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公開:2002
監督:Callie Khouri
地域:ルイジアナ州
出演:Sandra Bullock、Ellen Burstyn、Fionnula Flanagan、Ashley Judd、Maggie Smithほか
範疇:原作もの/母娘喧嘩/女友達四人の仲裁/友情/ドラマ
私の評価 :☆
【Part 1】
先ず、恥ずかしい話から始めないといけません。この映画が公開された当時、私は当市の劇場のロードショーで観たのですが、全然筋が飲み込めませんでした。英語の聴解能力の問題もありました。しかし、この映画自体にも問題があるのです。“ヤァヤァ・シスターズ”である四人の女性が大過去・過去・現在でどんどん俳優が入れ替わり、それが似ても似つかぬ女優によって演じられるため、誰が誰やらさっぱり解らず、こんがらかってしまって全く筋が追えなかったのでした。Ellen Burstyn=Ashley Juddの娘を演じるSandra Bullock(サンドラ・ブロック)=Allison Bertolinoの組み合わせは解りましたが。
現在 | 過去 | 大過去 |
---|---|---|
Ellen Burstyn(エレン・バースティン) | Ashley Judd(アシュリィ・ジャッド) | Caitlin Wachs |
Fionnula Flanagan(フィオヌラ・フラナガン) | Jacqueline McKenzie | Alyssa May Gold |
Maggie Smith(マギー・スミス) | Katy Selverstone | Mary Katherine Weiss |
Shirley Knight(シャーリー・ナイト) | Kiersten Warren | Nicki Tschudi |
大過去は10〜12歳ぐらいの少女時代ですから、無名の子役たちばかりで、これは誰にも見分けがつかないでしょう。「過去」(娘時代〜結婚適齢期)になると、Ashley Juddだけが目立ち、他の女優は誰がどの役やら。ま、これは大怪我ではありませんが。
大怪我は次のようなものです。映画の初っぱなは、夜、一軒の家の窓から四人の寝間着姿の少女が忍び出て、裏手の森へ入って行くシーンです。私はここでこの四人を姉妹だと思い込んでしまいました。背丈も違うし、第一、夜に一軒の家から出て来るなんて姉妹しか考えられないじゃないですか普通。それと"sisterhood"という言葉にも問題があります。「姉妹関係」という意味もあるのですが、「姉妹愛」という意味もあります。"brotherhood"ですと「兄弟分」という意味もあり、これなら他人なんですけどね。邦題の「ヤァヤァ・シスターズ」という表現も誤解の因です。"Ya-Ya Sisterhood"であって原題では"Ya-Ya Sisters"ではないのです。
というわけで、ちんぷんかんぷんだったものですから、当時の私のアメリカ映画紹介サイトでは「評価」は出来ず仕舞いでした。今回、DVDで英語字幕を表示させながら鑑賞し、やっと彼らが姉妹ではなく“仲良し”なだけであることが解りました。
1937年、ルイジアナ州。夜、一軒の家の窓から四人の寝間着姿の少女が忍び出て、裏手の森へ入って行く。彼らは姉妹のように見えるが姉妹ではないので要注意:-)。四人は手製のインディアン風の冠をかぶり、両方の掌にナイフで傷をつけ、血が滲み出た手を握り合って永遠に“姉妹”としての友情を誓いあう。彼らは自分たちを"Ya Ya"と呼び、焚き火の周りで「ヤアヤア!ヤアヤア!」と叫びながら踊る。
現在、ニューヨーク。Sandra Bullock(サンドラ・ブロック)はニューヨークに住む新進の劇作家。彼女の自伝的な戯曲の発表を前に、雑誌'Time'が彼女にインタヴューする。母親について語った言葉は記者に誤解され、異なるニュアンスで発表されてしまう。
ルイジアナ州に住む母親Ellen Burstynは'Time'に「子供をいびるひどい母親だった」と書かれている記事を読んでカンカンになる。彼女はその辺にあるSandra Bullockの写真を全部集めて燃やし、燃えカスをニューヨークに送る。Sandra Bullockも細切れにした劇場の招待券などを発送して対抗する。母親はSandra Bullockには遺産を遺さないという遺言の写しを送る。
Ellen Burstynのヤァヤァ・シスターズであるMaggie Smith(マギー・スミス)、Fionnula Flanagan(フィオヌラ・フラナガン)、Shirley Knight (シャーリィ・ナイト)の三人は、仲違いした母娘の仲を案じ、母娘を仲直りをさせる作戦を実行する。ニューヨークのレストランでSandra Bullockに睡眠薬を飲ませ、ルイジアナ州まで“誘拐”してしまうのだ。
ルイジアナの山荘風の小屋で目覚めたSandra Bullockは、'Divine Secrets of the Ya-Ya Sisterhood'(ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密)と題された分厚いアルバムを見つける。そこには少女時代の母を初めとする四人のヤァヤァ・シスターズの歴史が写っていた。三人の女性たちは代る代るEllen Burstynの若い時代からの思い出話を始める…。
こうして、ヤァヤァ・シスターズの昔話と、Sandra Bullockが記憶する若き日の母親Ashley Juddとの生活の回想、そして現在の老いた母親Ellen Burstynとその夫James Garner(ジェイムズ・ガーナー)、Sandra Bullockの婚約者などが入り乱れてお話が展開します。題名通り、女友達が努力するお話ではありますが、実は女友達が主人公ではなく、Ashley Judd=Ellen BurstynとSandra Bullock母娘が中心のお話です。
'Thelma & Louise'『テルマ&ルイーズ』(1991)の脚本を書いた女性の初監督ですが、破綻はありません。多少、窮屈な画面構成なのが難と云えば難ですが、でも水準以上です。
Sandra Bullockは、いつものように突っ張り女の演技では本領を発揮しますが、情緒的なシーンではあまりパッとしません。Sandra Bullockの母の若い時代を演じるAshley Juddは、若々しい美しさを見せた後、主婦として埋没して行く苛立ちと諦観を表現する演技が抜群。Ashley Juddが老けてEllen Burstynになるという推移は到底納得出来ないものの、Ellen Burstynも名演技を見せます。特に、夫の部屋のドアの前に立つシーンは、二回とも素晴らしい。庭で蝋燭に囲まれて踊るように祈る場面も凄い。
Maggie Smithは常に酸素ボンベを引っ張って歩くという、いささか滑稽な役をさり気なく演じています。しかし、彼女はイギリス生まれ、Fionnula Flanaganはアイルランド生まれだそうで、こういう役者達に南部訛りを喋らせるというのは無理があります。アメリカ生まれのShirley Knightは(ちと誇張されているとはいえ)正調南部訛りでした。
ルイジアナ州はフランス領でしたからフランス語がまだ幅を利かせています。映画の最初の方のガーデン・パーティでは、バンドの女性歌手がフランス語の歌を唄っていますが、これは偶然ではありません。また、後半でEllen Burstynがヤァヤァ・シスターズに「ベニエ(beignet)を作ったわ」と勧めますが、このベニエもフランス語の「揚げ物」から来ていて、ニュー・オーリンズ名物で今や日本に30店舗以上あるカフェ・デュモンドの粉砂糖をかけた四角いドーナツです。
最後のEllen Burstynの誕生パーティに雇われて来ている黒人のジャズ・バンドは、まるでニューオーリンズの葬送のバンドみたいです。誕生日と葬送の組み合わせとは破天荒ですが。
Ashley Juddが、母親を手荒く扱う父親の姿に震え上がるシーンがあります。この男は「妻よりも馬の方を可愛がる」と評されているレッドネックです。“レッドネック”は南部の無教養、人種差別、女性差別、粗暴な人間に対して冠せられる差別語。この父親はその典型として描かれています。昔はこういう男もごろごろしていたでしょうが、最近は少ないのではないでしょうか?人里離れた山の中に住む農夫ならいざ知らず、現在ここまで妻を蔑視するような人間の話を聞いたり目撃したことはありません。
なお、映画の撮影はノース・キャロライナ州で行なわれていて、ルイジアナ州の風景とは感じが違います。私はこういうインチキは好きじゃありません。
(August 17, 2007)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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