです。
・Dave Pelzのオリジナル3x4システム
ピッチング・ウェッジ(50°)
サンド・ウェッジ(55°)
ロブ・ウェッジ(60°)
エクストラ・ロブ・ウェッジ(64°)
・Phil Mickelsonの3x4システム
ピッチング・ウェッジ(47.5°)
ギャップ・ウェッジ(50°)
サンド・ウェッジ(55°)
ロブ・ウェッジ(60°)
Dave Pelzは「プロでさえ力加減で距離を打ち分けるのは至難の業。力加減ではなく、バックスウィングの大きさで打ち分ければ距離の調節はいとも簡単になる。ウェッジ一本につき、バックスウィングで伸ばされた左腕が時計の短針になぞらえると7:30、9:00、10:30を指すように三種類に打ち分ける。それら三種類のバックスウィングによる距離×四本のウェッジによって、合計12通りの距離が機械的に打ち分けられる」と主張します。
彼は正しい。私も勘によるバックスウィングの大きさとインパクトの力加減で寄せているのですが、距離の調節はうまくいったりいかなかったり、バラツキが多い。私は3x4システムを実行しているわけではなく、単にピッチング・ウェッジで100ヤード、ギャップ・ウェッジで90ヤード、サンド・ウェッジで80ヤード、ロブ・ウェッジで70ヤード以下という具合に打っているだけです。もちろん、それぞれを1/2インチ(1.25cm)短く持つ【参照:「続・中間クラブ対策」】ことで、95ヤード、85ヤード、75ヤードにも対応出来ます。しかし、これでは一本で二通りの距離を打ち分けるだけなので、3x4システムには敵いません。
「四本のウェッジを携行していなくても、このメソッドの恩恵に与ることは可能だ」とDave Pelz。「たった二本のウェッジでも、あなたが信頼出来る六通りの距離を打ち分けられるようになる。それによって今迄以上に頻繁にピン傍に寄る結果が得られ、あなたの能力に大きなインパクトを与えるだろう」
うーむ。3x4システムをもう一度勉強すべきだという気にさせられました。
【註】このシステムは約100ヤード〜30ヤードをカヴァーするもので、グリーン・エッジからの短いピッチング、チッピングなどとは異なるものです。
'Dave Pelz's Short Game Bible'
by Dave Pelz with James A. Frank (Broadway Books, 1999, $30.00)
Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)のこの本の「3x4(スリー・バイ・フォー)システム」の項を読み直しました。
自分の背後に時計の文字盤があり、伸ばした左腕を短針と想定します。クラブヘッドの位置ではなく、伸ばした左腕が指す位置である点に注意。充分コックするので、クラブヘッドはかなり上になります(図参照)。最大のトップは10:30ですが、Dave Pelzは「このトップは誰もがウェッジのフル・スウィングとして経験済みである」と云っています。ですから、新たに3x4システムで習得すべきなのは7:30と9:00の二つです。アドレスの位置を6:00として、9:00の左腕はそれに90°足した水平位置。10:30ではそれに45°足した位置(9:00と12:00の中間)。最小の7:30はアドレスと9:00の中間ということになります。9:00は誰にでも実行出来ますが、プロでさえ7:30は難しいそうです。あまりにも短いのでリズムを構築しにくいのが原因。しかし、鏡の前でボール無しでゆっくりスウィングする練習によって(この短いスウィングでは身体を捻転させない)、7:30も完全に身に付くそうです。
1999年に紹介した記事に抜けていた重要なポイントがいくつかありました。このシステムを実行する場合、
・スウィングの間じゅう左腕を伸ばしておくこと。
・手・腕だけの動きでなく、身体を捻転させること(7:30を除く)。
・トップに到達するまでにコックを完了させること。遅いコックは過度のコックとなり易く、距離が増加する。
・コックを終えたら、以後手と手首の動きを殺すこと。
・力を使わず(自分のリズムで)リズミカルにスウィングする。
・どのクラブでどの距離を打つ場合でも、リズムは常に一定でなくてはならない。
・上半身と下半身の動きを同期させること。
・バックスウィングの五割り増しの長さのフォロー・スルーをする。
3x4システムではコックはするもののバシッ!と打たないわけですから、当然距離は落ちます。Dave Pelzによれば、サンド・ウェッジで10:30のトップで打った場合、身体を捻転させてバシッ!と打った時より10ヤード短くなるそうです。
【練習法】
1) ピッチング・ウェッジで9:00のスウィングでボールを打つ。
2) キャリーの距離を測る。
3) ソリッドに10個から20個のボールが打てるまで続ける(多分25〜30回のショットが必要)。
4) この日の平均飛距離を出し、メモしておく。
5) 日をかえて数回同じことをし、最終的な平均飛距離を出す。
同じことを7:30と10:30でも行なう。他のウェッジでも同じことをし、平均飛距離を出す。仮にピッチング・ウェッジで7:30が50ヤード、9:00が75ヤード、10:30が100ヤードだとすると、シャフトに50-75-100と書いたシールを貼り、その上から透明テープを貼って保護する。これで距離さえ判ればクラブ選択に迷うことはなくなり、自信を持って打てるようになる。
3x4システムは四本のウェッジで12通りの距離を打ちわけます。これに「続・中間クラブ対策」の1/2インチ短く持つ手法を加えると、なんと18通りの距離がコントロール出来ることになります(理論上は)。1999年出版のこの本には以下のようなPelzモデル(例)が出ています。
・Pelzモデルの飛距離(ヤード)
XW LW SW PW 7:30 28 35 43 50 9:00 42 53 64 75 10:30 55 70 85 100
これにはギャップ・ウェッジはなく64°のエクストラ・ロブ・ウェッジ(XW)が入っています。Pelzモデルをよく研究してみると、私のギャップ・ウェッジ(52°)は90ヤードのフル・ショット(10:30)以外には何の役にも立たないことが判明しました。7:30や9:00のスウィングでは他のクラブと微妙な差しか出ない感じなのです(計算上だけですが)。それだったら、90ヤードはピッチング・ウェッジを1インチ短く持って打つことにし、64°のウェッジを導入する方が賢明だと思いました(短いチップにも使えるし)。Phil Mickelson(フィル・ミケルスン)は64°を持たず50°のギャップ・ウェッジに換えて3x4システムを実施しています。彼の場合、どういう飛距離の構成になるのか興味深いところです。今後のTV中継で彼の3x4システムに注目したいと思います。
結論ですが、仮にピッチング・ウェッジとサンド・ウェッジしか持っていない人でも、自信を持って六通り打てる距離が出来るわけです。難しい7:30を諦めたとしても、10:30と9:00の四通りの距離は確実に打てるようになります。ロブ・ウェッジを持っていれば六通り。これを身につけないテはありません。
(November 01-3, 2005)
以前、当市の「シニア・シティズン・センター」の催しの一つとして、ヴィデオでシニア・ゴルファーのスウィングを撮影して分析するサーヴィスをしたと書きました。その時に使用したその施設の裏庭をいつでも使ってよいということになったので、そこで3x4システムの練習をすることにしました。
コースは遠いし、練習ボールも高いし、自分が打ったボールがどの辺に集まったのか判りにくい。独立した庭ならボールの着地点まで歩いて行って、その密集地(平均飛距離)を知ることが出来ます。
Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)はピッチング・ウェッジによる9:00のトップの練習から始めることを推奨していますが、ピッチング・ウェッジは距離が長いので、最初はサンド・ウェッジの9:00から試しました。結果はほぼ以下の通り。
一日目 二日目 ピッチング・ウェッジ 9:00 80ヤード サンド・ウェッジ 9:00 60ヤード 65ヤード 60°ロブ・ウェッジ 9:00 50ヤード 55ヤード 64°ロブ・ウェッジ 9:00 40ヤード 43ヤード
一日目の9:00は綺麗に数字が揃いました。ところが、7:30は滅茶苦茶でした。サンド・ウェッジが35フィート、残り二つのウェッジは両方とも30ヤードなのです。プロでも7:30は難しいそうですが、素人には更に難しいことが分りました。微妙な位置なので毎回同じ高さのトップが作りにくく、バックスウィングが短いのでつい力加減で飛ばそうとしてしまうせいのようです。帰宅して鏡を見ながら7:30を練習してみると、私の場合、伸ばした左腕が右膝を隠す位置が丁度7:30であることが分りました。二日目は距離が伸びていますが、充分なコックを始めたからです。
7:30はさておき、9:00だけでも日によってこう距離が安定しないようでは実戦には使えません。果たして、距離が安定し数字が綺麗に揃う日は来るのでしょうか。
(November 05, 2005)
'For pure iron shots, lead with your hands'
by Dave Maga ('Golf Digest, November 2005)
「チョロやトップをしがちなゴルファーは、判で押したように手首で掬ってボールを上げようとしている。これはタイミングがかなりうまく合わない限り、クラブのリーディング・エッジでボールの後ろの地面を叩くか、上昇途中のクラブでボールに接触することになり、どちらにしても結果は無惨なものとなる。
ピュアなアイアン・ショットは下降気味に打たれ、クラブフェースでボールを地面に押し潰すべきものだ。この攻撃角度を身につけるには、5番アイアンを手に、クラブがボールに当たる前に両手がボール位置を越えるように打つことだ。スロー・モーションで感じをつかんでみるといい。この方法だとクラブヘッドは下降し続け、手首の動きを封じることが出来る。
こういう風に考えなさい:ダウンスウィングでは両手とクラブヘッドが競争をしていると。そして、両手は必ずクラブヘッドに勝たねばならないのだと」
あなたの両手がクラブヘッドに先行しているかどうかチェックする方法があります。
'Golf Annika's Way'
by Annika Sorenstam with editors of 'Golf Magazine' (Gotham Books, 2004, $30.00)
アイアンを二本選び、それらのヘッドが反対向きになるようにグリップ部分を合わせて持ちます。写真は一本目(赤線)と二本目(青線)を一緒に握っているところ。普通にアドレスし、スウィングします。もし、背中側のクラブが身体を叩けば、両手は先行していなくて掬い打ちしている証拠です。両手が先行していれば、後方のクラブは身体に接触しません。
(November 07, 2005)
「3x4システムは、グリーン・エッジからの短いピッチング、チッピングなどとは異なる」と書きました。では短いピッチングには3x4システムは応用出来ないのか?テストしてみました。7:30のバックスウィングだけ用い、クラブの長さで距離を調節します。
目標を20ヤードと30ヤードに設定し、60°ロブ・ウェッジで打ち分けてみました。私の場合、右手でシャフト部分を持つようにすると、7:30のバックスウィングで20ヤードになります。写真の三つの点はいずれも左手親指の位置を示していて、20ヤードの場合は赤点に左手親指の先を揃えます。緑点のように通常のグリップより1インチ短く持つと7:30で30ヤードという結果。「じゃあ、40ヤードは?」60°ロブ・ウェッジ一本で20-30-40とカヴァー出来れば最高です。フルスウィングの親指位置(矢印の先の鈎型の線)より1/2インチ長めの白点に左手親指をそえると、7:30のバックスウィングでなんとか40ヤードになりました。
1インチは約2.54cmですから、点と点の間隔は約5cm弱という感じ。
64°ロブ・ウェッジの場合は、赤点で10ヤード、緑点で20ヤード、白点で30ヤード…という具合になります。違うのはロフトによる軌道の高さ。ボールは高く上がって、着地してすぐ止まります。同じ距離でも上り勾配のグリーンには60°ロブ・ウェッジ、下り勾配の場合は64°ロブ・ウェッジという使い分けが出来ます。
留意点は「バックスウィングの五割り増しの長さのフォロー・スルーをする」ことです。7:30の場合は1:00〜2:00ぐらいのフィニッシュがいいようです。それとDave Pelz(デイヴ・ペルツ)が云う“デッド・ハンズ”です。手首の動きを殺すことによって、クラブ本来のロフトを活かさなくてはなりません。
この方式は7:30のバックスウィングだけで実行するので、非常にシンプル。25ヤードや35ヤードの調節もヴィジュアルに行なえます。二つの点の中間に左手親指の先を当て、同じように7:30のバックスウィングをすればいいだけです。飛距離を勘によって(バックスウィングの長短やインパクトの強弱によって)調節するのに較べ、非常に信頼性の高い結果が得られます。
【参照】中間クラブ対策
(November 09, 2005)
【警告】触ると感じるほどグリップに凹みをつけると、USGAルールのグリップの改造に当たるようで、公式競技では違反と見なされる恐れがあります。カラー・マーカーなど、グリップ表面を傷つけない方法を選んで下さい。
(January 02, 2006)
●'One Move'(ワン・ムーヴ)追補
'The Secret of Golf'
edited by George Peper (Workman Publishing, 2005, $18.95)
'The Secret of Golf'という本は古今の47冊の“名著”のエッセンスをまとめた「ゴルフの秘密大全集」ですが、この中に当サイトで既に紹介した'One Move'も含まれています。私は原本を持っているので、たった三頁に圧縮された紹介記事を読む気はしませんでした。しかし、ふと「どこをどういう風に圧縮したのか?」と気になり、読んでみることにしました。すると、私の紹介には大事なポイントが抜けていることに気づかされました。
'One Move to Better Golf'
by Carl Lohren with Larry Dennis (Golf Digest, Inc., 1975)
'One Move'(一つの動作)とは、この本のカヴァー(右上図)に示されているように左肩からバックスウィングを始動することです。私はこのカヴァーのカーヴした矢印を鵜呑みにして、「左肩から身体を回転させる」のが'One Move'だと早合点していました。
読者には申し訳ありませんが、違いました。この本のカヴァーのイラストはカーヴした矢印ではなく、直線の矢印であるべきだったのです。著者Carl Lohren(カール・ローレン)は次のように書いていました。
「左肩のスタートは、回転ではなくあなたの正面に向かって動くべきである。これが背骨を中心とした正しい身体の回転を生む。あなたが考える必要があるのは、このスタートの一点のみ。正面に向かってスタートさせたら、後は自然にスウィングするに任せればよい。
この正しい動きを学ぶ素晴らしい方法がある。友達に、あなたの左肩の2〜5cm前方に手を差し出して貰い、あなたはその友人の手に向かって左肩を送り出すのだ(右下図)。その動きによって、あなたの両肩は背骨を中心とした正しい回転を始める。
私が左肩と云う場合、それは肩のどこか一点ではない。左肩に属する広いエリアを指す」
実際にやってみました。左肩をすぐ回転させた場合と、上のように正面に突き出してから回転させる場合でどう違うのか?すぐ回転させると、スウェイ(背骨を傾斜させたバックスウィング)になりやすいことが分ります。Carl Lohrenはこれを防ぐことを第一と考えたのでしょう。'One Move'の正確な紹介を心掛ける以上、この一点を欠いてはいけないと思われますので、ここに追補する次第です。なお、過去の'One Move'の記事は上の趣旨を加えて改訂しました。
【参照】'One Move'
(November 11, 2005)
“練習グリーンの鬼”David(デイヴィッド、63歳)が、新しいパット練習器具を購入しました。'Putting Arc'(パッティング弧)というもので、何と私の住むミシシッピ州のあるゴルフ場のレッスン・プロのアイデアが商品化されたものだそうです。このレッスン・プロは「完璧なパッティングの軌跡は、上から見れば円弧である」と考え、ある発明家に相談。発明家は紀元前200年のギリシアの数学者アポロニウス(円錐曲線論で有名)の公式を応用して,右上の写真のような道具を設計しました。ミシシッピ州生まれの道具と馬鹿にしてはいけません。今や全米はおろか、ヨーロッパでも販売されていて、PGAツァー、ヨーロピアン・ツァーのプロも大勢愛用しているそうです。
この道具は"straight back, staight through"(真っ直ぐ引いて、真っ直ぐ押し出す)という、人口に膾炙したパッティング理論に真っ向から対立するものです。練習ではボールをスタンスの中央に置き、パターを'Putting Arc'に沿って滑らせながらストロークします。'Putting Arc'の緩やかな曲線(円弧)が、自然に両肩を廻すストロークを促します。結果的にその軌道は「インサイドに引き、(スタンス中央でスクウェアにボールと接触した後)インサイドに押し出す」という具合になります(下のアニメーション参照)。何度かパットに成功したら、パターを道具から数cm離して(滑らせないで)ストロークします。
確かに数10cmの短いパットを除き、「真っ直ぐ引いて、真っ直ぐ押し出す」のは不可能です。人間の胴体の幅が2mもあれば別でしょうが、どうしたって肩を廻すことになるのでストロークは円弧を描かざるを得ません。バックストロークでオープンになったように見えるパターフェースも、両肩との位置関係においてはスクウェアなままなので、インパクトではフェースもスクウェアに戻ります。
Davidが購入したのは'Putting Arc MSIII'( 耐久性プラスティック製、屋外・室内兼用、83cm、900g、$70.00)というもの。他に木製のデラックス版($90.00)、屋外専用のプラスティック製($40.00)もあります。私もずっと前にこの道具を買おうかと思ったことがありました。高いので類似品を作ろうかと考えたこともありました。
しかし、この道具は要らないのです。イソップの狐の台詞「あの葡萄は酸っぱいんだ」ではありませんよ。この道具無しで、自然に同じ円弧でストローク出来る方法を発見したのです。右図のイメージになるように、ゆるゆるのグリップ(特に手首)にします。手と手首に力を入れては絶対にいけません。左肩を右に廻すとパターは自然にパッティング・ラインのインサイドに引かれます。フェースはオープンに見えますが、心配御無用、そのままで大丈夫。フォワード・ストロークでは、90%左腕だけでストロークするつもりで左肩を引きます。手・手首で方向を制御しようとするのは厳禁。フェースはインパクトの瞬間にターゲットにスクウェアになり、その後は自然にパッティング・ラインのインサイドに引かれます。フォローでのフェースがかなりクローズ目に見えますが、これも心配要りません。ボールはもうとっくに離れているのですから。
手と手首が強ばっていると、つい「真っ直ぐ引いて、真っ直ぐ押し出す」を実行しそうになります。それはプッシュやプルの原因を作ります。ゆるゆるの手と手首でパターをぶら下げ、全てを左肩の動きに任せる。バックでオープン、フォローでクローズに見えるフェースになれば、それこそ'Putting Arc'で練習したのと同じ結果なのです。
【GIFアニメーションはhttp://www.theputtingarc.com/puttingarc/index.htmにリンクしています】
【参照】弧を描くパッティングについて理解を深めるには、以下の二つの記事を御覧下さい。
・「円弧でストロークせよ」
・「パットでも'One Move'」
(November 13, 2005)
'How to gauge the speed'
by editors of 'Golf Magazine'('Golf Magazine,' October 2005)
「ホームコースの練習グリーンで平らな部分を探し、爪先から爪先まで約30cmのスタンスを取って、ボールを左の爪先の先に置く。パターを右の親指の先まで引き、ストロークする。これを五回行い、ボールがどこまで転がるか見定める。
異なるコースへ行った時も同じことをする。もし、ホームコースで8フィート(2.4m)の転がりだったのに、そこで12フィート(3.7m)だとしたら、そこのグリーンは非常に早い。早いグリーンはブレイクが大きい」
(November 13, 2005)
木を避けるためにフェード(あるいはドロー)をかけたい、木の枝を避けて低いボールを打ちたい、木を越える高いショットを打ちたい、池を迂回するスライス(あるいはフック)を打ちたい…こうした“変化球”にトライする時、よく冒すミスの原因を考えてみました。
私の場合、ついスウィングが早くなります。充分に左肩を廻さないで手打ちになることも少なくありません。何故か?どれも素人にとっては結果が分らない恐ろしいショットであり(真っ直ぐ突き抜けたりする)、とてもゆったりと打つことなど出来ないからです。大体、こういう変化球(尋常でないショット)はティー・ショットのミスをリカヴァーして帳消し(無かったこと)にしたいという、厳しいライからの欲張ったショットであり、実行は大変難しい。その上、絶対に成功させなくてはならないという重圧もかかります。失敗が恐い。早く結果が見たい。そんなこんなでつい自分本来のテンポより早いスウィングをしてしまう。インパクトの瞬間を見てもいないで、ヘッドアップさえしているかも知れません。当然、結果は最悪。チョロやトップ。避けようとしたものは避けられず、ボールは狙った筈のグリーン以外のところへ一目散。
こういう変化球を打たねばばならなくなったら、先ず深呼吸が不可欠のようです。焦り逸る気持ちを抑える。ボールの軌道を視覚化し、「おれにも出来る」と自信を持つ。そして、無理にでもスローなバックスウィングをし、左肩を充分廻す。ダウンではクラブヘッドを加速することだけを考える。加速なしにはスピンがかからず、思ったような軌道が得られないからです。「早く結果が見たい!」とルックアップするとプッシュになり易い。頭を残すことも重要です。
以上は自戒のメモでした。
(November 15, 2005)
最近私のパッティングはまあまあ好調ですが、それはストロークもさることながら、アライメントに神経を使い出したせいでもあります。
アドレスしてターゲット(カップあるいは中間目標)に目を向け、写真の赤線のように頭の中で一本の直線を視覚化しながら、ゆっくり首をパターに戻します。この時、ターゲットとパターに描かれた線が一直線になっていればOKで、そのままパットします。
しかし、私の傾向としてパターが黄線のようにターゲットの左を指していることが多いのです。この場合、両足を結ぶ線をターゲット・ラインと平行になるように踏み替え、パターの角度を調整します。そして、もう一度カップに目を向け、線を視覚化しながら目をゆっくりパターに戻します。大抵はこれで正しく修正されるので、そのまま自信を持ってパットします。
Two Barパターの長い白線(約6.5cm)は上の作業に非常に役立ちますが、Odyssey Rossie IIの線(約5cm)でも同じ効果が得られます。線が描いてあるパターならどれでもいいわけです。
目線を二回往復させるのは結構時間的に長いと思われるかも知れませんが、二回(+足の踏み替えを)合計しても8秒程度です。
この方法を実行する場合、頭の廻し方が重要です。両目をターゲット・ラインに沿うように回転させなくてはなりません。傾げて回転させたのでは意味がありません。
(November 17, 2005)
クラブ修理業のWayne(ウェイン、67歳、ハンデ8相当)とTwo Person Scrambleのトーナメントに出場した時のことです。勾配のきついグリーンで、われわれのボールはサイドヒルのラインとなりました。私はカップの向こうに廻ってラインを読み、ブレイクの頂点を見極め、そこに長いティーを刺し、マークしてあるボールの線をそのティーに合わせようとしました。
Wayneが「駄目だ!それはルール違反だ!」と云って、ティーを抜き、私に突き返しました。「どうして?」と私。「グリーンではラインに触っちゃいけないんだ」とWayne。「狙いを決めたらティーを抜いてパットするつもりなんだよ?」と私。「それでも駄目!」とWayne。一緒に廻っている競争相手のチーム(二人組)がいるわけですから、そこで議論している場合ではありません。私は年長であり上級者でもあるWayneの顔を立て、勘でブレイキング・ポイントを推測し、そこにボールの線を合わせました。
私はラインにティーは刺したものの、手で芝目をテストしたわけではなく、ライの改善をしたわけでもありません。ルール8-2では、正しいアライメントを得るためにクラブを地面に横たえていいことになっています。もちろん、そのまま打てばペナルティですが、打つ前に横たえたクラブを取り除けばいいのです。パッティングのアライメントも同じではないかと思っていました。
私はWayneの意見だけでは満足出来なかったので、USGAの判断を仰ぎました。メールを出して一週間後、USGAから返事がありました。「グリーン以外ではルール8-2a & Decision 8-2a/1によりアライメントを確認するためクラブなどを置くことが許される(ただし、打つ前に撤去しないとペナルティ)。しかし、これはグリーンには適用されず、旗竿、クラブ、マーカーなどをラインの目印として置いた場合、それを打つ前に撤去したとしてもルール8-2b(A mark must not be placed anywhere to indicate a line for putting.)違反となり、マッチ・プレイではそのホールの負け、ストローク・プレイでは2打のペナルティとなる」とのこと。
Waynが指摘した「ラインに触っちゃいけない」という理由よりも(それも該当しますが)、ラインを示すために何か目印を使うのがいけないのでした。私としては気の利いた方法だと思っていたのですが、とんでもない間違いでした。いい勉強になりました。
(November 17, 2005)
Paul Runyan(ポール・ラニャン、1908〜2002)は"Little Poison"(小さな毒薬)と綽名された人。身長174cm、体重57kgとアメリカ人にしては小柄なせいで飛距離は短く、平均231ヤード(当時Ben Hoganが平均270ヤード、Byron Nelsonが平均260ヤード)だったのですが、そのショートゲームは抜群でした。特にパットは超一流。彼が余りにもぽんぽんパットを成功させるので、やっかんだ他のプロたちが「カップを大きくしろ」と運動し、一時PGAツァーはカップの寸法を広げたことがあったそうです。しかし、下手なプロは相変わらずパットをミスし、Paul Runyanは以前に増して易々とパットを放り込む結果となり、カップの大きさはまた元通りになりましたとさ。
'The Short Way to Lower Scoring'
by Paul Runyan with Dick Aultman (Golf Digest/Tennis, Inc., 1979, $9.95)
以下は「短いパットは打って止めよ」の項で紹介した部分ですが、重要な前提ですので再掲します。
「パッティングおよびチッピングで私が提唱するグリップとアドレスは、手首を固くしたストロークを生み出すためのものだ。ショートゲームのこれらの分野では、手首の動きが有益に働くことは皆無である。手首の動きはクラブが正しい軌道で、かつ正しい速度でボールとコンタクトする可能性を減少させるだけだ。
手首を曲げ伸ばしする動きは、ストロークに【振り子運動以外の余計な】スピード(=強いヒット)を生み出してしまう要素を加えるが、それはショートゲームには不要のものである。その要素は距離のコントロールを困難にする」
ここからが本題。【写真は別項の記事のリサイクルです。赤線は無視して下さい】
Paul Runyanは、長いクラブを打つ時のクラブヘッドが後方にインサイドに引かれ、スクウェアに戻って来て、再びインサイドに戻る動きをパッティングでも模倣するのが自然だと主張します。もちろん、パッティングにおけるクラブヘッドのインサイドへの動きは、フルショットとは較べものにならないほど僅かな度合い。「短いパットではほぼパッティング・ラインと同じであり、長いパットでだけ距離に応じて1〜2インチ(約2.5〜5cm)インサイドに引かれる」
「長いパットでストレートにパターを引こうとするのは腕と手に不自然な動きを強制する。ストロークの間中パター・フェースをターゲットにスクウェアに保とうとするのも、バック・ストロークで腕と手に異常な反時計方向への動きを強制する。
自然で論理的な結論は、ストロークの間中パター・フェースを軌道(ラインではない)にスクウェアにすることだ。軌道はバック・ストロークでインサイドに向かい、パター・フェースはラインの右を向く。フォワード・ストロークではパターはインサイドからラインに沿って戻って来てスクウェアとなる。
両方の掌を上に向け、互いに45°を形成するように揃え、そのままパターを握る。
パターの端を約2cm余して握る。
真横から見た場合、前腕部とパター・シャフトは一直線になる。
真正面から見た場合、左右の前腕部は90°を形成する。この角度はアドレス時のポスチャーを規定する。90°以下なら余りにもアップライトであり、90°以上ならフラット過ぎる。
ラインに平行に立ち、スタンスは肩幅より狭め。ボール位置は左足親指の前。体重は真ん中。
両目はラインの真上で、ボールのすぐ後ろに置く。
グリップ・プレッシャーは両方の手に均等に、しっかり握る。
以上の全てを満足させた時、あなたは固い手首によるパッティングが可能になっている筈だ。それは手や手首の勝手な動きを封じ、両腕による歯切れのいいコンパクトなストロークを生み出すものだ」
Paul Runyanは手首を固くせよと云いますが、私はパターヘッドの重みを活かすべく手首を柔らかくし、全てを肩の動きに任せます。方法は正反対ですが、趣旨はどちらも《手首を殺す》ことにあります。手首は人間の身体の中で最も自由に動く関節です。ゴルファーがバックストロークで「あ、一寸左を狙った方がよかったかな?」と考えると、手首は即座に左を向きます。脳と手首の筋肉のコミュニケーションも密なのです。しかし、バックストロークを始めてからの方針変更は避けなくてはなりません。決断した通りのパッティングを遂行すべきです。そういう意味では、脳と手首の筋肉とのコミュニケーションを遮断すべきなのです。柔らかい手首か固いかはお好みですが、何をおいても手首の自由を奪うことが重要です。
【参考】「目の位置とパットの球筋」、「Paul Runyanのパッティング戦略」
(November 21, 2005)
理想的なパッティングはボールの赤道付近を地面と平行に打ち、ストロークした直後からトップスピンの回転を生むことです。ダウンブローに打つと、ボールは一旦芝にめり込み、弾み出てから転がりを始めます。掬うような打ち方もボールを上に弾ませるので、方向の制御が困難になります。20フィート(6m)以下のパットでは、手首の動きを封じるのが正しいパッティングです。
以下は中堅インストラクターTodd Sones(トッド・ソーンズ)による練習法。
'Groove your stroke to a tee'
by Todd Sones ('Golf Magazine,' December 2005)
「パター・グリップ先端の穴にティーを刺す(ティーが入らなければ竹串等)。アドレスでは左右の前腕部がティーから等距離になければならない。
素振りをしながら、左右の前腕部が常にティーと等距離にあることを確認する。もし、ティーがどちらか一方の腕に近づいていたら、あなたの手首は折れている証拠である」
私のグリップは一体ではない「レフトハンド・ロウのスプリット・ハンズ」なので、最初からティーは右手に近くなっています。要は、アドレスした時のティーから左右の腕への距離が、終始変化しなければいいわけです。
(November 21, 2005、増補June 02, 2015)
Peter Kostis(ピーター・コスティス)はPGAツァーを経てインストラクターとなり、現在はCBS-TVのゴルフ中継で主にスウィングの分析・解説を担当しています。
'How to find the hot spot'
by Peter Kostis ('Golf Magazine,' November 2005)
「多分あなたも《スウィート・スポットはフェースの真ん中からもっと上に移動した》という話を聞いている筈だ。この21世紀版スウィート・スポットの名はhot spot(ホット・スポット)と云う。【編註:大体において写真の1の位置】
世界一流のプロたちが、かつてないほど遠くにボールを飛ばしているのは何故か?その秘密は明白である。クラブフェースの上部でボールを打っているからだ。それは高い発射角度とボールの低スピン率に繋がり、おまけの飛距離をもたらす。
どのメーカーのドライヴァーであれ、ホット・スポットはクラブフェースの真ん中より上に位置する。ただし、その位置はドライヴァー個々によって若干異なる。自分のドライヴァーのホット・スポットを見つけるには次のようにする。ボールに太めのフェルト・ペン(マジックではない)で小指の先ぐらいの丸を描き、中を塗りつぶす。その丸がクラブフェースに向くようにティーアップしてスウィングする。フェースに丸が残る。これを何度か繰り返す。あなたが「これだ!」と納得出来るいい当りをした時、ドライヴァーに残ったその丸の位置がホット・スポットである。
ティーを高くすればボールを高く上げられるが、3インチ(7.6cm)もの高さのティーは実際にはクラブフェースの下部でボールと接触させる。それを打破する練習法は次のようなものだ。ボールの天辺がクラブフェースの天辺と同じ高さになるようにティー・アップする。最初はダフったりトップしたりするかも知れない。しかし、数回の試みの後、クラブヘッドのインパクト前後での水平移動に慣れる筈だ。ラウンドの最中は、クラブヘッドの天辺からボールの1/4が頭を出すようにティーアップする。これがボールの中心をホット・スポットに揃える方法である。
いったん水平なスウィングを身につけると、ホット・スポットで打つことはターゲット方向への体重移動と同時に実現される。これを練習するには、バックスウィングで左足を浮かせて右足に引きつけるように立ち、野球の“一本足打法”のようにダウンスウィングで左足を着地させる。この練習はホット・スポット打法の大敵であるインパクトで右足に体重を残すミスを防いでくれる」
【参照】「ティーアップの研究」(tips_193.html)
(November 23, 2005、増補August 25, 2018)
'The "U" vs. The "V"'
by Tom F. Stickney II ('Golf Illustrated,' Jan./ Feb., 2005)
「もしあなたがバンカーでトップしやすく、マッハ1の速度でグリーンをオーヴァーすることが多いとすれば、『アタック角度』について無知な他の何億人かのゴルファー同様、それがバンカー脱出の際のボールの軌道とどう関係するかも知らない筈だ。
大抵のショットはUの字であり、クラブは緩やかな角度で上がり、緩やかに下降する。しかし、バンカーから近くのピンにソフトなショットをしようとすると、先ず砂をヒットしなければならない。そのためにはスウィングはVの字に変更しなければならないのだ。手首の急速なコックと急角度のアタック角度によって、ボールの後ろの砂をヒット出来る。あなたに残された仕事はクラブを動かし続け、前方へのスウィングを中断しないことである。
短いショットにはVがベスト。長いバンカー・ショットには(砂をヒット出来る手首の動きさえあれば)Uスウィングもあり得る。両方を実験してみられたい」
(November 27, 2005)
'Conquer wet sand'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' December 2005)
「湿って固くなったグリーンサイド・バンカーの処理法。
・乾いたさらさらの砂に較べ、クラブを砂に潜らせボールを高く上げるのは難しい。サンド・ウェッジだとクラブヘッドは砂の表面を横滑りしてボールを直接叩いてしまう。そこで、ロフトの多い60°ウェッジを使う。その薄いソール(少ないバウンス)によって砂の表面の層の下にクラブを潜らせることが可能になる。
・クラブを短く持ち、アップライトで急角度のスウィングをする。
・このショットでは手と腕だけでスウィングしているように感じること。下半身を使い過ぎると、スウィング軌道がフラットになり、ボールに向かって打ち下ろすことが出来なくなる【砂を多く取り過ぎてしまう】。
・湿った砂は抵抗が少ないためホームランになり易い。それを防ぐため、通常のバンカー・ショットより1インチ(約2.5cm)増やしてボールの3インチ(約7.6cm)後方にクラブヘッドを入れる。
・クラブフェースをオープンに保ったままフォローまで振り抜く。左肩によってやや鋭い"U"の字を書くイメージでスウィングする」
(November 27, 2005)
ショート・アイアンのショットがグリーンに着地しすぐ停まるショットは、プロにしか打てないのでしょうか?どうも、そうではなさそうです。
'The short iron that stops on a dime'
by Eric Alpenfels ('Golf Magazine', November 2005)
「ボールの下を掬い打ちしたのでは、クラブフェースのグルーヴ(溝)によるスピンが生じない。ボールそのものを打ってスピンを増やすには次のような練習をする。
ティーを芝の上にやっと頭が出る程度に刺し、ボールをセットする。ターゲット方向6インチ(15cm)の位置にもう一個ティーを刺す。これは半分ほど地表に出す。8番アイアンでボールを打ち、一挙動で前方のティーも同時に弾き飛ばす。
これを実行するには両手を伸ばさなくてはならず、掬い打ちは不可能である。この方法で五個のボールを打ち、次いで普通に打って、どれだけ早くボールが停止するか見てみるとよい」
6インチ(15cm)というと、私の場合親指と人差し指を一杯に広げた長さです。「スウィング弧の底辺を、そんな長く引っ張れるものだろうか?」と不安でしたが、やってみるとそう難しいことではありません。前方のティーは100%弾き飛ばせました。しかし、それでボールがすぐ停まるショットになるかどうかはまだ未知数です:-)。
(November 29, 2005)
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