インストラクターTom Tomasello G.S.E.D.(トム・トマセロ)のヴィデオ紹介、第五弾。
Tom Tomaselloは「クラブフェースの向きがボールの方向と軌道(高さ)を規定する」と云います。それは三種類のプレーンによって異なって来ます。
1) 水平のプレーン
これはテニスの打ち方のようなもので、云わば横殴り。インパクト後、クラブのトゥが立って天を指す。このプレーンで打たれたボールは低く出て、着地後左へバウンドする。ゴルフスウィングの90%はこれである。
【註】もう毎度お馴染みのイラストなので気が引けますが、右図のトゥも立っています。バックスウィングでトゥが立っているなら、インパクト後の腰の高さのクラブもトゥが立っていてしかるべきです(ミラー・イメージ)。つまりこの図は、Tom Tomaselloによれば、ゴルフスウィングの90%に該当する「水平のプレーン」ということになります。“横殴り”と云うより、ボールに左手甲でビンタを食らわす感じ。あるいは団扇(うちわ)で横に扇ぐ感じ。右掌はインパクト前後で垂直になったままインサイド→インサイドの動きをします。
2) 縦のプレーン
ソフトボールの下手投げの投球のように、クラブフェースが終始空を向いているような縦のスウィング。ボールは真っ直ぐ高く上がるので、木越えやバンカー越えなどで必須の打ち方。ボールは着地後真っ直ぐ進行方向へバウンドする。
【註】「水平のプレーン」が90%なら、「縦のプレーン」は多分残りの7〜8%になるのではないでしょうか。ボールを高く上げるアプローチ・ショットは全てこれになります。
3) 斜めのプレーン
上の二つの丁度真ん中。ボールは水平のプレーンよりは高く上がり、フェードして着地後右へバウンドする。
ゴルファーはこの三つのプレーンを身につけて使い分け出来るようにしておくことが肝要だそうです。
(March 02, 2006、改訂June 02, 2015)
いくつか“手首を殺す”パッティングを紹介しているわけですが、David Leadbetter (デイヴィッド・レッドベター)の以下のtipはその極めつけかも知れません。
'Elbows in'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' December 2005)
「少なくとも75%のゴルファーはフル・スウィングにおいてスライスを打つ。私に云わせれば、カップの右へパットするゴルファーも同じ割合で存在する。この場合もアウトサイド・インにカットするようにストロークするのが原因であり、絶対に安定した球筋は得られない。
スライス・パッティングをする人は、手首を使って長いストロークをする。両肘は広過ぎるぐらいに外に向かって突き出され、肩はターゲットラインに対しオープンになっている。肩がオープンになっていると、ボール位置があまりにもターゲット方向になり易く、フェースもオープンに見える原因となる。
正しくボールを転がすには、胸・肩・手・腕の組み合わせによる動きでパターをコントロールすることを学ぶべきである。両掌が向かい合うような形で軽いグリップをし、両方の肘を胸郭(肋骨等で籠状になった胸部の骨格)にくっつける。短めのバックストロークをしながら、両肩が振り子運動をする最中、両手・両腕は胸にくっついたまま両肩と一体となって動くようにする。
この方法を練習するには、胸郭と二の腕の間にヘッドカヴァーを一個ずつ挟むとよい。これは両手だけの単独行動を防止し、胸・両肩と両手・両腕とが共同作業をすることを教えてくれる」
パットでプッシュしがちな人にはお薦めです。私はパターをゆったりとぶら下げる方式なので、胸に両肘をつけると腕が強ばり、ついでに手と手首も強ばってしまいます。しかし、何度もボールがカップの右に逸れるという場合の応急処置としては役に立ちそうです。
(March 05, 2006)
インストラクターTom Tomasello G.S.E.D.(トム・トマセロ)のヴィデオ紹介、第六弾。
バックスウィングでは三つの動きしか起らない。クラブを(1)ターゲットから「後方」へ引き、(2)ターゲットラインの「内側」へ引き、(3)「上」へと上げる。ダウンスウィングではそれを逆に行なうべきである。(1)「下」に下ろし、(2)「外側」へ押し、(3)「前方」に押す。トップからすぐさま「前方」へ動こうとするのは間違い。それは手打ちである。
先ず、右肘を右脇につける(「下」に下ろす動き)、その右肘の位置が「外側」(インサイド・アウト)への動きをもたらしてくれる。その結果が正しい「前方」への動きに繋がる。
バックスウィングで最も重要なのは右肘の働きと位置である。右腰が回転しても、右肘は常に右腰の前に位置を保たねばならない。右肘は常に地面を向いた角度で右腰の前にあるべきである。多くのゴルファーは身体の後方に右肘を突き出すが、これは手打ちの原因となる最悪の動きである。ダウンスウィングで右肘は、最初にそうであったように右腰に戻る。それがボールをターゲットラインの外側に向かって(インサイド・アウトに)打つことを可能にしてくれる。
Tom Tomaselloの教えは以上ですが、ついでですのでBen Hogan(ベン・ホーガン)のスウィング動作の順序も見てみましょう。
'Five Lessons'
by Ben Hogan with Herbert Warren Wind (Golf Digest/Tennis Inc., 1957, $21.00)
「バックスウィングにおける動作の順序は次のようである。手、腕、肩、腰。ダウンスウィングではこの逆の順序、すなわち腰、肩、腕、手の順である」
いずれにしてもここで重要なのは、往路で行なわれた動作は復路では逆回転で行なわれるという共通点です。
(March 09, 2006、改訂June 02, 2015)
一冊の'Golf Digest'『ゴルフダイジェスト』誌に、二人の大物インストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)とJim Flick(ジム・フリック)が、期せずしてウッドとアイアンの打ち方の違いについて書いています。
'Setup is everything'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' April 2006)
「ボール位置と背骨の角度はクラブヘッドの軌道に大きな影響を与えるものだが、多くのゴルファーはウッドとアイアンでのセットアップ方法をごっちゃにしている。
・ドライヴァー
上昇する軌道でボールを捉える必要があるわけだから、ボール位置は左足踵の内側とし、背骨をターゲットから遠ざけた(傾げた)アドレスをする。左腰は右より若干高めである。インパクトでは、背骨はボールの後方に留まる。
・アイアン
下降する軌道でボールを地面に向かって押しつぶす必要があるので、ボール位置はドライヴァーに較べ遥かに後方である。5番アイアンの場合、スタンス中央より僅かにターゲット方向。背骨は垂直に近く、胸はボールの真上となる。これらはインパクトで左への体重移動を助け、ボールをピンチする(摘む)結果を生む」
'Iron vs. Woods'
by Jim Flick ('Golf Digest,' April 2006)
「かつてBen Hogan(ベン・ホーガン)はこう語った、『アイアンでは左脚を中心に回転するスウィング、ウッドでは右脚を中心に回転するスウィングを考えるべきだ』と。
上の言葉はアイアンではダウンブローのアタック角度、フェアウェイ・ウッドやドライヴァーでは水平もしくはやや上昇気味のアタック角度を助けてくれるものだ。アイアンでは体重は中央にあり、バックスウィングの間中変えてはいけない。フェアウェイ・ウッドとドライヴァーの場合は、体重はスタートで右側にあり、トップに至る迄そのままである」
(March 12, 2006)
'Dave Pelz's Putting Bible'
by Dave Pelz with James A. Frank (Doubleday, 2000, $30.00)
斜面のパットです。図A〜Cのゴルファーからカップまで地面上ではどれも等距離です(つまりボールとカップ間の距離は全て同一)。しかし、カップと目の間隔(赤い斜線)が変化するため、ゴルファーには等距離に見えません。
図B:上りのパットですから強めにストロークすべきなのに、ゴルファーの目からカップまでの距離は短く見えるため、ショートしがちになります。
図C:下りのパットなのでオーヴァーしないよう注意深くストロークしなければならないのですが、ゴルファーの目からはカップが遠くに見えるので、オーヴァーしてしまいがちになります。
Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)は「歩幅を数えそのデータを脳に送ったら、距離コントロールは脳に任せ、目からの情報は忘れてパットすること」が、上の錯覚を解消する方法だと述べています。
(March 14, 2006)
'The chop shot'
by Mike Corcoran, PGA ('Golf Tips,' Aug./ Sep. 2005)
「折りにふれ、あなたは油断のならない長く濡れたラフに自分のボールが沈んでいるのを発見する筈だ。通常のテクニックを使ってフェアウェイに戻そうとすると、恐らくそこで二打費やし、最悪もう一個のボールが必要になるかも知れない。
こういう場合はChop shot(チョップ・ショット)を使う。【編者註:「空手チョップ」の"chop"です】
1) ロフトの多いクラブを選び、短く持つ。
2) ボール位置はスタンスの中央。
3) 体重の大半はターゲット方向の足に。
4) 斧で木を切る時のように、急角度のバックスウィング、ダウンスウィングを行なう。
チョップ・ショットの秘訣はフォロースルーにある。というか、フォロースルーを行なわないことにある。インパクトでスウィングを終えてしまうのだ。急角度のスウィング弧とクラブのロフトが、ボールを高く上げ、ソフトな着地をもたらしてくれる」
(March 14, 2006)
英国のインストラクターPercy Boomer(パーシイ・ブーマー)は、その名著『ゴルフの習得について』で、ロング・ゲームのスウィングについて次のように述べています。「ボールの位置がスウィング軌道の中心と考えてはいけない。ボールの手前ではなく、ボールを通過した直後で最大のヘッド・スピードを達成しなくてはならない」…と。インパクトではなく、その後で最大のヘッド・スピードになるようにということです。インパクトを終点と考えてしまうと、その前にスピードが落ちてしまうわけです。
「常に80を切る」ことが出来ない段階のゴルファーは、ボールにクラブ・ヘッドがちゃんと当たるかどうか、ヘッドの軌道が心配なものです。テンプラにならないように、トップしないように、ヒールやトゥで打たないように…等々。左腕がきちんと伸びていればヘッドは正確にアドレスの位置に戻る筈なのに、100%そうは信じられない。で、当てることに集中してしまう。ヘッドを正確にボールに当てようとすると、これまたヘッド・スピードは減速します。極めて僅かかも知れませんが、調整作業のために減速します。
パッティングでも同じことだと気がつきました。ボールに正確に当てようとするとパター・ヘッドが減速する。その動きを時間的に大幅に拡大してスロー再生すれば、インパクト直前にパター・ヘッドがほぼ急停止しそうに見えるほどかも知れません。いずれにしても、減速すれば慣性による推進力(勢い)が失われます。そうすると手・手首の角度の微細な方向誤差がパター・ヘッドの軌道に大きく影響します。ボール直前で急停止するようではショートして当然です。
パットはロング・ゲームのような大きな運動ではありませんから、ヘッドは間違いなくボールに戻って来ます。ゴルファーが心配することは何もありません。となれば、ロング・ゲームで重要なのがインパクト後のスピードであるように、パッティングでもボールを通過した後のスピードが重要ということになります。それこそが慣性による推進力を生むものであり、それによってボールの転がる軌道も距離も狙い通りという結果が得られる筈です。 これまで、パッティングに関して次のような項目を紹介して来ました。 |
今回、やっと何故加速すべきか?の理由が解明出来、正しいメソッドを構築出来たと思います。「当てに行く」ことを防ぐのが加速すべき理由です。「当てに行ったのでは加速出来ない」のです。《ボールを度外視し、フォワード・ストロークからフォロースルーまで同じヘッドスピードを保つ》のが正しいメソッドです。
この五、六年、様々な本や雑誌を渉猟して来ましたが、こんな簡単なことを誰も教えてくれませんでした。
以上は、もちろん振り子式パッティングに当てはまることです。振り子式パッティングは振り巾で距離を調節します。「打つ」のではありません。力を篭めたのでは、振り巾による調節が無意味になります。振り子式パッティングでは「振り子が揺れる途中にたまたまボールがあった」という境地でなければなりません。「ストロークの終点はボールではない」と考えるべきです。ボールを越えた地点までヘッドスピードを保つ。ロング・ゲームでもパッティングでも秘訣は同じであるという結論になります。
自分の発見を“秘訣”と称するのはおこがましいとは思いますが、このサイトは“個人の”「日記」ですから、これは私の、自分のための“秘訣”です。記録しておくべき重要な“秘訣”です。
【参照】「パッティングを妨害するもの」(tips_131.html)
(March 16, 2006)
Suzann Pettersen(スザン・ペターセン)はノルウェー生まれで、LPGA Tour三年目の若手プロ(25歳)。3月12日現在の2006年賞金獲得額ランキングでは19位ですから、結構いい成績です。今週のSafeway Internationalでは24位タイでした。
彼女の珍しいテイクアウェイに気がついたのは、昨年のSolheim Cup(ソルハイム・カップ)の時でした。解説者は「これは素振りではないんです」と云っていました。この時は米・欧の勝敗の行方への関心とPaula Creamer(ポーラ・クリーマー)の入神の妙技に心を奪われ、Suzann Pettersenのことは忘れてしまいました。
今回のSafeway InternationalではAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)が不調だったため、代わりに(?)Suzann Pettersenのショットが何度も画面に出ました。読者の皆さんは私のサイトで「バックスウィングの腰の高さでターゲット・ラインと平行になるクラブ・シャフト」のイラストをもう嫌というほど見せられている筈です。彼女はあのイラストの位置で、瞬間的にスウィングを停めるのです。まるで、大きなワッグルのように。しかし、それはワッグルではなく、次の瞬間トップへとバックスウィングが継続します。それで解説者がわざわざ「これは素振りではない」と視聴者に云うわけです。
今回、ヴィデオをDVカメラにコピーして分析したところ、Suzann Pettersenは三駒ほどこの位置でクラブをストップさせていました。インパクトの瞬間が(速過ぎて)捉え切れないカメラにとって、三駒というのはかなり長いです。見た目には1秒に満たない感じですが、その三駒の中でヘッドが微かに揺れ動いていることさえ判ります。
彼女はこの動作を、パッティングと足場の悪いバンカー・ショット以外では必ず行ないます。ドライヴァーやアイアンによるティー・ショット、フェアウェイ・ショット、ラフからのレスキュー・クラブ、15ヤードのチップ・ショット、足場のいいバンカー・ショットなど。
だからどうだ?と云われても困るのですが、そういうプロもいて、いい成績を出しているということです。そして、多分私のアイアン・ショットも彼女に似ていることだろうと思っています。
(March 19, 2006)
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
「Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)のバックストロークは長くてスムーズだ。しかし、インパクト後は唐突である。彼はパターを一瞬止めさえする。これは彼の師匠Harvey Penick(ハーヴィー・ピーニック)が教えたもので、この方法だとボールは(横滑りせずに)直ちに芝と接触して転がり、ラインを外れることがない。これが多数のプロ(Jack Nicklaus、Gary Player、Brad Faxon、青木功、Billy Casper、Dave Stockton、Hale Irwinなど)が短いフォロースルーを用いている理由だと思われる。
短いフォロースルーは、大方の思い込みと裏腹に適切な加速を生む。Bob Toski(ボブ・トスキ)は現在は偉大なインストラクターの一人だが、彼がツァー生活を送っていた頃、彼も上のような方法でパットしていた。彼はこのメソッドを習得するのにとてもユニークな方法を用いていた。彼はホテルの部屋で、ボールの代わりに靴を打ったのだ。他のトップ・プロたちも同じことをしていたそうだ。
靴を動かすにはちゃんとした一撃が必要だ。いったん、靴に接触すると、パターフェースは安定する。これは短いフォロースルーを身につけるのに最適の練習法である」
【参照】「短いパットは打って止めよ」
(March 21, 2006)
'Room Service'
by Jeff Babineau, Rex Hoggard and Alex Miceli ('Golfweek,' March 11, 2006)
「2002年PGA Championshipの優勝者Rich Beem(リッチ・ビーム)は、2005年に計26トーナメントに参加し、たった八回しか予選を通過出来なかった。2006年Ford Championship at Doralでの彼は、全ての分野で好調だったが、特にパッティングは光り輝いていた。彼は次のように打ち明ける。
『私のパッティングはどんなパターを使ってもひどい状態で、しかも原因が分からなかった。今シーズン初めL.A.にいた時、私は短めのパターを使っていた。ホテルのカーペットに線が引いてあったので、そのパターでアドレスし、ターゲットと想定した地点に目を移した。私はとんでもなく左を向いていた!ありゃあ、これほどひどいアライメントだったの?と愕然とした。私は十分間そこに座り、ひたすら線を見下ろしていた。【編註:ターゲットラインと足、膝、腰、肩などとの位置関係を脳裏に刻んだということでしょう】それが私を助けてくれた一つの要素だ。アライメントを改善し、大変化を遂げさせてくれたんだ』
Rich BeemはDoralで七位タイに入り、それは昨秋三位タイに入って以来初めてのトップ10入りだった」
(March 21, 2006)
'Swing thoughts that really work'
by Brady Riggs with Mike Chawasky ('Golf Tips,' February/ March, 2006)
「妙に聞こえるかも知れないが、大事なことは『出来るだけ長くボールを押しつぶす』ということだ。 『ボールを打つのでなく、振り抜くこと』という心構えが上達の鍵であり、振り抜くことによってフィニッシュへと加速し続けるクラブフェースで、ボールを長い時間押しつぶすことが可能になる。
加速し過ぎや鞭のように弾く試みは、いずれもスウィートスポットから外れたショットとなる。クラブの舵を取ったりボールに当てに行くスウィングだと、クラブフェースをボールに長時間接触させ続けることは不可能だ。
身体が腕・手・クラブをリードした時、ボールを押しつぶすことが出来る。それが正しく行われれば、上半身とクラブ(そして腕と手首)との関係は一定に維持され、クラブを返したり出来なくなる。その結果、あなたは上質のショットとはどういうものなのかを発見することになるだろう」
「“出来るだけ長くボールを押しつぶす”なんて冗談だろう」ですって?冗談ではありません。「Ben Hogan最後の“秘密”」で次のような内容をお伝えしたことがあります。
'Golf Digest'1994年3月号に『Ben Hoganの秘密〜彼は全てを語ったのか?』という特集があり、編集者Guy Yocom(ガイ・ヨーカム)は次のように推理しました。「インパクト前後で手首を返すという伝統的メソッドは、完璧なタイミングが要求される難しい方法だった。それだと1秒の何分の1という僅かな時間しかターゲット・ラインにスクウェアにならない。その一瞬を逃して手首を返せばボールは真っ直ぐ飛ばない。Ben Hogan(ベン・ホーガン)はトップで左手首を"cupped"(甲側に折って凹の形に)させ、インパクト直前までその状態を持続させた。インパクトで彼は左手首を"supinate"(右の写真のように凸の形に)させ、これはターゲット・ラインにクラブフェースがスクウェアになる時間を引き延ばした。インパクトのかなり後まで手首は返らない。手首が返った時はボールはもう遠くに消えている。その軌道はマイルドな左から右へのカーヴであり、これによってHoganはダック・フックの心配無しに目一杯ハードに打つことが可能になったのだ」
Ben Hoganのようにクラブをスクウェアにするのは神業ですが、スクウェアな時間が長ければ“出来るだけ長くボールを押しつぶす”ことが可能であるという論理は理解して頂けるでしょう。長くボールを押しつぶせば最大の反発力によって飛距離が増大します。スクウェアに押しつぶすのですから、ボールの方向も思い通り。問題は、われわれには急速なダウンスウィングの最中に手首を凹にしたり凸にしたりなどという複雑な芸当は出来ないということです。
しかし、われわれにも出来ることを発見しました。「フェース中央で打つ」(tips_96.html)で紹介した練習法です。ボールにアドレスしたドライヴァーから6 mm離して二本のティーで“門”を作り、その“門”を壊さないようにスウィングするというもの。もし必要なら、ティーの数を増やして横長の“門”にするのもいいかも知れません。これに成功すれば、“出来るだけ長くボールを押しつぶす”軌道が得られます。
(March 23, 2006)
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。
「いいスウィングを繰り返すための素晴らしい練習法の一つは、インパクトの体勢を稽古することだ。
腰はオープンの状態に廻され、右足は前方に向かっている。両肩はスクウェアで、頭はボール位置の手前である。スウィングをトップに戻し、完璧な体勢になるまで繰り返す」
このためにクラブで叩く練習道具を売っていますが、上の留意点を守れば道具無しでよさそうです。
(March 23, 2006)
インストラクターTom Tomasello G.S.E.D.(トム・トマセロ)のヴィデオ紹介、第七弾。
この項を理解するには「フェースのコントロール」を読んでおく必要があります。その中の「縦のプレーン」が使われるからです。
Tom Tomaselloはバンカー越えとバンカー・ショットでは同じメソッドで打てと主張します。つまり「縦のプレーン」でフェースが常に空を向いている状態で振り抜くのです。
彼は「このショットで最も重要なのは、左腰の動きである。必ず左腰を回転させ続けること。腰の回転を止めてはいけない」と云い、「縦のプレーン」でスウィングします。「縦のプレーン」はロフトを最高に活かす(=スピンがかかる)打ち方ですから、ボールは高く上がって僅かなバウンドで停止します。
ピンまでの距離がかなりあって、バンカーを越えるだけでは充分でない場合はどうするか?Tom Tomaselloは「距離を伸ばすには、左腰をさらに早く回転させるだけ」と云います。つまり、スウィングを大きくしたり強めに弾いたりするのではないのです。シンプル至極。
バンカー・ショットも全く同じ。単にボールの後ろにクラブを入れるだけ。左腰の回転で振り抜く。
WGC Accenture Match Play Championship 2006ではBernhard Langer(ベルンハード・ランガー)をはじめとするヴェテラン数人がグリーン・エッジからのチョロを見せてくれました。Tigerも時々やりますね。これらはみな、左腰を使わず手だけで打ったからだったのでしょうか?
(March 26, 2006)
Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のスウィング・コンサルタントHank Haney(ハンク・ヘイニィ)がWGC Accenture Match Play Championship 2006で披露したtip。
「アマチュアはウェッジによるショート・アプローチで、フェースをスクウェアに構える傾向がある。TVを観ていれば分る通り、スクウェアに構えるプロなど一人もいない。みなクラブを寝かせオープンに構える。クラブを寝せた方がフェース表面でボールを長く捉えることが出来、スピンがよくかかるからだ。
クラブを寝せてボールが右へ出ることが心配なら、少し左目を狙えばよい。こうすれば、あなたもプロのようにグリーンサイド・ピッチを成功させることが出来る」
(March 26, 2006)
'Better by Sarurday: Iron Play/ Long Game' 「フェアウェイ・ウッドはシャフトの長さとロフトによって距離を生ずるように設計されている。だから、ヤーデージを伸ばすために力んだ速いスウィングをする必要はなく、7番アイアンと同じように振ればいいのだ。 フェアウェイ・ウッドで重要なポイントは、インパクトで水平な軌道にすることだ。そのためには、アドレスでのボール位置をターゲット方向の足の数センチ後方にし、クラブをほぼ垂直に構える必要がある。 もしシャフトが垂直のアドレスでなくターゲットと反対方向に傾いでいるとすれば、それはあなたがボールを掬い上げようとしていることに他ならない。逆に、ターゲット方向に傾いでいるなら、ボールを押しつぶそうとしているわけだ。【編者註:どちらも不可】 クラブを垂直に構え、ロフトにボールを上げさせ、シャフトに飛距離を任せるべきだ。 フェアウェイ・ウッドやロングアイアンのコツは、インパクト前後に地面に出来るだけ低く沿った浅めのスウィング弧を保つことだ。これを体得するには次のようなイメージを持ってスウィングするとよい。クラブフェースのトゥとヒール近くに一本ずつマッチを取り付けたと考える。マッチの頭はクラブの底部から僅かに下にハミ出ている。そして、ボールはサンド・ペーパーの上に置かれている。あなたの使命は、スウィングによってマッチを発火させることである」 |
アマチュア向けのウッドは、スライス防止のため極端にフック・フェースになっていることがあります。そういう設計のウッドでフックに悩まされている場合は、ボール位置をスタンス中央寄りにするとストレートに飛ばせるようになります。
(April, 2006)
インストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)が明かす遠心力の原理と利用法。
'The Golf Swing'
by David Leadbetter (Dutton, 1990, $29.95)
「インストラクターたちが遠心力について語ることが増えているが、その意味と作用を正しく理解するゴルファーはホンの一握りに過ぎない。
遠心力はゴルファーの身体の中心から遠ざかろうとする力であり、身体から発して両手・両腕を通過して出て行くものだ。それはテコの作用、スウィング弧の幅の広がり、レイト・ヒットなどを生み出す。同じく、それはクラブヘッド・スピードを作り出し、クラブを安定した軌道に維持してくれる。
では、どうやって遠心力を利用するか?こういう風に考えなさい。糸に何か錘(おもり)を結びつけたものを持ち、手首を反時計方向に廻す。腕の位置を変えない限り、錘は一定の軌道で回転する。手首を速く動かすと、錘も速く動く。錘は常に手首より早く動くことに注意。遠心力とはこういうものだ。
上の遠心力(糸を引っ張る力)は、手首の動きによって維持されている。もし、手首が元の位置からずれると、錘は軌道から外れてしまう。ゴルフ・スウィングも全く同じである。身体が正しく動かないと、クラブも正しいプレーン(軌道)上を回転しない。そしてスピードを減衰させる。それは距離と方向の双方を損なうことを意味する。
身体とクラブの関係は、アイス・スケートのペアの演技の一つに似ている。男性スケーター(ゴルフ・スウィングにおける身体に当たる)が回転軸となって女性スケーター(クラブに相当する)を振り回す。男性の動きは遅いのだが、女性の身体は非常に早く回転する。これは《中心の動きは遅いが周辺の動きを極めて早くする》という遠心力の完璧な見本である」
このスケーターの演技は"Death Spiral"(死の渦巻き)と呼ばれるそうです。http://www.ucatv.ne.jp/~yhara/death.gif にgifアニメーションがあります。
(April 09, 2006、改訂June 02, 2015)
'A good golf swing isn't rocket science (or is it?)'
by I.J. Schecter with Doug Weaver ('Golf Illustrated,' March/ April 2006)
「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が'Golf My Way'で書いているように、『身体を回転させれば自動的に遠心力が生まれ、両腕を伸ばしてくれる。両腕が伸びれば、インパクトでクラブは自然にスクウェアな角度で落下する』。 このような身体と腕の伸張の関係は、しばしば無視されている。ゴルファーたちはクラブを正しく位置させようと小細工し、両腕を自然に伸ばそうとしない。その結果、皮肉にもクラブを誤った位置にするのがオチである。 リラックスした、気楽な態度でスウィングされた時、自然な身体の回転が行なわれ、それによって正しい腕の伸張が起ることを忘れないように。 遠心力を実感しよう。直立して立ち、両腕は身体の横にだらんと下げる。身体を右に捻り、次いで左に捻る。次第にスピードを早める。踵を少し浮かせると、もっと深く捻転出来る。身体の回転に伴い、遠心力の作用で両手が上がって来ることに注目。両腕の動きは自然な反応である。これを次回のスウィングの時に思い出すべきだ。身体の回転に集中すれば遠心力が生じ、両腕を伸ばしてくれる。それはクラブヘッドを正しい軌道に導き、スクウェアなインパクトを実現してくれる」 |
次の言葉も参考にしましょう。
'Secrets of a Golf Genius'
by Jackie Burke Jr. and Guy Yocom ('Golf Digest,' April 2006)
「ダウンスウィングの後半では、両腕を精一杯伸ばすように。両腕が肩の関節から抜けるのではないかという感じを抱くべきだ」
(April 09, 2006)
私はゴルフを始めた時からフック系でして、フックを打ちたい時に悩むことはありません。意図的(インテンショナル)スライスあるいはフェードが難しい。
最近のラウンドでも、140ヤードをスライスさせたいと1クラブ上げて5番アイアンを振ったところ、スライスがかかり過ぎ、40ヤード付近から右に曲がって松の木に激突。次に150ヤードの池越え砲台グリーンに4番アイアンでフェードを打とうとしたら、これまた予定よりかなり早く60ヤード付近で曲がってしまい、松の木を直撃後水没。なまんだぶ。
どうも"overcook"(調理し過ぎ)のようです。何がいけないのか、手持ちの本のいくつかから探ることにしました。ここではフェード(スライス)だけ取り上げますが、いくつかの要素を反対にすればドロー(フック)になります。
・ロフトが少ないほどフェード(スライス)がかかり易くなります。
・フェード(スライス)は飛距離が減ってしまうので、ロフトの少ないクラブを選ぶ必要があります。
氏名 | アライメント | クラブフェース | ボール位置 | スウィング | 特記事項 |
---|---|---|---|---|---|
Tom Watson | ターゲットの左 | ターゲットにスクウェア | 高く打つにはスタンス前方、やや身体に近く | スタンスに沿って | 手首を返さず、クラブのトゥが左に行かないように |
Jack Nicklaus | ターゲットの左 | オープン | 普通にスウィング | 極端に曲げる場合以外、グリップは変えない | |
Ernie Els | ターゲットの左 | ターゲットにスクウェア | 通常よりやや前方 | 爪先を結んだ線に沿って | |
Tiger Woods | ターゲットの左 | オープン | どんな軌道(高低)にするかで異なる | ややアウトサイド・イン | 手首を返さず、クラブのトゥが左に行かないように |
Annika Sorenstam | ターゲットの左 | ターゲットにスクウェア | 身体の向きに沿って | 低くティーアップしダウンブローに打つと、左から右へのスピンが生じる | |
Jim McLean (インストラクター) | ターゲットの左 | ほんの少しオープン | スタンス前方で高めのティーアップ | 身体の向きに沿って | 右手グリップのVが右耳と顎の間を指す(ウィーク目) |
Mike McGetrick (インストラクター) | ターゲットの左 | ターゲットにスクウェア | 通常の5 cm前方(高い軌道を生む) | 両肩の線に沿って | 通常よりきつめのグリップ圧。打ち急いで手打ちにならないように |
【まとめ】 | ターゲットの左 | スクウェア派とオープン派が半々 | 高いフェードを打つ時はスタンス前方 | 身体の向きに沿って(註参照) |
【註】「スウィング」の項は各人の表現を生かしましたが、要するに全員云っていることは同じで、オープンに構えた足、膝、腰、肩の向きに沿って普通に振り抜くということです(結果的にアウトサイド・インになる)。
私の何がいけなかったのか、はっきりしました。ターゲットの左を向くアライメントで(これはいい)、クラブフェースはターゲットの左を狙い(これは疑問)、グリップをウィークにし(これは余計)、さらにアウトサイド・インのスウィング(これまた余計!)をしていたのです。つまり、スライスの要素を全部まとめてやっていたんですから、これは急激なバナナ・スライスになりますわな。念の入れ過ぎ、過ぎたるは及ばざるが如し、馬鹿は死ななきゃ直らない。
【出典】
'Strategic Golf'
by Tom Watson with Nick Seitz (NYT Special Services, Inc., 1993, $15.00)
'Golf My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Fireside, 1974, $14.00)
'Classic Golf Swing'
by Ernie Els (HarperCollins, 1996, $27.50)
'How I Play Golf'
by Tiger Woods (FTW Corp, 2001, $34.95)
'Golf Annika's Way'
by Annika Sorenstam (Gotham Books, 2004, $30.00)
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
'The Scrambler's Dozen'
by Mike McGetrick (HarperCollins, 2000, $25.00)
(April 11, 2006)
私が通っているコースのNo.4(186ヤード)パー3は下りですがグリーンが結構盛り上がっており、ショートするとボールは素直に駆け上がってくれない仕掛けになっています。私の場合、21°のハイブリッドを使った結果の半分はショート。ピンが後ろにある時は3番ウッドを打つことすらあります。
最近、コンパクト・スウィングで、韓国の女子プロSeon-Hwa Lee(サンファ・リー)のゆったりしたテンポを模倣し、左脇を締め挙げているのですが、そのホールのショットでこういうことがありました。その日、このホールのピンの位置はグリーン中央。21°のハイブリッドを引き抜いた私は、距離や方向よりもスムーズなテンポだけに集中してスウィングしました。いい手応え。見上げるとボールは真っ直ぐピンを目指しています。「うん、やった!」ピン傍か?と思われたボールはピンを飛び越え、グリーンを飛び越え、奥の斜面のラフへと飛んで行ってしまいました。ピンをオーヴァーすること約30ヤード。私の場合、3番ウッドでもなかなか出ない飛距離です。
凄い下りのグリーンに2オンさせ、3パットしてダボにしてしまいましたが、私は21°のピュアな当たりに満足していました。この日、ティー・ショットはどれもまずまずのよい当たりだったのですが、この21°のスウィートスポットの感触は特筆すべきものでした。それは同時に、私のコンパクト・スウィングとSeon-Hwa Lee流のテンポが正しいということを証明してくれていました。
以上は前座です。いよいよJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)による本論。
'Golf My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Fireside, 1974, $14.00)
「遠心力はゴルフの興味深い要素である。1972年にある人が次のように述べた、『パワフルなダウンスウィングにおいては、クラブが腰の高さに達する頃遠心力の作用でクラブヘッド・スピードは最大となる。ゴルファーはさらに加速することも、速度を落とすことも出来ない』と。
私は科学に通じた知人にこう云った、『それが真実だとしても、私はボールに向かって加速するフィーリングを間違いなく抱いている」と。しかし、彼は上の理論は正しいと云い、『もしスウィングの間中加速する感覚を抱かないのであれば、実際にはもっとパワーを蔵している可能性がある』と述べた。
Firestone C.C.のあるパー3で私が打ったショットが、彼の理論を説明してくれそうだ。2番アイアンと3番アイアンが選択肢だったが、私は2番アイアンを楽に振ることに決めた。クラブがボールに近づく頃、私は意図的に両手を“ソフト”にした。人生でこの時ほど素晴らしい2番アイアンを打ったことはない。ボールはグリーンをオーヴァーしてしまった。
私がインパクト前に両手を“ソフト”にした時、いいドライヴァー・ショットが頻出するのは同じ理由からと思われる。そういうショットの際の手の動きは、適切なテコの原理で生まれた遠心力の加速効果に対する、単なるリアクションに過ぎないと云うことも出来る。私の両手は単に遠心力に便乗しているに過ぎないというわけだ。これは興味深い可能性である。願わくば、それがもっとしばしば私の身に起ってほしいのだが」
タイトルの「臥虎藏龍」は映画'Crouching Tiger, Hidden Dragon'(邦題『グリーン・デスティニー』)の中国語原題。「臥した虎のようにおとなしく見えるが、龍のパワーを内に秘めている」という意味で、主人公二人の恋心と剣の奥義の両方にかかっているようです。遠心力利用のゴルフ・スウィングにも通じる言葉です。
(April 13, 2006、改訂June 02, 2015)
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。
「手袋(あるいは腕時計のバンド)に物差しを通し、前腕部に接するようにする。こうすると、手と手首を使わないパッティングのコツが瞬時に理解出来る。角度が変わり易い手に頼るのではなく、肩の筋肉の動きが腕と手を揺らすのだということをマスターすべし」
(April 18, 2006)
'A Woman's Own Golf Book'
by Barbara Puett and Jim Apfelbaum (St. Martin's Press, 1999, $21.95)
「テニス・プレイヤーが相手のサーヴを待つ姿勢、バスケット・ボール選手のディフェンスの時の姿勢、競泳の選手がスタートの合図を待つ姿勢、これらはアスレティックな構えと呼ばれる。ゴルフのポスチャーも全く同じであるべきだ。お尻を突き出し、背中は真っ直ぐ、顔を上げ、膝は曲げられていて、体重は真ん中、どの方向にも瞬発的に動くことが可能。 両膝はスウィングの間中曲げられていなくてはならない。膝を伸ばすと、クラブはボールの上を通過することになり、結果はトップである。 ボールの真下に蛇が横たわっていると想像しなさい。スウィングによって、そいつの頭を切り取らないと、蛇はあなたに飛びかかって噛み付いて来る。 バックスウィングの長さが距離を決定する。クラブが遠くまで後退したら、同じ距離だけ前方にも行かなくてはならない。これは子供のブランコ遊びと同じである。スウィングの最低点で急停止してはいけない。ブランコなら子供は地面に落っこちてしまう。 ピッチ・ショットの失敗の90%は、インパクトで減速するか、ボールの下の草を刈り取るのに失敗したからである。バックスウィングを早めると、脳はインパクトでスロー・ダウンすることを命じてしまう。反対でなくてはならない。正しい方法はゆっくりのバックスウィング、早めのフォロースルーだ。スムーズなスウィングを妨害するのは確信のなさ、不安、緊張などである。 緊張が高まるほどバックスウィングは早く、長くなる。バックスウィングを遅くすれば、自動的にダウンスウィングは早くなる。私たちが早過ぎるか長過ぎるバックスウィングを行うと、インパクトで遅くなるのは必然の成り行きとなる。 ・バックスウィングで(ターゲット・ラインの後ろの人と)握手する。 |
(April 20, 2006)
'Three speed for less three-putts'
by Rob Stock ('Golf TIPS,' Nov./ Dec. 2004)
「本当にパッティングに上達したければ、特別の目的意識を持って練習しなくてはならない。以下のドリルはグリーンの読み、集中心、スピード制御、正確さ…の四つの要素を含んだ、きわめて目的意識に富んだものである。
カップから1.2mのところに三個のボールを置く。
1) 最後の一転がりでカップインするようにパットする(遅いスピード)
2) カップの中心に飛び込むようにパットする(中くらいのスピード)
3) 向こうの壁に当たって、一旦飛び上がってからカップインするようにパット(早めのスピード)
つまり、ただカップに入ればいいというものではない。スピードをコントロールしなくてはならない。
一ヶ所から九回パットするか、三回続けて三つのスピードで成功するまで続ける。
これを2.5m、3.5m、4mの距離で試み、次いで別な方向からも繰り返す。この練習は長くて72パットで、25分以内に終わる筈である」
(April 20, 2006)
以下はインストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)がJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)から教わったtip。
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
「・右から左へ切れるパット
図Aのようにボールをスタンス後方(右足の踵の前あたり)に置く。このボール位置だと、フェースは自然にオープンな状態でボールと接触するので、ボールはカップの右サイドへと進む。それはカップの高い側なので、カップに転げ込む確率が高い。
・左から右へ切れるパット
図Bのようにボールを左足踵の前に置く。このボール位置だと、フェースは自然にクローズ目の状態でボールと接触し、ボールはカップの左サイドへと進む。これはカップの高い側なので、カップに転げ込む確率が高い。
私のコーチ経験で発見したことだが、右利きのゴルファーは左から右へ切れるパット(図のB)のブレイクを過小評価しがちである。これに対処するには、こうしたブレイクとパット結果を研究し、ブレイクの見積もりを増加させるべきだ。人によっては二倍に見積もる必要があるかも知れない。
どちらのブレイクの場合も、必ずプロ・サイド(カップの高い側)を目指すように」
上の説明が納得出来れば別に覚える必要もないでしょうが、「右から左へは右(足踵)」、「左から右へは左(足踵)」(どちらも最初の言葉と足が一緒)という記憶法があります。
やってみました。私のホームコースにも結構きつい勾配のグリーンがいくつかあります。私の場合、右利きですが「左から右へ切れるパット」に成功し、「右から左へ切れるパット」に失敗しました。後者の「右足の踵の前にボールを置く」というのが違和感があり(そんなとこへ置いたことがないので)、落ち着かなかったせいだと思われますが。
(April 23, 2006)
'Pace off your putts to develop feel'
by Peter Krause with Peter Morrice ('Golf Digest,' May 2006)
「スタート前に練習グリーンに行き、一つのカップを選び、そこから歩いて5歩、10歩、15歩の距離にボールを置く。一つの距離から何個かのボールを打つ。直ちにどの程度の強さで打つべきかの感覚が得られる。
コースでも歩数を測り、練習グリーンでの強さを思い出しながら打つ。この歩数計測システムによって距離コントロールがよくなることに驚くことだろう」
やってみました。上の歩数はそう多くないので、実際のラウンドで数えるにも時間はかかりません。他の人がパットの準備をしている間に数え終わることが出来ると思います。
私は一つのカップから数えて5歩、10歩、15歩の距離にティーを置き、先ず5歩に十個ほどのボールを打ち、そこからスタート地点のカップを狙うという方式にしました。ボールが全部戻ったら、今度は10歩のティーへ。この繰り返し。最初はいかに自分の距離感がいい加減かを思い知らされます。次第にボールが目標の周りに集まり出します。5歩ではかなりの数のボールがカップに入るようになりました。距離の練習なので、別に入らなくてもいいのですが。
(April 25, 2006)
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。
「あなたがバンカー脱出に悩んでいるなら、このtipを覚えておきなさい。《グリーンに砂を運べ》 バンカーの砂をグリーンに飛ばせるなら、それは正しいバンカー・ショットなのだ。バンカーに足を踏み入れたら、このtipだけ考えること」
(April 25, 2006)
「ディヴォットを取れ!」(tips_95.html)において「ディヴォットを取らないアイアン・ショットは、掬い打ちしていることを意味する」という理論を紹介しました。今回は「素人は無理してディヴォットを取らなくてよろしい」という理論です。
'Golf Illustrated'という雑誌は“アメリカで最も古いゴルフ雑誌”と自称しており、1914年以降のバックナンバーから、現在も立派に通用する理論を発掘・復刻しています。今回のは1991年の同誌に掲載されたHank Haney(ハンク・ヘイニィ、Tiger Woodsの現在のスウィング・コンサルタント)の記事。
'Divots: To take or not to take'
by Hank Haney ('Golf Illustrated,' March/ April, 2006)
「記憶すべき点は二つだ。1) 綺麗でしっかりとしたアイアン・ショットをするためにディヴォットを取る必要はないし、2) バックスピンを得ようとディヴォットを取る必要もない。
アマチュアはプロが盛大に芝を削るのを見て、自分たちもそうしなければいけないと思い込む。その結果、きわめて貧弱なショットを生む結果となる。
どのような場面でディヴォットを取る必要があるか?ボールが長い芝の中にある場合だ。こういう場合、ボールを出すためにはダウンブローの急角度のスウィングが必要である。ウッドやロング・アイアンよりも、ショート・アイアンがふさわしい。
フラットなスウィング・プレーンの人は浅いディヴォットを取るか、あるいは全然取らないものだ」
【語義】“ディヴォット”は「地面から削り取られて飛んだ芝の一片」で、地面に出来る穴は「ディヴォット・ホール」です。
【重要】自分が取ったディヴォットは、必ず拾い上げてディヴォット・ホールに戻して踏み固めましょう。
(April 27, 2006)
相変わらず「距離感をマスターする」練習をしています。これで気がついたことがあります。
パターのスウィート・スポットでボールを打った時の感触は、ドライヴァーやアイアンと同じように“手応えの無い手応え”とでも云うべきものです。手に衝撃を残しません。この感触が得られたストロークは、ほぼ間違いなくカップの距離に到達します。ところが、コツン!とか、ゴン!という衝撃が残った場合は覿面(てきめん)にショートします。
スウィート・スポットを外す原因はさまざまでしょう。ヘッドアップしてボールを見ていないとか、ボールではなくパター・ヘッドを見ているとか、手・腕が伸縮して掬い打ちしたりボールを撫でるように打ったりとか。これらはどれもパター・ヘッドの中心がボールの中心に戻ることを妨げます。
ボールのどこを打つかに集中するのが良さそうです。「赤道から上の部分を打て」とか「パターを低く保って赤道を打て」とか色々セオリーは分かれるようですが、いずれにしても狙った部分にパター・ヘッドを戻す努力はスウィート・スポットでボールを打つ結果につながります。
《スウィート・スポットで打たないと望んだ距離は得られない》ということは、結局、パッティングもドライヴァーやアイアンと同じことなんですね。
(April 30, 2006)
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