'Mind Over golf'
by Dr. Dick Coop with Bill Fields (Macmillan, 1993, $12.95)
心理学者Dick Coop(ディック・クープ)は故Payne Stewart(ペイン・スチュアート)やCorey Pavin(コリイ・ペイヴン)のメンタル面のコーチ。プレショット・ルーティーンの重要性は周知の事実ですが、Dick Coopはプレショット・ルーティーンの前に、「これから集中ゾーンに入るぞ!」というシグナル(以下の例のような何か)を作りなさいと勧めます。
・手袋のヴェルクロを開閉する。
・特定回数ズボンを引き上げる。
・クラブで靴の横をポンポンと叩く。
・腕の毛を引っ張る。
・ネックレスに沿って指でなぞる。
・耳たぶを引っ張る。
「横隔膜による腹式呼吸は、筋肉の緊張を解く最良の方法である。ボールの後ろで中間目標を選んでいる時点か、アドレスの時か、いずれかのタイミングで深呼吸をすること。
集中ゾーンに入るシグナルからスウィング開始までの時間経過は、30秒以内が望ましい。長過ぎる恐れがある場合は、友人に計測して貰う。
プレショット・ルーティーンに磨きをかけるため、練習場でも五打に一度は本式に実行すること。
コースでは、どんなに気楽なラウンドでもプレショット・ルーティーン抜きでショットしてはいけない。
もし周辺の妨害(同伴プレイヤーの叫び声、車の警笛、突風など)があったら、直ちにストップし、ルーティーンを再実行する。こういう場合、Payne Stewartはタオルを取ってグリップを拭った。たとえ、グリップが濡れていなくても。彼にとって、これが再度プレショット・ルーティーンに突入するシグナルだったのだ」
(March 06, 2000)
'Copy a Tour Player'
by Editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' February, 2000)
「Johnny Miller(ジョニイ・ミラー)は、ドローを打つ時にはTony Lema(トニイ・リマ)のスムーズなドロー・スウィングを頭に描いた。フェードを打つ際は、目標のかなり左を狙うLee Trevino(リー・トレヴィノ)を思い描いた。 最近のモデルとしてはドローにはJustin Leonard(ジャスティン・レナード)、フェードにはBruce Lietzke(ブルース・リツキ)がお薦めだ」 'The Mental Edge' この本の著者Kenneth Baum(ケネス・バウム)はスポーツ・コンサルタントで、全米の様々なスポーツ・チームを支援しています。ここで著者が“形態模写”("Great Pretender")と称するのは、表情、姿勢、態度、癖、霊気(オーラ)など、全てを真似することです。 「あなたが男性で、Clint Eastwood(クリント・イーストウッド)やSylvester Stallone(シルヴェスタ・スタローン)のように歩き始めたら、あなたの思考にどんな変化が起るだろう?女性の場合、Sharon Stone(シャロン・ストーン)かMeryl Streep(メリル・ストリープ)のように振舞ったら、考えが変わると思いませんか?姿勢を変えると、変化が起るのです。 Fred Couples(フレッド・カプルズ)を崇めているゴルファーがいた。彼はゴルフをする時にFred Couplesのように振舞うことなど考えたこともなかった。彼は『断言出来ることと云えば、私は48歳で、自分流にしか出来ないし、さしたる飛躍も望めない…てなことだけだね』 私は、そんな彼に“形態模写”を試させた。その週末、彼はゴルフ・トーナメントのTV中継を見てFred Couplesを研究した。その後、コースに出かけてFred Couplesを真似て行動した。ティー・グラウンドでは、まさにFred Couplesそっくりにフェアウェイをチェック。ボールに近づく時も、全く同じように真剣に集中する数秒間をおいた。彼はFred Couplesが漂わせている自信に満ちた雰囲気も取り入れた。18ホールの間、ゲームのどの要素においても、彼はFred Couplesのようにプレイした。この結果、彼のスコアはここ数年間におけるベストを達成した。『それだけじゃなく、とても楽しかったよ』と、彼は云った」 Fred Couplesを完全に模倣しようとすると、まず手袋無しでプレイしなければなりませんし、フックグリップを採用し、クラブヘッドが目標の右を指すトップ、そしてレフトハンド・ローのパッティング・グリップ等も採用しなければなりません。いきなり、実行するのは大変です:-)。 |
(March 09, 2000)
メイジャーに四回優勝し、タフで手強いプロとして名を馳せているRaymond Floyd(レイ・フロイド)の卓見。
'Elements of Scoring'
by Raymond Floyd with Jaime Diaz (Simon & Schuster, 1998, $20.00)
「アマチュアはアプローチ・ショットをショートするのが常である。ピンにデッドに狙うあまり、痺れてミスするか、自分の飛距離をわきまえていないので短いクラブを選んでしまう」
「アマチュアはまた、状況の違いを正しく認識しない。常にいいライ、水平のスタンス、無風とは限らないのに、適切に調節出来ない。スタンダードなショットなどというものは無く、一打一打どのショットも異なるものなのに」
「もしあなたがバック・スピンに魅了されているとしたら、それが失敗しやすい、悪癖とも云えるものだということを知るべきだ。プロ達はかなりのクラブヘッド・スピードでもって、ボールをクリーンに、しかもしっかりと打つことが出来る。アマチュアの大半はハード・カヴァーのボールを使っているが、プロはスピン率の高いソフト・カヴァーを用いる。また、プロはスピンがかけやすい理想的なフェアウェイでプレイするため、60ヤード程度のピッチ・ショットは着地後すぐ止まるか、後戻りするのである」
「パッティングは科学ではなく完全に芸術だ。もしボールを無理矢理ホールにねじ込もうとしても、悪い結果に繋がるだけだ。自分が出来るベストのパットをし、後は運を天にまかせるしかない。パットの名人達は自分が上手いと信じている。3フィートのパットを連続ミスしても、彼等はそれでも自分達はパットが上手いと云う筈だ」
「Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)は、2フィート(約60センチ)から100個連続パットに成功しないとまたゼロからやり直すという練習法を用いていた。これは大変なことである。アマチュアなら25個で十分だろう。3フィート(約1メートル)から10個連続成功させるという方法もある。8個目辺りで喉元が強ばるのを感じる筈だ」
(March 13, 2000、改訂May 30, 2015、再訂January 04, 2019)
The Honda Classic(ホンダ・クラシック)2000の最終日、No.17でのハプニングです。Brian Gay(ブライアン・ゲイ)の見事なチップ・ショットは真っ直ぐホールを目指しました。しかし、もう半転がりのところで停止。Brian Gayはホールに歩み寄り、暫しボールの落下を祈りました。落ちればバーディでトーナメント・リーダーのDudley Hart(ダドリイ・ハート)とタイになり、さらにNo.18でバーディを取れれば優勝です。彼がほぼ諦めかけた時、プレイング・パートナーのJonathan Kay(ジョナサン・ケイ)が「ボールが動いている、打つな!」と制止しました。その後数秒経って、ボールはやっと落下しました。
Johnny Miller(ジョニイ・ミラー)を筆頭とする実況担当のNBCのアナウンサー、解説者達は、全員Brian Gayの待ち時間はルールの範囲内であると好意的に放送しました。しかし、数分後にヴィデオ・テープがリプレイされ、リポーターのGary Koch(ゲアリ・コウク)がカウントすると、明らかに10秒を超過しています。時計を持ってのカウントではなく、空で読み上げただけなので、この段階ではまだ断言は出来ないという感じ。解説者達は「う〜む、かなりきわどいセンだけど、USGAオフィシャルも問題にしていない」と伝えました。さらに、もう一度リプレイされ、NBCにも見ている視聴者にも10秒を超過していることがハッキリしました。 結局、Brian Gayはトーナメント終了後USGAオフィシャルと共にVTRをチェックし、1ペナを払ってバーディはパーとなり、2位から4位タイに転落したため$89,000の損失となりました。 しかし、組毎にマーシャルが付き、キャディもいるのに、誰も現場で秒数をカウントしないというのは不思議です。キャディ無しの素人ゴルフでは、なおさら時間の管理など出来ません。VTRなど無いクラブ・トーナメントなどどうなるのでしょうか? |
本日(3/13)のThe Golf Channel(ゴルフ・チャネル、以下TGCと略)は、この件について詳細に報道しました。落ちかけているボールの処置はUSGAルール16-2が適用される。【ボールがホールの縁で落下しそうに見える場合、プレイヤーは不当な遅滞無くホールに近づき("reach the hole without unreasonable delay")、その後10秒間、ボールが静止しているのかどうか見定めることが出来る。それ迄にボールが落ちない時は、それは静止していると見做される。その後にボールが落下したら、プレイヤーは前のストロークでホール・アウトしたと見做されるが、ペナルティを付加しなければならない】つまり、Brian Gayの場合、ボールが転がり込んだので実打数はバーディだが、10秒以上待ったので1ペナ足してパーになったわけです。
TGCが「実はこのルールは14-5と矛盾する関係にある」と指摘していました。14-5は「動いているボールを打ってはならない」と規定した条項です。ですから、Jonathan Kayが「ボールが動いている、打つな!」と云ったのも正しいのです。どの時点からカウントするかですが、Jonathan Kayが動いているボールを見た時点からであれば、全く問題では無かったでしょう。
TGCの解説によれば、「40年前のルールには時間制限は無かった。30年前になって待ち時間は"a few seconds"(数秒)許されるということになったが、この表現はすこぶる曖昧であった。ペナルティは2ペナという厳しいものだった。1988年になって現行の"reasonable walk"、10秒、1ペナという方式に改められた」そうです。TGCは数人のプロにインタヴューしていましたが、Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)は「そのルールを知らなかった」と云っていました。全盛時代のBenはロング・パットをボンボン入れてましたから、縁で止まったりしなかったのでしょうけど:-)。
VTRをチェックし、正式に秒数をカウントした背景には一般からの電話が多数あったせいだそうです。実は先にプレイ終了して結果を待っていたDudley Hartは開催地Florida(フロリダ)の住人で、地元の応援はひとかたならぬものがあったようです。私の憶測ですが、「一般からの電話」なるものの大半は、地元住民によるDudley Hartに勝たせたい一心の電話ではなかったかと思います。
いずれにしても、1ペナ以前でさえBrian Gayはプレイ・オフに持ち込めなかったわけで、ルール違反のまま優勝という後味の悪い結末は自然に回避されました。仮に優勝したとしても、後々マスコミの攻撃に曝され、多分キャリアを台無しにしたことでしょう。
余談ですが、Brian GayのキャディSteve DuPlantis(スティーヴ・デュプランティス)は、昨年春Jim Furyk(ジム・フリュック)に解雇され、その直後ルーキーのRich Beem(リッチ・ビーム)を助けて初優勝させたヒトです。今年Brian Gayを優勝させられれば、最高に嬉しかったでしょうにねえ。残念でした。
(March 13, 2000、改訂May 30, 2015)
ヴェテランTom Watson(トム・ワトスン)による刻み方の基本。
'My 50 best tips'
by Tom Watson with Nick Seitz ('Golf Digest,' November 1999)
「いったん刻むと決めたら、十分にゆとりをもって刻むこと。水辺にギリギリに刻んでも、何も褒美は出ない。刻むときは、以下の四原則に従うこと。
1. 好みのクラブの距離が残るように刻む。
2. 斜面でないところに刻む。
3. ハーフ・スウィングは(プロでさえ)難しいので、フル・スウィングの距離が残るように刻む。
4. 障害の手前に刻むことだけ考えてはいけない。受けた角度のグリーンになる位置を探し、次打でそこを狙える場所に刻む」
(March 21, 2000、改訂May 30, 2015)
これ迄にスポーツ・ライターJohn Feinstein(ジョン・ファインスタイン)の著作('A Good Walk Spoiled'、'The Majors')を紹介しましたが、よくもまあこれほど克明に描写出来るものだとびっくりします。例えばFred Couples(フレッド・カプルズ)とMark O'Meara(マーク・オメラ)の組に随いて歩いていたら、他の組の出来事は判らない筈です。TVを観ていればトーナメントの全体像は判りますが、ギャラリーの反応だのTVに映らないプレイヤーの行動などは判りません。一体、どうやっているのか不思議でした。
'Sorry, I wasn't looking' この記事の筆者はゴルフ・ライターで、過去20年もMastersのリポートを書いて来た人。その人が記事の題名で「ご免、見てなかった」と云っていることは何か?彼はGene Sarazen(ジーン・サラゼン)の歴史的アルバトロスを見ていなかったと白状しているのです。どの組について随いて歩くかは賭けですから、そういうこともあるでしょう。しかし、 「ゴルフ・トーナメントの報道陣用テントは、一種のユートピアである。そこの殆どの住人は、入口から数フィート以上表へ出て行くことを怖がる。彼等は日がな一日数字が増えて行く大きな掲示板を見守っている。やっと一日の終わりに、彼等は一般人と同じようにTVでトーナメントを観る。つまり、彼等はライヴでは何も見ていないわけだ」 報道陣用テントにもTVはあるでしょうから、実際にはずっとTVを見ているような気がします。想像ですが、John Feinsteinもそうやっていて、後でインタヴューすべき人物と事柄を克明にメモしているのではないでしょうか? 「TVに関するちょっとした秘密がある。アナウンサーは必要に迫られない限り『これはテープ再生です』とか、『数分前の出来事です』とか自白しない。トーナメント中継は様式化してしまい、あるトーナメントなどはどのショットもライヴでは観られない。映し出されるのは、少なくともコトが起った7秒後である。記者達はこの事実を、TVで観る前に掲示板の数字が変わることで知っている」 |
やはりそうだったのですね。CMの後、すぐさまいいショットを見せる場合は、"A while ago..."「数分前の出来事です」とか云います。No.18のグリーンを映し出している時に、他所で大歓声が聞こえることもあります。この場合も、後に"A moment ago..."「一寸前のことです」とか云って、No.17のイーグルをテープ再生したりします。これらは、視聴者を騙せないので仕方無く自白しているわけです。しかし、通常はあたかもライヴで同時に起っているように、あちこちのホールの妙技ばかりを映し出します。あれは、全部テープ再生なんですね。どうも話がうま過ぎるような気がしていました。
何台のヴィデオ収録機を用意しているのか判りませんが、ベラボーな数が稼働しているに違いありません。先週のThe Honda ClassicのBrian Gay(ブライアン・ゲイ)の「ホールを覗き込んでいるボール」も、“実況中継”ではBrian Gayのチップの後ろからのショット、ボールのアップの二種類が放送されただけでしたが、上空の飛行船からの俯瞰ショットもちゃんと録画されていました。何秒待ったかの判定には、主にこの飛行船からの映像が使われていました。
アナウンサーや解説者が「ウワー!」とか、「(ボールよ)止まれ、止まれ!」とか叫んだりしますが、起った7秒後に放送しているのなら結果は分かっている筈です。役者ですねえ、皆さん。
(March 21, 2000)
カリフォーニアにお住まいの矢野さんから、実際に御覧になった“数秒後のライヴ”(?)についてのリポートを頂きました。
「実際のトーナメントを見に行った時に、偶々超優良優待券を貰いまして、バレッパーキングに始まり、送迎バス、朝食付き、各テントで飲物、食べ物は只…という待遇でした。普段通りにコース内を選手について見てまわってましたが、疲れたのでテントに入り、軽食をつまみ、ビールを飲みながらテント内のテレビでゴルフ観戦をしてました。
2階建てのテントから目の前のパー3のグリーン上の状況は目で実際に見えますので、選手のパットが入った入らないは分かります。そのプレー状況をテレビでは「ライブ風」に中継しますが、明らかに実際に目の前でプレーされた過去の事が数秒遅れて放送されてました。ははぁ〜実際はあちこちの選手を追いかけているのでプレータイミングが重なり、本当の意味で完全ライブとはいかなくて、実際はちょっと時間がずれているミニ録画中継なのだと納得しました」
(March 22, 2000)
'The Golf Magazine Mental Golf Handbook'
by Gary Wiren, Ph.D. (The Lyons Press, 1999, $19.95)
100頁に満たない小冊子で、しかも意味も無い写真を大きくあしらって、上げ底にしている感じ。'Golf Magazine'という名前におんぶした企画です。筆者のGary Wiren(ゲアリ・ワイレン)はドクターではありますが、心理学者ではありません。これまでに紹介したメンタル関連書をチョコチョコとつまみ食いした感じの本です。
・テンションのほぐし方
筋肉を緊張させ数秒間持続させた後、完全にリラックスさせます。これはコースで行なう効果的方法の一つです。
・作為的失明
目を閉じて素振りします。これは特にショート・ゲームに有効です。ボールが見えないので、筋肉ものびのび、穏やかなスウィングが出来ます。リラックスした感覚を掴まえ、ゆっくり目を開けて同じ感覚でスウィングします。
・メンタル・マリガン
自分の過去のベスト・ショットを想起することは、最高の視覚化の一つです。打つ前にそういういい映像が出て来ない時は、プレショット・ルーティーンをやり直します。ネガティヴなイメージ(池に入る、OBとなる)は即座に消去して、リスタートします。
・集中
ワン・ラウンド4時間として、あなたのスコアが90だとすると、実際にスウィングしている時間は150/15,000秒で、たった1%。たとえ、プレショット・ルーティーンを含めたとしても、歩いたり、待ったりしている時間は13,000秒。まるまる4時間集中し切ることは現実的に不可能、ホンのわずかの時間に集中してショットするのならうまく行きそうですが、これも練習が必要です。
成果に意識を集中するのでなく、プロセスに集中します。
わずか数ショットに集中出来なかったとしても、ワン・ラウンドを台無しにするに十分です。
パッティングの名手達は、ラインを読み終ったらメカニックスには焦点を合わせず、感覚とペースに集中します。
最高の集中は、集中しようと努力するのではなく、只今現在の瞬間にトータルに心を奪われた時に実現します。
・毒物
カフェインと甘いものはまずい選択です。それらは一時的にゾクゾクする思いと急速なハイの状態を醸し出しますが、突如ローになり情緒をネガティブに覆います。
・作戦
プラン抜きのアクションは焦点の定まらないエネルギーの無駄遣いです。アクション抜きのプランは単なる夢物語。やる気のある状態に留まるには、プランとアクション、双方が必要です。
(April 03, 2000)
'Fifty Ways to Enjoy Golf More'
by Mark and Christy Donnelly (from 'Chicken Soup for the Golfer's Soul,' Health Communications, Inc., 1999)
『ゴルファーの魂のためのチキン・スープ』とはよく解らない題名ですが、オリジナルの『魂のためのチキン・スープ』がNo.1〜No.5まで出ていて、『母親の魂』、『女性の魂』、『十代の魂』、『ペット愛好家の魂』など、全20冊になろうというベストセラー・シリーズです。カミさんに聞きますと、チキン・スープというのはこちらでは病を治したり、元気をつけるための特効薬とみなされているのだそうです。『魂のためのチキン・スープ』というぐらいですから、心温まる話ばかり。半分ぐらいは友人代表の弔辞みたいな感じでもあります。筆者は有名・無名入り混じっています。有名どころはブッシュ元大統領からTom Lehman(トム・レーマン)の奥さん、Nick Price(ニック・プライス)など。オリジナルは「ゴルフを楽しむ50の方法」ですが、下らない30項目は省略しました。
1. リラックス出来るように早めにゴルフ場に着く。
2. 全ての心配を車に残して行く。
3. 腕時計を外す。
4. 携帯電話の電源を切る。
5. 18ホールのあいだ何も邪魔が入らないようにする。
6. 生まれて初めてのようにプレイする。
7. 生涯最後のようにプレイする。
8. No.1ではお気に入りのクラブで打つ。
9. 悪いショットの後は微笑む(笑えればもっといい)。
10. あなたを笑わせてくれる相手とプレイする。
11. パートナーがいいショットをしたら、必ず誉める。
12. どのグリーンでも誰かのボール・マークを直す。
13. 必死で先に行こうとするのを止め、後続組をパスさせる。
14. パートナーのファンになりなさい。
15. 久し振りに歩きなさい。あるいは久し振りにカートに乗りなさい。
16. 常にノータッチでプレイする。
17. 配偶者とプレイする時は、彼(彼女)のいい点だけを見る。
18. 聞かれた時だけアドヴァイスしなさい。特に配偶者には。
19. 機会がある度に見知らぬ人ともゴルフをして、友人を増やす。
20. 接待ゴルフだとしても、それは仕事ではないということを忘れないように。
【おことわり】画像はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/にリンクして表示させて頂いています。
(April 10, 2000)
"What You See Is What You Get"(見たままを得る)はコンピュータ・インタフェースの基本概念で、特に画面で見たままを出力出来るMacintoshのキャッチ・フレーズとして有名になりました。略すと"WYSIWYG"(ウィズィウィグ)。これはゴルフの視覚化にもそっくり当てはまる言葉です。「視覚化したものがその通り実現する」からです。視覚化にしろ、自己催眠にしろ、トライしたことが無い人には、ほとんど新興宗教の勧誘みたいに聞こえるでしょうが:-)、確かにこの場合も「信ずるものは救われる」のです。奇跡のようですが、実は奇跡でも何でもなく、自分の脳に具体的な目標を見せるだけ。脳は既に十分訓練された身体(筋肉)に準備指令を発します。自分でも驚くぐらい、ボールは正確に視覚化された目的地へ送り届けられます。
'Masterstroke'
by Harry Alder and Karl Morris (Judy Piatkus, 1996, $13.95)
「ターゲットを内的イメージとすることは特別な作用をもたらす。どの程度強く打つか、パットでどれだけテイクアウェイするか、フォロー・スルーは…などについて“考える”より、ターゲットを心に“登録する”方が、無意識に遂行すべきことを決定するように思われる。これは脳によるオート・パイロットのための指令である。生き生きとしたメンタルな映像をイメージするだけでよい。
一旦ターゲットを心に記録したら、その映像を保ちながら普通にアドレス出来る。もう一度ターゲットを見てもいいが、これは外界のイメージを再チェックするというより、内的イメージを強化するためである。風景が変わることは先ず無いし、信頼することを学べば我々の知覚する力は並外れて確かだからである。
Nick Price(ニック・プライス)は、一度ターゲットを選んだら、目をボールの方に戻してもターゲットを“見る”ことが出来た。心がターゲットにロックされるまで打つことを拒否出来た時、精確さと成功をもたらすと云う。
他のプレイヤー達は、アドレスしても一種の第三の目がターゲットを見続けると云う。
その他の人々にとっては、ターゲットのイメージは保たれないが、それでも視覚化したターゲットに固定された感じは抱き続ける。
メンタル・リハーサル(心の中でコースをプレイする)は視覚化の能力を高める。これは、
1. ゴルフ・コースへ行く前に楽しめる。
2. ベッドや安楽椅子の上でプレイ出来るのだから、快適だしゴルフ場へ行く時間もかからない。
3. 目立たないので、退屈な会議や病院での待ち時間の間にも出来る:-)。
4. 早い。
5. 実際のゴルフは失敗の連続でも、メンタル・リハーサルではポジティヴにプレイ出来る。これは成功への鍵である」
私がより強く視覚化したい時に使うテですが、単に目的地に鎮座ましましているボールを“見る”だけでなく、その地点に立ってそこが次の一打のための理想的なポジションであることにホクホクしている自分の姿も見ます。これは、ガチガチにターゲットだけを考えた場合よりもリラックス出来る効果があります。
後はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)がやるように、ヴィデオの逆再生。ボールが数メートル転がり、空中を飛翔し、ティー・グラウンドに戻って来て、目の前のティーに乗っかります。そのラインの前後(私の場合は後ろ)に目印を見つけ、アドレスし、ボールを元あったところ(視覚化したところ)に送り返します。
(April 13, 2000)
パットが明瞭にショートしそうな場合、ゴルファー達が口にする台詞は"Hit it!"です。TV中継の解説者も云います。"Hit it!"と命令形で云われたからといって、動いているボールを追いかけて行って追加でチョコンと打つわけにもいきません。ペナルティを取られてしまいます。状況からして意味は判るのですが、なぜ"Hit it!"という文になるのか疑問でした。"(You should) Hit it (harder)!"が省略されたものか、"(You didn't) Hit it!"辺りかと思いましたが、私の周りで答えられる人物はいませんでした。アメリカ人て、英文法は苦手みたいです:-)。
カリフォーニアの矢野さんがあるトーナメントで耳にした言葉を知らせて下さいました。解説者が"Juli, you've got to hit it!"と云っていたそうで、「Juli、ちゃんと打つべきだったわよ=ちゃんと打たなきゃあ!」と云っていたのでした。
友人のMike(マイク)がくれたE-mailはなかなか面白いのでここに掲載します。
「誰が"Hit it!"と云うかによって意味合いは異なる。打った当人であれば、"Hit it!"と云った後"You damn sissy!"(いくじなしめ!)と付け加えるだろう。マッチ・プレイにおけるあなたのパートナーが云う場合だと、"Hit it!"の後にかすかな罵りの文句が聞こえるかも知れない。勿論、あなたが弱気なパットで既に傷ついているのは明白なので、あからさまには罵倒しないけれど。あなたの対戦相手が"Hit it!"と云った場合、彼は大嘘つきである。内心で高らかに笑っているからだ」
(April 19, 2000)
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