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[食事]

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[・] Super salad

私が初めてアメリカに出張した時に、Hollywood(ハリウッド)のUniversal Studio(撮影所兼テーマ・パーク)へ行きました。現地の方が「ここのサラダはおいしくて有名なのよ」と云うので、そのサラダを注文しました。驚いたことに、それは洗面器の大きさはあろうという器に盛られて出て来ました。とても食べ切れるものではなく、半分食べるのがやっとでした。

同じ出張で、その後中部のSanta Fe(サンタフェ)へ行きました。ここのあるホテルで食事を注文した時、ウェイトレスが"Super salad?"と聞くのです。「スーパー・サラダだって?いくらお薦めでも、どでかいサラダはもう御免だ」と思いましたから、"No thanks."と答えました。そしたら、ウェイトレスはなおも"Super salad?"を繰り返します。コーディネーターの女性が、「スープがいいか、サラダがいいかと聞いてるんです」と通訳してくれました。"Soup or salad?"と聞かれていたのだそうです。「いやあ、また大きなサラダを食わされるのかと思ったもので…」と告白したら、大笑い。

なお、サラダを注文した場合、"What kind of dressing would you like?"と聞かれます。French、Italian、Thousand Island…などの中から選びます。

アメリカのドレッシングの掛け方はかなり盛大で、うんざりしてしまう場合もあります。これに備えて、"Please put it on the side."(ドレッシングは別にして下さい)と頼むと、小さな器に入れて持って来てくれます。これだと好きな量を付けて食べられるので安心です。

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[・] レストランの公式

先ず入り口で案内係がこちらの人数を聞く。単純に"Four."でもいいが、"Four of us."という云い方が英語風。一人なら、"Just one."と云う。

西海岸などでは全く喫煙出来ないレストランもあるが、"Smoking or non smoking?"と聞かれたら、"Smoking, please."とか"Non smoking."とか答える。“ノー・スモーキング” ではなく、“ノン・スモーキング”であることに注意。

ここで正式なテーブルのウェイター(あるいはウェイトレス)が現われる場合と、飲み物の注文だけ取る下っぱのウェイターが出て来る場合と二通りある。"Anything to drink?"という質問に、メニューの"Bevarges"の欄を見ながらビールなりワインなりを頼む。別に無理してアルコール飲料やコークなどを飲む必要はなく、"Just water, please."とお水だけ頼んでも構わない。"Would you like an appetizer with your drink?"と、前菜の希望を聞かれる店もある。

メニューと一緒に"Wine list"(ワイン・リスト)を持って来るレストランもあるし、"May I(we) see your wine list?"と頼まなくてはならない場合もある。高級なお店ではワイン専門のウェイターが来て相談に乗ってくれる。

 

普通はここで、正式のテーブルのウェイターが登場し、自分の名前を告げ、'Today's special'(本日の特別メニュー)を暗唱する。大抵は入り口近くの黒板に書いてあったりするので、順番待ちの時に読んでおく方が賢明。ベラベラまくし立てられても、よく分らない。店によってはバイキング・スタイルを薦めるところがある。“バイキング”を指す言葉は"buffet"(“バフェ”と発音する)。お薦めメニューは"Do you have a recommendation?"と訊ねる。

頃合いを見計らってウェイターが戻って来る。(Are you) Ready to order?(決まりましたか?)

何を食べるかまだ決定していない場合、慌てる必要は少しもないので、"We haven't decided yet. Please give us a couple of minutes."などと答えればいい。もし、メニューで分らない点があれば、この時に質問する。

数名で飲食する場合、"One bill or separate?"(お勘定は一緒でいですか、別々にしますか?)と聞かれるかも知れない。別々の勘定だと不公平になる場合もあり、割り勘でもまとめて貰ってこちらで計算する方が賢明。

オーダーは"lady first"で女性が先。ウェイターはちゃんと女性の近くに行って聞く。これを無視して男性が先に注文するのはエティケット違反。

ウェイターは必ず"appetizer"あるいは"hors d'oeuvre"(どちらも前菜)に関する注文を聞くが、典型的日本人の胃袋は普通メイン・ディッシュだけで腹一杯になってしまうので、無理に前菜を頼む必要はない。欧米では昼食を豪華に食べて、夕食は少なめにするという場合もあるので、別にケチだと思われたりはしない。なお、"hors d'oeuvre"の発音は、英語では「オドーヴ」という感じで「ド」にアクセントを置く。

以下は冒険小説'Atlantis Found' by Clive Cussler (1999)で、主人公がgirlfriendと超高級レストランで食事を注文する場面:

"For the hors d'oeuvres, we'll have your house pâté with truffles, followed by vichyssoise. For the main course, the lady will have the rabbit stewed in white wine sauce, while I'll try the sweetbreads in brown butter sauce."

誰かが自分が食べたいものを先に注文したら、"Make it two."(それをもう一つ)あるいは"I'll have that, too."あるいは"Same for me."(私もそれ)などと云う。

女性やそうお腹が空いていない人が、一人前の料理を二人で分けあって食べても全く問題無いし、サラダだけ食べるのもごく普通。遠慮無く余分のお皿も頼む。

ステーキの場合だと、"How would you like your steak?"(焼き加減のお好みは?)と聞かれる。"Medium rare, please."とか"Well-done, please."などと頼む。

大抵の場合、entrée(肉か魚)を注文すると、サラダは黙って付いて来る。

【参照】サラダについては"Super salad"の項を参照して下さい。

アメリカは御飯の代りにジャガイモを食べるような国なので、ジャガイモも必ずついて来て、数種類の選択肢があるのが普通。"Mashed"、"French fries"、"baked"、"hash browns"(これは朝食用)など。最後のものは千切りにしたジャガイモにタマネギを加えてフライパンで焼いた料理。

コーフィーを注文すると、こちらでは食事中に飲む人もいるので、"Would you like your cofee with or after the meal?"などと聞かれる。

欧米人は料理が到着した人から勝手に食べ始めます。全員分揃うまで待っているなどということはしません。「お先に」などとも云いません。

料理に舌鼓を打っていると、ウェイター(ウェイトレス)がやって来て、"Is everything OK?"と聞いて来る。何か必要なら"Do you have soy sauce?"(醤油はありますか?)とか、遠慮無く注文する。大抵のレストランは醤油を置いている。ただ、キッコーマンであるとは限らない。何も問題無ければ、"Fine."とか"This steak is good!"とか云う。

ウェイター(ウェイトレス)が巡回して来た時に、ほぼ空の皿を見つけると"Are you through?"“アー・ユー・スルー?”と聞いて来る。「もうお済みですか?」と聞いているので、"Not yet."(まだです)とか"Yes."と答える。もし、結構な量が残っていると、向こうから"Do you need a doggie bag?"と聞いて来る。元もとは「犬の餌に持って帰る」という意味でも、ちゃんと人間が食べられるように、スチロールの容器に肉とかライスなどを分けて詰めてくれる。こちらから頼んでも一向に構わない。

食事が終わると「デザートはいかがですか?」と聞かれる。無理して何か食べる必要は全く無い。ちなみに、"desert"(砂漠)と"dessert"(食後のデザート)の二つがあって紛らわしい。"desert"は「デ」にアクセントがあり「デザト」に近く、"dessert"は「ザ」にアクセントがあって「ディザート」。

コーフィーの場合、"Regular or decaf?"(普通のか、カフェイン抜きのか)を聞かれる。"How would you like your coffee?"と聞かれたら、「ミルクや砂糖はどうしますか?」という意味。

デザートを頼むにしろ頼まないにしろ、いずれお勘定の時期になる。ずっと面倒を見てくれていた係りのウェイター(ウェイトレス)に"Check, please."と頼む。

【参照:レストランのチップ

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[・] レストランのチップ

チップというのは日本人には馴染みのない慣習ですし、計算が面倒というのが通り相場です。しかし、慣れてしまえばそう面倒でもありません。ここでは、レストランのチップに限定して触れてみます。

チップは店内で受けたサーヴィスに対しての心付けですから、セルフ・サーヴィスやファースト・フードの店では必要ありません。料理を運んで来てくれ、「何か要るものはないか?」とウェイター(ウェイトレス)が聞きに来るような所でだけ必要です。彼等の固定給は少なく、チップが主な収入源となっています。

原則として、飲食した分の15%が最低、上等のレストランや優秀なサーヴィスであれば20%。税金に対してチップを払う必要はなく、あくまでも「飲食した分」です。仮に、並のレストランで$40.00の食事をしたとしましょう。税金を無視して、$40.00の一割(10%)は$4.00です。さらにその半分(5%)は$2.00なので、合計$6.00がチップということになります。もし上等のレストランであれば、$40.00の二割(20%)は$8.00ですから、これは簡単ですね。

通常の15%以下や小銭を山のように置くのは、ウェイター(ウェイトレス)を侮辱する行為になります。注文を聞き間違えたり、こちらで頼みたいことがあるのにちっとも来なかったりした場合は、その腹いせとして15%以下や小銭を置くのも構いませんが、もうその店に二度と足を運ばない決意をした場合に限ります。

 

現金で支払う場合は、請求額相当分をウェイターに渡し、お釣りを貰って全てが完了した時点で、チップをテーブルに置いて出て来ます。クレディット・カードで支払う場合は、請求書のTips/Misc.とかGratuityという欄に、こちらで決定したチップの額("$6.00"とか)を記入し、全部の合計金額も明記します。常に、悪人が書き換えることが出来ないような策を講じるようにします。

アメリカの日本料理店でもチップが必要ですが、日本語が通じ、日本にいるような錯覚から、ついチップを失念するお客が多いようです。しかし、ウェイター(ウェイトレス)がチップで生活を支えているのは同じですから、レストラン側としてはこういう日本人客は困ります。そこで、「チップを別途お願いします」などと日本語で書いた請求書も見られます。図々しくチップを請求額に入れてしまう日本食レストランもあります。この場合、二重にチップを置くのは馬鹿げていますので、勘定書きはよく点検した方がいいようです。

Los Angelesでの話。仕事をしていた数人で「さぬきうどん」を食べに行きました。サーヴィスするお姉さんたちは全員着物に前掛けという、日本女性ばかりの本格的な店です。各自一品料理を頂いてから、うどんすきを全員でつつきました。堪能して店を出て、いざ車を発進させようとした時、着物姿のお姉さん達が三人も飛び出して来ました。何事かと思って、窓ガラスを下ろしましたら、「あのう、何か粗相がございましたでしょうか?」という質問。「いえ、そんなことはありませんよ」と応えると、「それでしたら、恐縮ですがサーヴィス料が一応15%ということになっておりまして…」と、非常に丁寧なお願い。お勘定をした人にとって初めての海外での仕事だったことと、従業員も日本人ばかりという海外らしくない環境だったため、ついチップを忘れたのでした。彼はすぐさまチップを払いに店にとって返しました。いやあ、ちゃんと支払いに関する助言をしなかった私にも責任はありますが、三人もウェイトレスが飛び出して来るというのは驚きでした。

San Franciscoのある小さなフランス料理店に行きました。味もサーヴィスも結構だったので、この場合最低で15%、気持ちとしては20%上げたいところでした。こちらの会計担当者がお会計を済ませた直後、ウェイター(フランス系アメリカ人)が「次回の参考のために申し上げますが…」と、自筆で書いたメモを見せ、「チップは15%が普通なので、この場合はこれこれの額になります。次回は、是非よろしく」と云って去りました。どうも、こちらが計算間違いをして、10%しかチップを含めなかったらしいのです。サーヴィスが悪い店ならウェイターの態度は不遜と云えるものですが、料理は美味しいし、とてもフレンドリーなウェイターでしたので、こちらとしては大変残念でした。ウェイターを手招きし「我々は次回迄待てないから…」と、会計担当者が$5.00を追加として渡しました。当然大喜び。しかし、わざわざ勘定の他にチップの計算書を用意して来るあたり、この店も日本人客のチップの出鱈目さをわんさと経験しているようです。

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[・] Doggie bag

「犬を入れる袋」ではありません。レストランで食べ切れなかったものを、家に持って帰る場合の入れ物です。"bag"という単語からして、元もとは袋だったのでしょう。で、元もとは本当に犬の餌に持って帰るのが主流だったのかも知れません。カミさんの姉Alison(アリスン)はステーキでもエビフライでも、最初から計画的に食べ物を残し、持って帰ります。彼女の場合は、食いしん坊の愛犬が待っているためです。犬のためなら袋にゴチャゴチャと入れても構わないでしょう。犬も気にしませんし:-)。

しかし、最近の"doggie bag"(="doggy bag")はほとんどスチロール樹脂とかプラスティック製で、ちゃんと駅弁のように仕切りが出来ています。中華料理であれば、御飯、春巻、肉野菜炒めなどが混じらないように詰められます。ということで、これは明らかに人間用です。カミさんも私もあまり胃袋が大きくないので、結構この"doggie bag"のお世話になります。アメリカのメニューはどれも大量ですから、ハンバーガーでもない限り食べ切れないのです。ディナーとしては一見値段が高いように見えても、二度楽しめることを考えれば、結果的にそう高くはないことになります。なお、"doggie bag"を頼んだからと云って、料金を取られるわけではありません。ただ、自分でパッキングしないでウェイター(ウェイトレス)に頼んだ場合、多少チップに色をつける程度です。

カミさんに「どうして日本には"doggie bag"が無いの?」と聞かれました。実はずっと昔からあることはあるんですよね。割烹料亭などで飲み食いすると、ちゃんと仲居さんが銘々の残り物を折り詰めにしてくれました。いえ、これは私の体験ではなく、私の親父がよく折り詰めを持って帰ってくれたので知っているだけです:-)。蒲鉾とか寒天流しを頂くのが楽しみでした。

しかし、日本の一般の食堂、レストランで「お持ち帰りになりますか?」と聞かれたことは一遍もありません。「日本には"doggie bag"が無い」と云うのも尤もです。何故か?私の推理ですが、それは交通手段に原因があると思います。こちらは車社会で、食事にも車で行きます。"doggie bag"を持って帰る際も、車の中には食べ物の匂いが充満しますが、他人には迷惑はかけません。日本では一部の金持ちを除き、殆どが電車、バスで帰宅します。車内のかなりの人数が"doggie bag"を持っていたら、臭くてとても乗っていられないでしょう。和洋中、アジア、中南米などの料理の匂いが混じっているところを想像して下さい。

それと、日本人一般には「残り物を持って帰る」というのがみみっちく映るということもあると思います。アメリカでは衣料品、装飾品、家具、電気製品、ガラクタ、何でもリサイクルする精神があります。日本人には「まっさら愛好癖」があって、古物、アンティークは別として、日用品は新品でなければイヤという傾向があります(私自身がそう:-))。どこの誰かが使ったものか分らないんじゃ、恐くて(不潔で)使えないという理由です。アメリカではリサイクルは当然のことで、ちっとも恥ずかしいことではありません。食べ物だって同じだという意識です。もう一回食べられるんだから、ゴミにしてしまうのは勿体ないというわけです。

まあ、日本の食事に出て来る量は(日本人の体格に合わせて)少ないので、普通は持って帰るほど残らないとも云えます。でも、数人で会食した中華料理などは、お互いの遠慮のせいか折り詰めにしてもいい位残ったりします。あれは勿体ないですね。

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[・] Fishy

カミさんの姉Alison(アリスン)に手作りの巻き寿司とお稲荷さんを御馳走したのですが、巻き寿司を試してみたAlisonは、海苔が"Fishy!"だと云ってそれ以上手をつけませんでした。「生臭い」ったって、New Orleans(ニューオーリンズ)名物の生牡蛎は食うクセにどういうことなんでしょうね。うちのカミさんは日本での生活が長かったですし、結構和食が好きな方です。お寿司も、煮物も、鍋物も食べられます。巻き寿司も問題ありません。しかし、焼海苔そのものはあまり好みません。焼き茄子にかける削り節などは当然駄目です。「だし不要」という味噌を買ってみたら、これも"Fishy!"でした。成分表を見たら「魚粉」という項目がありました。妙なところでやけに敏感です。おでんを作った時に、昆布に加えてかつお節のだしも恐る恐る使ったのですが、これは気が付きませんでした。やれやれ。

なお、海苔や昆布、ワカメなどは辞書では"seaweed"(海藻)となっています。堂々と包装に"Seaweed"と書いた日本製品もあります。しかし、カミさんを始め私の周囲では"seaweed"は「海岸の砂浜にボサボサと生えている雑草」というイメージで、海の底でゆらゆらしている清潔な海藻とはかけ離れいることが判りました。当然ですが、汚くジャリジャリしていそうで、食欲は減退するばかりです。"Sea plant"あるいは"sea vegetable"がベターだと思いますが。どうでしょうか。

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[・] 食卓のマナー

欧米人の家庭に招かれた場合、食卓に座る位置は厳密に決められていることが多いので、「どこに座ったらいいですか?」と聞くか、ホストかホステスの指示を待ちます。信仰心篤い家では食前に(希に食後も)神様への感謝の祈り("grace")を唱えます。全員で手を繋いでみんなで唱える家もあれば、主人役の人物がリードして他は「エイメン」とだけ云う家もあります。この前に勝手に食べ始めたりしないように注意しましょう。ちなみに、カミさんの実家では何の儀式もありません。あまり敬虔な家族じゃないようです:-)。Thanksgiving Day(感謝祭)のディナーの時など、何か無いと寂しいということで、"Good food, good meat, good gosh. Let's eat."というふざけた超特急の"grace"を唱えます:-)。

映画『たんぽぽ』に、盛大にラーメンをすするシーンがありました。あれは欧米人の感覚を逆撫でするシーンだった筈です。太宰治の『斜陽』で描写されていたように、スープは音を立てず、スプーンの端から口に落とし込むのが作法です。ズルズルとスープをすすっても、別に店から追い出されるわけではありません。周囲が白い目で見て、同席の欧米人があなたのことを“育ちが悪く、教養も無い人”と結論づけるだけのことです。

 

当家では、西洋かぶれで無音でスープを飲む旦那と、日本かぶれでズルズルとスープを飲む細君がテーブルを挟んで向かい合っています。奇妙な光景です:-)。

食べ方ですが、ナイフとフォークの使い方は日本人の方が上手です。ホント。日本で以前に教えられていた、フォークの背中にライスを乗せて口へ運ぶなんて、アメリカでもヨーロッパでも見たことはありません。彼等にはそんな器用なことは出来ないようです。フォークを右手に持ち換えてスプーンのように掬って食べるのが一般的です。食べ物によってはフォークだけでは捌き切れないものがあります。こういう場合、素手の左手を応援に繰り出してインチキしている姿を沢山見ています。そこへ行くと、日本人はナイフとフォークだけで(手を汚さずに)食べられますから、彼等より上手と云って云い過ぎではないと思います。

一つだけ違いがあるとすれば、欧米では一旦口に入れたものを再び出さないという原則があります。食べ物を噛み切って半分皿に戻すというようなことはしません。これを守るためには、あらかじめちゃんと処理出来る大きさに切っておかないといけません。また、口にものを頬張って喋るのも御法度です。ちゃんと呑み込んでから話します。「映画で頬張って喋ってるのを観た」というのは口実になりません。映画では人殺しもやっているではありませんか。

食卓に肘をつくのがいけないのは日本も欧米も同じです。アメリカ映画で、家庭で肘をついて食べたりするシーンも無いではありませんが、真似しない方がいいでしょう。食事中、脚を組むのも無作法とされています。食後のデザートの時間になるまで席を立たないのがエティケットだそうで、その際でも隣りの人に"Excuse me."と断って立つことになっています。

日本では人の前に手を伸ばして何か取っても問題になりませんが、欧米では異なります。各人のテリトリがあって、領海侵犯は許されないという感じです。塩、胡椒などが必要な場合、"Would you pass me the salt, please?"(その塩を廻して下さい)という具合に依頼します。お互い様なので遠慮することはありません。塩だけのリクエストでも、塩と胡椒を揃えて渡すのが気が利いたマナーと云われています。

マナーというより自分のためでもありますが、ワイン・グラスや水のグラスに口をつける前には、必ずナプキンで口をおさえる方がいいようです。グラスが食べ物の油でギトギトしているのは見た目も悪いですが、ワインの味を損ないます。

レストランでは、日本のように爪楊枝というものがテーブルに置いてありません。あるとしても、レジの横辺りです。これは、お会計の後、どっか他所で使ってくれということを意味しています。欧米では、口に入れたものを出す、ほじくるというのは人前でやってはいけないことになっています。私個人は、日本流に歯のお掃除をし、お茶で秘かに口を漱ぐ(!)のは健康のためにいいことだと思っていますが、「郷に入れば郷に従え」ですから、欧米ではやってはいけません。「日本料理店、中国料理店ならいいんじゃないか」という疑問もあるでしょうが、店内全部中国、韓国、東南アジアの人ばかりであれば問題ありません。しかし、一組でも欧米人がいれば、止めた方がいいでしょう。

【参照】I enjoyed it. 、ワインを飲む

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[・] ファースト・フード・レストランの公式

ファースト・フード・レストランは店員教育する間もなく辞めて行く人が多いようで、注文の聞き方も個性的(=でたらめ)です。以下は最大公約数ですが、乱暴な店員、丁寧な店員によってかなり表現が異なることをお含みおき下さい。大体のやりとりは日本のファースト・フード・レストランと同じですので、多分類推出来る筈ですが。

大抵のお店は"Combo"とか称して、メインの食べ物に飲み物、添え物(サイド・オーダー)をセットにしたお徳用メニューがあります。自分の番になる前に、店員の後ろの壁のメニューで確認しておきます。自分の番になると、

"May I help you?" or "What do you want?"
…などと聞かれます。メニューを告げると、

"For here or to go?" or "To go or (eat) here?"
これは「お持ち帰り用ですか、店内で食べるんですか?」という質問。持ち帰る場合は袋や容器に入れなければならないので、店員にとっては重要な質問です。

SUBWAY Sandwitch(サブウェイ・サンドイッチ)などは、先ずメニュー、パンの種類(白、ブラウン等)を聞く係が土台を作り、それを別人にパスして中身(野菜、辛子など)を詰めます。ですから、最初に野菜、辛子の種類などを告げても聞いてくれません。

 

サンドイッチやハンバーガーを頼む場合、「何と何を入れるか?」という質問が続きます。

"What would you like (on your burger)?"
…これには、"Everything."(全部)あるいは"Everything but pickles."(漬物以外全部)という便利な表現があります。店員によっては、

"Do you want that dressed?"
…と聞くかも知れません。ここで"dressed"は“正装した”という意味で、スタンダードな「タマネギ、レタス、トマトを入れますか?」と云っているわけです。上のものに漬物を足したければ、

"Yes. I want to have pickles, too."
…などと答えます。“スタンダード”と云いましたが、うちのカミさんの経験ではNew Yorkのdiner(ダイナー=個人経営の簡易食堂)でハンバーガーを注文したら、単にパンとハンバーガーだけ来たそうです。他には何にも無し。New Yorkのdinerでは"dressed"も何も無く、「タマネギ、レタス、トマト…」と含めたいものを一つ一つ注文しなければいけないそうです(店にもよるでしょうが)。こうしたトラブルを防止するには、

"How does it come?"(どんな風に出て来るの?=何が含まれているの?)
…と聞く必要があります。

皆さんに試して頂きたいのが'Popeyes Chicken'です。アメリカ南部が発祥で、全米各地にあるわけではありませんが、大都市には大体店を出しているようです。鶏の唐揚げですが"spicy chicken"(辛い唐揚げ)があること。これが美味しいのです。KFCにも"spicy"がありますが、あんな腑抜けた味ではありません。日本では米軍基地内にしか存在しませんが、お隣りの韓国には170店舗もあるそうです。さすがキムチの国、辛い唐揚げが大受けのようです。'Popeyes Chicken'で唐揚げを頼むと、

"Spicy or mild?"
…と聞かれます。是非"spicy"をお試し下さい。なお、この店の"Popeye"は漫画のポパイではなく、映画『フレンチ・コネクション』でGene Hackman(ジーン・ハックマン)が演じたドイル警部(愛称:ポパイ)から来ています。創業者がこのキャラクターのファンだったからだそうです。これは私が'Popeyes Chicken'の本社から直接聞いた話で、アメリカ人も普通知らない事実です。なお、'Popeyes Chicken'であって's(アポストロフィーS)にならないのが正式名称。随分、細かい話をしてますね:-)。

"Side, please." or "What kind of side dish?"
コールスロー、フレンチ・フライ、オニオン・リングなど、そのお店が提供するサイド・オーダーの中の一品(お店によっては二品)を指定します。"Combo"には自動的にサイド・オーダーが付いて来ますが、そうでない場合は料金が加算されますから無理に注文する必要はありません。

"Anything to drink?" or "What kind of drink?" or "Do you want a drink with that?"
飲み物の指定です。私はゲップの出易い炭酸飲料を避け、大抵はアイス・ティーを頼みます。コーラに較べればアイス・ティーの方が身体にいいような気がします。アイス・ティーは"iced tea"と云うのかと思うと、アメリカではどこでも'ice tea"です。ファースト・フード・レストランには大抵ある筈です。なお、アイス・ティーを注文すると、

"Sweetend or unsweetened?"
…と聞かれます。「甘いのがいいか、甘くないのがいいか?」という質問です。甘いといっても人工甘味料ですから、余計な糖分摂取を心配する必要はありません。セルフサーヴィスで人口甘味料を足さなければならないお店もあり、この場合、上の質問は省略されます。

アイスクリームやmilkshake(ミルクシェイクであってミルクセーキではありません)を頼む際、"vanilla"は避けて通れません。オーストラリアでmilkshakeを頼んだ時、店員の発音が「バナナ」に聞こえてしょうがありませんでした。逆に云えば、日本人が「ヴァニラ」でなく「バニラ」と発音したら、向こうは「バナナ」と勘違いするのではないでしょうか?

"(Will) That be all?"(それで全部ですか?)
…という問いに、それで終りなら、

"That's it."(それだけ)
…と答えます。

目の前で注文を完結してくれるお店もありますが、サイド・オーダーを作るのに時間がかかる場合は、

"Ticket number 1248."
…などと云いながら、レシートをくれます。確かにレシート番号は1248なのですが、お店によっては最後の二桁だけしか読まないでお客を呼ぶところがあります。要注意です。

蛇足ですが、ファースト・フード・レストランではチップは要りません。

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[・] ワインを飲む

本当のワイン好きは赤の芳醇な味を楽しむそうです。私はよく冷えた白の方が好きなので、本当のワイン好きには入らないようです。

映画『007/ 危機一発』('From Russia with Love')に、ボンドが英国諜報部連絡員に化けたロシア側の殺し屋(Robert Show)と列車食堂で食事する場面があります。全員平目の料理を注文しますが、殺し屋はわざわざ赤ワインを頼みます。料理とワインの相性から、魚料理には白、肉料理には赤がぴったりとされています。後に殺し屋が正体を現した時、ボンドは「そうか、魚料理に赤ワインを頼んだ時に気がつくべきだった」と悔やみます。私は殺し屋ではありませんが体裁を気にしなくていい場合は、肉料理であっても好きな方の白を頼みます。「定番を知らないヤツ」と軽蔑されるのも癪だという状況では、どちらともつかないロゼ(ピンクのワイン)を頼みます。これならどこからも文句は出ません:-)。

いいワインを飲む場合は"Can I see the wine list?"とワイン・リストを頼みます。手軽に飲みたい時は"Do you have house wine?"あるいは"Can I have glass wine?"と聞き、赤、白、ロゼのどれかを指定します。なお、ロゼは葡萄の銘柄に由来する"White Zinfandel"(ホワイト・ズィンファンデル)と総称されています。最近の私のお薦めはCaliforniaのBeringer(ベリンジャー)製"White Zinfandel"です。さっぱりとした中にほんのりとふくよかな味があり、しかも安いので人気があるようです。

ウェイターによっては"We have Cabernet Sauvignon, Chardonnay and Pinot Noir."とか挙げてくれる人もいます。ちゃんと聞かずに「白は無いの?」と問い返して、カミさんに「Chardonnayは白じゃないの」と馬鹿にされたことがあります。半可通をさらけ出したような大失敗:-)。

いいレストランでワイン・リストを頼むと、リストと一緒にソムリエ("sommelier"、ワイン専門のウェイター)が出て来ます。味の好み(フルーティとかドライなど)と予算を告げれば、いくつかの候補を挙げてくれます。

ソムリエにしろウェイターにしろ、ワインを注文した人がホストであると想定するようで、ラベルの確認と味見の儀式は注文した人の担当になります。こちらが場馴れしているかどうかの態度によって、どの程度のランクの客か先刻バレバレですので、無理に格好をつける必要はないと思います。“儀式”と云いましたが、味見も儀式だと割り切った方が簡単です。「これは良くない」と云えるには相当なワインの知識と、ちゃんとした理由が無くてはならないでしょう。安いワインに重々しく頷いたり、異常に褒め上げたりするのも滑稽です。単に"Good. Thanks."とシンプルに云えばいいと思います。

私は白ワインではオーストラリアのRosemount EstateによるRhine RieslingかTraminer Riesling(最近出廻っている、二種類の葡萄をミックスしたもの)が好きです。フルーティで爽やかな中にコクがあって美味しい。

オーストラリアの砂漠地帯で世界最大の一枚岩Ayers Rock(エアーズ・ロック)を撮影した時のことです。取材の協力者であった「豪日基金」のオーストラリア人代表が、視察を兼ねて慰問にやって来ました。ある晩、スタッフ全員がAyers Rock周辺で一番いいレストランに招待され、代表が「今晩は豪日基金が皆さんに御馳走します。お好きなものを飲み、食べて下さい」と挨拶しました。「ワインは何がいいですか?」との問いに、私は間髪を入れず「RosemountのRhine Riesling」とリクエストしました。飲み、かつ食べ、また飲み…しかし、不思議なことにワインが全然減らないのです。「もうこの辺で終りだろう」と、切りよくボトルを飲み干した筈なのに、いつの間にか忽然と分量が増えているのです。後で聞いた話ですが、豪日基金の代表は「絶対にワインを切らすな」とウェイターに云い含めてあったのだそうです。だから終りは絶対にやって来なかったのでした:-)。翌日、私の二日酔いはひどいものでした。Ayers Rockの夜明けの撮影があり、「プロなんだから二日酔いだって撮らなくちゃ」と現場までは行ったのですが、頭を水平から上に上げるとズキンズキン痛んでとても仕事になりません。この朝の仕事は一緒の若いカメラマンにやって貰ってしまいました。お恥ずかしい。ワインに呑まれたという御粗末の一席でした。

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[・] 冷やそうめん

昼飯時に突然のお客(アメリカ人)があり、何も用意していないので冷やそうめんでもてなそうとしました。「"Japanese cold noodle"はどうか?」と聞いたら、お客は不安げにモジモジ、カミさんも「なに、それ?」という感じで私を見返します。麺を見せ、調理法を説明してやっと納得して貰えました。

"Cold noodle"と云うと、残り物の冷えたスパゲティか何かを連想するようです。そう云えば、欧米に冷えた麺類は無いですもんね。

「冷やそうめん」の場合、"Japanese angel hair served on ice comes with soy sauce dip"とか云えば良かったのかも知れません。相当涼しそうではありませんか。"Angel hair"はそうめんほど細くはないものの、極細のパスタです。

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[・] Turnip green(艶笑小咄)

カミさんの父親Stacey(ステイシー)の十八番の艶笑小咄。「田舎の百姓の一軒家に客が訪れた。道に迷って日が暮れてしまったので泊めてほしいと云う。窮屈でも良けりゃ…と、主人は快く承諾した。家族は主人夫婦と年頃の娘の三人。その晩の御馳走はturnip green(カブの葉っぱ)の煮物。とても美味しかったので客人はむさぼり食ったそうな。夕食が終ると、主人は客にこう云った…余分のベッドが無いので、娘のベッドを二人で使って貰う。あんたはこっちの半分。手でも足でも一寸でも娘の方に出てはいけない。もしそんなことをしたら只では済まさない、と銃を見せて脅した。客人は娘と一緒にベッドに入ったが、二人とも眠れない。そのうち主人夫婦の安らかな寝息が聞こえて来た。娘が客に云った、両親は寝ちゃったわ。もう何をしても大丈夫よ。客が聞き返した、本当にいいの?娘はコックリした。客人はソーッと起き上がると、そのまま台所へ行き、残りのturnip greenを食べ始めた」Staceyも今は亡き人になってしまいました。

"Turnip green"は"Collard green"(ケールの一種の葉っぱ)と並んでアメリカ南部の代表的野菜です。特に黒人たちに好まれるようです。

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[・] Snow cone(スノー・コーン)

日本の夏は「金鳥の夏」ですが、「氷」の旗がひらひらする「かき氷の夏」でもあります。こちらでもかき氷はあるのですが、大分様子が違います。先ず座って食するようなお店では売っていません。大抵街角のスタンドで、学生アルバイトが販売しています。アイスクリームが"cone"(とんがり帽子)に入れて"icecream cone"として云われているのに対応して"snow cone"と呼ばれていますが、実際にはプラスティックのカップに入っていてとんがり帽子ではありません。大・中・小とサイズを選べます。シロップですが、日本の五〜六種類の選択肢に較べると数が段違いで、50種類はあろうかというヴァラエティです。青く毒々しい「バブルガム」なんてのもあります。私は無着色の「ココナッツ」しか食べません。

『メニューインと100人の子どもたち〜アジア・ユース・オーケストラ』(1991)という番組の撮影を担当したことがあります。ヴァイオリニストのユーディ・メニューインは、晩年に青少年音楽家の育成に努めました。アジア・ユース・オーケストラは、アジア各国から選りすぐられた青少年が熊本で彼の指導を受け、数週間後には熊本、東京、台湾などで演奏旅行するというものでした。

 

熊本での練習が始まる前に、シンガポール、フィリピン、台湾からの参加者を訪ね、彼等の家庭、意気込み、お国ぶりなどを撮影することになりました。マニラ(フィリピン)ではフルート奏者として参加する青年ラミル(大学一年生)がターゲット。先ず、ラミルの学校生活と友人たちとの語らいなどを撮影。彼のお母さんは町の市場で食べ物を売っているのですが、蝿がぶんぶんしているので、しょっちゅうウチワで扇いでいなければならないような店。ラミルが放課後に店を手伝っている様子、ラミルが家で近所の子供達にトランペットを教えるシーンなどを撮って、これで終了となり機材の後片付けを終えた時のこと。ラミルのお父さんが我々に"snow cone"を勧めてくれたのです。貧しい家ですから我々TVスタッフ四人(+通訳一名)に"snow cone"を買って来てくれたのを断るわけには行きません。仕方なく食べました。

実は「東南アジアでは生水は禁物」というのはカメラマンの常識でした。氷の原料は水です。少年の家族への気遣いなどせず、「親の遺言で私は"snow cone"を食べないのだ」とか云うべきでした。結局スタッフ四人ともお腹を壊したのですが、私が一番重く、絶食しても治らず、数日後に熊本に移動しても快方に向いませんでした。しかし、撮影はしなければいけません。朝一番に病院で点滴(栄養補給)を受け、10時にはオーケストラ練習場で撮影に臨むという毎日となりました。

アメリカの水はどこでも大丈夫で、"snow cone"もOKです。しかし、東南アジアやインドなどでは、一見綺麗に見える氷、かき氷も口にしてはいけません。折角の旅行が台無しになります。

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[・] 和食への招待

英米人を自宅や日本食レストランに御招待する時の御注意です。

英米で御飯を日本のようにバクバク食うということは、普通ありません。日本人にとっての御飯は量的にも質的にも御料理、惣菜とイクォールで、御飯をお代わりしてでも料理の量とのバランスを取ります。

英米でも中華料理店で白御飯あるいは炒飯を食べることはありますが、食べ方としては付け合わせでしかありません。こちらで御飯に相当するものはジャガイモです。ベイクト・ポテイトゥ、マッシュト・ポテイトゥ、フレンチ・フライズなどが代表です。英米人にとって御飯は、日本の御弁当、駅弁などに入っているスパゲティかマカロニみたいなものだと思います。重要なものではないのです。

当家で日本食を出す時に、かなり軽くよそったつもりでも、大抵の英米人は御飯を残してしまいます。日本人の三分の一でいいようです。カレーライスのようなものでも御飯を残す人が多く、こちらはびっくりするやら勿体無くてガッカリするやらです。

また、彼等の多くは御飯茶碗に御飯粒を沢山くっつけて残しがちです。箸を使って食べられる英米人でも、御飯粒を一つずつつまんで綺麗にするというのは至難の技のようです。「私がそういうことをすると、母が『お百姓さんに済まないでショ』と云ったものだ」などと云うのは、話としては面白い材料ですが、目の前の英米人を恥じ入らすだけでしょう。それよりも、御飯粒がくっつかないように、水道の水で御飯茶碗を一寸湿らせてから御飯をよそうなどの配慮をして上げる方が親切です。

英米人は食べたくないものは食べません。御招待であろうが、手作りであろうが、自分の舌に合わなければ残します。義理で食べるということはしません。また、お腹一杯になれば、後は食べません。折角作ってくれたのに残しちゃ悪いなどとは考えません。無理強いは嫌われますから止めましょう。

逆に云えば、彼等から食事に招待された時に、我々も無理に食べなくていいということです。「それは嫌いである」、「もう満腹である」と端的に宣言すればいいのです。

日本人は「御飯と味噌汁はセットである」と思っていますが、これは英米人には通用しないようです(日本での暮しを経験した人、日本食レストランに慣れた人は別)。基本的には英米ではスープはメイン・ディッシュの前に出ます。メイン・ディッシュと味噌汁(スープ)を一緒に飲むというのは、初めての場合、相当とまどうようです。さらに、味噌という不可思議なものに加え、不透明な汁の中に沈んでいる未確認物体も不気味かも知れません。御飯同様、味噌汁もお椀半分くらいにして、「気に入ったらお代わりをどうぞ」と云う方が賢明です。

英米人も生牡蛎はバクバク食うのですが、寿司や刺身の話をすると「魚を生で食うなんて、とんでもない!」とオエッと云わんばかりの拒否反応を受けることがあります。勿論、欧米での寿司屋、日本料理店の繁盛を見れば、こういう反応が単なる食わず嫌いであるのは間違いありません。まあ、アメリカは広大なので、新鮮な魚が手に入らない時代の先入観が抜けないのでしょう。というわけで、いくら新鮮だと力説しても、食わない人は絶対食べません。これも無理強いはいけません。

『国際人の英語』(多賀敏行著、丸善ライブラリー)にゴボウの話が出て来ます。ある高校の英語の先生が「英語を中途半端に覚えると命を失う。真面目に勉強せい」と、次のような話をしたそうです。太平洋戦争中捕虜になっていた米兵に、日本兵が豆腐とゴボウを御馳走した。彼は「豆腐は腐った大豆であり、ゴボウは木の根である。食え!」と云った。戦争中の外地の食べ物としては御馳走だった筈ですが、この説明では拷問のように聞こえたでしょう。終戦後、この日本兵は捕虜に強制的に腐った豆と木の根を食べさせたとして、死刑を宣告され処刑されてしまったそうです。この兵隊さんには気の毒ですが、その後数十年経ってアメリカの食料品店でも"tofu"や"gobo-root"が売られるようになっています。もう、無理に英語で説明する必要もありません。

しかし、どういう料理か説明しないとお客様(英米人)が選択出来ません。カミさんの家族に何か日本食を作って御馳走したいと考え、カミさんに「あれがいいか、これがいいか?」と相談しますと、カミさんが訳知り顔に家族に説明を始めます。聞いていると、似たような洋食になぞらえて喋っています。全く、違うイメージの説明を鵜呑みにされて毛嫌いされても困るし、変な風に期待されても迷惑です。私が割って入って解説をやり直ししなければなりませんでした。

必要な要件は、
(1) 素材(肉、魚、野菜、麺、豆腐など、主たる材料)
(2) 調理法(煮る、蒸す、焼く、揚げるなど)
(3) 味付け(醤油味、ソース味、辛い、甘い、酸っぱいなど)
…という三点ではないでしょうか。どうせ彼等には本当のイメージは掴めないので、骨格だけ伝えるのが正解だと思います。ある本の「水炊き」の項に"Chicken and vegetable cooked in a pot at the table"という説明がありましたが、これでは味について全く想像出来ません。

なお、別項の「奢る」を参照頂きたいと思いますが、英米人に御馳走しても返礼としての招待を期待してはいけません。彼等には貸し借りの思想はないのです。こちらの御招待はこちらの自由意思で行ったものであり、向こうがこちらを招待したくなるかどうかも、向こうの自由意志です。私はアメリカで結構何度もアメリカ人を食事に招んでいますが、「今度は当家へ」というお誘いを受けたことは一回もありません。

【参照】Fishy奢る、タイヤを食べる(未リンク)

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[・] パーティ

パーティに招待されたら、必ず服装について聞きましょう。一人だけ正装していても、逆に正装の中に一人だけカジュアルでもいたたまれない数時間になります。

もう一つ、パーティの形式も尋ねます。それが"potluck party"(ポットラック・パーティ=御料理持ち寄りパーティ)であれば、ホステス(主催者)の希望を聞きます。サラダ、肉類、デザート、ワイン、コークなど、ヴァライエティのために必要なものがあればリクエストされるでしょう。お任せであれば自分の得意料理とか、KFCのフライド・チキン(これは怠惰な性格を露呈する選択です)、あるいはワインなどを携えて行くことになります。全員が何か持参しますから、量はそう多くなくて大丈夫。大皿に載る程度が適当です。

単なるお招ばれでもそうですが、定刻より5〜10分ほど遅れて行きます。ホステスは準備に追われて、定刻直前になって着替えたりすることが多いからです。

ホステスは自慢の家を案内して見せてくれます。その中で必ずお手洗いの場所を教えてくれます。これが一番重要な情報です。

 

ついでですが、お手洗いのドアは使用後には必ず開けておきます。これが「空き」のサインなので、閉めてあると「使用中」とみなされ、意味も無く多くの人々を待たせてしまいます。大抵の浴室には「エアー・フレッシュナー」といったスプレーがある筈です。後の人のために、遠慮無く使いましょう。

ホステスしか知人がいないからと、ホステスを長く引き止めてお喋りしてはいけません。彼女は状況をチェックし全体を活気づけるのが役目なので、一個所に留まっていられないからです。他の客もホストかホステスしか知らず、お互いは見知らぬ人同士なので条件は同じです。

ホステスは客の中を回遊して、話の合いそうな人同士を紹介します。欧米のパーティは人脈を増やすというのが一つの目的でもあるので、積極的に自分のことを話し、相手のことも尋ねましょう。いきなりWで始まる質問の連打では刑事の職務質問みたいになってしまいますから、とりあえずホストやホステスとの関係(ゴルフ仲間であるとか、ビジネス上のつきあいとか)を話すのが突破口です。お互いに関心のあることが必ず出て来る筈で、それを広げて行きます。さりげなく、会話に自分が関心のある分野のキイ・ワード(インターネット、旅行、スポーツなど)を散りばめて、相手の反応を伺うというのもいい作戦です。

興味深い人物と話したら、必ず名前を覚えましょう。ホステスの紹介を忘れてしまったら、「もう一度名前を教えて」と頼みます。後で連絡したくなった場合でも、名前が分ればホストやホステスに聞けますが、名前無しでは望み薄です。私的なパーティで名刺の交換というのは普通行ないませんが、いけないわけではないので、連絡を取り合いたいのであれば渡しても一向に構いません。

最初は飲み物だけ出ていますが、頃合いを見てホステスが「皆さん、食べ物を取りにいらっしゃい」と声をかけてくれます。バフェ・スタイルだと一列か二列に食べ物が並んでいます。レディ・ファーストが普通なので、先に女性に譲ります。レディ・ファーストではないと見極めがつけば、女性の前に並んでもいいでしょう。

主催者の方針によって違いますが、立食もあればテーブルに座って食べる方式の場合もあります。いずれの場合も、黙々と食べるのではなく、同席の人々の話題に参加するか、自分から話題を提供するようにしたいものです。ホステスが廻って来たら、気に入った料理を挙げて感謝します。彼女の料理であれば大喜びでしょうが、そうでなくても、「あ、それは誰某さんが持って来てくれた御料理。彼女に伝えますわ」などと云ってくれるでしょう。誰某さんも喜ぶという結果になります。

クリスマス・パーティだと、食後にホステスのピアノで賛美歌を合唱したりする場合もあります。私は全然歌えませんが、アメリカ人は日本人はみな仏教徒だと思っているので、問題ありません:-)。

食事が終るとそそくさと帰る人々もいます。"I hate to eat and run, but I have to leave."(食い逃げみたいでイヤだけど、でも帰らなくちゃならないの)などと云っていますが、まあ、あまり礼儀正しい行動には見えません。

"Potluck party"の場合、自分が持って来たお皿などを忘れないで持ち帰ります。売れ行きが悪く、大量に食べ物が残っている場合もあります。ホステスが欲しがれば、中身を別皿に分けますが、希望が無ければ自分の持って来た料理は自分で持って帰ります。

ちゃんとホステスとホストに楽しい一夜の礼を述べ、他の人々にもサヨナラ(祝日ならそれに相応しい言葉)をかけて辞去します。ワインを呑んでいたら、安全運転をお願いします:-)。

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[・] ノーマル・コーフィー

オーストラリアの砂漠地帯を撮影した時のことです。毒蛇やタランチュラなど野生生物の専門家Mike(マイク)に協力して貰いました。撮影の合間、Mikeが「家にお茶を飲みに来ないか?」と云うので、一行五人ほどでお邪魔しました。

Mikeが一人、一人にコーフィーの好みを聞いて廻ります。"How would you like your coffee?" ブラックがいいか、普通のがいいかということですね。あまり英語が得意でない同僚のところにもやって来て、同じ質問。私が、「どういうコーフィーがいいか、聞いてます」と助け船を出すと、彼はMikeに向かって"Normal."と答えました。しばし、呆然としていたMikeは"You mean 'regular?'"と尋ね、"We don't have any abnormal coffee."と云ってワハハと笑い出しました。私もつられて笑ったのですが、我が同僚だけキョトンとしています。「“普通の”コーフィーは"normal"(正常な)でなく"regular"と云い、彼は“アブノーマルな(異常な、変態の)”コーフィーは持ってないそうです」と通訳しました。

しかし、その後(今でも)私は、Mikeと一緒に笑ったことを後悔しています。"Normal."と答えた彼にとって、我々の笑いは屈辱的だったでしょう。これがトラウマ(精神的外傷)になって、彼が英会話恐怖症になったとしたら、それは我々の責任です。逆に発奮してくれていればいいのですが。

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[・] タイヤを食べる

アメリカ人に豚汁を御馳走しました。豚汁に刻んだコンニャクは欠かせません。「これは何だ?」と聞くので、「コンニャクという野菜が原料の食べ物である」と説明しましたが信じて貰えません。「随分"chewy"(チューイィ)だね」とクチャクチャやっています。そう云えば、イカなども"chewy"だと文句を云われます。チューインガムを発明した国なんですから、慣れてる筈でしょうにねえ。

そこで、「コンニャクはFirestone(ファイアストーン)が作ってるんだ」と云いました。Firestoneはアメリカの大手タイヤ・メーカーです。この時の彼は「Michelin(ミシュラン)かと思ったよ」と大笑い。ミシュランはフランスに本拠を持つ世界的タイヤ・メーカー。

そう云えば、レアに焼いて貰ったステーキだって"chewy"ですよね。ステーキには文句を云わず、イカやコンニャクに文句を云うのは差別です。こういう人々にスルメなんか出したら、どうなるんでしょう。

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[・] Dry county

『マディソン郡の橋』という小説・映画のタイトルでお馴染のように、こちらにも郡というのがあります。私の町Meridian(メリディアン)はLauderdale county(ローダーデイル郡)の一部です。しかし、これは選挙をはじめとする行政面での区画で(車のナンバー・プレートには郡の名前が表示されています)、郵便の宛先等には使用されません。日本の郡の名前は比較的大きい町の名をとることが多いようですが、Lauderdaleというのはチッポケな町です。実質的な役所などもみなMeridianにあります。

さまざまな郡に隣接しているわけですが、すぐお隣にClark Countyというのがあり、ここの湖の宿泊施設に、New Orleansからカミさんの友人達を呼んで三日ほど滞在したことがあります。食料品を買い出しに、近くのスーパーへ行ったカミさん、「ここはドライ・カウンティだわ」と戻って来ました。この郡ではまだ禁酒法(?)が施行されていて、ビールもウイスキイも売ってないのです。Meridianはすぐ近くなので、呑みたい人はそっちで買えばいいのですが、随分お固い郡ですね。

40分ほど離れた町Forest(フォレスト)に出来る、ある日系自動車部品工場の鍬入れ式に出席しました。日系企業ですから樽酒をいくつか用意し、鏡開き(蓋を割る儀式)の後、参会者全員に舛酒を振る舞う予定のようです。しかし、聞くところによればこのForestを含むScot county(スコット郡)はドライ・カウンティなのです。関係者は「この鏡開きの瞬間だけはドライじゃなくなって、大丈夫だそうです」と云っていました。これが町の片隅でひっそりと行なわれる儀式であればいいでしょうが、州知事も来賓として出席しているので、TV局が数社来て祝辞などを撮影しています。珍しい鏡開きという儀式は絶対撮るでしょう。勿論、ドライ・カウンティでは酒を売ってはいけないだけで、呑むのは一向に構いません。しかし、知事や市長がドライ・カウンティで舛酒を呑んでいる姿を放送されていいものでしょうか?住民は何と云うでしょう?顔見知りのForestの役人に私の心配を告げると、「OK. 任せておけ」と応え、どうやらTV各社のカメラマンに因果を含めることにしたようです。

ところで、こちらでLiquor storeという看板は一般的ではありません(大都会は別)。Meridianの酒屋は概ね"Package store"と呼ばれていて、看板もそう書いてあります。当市に酒屋は13軒ありますが、"Liquor store"と名乗っているのは一軒だけで、残り12軒は"Package store"です。しかし、電話番号簿の分類は"Liquor store"であって、"Package store"というのは項目すらありません。妙なものです。"Package"の由来ですが、カミさんの説明ですと「酒の瓶を衆人に見せないように茶色の袋に包んで売ったから…」だそうです。今も茶色の袋に包んで売っています。これも禁酒法時代の遺物のようです。

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[・] Hot

"Hot"には「熱い」、「暑い」、「辛い」、「最近の」(例:ホット・ニュース)など、実に多様な意味があります。

食事している場合、"It's hot!"と云うと、これでは「辛い」のか「熱い」のか分りません。同席の人から"Spicy hot?"(辛いの?)とか、"Temperature hot?"(熱いの?)と聞き返されます。日本語でも同音異義語は沢山ありますが、"hot"は英語の中の代表です。

Internetで、見出しに"New"とか"Hot"などの文字やアイコンを付して、最新の情報であることを表示しているサイトが少なくありません。あるサイトでは、赤いトウガラシのアイコンを使っています。「ホット(最近の)」と、「ピリピリ辛いトウガラシ」の語呂合わせを使った例です。

クイズなどで、解答者が正解に近い場合"warm"と云い、かなり近い場合"hot"と云います。反対は"cold"です。カミさんがガレージ・セールをやった時に、一連のピンク色のポスターを電柱に貼って歩きました。家から遠くの電柱には、"Garage Sale"、やや近所には"You are getting warmer."(近いです)、非常に近いところには"You are getting hot!"(すぐソバ)。訪れたお客達も、このユーモアを喜んでいました。

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[・] ホモ牛乳

[Homo milk]

日本のある英単語本に『Homo牛乳は「ホモの人のためのミルク」?』という記事があり、「日本へ来たアメリカ人がhomo milk(ホモ牛乳)を見ると、ホモ(同性愛)の人たち専用のミルクかと首をひねっても不思議ではない」と書かれていました。語源となった"Homogenized milk"はクリームが浮いて固まったりしないよう、脂肪を分解して均質にした牛乳だそうですが、この本では「しかし、ホモと短縮形にしてしまうと、英語のなかで使っても全く通じない」という注意書きがあります。

この筆者はアメリカの複数の大学院を出ている方ですので、読者を信じさせるに十分な経歴です。しかし、アメリカにもHomo牛乳はあるのです(上の写真参照)。つまり、この筆者はたまたま留学中にHomo牛乳を見なかったか、その存在に気付かなかったのでしょう。日本に戻って数十年、たまたま日本のホモ牛乳を目にし、語感からいって「こんなものアメリカにあるわけない」と断定したのだと思われます。

私にはこの筆者を貶すことは出来ません。私だって、この広大な国のごく一部で生活しているに過ぎず、50のうち訪れた州は数えるほど(21州)に過ぎないのに、「アメリカではこうだ」などと書いているからです。読者の皆さんは、こういう筆者群(私を含む)を100%信じてはいけません:-)。

なお、上の筆者もインターネット全盛の昨今であれば、あのような記事を書かなかったでしょう。サーチ・エンジンで"homo milk"を検索すると、子育てや料理の記事に"homo milk"は沢山登場します。カナダにも"homo milk"があることが分ります。なお、アメリカでは同じものを"whole milk"と呼ぶことが多いそうです。日本の有名な「森永ホモ牛乳」は無くなったようですが、生のままの「ノンホモ牛乳」がもて囃されていることも分ります。

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[・] 断食

当市に三つある大病院は、それぞれ年に一回ほど無料健康診断サーヴィスを実施します。私は健康保険が無いので、こういう催しは逃さないようにしています。これまでにもコレステロールの検査とか直腸ガンの検査などに行きました。

最近、ある病院の「心臓チェック」という新聞広告を見つけ、さっそく電話予約を入れました。その広告には次のような注意がありました。

"Participants are encouraged to fast 10 to 12 hours prior to testing."

"Fast"というと形容詞の「早い」、副詞の「速く」しか知らなかったので、一瞬「なにこれ?」と思いましたが、血液検査があるのなら朝食抜きで臨むのが常識ですから、全体は「テスト前12時間は飲食しないように」だと見当がつきます。

辞書で"fast"を引くと、「早い」とは別に「絶食する、断食する」という動詞が出ています。ついでに"breakfast"を見ると、【中期英語 'break one's fast'(断食を中断する)の表現から】とありました。そうだったのか。寝ている間、我々は断食しているわけですね。寝ながらムシャムシャ何か食う器用な人もいないでしょうが:-)。

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[・] サラダ

カミさんはカツレツが大好きです。東京・西麻布にいた時分、「三河屋」という美味しいトンカツ屋さんに行くと、私はトンカツ、カミさんはチキンカツを注文するのが常でした。

ある日、ニュー・オーリンズから当市へやって来たカミさんの姉さんAlison(アリスン)をもてなすことになり、私がトンカツを料理しました。もう間もなく調理を終えるという段取りの頃、カミさんが「サラダはどうするの?」と聞きます。私は「キャベツの千切りだよ」と応えました。当然です。カミさんは「えーっ、キャベツだけ?!」と大袈裟に驚きます。日本流の付け合わせはキャベツの千切りであり、彼女もそれに慣れているのに、一体どうしたのだろうと思いました。Alisonは我々の顔を見比べて、怪訝な顔をしています。

カミさんも日本にいた時や私と二人の時は、日本流のキャベツの千切りだけで当然と思っていたのですが、この時、初めて姉さんの目を通してトンカツ料理を考えたわけです。欧米の料理の場合、レストランでも家庭でもサラダは必ず出ます(ファースト・フードの場合を除く)。ロメイン・サラダ以外は、普通数種類の色とりどりの野菜を組み合わせたサラダです。これに比較すると、キャベツの千切りというのはあまりにも貧弱でサラダとは云い難い。姉に対する見栄から、カミさんは突如日本の伝統を忘れたふりをし、私を裏切り、大仰に驚いて見せたわけです。で、私がトンカツの仕上げをしているそばで脱兎のごとくサラダ作りを始め、食卓に間に合わせたのでした。

アメリカ旅行をされた方は、アメリカの日本料理店で日本にない慣習が根付いていることに気がつかれたはずです。それはお寿司を注文してもサラダが出て来るというシステムです。麺類以外の注文には大体サラダと味噌汁がセットになっていて、注文しなくても出て来ます。それは上のように、料理の前に必ずサラダを欲しがるアメリカ人の嗜好が影響しているわけです。多分、同じことはヨーロッパ、オーストラリアにも云えるでしょう。

教訓:もし、アメリカ人をお宅にお招きしてトンカツを御馳走する場合、キャベツの千切りだけではなく、普通のサラダも用意した方が賢明です。勿論、キャベツの千切りだけで済ませて日本の流儀を見せるのも結構なのですが、お客さんの満足度を考えればサラダを付け足すのは無駄ではありません。第一、彼らは日本人より数倍大きい胃袋を持っているので、トンカツとキャベツだけでは腹一杯にならないでしょう。冷蔵庫の中の古野菜を整理するつもりで:-)、お客さんだけに特製サラダを出し、満腹して帰って頂くというのはどうでしょうか。

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[・] 亭主を躾ける

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私の83歳の友人J.B.は、家でもレストランでも料理について一切「うまい、まずい」を口にしません。これは奥さんであるKatherine(キャサリン)の躾けによるものです。

私はKatherineに気に入られていて、時々夫婦の食事に混ぜて貰ってKatherineの手料理を御馳走になります。J.B.は美味しいと思うものは大皿から何度も取り分けますが、その時に「これは美味しい」とか云いません。Katherineが「どう?」と聞いた場合にのみ「旨い」とか短く答えます。

何故、J.B.が料理についてコメントを控えるか?それは彼ら二人が食事する小さなダイニング(大勢のお客が来た時のための大きいダイニング・ルームとは別)の壁に掛かっているKatherine手製の刺繍が説明してくれます。

"Sit down to the table and have a look. The first complainer is the next meal's cook."
(食卓につき、お料理を御覧。不平を云った最初の人が次の食事を作る係です)

J.B.は仕事一途で家事はKatherine任せでしたから、お料理など何も出来ません。「次の食事を作る係」になどなれないのです。

J.B.は薬剤師で三軒もドラッグ・ストアを持っていたそうで、Katherineはそれらの経理を担当していたそうです。薬剤師の妻ということもあってか、Katherineは栄養に非常に気を使っていて、お料理にはふんだんに野菜が使われています。二人とも肉は好きなので、牛肉や豚肉はよく登場しますが、ホットドッグやハンバーガーはあまり食べないそうです。KatherineはJ.B.がゴルフ場のホットドッグなどを食べないように、必ずハムや野菜を主体にしたサンドイッチを持たせます。「おれはホットドッグ好きなんだけど、食べさせて貰えないんだ」とJ.B.はこぼしています。

しかし、83歳で毎日(週末を除く)ゴルフが出来るというのは、Katherineのお料理の賜物でしょう。不平は云えません。

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[・] 持ち込みお断り

オーストラリアではB.Y.O. (Bring your own)あるいはB.Y.O.B. (Bring your own bottle)というレストランが多く、これらはアルコール飲料をおいていません(免許料、税制などの関係)。しかし、ちゃんとすぐ傍に酒屋があるので、そこでワインやビールを買ってレストランに行きます。

アメリカでB.Y.O.という看板は見たことがありません。しかし、アルコール飲料を売らないレストランは結構あります。ファーストフードは勿論ですが、Dry county(いまなお禁酒法を制定している郡)でも呑めません。普通、中華料理店ではお酒が呑めるものですが、私の町に出来た新しいお店はアルコールをおいていませんでした。マネージャーに「B.Y.O.のように、持ち込んでいいか?」と聞いたら「いい」という答え。しかし、店内で一人だけビールを呑んでいるとアル中と間違われそうで、実行しませんでした:-)。最近行ったら、メニューにビールが入っていました。万歳。

アメリカの映画館は「持ち込み禁止」です。Lサイズのコークやポップコーンなどは、マチネーの入場料に匹敵する値段になり、映画館は映画を見せるところなのかポップコーンを売るところなのか分らないぐらい。ですから、映画館としては持ち込まれたら困るので、大きいバッグを持っている人は案内係が中をチェックしたりします。空港の警備員みたい。

ある有名ゴルフ場へ行きました。水、スポーツ・ドリンクなどを入れたクーラーを車から下ろしたら、「クーラーを持ち込んではいけない」と制止されました。このゴルフ場では、食べ物・飲み物を売る電動車がコースを巡回します。クーラーを持ち込まれたら、その売り上げがなくなるのでそれを防止したいわけです。

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[・] コーン・ビーフ

日本人にとってコーン・ビーフとは缶詰に詰まった筋っぽく、所々に脂の塊がある食べ物です。

ゴルフが縁で親しくなったJ.B.という老人がいます。彼と奥さんのKatherine(キャサリン)は毎日午後五時になるとワインを一杯(か二杯)呑むのが日課です。時々、それに招かれるようになり、たまに夕食を御馳走になったりします。

ある日、J.B.が「エイジ、あんたはコーン・ビーフを食べたことがあるかね?」と聞きました。「缶詰ならありますよ」と答えると、J.B.がやや耳の遠いKatherineに「缶詰しか知らないそうだ」と大きな声で告げました。「エイジ、今日はうちのコーン・ビーフを食べてくれたまえ」というわけで、どういうものか解らないまま恐る恐る食卓に付きました。

お皿に載っていたのは、大きな塊のハムを煮たようなもの。さっぱりした味ですが、確かに豚のハムではなくビーフの塊なのです。一緒に煮た様々な野菜が付け合わせになっています。ニンジン、じゃがいも、タマネギ、ブロッコリ、キャベツ、セロリ、そしてここが南部風ですが"rutabaga"(ルタベイガ)という黄色いカブなど。

とても美味しかったので、Katherineから作り方を教わり、自分でトライしてみました。大手食料品店へ行くと"Corned Beef"としてポンド(1.03kg)当り$2.28で売っていました。私は2.84ポンド$6.48の肉を購入。

肉のパックにも調理法が載っていましたので、それとKatherineのレシピを併せて実行することにしました。先ず、大きな鍋に肉の天辺までかぶるくらいの水を入れ、パックに添付のスパイスと一緒に煮ます。私はメキシコ系のスパイスである"cilantro"(和名コリアンダー。パセリみたいだが非常に香りが強い)も入れました。沸騰したら火を弱め、3時間ほどグツグツ煮ます。肉にフォークが刺さるようになったら鍋から出し、茹で汁に野菜を加えて茹でます。野菜が茹で上がる10分前にブロッコリとキャベツを入れます(これらは煮過ぎない方がいいからです)。これで出来上がり。シチューみたいなものですね。ただし、スープは塩辛く脂(あぶら)ギトギトなので呑まない方がいいようです。

ところで、生の肉にも調理法にもコーン(トウモロコシ)など使われていません。これがどうしてコーン・ビーフと呼ばれるのか不思議でした。辞書に当たってみたら、"corned"には「塩漬けにした」という意味があるのです。ですから、トウモロコシは全く関係無く、“塩漬けにした牛肉”という意味なのでした。“コーンド・ビーフ”と云うべきなのに、誰かが「コーン・ビーフ」という妙な日本語を定着させてくれた末の誤解でした。

肉をつつくと細い筋になってバラけます。その形も味も缶詰めの“コーンド・ビーフ”そのものですが、調理したての新鮮な味は格別です。

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[・] アメリカの柿

ある日、大型食料品店で頭の尖った柿を見つけました。美味しそうな赤い色をしています。"HACHIYA"(蜂屋?)というラベルが貼ってあるので、日系の柿に間違いありません。二個買うことにしました。黒人のレジ係が「これは煮て食べるの?」とトンでもない質問をしました。私は「これはリンゴと似たような果物で、そのまま皮を向いて食べる。凄く甘い…筈だ」と答えました。

柔らかくなるまで数日待ちました。その一個を食べてみると、甘い味と共に微かな渋みが…。「渋柿を甘く変えたものか?」と思いました。そういうの、ありますよね?一切れ食べるごとに渋さが増し、一個食べ終えた時には口の中が渋だらけ。うがいしても取れません。こうして書いていても渋さが蘇って来るほどです。ただの渋柿じゃないの!こんな渋柿を売るなんてどういう了見なんでしょう?

アメリカ暮らしが長いある日本婦人に電話したら、「私は日本の田舎に住んでいた時から頭の尖った柿は渋いと知っているので、買ったことはない」とのこと。「買ってすぐなら一週間ほどお米の中に入れておくと渋みが取れる」そうですが、もう当家のは熟し切ってしまったので、お米に入れることは出来ません。焼酎に漬ける方法もあるそうですが、当市で仮に焼酎を売っていたとしても、そのまま呑む方が好ましく、渋柿なぞ入れられるもんじゃありません。

友人のMike Reekie(マイク・リーキィ)と柿の話をしました。彼は柿は当然渋いものと思っていて、次のような表現を教えてくれました。

"You smile like a possum eating 'simmons."(柿を食べたフクロネズミのように笑ってるね)

「柿」は"persimmon"ですが、ここでは"'simmon"と口語的に短縮されています。渋柿を食べると口の中がいがらっぽくて、歪んだ笑顔のようになります。「意地悪な笑い」や「嘲りの笑い」が浮かんでいる時に使うとか。なお、Mikeの奥さんはこうした渋柿を口をすぼめながら食べるそうです。まるで梅干しですね。こういう奇特な顧客がいるから、食料品店も渋柿を置いているのでしょう。

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[・] Dinner

ある人物を訪ねる前に電話しました。
「もうlunch(昼食)はお済みですか?」
「まだdinnerの最中だ」

Dinner=夕食ではないことが分ります。一般的にはdinnerは夕食ですが、昼にdinnerを食して夜は軽く済ます人々もいるわけです。ではdinnerとは何か?というと、一応スープから始まりメイン・ディッシュへと続き、デザートで終わるものがdinnerとされています。しかし、お客様がある日でもない限り、そういう風に正式な食事をする家はアメリカでは少ない筈です。たっぷり食べる御馳走であれば、どんなスタイルでもdinnerと呼べるのでしょう(ただし、ハンバーガー等を除く)。

先ほどの人物に夜電話すると、次のようになるでしょう。
「もうdinnerはお済みですか?」
「まだsupperの最中だ」
昼に御馳走を食べたので、夜は軽い夕食(supper)になるわけです。軽くない場合でも、「dinnerというほど大袈裟なものではない」と謙虚に考える人は夕食をsupperと呼びます。

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[・] どちらが野蛮?

アメリカではリスを撃ちます。撃って食べちゃいます。鹿や狸、鴨や七面鳥と同じように、リスの狩猟シーズンというのもあります。

日本では山に近い里やハイキングコース、登山道などでしかリスにお目にかかる機会がなく、リスを見掛けた若い女性は一様に「可愛いーっ!」と叫ぶ筈です。アメリカへ来られると、大学のキャンパス、都会の公園(例:ホワイトハウス前の小公園)でさえリスがうろちょろしているのにびっくりされることでしょう。私はホワイトハウス前のリスを撮影していて「触っちゃ駄目ですよ」と云われました。リスのためではなく、病気を伝染されるからという人間のための警告でした。

私が住んでいる町では、普通の民家の庭に何匹ものリスが出没します。一軒の家に四、五本の大木があるのは普通ですから、もう町中リスだらけ。電線を綱渡りして歩くリスさえ見られます。そういう具合ですから、「リスなんて鼠と同じじゃない」と云う人までいます。全然珍しくないのです。リスは小鳥のための餌台に忍び込み、頬を目一杯膨らませて餌を盗んで行きます。珍しくない上に、憎たらしい。撃って当然というわけです(勿論、町中では発砲出来ませんが)。

鼠と同じなら、リスを撃ってその肉を食べるなんて「オエッ!」という感じですが、旨いんだそうです。あまり食べるところはないでしょうけど。

私があるアメリカ人のビジネスマンに「日本人にリスを撃って食べちゃうなんて云うと、『残酷だ』って嫌われますよ」と云ったら、ハンターの彼は非常に面白がって、色んな機会にその話を紹介するようになりました。

しかし、日本にも“活き造り”なんて、生きてる魚を刺身にしてピクピク動いてるのを出す料理もあれば、生きてる白魚を酢につけて食べる“踊り食い”ってのもあります。あれも残酷ではありますよね。香港のレストランで生きてる海老を鍋に入れて蓋をし、目の前で蒸し焼きにしたのを食べたことがありますが、あれも残酷。昔(今もかな?)、日本人は「赤犬は旨い」とか云って、犬も食べちゃいました。欧米人にとって「犬は友達」なので、そんな話を聞いたら怒るでしょう。中国やインドあたりでは猿も食べちゃいますね。

オーストラリアの原住民・アボリジニは、砂漠の砂を掘り、ハニー・アントという蟻の巣を探します。働きアリが集めて来た蜜を口移しで雌が受け取り、雌のお尻は蜜のタンクとなって葡萄のように丸くなっています。その雌を捕まえて、プチッとお尻を絞って蜜を飲みます。アボリジニが得られる自然の糖分というわけです。私も一匹プチッとやりました。美味しかったです。え?残酷ですって?しかし、砂漠で生きて行く上では仕方がありませんよね。

それぞれの国に伝統とか慣習があり、その国では何とも思わないことが、他の国の人にとっては野蛮な行為に映るわけです。自分の尺度を押し売りしないことが肝要でしょうね。

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[・] スパゲティ

オーナーかシェフがイタリア人の店でない限り、アメリカのスパゲティにはあまり期待しない方がいいようです。アメリカに較べれば、日本のスパゲティー屋さんはどれも水準以上に思えて来ます。

大体、アメリカのはイタリア料理店であってスパゲティ屋ではないんですね。イタリア料理店なのにメニューにスパゲティが無かったりします。色んなパスタはあってもスパゲティがなく、あるのはエンジェル・ヘアーやペンネだけだったりします。エンジェル・ヘアーは、素麺ほどではないがかなり細い麺です。ペンネはマカロニの太いようなもので、斜に切られているので、両端がペン先のように尖っています。

アメリカ人が作るスパゲティって、ウェルダンが多いような気がします(前述のようにオーナーかシェフがイタリア人なら別)。ということは、"al dente"(アルデンティ)という言葉も茹で方も知らないみたいなのです。"al dente"は芯が残るように茹でておき、炒めた時に食べ頃のいい固さになる調理法です。そういう繊細な手順を踏まないわけですから、早く云えば日本のデパートの食堂のスパゲティのようなウェルダンだと思えば間違いありません。

そういう国ですから、大都会でもない限りボンゴレ・ビアンコなんて食べられません。アサリでもムール貝もどっちも駄目です。日本では必須のメニューですけどね。

勿論、アメリカ人経営のアメリカ人シェフによるいいスパゲティ屋もあるでしょうが、そういうのに当たったら幸運だと思うべきです。

本場イタリアではスパゲティはスープの範疇になっています。(標準体型の)日本人の胃袋ではスパゲティだけでお腹一杯になってしまいますから、とてもその後メイン・ディッシュなど食べられません。「我々はスパゲティだけで十分だ」と宣言すればレストランも強要は出来ませんから、安心してスパゲティだけ食べましょう。

大分前のことです。初めてイタリアに撮影に行っている間に私の誕生日となりました。その撮影はディレクターと二人だけで行ったのですが、そのディレクターは「今夜はお祝いだから好きなものをうんと食べよう!」と云い(どうせ割り勘なんですけどね)、二人で値段を気にせずにメニューから四つほど選びました。二人ともスパゲティは好きでしたので、先ずはスパゲティ。美味しかった。しばらくしてメイン・ディッシュが来ました。何と、それもパスタ!我々は言葉が解らないので結果的にパスタばかり二種類(二人で四種類)も頼んでしまったのでした。ディレクターはイタリアは二度目だしイタリア語も少々話せたので頼りにしていたのですが、これは過信でした。ウェイターは「全部麺類だけどいいのか?」と聞いたのかも知れないのですが、我々は「いいんだ、いいんだ」とか頷いていたようです。勿論、そんなに麺類ばかり食べられるものではなく、とんだ誕生祝いになったのでした。

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[・] アイス・ティー

'A Painted House'『ペインテッド・ハウス』 (2003) というTV映画を観ました。南部の作家で映画'The Firm'『ザ・ファーム/法律事務所』(1993)、'The Pelican Brief'『ペリカン文書』(1993)、'The Client'『ザ・クライアント/依頼人』(1994)などのJohn Grisham(ジョン・グリシャム)の原作です。舞台は1952年のアーカンソー州。

この映画の中で、北部から来た女性がアイス・ティーを出され、「冷えた紅茶なんか飲めますか!」と馬鹿にします。いつ頃から南部にアイス・ティーが定着したのか知りませんが、テキサス東部からフロリダ、サウス・キャロライナにかけて(バイブル・ベルト)、レストランの多くでアイス・ティーを注文出来ます。一般の家でも通年毎日大きな容器でアイス・ティーを製造し、冷蔵庫で冷やします。特に"Deep South"と呼ばれる諸州でアイス・ティーは甘みを増すそうです。

私の経験によれば、ミシシッピ州およびその周辺でアイス・ティーを注文すると、"Sweetened or unsweetened?"(甘いのか、甘くないのか?)と聞かれることがあります。聞かれない場合は甘くないのが来ますので、お好みでテーブルの上にある甘味料を混ぜます。ファースト・フード・レストランの多くは、アイス・ティーに二つのサーヴァー(コップに注ぐ大容器)を用意しており、それぞれに"Sweetened"(甘い)、"Unsweetened"(甘くない)と記してあります。

アメリカ北東部と西海岸の知人に聞いてみましたが、北東部のメイン州ではアイス・ティーが必要なほど暑くなる気候ではないので、レストランのメニューにはないそうです。西海岸の知人はアメリカ全土を股にかけて仕事している人ですが、「ワシントンとニューヨークでは、アイス・ティーは間違いなく注文できます。ボストン、シカゴ、デトロイトなどの北部都市も同じです。あの感じではほぼ全米で飲めると思います」とのこと。ただし、北部のは甘くしてないそうです。

料理研究家によるウェブサイト'Histrory of Iced Tea and Sweet Tea"(http://whatscookingamerica.net/History/IcedTeaHistory.htm)によれば、「アメリカには二種類の"iced teas"がある。唯一の違いは砂糖が入っているかどうかである。南部人は甘い"iced tea"を好み、浴びるように飲む。南部では"iced tea"は夏だけのものではなく、一年を通して食事の際に供される」そして、1884年に北部で発行された料理本に、既に"ice tea"なるレシピが掲載されていたそうで、「当時、この飲み物は南部特有のものではなかった」と解説しています。

上の記事には"iced tea"と"ice tea"という表記が混在しています。文法的には"iced tea"が正しいのでしょうが、もう単に"ice tea"の方がポピュラーなようです。Liptonが売り出した飲料も'Ice Tea'という名称です。

原作者John Grishamの「1960年代には北部人から蔑まれたアイス・ティー」という説は、いささか事実をねじ曲げているように思えます。

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[・] メニューいろいろ

・バフェ

取り放題・食べ放題のお徳用メニュー。サラダ・バーも一種のバフェです。アメリカでは“ヴァイキング”という言葉は見られません。

バフェは中級程度のレストランで多く見掛けるメニューです。ホテルのレストランなどでは朝食だけバフェが選べるところが多いようです。

・ホットケーキ

日本の「ホットケーキ」は"pancake"です。

・シュークリーム

日本の「シュークリーム」はフランス語の"chou à la crème"が元なので、英米では通じません。"Chou"はキャベツという意味で、あの形から来ています。アメリカでは"Cream puff"と呼びますが、私の好きなカスタードのものはあまりお目にかかりません。「エクレア」もフランス語"éclair"ですが、これはこのまま通じます。"Chocolate eclair"がポピュラーだからでしょうか。私見ですが、「シュークリーム」のカスタードのあの仄かな味はアメリカ人には向かないのではないでしょうか。

・目玉焼き

一般的には"fried eggs"ですが、片面だけを焼くと"sunny-side up"、両面だと"over easy"と呼ばれます。アメリカでは「サルモネラ菌が恐い!」と生玉子を食べません。しかし、目玉焼きの黄身はほとんど生です。菌はほんのちょっとの熱で死んでしまうのでしょうか。

日本とアメリカの鶏事情はそんなに違いがあるのでしょうか?アメリカの鶏舎は日本のより不潔なんでしょうか?単に生物(なまもの)に対する警戒心が強いだけではないのでしょうか?聞くところによれば、アメリカの大都市では日本人のすき焼き用に生で食べてもよい玉子を売っているそうです。

・Po Boy

"Poor boy"を短縮したことばで「ポ・ボーイ」と発音します。ニュー・オーリンズ名物ですが、南部一帯でポピュラーなサンドイッチ。他の都市では「サブマリン」と呼ばれるタイプで、フランスパンを横に割いて具を挟みます。揚げた小エビなら"Shrimp Po Boy"であり、揚げた牡蠣なら"Oyster Po Boy"です。レタス、マスタード、ケチャップなどが混じっています。

"Poor boy"という名からするに、もともとは貧乏人がハムやチーズなど色々突っ込んでむしゃむしゃ食べたのでしょう。しかし、現在はローストビーフやキャットフィッシュ(次の項参照)などまであり、裕福な人たちの好物ともなっています。

これに使われるフランスパンは日本でポピュラーな固いタイプではなく、ニュー・オーリンズのパン屋さんの特製だそうです。

・Catfish

Catfishはナマズですが、南部の名物はその薄い切り身(catfish fillet)を揚げたもの。半身や丸のままの場合もあります。切り身は食料品店にも沢山並んでいます。南部一帯には数多くの養殖池があり、特にミシシッピ州では全米のcatfishの70%を生産する一大産業となっています。

ナマズというと、日本人のイメージは濁った沼などに棲む丸くでかい頭をした魚ですが、アメリカのはどちらかと云えばとんがった頭で細身の身体つきをしています。ナマズという語感から来る泥臭さは全くなく、タラやヒラメなどの海の白味魚と変わらない味です。

私の住む町の近くには大きな大衆食堂があり、「キャットフィッシュ食べ放題」($9.75)というメニューがあります。切り身のフライも出しますが、頭だけ取った骨つきの"whole catfish"が人気のようです。「もう要らない」というまで、どんどん揚げたcatfishを運んで来ます。わんこナマズですね:-)。

・Muffuletta

「マファラタ」と発音します。これもニュー・オーリンズ名物のサンドイッチ。こちらは大きな丸いイタリアン・ブレッドにイタリアン・チーズ、サラミ、ハム、オリーヴ・サラダ(刻んだ緑野菜、オリーヴ、赤ピーマン、パセリ、セロリ、ガーリック、オニオン、ケーパー、オレガノ、オリーヴ油、赤ワイン・ヴィネガー、塩胡椒)などを含めたもの。この材料名を見ただけで涎が垂れるでしょう。実際、美味しいです:-)。なお、完全な丸いサイズは二人分の大きさですので注意。

なぜ、これが全米に広まらないかというと、これに使用されるイタリアン・ブレッドはニュー・オーリンズのあるパン屋さんの特製で、他の地域では真似が出来ないのだと云われています。

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[・] アメリカ人と日本食を食べる

私がこちらのある建築関係の会社で半年働いた時、ミシシッピ州に住むチョクトー・インディアンの副酋長を接待したことがあります。副酋長は寿司が好きだと云うので、専務のAl(アル)と二人で寿司を御馳走することにしました。この当時、私の町には本物の寿司屋がありませんでしたので、州都Jackson(ジャクスン)まで出なくてはなりません。丁度副酋長が会合に出るためJacksonに泊まるという日に合わせ、寿司屋で待ち合わせました。

Alの当面の課題はチョクトー・インディアン経営のゴルフ場でボーイスカウトの資金集めのトーナメントが出来ないか?という相談でした。彼自身ボーイスカウトだったこともあり、会社全体としてもボーイスカウトを支援しています。彼の真意は、実はチャリティ・ゴルフ・トーナメントを方便にインディアンのトップに近づき、建築の仕事を得たいというものでした。

我々はみな刺身+寿司セットを取りました。アメリカの寿司屋では味噌汁が先に出ます。スープという分類による順番です。次に野菜サラダ。どちらもセットの一つです。しばらくして刺身+寿司セットが届きました。刺身はトロもあり、2cmほどの分厚い赤身も乗っていて豪華です。寿司の巻き物はカリフォルニア・ロールだけで、後は全部握りです。これで$20.00しないんですから、やはり「サンマは目黒、寿司はアメリカに限る」です。

私は空きっ腹だったのでバクバク食べ始めたのですが、Alはチャリティ・ゴルフ・トーナメントの売り込みで必死です。もともと長広舌の人ですが、ボーイスカウトと商売の両方がかかっているわけですから、寿司など食っている場合ではありません。横目で見ていると、彼は箸でお寿司を摘んで醤油につけ、それをさらにサラダのマヨネーズの上で転がしています。私は「おえっ!」となりました。

よく見ると副酋長も妙なことをやっています。箸でうまく摘めないのか、彼はお寿司をお醤油の海にポンと置いてしまうのです。二人とも切り身に醤油をつけるのではなく、御飯に醤油をつけているのです。「あれじゃあ、塩っぱくて食えないだろう。話が途切れたら、寿司の摘み方と醤油のつけ方を教えてやろう」と思いましたが、Alの舌は止まりません。副酋長も時々何かいいたげですが、彼も口を挟めません。

そのうち、私には分って来ました。副酋長はうまく摘めなくて醤油をどっぷりつけているのではなく、毛細管現象で醤油がズンズン御飯に染み渡るのを待っているのだと。そのうち、Alも副酋長の真似をして醤油どっぷり方式を始めました。どちらも御飯をバラけさせることもなく、「うへえ、塩っ辛い!」と叫びもしません。そんな食い方をする二人が「寿司が好きだ」てえんですから、もうがっかりしてしまいました。

私のゴルフ仲間の一人Mike(マイク)は中華バフェ・レストランの寿司が好物で、ゴルフしにやって来ては夕方私と寿司を食いに行くのを楽しみにしています。約$10.00の料金で中華も寿司も食べ放題。勿論、マグロだのイカだのは特別注文ですが、ウナギ(多分、穴子)の握りは特注に入らず、基本料金のうちです。Mikeはウナギが気に入って、職人が握るそばから私と一緒にどんどこ食べてしまいます。

この店では職人は寿司にはわさびを入れず、客が自分の好みで醤油にわさびを混ぜて食べます。私はサーモンや海老などを持ち上げ、その下の御飯の上にわさびを塗ることをMikeに教えました。そしたら、彼はウナギの下にもわさびを塗るのです。「ウナギにわさびは必要ない」と云っても聞きません。「俺はわさび中毒になったんだ」などと云います。それだけでなく、ウナギは醤油味で甘辛く味付けされているというのに、彼はそれを醤油にどっぷり浸してから食べるのです。日本人としては、とても正視出来ない状態です。

ニュー・オーリンズの寿司バーで、興味深い光景を見ました。私の隣りのテーブルにいたアメリカ人四人(中年女性三人、若い男性一人)の中の男性が天麩羅を頼みました。気が付くと、彼は手づかみで天麩羅を食べていたのです!

彼は寿司の“本場流”の食べ方が、手づかみであることを知っていたようです。寿司が手づかみでいいなら、天麩羅だっていいじゃないか、そう思ったのでしょう。あるいは、彼はインドへ行ったことがあり、何でも手で食べることに慣れていたのかも知れません:-)。

私が彼と同席していたとしたら、どうだったでしょうか。「日本人は天麩羅は手で食べない」とは云えますが、「手で食べちゃいけないの?寿司とどう違うの?」と聞かれたら返事に詰まってしまいます。「天麩羅は熱いものだから、手で摘んだりしないんだ」とは云えます。逆に云えば、その寿司バーの天麩羅は手づかみ出来るくらい冷めていたのでしょう。

「油でギトギトしてるものに手で触ることはないじゃないか」とも云えますが、「ナプキンで拭くから問題無い」と云われれば、もうお手上げです。

問題は、私が彼の食べ方に違和感を持ったことです。確かにどれを箸で、どれを手でという決まりはありません。勿論、ラーメンやしゃぶしゃぶを手では食べられず、自ずと境界はあります。ざるそばや駅弁などは手で食べられないこともありません。

天麩羅を手で食べるのは、おにぎりを箸で食べるのと同じ…と云えるでしょうか?無作法とまでは云えないが、ナンセンスです。ハンバーガーをナイフとフォークで食べるようなものです。しかし、異様ですが「駄目!」とは云えません。

どうも箸やフォークを使う、使わないは、よく考えるとマナーの問題ではないようです。見慣れない食べ方なので一瞬「無作法な!」と思いますが、それはピカソの絵画や勅使河原蒼風の活け花などを初めて見た人が抱く印象と同じなのかも知れません。

アメリカ人と日本食を食べる時は、何が起っても驚かないという覚悟が必要のようです。

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[・] 台湾のお通り

「お通り」とは沖縄・宮古島の宴会の風習です。私が経験したのは三回ほどですが、その一つは潜水漁法による漁師集団の大漁祝いの宴会でした。その日の収穫はすぐさま現金収入となってこの席上で漁師全員に支払われます。網元をトップとして、役目に応じて差がついています。銘々が賃金を受け取ると、酒です。泡盛です。ただし、ただ勝手に飲むのではありません。先ず網元が立ち上がり、大漁を祝い、皆の働きに感謝し、明日の大漁を祈念する挨拶をします。挨拶が済むと、網元は既に水割りになった泡盛の一升瓶を手に、参加者一人一人に注いで廻ります。注がれた人は一気に呑んでコップを網元に返さなくてはなりません。チビチビ呑むなどということは許されないのです。こうして、網元は20人全員に呑ませて廻り、皆に礼を述べて着席します。すると、網元の隣りに座っている人が立ち上がり、この人も何やら挨拶してコップと一升瓶を手に、全員に呑ませて廻ります。これが人数分どんどん続くのです。これが「お通り」。全部呑んだら泡盛コップ20杯。ベロベロです。宴会はこの後、蛇皮線と太鼓に合わせた唄と踊りへと続きます。

島のある家に話を聞きに行ったら、午後遅くだったせいもあるでしょうが、家の主人が泡盛の瓶を引っ張り出して来て、我々取材班四人を相手に「お通り」を始めてしまいました。きちんと挨拶されて呑まされれば、取材班としても挨拶を返さなくてはなりません。ディレクター、カメラマン、音声マン、照明マン、全員が挨拶し、酒を注いで廻ったのです。たった五人ですから、この時はまあ大丈夫でしたが。

島のあちこちには、「お通りは止めよう!」という看板が立っていました。酔っ払い運転も増えるし、一気呑みによる急性アルコール中毒も出るし、肝臓も悪くするという心配からでしょう。

さて、話は台湾へ。ある中国人の少年音楽家を取材したところ、その一家が我々取材班四人を中華レストランへ招待してくれました。ここでびっくりしたのは、主人役の人たちと目を合わせると必ず何か挨拶され紹興酒を注がれるのです。最初はそうと知らなかったので、折角招待されているのだからと、こちらもニコニコと彼ら一家と均等に目を見交わしていたのです。しかし、目と目が合うと必ず注がれる。これも一種の「お通り」だと思いました。返礼としてこちらも相手の目を捉えて酒を注がさせて貰いましたが、後はひたすら目を宙に浮かべて誰の顔も見ないようにしていました。ベロベロになると困るので仕方がありません。でも、それでも声を掛けられて注がれちゃったのですが。よく分りませんが、台湾では客は自分で酒を注がないか、客に自分で注がさせるのは失礼に当たるとか、何かそういうことがあるのかも知れません。

 

Googleで「台湾、お通り」で検索したら、台湾人の筆者による「台湾で、一対一で順番に全員と乾杯する方式は『打通關(ダアトングアン)(関所破り)』と呼ばれる。なんと宮古島にも“お通り”という同じ仕来りがあった」という記事がありました。やはり、台湾のも「お通り」だったのです。宮古島と台湾に行ったら、要注意です。(英語とどういう関係があるのだ?)

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[・] アメリカ人とファット

アメリカのベーコンはファットです。"40% Less Fat"という謳い文句のベーコンを見つけたので、「これはいい!」と思って買ったら、なに、やはり見た目の半分以上はファット(脂肪)でした。成分表にはスライス二枚に付きトータル・ファット3g(飽和脂肪酸1g)とありますが、どうしてどうして。そんな感じではありません。

成分表の「スライス二枚」とは"2 Fried Slices"(フライパンで揚げた後の二枚)となっていて、そのままの状態ではないのです。アメリカ人はかなり長時間ベーコンを炒めます。肉の部分がカリカリになる頃には、フライパンは脂の洪水になります。たった4〜5枚のベーコンなのに、すき焼を作る前に溶かすラードの三倍ぐらいの脂が出ます。この脂を捨てて食べるのですが、やはり脂肪の部分は厳然と残っています。

「脂の少ないベーコンを売りゃいいじゃないか」と思いますが、アメリカ人にとっては脂のないベーコンなんてベーコンじゃないという感じなのでしょう。じゅくじゅくと熱で脂を抽出し、肉をカリカリにしないと気が済まないようです。我々日本人が脂肪の混じった好き焼き肉を“霜降り”と称して好む、あるいはマグロの脂肪の多い部分を“大トロ”と云ってありがたがるのに似ていると云えましょうか。

当市に住むある日本婦人は教会に通い、そこの様々な活動に参加しています。信者のお葬式だの、クリスマスや教会の催しに、みんなが手料理を作って持参することが多いそうです。彼女のお料理は定評があり、いくつかリクエストがあるとか。その一つが餃子。我々は餃子というと瞬間的に蒸し餃子を思い浮かべますが、蒸し餃子を持って行くと半分以上残ってしまうそうです。アメリカ人の好みは揚げ餃子。これは奪い合いになるほどの人気だそうです。白い御飯は人気が無く、炒飯だとあっという間に売り切れるとか。

そういう会合に手料理を作る暇の無い人は、その辺のファーストフード・レストランで出来合いのものを買って持って来ます。何だと思います?フライド・チキン。しかも、大抵四人ぐらいがいつもフライド・チキンの山を持って来て、しかも綺麗にみんなのお腹に入ってしまうのだそうです。いかにアメリカ人がフライド・チキンが好きか、油を使った料理が好きかということを証明しています。

アメリカのこの20年で肥満とみなされる成人は二倍に膨れ上がり、2004年現在約5,900万人(アメリカの成人の三人に一人)は肥満だそうです。子供の肥満は三倍で、六人に一人が肥満。アメリカの全50州の半分以上で、少なくとも20%は肥満であるというデータもあります。やはりベーコンは止め、蒸し餃子を好きになるべきだと思われますがねえ。

「肥満」は"fat"ですが、アメリカ深南部とくにミシシッピ州は"fat"を通り越した"obese"(オビース、病的肥満)と云える相撲取りのような体型の人が多く、州として何とか減らしたい目標となっています。

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[・] 「海の幸」解読表

メニューの中でも肉類はそう種類も多くないので、何とか見当がつきます。しかし、魚類はやたらに数が多いので困ってしまいます。で、英日対照表を作ってみました。勿論、これで完璧というわけではありません。地域によって、変った出し物もあるでしょう。しかし、一般的なものは網羅したつもりです。

プリントした時にお財布に入るようにレイアウトしてあります。御利用下さい。


Crawfish        ざりがに
Flatfish   かれい、ひらめ
Flounder     かれい、ひらめ
Grouper         はた(羽太)
Haddock           たら(鱈)
Hairtail  たちうお(太刀魚)
Halibut     おひょう(大鮃)
Herring         にしん(鰊)
Horse mackerel    あじ(鯵)
Lobster いせえび(伊勢海老)
Mackerel      さば(鯖)
Mahimahi             しいら
Marlin    まかじき(真旗魚)
Mussel        いがい(貽貝)
Octpus            たこ(蛸)
Oyster          かき(牡蛎)
Perch           すずき(鱸)
Pike             かわかます
Prawn           えび(海老)
Sablefish   ぎんだら(銀鱈)
Salmon            さけ(鮭)
Sardine         いわし(鰯)
Scallop     ほたて(帆立貝)
Shark             さめ(鮫)
Shrimp      こえび(小海老)
Sole    したびらめ(舌平目)
Spearfish     かじき(旗魚)
Squid           いか(烏賊)
Swordfish めかじき(眼旗魚)
Trout             ます(鱒)
Tuna            まぐろ(鮪)
Yellowtail        ぶり(鰤)
Walleye         すずき(鱸)
Whitefish         ます(鱒)

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