Golf Tips Vol. 49

頭の研究

「頭の回転」で、私の頭がバック・スウィングで右上に上がり、ダウンで左下に、インパクトで上に上がるというミスの発見について触れました。

下の'Golf Tips'の記事は、二つのポピュラーな格言が誤って解釈されることの危険性について述べています。

'Steady Head'
by Chris Henderson ('Golf Tips,' August 2000)

「バック・スウィングで頭が動けば、ダウンスウィングで元に戻さなければならない。動いたかどうか、スウィングの最中に知るのは至難の技である。ポスチャーが良ければ、頭が動くことは防げる。そのためには良く知られた格言がゴルファーを害していることを知る必要がある。

1) "Keep your head down"(頭を上げるな)

アドレスの段階から頭を深々と下げ、屈み込む姿勢の人が多い。顎が胸に落ち込んでいるため、バックで肩が廻らず、大きなフォロースルーも取れない。

2) "Keep your eyes on the ball."(ボールから目を離すな)

ボールから目を離さないまま、いくらでも頭を動かすことが出来る。結局、必要なのは良いポスチャーである。

背を伸ばして顎を上げたアドレスを取ること。これが窮屈でないスウィングの土台を作り、同時に頭を安定させて保つことを可能にする。

もし、あなたのショットにムラがあるとしたら、友人に頭の動きを見て貰うことだ。ヴィデオ・キャメラがあれば自分で分析することも可能だ」

[Golf My way]

'Golf My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Simon & Schuster, 1974, $14.00)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)はもっと辛辣です。

「あなたが上達を望みつつも、スウィングの最中に頭をしっかりと保持することが出来ない、あるいはしたくないと云うのであれば、もうここで読むのを止めなさい。私が(そして世界中の誰も)あなたにして上げられることは皆無だから。

私だって頭を一箇所に保持出来なければ80を切ることだって不可能だろう。

頭を静止し続けるというのは、ゴルフ習得の中でも最も難しいものだ。私のコーチJack Grout(ジャック・グラウト)は、私がボールを打つ間、彼のアシスタントに私の髪の毛を掴ませた。これを思い出すと、今でも頭の皮がチリチリする。痛くて何度も涙が出た。私が15歳になる迄に、私は頭を一箇所に保持する術を習得した。どんなにボールを激しく打つ場合でも…である。

スウェイは、怠け者のテイクアウェイである。上半身を回転させることと捻ることをサボり、腰と脚の筋肉のストレッチングも活動も無い。

"Keep your eye on the ball."という格言は要注意だ。私は“ボールから目を離さない”まま2フィートもスウェイすることだって出来る。

一言で云えば、硬直した頭でなく安定した頭を持てということだ。ダウンスウィングで最も恐れなければならないのは、ターゲット方向と上方への頭の動きである。

一番いい方法は、友人に前に立って貰い、クラブのグリップエンドであなたの頭に軽く触れて貰うことだ」

ハードパン(裸地)からのショットは非常に難しいものですが、3番ウッド、6番アイアンでのナイス・ショットが相次いで出たことがあり、不動の頭の重要性を再認識しました。ダフらない、トップしない…の秘訣は、頭を上下左右に動かさないことでしょうから、頭だけに意識を集中します。

【参照】

頭の回転
続・頭の回転

(November 07, 2000)


頭の研究・傾斜篇

'Head Games'
by Bill Moretti with Kathryn Maloney ('Senior Golfer,' August 2000)

ここまでの「頭の研究」は、頭が上下左右にシフトするものについてでした。以下の記事は、中堅インストラクターBill Miretti(ビル・モレッティ)の頭の傾斜に関しての分析と処方です。

「アドレスの際、頭をどういう角度にしているかは、スウィングの最も基礎的な部分に影響する。頭を右または左に傾けると両目をターゲット・ラインに対して難しい角度にセットし、体重のかけ方を混乱させる因となる。ゴルファーのほとんどはこのエラーに関して無知である。

チェック方法:ボールと両足の間でターゲット・ラインに平行にクラブを置く。口にクレディット・カード(編者註:名刺でいいと思います)を咥えてアドレスします。カードの端は地面に置いたシャフトに平行でなくてはなりません。そうでなければ、頭の位置を調整する必要があります。

【頭がターゲット方向に傾いでいる場合】

・バックスウィング

頭がターゲット方向に傾いでいると、クラブヘッドは両目を結んだラインに沿って振られるので、ボールから遠ざかる際、ターゲット・ラインに対しアウトサイドにテイクアウェイされることになる。トップは左肩が落ち、急角度のアップライトな位置になる。

・体重移動

肩を廻すのではなく、肩を落とし、体重がターゲット方向にシフトする、いわゆるリヴァース・ピヴォットになる。ダウンスウィングでは体重がターゲットから遠ざかってしまう。いいスウィングの正反対である。

・ダウンスウィング

両目を結んだ線で振り下ろされるので、急角度でアウトサイド・インのスウィングになり、結果はスライスかプルとなる。

【頭がターゲットと逆方向に傾いでいる場合】

・バックスウィング

頭がターゲットから遠ざかる方向に傾いでいると、バックスウィングはターゲット・ラインからかなりインサイドになる。この結果、ボールを見続けるためには肩の回転を少なくして、極めてフラットなテイクアウェイとなる。

・体重移動

肩を水平に動かしてしまい、大幅にスウェイしてしまう。回転でなくスウェイすると、身体の捻転が無く、弱いショットにしかならない。

・ダウンスウィング

過度にインサイドからインパクト・ゾーンに近づき、両目を結んだ線に沿ってアウトサイドへと振り抜かれる。典型的な結果は、浅い接触による右に詰まった当り("block to the right")か大きいフックである。

【参照】
頭の回転
続・頭の回転
頭の研究

(November 09, 2000、追補May 30, 2015)


頭の研究・土台篇

Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)はこう云ったそうです、「しっかりしたグリップを習得し、なおかつ頭を安定させることが出来れば、あとのメカニカルな要素はたやすいものだ」。次はTom Watson(トム・ワトスン)の下半身増強法。

'How to keep your head steady'
by Tom Watson with Nick Seitz ('Golf Digest,' November 2000)

「頭を残すということは、インパクトに向けて姿勢(特に背骨の角度)を維持することを意味する。これを実現するには、上体を支える強靭な脚が必要だ。とりわけ太股の前部の大きな筋肉である(大腿)四頭筋を鍛えなくてはならない。

フィットネス・マシンを使うことも可能だが、家庭で簡単に出来る私の好きな方法はどうだろうか。必要なのは壁だけである。

壁に背を付けて立つ。両足の間隔はあなたのスタンスの幅で、壁から1フィート(約30cm)離す。両手は脇にぶら下げる。ゆっくりと膝を曲げ、椅子に腰掛けた形をとる。最初はあまりやり過ぎないように。ちゃんと元に戻れる程度で止める。四頭筋に痛みを感じるまで、腰掛けた感じを保ってから元に戻る。一日数回行う。

筋肉が強くなって来たら、繰り返しの回数を増やし、腰掛けた形を長く保持する。強い四頭筋はあなたの頭を安定させてくれる」

『シニアゴルファーのための五つのエクササイズ』 by David Leadbetter(「文藝春秋」臨時増刊号、\1,000、2000年)

David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)による、上の運動のヴァリエーション。

「・大腿筋のストレッチ運動

先ず左足で立ち、左手を壁に当ててバランスを取り、右足首を掴んで尻に近づけ15秒保つ。二回繰り返して、足を変える。これを三分行うと、スウィング中に上体の正しい姿勢を維持出来るようになる」

(November 14, 2000、追補May 30, 2015)


グリップ・プレッシャー

'Complete Book of Golf Instruction'
by Editors of 'Golf Magazine' (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

「Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)は、両手を平均の強さで握るべきだと考えている。1(軽目)〜10(堅目)という尺度であれば、グリップは7で握るべきだと云う。

Butch Harmonはまた、ショットに応じてグリップ・プレッシャーも変えるべきだと考える。向かい風の中で低いパンチ・ショットを打つ場合は、8〜9の強さでクラブを握る。もし、バンカー越えのロブで早めにボールを止めたいのであれば、多分3ぐらいの軽いプレッシャーが必要だ。

要約すれば、低めのショットには堅いグリップ、高いショットには軽いグリップである」

(November 14, 2000)


ゴルフのフィーリング

'Practical Golf'
by John Jacobs with Ken Bowden (The Lyons Pres, 1989, $16.95)

John Jacobs(ジョン・ジェイコブズ)はイギリス生まれのプロですが、現在はアメリカにもゴルフ・スクールを持つほどのトップ・インストラクターです。シニア・ツァーに同姓同名のプロがいますが、全く別人です。コーチJohn Jacobsは「一日のレッスンでくたくたになった後、これがゴルフでなく数学だの大工仕事を教えるのであればどんなに簡単だろう」と思うそうです。つまり、「数学なら2+2がいくつになるか簡単にデモンストレーション出来る。しかし、ゴルフ・スウィングに関しては伝えにくいことだらけである。いいスウィングの感覚をある人から別の人へ伝えられる道具を発明したら、その人は大金持になるだろう」

以上のような前置きで、John Jacobs自身がスウィングの各断面で、どういうフィーリングを抱くかを解説する試みをしています。相当長いので、印象的な部分だけ抜き書きしてみました。特に最後の一節が素晴らしいと思います。

「スウィングの前後に私が求めたいと願うのは、ターゲットと私が“オンライン”であるという感覚(a feeling of being "on line" to the target)だ。クラブフェースはターゲットに、そして私の身体(特に両肩)は飛行線に平行に、どちらも正しく合っていてほしい。スウィングの間、私は全てが“オンライン”の状態を保つように努めるフィーリングを抱く。

・グリップ
 グリップはアドレスの際にはソフトであると感じる。

・両腕
 両腕は肩から自由にぶら下がっている。どちらもイーズィでリラックスしている。アドレス時には、どちらかと云えば右よりは左が気持ち緊張している。私の右肘は左肘よりは身体に近い。

・アドレス
 私の両手、両腕、そして上半身(特に両肩)はイーズィで非常にリラックスしている。しかし、腰から足までの下半身は、まるで6フィートの跳躍を前にしている時のバネのような緊張を感じる。

 セットアップ時には、ボールの後(文字通り、真後ろ)をクラブヘッドで薙ぎ払うために“座っている”感じを抱く。ボールの後を見るのであって、ボールの天辺ではない。私の右サイドは左より下がっている。ボールの後を見るのは重要である。その部分をヒットしたいのだから、見ることと意識することはそこを打つ助けとなってくれる。

・バックスウィング
 テイクアウェイはイーズィでスムーズで、急ぐ気配は無い。

・トップ
 いいプレイをしている場合、非常に短いがあきらかにそれとわかる間(ま)がある。それはクラブを振り下ろすために私自身を“集中させる”間である。

・ダウン・スウィング
 正しいダウン・スウィングは正しいセットアップとバックスウィングの反映であり、ここで何か調節しようという試みはトラブルの因である。

 とは云うものの、私には一つだけこの時点で抱くフィーリングがある。それは、ボールに向って右手を伸ばし、長くボール位置を通過させようという意識だ。これによって、私はボールに向ってクラブを運ぶのでなく、ターゲットに向ってボールをヒットしている感覚が得られる。即ち、ボールを貫いてスウィングする。ボールをヒットするのではない」

(November 16, 2000)


スライス撲滅の超簡単Tip

『文藝春秋』10月臨時増刊号の「ゴルフ その大いなる魔力」(平成12年10月15日発行、\1,000))に次のようなTipが載っていました。

・小池一夫(作家) 「ゴルフ場のロッジで老支配人と夜咄しをする機会に恵まれた。聞けば昔はプロだったというので、スライスの悩みを打ち明けてみた。(中略)『右手親指を曲げてグリップしなさい。そうすると右手に余計な力が入らないから、どうしたって左手左腕リードでボールを打つことになる』(中略)治ったのです!これでスライス病を見事に克服することができたのです」

 スライスに悩んでいる方には、これだけでも『文藝春秋・臨時増刊号』を買った意味はあるでしょう。このTipは、これまで他所で目にしたことはありません。凄いアイデアです。

(November 16, 2000)


Hogan(ホーガン)の秘密(続・Hoganのグリップ)

アメリカにはドクターと呼ばれるプロが何人かいます。Dr. Cary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)は歯医者を辞めてプロになった人。一度も開業したことのないDr. Gil Morgan(ギル・モーガン、眼科医)とは大きな違いです。Cary MiddlecoffはU.S. Open二回、Masters一回を含め、通算40勝したそうです。Ben Hogan(ベン・ホーガン)とペアでラウンドしたり、スウィング理論について語り合ったことも数え切れないという経験の持ち主。Ben Hoganの本'Five Lessons'(邦題『モダン・ゴルフ』)は1967年に出版されていますが、次のお話はその十年前のことです。

'The Golf Swing'
by Cary Middlecoff (Burford Books, 1974, $18.95)

「1947年に、Ben Hoganは『ボールを正しく打つ“秘密”を発見した』という驚くべき発言をし、『これは完全なる秘密であり、競争相手のプロ達は勿論、妻にも明かさない』と強調した。数日間、クラブに一切触らず自宅で瞑想に耽って得た秘密だそうであった。

PGA Tourにおいて、Hoganの秘密とは何かという憶測が飛び交った。憶測以上のものもあった。即ち、Hoganは本当は秘密なぞ握っていないか、単に競争相手一同を不安にさせるだけの魂胆ではないかというもので、ある人物などは『HoganはPGA Tourの最大の大嘘つきだ』とまで云ったものである。

しかし、(交通事故を含む)六年の間に彼は九つのメイジャー優勝を遂げた。

[LIFE]

メイジャー優勝から遠のいた数年後の1955年に、Hoganは'LIFE'誌に説得され、一説には$25,000とされる原稿料で秘密を公開することになった。実は'LIFE'誌はその数年前から数人のプロの推理を連載していた。僅かにMike Turnesa(マイク・ターネサ)とGene Sarazen(ジーン・サラゼン)が秘密に接近していた。彼等の推測は『バックスウィングでクラブフェースをかなりオープンにすること』というものだった。

Hoganの秘密とは?
『1) "Pronation"と呼ばれる、バックスウィング時にクラブフェースをオープンにする手首を返す動き。
2) 上の"Pronation"を実行するために、左手のグリップを3/8"だけ左に廻す(左手親指がシャフトの真上に来る)。
3) “秘密の核心”部分:トップで左手首を"cupped"(後方内側へ4〜6゜折った形)にする。これがフック防止を実現する。どのコースにおいても極めて効果的な武器である、愛らしく長いフェードとなる』

要するに、ダウンでフックの原因となるクローズ目のフェースになることを物理的に不可能にしたわけだ。'LIFE'誌の大半の読者の失望に前以て応えるように、Hoganは「これはスライスに悩む週末ゴルファーには鼻を引っ掛ける値打ちも無いだろうし、下手くそゴルファーを引退に追いやるだけだろう」と書いた。Hoganの見積もりでは、全てのゴルファーの1/10がこの秘密の恩恵を受けるだろうというものだった。私はハンデ6〜0の人々だろうと思う。

Hoganの最後の本'Five Lessons'は1957年に出版された。これに彼の基本的なスウィング理論が含まれている。

初期の識者達は、親指と人指し指で形作られるVは両手どちらも右肩を指すべきものと云っていた。Hoganは左手のVは右目を指し、右手のVは顎を指すと云う。アヴァレージ・ゴルファーには、これら無視してもいい違いに思えるだろうが、達人級にはグリップは鋭敏に意識すべきもので、細部にわたるまで正しくなければならず、スウィングの度に変るべきものでもない。

また、Hoganによれば左手は最後の三本の指にプレッシャーがあり、右手の親指と人指し指は可能な限り軽く握るのが正しい」

【編者註:以上でお解りのように、Ben Hoganはフック撃退法としてのグリップを考案し、それを発表したわけです。スライス系の方が適用するとますますスライスの度が増えますので御注意下さい】

【参照】「Ben Hoganのグリップ」

(November 22, 2000)


左膝の研究

久し振りでスウィングをヴィデオ・チェックしました。どうもショットが安定しないと思ったら、頭が横移動しています。トップまでは非常にいいのですが、ダウンスウィングで下半身が左へ横移動するに連れ一緒に移動してしまうのです。これではスウィングの弧の最低点が動いてしまい、スクウェアに打てるのはまぐれという確率になります。

[Sam]

横移動は本来下半身主導の筈なのです。上半身も一緒に動いちゃいけません。鏡を見て素振りしつつ、頭を残して下半身をリードさせる手だてを探りました。「腰をスライドさせるのでなく、廻す」というのが真っ先に思いつく案ですが、Ben Hoganを研究したDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)は「Hogan自身は腰の左への回転でダウン・スウィングを開始すると思いたがっていた。しかし、実際にそれを実行するとあまりにも急角度のダウン・スウィングでアウトサイド・インになってしまう。Hoganは先ず水平に左へシフトし、両腕が下り始めてから上半身全体を猛スピードで回転させている」と云っています。ですから、水平移動がダウンスウィングの初めであることは間違いありません。

頭を動かさず、下半身だけ水平移動する。これは難問です。しかし、あるグラフィック・イメージが浮かび上がって来ました。Sam Snead(サム・スニード)のダウンスウィングの開始の写真です。いつも、この瞬間のSam Sneadの姿勢は不思議でした。“流れるようなスウィング”と形容される彼にしては、この一瞬のガニマタだけあまり格好良く無いのです。しかし、これこそ私が欲しがっていた解答でしょう。ダウンスウィングの開始は、右に寄っている左膝をターゲット方向に戻す。一瞬ガニマタにする。これなら頭が水平移動することはありません。Sam Sneadが「よく解ったね」とニコニコしているのが見えるようです。

Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)の'Little Green Video'で、彼が"Magic Move"と呼ぶテクニックをBen Crenshaw(ベン・クレンショー)が実演しています。「レイト・ヒット、レイト・アンコックの極意である"Magic Move"とは、ダウンスウィングの開始で左膝を目標方向に移動させる時、同時に右肘を身体に引きつける、これを一挙動でやる(二挙動では駄目)」というものです。Ben Crenshawはテイクアウェイで左足を上げるので、ダウンではそれを下ろしつつ左膝を戻しています。

間違いありません。これが求めていた答えです。これまで、腰を水平移動させて“下半身主導”のスウィングを実施して来たのですが、これからは左膝を戻すのをキッカケとします。

(November 27, 2000)


舵をとるな

クラブを無理やり長く飛行線に沿って振ろうとする時があります。発作的にクラブをオープンにしたり、シャットにしたりすることもあります。英語で書かれた文章では、こういうのを"steer"と表現しています。車のハンドルが"steering wheel"ですから、"steer"は「操縦する」、「舵をとる」ですね。

大体、ダウンスウィングで舵をとりたくなるのは、テイクアウェイがうまく行えなかった時に起ります。トップで理想的な場所に納まらなかった場合とか、手首が落ち着かない角度になったりとか。そういうミスを補おうとして、舵をとってしまうのでしょう。

で、舵をとった結果は大体においてミス・ショットです。そもそも、トップからインパクトまでの動きは瞬間的なアクションですから、身体の筋肉でミスを補正することは不可能です。手を「硬直させる」か「こねる」という結果になってしまい、プルとかプッシュになりがちです。幸運に真っ直ぐ飛んでも、非常に短い距離しか出ません。

自信の無い時にも舵をとるショットが出ます。特にその日の第一打とか池越えなどで安全に打とうという場合。この時は、肩が十分廻っていないスリー・クォーターで舵をとるため、チョロという最悪の結果になったりします。“安全に”という目論見の正反対です。

スウィングというのは、最低点(ボール位置)で一瞬だけスクウェアになるだけなので、自分を信じていつも同じスウィングをするしかありません。インパクト後はインサイドに回転するのが当然で、スクウェアな軌道を長く引き伸ばすことは不可能です。発作的に手をこねても、スクウェアになる時点をコントロール出来る筈はありません。

「大きいフォローをとる」という、ごく普通のキイ・ワードが舵をとることを防いでくれるようです。弧が大きければ、スクウェアな時間は気持ち長くなります。大きい弧はスウィング・スピードを上げ、適度なスピンがボールを上げ、より長い距離をもたらしてくれます。つまり、「大きいフォローをとる」という意識が災厄を防止してくれるので、舵をとる必要が無くなるわけです。新しい諺を作りました。『大きいフォローは七難隠す』です。

なお、「大きいフォロー」はパッティングにも通用します。万能薬です。

(November 27, 2000)


スムーズなパットへの道標・結論篇

「スムーズなパットへの道標」は「入れよう!」というプレッシャーが強い場合とか、距離感が掴めない場合、総合的にパットが不調な場合などにお薦めです。Yips病患者には特効薬という感じでしょう。

別な心理的プレッシヤーがある場合、このtipは「慣れないことをするので、ストロークに専念する」…ことで、プレッシヤーを忘れさせる効果があります。これは即効薬として機能します。一度試してみて頂ければ、正確なパットが出来るのに驚かれることでしょう。

しかし、調子がいい場合にこれを採用するのは無駄のようです。まだ数ラウンドしか実施していないので、結論というのはおこがましいのですが、パターのグリップ付近を凝視しながらパットというのは、非常に不自然で心理的にスッキリしません。長期にわたる練習でマスターしない限り、この心理的モヤモヤは取れないでしょう。

(November 27, 2000)


Sam Snead(サム・スニード)の意図的スライス、フック

「左膝の研究」の続きとして、The Golf Channel(ゴルフ・チャネル)で放送された'Sam Snead: A Swing for a Lifetime'を再視聴しました。

彼の左膝はインタヴュアーであるティーチング・プロJim McLean(ジム・マクレイン)に云わせると"sitting"、Sam Sneadに云わせると「当時、"Snead's squat"と呼ばれたもんだ」とのこと。"Squat"は“しゃがむ”です。私は“ガニマタ”と云ったのですが、皆さんは柔らかい表現ですね:-)。しかし、Jim McLeanは「これは非常に特徴的な動きです」と云うだけで、詳しく追及しません。なぜこうするのか、右肘との連携は?とか色々聞いて欲しいところなのに、分解写真を見せるだけで素通りしました。がっかりです。

しかし、得るところはありました。意図的スライス、フックの打ち分け方についてです。Sam Sneadは「私ゃ、フック・グリップだのスライス・グリップだのはしない。フックを打つ時はグリップを弛めにする。スライスはきつめに握る。スライスを打つ時は多少オープンに構える。スウィングはいつも通りだ」そうです。

「なるほど!」と思いました。オープンに構えてスライス(フェード)を打とうとしても、弛めのグリップでは右に曲がってくれないのです。悪くてフック、良くて真っ直ぐ。これまで「何故なんだ?何が悪いんだ?」と疑問でしたが、これでやっと解りました。早速コースで実験しましたが、同じ打ち方でもグリップ次第で右に行ったり、左へ行ったりするのです。これは凄い。

これまで、楽に打てるホールのティー・ショットでフックしたり、バッチリ乗せるためにキチンと打とうとしてスライスが出たりしていたのは、スウィングというよりグリップ・プレッシャーの作用が大きい気がします。真剣にきつく握ればいいというものではないわけです。

応用としては、右OBが恐い場合は弛めのグリップ、左の池が恐い場合はきつめのグリップというように使えます。

(December 03, 2000)


脚の研究

'Make Hogan's magic work for you'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' November 2000)

雑誌に掲載されたこの記事は、最近出版された'The Fundamentals of Hogan'という本の一部の「ダウンスウィング」からの抜粋です。Ben Hogan(ベン・ホーガン)の'Five Lessons'の挿絵の素材として撮られた未発表写真を元に、David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)がHoganのメソッドに新たな光を当てようという試みです。ここでは、「脚」に関する箇所のみ書き抜いてみました。

「Hogan自身は腰の左への回転でダウン・スウィングを開始すると思いたがっていた。しかし、実際にそれを実行するとあまりにも急角度のダウン・スウィングでアウトサイド・インになってしまう。Hoganは先ず水平に左へシフトし、両腕が下り始めてから上半身全体を猛スピードで回転させている。写真を検討すると、ダウン・スウィングの半ばでもまだ腰は飛行線にスクウェアで、オープンにはなっていない。私は、この穏やかで静かな腰と下半身の動きをマスターした上級者が、安定したスウィングを確立した例を数多く見ている。

ドリル:(クラブ無しで)両腕を交差させ反対側の腕を掴む。正しいポスチャーを取り、バックスウィングの動きに入る。フル回転し、捻り上げられた下半身の安定感を感じ取る。お腹の筋肉が固くなるのを感じる。テイクアウェイの動きが完了し、体重が右に乗ったら、左膝、一瞬遅れて左腰をターゲット方向に水平移動させる。体重が左に移ったのを感じたら、(ここが非常に重要なところ)“左足が地面を踏みつける圧力”を感じる。ほぼ同時に、“体重が右足を通して地面に下りて行く圧力”も感じなくてはならない。以上を私は「地面に根を生やすアクション」と呼ぶ。下半身を地面に向けて押し、地面を反発力と安定性のために利用するのは、強力な動きである。この場面での体重は右足、左足に50:50である。

多くのプレイヤーは、この「下」への圧力を感じることなく、あまりにも早く、あまりにも前方へと体重をシフトさせてしまう。これは安定性を欠き、腕との協同歩調が狂ってしまう。

「地面に根が生えた」感じを持つこと。足を通して、地面を押しつける圧力が加重されるのを感じる。足で地面をガッシリ掴まえることは、バランスと抵抗を生み、スウィングのテコの作用を助けるものだ。

ドリル:(クラブ無しで)両腕を交差させ反対側の腕を掴む。右足は身体の回転によって引っ張られるまで、出来るだけ長く接地させ続ける。これは、背骨の角度を保つにも有効である。

私が確信していることだが、インパクトでは左脚はそれ迄に作られた形を保っているわけではなく、ヒッティングのエネルギーを受け止めつつ真っ直ぐにならなくてはならない。左足を曲げたままでは、必要な抵抗が得られない。Hoganのインパクトも、彼自身が感じているより早く真っ直ぐになっている。左足はしっかり地面に根づき、体重は若干左足の外にある。疑いも無くパワフルであり、ダイナミックであり、素晴らしい模範と云える」

(December 10, 2000)


臍(へそ)の回転

伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)によるスウィング理論

[Harvey]

'The Game for a Lifetime'
by Harvey Penick with Bud Shrake (Simon & Schuster, 1996, $10.00)

「私のところへ『ゴルフを忘れてしまった!』と駆け込んで来る中級者(大抵は中年)が多い。私には原因の見当はついているのだが、一応グリップとアドレスをチェックさせて貰う。この二つがOKなら、問題は彼が読み、実行したゴルフtipである。

ゴルフtipはアスピリンのようなもので、一錠なら効くだろうが、一瓶一気に飲み干したら生きていられるのが不思議なくらいだ。

最近提唱されている理論に、『腰は45゜、肩は90゜廻せ』というのがある。身体の捻りを最大にし、最高のパワーを得ようというものだ。この理論は正しい。しかし、これは多くのゴルファーを苦しめる腰痛の原因となる。

上手いゴルファーとハイハンデのゴルファーの違いも、主に腰の使い方である。しかし、上のようなtipを読んで、腰を45゜廻そうと努力しながら実際には全く腰を廻さない人があまりにも多い。ゴルフを忘れてしまった原因が分らない場合、私の診断は腰を回転させないからであるというに尽きる。

良い腰の回転は、体重が右踵に達するまでお臍(へそ)を廻すことだ。次に、お臍がターゲットを指し、体重が左足に乗るまで左へ廻すことだ。

腰の回転を開始させるもう一つの方法は、ズボンのお尻の右ポケットがほぼターゲットを向くくらいに廻すことである。

注意すべきは、間違いなく腰を回転させることだ。回転の動き無しで、片方の足から別の足に体重だけを移動させる、単なる揺れ動きをする人が多い。

あなたのお臍は一連の動きを駆動するエンジンである」

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(December 12, 2000、追補May 30, 2015)


ダフりとトップ

'Stop Hitting Fat & Thin Shots'
by John Klocksin with Al Barkow ('Golf Illustrated,' Nov./Dec.)

「ダフりとトップはティー・ショットにも現われるが、以下は地面に置かれたボールを打つ場合のことである。

【ダフり】

・まずいポスチャー
 右に傾いでアドレスする人は、ボールを無事に空中に上げられるかどうか不安だからである。彼等はクラブのロフトを信じていない。

 右肩を低くし過ぎた場合も掬い上げる打ち方になり易い。右手の位置が低い分、右肩も下がるとはいうものの、手が下がるのは僅か数インチ(5cm前後)の幅でしかない。

・早めのアンコック
 トップから打ちに行き早めにアンコックした場合も、先に地面に接触するのでダフる。こうなるのは、概ね力一杯、過剰に力んで打とうとした時である。

・ボール位置
 ボールがあまりにも左側にあるとダフる。ボールを空中に上げることに不安な人が、この位置にする傾向がある。

★ダフる傾向がある場合は、両肩をほぼ同じ高さにし、正しいボール位置に戻し、クラブのロフトがボールを上げてくれることを信じる。トップから打ちに行くのを防ぐには、右手を引き下ろす感覚でダウン・スウィングを開始することだ。

【トップ】

・まずいポスチャー
 前屈み、あるいは背骨が真っ直ぐでない場合にトップが出易い。身体があまりにも低いと、あなたの本能がそのままではクラブがボールの後でつかえてしまうことを察知し、インパクトで身体をストレートにする。身体が持ち上がったり真っ直ぐになるだけでなく、クラブヘッドの高さまで上がってしまう。頭を打たれたボールは、低い軌道しか得られない。

・ルックアップ
 ポスチャーが良くても、インパクト前にルックアップすると、頭の高さが上がったり左へ動くため、ボールの頭を打つことになる。これは、大体において結果を心配するあまりの、心理的問題である。

 頭を静止させるには、ボールを見続けることだ。頭を静止させようと努力するとスウィング全体が硬くなる。目を据えるだけなら、そうはならない。

・まずい体重移動
 バックスウィングの開始で身体を水平に右へ移動させると、その反動としてダウン・スウィングで過剰に左へスライドする。この場合も結果はトップ。

 これを防ぐには、両腕と両肩だけでバックスウィングを始める。下半身は、両手が腰の高さになるまで静止している。その時点を過ぎたら腰を右へ回転させる。

・立ち上がるスウィング
 膝に柔軟性が無いと、ダウン・スウィングであまりにも早く左足を真っ直ぐにしてしまう。

・知られざる原因--恐怖
 これはほとんど語られたことが無いし、立証も出来ないが、我々は以下のことを確信している。すなわち、ゴルファーはアイアンがターフを取る時のショックに対する恐怖と不安を抱く。ショックは実際には大したものではないのだが、心理的に影響を及ぼす。そのショックを予期するため、アイアンでボールの下を打つことをせず、トップするのだ。

 グラファイト・シャフトが一般的になった理由の一つは、上のようなショックをゼロにする特長があるからだ。メーカーはこの点を吹聴しないが、よく知られたグラファイトの美点である。

・ボール位置
 奇妙なことに、ボール位置が過度に左にある場合、ダフりにもなりトップにもなる。ただ、クラブヘッドが地面に接触しなかった時は、ボールの真ん中を打つことになる」

(December 24, 2000)


朝露の啓示

'Holographic Golf'
by Larry Miller (Pelican Publishing Company, 2000,$14.36)。

Larry Miller(ラリイ・ミラー)は、一時PGAツァーに参加したものの、インストラクターが性に合っていることを悟り、現在はゴルフ・スクールを主宰。

彼が朝一番でラウンドした時、ふと振り返ると自分の足跡が朝露で濡れたグリーンの上にくっきり。それを眺めていて、左右の足の向きが異なることに気づきました。左足は真っ直ぐ前を向いているが、右足は約20゜ほど右外を指しています。

御多分に洩れず、彼も左足はややオープンに、右足は飛行線に直角にアドレスしていました。それが“自然”だと確信していたのです。

「翌日、練習場で両足を(朝露の上に見たような)自然の向きにセットしてボールを打ってみた。びっくり仰天するほど最高の結果だった。何よりも大切なのは、スウィングの間中快適であること。本当に自分に合ったスタンスは、効率の良いコイル(身体の捻り)を生み、スウィングを安定させてくれる。

ゴルフでは自然に逆らってはいけない。歩く時、両足は自然のスタンスを形成する。あなたも自分の自然のスタンスを発見するため、朝露の上を歩いてみることをお勧めする」

(December 24, 2000)


ロング・ドライヴ・チャンプの秘密

RE/MAX世界ロング・ドライヴ選手権に三度も優勝したSean Fister(ショーン・フィスター)が開陳する長距離打法の秘密。

'Club Head Speed & Solid Contact equal Long Drive'
by Sean "The Beast" Fister ('Mid-South Golfer,' September, 2000)

'Mid-South Golfer'はMemphis(メンフィス)空港のPGAショップでタダで貰った雑誌。テネシー、アーカンソー、ミシッシッピをカヴァーするローカル誌で、広告収入で出版されているようですが、結構いい記事が多く、馬鹿に出来ません。この記事の筆者は「北米ロング・ドライヴ・チャンピオン」だそうです。

「私のロング・ドライヴに賭けたキャリアの大半は、クラブヘッドのスピードに取りつかれていたと云ってよい。しかし、その道筋で、90%の力で打った時がよりソリッドに、しかもより遠く打てることを発見した。

誰でも90%の力で打てば簡単にソリッドに打てることを知っている。あなたが知らないことは、90%の努力は筋肉をリラックスさせ、緊張させないがゆえに身体をよりフリーに動かせるという事実だ。リラックスした筋肉は、緊張した筋肉より早く動作する。

陸上競技の短距離走者がどうリラックスしているか知ってますか?彼等は全エネルギーを使うのだが、表面的にはそうは見えない。メイジャー・リーグの投手も緊張しない。彼等は流麗で、リラックスしている。それが彼等の筋肉に爆発的な動きでスナップすることを可能にする。

練習用の重いクラブを使うと、ゴルフ用筋肉を発達させることが出来る。重いクラブを使う際は、十分な肩のターンと、いいテクニックを使うこと。この練習はいいバランスを得る助けともなる。

ヘッドスピードを増し、しかもリラックスしていられる方法は、他にもある。より大きな肩の回転、ゆったりしたグリップ、長いクラブの使用など。あまりに速いヘッドスピードはお薦めしない。ソリッドなコンタクトが得られなくなる。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)は別。彼は宇宙人だから」

(December 26, 2000、追補May 30, 2015)


Loren Roberts(ローレン・ロバーツ)のパット名人の秘密

'Tips from the Boss'
by Johnny Miller ('Golf Digest,' January 2001)

Loren Roberts(ローレン・ロバーツ)は、ショットは飛距離も出ず堅実なだけなのですが、そのパッティングは抜群です。彼がPresidents Cup 2000に“キャプテン指名”でチーム入り出来たのは、主にそのパッティングの力のせいだろうと思います。以下はLoren RobertsがJohnny Miller(ジョニイ・ミラー)に明かした二つのパッティング・キイ。

「ボールに向って立った後、目の焦点をぼやかしてしまう。これがソフトでスムーズなストロークをもたらす」

なるほど。これは心を“無”にするのに近い効果があるかも知れません。ショットの場合は、"eye-hand coordination"とか云って、ボールとの距離を保つためにボールを見続けなくてはいけませんが、パットではそれは必要ありません。焦点をぼやかすことによって、脳裏にある距離感とかストロークのタッチだけがスポットライトを浴びるようになりそうです。

「パターが巨大な鉛筆だと想像する。この鉛筆で真っ直ぐな線を描くようにトライする」

これも面白いですね。「鉛筆」というのは「線を描く」に対応したイメージなのでしょうが、巨大な鉛筆というのは一寸想像しにくい。巨大トンカチ(鉄槌)とか斧(おの)などの方が重そうだし直接的でいいのではないでしょうか?

Loren Robertsはあまり好きなプロではなかったのですが、これらのtipsは非常に好感が持てます。2001年のPGAトーナメント中継で、彼のパッティングを観るのが楽しみです。

(December 27, 2000)


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