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公開:1959
監督:John Ford
出演:John Wayne、William Holden、Constance Towersほか
範疇:原作もの/騎兵隊もの/南北戦争
私の評価 :☆☆1/2
【Part 1】
John Ford(ジョン・フォード)監督作品ですが、“西部劇”ではなく“南部劇”です。騎兵隊は辺境のインディアンだけ相手にしていたのかと思ったら、南部でも活躍していたわけです。というより、西部劇の方がポピュラーなので我々の認識が逆転しているのですが、南北戦争が収束し、敵がいなくなった騎兵隊をインディアン討伐に振り向けたというのが正しい流れのようです。
John Fordは'Rio Grande'『リオ・グランデの砦』などでも南部出身のレディに南軍の行進曲'Dixie'をサーヴィスしていたくらいですから、南軍と南部の人々を悪者として描いたりはしません。南北戦争以前、ヨーロッパでは奴隷制度は無くなり、アメリカもその影響を受けました。本来なら奴隷制度維持を叫ぶ南部は世界のつま弾きになりそうなものでしたが、南部から農業製品(綿、タバコ、サトウ)などを購入していた英国、スコットランド、アイルランドなどは、奴隷問題を抜きにしてもビジネスを継続したがっていました。ですから、アイルランド移民二世のJohn Fordにも、南部を毛嫌いする要素は希薄だったのかも知れません。
『騎兵隊』というタイトルですが、騎兵隊三部作のように西部が舞台ではなく、フォード一家総出演という映画でもありません。John Wayne(ジョン・ウェイン)が主役ですが、非常に珍しいことにWilliam Holden(ウィリアム・ホールデン)が軍医としてJohn Wayneと対等の扱いで出ています。
タイトルバックに軽快なテーマソングが流れます。劇場公開当時には結構ヒットした曲です。よく聞くと、「ニューオーリンズまで行く」という文句が入っています。忘れていました。
1859年。苦戦していた北軍司令部は、大佐であるJohn Wayneにテネシー州から南下して猛スピードでルイジアナまで侵攻する作戦を命ずる。軍医で少佐でもあるWilliam Holdenが随行することになる。医師の誤診で妻を失っているJohn Wayneは、医師一般を毛嫌いしていて、William Holdenにもことごとく当たり散らす。
一行はミシシッピ州に入り、ある荘園の庭先で野営することになる。Constance Towers(コンスタンス・タワーズ)演ずる若い娘は両親亡き後、この荘園の当主となっている。彼女は愛想よく彼等を迎え、佐官級を晩餐に招待する。食事が終り、幹部一同が作戦会議を始めるが、Constance Towersが作戦を盗み聞きし南軍に通報するハラであることをWilliam Holdenが見抜く。目的地を知られてしまったので、John Wayneは仕方なくConstance Towersとその黒人召使いを捕虜として連行することになる。
気丈なConstance Towersは再三脱走のチャンスを伺い、John Wayneを手古摺らせる。騎兵隊は秘かに近道のスワンプ(湿地)を渡り、ルイジアナの州都Baton Rouge(バトン・ルージュ)を目指すが、南軍も必死の反撃を開始する…。
軍医が主役の一人という映画も珍しい。William Holdenは到底医者には見えませんが、彼がウェストポイント(士官学校)で同期だった男と敵味方となって再会する挿話などは、よく出来ています。John Wayneが脚を撃たれると、ニヤニヤしながら弾丸を抜いてやります。
途中で、兵士不足の南軍が、幼年・少年兵学校の生徒まで戦場に駆り出して応戦しようとするエピソードが傑作。おぼつかない足取りの老校長を先頭に、少年鼓笛隊、数十名の少年兵が行進します。おたふく風邪の二名のみ居残りです:-)。John Wayneも「子供を相手には出来ない」と、ほうほうの体で退却を命じます。捕虜の少年兵には尻叩きの刑が待っています。
John Wayneの前職は鉄道技師だったことになっています。兵隊達は南部の鉄道線路を破壊しなくてはなりませんが、長く鉄道建設に邁進して来たJohn Wayneにとっては、それは正視するに耐えない所業でした。
激しい南北対立があるわけではなく、南部の人にも喜んで貰える趣向が揃っています。そういう意味ではハッピィな映画です。騎兵隊三部作並みの格調はありませんが、南部の風景の中の騎兵隊という意味で一見の価値ありと云えましょう。アラバマ州やミシシッピ州は「パイン・ベルト」の一部で、松の木だらけです。この映画でも松の木林を行軍するシーンがあります。スワンプの中の騎兵隊も見ものです。松の木から南部特有の「スパニッシュ・モス」というふさふさした植物が垂れ下がっています。
(March 31, 2001)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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