'The Well-insulated Golf Game'
by Nancy Stedman ('Golf Digest Woman,' December, 2000)
【ストレッチ】
10℃以下では筋肉が硬くなる。2℃以下では更に硬くなり、身体に故障が起る危険度が増す。
スタート前に、5分〜10分の並足、速歩で身体の中から温める。その後、上半身、下半身のストレッチングを2〜3分行う。
2℃以下の場合、ウォームアップはクラブハウスの中で行い、穏やかな指から爪先へのストレッチングを各ホールで行う。
【ボール】
いつもよりロー・コンプレッションのボールを使う。100→90、90→80など。
【衣類】
体温を保つ内側の層と、風を防ぐ外側の層の、少なくとも二つの層が必要。薄いセーターかヴェストが内側の層の候補。タートルネックは首周辺を温かく保ってくれる。外側にはゴアテックスが最高だが、どんなウィンドブレーカーでも良い。
【手足】
ショットとショットの間はミトン(防寒手袋)を用いる。二種類のソックス(薄手のものとウール)を履く人もいる。この場合、靴がきつくなるので、弛めの冬用の靴が必要になる。
【頭】
体温の40%は頭部から逃げて行く。野球帽スタイルではない、耳も被える帽子を選ぶ。最良の帽子は格好悪いだろうが、虚栄心は家に置いて行くこと。
【顔】
リップ・クリーム、長持ちする皮膚クリームを使う。
【水】
凍えるような寒さであっても汗はかく。「喉が渇いた」と思った時には、水分の必要な段階を越えていると思うこと。プレイしながら、適度に水を飲むべし。
【準備】
寒さの中へいきなり飛び出すのは、身体の故障への最短距離である。柔軟体操、ストレッチングを欠かさないように。一日10分で十分。
【退避】
身体が震えたら、悪いこと(風邪、低温症など)が起る前兆である。幸い、あなたはエヴェレストの中腹にいるのではないので、室内に逃げ込んで15〜30分暖まり、衣類を足してからラウンドを続ける。
【悟り】
傑出したスコアを期待してはいけない。寒い時期のゴルフは、夏場とは別物である。固い地面は思いがけないバウンドをするだろう。凍っているので池ボチャは無い:-)。
個人的ベストスコアを期待するのでなく、運動としての素晴らしい一日を楽しんでいると思うこと。
(December 03, 2000)
最近身体の故障が多いので、日々鍛錬する必要を感じていました。色んなところで誉められていたヴィデオがあり、騙されたつもりで購入してみました。
'The Swing Reaction System'
by Neil Chasan, PT, MMT ('Swing Reaction Systems,' 1996, 50 minutes, $29.95)
テープは4部に分れています。
1) ゴルフ・スウィングの物理的分析
LPGAティーチング・プロのLinda Fuller(リンダ・フラー)の素振りを色んな角度から撮影したヴィデオを材料に、どの段階でどのような筋肉がどのような方向に動いているかが説明されます。
Linda Fullerはスリムな中年女性ですが、頭が上下左右に全く動かない完璧なスウィングをします。
2) 上の分析に基づいた13種の運動の説明
小型のダンベルを使って、ゴルフ・スウィングの一箇所を再現しつつ身体全体を使って鍛えます。
3) ラウンド前のウォームアップ8種類の説明
ゴルフ・クラブを用いたウォームアップです。
4) 実技
(2)で説明された運動を一種類約45秒ずつ(ものによっては左右両方やるので、この場合90秒)実施します。全部で18分です。(2)をただ見ていた時には意味が判らない動きもあったのですが、ダンベルを持って実行すると「なるほど、これはゴルフに最適だわい」と思えて来ます。大汗をかきます。続ければ、スコアはともかく飛距離は間違いなく伸びるでしょう。「飛距離を伸ばすトレーニング」は腕と手首だけの運動でしたが、こちらは腕と手首も含む全身運動です。下半身を鍛える要素も入っているので、「頭の研究・土台篇」の運動も含んでいます。強靭な脚が出来れば頭も動かず、従ってスコアも縮むかも知れません:-)。
詳しくは販売元のサイトを御覧下さい。
付録として、お財布に入るサイズの折り畳み式練習一覧が入っています。(2)の説明がのみこめたら、ヴィデオが無くても実行出来るように…という配慮のようです。
なお、こうした運動の前には一定時間の歩行、軽いジョギング、階段の昇り降りなどで、筋肉を温めておくといいそうです。
(December 06, 2000)
身体に故障があった時に、ストレッチングによるリハビリは何度かやったことがあります。しかし、これ迄フィットネス運動というものとは無縁でした。大体痩せ型なので、痩せるための運動は必要ありません。腰痛防止として日頃から何かやっているといいのでしょうが、怠け者なので日々何かを継続するというのが億劫です。何に効くか分らない美容体操みたいなものとか、筋肉マンを作る運動にも魅力を感じませんでした。
しかし、この'The Swing Reaction System'はもう三週間になりますが、一日おきに欠かさず続けています。本当は毎日でもやりたいのですが、制作者の注意として「多くて一日おき、少なくて週に二回」…という制限を設けています。中間の日に筋肉の組織細胞を成長させるためだそうです。
ヴィデオだけではよく解らない点があるので、同じ著者による本('Total Conditioning for Golfers')も買ってしまいました。本もヴィデオも著者の会社が配本しているため、どこを探してもディスカウント価格にはなっていません。内容と売れ行きには相当自信を持っているようです。
本には「日々のフィットネス・ルーティーンは、エアロビクス的運動、ウェイト・トレーニング、ストレッチング、呼吸運動などで一時間かかる。もしこの一時間の余裕が見つからないという場合、あなたの生活はバランスを欠いており、何かを捨てるべきだ」と書いてあるのですが、私には到底一時間は掛けられません。暇はあるけど、そう運動が好きな方じゃないので。
私のサイトのTipsにはメンタルなものが非常に多いのは御存知でしょう。多分、その内容と数は世界一です。その理由ですが、日々の運動、鍛錬はしんどいので、メンタルな処理で手っ取り早く解決出来ないか…という、ものぐさな発想が根本でした:-)。しかし、ここへ来て安定した下半身の重要性を認識したことと、これからも出て来るであろう多くの身体的障害を予防する意味で、目下180゜転換して身体鍛錬にいそしんでいます。
数日前、シニア・ゴルファーのMel(メル)とラウンドしました。私があまり好きじゃない方のパブリックです。ここはフェアウェイが狭いので、つい控え目なスウィングで「舵を取り」たくなります。それは失敗の因なので、自分のスウィングを信じてフルターンしなければいけません。で、18個のティー・ショット中11個は距離・方向とも満足出来る出来栄えでした。距離が短いコースなので、こんな有利なことはありません。
「二階建て打法」と「生体力学的鍛錬」の成果と断言していいと思います。勿論、Sam Snead(サム・スニード)風ガニマタのダウン・スウィングも役立っていますが。私の場合、スタンスが狭く、フォワード・プレスとして右膝を中へ絞りますので、あまり立派なガニマタになりません。控え目なガニマタです:-)。【背景の色で自明ですが、左は夏で「下半身主導」だった頃、右は最近のガニマタ始動】
Melは私がいいショットをした時に「オーラーイ!」とは云いますが、実際に彼より50ヤードも多く飛んでいることには何の誉め言葉もありません。常に30〜50ヤード私より飛ぶゴルファーと廻ったら、私は素直に敬服し、毎ショット褒めそやすところです。男性にとっては飛ばすことがマッチョ的に考えられているので、屈辱感が先に立って褒めるどころではないのかも知れません。あるいは「ワシより若いんだから当然だ」と達観しているのかも知れません:-)。ひょっとすると「上がってナンボだからね」と冷ややかなのかも知れません。
実際、私の良かったのはティー・ショットだけで、アプローチはザックリコ、スコアはドッサリコで、ちゅうちゅうネズミはガックリコだったのです:-)。云い訳は色々出来ますが、基本的には「飛ぶと、ショート・ゲームが駄目」という例に洩れなかったようです。まさに「上がってナンボ」でした。元々飛ばす人はショットが「荒れる」のでしょうが、私などは数十年飛ばない方だったので、嬉しさでプレイが上の空になってしまうようです。繊細なショート・ゲームの感覚を失うと元も子もありません。要注意です。
(December 26, 2000)
●日替わり標語全部日本語にしてしまいました。日本の読者の方から「英語にしました」というお便りを頂いたのと相前後して、海を挟んで反対になったわけです。いずれも、恥ずかしいので周囲の目にすぐ読み取れないように…という策ですね:-)。
標語作りが面白いのは、自分の課題が何であるかハッキリさせることが出来る点です。上の読者の方は「ある時悟った筈が、いざとなるとそれを忘れてしまって思い出せない。クラブ別標語はそれを思い起させてくれる」とのことでした。
私の場合、「これだ!」と印刷したものが、コースへ出てみると「こりゃ駄目だ」となって、又印刷し直さなければならないという日々です。例えば、
・パターに「長いフォロー」としたのですが、先日のラウンドではほぼ全部オーヴァーしてしまいました。ひどいのは1.5mも。で、この標語は没。「本能にまかせろ」というのに改訂しました。ただし、芝の重い夏になったら又「長いフォロー」に戻るかも知れません。
・フェアウェイウッドは「スウィープ」にしていたのですが、テイクアウェイが急角度で上がってしまうとダウンスウィングもシャープに下りて来てしまいます。で、「スウィープ」は結果であって、スウィープの前段階が必要ということになりました。現在、「低く長く」になっています。低く長いテイクアウェイはダウンでスウィープに繋がるであろうという計算(期待?)です。
以上のように、日替わり定食のメニューのようにころころ変っているのですが、次第にクラブ毎に留意すべき核心に迫りつつあるようで、それが“面白い”ところです。人それぞれで留意点は異なるでしょうから、それらを集めるともっと面白いかな?という気がしますが、もうアンケートは行いません。御安心下さい:-)。
(December 06, 2000)
「飛距離の短い人はPar 5をPar 6としてプレイせよ」というのは、よく見かけるtipです。距離ばかりが要因ではなく、難度によってはPar 4をPar 5にしなさいという記事がありました。
'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)
「ハンデ15のプレーヤーなら、個人的パーは72ではなく83にすべきだ。18ホール全体を見直し、ホール・ハンディキャップや自分の得意・不得意に応じて一打ずつ足しなさい」
やってみました。現在の私の目標は42-42ですから、各ハーフに6打ずつ足せる勘定です。
オリジナル: Hole: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 Par: 4 5 4 3 4 4 4 3 5 Total: 36 Yard: 325 551 411 186 353 376 375 127 453
先ず、いつも「ボギーで上がれれば御の字、ダボでもまあまあ」という、私にとって鬼門のNo. 6をPar 5にします(現在計: Par 37)。
次に、「フェアウェイど真ん中に大木があり、ティーショットが難しく、いつもツー・オン出来ないNo. 3をPar 5にします(現在計: Par 38)。
次が…、ありません。いつもOUTは出来が悪いクセに、もう一打おまけをしたいホールがありません。どれを見てもパーを取ったことがあるホールばかりで、そう難しくは思えないのです。この時点では、私は38で廻れることになります:-)。そんなわけはないので、42になるまで無理に足してみることにしました。
No.1はスタート直後なのでボギーが多い。ここをPar 5にします(現在計: Par 39)。
No.2も右ドッグレッグに近づき過ぎてトラブルになることが多いので、ここをPar 6にします(現在計: Par 40)。
No.4は傾斜がきついショート・ホールなので、ここをPar 4にします(現在計: Par 41)。
後はみな易しいホールで、もう足すほどではありません。じゃあ、いつも41で廻れるかというと、そうじゃないんですね、これが:-)。
仕方無く(?)No.7に一打足しました。で、結果は次のようになりました。
自分のパー: Hole: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 Original Par: 4 5 4 3 4 4 4 3 5 Total: 36 Personal Par: 5 6 5 4 4 5 5 3 5 Total: 42 Yard: 325 551 411 186 353 376 375 127 453 Hole: 10 11 12 13 14 15 16 17 18 Original Par: 4 5 4 4 3 4 4 5 3 Total: 36 Personal Par: 5 6 4 4 4 5 4 6 4 Total: 42 Yard: 401 477 318 343 133 337 371 515 164
しかし、こうも一打おまけするのに苦労するぐらいなら、何故いつもいいスコアで廻われないのか?実は、これに上の記事のイントロが答えてくれます。
「コース戦略を考える前に必要なのは、あなた自身の実力を掛け値無しに正直に評価することだ。自分の限界を知ることは最も困難な部分である。誰しもヒロイックなショットを望むものであり、たまさかの成功を経験する。しかし、長い目で見ればそうしたショットは我々のゴルフに非常に成功率の少ないギャンブルを繰り返させるだけの邪魔物でしかない。我々は自分のベスト・ショットの記憶による犠牲者と云ってもよい。
いったん、自分の強味と弱点を正直に評価出来たら、どこで限界内でプレイするか、どこで攻撃的になればよいかがはっきりする」
そうなんですね、唯々諾々と一打増やすことが出来なかった裏には、自分のベスト・ショット、ベスト・ラウンドの記憶があり、それを実力と思いたいという自惚れがあったようです。
ショート・ホールがPar 4になり、Par 6があったりするのは愉快です。非常にリラックス出来そうです。
(December 08, 2000)
●音楽的ゴルフSam Snead(サム・スニード)の本『ゴルフは音楽だ!』とは関係ありません。TVドキュメンタリー『毛沢東からモーツァルトへ--昔と現在』の話です。この番組は世界的ヴァイオリニストIsaac Stern(アイザック・スターン)が主役。
Isaac Sternは1979年に北京を訪れ、青少年音楽家たちと触れ合い、教え、共に演奏会を持ちました。その20年後、再び北京へ。Isaac Sternは相変わらず情熱的に青少年を指導します。20年前には少年・少女として彼の教えを受け、今や中国を代表する演奏家に成長した人々と再会し、演奏会で共演するに至るという超長期ドキュメンタリーです。
Isaac Sternは「音符を綺麗に並べるだけでは意味がない。あなたの感情を出しなさい」と主張して止みません。ある男の子(ヴァイオリニスト)に、「キミ、ガールフレンドはいるかい?」と聞きます。男の子が"Yes."と答えると、「よし。じゃあ、君のガールフレンドに君の特別の気持ちを伝えるように弾くんだ。私が聞きたいのはあなたの“パッション”だ」と云い、男の子のヴァイオリンを借りると、厳かな顔で一音、笑顔で一音、悲しい顔で一音、怒った顔で一音を弾いて見せます。「これ、全部同じ音符だよ。弾く人の感情によってこれだけ変るんだ」そして、「どの音符もあなたの人生だ。どの音符も、あなたの人生の最も重要な瞬間だと感じなくてはいけない」と説きます。
翻って、私のゴルフです。私も「音符をただ並べたようなプレイ」をしていたようです。上のTV番組を観る前のラウンドで、たまたま“スタイリッシュな”スウィングをしたのです。これが全然力が篭もっていないのに、予想以上に飛びました。“スタイリッシュな”スウィングとはどういうことかと云いますと、プロ級の上手い人のようにやや気取った打ち方です。気取っているわけですから、力んだゴキゴキのスウィングではなく、いわば“流麗”という感じ。勿論、美しいフォロースルーを心掛けます。そう、フレッド・アステアがゴルフを題材にして踊ったらこうもあろうかというスウィング、それが一番解りやすい表現です。これがいいのは、スムーズなテンポ、いいリズムが内蔵されることです。力みが無いので、パワーが独りでに全開します。表面的にも流麗かどうかは分りませんが、当人の感覚としては流麗そのもの。「よし、これからは“スタイリッシュ”に振るぞ!」と決意して帰って来たのでした。
Isaac Sternの番組を観ながら、常に音楽とゴルフを関連づけて話を聞いていました。彼が「音符を正確に弾けばいいっていうもんじゃない」と云うのは、「ボールをひっぱたけばいいってもんじゃない」と置き換えられるような気がします。表情豊かな演奏のように、表情豊かにプレイ出来るのではないか?ミュージカルのダンサーのように、流麗に。
(December 14, 2000)
●Tiger: Sportsman of the year'Sports Illustrated' (以下SIと略)December 18, 2000の表紙です。Tigerは'Golf Digest' 2001年1月号の表紙には、獲得したメイジャーのカップ群に囲まれてダーク・スーツにネクタイで登場しましたが、あれはいかにも古臭かった。このSIの表紙は編集者、デザイナーのセンスが抜群です。Tiger当人も、こんなユーモラスなポーズを取る度量があるというのが凄い。ここで足りないのは、“寄り目”にしなかったことぐらい。ひょっとしたら、やったけど「あんまりだ」と没にしたかも知れません。そんな推測も出来るほど、ここには衒(てら)いや格好づけがありません。
ところで、スティール・シャフトはこんな風に指一本で曲がりません。コンピュータでいじくった結果ではないかと想像しますが、どうでしょうか。
SIの表紙に登場した理由は、彼が"Sportsman of the year"に選ばれ、30頁の特集が組まれたからです。野球、フットボール、バスケットボール等を差し置いて、史上初の"Sportsman of the year"選出二回という記録だそうです。
特集のうち、23頁が「目撃者」という談話集で、これが面白い。Nicklaus、Palmer、Els、Butch Harmonなどの大物から、British Open警備を勤めた警官、タイの女性キャディー、Nike Golfの社長、Hal Suttonのキャディー…など、様々な肩書きの17人が証言します。
・Trey Holland (トレイ・ホランド、USGAルールズ・オフィシャル)
U.S. Open 2000の三日目、私はTigerに随いて歩いた。No.3の二打目、Tigerのボールは草の中に沈んでいた。彼は「ボールがめり込んでいると思う」と云った。めり込んでいれば無罰でドロップ出来る。私は「ボールをマークし、持ち上げてみて草ではなく泥土が割れればめり込んでいることになる」と答えた。Tigerはやってみて「その通りだと思う」と云った。私は「見せてくれ」と云い、「違うね」と云った。彼は無言でボールを戻し、叩き出し、トリプル・ボギーにした。
【編者註:この時のヴィデオを観てみました。問題のボールについてのやりとりはオンエアされていず、Tigerが諦めた時点から写し出されていました。彼は三打目を横へ出そうと試みましたが、ボールを数センチほじくり出しただけで未だラフの中。四打目はグリーンを狙ったにもかかわらずショート。5オン2パットのトリプルという最悪の事態でした】
日曜日、またTigerに随いて歩いた。彼はU.S. Openに優勝した。私が祝福すると、彼は「どうもありがとう。しかし、昨日のNo.3でドロップ出来たら良かったんだが…」と云った。28時間経って、15ストローク差をつけてU.S. Openに優勝した後だというのに、彼はまだあのことを考えていたんだ。疑いも無く、彼は18ストローク差で勝ちたかったようだ。
・Mark Lye(マーク・ライ、The Golf Channelアナリスト)
Masters 2000を前に優勝者の予想を聞かれ、私はTigerを選んだ。しかし、初日75、二日目72というスコアを見て、TVで「私は間違っていた。彼は絶望だ」と云った。三日目、彼は68で廻り、五位に浮上した。この日の記者会見でTigerは(私と名指しはしなかったが)「Tigerは絶望だというコメントは不愉快だ」と云い、Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)は「Markを雇った人物は、分析家としての彼の知性に疑問を持つべきだ」というようなことを云い、私の発言が相当Tigerを苛つかせたと述べた。
しかし、TigerはMastersでは優勝出来ず、私はU.S. Open 2000まで彼とは会わなかった。The Golf ChannelはPebble Beachにスタジオを作っていて、優勝後Tigerはそこへ来ていた。彼が出て行く前に、私は「これ迄誰もがなし得なかったベストのゴルフだったね」と声をかけた。彼は私を直接見ないで、早口で冷たく「ありがとう、Mark」と云っただけだった。既に二ヶ月経ち、いま15ストローク差で優勝したのに、まだ怒り続けている。これは意外だった。記憶がいいんだね。
・Nota Begay III(ノタ・ビゲイ三世、PGAツァー・プロ)
Presidents Cup 2000の最終日、Tigerのマッチ・プレイの対戦相手はVijay Singh(ヴィジェイ・シング)だった。Vijayのキャディは"TIGER WHO?"(Tigerって誰?)という文句を後部に刺繍した帽子を被っていた。キャディ当人は、それが気が利いていると思っていたようだ。大多数のプロはキャディがそんなものを身につけるのは許さない。それはTigerを怒らせ、誰もが歓迎しない結果をもたらした。即ち彼を苛立たせたために彼をいつもよりもっと集中させ、もっと強く不敗の決意を固めさせてしまったのだ。
(December 16, 2000)
ドライヴァーのショットを∞に打とうとするのが力み過ぎであるように、スコアを限りなく良くしようと願うのも現実的ではありません。
いいショットをいくつ打てたか数えるというのは、どうでしょうか?Ben Hogan(ベン・ホーガン)でさえ、ワン・ラウンドで満足出来たショットは精々4〜5回あるか無いかだったそうです。勿論、彼は完璧主義者ですから、彼が満足出来たのは100%良いショットだったのでしょう。我々の場合、「狙った近辺に着地すれば満足」としなければなりません。その数が4〜5個あれば、我々もBen Hogan並みというわけです。いい気分です。では、5個以上あったら?Ben Hoganを超えたことになります!楽しいじゃありませんか。
一つ満足出来るショットが出たら、スコアカードの余白に☆印を付けます。ついティー・ショットばかりを対象にしがちですが、アプローチ・ショットやバンカー・ショットも含めるべきでしょう。
これの効果ですが、スコアはパーとの闘いでほぼ常に敗色濃厚なのに較べ、Hoganとの競争は「いいものを増やす」というポジティヴなところです。
ただ、☆に値するかどうかは当人の感触なので、水増ししようとすればいくらでも増えます。ゴルフがオナー・システムであるように、やはり一定の基準を作って正直に査定すべきでしょう。スウィート・スポットを打った感覚があり、自分の平均飛距離以上で、理想的な軌道で飛び、予定地点近辺に着地した…などの条件をクリアした場合とか。
常にHoganに勝てるようになったら、次のようなアイデアがあります。自分として許せない非常にまずいミスを冒したら△印を付けます。これは☆を一個相殺します。この方式ですと、Hoganとの勝負はそう簡単に勝てないかも知れません。
(December 20, 2000)
ERC IIが欲しい、Trimetalも欲しい、7番ウッドも欲しい、新しいアイアン・セットが欲しい、Vokeyウェッジも欲しい、Scotty Cameronのパターも欲しい、あれも欲しい、これも欲しい…。
しかし、問題は道具なんだろうか?と考える。ちゃんと調べたわけではないが、多分18ホールのうちで過去にパーをとったことが無いホールは少ない筈だ(あったとしても一つか二つだろうと思う)。つまり、ホール毎のベスト・スコアを洗い出してつぎはぎすれば、私だって2オーバーの74くらいで廻る力があるということになる(無茶苦茶な計算法だが、あり得ない統計法ではない)。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
某月某日 * * * * *
某月某日 * * * * *
某月某日 * * * * * * *
某月某日 * * * * *
某月某日 * * * * * * *
上の表は最近のカードをランダムに選んだ結果です。*印はパーを表しています。こうやって全部のカードを調べれば、多分*印が付かないホールは無いであろうというのが、上の論法です。
注目すべきは、それが現在の道具、現在のスウィングで達成されたという事実。何も、新しい道具が無ければ腕が上がらないというわけではないのですね。
パーがとれたということは、パー・オンしたか、寄せワンだったかの違いはあるとしても、それなりに距離もある正確なショットを積み重ねることが出来たことを意味します。であれば、ERC IIもTrimetalも新しいアイアン・セットも不可欠ではないということになります。同じように、ショート・ゲームも現在の道具で問題無いのです。
大事なのは、*印を増やす、その力は自分にあり、道具もまた十分であると自信をもつことのようです。
(December 22, 2000)
ロングアイアンをフェアウェイ・ウッドにチェンジしたい方のための換算表。
'100 Must-Have Skills for the New Millennium'
by Instruction Panel ('Golf tips,' Jan/Feb 2000)
2-wood (13 degrees) 1-iron 3-wood (15 degrees) 1-iron, 2-iron 4-wood (17 degrees) 2-iron 5-wood (18 degrees) 2-iron, 3-iron 6-wood (20 degrees) 3-iron, 4-iron 7-wood (22 degrees) 4-iron, 5-iron 9-wood (25 degrees) 5-iron, 6-iron 11-wood (27 degrees) 6-iron
(December 25, 2000)
●Eddie Pigottのゴルフ「Eddie Pigott(エディ・ピゴット)って、誰だっけ?」と悩む必要はありません。世界中の誰も知らない人物です。彼は64歳のシニア・ゴルファー。私の住む町Meridian(メリディアン)の市営ゴルフ場Lakeview(レイクヴュー)の主(ぬし)的存在です。パー70を5オーヴァーぐらいで廻ることも珍しくないそうです。「ハンデは?」と聞いても、「ずっと前は13だったが、最近は知らない。シニアが参加出来るトーナメントではハンデは要らないんだ」とのこと。
Eddieはヴィエトナム戦争当時、海兵隊勤務で日本に駐屯し、日本人女性と結婚しました。その後、ハワイ、カリフォーニアなどを転々とし、除隊後生まれ故郷のこの町に戻って来ました。二十年前、郵便局に勤めていた頃ゴルフを勧められ、週にワン・ラウンド楽しむ程度のゴルフを始めました。この頃はひどいスライスに悩んでいたそうです。
十年前、4゜クローズド(フック・フェース)のドライヴァーを仕入れ、それからゴルフが面白くなったそうです。郵便局を辞めてから、電気のメーター検針のパートタイムの仕事をしていました。この頃から仕事以外はゴルフという生活になり、五年前パートタイムの仕事も辞め、完全に毎日ゴルフの生活に突入。10時から4時位はゴルフ場に“勤務”しているような有り様。奥さんが嘆いているかというと、これが逆なんです。「家にいて、ああだこうだ、ギャアギャア云われるよりゴルフに行って貰っている方がサッパリする」そうで、奥様公認なんです:-)。
何度かEddieとプレイしたことがありますが、彼のスウィングはお世辞にも誉められたものではありません。一度もレッスンを受けたことが無い、完全自己流。奥さんに云わせると「まるで踊りを踊ってるみたい」だそうですが、無理やりスライス封じで左へ持って行こうとするせいか、滅茶苦茶な横殴りのフィニッシュになります(写真参照)。これはミス・ショットした時の写真ではなく、ロング・ゲームではいつもこうなのです。これに較べれば、私のスウィングなどBen Hogan(ベン・ホーガン)に近いと云って過言ではありません:-)。しかし、ゴルフは見た目ではないんですねえ。スウィングの綺麗な私が(彼との比較の上で、ですよ)、過去にたった一回しか80を切れてないのに、Eddieはほぼ毎日70台なのです。これは一体どういうわけか?
勿論、彼(と、その仲間)の誉められない習慣について知らないわけではありません。トーナメントでない限り、彼等Lakeviewのシニア達は夏でも冬でもウィンター・ルールです。つまり、ライが悪ければワン・クラブ以内にプレースします。Eddieはそれを拡大解釈し、LPGAプロのLaura Davies(ローラ・デイヴィーズ)がショート・ホールのティーでやるように、アイアンのブレードで地面に刻みを入れて(一皮浮かして)そこにボールを乗せます。フェアウェイにおけるライの改善としては相当悪質です。また、Eddieはボールをグリーンに乗せたら、そこで綺麗なボールにチェンジしてパットします。これもルール違反です。
しかし、上のようなことをやれば誰でも70台で廻れるかというと、そんなことはありません。私だって、夏にウィンター・ルール(!)を適用してプレイしてみたこともありますが、スコアは全く同じでした。つまり、Eddieのルール違反は本質的なものではないのです。
私の正直な気持ちは「なんで、こんなひどいスウィングのオジンに追いつけないのか?彼が5オーヴァーならこちらは2オーヴァー、あちらがパー・プレイなら、こちらは2アンダーであるべきではないか?」というものでした。非常に口惜しいのです:-)。理不尽な気持ちなのです…。
そこで、「あなたのゴルフを研究したい。ティー・ショットからパットまで、ヴィデオに撮らして貰っていいか?」と打診しました。一瞬の躊躇いもなく、「いいよ」と快諾してくれました。私が「でも、カメラが気になっていつものようにプレイ出来ないかも知れない」と心配すると、「ノー・プロブレム。一緒に廻る連中がお喋りしていようが、悪口を云っていようが気にしないんだ」との返事。私は「あ、それがいいスコアの秘密なのかも知れない」と云いました。多分、半分は当たっているでしょう。
12月のある日、EddieとLakeviewに行きました。Eddie達シニアの常連達は12時から毎日ランダムなフォア・サムで軽い掛け金のFourmen Scramble(1ホールずつ、四人の中の一番いいスコアを足して行くゲーム)のトーナメントを行います。ヴィデオ撮影はその前の9ホールで行いました。
クローズド・フェースのドライヴァーを手に、クローズドのスタンスで、アウトサイド・インの軌道から無理やり左へ持って行こうというスウィングには何も学ぶべき点はありません。しかし、ティー・ショットがどこへ飛んでも、二打目は必ずグリーン近くに寄せるのが見事です。また、ピッチやチップで三打目は大体グリーンに乗せます。そしてパットが上手いのです。例えば、ショート・ホールで一打目をグリーンサイド・バンカーに入れ、二打目をホームランさせたことがありますが、三打目をピンそば1mに寄せてボギー。ロング・ゲームのひどさを見ていると、ダボやトリプルでもおかしくないのに、常に悪くてパーかボギーです。典型的なシニアのゴルフですね。
撮影したヴィデオをスロー・モーションで見ていて驚いたのですが、彼のピッチングは私の“変則ロブ”に似ています。手首を返していて、私ほどではありませんがボールの軌道も結構高い。これは、彼のコースのグリーンが小さく早いので、ボールをすぐ止めるためにやっていることだと推察します。チップ・ショットは緩やかなグリップでほとんどノー・コックに近く、ボールを押すような感じに見えます。
パットは、そのポスチャーが完璧です。ダラリと垂直に下げた腕の角度を維持するので、「あれなら軌道が狂わない筈だ」と納得させられます。ストロークは柔らかい腕でボールを撫でるような感じ。ただし、あまりフォローが長くなく、インパクト後手首を折る動きがあるので、昔のプロ達のようにパチンと打っているようにも見えます。「Palmer(パーマー)かWatson(ワトスン)みたいなクラシックなパッティングだね」と云ったら、食堂でみんなの前で「エイジ(私のこと)が云うには、俺のパッティングはPalmerかWatsonみたいだってよ」と堂々と“放送”するので冷や汗が流れました:-)。私の印象としては、彼はパッティングの際、全く迷うことなく、入るものと確信してストロークしているように見えました。自信過剰ではないのですが、入らないという懸念を抱かないため、自信をもってパットしている感じなのです。このコースの主(ぬし)みたいな存在ですから、全てのグリーンの傾向を把握しており、恐くも何ともないという強味もあるでしょうが…。
Eddieにスウィングの際、何を考えているか聞きました。「何も考えない。脳を"black out"するようにしている」とのこと。日本語なら心を“無”にするという感じですね。これはパッティングの時も同じだそうです。彼だって、賭けに勝ちたいとか、バーディを取りたいとか、パー・プレイを実現したいとか、諸々の欲はある筈ですが、ほとんど毎日やってる“遊び”ですから、一生に一度のチャンスとかいうことはなく、従って血圧が上がるような興奮状態にはならないわけです。これが一番の強味かも知れません。
(December 27, 2000)
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