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[文法・表現]

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[・] 能動態・受動態

英語で不思議なことは一杯ありますが、その一つは感覚・刺激に関するものです。「喜んだ(I was pleased.)」、「驚いた(I was surprised.)」、「混乱した(I was confused.)」、「疲れた(I'm tired.)」など。日本語は全て能動態なのに、英語は全部受動態です。直訳すれば「喜ばされた」、「驚かされた」、「混乱させられた」、「疲れさせられている」という感じです。どうも、英米人にとってこうした刺激は外界から自分の身体にやって来るものという解釈のようです。

この日米の受け止め方の差は、誤解を生む因ともなります。Barbaraと長崎方面に旅行に行き、列車を待っていた時のこと。彼女に「退屈かい?」と聞いたつもりで、"Are you boring?"と云ったのです。Barbaraは一瞬呆気にとられた顔をしましたが、(当時は英会話の先生だったので)"If the English class is boring, you are bored."と説明してくれました。つまり、単に「退屈だ」は受け身を使わなくてはならない。"Are you boring?"は「あなたは退屈な人なのか?」と聞いたことになります。正面切ってこう聞かれたら、誰でもびっくりしますワネ:-)。

'Longman: Dictionary of Common Errors'には、'Compare: "a boring film" and "a bored audience"'「退屈な映画、退屈した観客」という例が載っていました。

ある日本人のWebサイトで"I was interesting."という文章に出会いました。これは、無理に訳せば「私は興味深い存在だった」という意味になります。そう自惚れの強い人ではないので、実は「興味を感じた」と云いたいだけだったのです。とすると、正しい英語は"I was interested."になります。同様に、「興奮した!」は"I was exciting!"ではありません。これだと、(まるでElvis PresleyかMichael Jacksonのように)「私はエクサイティングな存在だった」という意味になってしまいます。もうお分かりのように、正しくは"I was excited!"。

Barbaraはかつてビジネス関連の講座を受講したことがあるそうで、ビジネス・レターの書き方にはうるさいのです。「受動態を多用すると、積極的な人間でないと見做される。受動態を使ってはいけない」と云います。私のパソコン用文法チェッカーは「口語文」とか「法律関係」とか、利用者のニーズに応じてチェックするシステムですが、確かに「ビジネス」というカテゴリーで文章をチェックすると、「これは受動態です。能動態に直して下さい」とうるさく迫って来て、上の数例の受動態は全部引っかかります。では、"I was excited!"を能動態に直していいものでしょうか:-)。

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[・] Why don't you...?

オーストラリア大陸を横断する飛行機に乗っていました。機種は忘れましたが、一列に二人ずつ四席だった筈ですので、プロペラ機だったと思います。私は可能なら、常に通路側の席("aisle seat"、単に"aisle"でも通じる)を取るようにしています。お手洗いに行く時にいちいち「失礼」と云わなくて済むからです。窓際ですと通路側の人間に寝込まれたら、ピョンと飛び越えて行かなければならないこともあって大変なこともあります。

国内線なので、お金を出してビールを呑みました。オーストラリア産のFoster'sというビールの美味しさを知り始めた頃でした。ビールは美味しいのですが、しばらくしてお手洗いへの行動を促すのが欠点です。その時、俄に乱気流に突入し、シートベルト着用のランプが点灯してしまいました。早くランプが消えないものかとジリジリしていましたが、機体の揺れは止まりません。

突如、前の方の席から中国人らしき男二人が後方のトイレ目指して歩いて来ました。当然ですが、スチュアーデス(オーストラリア人)は「お席にお戻り下さい」と指示します。二人の男は何やら口走ったかと思うと、スチュアーデスの制止を振り切ってトイレに入ってしまいました。数分後、二人は晴れ晴れした顔で席に戻って行きました。

膀胱がはち切れそうになっていた私も、もう堪り兼ねて立ち上がりました。スチュアーデスが「またか!」というように私を止めに来ます。私は「なぜあの連中を止めないの?」と聞きました。スチュアーデスは「止めたんですけど、聞いてくれなかったんです」というようなことを云いました。私は、「じゃあ、私も行かせて貰う」と勝手にトイレに入ってしまいました。

問題は、私が"Why don't you stop them?"と云ったことです。これは、「なぜあの連中を止めないの?」なる疑問というより、「あの連中を止めたらどうかね?」、「あの連中を止めなさいよ」と示唆するニュアンスになることを、後で知りました。となると、「あの連中を止めたらどうかね?」と云っておきながら自分もトイレに入ってしまうのは、大いに矛盾します。スチュアーデスは「アジアの連中はしょうがないわねえ!」と思ったことでしょう。

なお、"Why didn't you stop them?"と過去形になっていれば理由を聞く疑問文であって、もう「あの連中を止めなさいよ」という意味にはならないそうです。時制によって意味が変るというのでは、なかなか使うのに難しいですね。

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[・] 期待して待つ

よく手紙の末尾などに書かれる「ではお返事をお待ちしています」ですが、これに該当するのは"look forward to"です。しかし、これには落とし穴があって、"to"につられて(不定詞と考え)つい動詞の原型を並べてしまったりします。私もやってしまい、カミさんに注意されました。

"He is looking forward to the new baby."
"I'm looking forward to your reply."
"I'm looking forward to hearing from you."
"I'm looking forward to seeing you."

こういう風に、必ず名詞か動名詞が付くのだそうです。ある辞典では「"look forward for"と置き換えられる」と書いてあります。"For"を使う、使わないは別として、"for"の後に動詞の原型を並べる人はいないわけですから、何故"looking forward to see you"がいけないかが納得出来ます。

なお、"I'm looking forward to tomorrow."と云えば、「明日が待ち遠しい」ということになります。

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[・] 期待してはいけない場合

私はMeridian Macintosh Users Group(略称MMUG)のマネージャーをしています。会費無料、入会・脱退自由。マネージャーの主な仕事は毎月のミーティング会場の選定、周知などです。よく使う会場は二つあり、さらに会員の自宅で開催することもあるので、場所選びも簡単ではありません。

会員の一人Darrell(ダレル)は身体障害者です。元米軍のパイロットだったそうですから、事故かなんかあったのでしょう。彼の車椅子は電動で幅が広く、狭い戸口では出入り出来ません。彼にとって理想的なのは、カレッジのコンピュータ・グラフィック室を会場として使う時です。ここはドアは広い上に、車椅子用の自動ドアまで設置されているからです。

ある月は入口の狭い私の家が会場だったため、彼は断念しました。次の月は、問題無く彼が参加出来るカレッジを会場にすることにしました。ところが、DarrellからE-mailで「残念だが、今回は所用で出られない」と云って来ました。「それは非常に残念だ。あなたの出席を期待("expect")してカレッジを選んだのに。今後は、出席出来るかどうか、前以て知らせて貰えないだろうか?それによって場所を決めるから」と返事しました。これに対し、Darrellは「気にかけて頂いて感謝する。しかし、場所の選択で迷惑をかけるのは申し訳ないので、MMUGから抜けることにしたい。発展を祈る」というような、愕然とするようなメールが届きました。

会合でこの一部始終を報告しましたら、会長で弁護士のGeorge(ジョージ)が「それはあなたの英語が問題だったのだ。"Expect"は“当然来るもの”と期待される場合(Barbara註:予定されたゲストや学校の生徒など、来るほかに選択の余地が無い場合)に使う。あなたは彼にプレッシャーをかけたことになる。"When we have our meetings at the college, you usually attend. I hope you can make it to the next meeting there."(カレッジでのミーティングだと、あなたは概ね参加してくれる。次回のおいでを期待しています)と云えば、強制的色彩を排除出来たろう」と解説してくれました。Darrellにはお詫びと釈明のメールを出しましたが、これまでのところ返事はありません。トホホ。

別な例:カミさんの母親が電話して来ました。数分前にカミさんのBarbaraが「お母さんから電話なかった?ふうん、おかしいわねえ」とか云っていましたので、"Barbara was expecting your calling."と云いました。家族が電話を待っていてくれるというのは、当人にしてみれば悪い気はしないだろうと思ったからです。しかし、カミさんが電話を受けてからのやり取りを聞いていますと、母親は不審な感じでカミさんに問い質している様子。後で、どういうことだったのか聞きますと、この場合も"expect"を使ってはいけないのでした。

"Expect"には"She is expecting."(妊娠している)という用例があります。この例では母親である女性はひたすら月満ちるまで待っているわけです。電話の場合でも、"expect"を使うと「ひたすら電話の前でベルが鳴るのを待っている」という大袈裟な表現になります。カミさんの母親は、娘がそんな風に自分からの電話を待つ筈がないということを知っているので(そういう理由が見当らないため)、それで「一体どういうことか?」と質したのでした。結局、嘘とは云わないまでも、私が相当な過剰表現をしたということになりました。この場合も、"Barbara was hoping your calling."と云えば良かったのだそうです。

"You'd better ..."が非常に強制的であることは知っていましたが、全く“人畜無害”に見える"expect"にこうまで危険な要素があるとは思いませんでした。

【参照】丁寧な表現

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[・] 単数・複数

数えられる名詞かそうでないかを覚えるのは、英語習得の中でも難関の一つです。「郵便」、「郵便物」の'mail'は辞書によれば数えられない名詞となっています。'Letter'が封筒に入った手紙であり、一通、二通と数えられるのに対し、'mail'は抽象的な概念だということのようです。日本人にはその区別がよく呑み込めないのですが、最近になってますます混沌として来ました。

コンピュータ通信の発展とともに電子メールも大変ポピュラーになったのですが、何故かコンピュータ通信草創期の関係者達は、電子メール(E-mail)という言葉だけ一般化させ、ついぞ電子手紙(E-letter)という言葉を普及させませんでした。御承知のように、我々が扱う場合の電子メールは一通、二通と数えられます。'E-letter'という言葉が存在しない以上、電子メール(E-mail)は現実的に数えられる名詞に変貌せざるを得ません。

Meridian Macintosh Users GroupのBill Baldwin(ビル・ボールドウィン)という会員が、他の全員に送った電子メールに、"Please feel free to send me an e-mail."という一行がありました。"an"を使って、明らかに数えているわけです。最近、The University of Mississippiの経営学部から電子メールが届きましたが、それにも"If you would like to send a friend an e-mail about this service, please go to..."(以下略)と"an e-mail" が使われていました。アメリカでしばらく放映されていたPageNetという会社のCMでは、明瞭に"I'm writing a few E-mails."と云っていました。

一度御一緒した英語が御専門の大学教授(日本人)も「Mailは数えられないが、E-mailは数えられる」という説でした。しかし、MeridianのComputerland勤務の女性に聞いたら、彼女は"two E-mail messages"という風に巧妙に逃げるそうです。過渡期なんですね。

もう一つ。Meridian Macintosh Users Groupのミーティング会場に使わせて貰うべく、ある中学校のMac Lab(Macintoshばかり数十台設置してある教室)の先生に交渉に行きました。「授業中なので、中でしばらく待て」と云われ、教室の空いているMacをいじっていました。マウスの動きがおかしいので、中のボールを清掃。それを数台分やりました。やっと先生と話せるチャンスがめぐって来た時、私が"I cleaned a few mouses for you."と云ったのです。先生は、中学生の言葉の間違いを見つけた時のように、"Mouses????!!!!"と大袈裟に反応しました。私は、慌てて"Mice."と訂正したのですが、脂汗たらたらでした。

前述の大学教授は「本物の鼠だけが"mouse"から"mice"になるのであって、コンピュータのマウスは"mouses"で正しいのではないか」とおっしゃっておられました。Barbaraの意見も全く同じで、「コンピュータのマウスが複数で"mice"になるとすれば、毛だらけで何か汚らしいイメージ。"Mice"になるのは動物だけであって、あなたが"mouses"と云ったのは間違いではない」というものでした。恥をかいたと思っていたのが、急に認められて面映ゆいやら、当惑するやら。しかし、Computerland勤務の女性は、この場合でも'mice'を使っているそうです。そして、だめ押しですが全国版日刊紙'USA Today'も"mice"を使っていました(写真参照)。

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[・] 高い、安い

以前、私が"The shipping fee is expensive."(手数料がとても高い)という英文を書いたことがあります。カミさんにチェックして貰ったのですが、なんなくパスしました。しかし、カミさんの当時の同業者(英会話講師のアメリカ人)が、「衣服や食物、旅行の費用等については "expensive" が正しく、price、fee、charge などには "high" を用いるべきである」と指摘したそうです。前の文章は"The shipping fee is high."が正しいそうです。

しかし、辞書、参考書によっては混用されているものもあります。生っ粋のアメリカ人でも一見して間違いを見破れないわけですから、"The shipping fee is expensive."と云ったからといって、英米人が笑うわけでも軽蔑するわけでもありません。しかし、豆腐は一丁、二丁、イカ・タコは一杯、二杯であり、これを一個、二個と云っても誰も笑わないのと同じでしょう。「イカを一個下さい」が子供っぽいように、"The shipping fee is expensive."も同様ということが云えそうです。

なお、「安い」ですが、物品には"cheap"、給料、価格、支払いなどには"low"だそうです。まとめると、

モノ:expensive or cheap
価格:high or low

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[・] Driveway

夕食を終えた時分、私は一寸した買い物をしにスーパーへ行くことを思い立ちました。カミさんが"My car is on the driveway."と云いました。私は通常小形トラックを乗り廻し、彼女は乗用車です。家のカー・ポートに二台相前後して駐車することもあれば、片方をブロックしないように他方を道路に停めることもあります。ここで、私は後者だと考え、"Oh it's good."と応じました。

カー・ポートの小形トラックに乗り込み、一応運転席側のドアを開けて芝生に乗り上げないように、道路へと下り始めました。「ゴン!」何かに衝突しました。「知らない間にお客が到着し、その客の車に衝突したんだろうか?」というのが一番恐れたことでした。かなり勾配のある坂なので、バックミラーには何も映っていません。

 

恐る恐る車から出てみると、後ろにあるのはカミさんの車でした。「Drivewayにあると云っていたクセに!」と憤慨しかけて、あることを思い出しました。"Driveway"は日本人には"drive"+"way"というニュアンスで「自動車道路」として受け止められますが、実は欧米では道路から車庫(カー・ポート)への私設車道を意味し、公共の自動車道路の意味は無かったのです。(写真の右の車が止まっている道がdriveway)。ですから、カミさんが"My car is on the driveway."と云った時、それは「私の車があなたのトラックの後ろにあるわよ」という意味だったのでした。カミさんも、"Oh it's good."などと応えた私に「どうして?」と咎めてくれれば誤解は生じなかったのですが。

いずれにせよ、私がゆっくり“衝突”したので、双方目立つような被害はありませんでした。やれやれ。

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[・] ゼロは複数なの?

カミさんに"There is no car in the park."と云ったら、"There are no cars in the park."と直されました。「複数にしなさい」というわけです。

1) There is a car in the park.
2) There are two cars in the park.
…この二つの例は誰にでも理解出来るし、書けるし、話せます。しかし、「公園に車は一台も無い」と云う時、

3) There are no cars in the park.

…となるのは不可解です。単数、複数の区別が無い言語を使用する国民には、「なぜ、"no"(ゼロ)に複数が組み合わさるのか?ゼロは単数でも複数でもないではないか」という単純な疑問が湧きます。先ず、カミさんに質したのですが、彼女には説明がつかず、母国語の用法を説明出来ないことに苛々し、次第に腹が立ってくる様子がありありと見てとれたので、深追いするのは止めました:-)。

こちらの友人の一人から、以前高校で英語を教えていた女性Diane(ダイアン)を紹介して貰いました。Dianeの説明ですと、"There is no car in the park."と云っても文法的には正しいが、「我々は絶対にそういう云い方はしない。公園ではなく、私の友人の家について話すと仮定しよう。彼女が一台しか車を持っていなければ、"There is no car in her driveway."とは云う。【参照:Driveway】この文は『だから彼女は外出していて家にはいない』ということを伝えている。しかし、公園は多数の車があって当然なので、"cars"が前提である。英語には名詞と動詞の“数”を一致させるという約束があるから、"cars"には"are"が対応する。一台も車が無い場合の"no"は"one"、"two"と同様の形容詞である。形容詞は動詞に影響を与えないから、『公園に車は一台も無い』は"There are no cars in the park."となる」

つまり、「複数あって当然」かどうかが判断基準になるということですね。「夫」や「妻」は当然一人ですが、「子供」は複数あってもおかしくない…というような応用篇が考えられます。しかし、一瞬考えなくてはならない要素ですね、これは。

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[・] 南部訛り

ずっと以前にカミさんが「面白いから読め」と渡してくれたのが'Forrest Gump'(by Winston Groom. Pocket Books)。お話も奇想天外なのですが、主人公Forrest Gumpに合わせた無茶苦茶な英語にびっくりしました。"they is"、"hundrit (hundred)"、"srimp (shrimp)"、"bidness (business)"などというのがゾロゾロ出て来るのです。「主人公が頭の弱いヒトだから、これはぴったり。この手法は英語に弱い日本人(私のこと)を主人公にした小説でも可能だった!残念」とか思ったものです。「南部の教養の無い人間の使う言葉を模倣してるだけよ」というのがBarbaraの説明でしたが、「いくら教養が無くたってnativeが"they is"はないだろう!」と信じられませんでした。

[Southern dialect]

'How To Speak Southern'(by Steve Mitchell, Bantam Books 1976)という本を見つけて読んでみたら、ちゃんと"srimp"だの"bidness"だのが載っています。古い本ですから、'Forrest Gump'から拾った編集ではなく、逆に'Forrest Gump'の作者が参考にした本かも知れません。いくつか引用してみますと…、

Ah: The things you see with, and the personal pronoun denoting individuality. 《用例》"Ah think Ah've got somethin' in mah ah." 【訳注】I think I've got something in my eye.「私」も「目」もahなわけです。

AY-rab: The desert people who inhabit much of North Africa but not much of Israel. 《用例》"That fella looks like a AY-rab, don't he?" 【訳注】That fellow looks like an Arab, doesn't he? "don't he?"となっているのは原文のママ。

Goff: A game played with clubs and a little white ball, usually to the accompaniment of much profanity. 《用例》"Ah hate goff." 【訳注】I hate golf.

Idinit: Term employed by genteel Southerners who wish to avoid saying "ain't." 《用例》"Mighty hot today, idinit?" 【訳注】Isn't itですね。

PO-leece: One or more law enforcement officers. 《用例》"Ah was jest standin' there mindin' my own bidness, judge, when this here PO-leece come up to me..."  【訳注】語頭のPOにアクセントを置き、長く延ばしたpolice。

Tar: A round inflatable object that sometimes goes flat. 《用例》"You shouldn't drive that car without a spare tar." 【訳注】tireです。

Zat: Is that. 《用例》"Zat yo dawg?" 【訳注】Is that your dog?です。

これらは発音を相当誇張したものなのでしょう。全体を通して一貫したルールはなく、ある時はあまり口を開けたり閉めたりしたくないという怠惰な発音になり、長い言葉は短縮し、ある時は短い語を丁寧に長く引き延ばして発音するなど、支離滅裂。Californiaのレストランで、カミさんがホンの数分話をしたレジ係から「南部の方ですか?」と聞かれたのを目撃したことがあります。実際に上のような表現をしなくても、南部の発音は顕著なようです。「さすがネイティヴ」とレジ係に感心したのですが、よく考えれば私だって東北弁や関西弁、博多弁、鹿児島弁等はすぐ判るんでした。

青山 南という翻訳家が、「翻訳書にはなぜかしょっちゅう東北弁が登場してくる。フォークナーの小説では黒人たちは東北弁をしゃべっていたし、他の小説でも、黒人でなくても田舎モンとなると、かならず東北弁になった。『こんなモンでいがっぺや』的な、いかにもいいかげんな東北弁が多かった。フォークナーのミシシッピー州の黒人がなんで東北弁をしゃべらなければならないのか、それが分らない。だいたい、ミシシッピー州はアメリカの南部だし、単純に考えたら、九州のナントカ弁、ないしは中国・四国地方のナントカ弁を使うのが筋じゃねえかよお!」と喚いていたことがあります。では、'Forrest Gump'がどう翻訳されていたかというと、小説も映画の字幕もただの標準語でした。これはあんまりです。東北弁や博多弁にするとダサイという判断だったかどうか知りませんが、芸が無さ過ぎるし原文の味が抜け落ちています。

'Forrest Gump'の原作は映画には無いエピソードが一杯あります。彼、プロレスラーになったり、宇宙飛行士にもなるのです。映画より格段に面白く、英語も平易な文章です。ぜひ、お近くの本屋さんでどうぞ。彼の喋り方を真似をすると“教養のない南部出身者”になる恐れがあるので要注意。続編'Gump & Co.'もペーパーバックで出版されています。

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[・] 丁寧な表現

英語には日本語のような敬語が無いかと云うと、あるんですね、これが。"Please"とか"Sir"を付ければ丁寧になる?いえいえ、そんな簡単なものではありません。『英語のソーシャルスキル』という本がありまして、副題は"Politeness Systems in English and Japanese"(大修館)。題名から、社交ダンスに類似した社交英語の軽〜い本を想像すると、これが大違い。「日本人の英語が突然攻撃的になったり、また逆に、突然理解しがたいほど遠慮深いものになったりする」のは何故か?と疑問に思った二人のイギリス人教師が、日本人の日本語教師と三人で研究しあった成果がこれ。丁寧な表現の原理・原則を教えてくれる好著です。以下はその要点。

例1:
       1) Will you...?
       2) Would you...?
       3) Would you mind -ing...?
 --------------------------------------------------------
       4) Can you...?
       5) Could you...?
       6) Do you think you could...?
       7) I don't suppose you could...
       8) Do you think you could possibly...
       9) I don't suppose you could possibly...
      10) You couldn't (possibly)..., could you?
      11) I was wondering if you could...
      12) I was wondering if you could possibly...

客から店員への「注文」、上司から部下への「指示」は、いずれも相手の職務であることを頼むわけです。友達や見知らぬ人に対しての場合は、それが職務であることはあり得ず、「指示」ではなく「依頼」することになります。

上の1)〜3)は「指示」するときに使う表現であって、"please"をつけて柔らかくしようと何をしようと「遠慮」とは無縁の表現です。 "Would"で始まる「指示」の表現は【このお願いを拒絶なさるなどという料簡はよもやお持ちではありますまいが…】ぐらいの、口調は丁寧だがきわめて押し付けがましいものです。したがって、上の表現のうち点線から下のものだけが「依頼」の表現となります。

例2: 英語では「依頼」に謝罪の言葉を添えるということはしません。もし、 "It's a bit cold, isn't it?" "Sorry, could you shut the window?" というように【めんどうなことをさせて申し訳ないが】という意味で"sorry"と云うと、大変失礼なことになります。相手の返事を聞く前に相手が自分の頼みを聞き入れてくれるものと勝手に決めてしまっていることになり、思い上がった態度をとっていることになるからです。「依頼」の前にsorryを添えるとしたら、それは自分の唐突な発言を詫びるものであり、「めんどうなことをさせてすまない」という意味ではありません。

例3:
1) "Could you bring me another cup of tea?"
2) "Could I have another cup of tea?"

日本語では、相手の手をわずらわせるかどうかという点が重要で、もしわずらわせるならそのことに言及することによって、自分がそれを認めている、頼む表現を使わなければなりません。英語では、相手に決定権を委ねることを明確に表明するという点で、許可を求める表現の方がより丁寧です。上の1)の場合は、日本語なら「ああ、キミキミ、紅茶もう一杯持って来てくれ給え」のニュアンスで、ウェイトレスによい印象を与えるのは間違いなく"Could I...?"の方です。「仕える」立場にいるとみなすことのできるウェイトレスに対してでさえそうなので、まして対等の立場にある友人に対して1)のように云わないのは当然です。もし云ったら相手を召使いとみなしていることになります。

その他:
1) 知り合ったばかりの人に対しては、Wh-クエスチョンは原則として避ける。これを連発すると警官の尋問のような感じを与える。
2) 同席している人物を"he"、"she"で言及しない。名前で言及すること。
3) 'llを多用する。"will"は「公の発表」的、偉そうな、もったいぶった感じを与えてしまう。

以上、この本の解説は正しいのでしょうが、私が実生活で"Could I..."という表現を聞いたことがあるか?というと、実は余りありません:-)。しかし、カミさんは"Could I have a sip?"(一口飲んでもいい?)とかよく使うそうですし、各表現の底流にある思想は知っておいて損はないと思われます。

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[・] Sayとtell

"The book said..."という云い廻しをよく見かけます。「その本によれば〜だそうだ」という意味です。似たようなもんだろうと"The book told me..."とやったら、「本はあなたに話しかけないワ」と笑われてしまいました。

LDCEには、"to show; indicate"として"What does your watch say?"という例がありました。

'Dictionary of Common errors'(by J.B. Heaton and N.D. Turton, Longman, 1987)には、
"The magazine also talks about English football." …という例が載っていました。"Tell"は駄目でも"talk"はいいようです。

"Say"は直接話法を導き、"tell"は(目的格を伴って)間接話法を導くという区別もあります。これは、『ライトハウス和英』の「いう」の項に詳しく出ています。


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[・] 「行く」と「来る」

「行く」は"go"、「来る」は"come"ですが、日本語の用法と違い、相手のいる場所が基準になって言葉が選ばれます。こちらが相手のいる場所へ“行く”場合は"come"です。

"I'll come over at six."(6時にそちらへ行きます)

話し相手と一緒に、どこか別の場所へ「行く」場合は"go"です。

"Let's go to Mike's house tonight."

「こちらへいらっしゃい」は"come"です。ですから、次のようにお互いが"come"を使う場面もあり得ます。

John: "Shall I come over?"「伺いましょうか?」
Jack: "Please come over." 「来て下さい」

なお、上の例は人間の移動ですが、モノの移動も全く同じです。

【参照】「Bringとtake」

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[・] Welcome to America!

日常会話で突然"Welcome to America!"と云われたらどう解釈しますか?

例を上げましょう。
「歯医者に行ったら$3,000.00請求された!」
"Welcome to America!"

「この前乗った飛行機、30人もオーヴァー・ブッキングしてた」
"Welcome to America!"

「友人が、日本から着いたその日にカメラを盗まれた」
"Welcome to America!"

つまり、これらは歓迎の言葉ではなく「それがアメリカってもんよ」、「そんなの普通だよ」、「今ごろ、何云ってんの?」という、いささか自虐的というか諧謔的というか、客観的にアメリカの悪い面も認識しているという態度を示す台詞です。

Los Angels(ロス・アンジェルス)のUnited Artists Studioという、映画スタジオ内に作られたテーマ・パークに行った時のこと。野外劇場で演芸をやっていました。幕間に司会者が「Kansas州から来てる人いますか?」、「New York州の人は?」とか、観客に尋ねます。客の方は友人などと「いるよ〜!」と合唱します。「まさか、Arcasas州の人はいないでしょうね」「いるよ〜!」そこで司会者が"Welcome to America!"と云いました。つまり、「Arcasas州なんてド田舎はアメリカじゃない、よくまあアメリカへやって来たね」という冗談なんですね。満場、笑い転げていました。Clintonが大統領に就任する以前の話です。現在、どの州がいたぶられているかは不明です:-)。

これを日本で使う場面を考えてみました。初めて日本へ来た外国人がチップを置こうとするのを押しとどめ、"Welcome to Japan!"と云えます。アメリカの映画館は日本円で¥500〜¥800です。アメリカ人と一緒にロードショーに行き、「エッ?¥1,800もするの?」とびっくりされたら"Welcome to Japan!"です。中華街や有名ラーメン店で行列する時、温かいおしぼりサーヴィスに出会った時(西欧にはありません)、蕎麦屋で盛大にズルズル汁をすする時、靴を脱がなければならない時、何であれガイジンに親切な日本人がよく面倒を見てくれた時…様々な状況が考えられますね。

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[・] 否定の英語

私たちは「否定する場合は文の先頭で否定する」と教わっています。すなわち、"I don't think it's a dog."であって、"I think it's not a dog."はいけないというものです。確かに、これはかなりの確率で正しいのですが、“いけない”例を最新の小説で見つけました。

Robert B. Parker(ロバート・B・パーカー)の私立探偵Spenser(スペンサー)ものは、日本でもファンが多いシリーズです。その29作目の"Hush Money"(Berkley Books, 1999)を読んでいましたら、次のような会話が出て来ました。

"You know where to find him?"(奴に会える場所を知ってるな?)
"Yes, I do."(知ってる)
"Where?"(どこだ?)
"I think I won't tell you," I said.(「云いたかないね」と俺は云った)

Robert B. Parkerはベストセラー作家で世界中で読まれています。そういう作者ですから、文法的間違いをしたというより、日常的に聞かれる表現を活写したというべきでしょう。勿論、「文の先頭で否定する」方が安全ですが、"I think..."と始めてしまった時に、何も(いけね!)"I don't think..."と云い直す必要は無いということです。

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[・] 出来た

"I can..."(出来る)の過去「出来た」が"I could..."であると思うと、そう簡単ではありません。試みに、疑問文にしてみると解ります。"Could I..?"は「〜してもいいですか?」という丁寧な言葉遣いになります。"You can..."の過去も同様で、疑問文にすると"Could you...?"は「〜して頂けませんか?」という丁寧なお願いになります。

つまり、この一連の"could"は仮定法の用法になってしまうので、"I could..."も「しようと思えば出来た」であり、"You could..."も「こうも出来たでしょうに」という仮定の意味になってしまうのです。

あくまでも「出来た」という意味にしたい場合は"be able to"を使うことになります。"I could go to Winbledon."は「Winbledonに行くことも出来たが行かなかった」のであり、"I was able to go to Winbledon."が「実際にWinbledonに行けた」ことになります。

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[・] be going to

「〜するつもりだ」は"be going to"です。誰でも知っています。しかし、一緒に歩いている相手に「もう帰りますか?」と云うような場合、つい"Will you go back home?"とか云ったりしちゃいます。私も、英会話駆け出しの頃に、これをやりました。これは「(お願いだから)家に帰ってくれる?」という意味になります。【参照:丁寧な表現】"Will you do me a favor?"(お願い出来ますか?=お願いがあるんですけど)という文と比較すればよく判ります。単に相手の意思を聞くのならば、"Are you going back home?"です。丁寧に意思を確認するつもりが「もう帰んなさいよ」になっちゃあ、人間関係をブチ壊します。桑原桑原。

ウィーンへ仕事に行った時のことです。英語の達者なディレクタがタクシーの運転手に"We are going to the Museum."と行く先を伝えました。私は、(どうしてWe are going to go to the Museum."と云わないんだろう?)と思いました。"be going to"は「〜するつもりだ」であって、"go to"を抜かしたら「美術館するつもりだ」という妙な英語ではないかと感じたのです。しかし、これは"going to go to"があまりにも冗長であるという理由で、何の問題も無く省略して良いのだと後で知りました。ディレクタ氏にイチャモンを付けなくて良かった:-)。

なお、アメリカ式では、"going to"が"gonna"になり、発音は「ガナ」です。「もう帰ります」と云う時は、"I'm gonna go."(アイム・ガナ・ゴウ)です。ついでですが、「もう帰らなくちゃ」は"I gotta go."(アイガラゴウ)です。この"gotta"は"have/has got to"が詰まったもので、意味は"have/has to"と同じです。

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[・] ヒアリング

「補聴器」のことを"hearing aid"と云います。「聴力補佐器」という感じです。同様に、"hearing test"は「聴力テスト」です。御存知のように、「聴力テスト」というのは音がしたのは右か左か、どの程度の音量、どの辺の周波数が聞こえるか…などのテストであって、意味を理解するテストではありません。これは日本でもアメリカでも同じです。「私は昨日ヒアリング・テストを受けた」と云えば、英米人は「(若いのに聴力障害があるのか、可哀相に…)」と思うに違いありません。

"I heard a strange noise."「妙な音を聞いた」この場合、別に真剣に聞かなくとも、騒音は聞こえて来ます。いわば受け身の状態です。
"I listened to the radio."「ラジオに聞き入った」聴く能力を総動員し、集中して聞くわけです。

というわけで、聞き取った内容の理解が問題になる場合は「リスニングの勉強」、「リスニング・テスト」となるべきです。こういうことに"hearing"を使うのは純然たる日本語なので、"listening"を使わなければなりません。誰が「ヒアリングの勉強」、「ヒアリング・テスト」などという言葉を広めたのでしょうか?未だに「聴解能力」を「ヒアリング」と云ったり、書いたりする人を信用してはいけません。

なお、「公開ヒアリング」、「公聴会」などは英語でも"(public) hearing"(ヒアリング)です。

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[・] ヴェテラン

アメリカの毎年11月11日は"Veterans Day"という祝日です。30年以上看護婦として働いている人とか、40年も勤めた図書館司書を讃える日ではありません。この日は「退役軍人の日」です。

勿論、日本で使われる経験豊富な人という意味も"veteran"には含まれています。"PGA Tour veteran"「アメリカPGAツァーのヴェテラン(ゴルファー)」という風に使われます。英英辞典LDCEには"veteran traveller"、"veteran politician"などの例が載っています。しかし、LDCEの語義説明で、“経験豊富な人”というのは二番目の意味でしかありません。

一番目は「退役軍人」、「復員軍人」です。戦争に行って帰って来た人は経験豊富であるということから、先の二番目の意味が派生したのでしょう。

私の大好きな映画の一つに『友情ある説得』"Friendly Pursuasion"というのがあります。南北戦争当時のクエーカー教徒一家のお話。クエーカー教は闘争を否定しますので、北軍に参加することを拒否し、略奪する者には何でも与えるという無抵抗主義を唱えます。長男Anthony Perkins(アンソニイ・パーキンス)は母親Drothy McGuire(ドロシー・マグワイア)の制止を振り切って友人と戦場へ向かいます。父親Gary Cooper(ゲアリ・クーパー)が息子を連れ戻しに行っている間に、南軍が食料を略奪に来ます。最初は乱暴だった兵隊達も主婦の優しく誠実な態度に打たれ、礼儀正しくなります。しかし、一人の兵隊が彼女のペットである鵞鳥を持ち去ろうとした時、彼女は無抵抗主義をかなぐり捨て、箒で兵隊を追い回し鵞鳥を取り戻します。長女と次男がこの一件を目撃しますが、秘密として固く口止めされました。長男は軽く傷を負った程度で、父親と共に無事帰還します。再び平和が訪れ、一家が教会へ行こうという朝、次男が「箒」の一件を暴露します。Gary Cooperは箒を銃に見立てて妻に捧げ銃(つつ)し、妻と長男を両脇に抱え、"Well, come on, veterans."と馬車へいざないます。これが映画の終りです。

 

蛇足を承知で説明しますと、長男は曲りなりにも戦場へ行って来たので“復員軍人”、奥さんも鵞鳥のためとはいえ南軍と“戦った”わけですから“退役軍人”だという冗談なんですね。日本語字幕版を観ていた時には、この台詞に気が付きませんでした。

つまり、何のヴェテランか明らかにしない場合は、それは退役軍人を指すという御粗末の一席。

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[・] 禁煙

"This building is smoke free."と書いてあったら、「おお、ここでは“自由に”タバコが吸えるのか、しめしめ」と思ってはいけません。

"duty-free"(免税の)
"fat-free"(無脂肪の)
"toll-free"(通行料免除の)

上のように"-free"が語尾に来た場合は、“〜を免れる”、“〜の無い”なので、"smoke free"の場合も、「タバコの煙害を免れる」=「禁煙」と解釈しなければいけません。

"Free"が語頭に来た場合は、"freehand"(自由な描法で)、"freestyle"(自由形)、"free-lancer"(フリーランサー)、"free school"(自由学校)、"free throw"(フリー・スロー)など、我々にお馴染の“自由な”という意味になります。

よく日本人のWebページに「このサイトはリンクフリーです」などと書いてありますが、上の公式を当てはめると、この表現は「このサイトはリンク禁止です」となり、当人の意図に反した結果となります。正しくは「フリーリンク」とすべきですが、「リンク歓迎」と書く方が簡単ですね。

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[・] No、none、nothing

問いかけには"Yes"、"No"で答えられないものがあります。"What are you thinking?"(何を考えているの?)など。日本ですと、これに対し「別に…」、「何も…」と答えたりします。"No, I'm not thinking anything."(何も考えていない)という全体像はいいとして、後半を省略して'No"とだけ云うと非常におかしなことになります。私もカミさんに何度か注意されました。"Yes"、"No"で答えられる質問ではないからです。

こういう場合の「別に、何も…」は"nothing"です。「何も考えてなくて、頭は空っぽ」という風に解釈出来ます。人間や数えられるものが「空っぽ」ですと"none"になります。

英語は数に神経質な言語です。非常に不思議なのですが、"Nothing is better."(これ以上いいものは無い)と云う場合、"nothing"は単数扱いになっています。"And there were none."(Agatha Christieミステリの題名『そして誰もいなくなった』)の場合、"none"は複数扱いになっています。この不思議な扱いについては下記の項目を御覧下さい。

【参照】「ゼロは複数なの?」

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[・] Bringとtake

これは「行くと来る」に酷似しています。つまり、"come"が話者あるいは聞き手のところへ人か物が移動することであったのと同じことが"bring"にも云えます。

"I'll bring my daughter there at three."(3時に私の娘をそちらへ連れて行きます)
"Can you bring the car to my house tomorrow?"(明日その車を私の家に持って来てくれる?)

"Go"と同様に、話者あるいは聞き手のところから別の場所へ人か物が移動する場合は"take"です。

"I'll take your son to the school at three."(3時にあなたの息子さんを学校に連れて行きます)
"Can you take the car to the garage tomorrow?"(明日その車を修理工場に持って行ってくれる?)

和訳を見るとどちらも「持って行く」と「連れて行く」が混在していて、一見難しそうです。それに、「持って行く」は"bring"と一つ覚えで決めていると、なおさら難しくなります。

友人で医者のMikeのコンピュータのハードディスクが壊れ、町のコンピュータ・ショップに持ち込んで修理することになりました。私はMikeの“コンピュータの先生”ですし、彼は朝9時から夜9時まで働くという“過労死”寸前の男なので、私がコンピュータの運び人を買って出ました。彼のクリニックを訪れ、"When should I bring it to the shop?"と云いました。もうお分りのように、これは間違いです。共働きで同じクリニックのマネージャーをしているMikeの奥さんMarilyn(マリリン)が聞いていて、"Take it to the shop?"と訂正してくれました。

この場合、コンピュータはMikeの手元から離れるので"take"でなくてはなりません。修理が終わって彼の元へ運ぶ時は"bring"です。

我々の英語の先生でもない英米人は、普通我々の文法の間違いを指摘したりしませんし、訂正したりもしません。意味さえ解れば、誤りは無視してしまいます。Marilynは結構勝気な女性なので、人の誤りを看過出来なかったのでしょう。

私はある日の晩にMikeのコンピュータを彼から"take"し、翌朝コンピュータ・ショップに"bring"し、夕刻「ハードディスクの交換が終わった」という連絡を受けて、ショップから"take"し、Mikeのクリニックに"bring"したのでした。

Mikeの立場に立って考えてみましょう。「エイジ(私のこと)は昨夜私のコンピュータを"take"し、翌朝ショップに"bring"し、修理が終わったらショップから"take"し、私のところへ"bring"してくれた」となります。つまり、立場が変っても全く同じなのですね。

【参照】「行く」と「来る」

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[・] 否定形の研究

プロのゴルフ・トーナメントを観に行った時、友人のMark(マーク)に「有名じゃないプロでも、実は我々より遥かに上手いんだよね」と云ったのですが、「有名じゃないプロ」に"infamous professional"という言葉を使いました。Markは「そうなんだよね」と相槌を打ってくれました。

しかし、自分で発した言葉に何か落ち着かない思いが残りました。Markに「"infamous"か"unfamous"か、どっちが正しいの?」と聞きました。Markは「"infamous"は“不名誉な”あるいは“恥ずべき”という意味になるし、"unfamous"という言葉は無い。“有名でない”と云いたい場合、我々は"less famous"と云い、“無名の”なら"least famous"と云う」と教えてくれました。

私は新しい言葉を作るのが得意で、かつて"analyze"(分析する)の名詞として"analization"という言葉を捏造して笑われたことがあります。正しくは"analysis"。

"Un-"とか"in-"を付ければ否定形になると思ったら大間違いという例は、もう一つあります。"Flammable"(可燃性)の反対語は何か?"Inflammable"ですって?実はこれも「可燃性」なんです。「不燃性」と云いたい場合は"nonflammable"でなくてはなりません。"Inflammable"のそばで煙草を吸ったら悲劇です。

日本語でも「非」や「不」を付ければ単純否定になるわけではありません。「非人情」には「不人情」と異なる意味があることは、中学時代に『草枕』で習った通りです。やはりヴォキャブラリーを豊富にし、接頭辞、接尾辞などもちゃんと研究しておく必要があるようです。

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[・] More better

誰が流行らせたのか知りませんが、タレントが使ったり広告に登場したりすると、我々も使っていいような気になります。しかし、比較級に"more"をつける用法は英語にありませんので、教養が無いと馬鹿にされる因になるでしょう。

"More"+比較級もいけませんが、比較級が作れる単語なのに無理やり"More"+原型にするという過ちも冒す可能性があります。これもまずい。

"moreナニナニ"と云いたくなったら、そのナニナニが「原型→比較級→最上級」に変化しないかどうか確認してみる必要がありそうです。

『実例英文法』(A.J. トムソン、A.V. マーティネット著、江川泰一郎訳、オックスフォード、1991)によれば、「単音節の形容詞には語尾に"-er"、"-est"を付けて変化させ、三音節以上の形容詞には"more"、"most"をつける。二音節の形容詞は一定していない。"-ful"または"-re"で終わる形容詞には通例"more"、"most"を使う」と書いてあります。

『不思議の国のアリス』のAlice(アリス)は"Curiouser and curiouser."(すっごく興味津々だわ)と云いますが、これは作者の造語です。冗談としては使えますが、普通は"more curious"となるところです。

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[・] 冠詞、定冠詞

'Basic English Usage' by Michael Swan (Oxford University Press, 1984)に、こう書かれています。

「冠詞(a、anおよびthe)の正しい用法は英文法で最も難しい部分である。幸い、大抵の冠詞の誤りは大勢に影響はない。文章から全ての冠詞を取り去ったとしても、普通は意味が通じる。

【例】"Please can you lend me pound of butter till end of week?"

しかし、出来ることなら正しく冠詞を使うベきである。冠詞の使い方を理解するには、可算名詞(カウンタブル)と不可算名詞(アンカウンタブル)について知っておく必要がある。

可算名詞が単数の場合、正しくは冠詞か限定詞がつく。a cat、the cat、my cat、this cat、any cat、either cat、every cat…という風になり、只catとは云わない(二、三の例外はある)。複数で不可算名詞は冠詞や限定詞を伴わずに用いられるか、theとともに用いられる」

日本人学習者を対象にした本'Three Little Words: A, An, The' by Alan S. Brender (McGraw-Hill Publishing Company, Japan Ltd, 1989, ¥2,700)は、冠詞三つのために186頁も費やしています。このイントロには、

「"I put the plate on the table."から冠詞を取り除くと"I put plate on table."となる。これは英語を話す人間には剥き出しで不完全に聞こえる」と書かれています。

つまり、冠詞を抜かした場合も大怪我ではないことが分ります。しかし、ヨーロッパの言語には概ね冠詞の厳密な用法があり、aやtheの使い分けによって迅速なコミュニケーションを助けているわけで、ちゃんと意思を伝えるには冠詞の用法を知っておく必要があります。

とはいえ、比較的簡明な'Basic English Usage'でも7頁、'A Practical English Grammar'『実例英文法』 by AJトムソン、AVマーティネット(オックスフォード大学出版局、1991、¥3,039)では13頁もあります。そこにびっしり盛られたルールと例外を覚えるのはそう簡単ではありません。

では、大体は冠詞を付けるとして、省略出来る場合を覚えたらどうか?という怠惰な案が浮かびました。『実例英文法』には二つの項に分けて定冠詞を省略するルールが多数の例とともに出ています。

・定冠詞の省略

地名や人名の前(例外あり)、抽象名詞(deathなど)の前、所有格の後ろ(boy's uncle)、食事の種類(breakfastなど)の前、競技名(golfなど)の前、自然の摂理(natureなど)の前。

・定冠詞の慣用的省略

home(at homeなど)、bed, church, court, hospital, prison, school/college/universityなどが本来の目的を表す場合(go to bedなど。但しアメリカではHe is still in the hospital.という用法が多い)、sea(go to sea 船乗りになる)、workが職場を意味する場合(He is at work.)、話し手自身の町を指す際のtown(We were in town last Monday.)。

結構、省略するルールも多いですが、これら以外は全部冠詞を付ければいいとなれば(乱暴ですが)、覚え甲斐があります。

冠詞、定冠詞を付ける場合、a (an) = one なので、oneと言い換えられる場合は全部a (an)、話者と聞き手がすぐ「あ、あれのことね」と分るものはthe。間違ったとしても、意味は伝わるので大丈夫:-)。

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[・] ShopとStore

日本人には「お店」は"shop"でも"store"でも似たようなものに思えますが、ちゃんと区別があるようです。

・Shop=店員が客の注文に応えて何かする店

 barbershop(床屋)、flower shop(花屋)、gift shop(贈り物の店)、pawnshop(質屋)

・Store=商品を並べて客を待っている店

 bookstore(本屋)、hardware store(金物屋)、grocery store(食料品店)、department store(百貨店)

なお、大規模食料品店の中の上等な肉・魚を扱う部門は'Deli section'などと銘打って、専門の店員を配置しています。日本の肉屋さん、魚屋さんのように、相談に乗ってもくれるし、お好みの分量で買えます。

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[・] Not 〜 nor 〜

私の友人が英語サイトを作りました。彼が"It is not hot nor cold."という英文を掲載しているのを見て、カミさんが「Neither〜norという語法はあるが、not〜norというのは無い」と指摘しました。

私もかつて同じ間違いをしていたような気がします。"It is not hot..."(暑くはない)まで書いたところで、次の「寒くもない」を加える際、「接続詞は"or"だろうか、"and"だろうか?待てよ、二つ否定するには"nor"という便利なものがあったな。"nor"の方が格好良さそうだ。よしよし」という手順で"not〜nor"という新機軸の(?)構文が出来上がるんだと思われます。

辞書の例文を改造して英作文すれば安全ですが、生兵法は大怪我の因、“特製”の文法を作ってはいけませんね。

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[・] Georgia on my mind

AtlantaでカミさんのAEON英会話学校時代の同僚、Judyの家に泊めて貰ったことがあります。当時Judyの仕事は、Mercer Universityが外国からの留学生を受け入れる際、本格的授業に入る前の数カ月間、語学を中心に色々指導することだそうでした。英語に関する質問をするにはうってつけだろうと思い、一つの質問をしてみました。「Georgia州の観光パンフレットのタイトルは"Georgia on my mind"となっている。これが歌の題名を借用したものであることは知っている(邦題は、確か『わが心のジョージア』)。私の語感からすると、"in my mind"の方がしっくり来るのだが、なぜ"on my mind"なのか?」というものでした。

Judyは不思議そうな顔をしていましたが、「イディオム(慣用句)だからとしか云えないわ」という答え。私、「“心の奥深くにあるGeorgia”という意味だと思うが、日本人の私には"in"がふさわしい気がする。"on"だと心臓にベッタリとサランラップのように張りついているような感じ」 Judy、「全く反対で、"in"は今は覚えているが将来は分らない状態。"on"だと“決して忘れない”ということを指す」 ラップのようにしつこく張りついていれば、確かに忘れたくても忘れられないのかも知れません。日本語直訳式では駄目という一例でした。

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[・] 方向感覚

私が昔冗談アドヴェンチャー・ゲームを作った時のこと。結構色々な雑誌や単行本のCD-ROMにも採録され話題になったので、「英語版を作ろう!」と決意しました。当時流行っていたゲームのパロディが一杯出てくるのですが、その一つはダンジョン・ゲームでした。画面は真っ黒で、どちらへ行くかを決めるボタンがあるだけ。プレイヤーはずっと暗闇の中を歩くという、手抜きというかふざけているというか…。台詞は「随分暗いね、ここは」というものでした。私の下訳は"It's very dark here."というものでしたが、カミさんは無言で"It's very dark in here."と直しました。「どうして"in"がいるの?」と聞くと、答えは「だって、部屋の中でショ?」でした。

Tiger Woods(タイガー・ウッズ)がラウンドを終えて、最終ホール近辺でインタヴューされます。「このコースのグリーンをどう思う?」とか聞かれると、彼は"The greens are very tough out there."などと答えます。彼は室内にいるわけではなく、最終ホールのすぐ傍にいるのですが、彼(および他のゴルファー達)にとっては、コースを振り返る時、常に"out there"なのです。

「そこで何やってんだい?」(あるいは「そこで何がおっ始まってるの?」)という場合、日本語では「そこ」一語で済んでいるのが英語では千変万化します。

What's going on [*] there?

[*]には以下のような語が入ります。
over:話者から離れているところに関して云う場合
up:話者からみて上(二階、屋根、丘、木の上など)に関して云う場合
down:upの反対
out:室内の話者が室外に関して、あるいは町の中心部からみて郊外に関して云う場合
in:outの反対

英語が数に関して神経質なのはよく知られていますが、方向に関しても几帳面だということが分ります。上の例を[*]に何も入れずに使うこともあるようですが、私の印象としては方向感覚を加えた用例が断然多い。しかし、[*]に何が入っても無理に日本語に訳すとおかしくなりますね。

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[・] 事故と殺人

「飛行機事故で100人が殺された」というニュースを見たら、「テロによって爆弾が仕掛けられたのか!」と思いますわね?。「交通事故で三人が殺された」と聞けば、「どうやって殺されたんだ?」と思います。

"Golfer Payne Stewart killed in plane crash"
"Payne Stewart, four others killed after plane flies out of control"

上のは新聞やWebサイトの記事の見出しです(新聞の見出しでは受動態でもbe動詞が省略されます)。この場合、完全に事故であって、爆弾が仕掛けられていたわけではありません。英米では天命をまっとうしない場合は全部“殺される”みたいです。

次のは地元紙の火事のニュース。

"Stonewall woman killed in house fire"
"An elderly Stonewall woman was killed Tuesday when she was unable to escape a fire that engulfed her home."

火事の原因は調査中だそうですが、84歳の老婦人に怨恨関係があろうとも思えないので、単なる失火でしょう。ここでも"be killed"になっています。

勿論、全てのニュースが"(be) killed"を用いるわけではありません。しかし、当地の地方新聞では交通事故や火事でしょっちゅう誰かが“殺され”ています。

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[・] ポピュラー

「クラシック」に対する「ポピュラー音楽」という表現が一般的なので、「ポピュラー」は「通俗的」とか「大衆的な」と捉えられそうです(私がそうでした)。

辞書のトップには「人気のある」という訳語が出ています。本当はこれが主なんですね。私がゴルフを教えていた14歳の黒人少年Andrew(アンドルー)は、背の高い無口なタイプですが、スポーツ万能でサッカーやフットボールの主力選手です。彼のお母さんが「息子を追っかける娘さん達がいるんですよ」と云うので、"Wow. He's very popular."(わあ、人気者なんですね)と云ったら母子揃って嬉しそうな顔をしました。Andrewのニンマリした顔を見ると、「こりゃあスポイルされて、プレイボーイになりそうだなあ」と思ったことでした。

ついでですが、音楽の「クラシック」は"Clasical music"であって、"classic"ではありません。

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[・] Nowの用法

「お腹が空いた」と云いたくて"I'm hungry now."と云ったことがあります。一度ならず、二度までも。カミさんが「数分前にはお腹が空いていなかったが、それが急に空いた場合にだけ"I'm hungry NOW."と云える。そういう前段がなく、単に『お腹が空いた』というだけなら"I'm hungry."である」と指摘しました。

日本人にとっては"I'm hungry."だけでは何となく迫力が無いように思えます。「今現在お腹が空いているんだい」と強調したい余り、"I'm hungry NOW."と云ってしまうわけです。

上の"now"には「いまや」というニュアンスがありますが、場合により「もう」という意味で使われることがあるようです。"I'm eighteen now."と云った場合、「私は18歳である」というだけでなく、「あなた方は私を小娘だと思ってるかも知れないけど、もう結婚だって出来るんですからね」というような類の決然とした自己主張があるように思えます。

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[・] 便意

カミさんと六本木あたりを歩いていた時、急に便意を催しました。で、"I feel I have a bowel movement."と云ったのです。カミさんは笑い転げて、「何、その云い方は!」と云いました。

どこで見つけたのか忘れましたが、"bowel movement"という言葉を仕入れたばかりだったのです。これは"I'd like to go to the restrooms."と云うより、もっとクールでいいんじゃないかと思っていました。

しかし、"bowel movement"は文字通りには「腸の蠕動」ですが、「排便、便通」という意味の婉曲表現だったのです。町を歩いていて、いきなり「私は腸の蠕動を感じる」、「便意を感じる」と云われたら誰でもびっくりしますワネ。

'Forrest Gump'(フォレスト・ガンプ)の主人公は、Kennedy大統領主催のパーティで無料の清涼飲料水に感激し、ガブ飲みしてしまいます。大統領から「今の気持ちは?」と聞かれて、Forest Gumpは"I wanna pee."(おしっこがしたい)と答えます。これは一寸足りない男だから許されるのであって、常識人の表現ではありません。大小に関わらず"I'd like to go to the restrooms."が一般的。

"I feel the call of the nature."などという表現も辞書に出ていますが、私が実際に聞いたことはありません。"I want to relieve myself."は僅かですが聞いたことがあります。

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[・] Thoughはいいゾー

"Though"(けれども、にもかかわらず、でも)というのは口語で頻繁に使われ、非常に便利な言葉です。"Although"も似た意味ですが、これは堅苦しい感じがする上に、文頭にしか置けません。そこへ行くと"though"はフレキシブルです。

"Though he looks like an American, he's a Japanese."
"We continued to play golf, even though it began raining."

これらはまあ、よく見掛ける文章。次は会話などでよく出る例。

"You can have it, if you want."(欲しけりゃ上げるよ)
"No, I don't like it."(それ、好きじゃないわ)
"Never mind, then."(じゃあ、いいや)
"Thank you, though."(でも、ありがとね)

"I appreciate it, though."とも使われます。

"Did you try that cake?"(ケーキ、食べてみた?)
"Not yet. It looks good, though."(まだよ。でも美味しそうね)

「けれども」に"But..."ばかり使うと、一つのパラグラフに"but"がいくつも並んでしまいそうなことがあります。こういう場合、"..., though."や"However"などを交えれば、小学生の作文のようにならないで済みます。

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[・] 寝る

日本語の「昨日は早く寝た」を英語で云う場合、「寝る」につられて"I slept early last night."などと云いそうになります。"Sleep"は「眠る」という状態であり、「寝る行動」ではないので、"I went to bed early last night."が「早く寝た」になります。「我が家ではベッドなくて布団だ」という方も、何故かベッドへ行って頂くことになります:-)。不眠症患者が「昨日は早く眠りにつくことが出来た」場合、"I was able to fall asleep early last night."です。なお、「寝過ぎた」のであれば"I slept too long last night."となります。

いくつか寝る、眠る関連の表現を記しておきます。

go to bed 寝る
sleep 眠る
take a nap 昼寝する
have/fall into a doze うたた寝する、うとうとする
fall asleep 眠りに落ちる

ついでですが、「夜更かしする」は"stay up late"です。

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[・] 一夜の

文字通り訳して"one night"としたくなります。"One-night stand"という言葉があり、「一夜限りの興業(ショー)」とか「一夜だけの情事」を指します。これは厳密に時間を限定した云い方なので、「一晩中」、「夜を撤して」という場合には"overnight"という言葉になります。

"You can defrost the frozen tuna in the fridge overnight."(冷凍マグロ切り身は冷蔵庫へ移して一晩おけば解凍出来る)

プロのゴルフ・トーナメントは四日かかるのが普通です。それぞれの日にトップに立つプレイヤーが変わったりします。

"He was the overnight leader."(彼は前日のトーナメント・リーダーだった)

日本人には馴染みの「一夜漬け」ですが、本物の漬物の場合は"pickles salted overnight"だそうで、「詰め込み式勉強」には"cramming"という言葉があり、辞書には"You can't get good grades in English by overnight cramming." という例が出ています(『ライトハウス和英』第2版)。

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[・] 名前と職業

日本の本で"Who is he?"は名前(JohnとかTomとか)を聞き、"What is he?"は職業(ペンキ屋とか弁護士とか)を聞いていると教わりました。で、カミさんに「あの男はペンキ屋なのか大工なのか?」、あるいは「あの男は先生なのか弁護士なのか?」というつもりで"What is he?"と聞くと、必ず「それは"Who is he?"という意味か?」と問い返されました。要するに"What is he?"は「彼は何者だ?」という意味ではなく、それどころか英語として通じない表現のようでした。

元高校の英語の先生Diane(ダイアン)に聞きましたら、「職業を聞きたいのなら"What is he?"ではなく"What does he do?"である」という答えでした。

『ライトハウス和英・第二版』の「職業」の項には「"What are you?"という質問は多少失礼な聞き方なので、遠慮のいらない間柄か、あるいはクイズ番組などで相手の職業をあてたりするような場合などに限られる。3人称の主語で What is he? となるような場合はこの限りではない」と書かれています。こういう日本の書物も間違いとは云い切れないのでしょうが、実際に言葉が話される土地へ来てみると一寸違うというのが実感です。

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[・] Cerebration of one's birth

中学二年の時に茨城県の田舎町から福島県の田舎町へ引っ越すことになりました。当時は、私は成績が良かった方だったので(この頃だけ:-))、学校の優等生の女生徒二人と、やはり成績優秀な男子生徒二人、計四人を招いてお別れ茶話会を催しました。田舎ですし、この年齢で男女が揃っての会合というのは、非常に珍しかった頃です。

丁度、当日が一人の男子生徒の誕生日に当たる日だったので、「誕生祝いとお別れパーティ」という紙の横断幕を作りました。ケーキを食べたり、ジュースを飲んだり、トランプで遊んだりしました。

優等生でも田舎のことですから、とんでもない失敗をしてしまいました。和英辞典で「誕生祝い」を引いたら、"Celebration of one's birth"とあったので、そのまま引き移して"Celebration of one's Birth and Farewell Party"と横断幕に書いたのです。"one"には人名を入れ"Taro's Birth"とかしなければいけないところだったのに…。まだ学校では和英辞典が必要なく、使い方など教わっていなかったのです。優等生が勢揃いしていて、誰もこのミスに気づきませんでした。「僕たちの失敗」です。

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[・] 危険な関係

カミさんに私と誰かとの“人間関係”について話していて、私は"relationship"という言葉を使いました。彼女は一寸怪訝な顔の一拍をおいて「あなたは性的関係のことを述べているのか?」と聞きました。「とんでもない!只の人間関係についての話だよ」と説明しました。

私はカミさんの考え過ぎか、言葉にナーヴァス過ぎるのではないかと思い、元高校英語教師Diane(ダイアン)に聞きましたら、「私だって私の夫がある女性との"relationship"について語ったら、『それは性的関係の話か?』と聞くでしょう。"Anne and I have a platonic relationship."(アンと私はプラトニックな関係だった)なら素通りするけど、ただ"relationship"と云われたらどういう関係なのか必ず問い質すわね」とのことでした。

日本語でも「彼女と関係した」などと云いますが、どうも英語でも同じみたいです。この言葉は危険です。

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[・] 不燃物

日本にいる時に、ある町内会長からこういう話をされました。「外国人が住みついて、可燃物も不燃物も一緒くたにゴミ置き場に出すので困っている。何国人かわからないが、一応英語で注意書きを書いてくれないか」。

可燃物="flammable"は知っていました。しかし、不燃物は何だったか?「不」にしたい場合、"non-"、"un-"、"in-"などを頭に付ければ大抵いいことになっています。"unflammable"というのは聞いたことがなく、"inflammable"は見たか聞いたかしていました。"nonflammable"よりは"inflammable"の方が英語っぽくていい感じです。それで、「ゴミは"flammable"と"inflammable"に分けて出すこと」という文を作りました。

「念のため」ということで"inflammable"を辞書で引くと、あれま、これも「可燃物」なのでした。不思議。「不燃物」は"noninflammable"としなければならないのです("incombustible"という言葉もありますが)。

「ゴミは"flammable"と"inflammable"に分けて出すこと」では、くだんの外国人の行動は一向に変わらないところでした。危ない危ない。

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[・] Did you know?

新聞に時々現れる埋め草のコラムのタイトルに"Did you know? "というのがあります。中身はどうでもいいトリヴィアなのですが、引っかかったのはどうして"Do you know?"ではなく"Did you know?"と過去形になっているかでした。

日本語でも「mouseの複数はmiceなの御存知でしたか?」などと過去形で云います。これを「mouseの複数はmiceなの御存知ですか?」と現在形で云うと、暗に「知らないでしょ」というニュアンスが強くなります。過去形だと「既に御存知かもしれませんが…」という含みが出ます。これと同じなのか?と思い、元高校英語教師Diane(ダイアン)に聞いてみましたら、全くこの解釈通りでした。

ある広告メールで"Did you hear?"という題名のものがありました。これも同じ用法ですね。

インターネットで"Did you know?"と検索するとhttp://www.didyouknow.cd/を初め、かなりのトリヴィア・サイトが出て来ます。お試し下さい。

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[・] 御婦人たちと私

町のある「読書サークル」からBook reviewを依頼されました。20人前後の御婦人たちの前で英語で本の紹介をしたのです。滅多に無い機会ですから、写真を撮るのが趣味の友人Jack(73歳)にミーティングの写真撮影を依頼しました。

[book club]

私は「私のアップの写真など要らない。Please take pictures of the ladies and me.」と頼みました。要するに、学校の先生のレクチャー風景のように御婦人たち越しの私か、私越しの御婦人たちをワイドに撮って貰いたかったのです。組写真にするつもりは無く、一枚で完結する写真を頼んだつもりでした。

ところが、彼の撮ってくれた15枚の写真のうち、私が望んだようなものはたった一枚で、それも十分にワイドなものではありませんでした。ほとんどは私が喋っている上半身の映像。こんなものは御婦人たち抜きでいつでも撮れるものなので、全く意味がありません。

なぜ、こうなったのか?私の推測は、私の依頼の表現が間違っていて、"Please take pictures of the ladies with me. "と"and"を"with"に変えなければいけなかったのではないか?というものでした。日本人の感覚では"and"はその前後の言葉と密接に結びついているように思えます。「お月様と団子の写真を撮って」と云われた場合、日本人にはそれが一枚に両方が納まっている写真以外考えられません(こんな写真は、実は難しくて合成でもないと出来ませんが)。しかし、お月様と団子はセットであるべきだという意識が全く無い外国人であれば、「月」と「団子」を別々に撮って、一件落着にするかも知れません。同じように"the ladies and me"というリクエストに、それぞれを別個に撮っても私の依頼に応えたことになります。"the ladies with me"であれば、両者は一枚の写真に納まっていなければなりません。

元高校英語教師Dianeに尋ねますと、私の推測はドンピシャでした(と、いまごろ自慢しても後の祭りですが)。接続詞一つで写真の内容が変わるんですから、英語って本当に難しい。

【参考】Book Review:'The Chrysanthemum and the Sword'

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[・] みんなで間違えれば恐くない

私の町の商工会議所的な組織から「ビジネスマンの集い」への招待状(はがき)が届きます。仕事前の早朝に行われる時は軽い朝食が、夕方行われる時は軽いスナックが出ます。その準備のため主催者は人数を把握したいようで、「参加ご希望の方はご連絡下さい」と書いてあります。御存知のように、これは招待状の末尾に"RSVP"と書くのが普通です。

ところが、この商工会議所からのはがきには毎回"Please RSVP"とあるのです。"RSVP"の元はフランス語の"Repodez s'il vous plait."(Please reply)ですから、"Please RSVP"と書くと"Please please reply."ということになります。

ある時、この一件を退役将校と弁護士の父子に話しました。二人ともポカンとして、どこが「おかしいの?」という顔でした。退役将校は物知りが自慢の老人だし、息子はミシシッピ随一のロー・スクールを出ています。その二人が分らないんですから、こちらがびっくりしました。

商工会議所にも大学卒はいるでしょうし、このはがきを受け取るビジネスマンの大半は大学卒のはずです。彼らが全員見逃しているとすれば、"Please RSVP"はもう英語として定着しているのでしょう。正確には間違いですし、百歩譲っても冗長な表現には違いないのですが、誰も語源なんて考えないようです。

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[・] Make the cut

競技スポーツには「カット」というのがあります。プロ・ゴルフですと木曜、金曜は予選ラウンドといい、例えばThe Mastersですと毎年85人ほどが参加します。主催者は金曜午後に全体のスコアを見て、土曜、日曜の本戦に出場出来る人数が上位40人程度になるスコアを基準として、以下を切り捨てます。これが「カット」です。

当然この話題はアメリカの雑誌記事とかTVなどに登場するのですが、私は最初大いに面くらいました。

"He made the cut."
私はこれを「彼はカットされた」のかと解釈したのですが(受動態でないのは分っていますが、どうにも意味が取れませんでした)、実は「彼はカットを免れた」のです。辞書には"make the cut"には「目的に達する、成功する」などと“平然と”書いてありますが、「カット」に「人数減らし」、「予選落ち」という意味があることを知っている私は、「人数減らし(予選落ち)に成功する」という構造になるため、こんがらかってしまいます。

2003年5月、スウェーデン出身の女子プロ・ゴルフのチャンピオンAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)が男子プロのコロニアル・トーナメントに挑戦しました。予選ラウンドを終えた日の新聞の見出しは"Sorenstam misses cut at Colonial"でした。これは「カットを免れた」ではなく、「カットされた(予選落ちした)」のです。

『リーダーズ英和』には【名詞:(ゴルフなどの)本戦出場選手を決定する基準点】とあります。これは事実から類推した"cut"の定義としては正しいのですが、"cut"の語源との関係は何も教えてくれません。「成功した」という時、"I made it!"などと云いますが、この"it"を"the cut"に置き換えれば、「私はカットを克服した」ということになり、これなら理解出来ます。

ある裁判の記録を読んでいましたら、次のような文が出て来ました。
"That man had not made the cut."
正式に裁判に入る前に陪審員を選びますが、裁判に影響する経歴や偏見がある人は予選で落とされます。この文はそれを指しているわけです。

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[・] 医師の予約

"Could I see you tomorrow?"
"I have a doctor's visit tomorrow."

"Doctor's visit"を直訳すると「医師が患者を訪問する」ようにとれますが、この場合話者は通院患者であって医師ではありません。「患者が医院に出向く」のに"doctor's visit"というのは非常に妙です。直訳すると「医師の訪問」ですからね。

同じ意味を、
"I have a doctor's appointment tomorrow."
…とも云います。これも私の耳には妙に聞こえます。医院に出向く日時は患者の通院希望日時であって、医師の希望日時ではありません。"I have an appointment with a doctor."なら理解出来ますが、"doctor's appointement"と云うと、"'s"(アポストロフィーS)によって「医師が予約した何か」のように聞こえます。

「約束」はお互いのものだから、どちらに"'s"を付けてもいいという理屈もあるかも知れませんが、普通は医師が頼んで患者に来て貰うわけではなく、患者が診察を依頼するわけです。優位に立つ人(医師)の"'s"を伴う表現というのは私には奇妙に思えます。

しかし、どちらも英語としては正しい表現であって、「明日は医者に行かなくちゃならないんだ」という場合、上のような表現が使われます。アメリカ人に聞いても、どうしてそうなるのかは分りません。

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[・] コロンで転んではいけない

'Woe Is I'
by Patricia T. O'Conner (G.P. Putnam's Sons, 1996)

上のような本に出会いました。著者は'The New York Times'の読書欄の編集者を勤め、同社の従業員に文法の授業までした人。アメリカ人でさえ間違える数の一致、所有格、関係代名詞、動詞などの用法が指摘されています。これを読むと、日本の高校までの文法をちゃんと身につければ、ネイティヴ・スピーカーなどよりずっと優秀になれるということが分ります:-)。

さて、私にとってこの本で解明された重要ポイントはカンマ、コロン、セミコロンなどの区別でした。

「ピリオドを赤信号(止まれ!)とすれば、カンマは黄信号(注意して進め)であり、仇やおろそかに扱ってはいけない。カンマの用法:

例1:Jack claimed John planned the murder. (JackはJohnがその殺人を計画したと主張した)
例2:Jack, claimed John, planned the murder. (JohnはJackがその殺人を計画したと主張した)

例3:Betty quit saying she was looking for another job.(Bettyは別の仕事を捜していると云うのを止めた))
例4:Betty quit, saying she was looking for another job.(Bettyは別の仕事を捜していると云いつつ辞職した)

セミコロンは点滅する赤信号である。短い一時停止の後進まなくてはならない。カンマよりは長いポーズだが、ピリオドほど最終的ではない。セミコロンの用法:

・"and"がない節を並べる場合。Cathy's hat flew off her head; it sailed into the distance.
・カンマを含む品目を並べる場合。

コロンは急停止であり、ほとんどピリオドに近い。コロンの用法:
・引用文を導く場合。I said to him: "Please stop. We are heading north.")
・品目リストを導く場合。"Mike brought three wines: a Bordeaux, a Beaujolais, and a Burgundy."」

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[・] We love to see you smile

表題のフレーズはハンバーガー・ショップMcDonald'sの店の前の、大きいバナーに書かれているものです。

最初「あれっ?」と思いましたが、よく考えれば文法的に間違っているわけではありません。S+V+Oなんですね。しかし、私の貧しい英語能力では絶対にこういう表現は出て来ないだろうと思いました。私だったら、

We love to see your smile.

…としたことでしょう。では、この二つはどう違うのか?元高校英語教師Diane(ダイアン)に聞きますと、「両方ともto以下は不定詞を用いた名詞句で、S+V+O構文には違いがない。ただし、"We love to see you smile."では"you"と"smile"両方が強調されているのに対し、"We love to see your smile."は"smile"が強調されているに過ぎない」とのこと。

ここから先は私の憶測で根拠はありません。McDonald'sとしてはただ「あなたの微笑み」(your smile)を見たいのではないのでしょう。あなたが本を読んだり、お子さんと遊んだり、友人と語り合ったりして微笑んでいても、それはMcDonald'sと関係ないからです。McDonald'sは「(McDonald'sのお店でハンバーガーの美味しさに)微笑むあなた」を見たいのです。つまり、微笑み一般を指しているのではないと考えられます。

【参考】マクドナルドの発音

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[・] Add your $.02.

1994年頃のことですが、Macのあるソフトに関するFAQ(よくある質問)英語版の翻訳をヴォランティア作業することになりました。その一節に"Add your $.02."(アド・ユア・2センツ)という文がありました。そのまま訳しては文脈に合わないし、諺辞書にも出ていませんでした。筆者当人(アメリカ人)に問い合わせたところ、

"This is a slang expression which simply means to add your ideas. Similar to 'A penny for your thoughts.' You can substitute a similar Japanese expression."(これは俗語で「御意見をお聞かせ下さい」という意味。"A penny for your thoughts."に同じ。日本語の類似の表現に置き換えて貰って結構)
…という答えでした。

調べますと、"A penny for your thoughts."はイギリスの文人が最初に使った言葉だそうで、当時のPennyは大きくて価値もあったとか。ボーッと考え事をしている人に「何を考えているのか、話して御覧よ」という場合に使うそうです。アメリカでもイギリスでも通貨の最小の単位はpennyです。アメリカでは正式にはセントですが、1セント硬貨の愛称はpennyです、"$.02"は2セントですが、為替相場を反映しているわけではなさそうです:-)。

1999年に発行された『リーダーズ英和』第2版には"add one's two cents in"として「意見を述べる」という説明がでています。しかし、上の翻訳で悩んでいた頃の『リーダーズ英和』第1版にはありませんでした。

で、私が結局何と訳したかですが、「お便りをどうぞ!」という芸の無いもの。だって、意見とお金の交換って日本語に無いんですもん。

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[・] ○○がやって来た

「噂をすれば…」とか、なかなか来ない人物を待っていた時に、日本語では「ほら彼が来た」と過去形にします。これにつられて"Here he came."とか云ってカミさんに直されたことがあります。英語では"Here he comes."と現在形でなくてはなりません。

ところで、雑誌の見出しなどでは"Here comes Tiger."という表現がよく見られます。例はプロ・ゴルファーTiger Woods(タイガー・ウッズ)のことですが、実は誰でもいいのです。語順が逆になっているので、何か意味の違いがあるのか?とか、"Tiger"を際立たせる用法なのか?などと考え込んでしまいます。

元高校英語教師Diane(ダイアン)は明解に私の疑問に答えてくれました。

・"Here he comes."も"Here comes Tiger."も、意味とニュアンスに違いは全くない。
・代名詞であれば"Here he comes."の語順であり、固有名詞を使う時は"Here comes Tiger."と名前が最後になる。これらをごちゃまぜにはしない。

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[・] See for yourself

こちらのジュニア・カレッジは卒業生や一般市民が受講出来る講座を沢山用意しています。コンピューターからゴルフ、ウォーター・エアロビクスまで様々です。ジュニア・カレッジは受講生募集のTV CMを流していますが、そこで気になっていたことがあります。いくつかの講座名を羅列した後で、「まだまだ講座は一杯あります。パンフレットを入手するかウェブサイトを訪れて、"See for yourself."」と云うのです。

「ご自分でお確かめ下さい」なら"See by yourself."で良さそうですが、"for"が使われています。"See for yourself."には、「あたしゃどうでもいいけど、あんたの利益になるんだから自分で確かめるんですな」と、いささか突っ放したようなニュアンスを感じます。

元高校英語教師Diane(ダイアン)に聞くと、"by yourself"を使う場合はその後に"alone"が省略されていると考えるべきなのだそうです。「独力で」ですね。「宿題は(他人の手を借りず)独力でやりとげること」というような時は"by yourself"になる。それ以外は全て"for yourself"。「講座名は(他人の手を借りず)独力で確かめること」というCMはナンセンスですから、"by yourself"は使われないわけです。"See for yourself."は「(私がああだこうだ云うのを聞いていないで)ご自分で確認して下さい」というニュアンスだそうです。

"See for yourself."は、口で云っても信じない相手にコンピュータ画面(あるいは辞書、手紙、物など)を指さして、「信じないんなら見て御覧なさいよ」という場合にも使えます。

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[・] 連続の

ゴルフ好きの私としては、以下にゴルフの例を取りますが、これは絶対間違いないと自信を持って例をあげられるというだけの理由でして、他のことにもいくらでも応用出来る表現です。

"Tiger Woods made five birdies in a row."(Tigerは五回連続バーディを記録した)
これは出来事が隙間無く連続している場合に、"two in a row"、"three in a row"などと使われます。

"Tiger Woods won this tournament back to back three times."(Tigerはこのトーナメントに三回連続で優勝した)
各トーナメントは年に一回ですから、"back to back three times"は「三年連続で優勝した」ということを意味しています。年一回のトーナメントのことでなく一定期間内のことであれば、「彼は今季三連勝している」と云いたいような場合にも"back to back"が使えます。これは“連勝”であって単に「三回優勝」と云う時は以下の表現になります。

"Tiger Woods won this tournament wire to wire four times."(Tigerはこのトーナメントで四回優勝している)
この場合は点々と出来事が繋がっているものの、全てが連続しているわけではありません。Tigerは四連勝出来ず、どこかで切れているわけです。

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[・] People

"Japanese people is..."とすべきなのか、"Japanese people are..."とすべきなのか、これは長い間の疑問でした。"people"が集合名詞であるとか"uncountable"であるとか、断片的知識はあったのですが、いざ実際に話そうとすると確信が無いものでモゴモゴしがちでした。

一つには"all"と同じで、一かたまりなんだから単数扱いだろうという気もしたのです("All's well that end's well."のように)。ある時、次のような例文を書きました。

"Japanese men are polite in general."
"Japanese people is polite in general. "

すると、元高校英語教師Diane(ダイアン)から"No! People is plural."("people"は複数です)と叱られてしまいました。

調べてみると、「遊牧民族」(a nomadic people)などと限定した用法の場合にだけ"countable"になるだけで、普通は複数扱いなんですね。似たようなものに、"cattle, class, crew, family, furniture, police, team"(いずれもかたまりとして考える場合)などがあるそうです。

よく考えれば「日本の男性は一般的に礼儀正しい」と云った後、「しかし、中にはそうでない者もいる」と続ける場合、"But some of them ...(are not)"と複数を選択する筈で、絶対に"But he..."ではありません。"people"という単語の中には人間が一杯詰まっているということが自然に証明されるのでした。

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[・] All your base are belong to us.

詳しくはhttp://24hour.system.to/jitb/ayb.htmを見て頂きたいと思いますが、御用とお急ぎの方にかいつまんで説明します。日本製人気ゲーム'Zero Wing'なるものが英語版を作って輸出するにあたり、冒頭で悪玉が「お前らの基地は全て我々が頂いた」と宣言する文句を"All your base are belong to us."と翻訳しました。この英文の珍奇さがバカ受けし、それをからかうサイトが英米に沢山出現したそうです。

上の文のどこがどうおかしいのか、先ず考えてみて下さい。

【5分休憩】

私の考えでは誤りは三つ。「全ての基地」という以上基地がいくつかあるのだから"All of your bases"と複数になるべきだろうというのが一点。"belong"という動詞はそれだけで「属する」という意味をなし、"are belong"と動詞を二つ続けるのは間違いというのが二点目("are belonging"なら話は別)。"All"は単数扱いだから、"belongs"と受けるべきだろうというのが三点目。

しかし、元高校英語教師Diane(ダイアン)に聞くと、この例文は非常に勉強になる要素を含んでいたのでした。Dianeは次の五つの単語を並べました。

Some, All, Most, None, Any

Dianeはこれらの頭文字を取って「"SAMNA"と覚えると良い」と云います。「Samという男性の娘の名前という感じ」だそうです。このSamnaは英語の中で特別な扱いになるとのこと。【日本人にはSANMA(さんま)の方が覚えやすいかも知れません】

普通、英語では主語の単数・複数と動詞の単数・複数は一致しなければなりません。ところが、Samnaが登場すると事情は一変し、動詞の直前の名詞の数が動詞に影響するのだそうです。

先ず、Samnaがつかない普通の文:
"The water contains minerals."(「水」はuncountable)
"The waters contain calcium."(「鉱泉」はcountable)

"Some of the waters contain calcium."
"All the water contains minerals."
"All the waters contain minerals."
"Most water contains minerals."
"None of the waters there contain calcium."
"Any of the waters there are polluted."

"All"や"some"、"most"はその意味合いから云ってとても単数には思えず、つい複数形の動詞で受けたくなりますが、そうではなかったのです。Samnaには要注意です。

で、また"All your base are belong to us."に戻りますと、Dianeによれば"All (of) your bases belong to us."であれば完璧と云っておりました。"bases"と直前の名詞が複数ですから"belong"と動詞も複数で一致させるわけです。

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[・] 示唆と推薦

ある時、アメリカの友人が私に謝ってしかるべき行動を取ったのに謝らないので、電子メールで"I'd like to suggest you to apologize to me."と書いてやりました。あとで色々調べて行くと、この文章は大間違いであることが判りました。

'Idiomatic and Syntactic English Dictionary'という辞書の序文に「外国語として英語を学ぶ人は、しばしば類推で文章を構築しがちである。(中略)例えば"I asked him to come."とか"I told him to come."や"I wanted him to come."という文例から、"I proposed him to come."や"I suggested him to come."などという文を作ってしまう(本当は"I proposed [suggested] that he should come."でなければならない)」

'Basic English Usage' by Michael Swan (Oxford University Press) には、

「我々は《suggest+目的語+不定詞to do》という形は用いない」として、

"My uncle suggested that I should get a job in a bank."
"My uncle suggested getting a job in a bank." (NOT My uncle suggested me to get ...)
…とハッキリ書いてあります。ですから、私は失礼な友人に対しては"I'd like to suggest that you should apologize to me."と書かなければいけなかったのです。

しかし、不定詞を伴わない目的語だけならあり得るそうです。例:"Mr. Jones suggested a meeting."

もう一つの失敗例。ある時、"I recommend you this book."なる文章を書いたところ、カミさんから「こういう文章はあり得ない」と云われました。

"recommend (= advise, allow, permit)"などは"suggest"とは逆で、《recommend+目的語+不定詞to do》を使って"She recommends you to buy the car."とか"They don't allow us to park here."、あるいは《recommend+動名詞》(この場合、対象は明らかではない)を使って"She recommends buying the car."とか"They don't allow parking."としなければならないそうです。

私の「本の推薦」は"I recommend this book to you."とか"I recommend you to read this book."あるいは"I recommend buying this book."としなければならなかったのです。

"They recommended her as a good lawer."という例が'LDOCE'に出ていますが、この場合は「彼女に推薦した」のではなく「彼女を推薦した」わけです。私の"I recommend you this book."という文は本来意味をなさないのですが、無理に"I recommend you to this book."と解釈しても「私はあなたをこの本に推薦した」となり、やはり無茶苦茶であることに変わりはないわけです。

ところで私が謝罪を要求した友人ですが、私の間違い英語を読んで「こんな文を書く男に謝れるか」と思ったかどうか知りませんが:-)、私の示唆を無視しました。で、私はこの男と絶交して今日に至っています。

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[・] あるクリスマス・カード

ある年、電子メールで日本の若い女性が作成したクリスマス・カードを貰いました。彼女の友人・知人向けのカードです。それには"I wish a Merry Christmas!"とありました。この女性宛に次のようなメールを送りました。

有名なクリスマス・ソングに"I wish YOU a Merry Christmas!"とあるのは御存知ないでしょうか?あるいは日本には"you"抜きのカードが満ち溢れているのでしょうか?

英文法の易しい本をめくってみると、それには「『あなたの成功を祈ります』はhopeを用いる場合、"I hope (that) you (will)succeed."という主語+動詞+that+節の構文になる。()内の単語は省略してもよい。hopeの代りにwishを使う時は、"I wish you success."となる。こちらは主語+動詞+目的語+目的語の構文である」

この本にはくどいくらいに『辞書の用例を参照しなさい』と書かれているので、Longman(LDCE)のwishの項を調べてみました。

[T+obj(i)+obj(d)] to hope that (someone) will have (something), esp. expressed as a greeting: We wish you a merry Christmas!

ここでTは他動詞、obj(i)は間接目的語、obj(d)は直接目的語。

つまり、「誰に」楽しいクリスマスを願っているのかハッキリさせないといけないのです。

私のこのメールに対する若い女性からの返事は「やっぱりそうなのですね。私はYouが必要だと思っていましたが、私のプロヴァイダーが配信しているYou抜きのカードがあるのを見て、誰宛と特定しなくてもいいのかなあ?と思いつつ作りました。疑問が解けてよかったです」というものでした。

「きゃあ!そうなんですかあ?恥ずかしいーっ!」とか云ってくれたらずっと可愛いのに、この女性の場合、“やっぱり”という言葉で「自分は知っていたのだ」とプライドを守ろうとし、“プロヴァイダーがやっていたから真似ただけ”と他人に罪をなすりつけています。こういう素直でない人には、その後何もアドヴァイスする気になれなくなります。若くて何でも吸収中の段階では、こういう態度は非常に損であると断言して憚りません。

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[・] 比較にならない比較級

アメリカで暮らし始めて、初めて比較級の用法で驚いたのは、ある痛み止めのCMでした。年配のゴルフ・プロが、「私のゴルフは痛みとの闘いだった。しかし、この薬を服み始めたら嘘のように痛みが消えた。Nothing's better.」と云うのです。英語表現に慣れていなかった私は、この最後の否定的表現にとまどいました。「良いものは全くない」って云ってるの?CMなのに変だなあと思いました。これは、実は「この薬よりいいものは無い」という表現なのでした。

あるデパートの謳い文句は"No Lower Price."です。これも「当店に、他より安い値段は無い」ではなく、「当店以上の安い値段はどこにも存在しない」と云っているわけです。

ある実録ものの本を読んでいましたら、ある人物の"I can't think of a better birthday present."という言葉が出て来ました。これも「誕生日のいいプレゼントは見当もつかない」ではなく、「誕生日のプレゼントとして、それ以上のものは考えられない」と云っているのです。

'Troy'という映画で、決闘に赴く息子に老いた国王が"No father had a better son."と云いました。これも「お前ほど素晴らしい息子はいない」という意味です。

"No"や否定形を伴った比較級は、実は最上級の表現をしているという数例でした。

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[・] アメリカ人の英語知らず

カミさんに"It's clouded today."と云ったら、「そう云う英語はない」と云われました。私は"It's crowded."(混んでいる)がOKなら"It's clouded."(曇っている)もOKだろうと思ったのです。確かに、云われてみれば"It's cloudy."が普通であって、"It's clouded."というフレーズは聞かれません(私は聞いたことはありません)。しかし、英和辞典には"clouded"(曇った)というのがあるんですよね。LDCEには載っていませんが。私の英語コンサルタントDiane(ダイアン)によれば、"It has clouded over."などという表現にしか使えず、これは動詞であって、形容詞である"cloudy"と大きく異なる点だそうです。

私のゴルフ仲間のMike(マイク)は数学者ですが、詩を書いたり俳句(!)をひねったりする“素人文人”でもあります。その彼がある時私に"come-uppance"という言葉を教えてくれました。残念ながら彼が説明した意味を忘れてしまったのですが、忘れるのも道理、私が辞書で調べると彼の説明は間違っていたのです。"come-uppance"は「当然の報い」という意味なのに、彼は間違って覚えていて、他のゴルフ仲間にもこの言葉を使っていました(当然、何が云いたいのか伝わらなかったことでしょう)。私が辞書の定義をE-mailでMikeに伝えると、"Very interesting."という返事が返って来ただけでした。間違えたとは認めていないわけです。ま、私が日本語の使い方を外国人に間違えて教えた場合、どういう態度に出るか?似たような状況ですよね?

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[・] Positively

[Notice]

あるレストランの入り口で、右のような表示を見掛けました。"Positively No Pets or Bicycles Allowed." 何故写真まで撮ったかというと、この掲示が私の目には非常に奇異に映ったからです。

私は16mmフィルム・カメラマンとして職業的人生を始めましたので(後に、時代の変化でヴィデオになりましたが)、negative(陰画)とpositive(陽画)は対であるという見地に立っていました。で、negativeが「否定」なら「肯定」もpositiveだろうと思い込んでいたわけです。

そういう目でこの表示を見ると「肯定的にペットと自転車持ち込みは駄目」となるので、「何だ、こりゃ?」と思いました。趣旨は「ペットと自転車持ち込みは駄目」と分りますので、"positively"の用法だけが疑問として残りました。

しかし、「肯定的な」は文法用語では"affirmative"なんですね。フィルムとは違うのでした。「否定的な」は"negative"で同じですが。で、"positively"は「明確に」とか「断然」という言葉で、扉の表示は「ペットと自転車持ち込みは、きっぱりとお断りします」という意味だったのでした。

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[・] 英語は厳密

真夏の35℃ぐらいの午後二時頃、ゴルフ場へ練習に行きました。暑いのなんの。三球ほど打つ度に、頭から滴り落ちる汗を拭かなくてはなりません。

クラブハウスのレジ係女性に「暑くて死にそう」と云ったら、"You should com early."という答え。

私の発想だと「もっと早く来なきゃ駄目よ」という場面ですから、直訳で"You should com earlier."と云いそうです。しかし、"earlier"である正午、あるいは午後一時だって暑さに変わりはないので、これは意味をなしません。"early"(朝早く)である7時とか8時であれば炎熱地獄ではありませんから、ここでは比較級を使わないのが正解なのでした。

比較級を使えば意味が厳密になるかと思うと、実は逆だったというケースです。

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[・] 大学教授

「Harvard大学の教授John Smith」という場合、HarvardとJohn Smithを結びつける前置詞は何でしょうか?

日本人の感覚だと、先ず"of"が浮かびます。"John Smith, a professor of Harvard"という具合。「NHKに勤務するカメラマン高野英二」という場合、"Eiji Takano, a cameraman for NHK"であることからすると、"for"も使えそうです。

しかし、上の"of"の用法は意味は通じるとしても正しい英語ではないそうです。"at"を使い、"John Smith, a professor (of history) at Harvard"とするのが正しい。多分、大学教授というのは一ヶ所に定住するものではなく、研究に最適の場所、最良の待遇があればどんどん大学を変えるからではないでしょうか?"at"には、そういう一時的なニュアンスが込められているようです。

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[・] such a thing

私は何度か"such thing"(そういうもの)と書いてカミさんから、"such a thing"と直されました。確かに"such"の用例を調べると、"such a long time"とか"such a good man"などと、必ず"a (an)"を引き連れています。

'Longman Dictionary of Common Errors'(1987)には「前限定辞(註:both, all, suchなど)として用いられる場合、suchはa/anの直前に置かれる」と書かれています。用例としては、"I was in such a hurry that I forgot my coat." "She was always such an intelligent woman."などが載っています。

唯一の例外は"There's no such thing as a free lunch."(この世に只飯というものはない)という表現です。これは、ある経済学者が「一見只に見えても、誰かがどこかでそのコストを負担しているものだ」という趣旨の論文の題名として使って有名になったものだそうです。

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[・] most ○○とmost of the ○○の違い

"most Americans"とも云えるし、"most of the Americans"とも云えます。どっちでも同じようですが、違うんですね。'Basic English Usage'(Oxford English Press, 1984)によれば、次のような使い分けをするそうです。

・不可算名詞か複数名詞の前では most+名詞 を用いる

I hate most pop music. (NOT...most of pop music.)
Most people disagree with me. (NOT...Most of people... NOT...The most people...)

・他の限定詞(the, my, thisなど)の前では most of を用いる。代名詞の前でも most of を用いる

I've eaten most of the salad.
You've read most of my books.
Most of us feel the same way.

上の説明だけでは、"most Americans"と"most of the Americans"の違いは分りません。元高校の英語教師Diane(ダイアン)に聞きますと、

・アメリカ全体、あるいは世界中にいるアメリカ人に共通する何かを述べる時には、"most Americans"と云う。
・オリンピック会場とか、博覧会会場などで他の国々の人々と区別してアメリカ人に共通する何かを述べる時には、"most of the Americans"と云う。この場合、必ず"the"を伴う。

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[・] 探偵の英語を推理する

探偵小説'Bad Business' (by Robert B. Parker, G.P. Putnam's Sons, 2004)には次のような云い廻しが何度か登場します。

例1:"Marlene have any evidence?"(マーリーンは証拠を握ってるの?)

例2:"He make any sense?"(筋は通ってるの?)

これは教養をひけらかす傾向のある白人探偵Spenser(スペンサー)の台詞ですから、文法的に間違っている筈はありません。そういう男を描くベストセラー作家Robert B. Parker(ロバート・B・パーカー)も文法を間違える筈はないでしょう。

私は、これは"Does Marlene have any evidencce?"と"Dose he make any sense?"の"Does"が省略されたものと見ます。親しい仲やざっくばらんな会話では、"Are you a teacher?"でなく、"You teacher?"などという云い方も聞かれます。つまり、日常会話では必ずしも文型通りに動詞や助動詞を含めた疑問文になるわけではないのです。探偵Spenserも、ここでは助動詞を省略したのですが、言外に助動詞が存在しているので、"have"を"has"にしたり、"make"を"makes'にしていないのです。

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[・] チェンジする

'Is That What You Mean?' (by Paul Hancock, Penguin English, 1990)というイギリス生まれの本は、様々な云い回しの間違いを集め、クイズ形式で読者に問いかけます(続編もあるのですが、現在どちらも絶版です)。

先ず、よくある間違った云い回しの本当の意味を愉快なカートゥーン(漫画風挿絵))で見せます。

その一つは、駅のホームで列車にペンキを塗っている男(ペンキ屋ではなく乗客の一人)の姿。乗客やポーターが「早く終わらないかなあ」と待っています。下には"Jack had to change the train in Birmingham."(Jackはバーミンガム駅で列車を変えなくてはならなかった)という文章があります。

ヒントとして、「"change"というのは“変えてしまう”という意味である。"You've changed your hair."と云えば、髪のスタイルや色を変えることだ」とあります。

ページをめくると、駅のホームに列車が二本停まっていて、Jackがその一つに歩み寄る絵があります。下には"Jack had to change .................. in Birmingham."とあり、ヒントとして「一つの列車から他の列車に乗り換えるなら、あなたは一本以上の列車について話しているわけだ。そして、"the"を使わないこと」とあります。

もう分りますね。正解は"Jack had to change trains in Birmingham."と、"train"を複数にし、"the"を取り除くわけです。

これは「車を乗り換える」、「飛行機を乗り換える」、「チャネルを換える」、「バッテリーを換える」、「ゴルフ・クラブを換える」、「ボールを換える」など、様々な場面で必要になる知識です。

カートゥーンがとてもユーモラスで面白い。クイズも勉強になります。amazon.comなどで古書を見つけたら、購入されることをお勧めします。

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[・] 前置詞で終わる文

Harvard University(ハーヴァード大学)を訪れた男が、学生か教授風な通行人に"Where is the library at?"(図書館はどこに?)と尋ねました。Harvardの男は「何だって?」とその質問に呆れ、「我々は前置詞で終わるような云い方はしない」と、訪問者の言葉遣いを冷笑しました。訪問者は"Oh, I am sorry. Where is the library at, a**h***!"と云って、歩み去ったそうです。

このジョークを話してくれた人物に「本当に前置詞で終わる文はいけないの?」と聞くと、「Harvardではいけないらしいよ」という答えでした。

前置詞で終わる文には次のようなものがあります。

Which one was Beethoven himself proudest of?(ベートーヴェン自身が最も誇りにした作品はどれ?)
Whom did you fly with?(誰と飛行機で来たの?)

しかし、"What is it for?"(何のためなの?)というのはどうなのか?これはよく聞きます。元高校英語教師のDiane(ダイアン)も、「確かに"What is it for?"はよく使われる。しかし、前置詞で終わる文が正しい英語でないことは誰でも知っている」と云いました。

'Basic English Usage' (by Michael Swan, Oxford University Press, 1989) という本を見ると、「前置詞で終わる文は次のような場合に現われる」とあります。

・Wで始まる質問 What are you looking at? Where did you buy it from?
・関係代名詞が使われている文 There's the house (that) I told you about.
・受動態の文 I hate being laughed at.
・不定詞が使われている文 It's a boring place to live in.

そして、「フォーマルなスタイルでは、疑問文や関係代名詞の前に前置詞を置くことが出来る」とあります。例:To whom is that letter addressed? つまり、前置詞が文の最後に来るのも間違いとかいけないことではないようです。

最後に'A Practical English Grammar' (by A. J. Thomson and A. V. Martinett, Oxford University Press, 1991) という文法書を見ますと、「昔は文尾に前置詞を置くことは文法に反するとされていたが、現在では口語の語法として確立している」とありました。結局、最初のジョークはもったいぶったHarvardの男を揶揄するためのものであって、文法の教訓として使えるものではなかったのでした。しかし、Harvard出身ということが分っている人物とお話する際は、前置詞で終わらない喋り方をした方が得策かも知れません:-)。

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[・] 否定文を肯定してはいけない

1) I don't think it's a dog.
2) I think it's not a dog.

「英語では、否定する場合は文頭でその立場をはっきりさせるように」と教わりました。つまり、文例(1)のように。文例(2)は「それは犬ではないと思う」と、否定を肯定しています。

元高校の英語教師Diane(ダイアン)は、「文例(2)も文法的に間違いと云うわけではないが、無様な("awkward")な文章だ。我々は普通文例(1)のように話したり書いたりする」と云っています。

I don't think it's appropriate. (それが適切であるとは思わない)
I think it's not appropriate.

この例でも後者はおかしな云い方だそうです。

話し言葉においては、文章にどう決着をつけるか予測しないまま口を開いてしまうことがあります。"I think..."と話し始めてしまって、後に否定形の文節を連結しなければならなくなる場合もあるわけです。しかし、この例の場合ですと、" I think it's inappropriate."(それは不適切であると思う)とすれば、問題がないどころか立派な文章になります。こういう逃げ方が出来ないかどうか、頭をフル回転させる必要があるわけです。

ある時、"I hope it was not any bad thing happened to your family." (御家族に何か不幸があったのではないことを願っています)と書かねばならない事態になりました。しかし、"I hope..."と始めると「否定を肯定する」ことになりますが、かと云って"I don't hope..."という文は見たことも聞いたこともありません。"hope"は例外なのではないか?と思いました。ピンポーン!

私の文法のバイブルである'Basic English Usage' (by Michael Swan, Oxford University Press, 1989) を調べると、

「think、believe、suppose、imagineなどが否定する内容を伴う場合、最初の動詞に否定形を用い(例:I don't think...)、二番目の動詞に否定形を用いない。例外は"hope"で、"I don't hope it rains."とは云わず、"I hope it doesn't rain."と云う」

聞いたことが無いはずでした。やはり、色々な例文に親しみ、それを応用するのが一番安全ですね。

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[・] Every other day

肩を痛めた時、友人で医師のMike(マイク)が無料で診察してくれ、コーチゾンの注射までしてくれました。ゴムのチューブのような医療器具を手渡しながら、「これをドアの把っ手に引っ掛けて、こういう運動をするように」と図解までくれました。そして、

"You should do it every other day."と云ったのです。

当時(もう八年ぐらい前)、わたしはこの"every other day"という表現を知りませんでした。怪訝な顔をする私に、Mikeはもう一度"You should do it every other day."を繰り返し、"Not every day."と付け加えました。それで私にも"every other day"が「一日おき」であることが分りました。

・一週間おき every other week
・一ヶ月おき every other month
・一年おき  every other year

あるゴルフの本を読んでいたら、"She missed every other shot."(彼女は一打おきにミスした)という文があり、おかげで以前の私の経験を思い出した次第です。

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[・] 不精者の英語

大分以前、まだ実用英語を始めたばかりの頃ですが、私は次のような説を打ち出しました。

・will、shallなどの用法に誤りがあってもバレないように、"You'll"や"I'll"などの省略形を多用する。
・同様に、wouldやshouldのどちらにでも取れるように"You'd"や"I'd"などの省略形を用いる。

これは一見頭が良さそうに思えたのですが、とんでもない間違いでした。

先ず、willとshallの意味は180°異なると云ってもいいほどですから、どっちにでも取れるという状況はあり得ません。殊に、shallを用いる場面は特殊な場合なので、英米人は絶対にどちらであるか分るように表現します。

日本人に最も有名なshallの用法は"You shall die."(お前を殺す)でしょうが、これを"You'll die."では「あんたはいずれ死ぬよ」になってしまい、全く迫力が無くなります。

wouldやshouldにも同じことが云えます。

さらに、英語は数にうるさい言葉であると共に、時制にもうるさい言語です。"You are"か"You were"かどっちにでも取れるように"You're"とはなりません。"You're"は"You are"の省略形であって、"You were"を短縮したものではありません。過去なら必ず"You were"としなければならないのです。

つまり、無精して英文を書くことは出来ないのです。

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