2005年7月下旬までのPGAツァー公式記録で、1ホールの平均パット数1.691という最少パッティング記録保持者Ben Crane(ベン・クレイン)のパッティング・メソッドが公開されました。時間をかけるところは真似しないで、いいところだけ真似しましょう:-)。
'Putt & chip like the pros' 「Ben Craneの18ホール平均パット数は27.93だ。彼のように数多くパットを成功させるには、確固とした基礎が必要である。 Ben Craneは伝統的なリヴァース・オーヴァラップ・グリップだが、いくつか注目すべき個所がある。 Ben Craneは両肩をターゲットラインに揃え、上半身は腰から折って、両目がボールの真上に来るようにアドレスする。両目がライン上にあり、なおかつパターが両目の真下にあることは非常に重要だ。なぜなら、視覚が筋肉の動きを決定する要因だからだ。言葉を換えれば、人間は見た通りにパットするのであり、見たままが知覚作用に影響するのだ。両目がターゲットラインの外に位置していれば、カップが実際よりも左にあるように見えるし、両目がターゲットラインの内側なら、狙いを右に間違える。【参照:「目の位置とパットの球筋」】 |
Ben Craneは両方の曲げた肘を揺するようにストロークする。左肘の角度は終始変わらないが、インパクト直前、右の肘が気持ち伸びる。その動きがインパクト後もフェースをターゲットに向いた状態を持続させる。フォローでクラブヘッドは持ち上げられるが、その時もパターのグリップエンドはアドレスした時のままベルト・バックルに向いている。これがいいストロークのポイントである。このメソッドはボールにオーヴァー・スピンを与え、ラインから逸らさないで転がすことを可能にする」
(August 04, 2005、改訂June 02, 2015)
私のゴル友David(デイヴィッド)は、練習グリーンとその周辺での練習魔です。勤務先が基地の管制塔なので、同じ敷地内のゴルフ場へ昼休みと勤務が終わってからやって来て、ほぼ毎日練習しています。彼の練習法を教わりました。
カップを一つ選び、そこから七歩のところにティーを立てる。カップの反対側の七歩のところにも、もう一つティーを立てる。
一つのティーの辺りに三個のボールを置き、カップめがけてパットする。カップに入るかオーヴァーするように打つ。【重要:一個でもショートしたら全部やり直し】ギミー・レインジ(パター・ヘッドをカップに入れ、ボールがシャフトの部分であればOKされる。グリップ部分だと不可)でないボールを沈める。失敗したら全部やり直し。ここまでを成功したら、ポイントは三点。
第一段階を乗り越えたら、反対側のティーから同じことを繰り返す。これにも成功したら合計六点。
最初のティーに戻って同じことを繰り返す。成功したら合計九点。第四段階を1パットで成功すれば十点満点。
Davidの場合、うまく行けば30分で第四段階を卒業出来るそうです。
(August 06, 2005)
ショートゲーム専門インストラクターDave Pelz(デイヴ・ペルツ)の助言。
'Dave Pelz's Putting Bible' 「あなたがラウンドにつき一回以上の3パットをしているなら、それは問題だ。3パットしたら、それが(a)上("above")にミスしたのか、(b)下("below")かを記録しておいて傾向を探るとよい。 また、10ラウンドにおける3パットの平均回数を計算してみる。ツァー・プロは4ラウンドに一回3パットするかどうかであり、一年に平均5〜10回しか3パットしない。それも彼らは毎週72ホール、非常に難しいグリーンでプレイしていての結果である。彼らはハードに練習し、スウィートスポットでストロークするように努力している。彼らに出来て、あなたに出来ないということはない」 私にはプロのようにロングパットを華麗に決めたいという願望がありました。何度かまぐれでそういう体験をし、その快感が忘れられなくなったのです。おまけに1パット減るのですからウハウハです。で、絨緞の上でも精一杯長いパット、練習グリーンでもかなり長いパットを狙う練習ばかりしていました。これは間違いでした。3パットが激増したのです。 3パットになる原因は次のようなものでしょう。 |
(1)は拙い技術や時の運(悪いキックなど)ということもあるので、まあ仕方がありません。(2)はロングパットを入れようとして、距離感よりも方向にばかり気を取られた時に起こりやすい。(3)は(2)の副産物であることが多い。楽な2パット目を残さなかった1パット目に責任があるのです。しかし、「盛大にショート」と云っても残るのは普通2m前後です。この2m前後のパットの90%を成功させることが出来るならば、ロングパットに挑むことも許されるでしょう。つまり、2mを確実に入れる能力がロングパット挑戦の前提となると思われます。しかし、私のようにその距離の成功率が不確実なのであれば、30cm程度カップに寄せる(刻む)パッティングで我慢するしかありません。
現在、私は2m前後のパッティングの練習に精出しています。これに自信がつけば、安心してロングパットが狙えるでしょう。ロングパットに成功しないまでも3パットは回避出来るという、いい副産物がついて来ることを期待しています。
(August 08, 2005、改訂June 02, 2015)
【編者独白】もし私が日本に住んでいて、日本人のゴルフ仲間と競っている状況だったら、この項は公開しないで自分の胸だけに仕舞っておいたでしょう。
昔は右脇にハンケチなどを挟んでフライング・エルボウを防止したものでした。それもJack Nicklausの活躍でいつしか廃れました。この「左脇を締め挙げろ」はスウィングの敵チキンウィングを撲滅し(=正確度と飛距離が増す)スウィングの基本に通じる非常に画期的なtipです。
'The Secret of Golf'
edited by George Peper (Workman Publishing, 2005, $18.95)
この本は古今の名著・快著・怪著から47冊を選りすぐったものです。しかし読み進むと、何故か二冊だけまだ未刊行の本まで含まれていました。出版以前の書物を入れるという編集方針に疑問はありますが、少なくとも二冊のうち一冊には有益なtipが書かれていました。その本のタイトルは'The Pinch: The Historically Overlooked Magic Move That Will Change Your Game' by Michael Witteというもの。"pinch"というのは「摘む、挟む」という言葉。ここでは「締める」という訳が相応しいようです。
著者Michael Witte(マイケル・ウィット)は'The New Yorker'や'Time'などに寄稿している有名なカートニスト(一齣漫画家)。彼は少年野球のコーチを担当していた関係で、Mark McGwire(マーク・マグワイア)などさまざまなホームランバッターのヒッティングを研究しました。そして、一流打者の隠れた共通点を発見し、なんとKansas City Royals(ロイヤルズ)とSt. Louis Cardinals(カーディナルズ)の打撃コンルタントに請われるまでになってしまいました。そしてその秘訣はゴルフにも通用するのです。
「これまでのゴルフ理論は誤った前提の上に築かれて来た。それは両方の腕が同じスピードでボールに向かって動くと思われていたことだ。
上手いゴルファーはインパクト前の最後の最後までコックを解(ほど)かない。右手首は折られたままインパクト・ゾーンに入って来る。この場合、右手首は見事にインパクトで伸び切り、自然に右腕は左腕の上に覆いかぶさりながらフォロースルーへと進む。並のゴルファーは早めに右手首のコックを解いてしまう。すると左腕だけが余りにも早くインパクト・ゾーンに突入してしまうことになり、右腕が追いつけず伸び切れない。そこで並のゴルファーが本能的にやるのは左腕の動きをストップさせ右腕の到着を待つということだ。どうやって?左肘を折って左腕の進行を遅らす。これがチキンウィングの正体である。
クラブ無しで手と腕だけでスウィング動作をしてみられたい。アドレスし、左腕だけをターゲット方向に真っ直ぐ伸ばす。これがパワーを解き放った時のポジションである。次に、右腕を同じ方向に精一杯伸ばしてみる。ゴルファーの左腕が奇妙なほど短いか、右腕が奇妙なほど長くない限り、右腕は左前腕部の半ばぐらいまでしか届かない。つまり、右腕が左腕に追いつくには左腕を“短くする”必要があるのだ。ただし、チキンウィングという解決策ではなく、別な方法で…」
左腕をストップさせるチキンウィングがヘッドスピードを落とすことは明らかです。では、どうやってチキンウィングを回避し、両腕が共に伸び切ったインパクトを迎えことが出来るか?ここからが、この項の“秘密”の核心になるわけです。
「ダウンスウィングで両腕が右腰の上に近づく頃、左脇を締める("pinch"する)。インパクト直前に左肩を挙げ(写真の赤矢印)、インパクト後すぐさま飛行線後方に引く(写真の青矢印)。左腕は右腕がかぶされるだけ“短く”なり、両腕は伸び切る。伸ばすことが左腕を引っ込ませるという逆説的な動きである。
高速で走っている車がレンガ塀に激突すれば、ベルトを締めていない運転者はカタパルトで発射されたかのようにフロント・ガラスをぶち破って飛び出すだろう。チャンピオンシップ・ゴルフにおいては、左腕がレンガ塀である。左脇を締め挙げると、車の運転者を弾き飛ばしたような前方への勢いがボールを弾き飛ばす」
これ、実は当サイトに読者の志茂(しも)さんがお寄せ下さった「義父の秘伝」の「インパクトで胸を張れ」にそっくりなんですね。アメリカの漫画家はたった一つの発見で本を出版し、志茂さんのお義父(とう)さんは自作のtipをいくつもお持ちなのに、聞かれなければ口にしない寡黙なタイプ。大きな違いです。
二つのtipsの違いは「左脇を締め挙げる」か「胸を張る」かの違いです。胸を張れば自然に左脇も締まる感じがします。とすれば、身贔屓もあって「義父の秘伝」の勝ち!と云いたいところです。本の場合はチキンウィングの成立過程を解明したという功績が大きいので、まあ引き分けにしておきましょうか。
「インパクトを予習する」に出て来た"Impact Fix"も左脇を締める予行演習になります。以上の三つのtipsが同じ効果を果たすというのは偶然ではなく、問題への解が三通りあったということでしょう。
これを実行した最初のラウンドでハーフを2オーヴァーで廻れました(9/2)。二回目の本日のラウンドではNo. 2(Par 5)で二打目にいつも3番ウッドを持つところを24°のハイブリッド、No. 11(Par 5)でも二打目に通常3番ウッドを持つところを21°のハイブリッドで2オン可能でした(こぼれてしまいましたが)。ショートアイアンまで飛び過ぎて困りました。私のゴル友Mike Reekie(マイク・リーキィ)は私を常に1〜2クラブ分アウト・ドライヴしますが、彼も学生時代野球選手でプロ入りを考えたこともあったそうです。多分、彼も「左脇を締め挙げる」方式で飛ばしているのではないかと想像します。次回、私が彼の飛距離に肉薄したら、どんな顔をするか楽しみです。
【後日談】その後、私は前述のゴル友の飛距離にかなり近く飛ばせるようになりました。彼は私の飛距離が伸びたとは思わず、自分が飛ばなくなったのだと勘違いして焦っていました(笑)。
【参照】「義父の秘伝」、「インパクトを予習する」
【参考】'The Swing Reaction System'(生体力学的鍛錬ヴィデオ)にもこの動きを取り入れてみました。
(September 05, 2005、増補April 19, 2015)
このtipの原本を読んだ時は「何を云ってるんだ」と呆れました。当サイトの記事のいくつかで,私は「バックストローク1:フォワード・ストローク2」とか、さらには「1:3」を推奨し、自分でもその通りやって来ました。ショート病を防ぐため加速させて「フォローは長いほど良い」と思っていました。短いフォローは振り子式パッティングではなく、手首でパチンと弾く昔風のパッティングのものだと思い込んでいました。インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)の以下の記事は、その思い込みを真っ向から粉砕するものです。先ず、御一読願いましょう。
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
「パッティングではシーソーのようにバック・ストロークで左肩が若干下がり、フォワード・ストロークで若干上がる。インパクト・ゾーンで地面に平行になる部分を作り出すことは、(フォローを過剰に行なわない前提なら)とても重要なことだ。パターが上昇気味にボールの上部を捉えるのも結構。フォワード・ストロークでの肩の上がり具合がやり過ぎにならないように注意。
短くゆっくりのバック・ストロークと長いフォワード・ストロークは、普通共存出来ない。しかし、多くのゴルファーが短いバック・ストロークと長いフォワード・ストロークを体得しようと努力している。それはインパクト後の減速とお粗末な距離コントロールに繋がるだけなのに。
相当長いパットか、凄く重いグリーンでない限り、長いフォロースルーはロング・パットにこそ相応しいものだ。短いパットに長いフォローはそぐわない。そんなことを試みるとパターをゆっくり動かさなくてはならず、結果的にパッティングの最大の敵である“減速”をもたらしてしまう。
信じようと信じまいと、短いフィニッシュはゴルファーに加速を促す。私がコーチを頼まれているBrad Faxon(ブラッド・ファクソン)とLen Mattiace(レン・マティース)は、どちらも"hit-and-hold"《打って止める》式の特色あるパッティングをする。Len Mattiaceの場合は、バック・ストロークとフォワード・ストロークを同じ巾にしようと努めている。
次回、PGAツァー・プロのパッティングを見てみなさい。彼らのストロークを注意深く観察しなさい。短いパットでは、打ってからフォローを長く流すように出すプロなど見る筈がないと断言出来る」
私はこれを読んで「うっそーっ!」と思いました。しかし、たまたまですが、これを読んだ翌週のPGAツァーのトップ争いに件のBrad Faxonが絡み、プレイオフを制する2.5mぐらいのパットにBrad Faxonは正真正銘《打って止める》式パッティングをして成功させ、優勝してしまったのです。上の記事通り全くそのまま。
私はぐらつき、ぐらつきながらも先ず絨緞の上で試しました。短いフォローでも大丈夫、いけます。しかし、何となく正調の振り子式でないという後ろめたさを感じました。その逡巡を吹き飛ばす、もう一つの文献がありました。
'The Short Way to Lower Scoring'
by Paul Runyan with Dick Aultman (Golf Digest/Tennis, Inc., 1979, $9.95)
Paul Runyan(ポール・ラニャン、1908〜2002)はPGAツァーで29回優勝し(そのうち二つはPGA Championship)、賞金王の座につくこと二回という戦歴ですが、いずれも彼の達人級のショートゲームがあったればこそでした。その彼のグリップに関する見解。
「パッティングおよびチッピングで私が提唱するグリップとアドレスは、手首を固くしたストロークを生み出すためのものだ。ショートゲームのこれらの分野では、手首の動きが有益に働くことは皆無である。手首の動きはクラブが正しい軌道で、かつ正しい速度でボールとコンタクトする可能性を減少させるだけだ。
手首を曲げ伸ばしする動きは、ストロークに【振り子運動以外の余計な】スピード(=強いヒット)を生み出してしまう要素を加えるが、それはショートゲームには不要のものである。その要素は距離のコントロールを困難にする」
Paul Runyanは「手首の動きは飛距離を必要とする長いクラブには必要だが、ショートゲームでは手首を殺せ」と云っているわけです。確かに手首は自由に動き過ぎて距離や方向のコントロールが難しくなるので、短いパットではこれを殺す方がいいという論理は正しいと思います。私は自問しました。「自分の振り子式パッティングは手首を殺していただろうか?」否です。特に長いフォローにおいて、手首を曲げていました。
Jim McLeanの《打って止める》方式を、手首を殺して試してみました。おおっ、何やらプロ風! で、これは確かに正確度を増します。転がりもいい。私は宗旨替えし、(ロング・パットでない限り)手首を殺したフォローの短いパッティングをすることにしました。この方式によるパッティングが、過日ハーフを2オーヴァーで廻れたきっかけの一つでした。
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(September 09, 2005)
Greg Norman(グレッグ・ノーマン)のパッティングtip。
'Instant Lessons'
by Greg Norman with George Peper (Simon & Schuster, 1994, $15.00)
「練習ストロークの後、多くのゴルファーが(プロでさえも)パターのグリップを緩めてしまう。そして本番のために再度グリップする。これは間違いだ。
練習ストロークを、パターを揺らす以上のものに昇格させるのが鍵である。練習ストロークは、実際のストロークと同じ距離、同じ強さを用いて、本番同様に行うドレス・リハーサルであるべきだ。そのままグリップを保持して本番に移行する。先ほどの両手の感覚はまだ失われていない」
(September 11, 2005、増補June 02, 2015)
Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のスウィング・コンサルタントHank Haney(ハンク・ヘイニィ)のtip。イギリスではパットの強さを"pace" と云い、アメリカでは同じことを"speed" と云います【上の項参照】。
'Fix your game in a weekend'
by Hank Haney with Matthew Rudy ('Golf Digest,' October 2005)
「ツァー・プロが素晴らしいラウンドをした後、『ラインの読みが良かったからだ』などと云うのを聞いたことがない。常に『スピードが良かったからだ』と、彼らは云う。彼らに倣ってスピードのコントロールに集中すべきだ。
カップに寄せるパッティングを練習しながらも、インパクトにかけて加速すること。もし読みが狂っていたとしても、いいスピードのパッティングは短いセカンド・パットを残してくれる。3パットを減らすことはスコアを縮める近道である」
(September 14, 2005)
私のパッティングは現在悪くありません。しかし、一つ気になっていたことがあります。自分のアドレスがターゲット・ラインに対し、かなりオープンのような気がしていたのです。
物差しだの金属製巻き尺だのを総動員して、ターゲット・ラインと両足のラインの関係をチェックしてみました。何と、オープンではなくクローズでした!人間の目っていい加減なもんですね。自分の感覚では図Aのように思えたのに、実際は図Bなのです。ま、今のままでパッティングに問題はないので、敢えてスクウェアにしようなどとは考えていません。これまでクローズのアドレスを推奨した人物は(私の知る限り)一人しかいません。南アのパット名人Bobby Locke(ボビィ・ロック、1917〜1987)で、彼は右足をターゲット・ラインから3インチ(約7.6 cm)引くことを勧めました。これはボールをカット目にストロークするのを防ぐためでした。Paul Runyan(ポール・ラニャン)もDave Pelz(デイヴ・ペルツ)もTodd Sones(トッド・ソーンズ)も、皆スクウェアなアドレスを推奨しています。
ついでに鏡でポスチャーをチェックしてみました。両目はボールの真上のつもりだったのに、ターゲット・ラインの内側でした。また、Harvey Penick(ハーヴィー・ピーニック)の「両腕+パターは両腿と平行であるべきだ」という理論に反し、屈み込み過ぎて平行になっていませんでした。「入れよう!」と思うと、ついボールに近く屈んだ姿勢になっちゃうんですね。
【参考】「パターと太腿の関係」
(September 18, 2005)
インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)によるパッティング練習法。
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
「ストロークが長くなるに従い、パターヘッドはバック・ストロークでターゲットラインの内側に向かい、クラブフェースは一見オープンのようになる。フォワード・ストロークではパターはターゲットラインに戻って来て、フェースはクローズになったように見える。フォロー・スルーではパターはまたラインの内側に戻る。これはフル・スウィングと同じように自然な動きである。ロング・パットでは無理に真っ直ぐ引き、真っ直ぐ送り出すことを試みるべきではない。
パッティングでは常にスピード(=強さ)が大切だが、ロング・パットでは特に重要だ。丸めた紙を異なる距離に置かれたゴミ箱に投げるように、パッティングでもフィーリングが必要。それは練習で培うほかない。
John Daly(ジョン・デイリィ)のパッティング練習を見たことがある。彼は左腕一本でパターをコントロールするのが好きと見えて、右手をポケットに突っ込み、10〜20フィート(3〜6m)の距離を30分以上練習していた。
Seve Ballesteros(セヴェ・バレステロス)や他のツァー・プロが右腕一本で練習しているのも見たことがある。どちらかと云えば、右利きのゴルファーにはこの右腕主導方式の方が自然だと思う。日常生活の動作のことごとくを右手・右腕で行なっているわけだから、自ずとタッチとフィーリングが右手・右腕に備わっている。30〜40フィート(9〜12m)のロング・パットの練習を15分以上一週間ぶっ通しで行なえば、流麗なストロークを構築出来、同時に距離のコントロールにも上達すること請け合いである」
やってみました。先ず、John Daly方式の左腕一本で10mぐらいに挑戦。かなりぎごちない動きです。距離もコントロール出来ません。次に右腕一本で。これだとかなりカップに寄ります。で、両腕を使ってやってみると、あら不思議、左腕が邪魔してまた距離がいい加減になります。
推測ですが、私のようにレフトハンド・ローの場合、左手・左腕は方向の制御を任されるのに慣れているので、ロング・パットでも方向をコントロールしに出しゃばるのではないでしょうか?それがブレーキとなって距離まで台無しになる感じです。試みに、ロング・パットでは左手をホンの形だけパターに添えるようにしてみると、右手一本の時の距離感が戻りました。《ロング・パットは(ほぼ)右腕一本》、これが今後の私の秘密兵器になりそうです。
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(September 25, 2005、改訂June 02, 2015)
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)は「中級者が上級に昇進することを妨げている障害の一つは、彼らが聞いたり読んだりすることを全て信じてしまうことだ。上級者は(プロも同じだが)多くのtipを無視すべきであることを経験から知っている」というマクラで、十項目のよくある誤解と彼の信念を述べています。しかし、私に云わせれば、彼の信念も信じない方がよい他の多くのtipと同じかも知れません。通説とJim McLeanのどちらを信じるか、それは読者次第です。
1. アドレスでは腕を真っ直ぐ垂らせ
間違い!腕は外に向かう角度をつけるべきである。特にドライヴァ−では。私は前腕部がシャフトとほぼ平行になるのがいいと考える。【しかし、この本の写真を見る限り、Jim McLean当人も“ほんの僅か”前に出しているに過ぎません】
2. 右手で小鳥が死なないようにグリップせよ
間違い!グリップ圧を1〜10の段階に分ければ、4か5で握るべし。
3. アドレスでは頭を上げよ
間違い!頭はボールに焦点を合わせるように下を向き、首の筋肉をリラックスさせるべきである。顎を上げよという助言の方がマシだ。
4. スウィングの間中、頭を動かすな
間違い!頭はバックスウィングの捻転時にターゲットの反対方向にスライドする。
5. バックスウィングでは左腕を真っ直ぐに
間違い!フェアウェイ・キープ率No. 1のFred Funk(フレッド・ファンク)をはじめ、左腕を僅かに曲げるプロは結構いる。左腕を緊張させてはいけない。
6. バックスウィングの3/4あたりで手首がコックされる時、グリップエンドはボールを指す
間違い!ボールのかなり後方を指すべきである。
7. 手と腕でボールに向かってクラブを引け
間違い!引く動きはスピードを落とし、フェースを開き、スライスの因となる。引くと押すの双方が同じ割合で実行されるべきである。
8. ターゲットラインに沿ってスウィングせよ
間違い!クラブはインパクトでスクウェアになり、その後はインサイド(ターゲットラインの左)に向かう。
9. 高いフィニッシュを取れ
間違い!Retief Goosen(ラティーフ・グーサン)のように低く、身体の周りでフィニッシュするプロもいれば、シャフトが首に巻き付くようなプロもいる。これらは、いかに両腕がリラックスしているかを示している。
10. ?」
著者か編集者の誤謬で10番目は欠けています。
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(September 30, 2005)
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