私の経験則に《左腕が伸びているといいショットになる》というのがあります。しかし、身体が柔軟じゃないせいで、左肩を顎の下まで廻し、なおかつ左腕を真っ直ぐというのは大変なことです。距離を出そうという欲望が、バック・スウィングを大きくすることを唆(そそのか)すため、左肘を折ってバックを大きくしたフリをしようとします。また、左腕を伸ばそうとして左手の先に意識を集中すると、ダウン・スウィングで体重が左へ戻らず盛大にダフったりします。
ただ、これまで読んで来た本で、「絶対に左肘を折ってはいけない」という記事は記憶にありません。逆に、左腕を真っ直ぐにしようとして身体を硬直させることの危険を警告する記事が多いのです。左肘に関するもので、私が目にした最も古い文献はヴァードン・グリップの創始者Harry Vardon(ハリイ・ヴァードン、1870〜1937)による本です。
'The Complete Golfer'
by Harry Vardon (McClure, Philips, 1905)
Harry Vardon:「バックスウィングの間、両腕は徐々に(身体から離すことなく)完全なる気楽さと自由さをにじみ出すべきだ。左腕は肩から肘まで身体に接していて、ほぼクラブと平行なラインを形成してかなり下方に留まっている」
右の図で一目瞭然ですが、Harry Vardonの左腕の肩から肘までは水平で、肘は直角に折れています。これが前世紀初頭の名人のスウィングです。
'Swing the Clubhead'
by Ernest Jones with David Eisenberg (Dodd, Mead & Company, 1952)
Ernest Jones(アーネスト・ジョーンズ、1887〜1965、コーチ):「スウィングは一瞬のアクションなのだから、一つ以上のことを考えられるわけがない。左腕を伸ばすだの、右腕を脇から離すなとかに拘るのはゴルフを台無しにする因である。百足(ムカデ)が一本一本の足の動きを考え出したら歩けなくなってしまうのと同じだ。他の全てを忘れて、クラブヘッドをスウィングすることに専念せよ」
'Corey Pavin's Shotmaking'
by Corey Pavin with Guy Yocum (NYT Special Services, Inc., 1996, $11.20)
Corey Pavin(コリイ・ペイヴィン、PGAツァー・プロ):「私はついぞ自分の左腕がどれだけ真っ直ぐか、気にしたことがない。肘のところで多少折れても問題無い。ダウンスウィングのエネルギーがインパクトにかけて左腕をストレートにするのだから、折れてても真っ直ぐでも違いはない」
'The Power Game'
by Helen Alfredsson and Amy Nutt ('Golf Digest Woman,' April 1998)
Helen Alfredsson(ヘレン・アルフレドソン、LPGAツァー・プロ):「トップでは多少腕が折れても構わない。どうせダウンスウィングで真っ直ぐになる。インパクトではパワーを最大限にするため、両腕を可能な限り身体から離す」
'The Game for a Lifetime'
by Harvey Penick with Bud Shrake (Simon & Schuster, 1996, $10.00)
Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック、1904〜1995、コーチ):「スウィング・コーチのBill Mehlhorn(ビル・メルホーン)の持論は、『ゴルフ・スウィングの秘訣は筋肉と関節を楽にすること』というものだった。Billは生徒達に『肘をリラックスさせろ。肘はスウィングの中の最も重要な関節だ』と説いていた。彼と私の意見が完全に一致するのは、左肘をストレートにするという試みは大抵のゴルファーを駄目にするということだ」
確かに、「イレギュラー軍団」のJustin Leonard(ジャスティン・レナード)の例もありますし、過去の'Golf Magazine'の記事(December 1994)では、左腕を折ってプレイしている有名プロ一覧(Nick Priceなど十名登場)などまであるほどです。
では、私も堂々と左肘を折っていいものでしょうか?弊害は無いのでしょうか?
'Secrets of the Master'
by Bobby Jones Edited by Sidney L. Matthew (Sleeping Bear Press, 1996, $22.00)
Bobby Jones(ボビイ・ジョーンズ,1902〜1971):「映画キャメラは、インパクトにおいてストレートな左腕が不可欠であることを納得させてくれる。スウィングのトップにおける若干の弛緩は、大怪我の原因ではない。そうやっているトップクラスのゴルファーも多い。しかし、コントロールされ、正確で、調和の取れたスウィングにとって、クラブヘッドがボールに接する時は左腕はストレートでなくてはならない。だとすれば、ダウンスウィングの最後の最後に任せるより、スウィングの間中真っ直ぐな左腕を維持する練習をする方が、健全なように思われる」
'Golf My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Simon & Schuster, 1974, $14.00)
Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス):「左腕を折ることはパワーを減じてしまう怠惰な方法というだけでなく、トップでグリップを緩めるのと同様に、ターゲット以外のあらゆる所へ旅行可能な優待券を発行するようなものである。バックスウィング・アークを拡大するには、両手を堅めに、左腕を真っ直ぐに(しかし、硬直させないで)維持することである。そうしておいて、単純に腰と肩をターンさせる」
'Tempo'
by Al Geiberger with Larry Dennis (Pocket Books, 1980, $13.00)
Al Geiberger(アル・ガイバーガー)は、この本に'Use of The Left Arm'(左腕の使い方)という一章を設けているほどで、スウィングの輪の半径としての左腕を重要視しています。
「バック・スウィングの間、左腕を出来るだけストレートでしかもリラックスさせる。ガチガチに硬直させてはいけない。なぜなら、それは間違いなくスウィングを堅くし、流動性とスピードを犠牲にするからだ。しかし、最大のスウィング・アークを得るためにも、腕を真っ直ぐにする努力は必要だ。いったん左腕を折ってしまうと、すぐさま右腕がスウィングを制圧する。こうなると、自然にトップから打ちに行き、アウトサイド・インの軌道で振るという悪い結果を生じる」
なるほど、左派政権(左腕)が日和(ひよ)ってしまうと、右派(右腕)に政権を譲り渡す結果になるという構図のようです。左肘を折ることの弊害の説明としては、これは非常に判り易い。やはり、左肘を折ってはいけないようです。しかし、どこを探しても「左肘を折らずに済むTip」というのはありません。
'Classic Golf Tips'
by Tommy Armour (Tribune Publishing, 1994, $19.95)
Tommy Armour(トミイ・アーマー、1896〜1968、コーチ):「スウィング・アークを維持するために左腕を真っ直ぐにし続けようと努力するより、左肘を真っ直ぐにするように考えなさい。左肘のことを考える方が、硬直する恐れが少ない。トップ・ボールの主な原因は伸び上がる姿勢より、折れた左肘である」
“トップ・ボールの原因”は納得ですが、どうすれば左肘を折らずに済むかは書かれていません。前掲のAl Geibergerの記事は次のよう続きます。
「しかし、腕のことばかり考えるのはスウィングをぶち壊す因である。脚を使い、左腕を正しくスウィングすることが重要だ」
「脚を使う」というのは手打ちの戒めです。手・腕主導でスウィングを開始すると、手・腕は「あ、おれが主役なんだな?」と誤解するため、最後まで舞台から下りようとしなくなり、完璧な手打ちのスウィングが披露されます(距離はショート、方向もいい加減)。私が行き着いた結論を述べれば、テイクアウェイの段階から「お前らは主役じゃないんだぜい」と手・腕に思い知らせなくてはならない。それには、'One Move'(ワン・ムーヴ)を使い、左肩からテイクアウェイを始めるのがベストです。これだと、左肘は終始強ばらずに伸びたまま維持されます。トップでも下半身主導の逆転が始まるまで、手・腕を待機させることが可能になります。《'One Move'によって左腕がないもののようにスウィングする》…これが正しい左腕の扱い方だと思われます。
【参照】「'One Move'(ワン・ムーヴ)」(tips_4.html)
(February 14, 2000、改稿May 30、2015)
'The Four Magic Moves to Winning Golf'
by Joe Dante with Len Elliott (Doubleday, 1995, $12.95)
この本のユニークさについては「4 Magic Moves」で取り上げました。ここでは、「バックスウィングの初期にコックを終えてしまう方法」に関する部分だけ御紹介します。
「誰かと握手するように右手を前に伸ばす。そのまま手首から上に折れば、これはオーソドックスなコックである。これを忘れなさい!」
著者の提案は「この伸ばした右手を手首から右に折る」というもので、著者は"backward wrist break"(手首の後屈)と呼んでいます。ここでは便宜的に“マジック・コック”と呼ぶことにします。このマジック・コックは本のタイトルである「四つの魔術的動作」のトップでもあり、基本となるものです。
1) 「バックスウィングの開始は、両手をアドレス・ポジションから動かすことなく、このマジック・コックを実行する。右手首を90°近く右に折るだけであって、捻ったりしてはいけない。左手首を折ってもいけない。この時、左手のナックル(指関節)は一つ、右手のナックルは二つ見えるように。
【編者註】「マジック・コック」の著者が推奨するグリップは、アドレスした時に左手のナックルは二つ見え、右手の(親指と人差し指で出来る)Vは左手のVより右を差す(ややストロング)というものです。このグリップでない場合、上の「マジック・コック」点検法は多少変わって来ます。
2) 練習場に行き、ボールにアドレスする。マジック・コックを実施し、他には何もしない(体重の移動とか腰や肩の回転はしない)。そのまま、数秒止める。
3) やおら、単純に肩を廻し、肩が両腕とクラブをトップに導くようにする。スウィングし、ボールを打つ。これを何度かやってみると、(もし、手首の状態が正しければ)ボールをソリッドに、真っ直ぐ、そして意外なほどの距離に打てることに驚嘆する筈だ。肩の回転を多くすれば、正確さと飛距離が増すことに気づくだろう。両腕は何もせず、肩が腕とクラブを動かすままにすること。
4) トップでもマジック・コックをキープし続けなくてはいけない。もし左手首が正しいままトップに辿り着けば、左手の二つのナックル(指関節)が見える筈だ。三つ見えたら、それは崩壊したグリップだ。右手は一つのナックルが見えるだけでなければならない。
『邪道だ!』って云いたい?その通り。『無様で不快だ』って?そうでしょうとも。でも、80を切りたいんでショ?…90かも知れないけど。だったら、非難する前に試してみたら?【編者註:これは原著者の台詞であって、私のではありません:-)】
この方法は、バックスウィングが始まって2/3辺りなのに、トップの完璧な状態が形成されるのが特徴。マジック・コックは、正確なショットに必要なスクウェアなポジションを作り出す。早い時期のコックが、スクウェアなポジションを早期に確立してしまうわけだ」
ダウンスウィング以降の“魔術的動作”については「4 Magic Moves」を御覧下さい。
(February 15, 2000)、(April 21, 2005 修正・補足)
私はNancy Lopez(ナンシイ・ロペス)がこれに近いことをやってると思います。非常に似ています。また、友人のMike(マイク)は結構飛ばすのですが、彼もアーリイ・コックです。この二人以外では、マジック・コック風スウィングは見たことがありません。
スタート時に手首を折る動作をするのは、確かに“邪道”にしか見えません。しかし、スタート時には妙ちきりんに見えるマジック・コックですが、左腕が水平になる頃には極めて普通の手首に変貌します。つまり、この状態を先に作っているだけなのですね。
私の懸案の左肘ですが、このマジック・コックを実行すると折れません。どういう原理か判りませんが、手首を先にコックしてしまうと、左肘は折れないのです。嘘だと思ったら、左手を前に出し、手首を右に折ってから左肩を右方向へ廻してみて下さい。手首を折った瞬間、あら不思議、手首から肩にかけて鉄筋が一本通ったようになります。これは本には書かれていないことですが、嬉しい発見でした。私の最悪の場合、左肘が折れ、それに重ねてコックもしていたわけですから、蝶番(ちょうつがい)だらけのヘニャヘニャな左腕になっていた筈です。
「4 Magic Moves」の著者が自賛するように、マジック・コックは正確で、ストレートなボールを生み出します。ここ数日の練習は風が強かったため、飛距離がどれだけ増えたかは何とも云えません。
このマジック・コックを実践する場合でも、コンパクトなトップと下半身主導のスウィングが鍵のようです。この二つが揃った時にのみ、折角作ったマジック・コックがキープ出来、左肘も折れず、スクウェアなクラブ・フェースによるインパクトが迎えられるからです。
ショート・アイアンとミドルアイアンによる練習には成功し、5番ウッドも何とかいけるようになりました。長いクラブで慣れないスウィングというのは難しいのですが、早くドライヴァーまで試行を重ね、どこまで実戦に活かせるか見てみたいものです。
(February 15, 2000)
'The Four Magic Moves to Winning Golf'
by Joe Dante with Len Elliott (Doubleday, 1995, $12.95)
「奇妙に思えるかも知れないが、マジック・コックはスウィングのタイミングとリズムを取る助けともなる。
通常のコック(手首を親指方向に折る)をスウィングのトップで行うのは非常に難しい。強ばった手首でクラブを地面と水平になるまで持ち上げ、やおら手首を上に折る(よくありがちな、左手首が手の甲の方に折れないように注意しながら)。ほとんどのプロはこの方法を取っているが、これは大変な練習量を必要とする。
そこへいくとマジック・コックは簡単である。これの美点は、左手首の楽な方向(手のひら側)への最大のコックが、スウィングのトップに至り、紛れもない通常のコックに変貌することだ。ゆっくりテイクアウェイして、右肩を越える辺りで、どう手首と手の位置が変わるか見て御覧なさい。手のひら側に折れていた左手は、何の努力も無しに親指側へのコックになっている筈だ。
早めにコックしてしまうと、テイクアウェイとダウンスウィングにゆっくり時間をかけられる。
正しいプレーンでスウィングを開始出来る。
右肘を直ちに引きつけられる。
トップでコックする場合、そこでクラブが急激な動きをする。これはボール方向への反動を生み出す。トップでグリップが緩んでいる大抵のゴルファーは、この反動の際にregrip(リグリップ)し、反動のままに急いでボール方向への動きを開始する。これが、我々がトップから打ちに行ってしまう理由の一つである。マジックコックでは、これは起らない。
スウィングがコンパクトになる。
ダウンスウィングは(手・腕ではなく)身体で行わなければいけないことを、自然に教えてくれる。
確実にレイト・ヒットが実現出来る。
手首を返したりする余計な誘惑を排除出来る。
クラブフェースの中心で、ソリッドにボールと接触出来る」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(February 18, 2000)
練習のし過ぎでしょうか、左のお尻の下に筋肉痛を感じるようになってしまいました。フィニッシュで左サイドに全体重を乗せますが、この時に痛みます。下半身主導型スウィングが出来ません。
以下は、今後のためのノートです。
マジック・コックは非常に正確に打てます。本の著者が云う通り、アドレスしたままの位置でマジック・コックを実行すれば、方向性は抜群です。手・肩を右方に移動させながらコックしてしまうと、これは当たり前のオーソドックスな方法でしかなく、マジック・コックではなくなります。手首を意識すると、ついバックスウィングで右へスウェイしがちですが、これは「(手首でなく)肩でバックスウィング」することで防止出来ます。左肩が最大限廻ったところをトップにすべきで、それ以上に手・腕で小細工するとマジック・コックが崩れてしまいます。
飛距離がどれだけ増加したか、まだ正確なリポートを出来る段階ではありません。スウィングの最初でコックが形成され、下半身主導のダウンスウィングをした場合、コックが解かれるのは最後の最後なので、飛距離が増さない筈はありません。印象としては、少なくとも1クラブ分は伸びているように見えます。
オーソドックスなコックでうまく行っている方がマジック・コックを試す必要はありませんが、方向が定まらない人、距離が足りない人にはお薦めです。
(February 18, 2000)
'Harvey Penick's Little Green Video'
(HPG Home Video, Inc., 1994, 45 minutes, $14.95)
何やら“マジック”の大安売りみたいで気が引けますが、これはHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)自身による命名。
レイト・ヒット、レイト・アンコックの極意としてHarvey Penickが"Magic Move"と称するテクニックは、ダウンスウィングの開始で左膝を目標方向に移動させる時、同時に右肘を身体に引きつける、これを一挙動でやる(二挙動では駄目)…というものです。ヴィデオでは弟子のBen Crenshaw(ベン・クレンショー)が実演しますが、彼はバックスウィングで左踵を上げるスタイルなので、ダウンの引き金は左踵を下ろすことです。その瞬間に右肘を右脇方向に下ろしている動作が明瞭に分ります。右肘が身体に引きつけられることによって、クラブは垂直の角度で下りて来ます。これは凄いです。トップでのコックを維持するには、下半身主導のバックスウィングに加えて、右腕・右肘の動きも重要なんですね。
なお、Harvey Penickのお薦めとして、バックスウィングで肩が十分に廻せない人は、アドレスで右の爪先を開く、フォロースルーが大きく取れない人は左爪先を開く…というtipも紹介されています。
Tom Kite(トム・カイト)がHarvey Penick直伝のピッチ・ショットを実演します。先ず、アンダースローでピンに向かってボールを抛ります。それは、加速したりしないスムーズで高く大きなピッチングです。手のフォロースルーの終点は頭の上になります。クラブを握っても、全く同じ。チップ・ショットでは、クラブを短かめに握りますが、ピッチ・ショットでは最大限長めに握って、大きなスウィングをするのがコツだそうです。
(February 21, 2000)
'Match Your Stroke to Your Posture'
by Bill Moretti with Kathryn Malony ('Senior Golfer,' February 2000)
Bill Moretti(ビル・モレッティ)はThe Golf Channelにも登場しますが、単発的にレッスン番組がある程度の、まあ中クラスのコーチです。大抵は基礎を喋るだけで、あまりうがったことは云いません。しかし、この記事には感心しました。
「パットを成功させる最大公約数を見つけるのは難しい。しかし、姿勢とパター・ヘッドの軌道の関係によって三つの型に分けられる」というのがBill Morettiの発見。姿勢とストロークには密接な繋がりがあり、これをごちゃまぜにしてはいけないそうです。「成功の鍵は、あなたが一番楽なパッティング姿勢を取り、それにふさわしいストロークを選ぶこと」。
■会釈型 ■お辞儀型 |
■カジモド(ノートルダムの佝僂男)型
(例:Jack Nicklaus、Dave Stockton、Jim Furyk、Paul Azinger)
a) 首・肩が地面とほぼ平行になるほど屈んだ姿勢
b) スタンス:両足が肩幅より外
c) 両腕: 身体近くに引き込まれた両腕は、どちらも大きく折れる
d) ボール位置:身体の中心より僅かにターゲット寄りで、目の真下
e) パターの軌道:(バック)スクウェア→(ボール位置で)スクウェア→(フォロー)スクウェア
f) 備考:両肩がストローク全般をコントロールする
(註:型名は編者が命名したもので、原文にはありません)
(February 28, 2000)
大阪にお住まいの橋本さんから「マジック・コック実習リポート」をお寄せ頂きました。いち早くマジック・コックをマスターなされたようで、座骨神経痛のため練習出来ない筆者は焦っております:-)。
■1・2回目の練習
マジック・コックを練習場で試してみました。最初のうちは、違和感がありましたが、2日連続で練習をやると飛距離は伸びているようです。コンパクトなテークバックなので方向性も安定するようです。ドライバーがフック系からストレート・フェード系に変化しました。飛距離は今までと同じと思われます。マジック・コックをするとドライバーからショートアイアンまで同じリズムでスウィングが出来ました。アゲンストでも強い球が打てたような気がしたのですが?! スピンもよく効いているようです。ショートアイアンは落下地点、ミドルアイアンでは2・3回バウンドして止まりました。
■3回目の練習
先週はかなり気持ち良くスウィング出来たのですが、今回はかなり違和感がありました。球筋も右へ左へと安定しません。ショートアイアンだけは安定しているのですが、ミドルアイアンからドライバーまで全く安定しません。飛距離はバラバラな上にスライス・フック・ひっかけが出たのでショートアイアンだけの練習をして帰ることにしました。
■4回目の練習
今回は、アドレスとボールの位置を変えてみることにした。アドレスはオープンスタンス、ボールの位置は左胸の前(以前は真ん中)。理由は、コックが簡単に出来る、トップからのウェートシフトが楽に出来る為。98年マスターズのフレッド・カプルスのスウィングを参考。結果から申し上げると、飛距離・球筋共に安定。ショートアイアンは今までと同様に最高。サンド・ウェッジは意識しないでもバックスピンがかかる。ミドルアイアンは高い球筋で良く止まる。ロングアイアンも高い球筋で安定。フェアウェイウッド、ドライヴァーは、今までは若干横振りぎみだったがマジック・コックはサンドウェッジからドライヴァーまで縦振りが出来る上にひっかけ球が出ないのが良い。ドライヴァーは、キャリーもさることながらランもよく出た。
ドライヴァー:キャリー250ヤード + ラン20〜30ヤード
スウィングが単純になったのでやさしくなった。
ありがとうございました。
(March 09, 2000)
'The Game I Love'
by Sam Snead with Fran Pirozzolo (Ballantine Books, 1997, $18.95)
この本の題名の'The Game I Love'(私の愛するゲーム)が、日本語版になると『ゴルフは音楽だ』になるというのですから随分大胆です。本の中でスウィングのテンポと音楽について書かれているのは、たった5頁ほどでしかありません。
Sam Snead(サム・スニード)にとっては、三拍子のワルツが正しいゴルフ・スウィングのテンポだそうです。スムーズで、気楽で、流れるようなテンポであるべきだと云っています。Sam Sneadは特に先生についたわけではなく、全くの自己流。Ben Hogan(ベン・ホーガン)などと同様、キャディー時代に上手い人のスウィングを真似したのが唯一の勉強だったようです。それが、プロにとっても涎(よだれ)の垂れるような優雅なスウィングに結実したのですから、天才だったとしか云い様がありません。
「メカニクスについて考えるのは練習の時だけにする。ラウンドでスウィングする時は何も考えない」と何度も書かれていますが、全くの「無」ではなく、「オイルのような感覚」を求めながらスウィングするそうです。
Sam Sneadは、彼が連戦連勝を続けた当時、屈指の飛ばし屋としても知られていました。この本の中で繰り返し云われていますが、「85%のパワーで、ゆっくりと振るように努めた」というのが彼の飛ばす秘訣。「大抵のアマチュアは110%で強く打ち過ぎる」「グリップは小鳥を包むように、優しく、しかししっかり。スウィングのトップで、誰かが私の手からクラブを引き抜くことが出来る程度」というのですから、凄い。ボールに負けてシャンクしてしまいそうな恐怖を感じます。
意外だったのは意図的にフックやフェードを打つ方法。彼は基本のスウィングを変えないで、足の位置だけ調節して打ち分けることを勧めます。フックはクローズド・スタンス、フェードはオープン・スタンス。後は視覚化で理想的な軌道を思い描くだけだそうです。
「どのショットもターゲットにボールを運ぶこと。10回に1回ではなく、10回に8回程度は実現したい。スコアのためでなく、ボールを運ぶ場所のためにプレイする」 至言ですね。
同時期に活躍したByron Nelson(バイロン・ネルスン)の逸話も出て来ます。Byron Nelsonは呼吸と心拍の不調和を感じる名人。ゆっくり歩くことを基本にしていたそうですが、呼吸が速くなれば心拍が上がり、スウィングのリズムが変わって来るというのが、その理由。Byron Nelsonは常にぶらついている牛のようだったと書かれています。スポーツ心理学やスポーツ医学がそれほど発達していなかった時代、名人達は本能的に自分をコントロールしていたわけですね。
(March 22, 2000、改訂May 30, 2015)
'Why Waggle?'
by Karrie Webb with Peter Morrice ('Golf Magazine,' July 1999)
Karrie Webb(カリー・ウェッブ)のワッグルは独特です。Justin Leonard(ジャスティン・レナード)も似たようなワグルをします。ついでですが、私も同じ方法を使っています:-)。
「私は17歳の時からこのワグルをしている。実際のスウィングと同じ軌道で、広く、掃くように、しかも肩もターンさせる。実際のスウィングと違うのは、膝の高さが終点ということだけ。
ワグルでは、スムーズでイーズィなリズムを心掛ける。ワグルが終了したら、リラックスした状態が消えないうちに、すぐスウィングに入る(全ての動作が停止した状態からのスウィング開始は、スムーズにならない)。
ワグルは只のプレ・ショットの儀式に見えるかも知れないが、スウィングの巾とテンポの土台となり、パワフルで効果的なスウィングを作り出す重要な役割を果たす」
(March 27, 2000)
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