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公開:2008年
監督:Udayan Prasad
地域:ルイジアナ州
出演:William Hurt、Maria Bello、Kristen Stewart、Eddie Redmayne、桃井かおりほか
範疇:原作もの/日本映画のリメイク/出所した前科者と若い男女の道中/ロマンス
私の評価 : ☆
【Part 1】
山田洋次が1977年に製作し、日本の映画賞を多数受賞した『幸福の黄色いハンカチ』のリメイク。よく知られた映画だと思われるので、あらすじを書く手間を省きます。『幸福の黄色いハンカチ』のディテールは忘れてしまったのですが、『日本映画200』(キネマ旬報社刊、1982)の記事を元に、アメリカのライターPete Hamill(ピート・ハミル)の原作短編'Going Home'と今回の『イエロー・ハンカチーフ』の三つを比較してみることにします。
・男の職業
原作:?
日本版:炭坑勤務
米国版:メキシコ湾の油井の技術者
・女の職業
原作:主婦(三人の子持ち)
日本版:元スーパーのレジ係
米国版:ボート屋の主人【ボートと云っても結構大きい船】
・青年の職業
原作:青年は三人の大学生で、単にニューヨークからフロリダ行き長距離バスの同乗者に過ぎない。
日本版:ペンキ屋
米国版:元コンピュータ修理業
・旅の移動方法
原作:長距離バス
日本版:真っ赤なファミリア
米国版:空色のFord Galaxie(コンヴァーティブル)
・旅の出発点
原作:ニューヨーク
日本版:網走
米国版:ルイジアナ州のどこか
・旅の終点
原作:フロリダ
日本版:夕張
米国版:ニューオーリンズ近郊
・男の前科
原作:?
日本版:酔っぱらったチンピラを過失致死
米国版:夫婦喧嘩の仲裁に入った通行人を過失致死
・男の刑期
原作:4年
日本版:4年
米国版:6年
・娘の年齢
原作:娘は三人で大学生
日本版:20代
米国版:15歳
・青年がお腹を壊す原因
原作:誰もお腹は壊さない
日本版:毛ガニ
米国版:ザリガニ【これは南部で人気のある食べ物。カニよりはずっと安い】
・黄色いハンカチが掲げられる場所
原作:町の入り口の樫の木
日本版:鯉のぼりの柱
米国版:ボートの帆柱
なぜ脚本に山田洋次の名前がないのか疑問に思えるほど、山田洋次版にそっくりの筋立てです(エンド・タイトルでSpecial thanksとして名前が出ますが)。
William Hurt(ウィリアム・ハート)は高倉 健もどきに寡黙な男を過不足無く演じていますし、他の俳優陣もまあまあ。車を運転する若い男が貧相でモテそうもないのが玉に傷ですが、武田鉄矢にしてもモテそうもないトロい顔なのでいい勝負:-)。
問題は黄色いハンカチです。鯉のぼりの柱は高いので、掲げられたハンカチがわれわれの気分を昂揚させます。それに引き換え、ボートの帆柱はさほど高くないのでハンカチも大して迫力がありません。『日本映画200』の記事によれば、この物語の原作では「樫の木の枝という枝に何百枚というハンカチが風になびいている。まるで歓迎の幟(のぼり)のように…」とあるように、観客をあっと云わせるぐらい派手な掲揚でなくてはなりません。山田洋次は鯉のぼりの柱をうまく利用して効果を上げました。それを知っていると、帆柱に結びつけられたハンカチは非常にみすぼらしく、「なにこれ?」という感じです。
山田洋次版を上廻るアイデアの勝利という部分は、リメイクのアメリカ版には皆無です。
(July 01, 2011、改定 October 27, 2011)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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