Golf Tips Vol. 48

引退の勧め

「又か!」もう仲間の誰も同情しないスライス、フック、完璧なライで成功率100%の筈のアプローチでザックリ、子供でも1mに寄せられるようなパットを3mショート。一度ならともかく、こういうのが二度、三度となると、自己嫌悪も頂点です。

「もうウン十年もゴルフやってて、このザマだ。何の進歩も無い。楽しくもない。あと何年こんなことやりゃ気が済むんだ。こんなことを続けるのは時間の無駄ではないか?もっと、自分に向いた趣味があるのではないか?」この疑問は正しい。ゴルフはあなたに向いていないのです。ゴルフから綺麗さっぱり足を洗うべきです。道具は誰かにやっちゃいましょう。会員権は売っちゃいましょう。友人達に「もうゴルフ止めたぜ!」と云って歩きましょう。禁煙に成功したように、あなたはサバサバ出来るでしょう。そう、結局ゴルフも惰性でやってただけなんです。煙草だって、喉が痛くてホントは味なんか分らなかったのと同じ。面白くもないのに、みんながやるから付き合いでやってただけなんです。「100を切るゴルフ」だの「80を切る日記」だの、誰でも上手くなれるようなことを書いてるが、みんな幻想だったのです。さあ、明日からあなたは新しい人生を歩み始めるのです。まるで長い夢から覚めた人のように。ラウンドと練習に使っていた時間は、全て自由に使えます。人生の限りある時間です。大事に使いましょう。

ただ、現在やってるラウンドはまあ付き合いということもあるし、最後まで廻りましょう。「これが最後のラウンドだ。もうこんな難しい遊びとはおさらばだ」そう思うと、急に目の前の全てが意味を持ち始めて来ます。そう、ガンを宣告されて余命いくばくも無い人に、目の前の全てがかけがえのないものに見えて来るように。広々とした芝生、その緩やかなうねり。恐怖の的だった池や小川も、もう見られないと思えば既に懐かしい感じが漂います。ラフや木立、風に翻る旗。ここへはもう帰って来ない。全て、最後。この一打、一打も最後。

「ナイス・ショット!」おやっ?お仲間がやんややんやと褒めそやしていますよ。「ナイス・イン!」あれ?入っちゃいましたよ?バーディですか?不思議ですねえ。でも、もう引退するんですもんね。もう決めたんですから。え?「分らない」って?そんなあ。

そうです、うまくいかない時は引退を考えましょう。これまでの苦闘の歴史を振り返った時、「オレだってそこそこ出来るゴルファーだった筈だ」という誇りが湧いて来ないでしょうか?不思議と透明な気分になり、無欲のスウィングが実現しないでしょうか?それは、あなたのベスト・ショットではありませんか?さあ、引退しましょう、ね?

(November 02, 2000)


ゴルフの本質

『文藝春秋』10月臨時増刊号の「ゴルフ その大いなる魔力」(平成12年10月15日発行、\1,000円))というのを、日本の友人に頼んで送って貰いました。政財界、文壇、芸術・芸能界などの大物たちに依頼した短いエッセイのオンパレード。含蓄のある話が楽しめ、また昔から現在までの日本のゴルフがよく分ります。

・川上哲治(野球解説者)

「野球の球は動いて近づいて来る。球の中に、弾き返されようとする生命をすでに含んでいる。タイミングよく、ちょんとバットを出すだけで飛んでいってくれる。一方、ゴルフのボールは止まっている。止まっているボールに、自ら飛んでいこうとするいのちを吹き込んでやらなければならない。そこが簡単ではない」

 “止まっているボールを打つ”は誰でも知っている事実ですが、「いのちを吹き込む」というのは素晴らしい表現ですね。John Daly(ジョン・デイリイ)がボールを"kill"(殺す)と云っているのと正反対です。

・辻 晴雄(シャープ相談役)

「テニスは相手を容赦なく倒す格闘技で、狩猟型のゲーム。ゴルフは農耕型。戦う相手は自分自身であり、コースの自然です」

私が音楽ものの番組を取材した折りに、韓国のリズムは騎馬民族のリズム(三拍子)、日本は田植えなど農耕のリズム(二拍子)と云えると教わりました。農耕民族日本の人間にはゴルフはお手のものの筈なのでしょうが、世界的には(特にLPGAなどでは)韓国に敵いませんね。

(November 02, 2000)


数字を目標とするな

'The Mental Game Pocket Companion'
by Fran Pirozzolo with Russ Pate (HarperPerennial, 1996, $10.00)

「目標の設定はどんなスポーツに不可欠である。目標を設定すると、期待を明確にし、集中心、動機づけ、自信などを増大させる。

しかし、どんな目標も正しい目標とは限らない。最悪の目標は“80を切る”、“90を切る”、“100を切る”…などである。

数字の目標は結果を追い求める目標である。ゴルファーがコントロール出来ない成果に焦点を合わせるのは愚かである。ゴルファーはプロセス(途中経過)を目標とすべきである。例えば、

・毎ショット、リラックスして快適にプレイする。
・ラウンドの間ずっとポジティヴな態度を維持する。たとえ悪いショットやミスの後でも。
・いいスウィングをすることに集中し、気が散る要素をブロックする。

こうしたプロセス(途中経過)目標は自分がコントロール可能な範疇だ。これらはメンタル・ゲームをマスターする上で、重要な役割を果たすものである」

The Tour Championship 2000で優勝したPhil Mickelson(フィル・ミッケルソン)は、ABC TVのインタヴューに答えて「優勝は考えなかった。それは結果であって、ボクの力が及ぶものではない。ボクがコントロール出来るのはプロセスだけだ。だから、とにかくいいショットをフェアウェイに届けるというプロセスに専念した」と云っていました。まさに、上の記事そのままです。聞いていた私がびっくりしました。

(November 05, 2000)


褒賞制度

スポーツ心理学者Dr. Fran Pirozzolo(フラン・ピロツォーロ博士)博士のヒントによる、ゴルフ上達法。

'The Mental Game Pocket Companion'
by Fran Pirozzolo with Russ Pate (HarperPerennial, 1996, $10.00)

「Byron Nelson(バイロン・ネルスン)は云う、『私は牧場を買うために優勝したかった(原註:彼は今もその牧場に住んでいる)。そこで飼う家畜を買う金も欲しいので優勝したかった。もし、単にトーナメントで優勝したいというだけだったら、プレッシャーはあれほど長く持続しなかったろう』つまり、彼がツァー11連勝の記録を作った時、彼はいいスコアなどというものよりもっと大きな目標(まとまった金)があり、それが記録に結びついたわけだ」

「花見酒の経済」【削除済み】で、悪いスコアを出したらカミさんに罰金を納めるという試みについて書きました。これは腑甲斐ない自分を懲らしめようというネガティヴな方法です。これの良くないところは、「金で済むことだ」と投げやりになる恐れがある点です。これでは成果が上がりません。

出来が良かったら褒美が得られるという、ポジティヴな方法はどうでしょうか?80が切れたら、ずっと欲しかったドライヴァー、あるいはパターを買うとか、普段は高くて行けない豪華なゴルフ場(川奈ホテルやPebble Beachなど)でのプレイをするとか。あるいは、記念に夫婦揃って旅行するというのもいいかも知れません。これだと、奥さんが「まだ80切れないの?もっと真剣にやらなきゃ駄目よ!」と応援(叱咤激励?)してくれるという、前代未聞の事態も考えられます:-)。

(November 09, 2000、補訂May 30, 2015)


視覚化治療

「期待は実現するという話」で次のような話を紹介しました。

「'Golf in the Zone'のMarcia Reynolds(マーシャ・レイノルズ)は手首の骨折を患った。六ヶ月後、医師に見放されたMarciaは、催眠療法士の指導により『私の手首は治る』、『驚くほど早く治る』、『完全に治る』と日毎夜毎自分に暗示をかけた。その三ヶ月後、骨折は見事に完治。ゴルフも以前より快適にプレイ出来るようになった」

次のはもっと凄い例です。

'Golfing in the Zone'
by Larry Miller (MJF Books, 1996, $6.98)

「61歳の男の喉頭癌患者がいた。衰弱が甚だしく、彼の体重は63キロから45キロまで落ち、唾を飲み込むのもやっとで呼吸すら困難な状態だった。医師団は放射線治療をする決断をしたが、患者の余命を延長出来る期待は持てず、徒に患者の不快感を増すだけであることは自明だった。

患者にとって幸いだったのだが、このケースにDr. Carl Simonton(カール・サイモントン博士)が加わることになった。博士はテキサス州ダラスの『癌カウンセリング&リサーチ・センター』の医学顧問であり、視覚化の分野におけるパイオニアだった。

博士は患者自身が病気の進行を左右出来るのだと諭し、患者にリラックスする方法とその後に用いる視覚化のテクニックを指導した。放射線治療の傍ら、一日三回、患者はエネルギーに満ち溢れた数億の砲弾のような放射線が、彼の身体の細胞を爆撃している様(さま)を思い描いた。彼はまた、通常の細胞にくらべ癌細胞が弱々しく逃げ腰になっていて、もはや放射線を免れて生き延びることは不可能であるという状態を視覚化した。その後、身体の免疫の戦士である白血球が、死んだり死にかけている癌細胞に群がり、それらを体外に排出させるべく肝臓や腎臓に運んでいる様も視覚化した。

この結果は劇的だった。放射線治療の副作用が無かったばかりか、二ヶ月後に癌の徴候は消え去ってしまったのだ」

この記事を読んで、物は試しと私の肩の障害("pinch nerve")に応用してみる気になりました。ただ視覚化だけもいいのですが、「瞑想」で紹介したテープを併用したら効果的だろうと思いました。α波とθ波の音楽が観念の作用を助けてくれそうです。

木曜日の夜、就寝前に20分試しました。具体的な解剖学の知識は無いのですが、首の骨に近い背骨のどれかが神経を噛んで(挟んで)いるという想定で、首と上体を右に大きく曲げて上の方の背骨を湾曲させました。そして背骨と背骨に挟まれている神経を引っ張って抜き去るというイメージを繰り返し頭の中に描きました。

椎間板ヘルニアですと、背骨と背骨の間の椎間板の中の髄核という半液体状の物質が脊髄の方に飛び出し、それが神経根を刺激して痛みや感覚異常、腱反射の低下などを引き起こすのだそうです。私の場合、医師のチェックで腱反射は正常でした。椎間板ヘルニアであれば髄核を戻すイメージが必要ですが、私の障害には骨に挟まれた神経を引き出すイメージが相応しいと判断しました。

驚いたことに、一夜明けたら左肩の痛みが去っていました。完治したわけではなく(それでは話がうますぎます)、依然軽い痺れ感はあり、首を左に曲げると痛みを感じます。

その後、金、土と視覚化治療(?)を行いました。上の例のように一日三回ではなく一回なので効き目は薄いようです。しかし、間違いなく良くなっています。

コーチゾン注射は月曜でしたから、それが金曜日に効くということは考えられません(遅すぎます)。筋肉をリラックスさせる服み薬は、実は数日忘れていて服んでいませんでした。勿論、自然治癒というセンはあり得ます。医師からストレッチングに似た「アイソトニック運動」、「アイソメトリック運動」というのを教わり、一日数回はやっています。これの効果というのも考えられます。視覚化の際の20分の姿勢が良かったのかも知れません。

視覚化の治療効果を大々的に謳い上げるつもりはありません。上のどれか一つの効果か、あるいは全部の相乗効果か、これは謎です。私としては、視覚化治療も続けるつもりです。実は、もう素振りは出来る感じなのですが、大事を取っています。コースに戻れる日は近いようです。

(November 12, 2000)


スコアを減らす戦略

英国のインストラクターJohn Jacobs(ジョン・ジェイコブズ)が教えてくれるラウンドのコツ。

'Practical Golf'
by John Jacobs with Ken Bowden (The Lyons Pres, 1989, $16.95)

「トップクラスのゴルファーでさえ、最初の数ホールを果敢に攻めたりはしないものだ。あなたも、ラウンド開始直後は自分のハンディキャップに応じた攻め方をすべきだ。No.1がPar 5であるとしよう。私はいつもパーで上がれる。だから、五打でホールアウトすることを狙い、たまにバーディになることもある。しかし、このNo.1でバーディを狙ったりはしない。勿論、同じPar 5であるNo.14では気違いのようにパワーを炸裂させ、二打でオンさせてバーディを狙う。しかし、その日の調子を掴むまでは、安全にプレイするのが最善である。

冬場であっても、コースが義務づけていない限りライを改善してはいけない。いつもボールが打ち易い状態にあると、アイアン・ショットに有害な払うスウィング("sweeping action")が身についてしまう。あるがままのボールを打つことは、あなたに精確なショットをするように強制する。

ショート・ショット(ピッチ、チップ、パット)においては、あなたの心の中でボールをどのようにホールまで旅させるか決定するまで打ってはいけない。『ここからあそこまでボールを飛行させ、そこからあそこまで転がす』というように、メンタルな映像を創り出す。その後、一番相応しいクラブを選ぶ。

多くの中級者が3パットを多発する。何故か?彼等は『ショートパットをミスしたから』と云うだろう。御存知のように、これは違う。ロングパットを充分近くに寄せられなかったからだ。ロングパットを(あるいは中距離であっても)ホール近辺に転がせるように練習せよ。入れるのではなく、近づけようと努力せよ。堅実なパッティングの秘訣は距離の判断である。方向ではない。30〜60cm以内に転がすことを覚えなさい。そうすれば、3パットはほとんど問題ではなくなるものだ」

(November 20, 2000、追補May 30, 2015)


標語

シニア・ゴルファーのMel(メル)とラウンドした時、ふと彼のパターを見たら、シャフトに距離とテイクアウェイの角度の対照表が貼ってありました。「何ヤード=何度」という具合で、四種類ぐらい書かれていました。どうりで、その日に限って珍しくボールからカップまで歩いたりしていたわけです。それ迄、そんなことしなかったのに。

ところで、シャフトにそういうメモを貼るのはルール違反ではないそうです。Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)の'Short Game Bible'には、「ウェッジのための距離とテイクアウェイ角度の表を貼れ。これは違法ではない」と書かれています。

私は標語を作って貼ってみました。ドライヴァーには"Full turn & Pause"(フルターンして、一旦停止)、3番ウッドには"Sweep"(掃け)、5番ウッドには"Smooth"(滑らか)、ロブ・ウェッジには"Bottom"(ボールの下)、パターには"Left arm"(左腕主導)…という具合。自分だけ分ればいいので、全部キイ・ワードです。

日本語で書くとダサいような気がして英語にしたのですが、アメリカ人が見たら「ダサい!」と云うかも知れません。彼等には横文字はちっともエキゾチックでも洒落てるわけでもなく、ごく当たり前に読めちゃう言葉ですもんね。

(November 20, 2000)


標語の成果・中間報告

上の試みの効果ですが、アドレス時に必ず標語が目に入るので、注意事項を忘れることは無くなります。ドライヴァーが三語になっているのはちと多過ぎるようで、"Full turn"だけにすべきかも知れません。他の標語、特にウェッジは非常に役立ちました。クリーンに打てて、理想的な寄せワンがいくつか達成出来ました。

本日のパッティングでは「スムーズなパットへの道標」のtipを実践しました。どうせならというので、標語を見ながらパットしたわけです。この方式はパット前に判断した距離感が実現出来る、なかなかいいtipです。ただし、"Left arm"という標語を読みながら…というのがいいかどうか、まだ分りません。ボールを見ないで打つのに慣れていない上に、「左腕主導」という指示まで出ると脳が混乱するかも知れません。ラウンド終了後にパットの練習をしてみましたが、「スムーズなパットへの道標」は短いパット、5〜6mのパットには強力な武器です。長いパットでは距離感が合う時と合わない時が半々でした。多分、これは左腕がしっかりしていなくて、ふにゃらけたストロークになったせいでしょう。これについては、もうしばらく続けてみてリポートします。

(November 20, 2000)


アメリカの金持ちのゴルフ

感謝祭の祝日(11/23)に、カミさんのNew Orleansの従姉(いとこ)Kathy(キャスィ)に二人で招ばれました。出発直前にKathyから「ゴルフバッグを持って来るように」という電話。彼女の旦那がゴルフ好きで、家の近くのゴルフ場で年じゅうプレイしているとは聞いていました。で、「数ホールだけでも、一緒に廻りなさい」というお薦めなのです。どうせやるんなら“数ホール”というのは気に入りませんが、昼食パーティの後では確かに時間的にそう廻れません。

Kathyの家は大規模なプライヴェート・コミュニティの中にあり、入口にガードマンが立っていまして、「何番地の誰某を訪ねる」と告げないと入れません。出入りは監視カメラで撮影されています。Kathyに家の中を見せて貰いましたが、その豪華な造りに口をあんぐり。三階分ぶっ通しの天井の居間がある…というだけでお分り頂けるでしょう。Kathyは託児所から始めて、現在は私立小学校の経営者となっています。儲かるんですねえ。裏庭を見てびっくり!裏はゴルフ場なんです。「近くのゴルフ場」なんてものじゃありません。「家に直結したゴルフ場」です。アメリカにはこのスタイルが多いのですが、各ホールに沿ってグルリと家が建てられています。本当のゴルフ好きが買う家ですね。これが田舎ならリタイアした老人達の家でしょうが、New Orleansへ30分という通勤圏ですから、住人はまだ働き盛りの人が多いようです。

Kathyと旦那Maxie(マキシー、50歳)がこの家に越して来たのはこの七月。家の購入とゴルフ場の会員権は別々だそうで、ゴルフ場の入会金は$7,500($1.00=\110として、約\825,000)で、別途毎月の会費を納めなくてはならないそうです(月額の値段は聞きそびれました)。しかし、36ホールあるコースの会員権としては安いですよね。「資格審査とかあって、すぐは会員になれないんじゃないの?」と聞くと、「建て前はそうだが、お金で何とかなるんだ」とのこと。

アメリカの感謝祭の伝統にのっとり、ローストした七面鳥を頂きました。普通、七面鳥は味気ないので敬遠しているんですが、Kathyの料理は美味しく出来ていました。

食後、Maxieと息子のMichael(マイケル、10歳)と一緒にゴルフすることになりました。ギャラリーとして、うちのカミさんとKathyの客の一人Margaret(マーガレット、70歳)が随いて来ました。時刻は4時過ぎです。

Maxieは引っ越して来てから、週末を除くほぼ毎日プレイしているそうです。「週末しかゴルフ出来ない人がいるから、こっちは平日しかやらないんだ」そうです。私と同じポリシーです。元フットボールの選手なので、いい体格です。「飛ばせば300ヤード飛ぶが、最近は短いバックスウィングにしているから平均285ヤードだ」とのこと。ハンデは8。

Michaelは数回ゴルフ・スクールの講習を受けたそうですが、まだボールをちゃんと打てず、ゴロが多い段階。

どういう風にプレイするかと云いますと、家の裏でゴルフ・シューズを履き、すたすたとNo.6 (Par 4)のフェアウェイに歩いて行くわけです。そこは丁度ホールの真ん中辺なので、バッグを地面に置き、クラブ一本だけ持ってティー・グラウンドに向います。ここでは子供用のティーも用意されていますが、Michaelはレディス・ティーから打たされていました。

「グリーン・フィーを払わないといけないと思うが…」と云うと、「たった数ホールだから必要無い」とMaxieがいいます。感謝祭というのはクリスマス以上の家族の祝日だそうで、どこも遠方からかけつけて来た息子や娘と一家団欒を楽しんでいるらしく、コースには我々しかいません。家々からは「東洋人がプレイしてるな」と丸見えなんでしょうが、正会員が一緒だし、クラブハウスへ行くのも面倒なので、そのままモグリでやることにしました。

プライヴェート・コースだけあってフェアウェイも厚い芝に覆われていて、私には非常にいい気分です。池とバンカーが多いのが気に入りませんが:-)、多分これがこの辺では普通なのでしょう。私はまだ本調子ではないので、あまり感心もされないゴルフでした。しかし、寄せとパッティングだけはいいところを見せることが出来て、一安心。Maxieは運動神経も良く、ベラボーに良く飛びます。そして正確です。ただ、パットが得意でないようで、それが上手ければハンデは5以下になりそうです。

Michaelは私やギャラリーの前でいいところを見せたいのに、ほとんどがゴロになるので大いにくさっています。そこへ親父から「スリー・クォーターだぞ」とか、「よくボールを見ろ」とか、Tigerの親父みたいに厳しい指示が飛びます。同じような注文を何度もされるので、「そう何度も云わなくても分ってるよ」と口答えしていました。しかし、実際には思うように出来ず、頭に来ていたようです。彼のボールが無事に宙に浮かんだり、突然チップインしてしまった時は、ギャラリー一同でやんややんやと褒めそやして上げました。Michaelはもっとやりたそうでしたが、5時近くで暗くなってしまい、4ホールほどで終了。

通常は、Michaelがプレイしたければ親父が付き添う必要は無いそうです。学校から戻って一人でプレイ出来るとか。それだったら、今はゴロが多いMichaelですが、来年は別人のようなプレイをしていることでしょう。そして、五年も経ったら少年の部チャンピオンになっているかも知れません。

これまで御紹介して来たアメリカ・ゴルフ事情には、「日本では想像も出来ない環境のようだ」という御感想を頂いていますが、Michaelの例はその最たるものでしょうね。欧米のプロ達は「両親の家はあるコースの8番ホールのグリーンの裏にあった」などとよく書いてますが、それはこういうことだったんですね。そう珍しいケースではないわけです。こんな風にゴルフに親しんでいれば、そりゃあ一芸に秀でた名人が誕生するでしょう。敵いませんね、全く。

(November 25, 2000)


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