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Way Down South

(未)


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1939
監督:Bernard Vorhaus
地域:ルイジアナ州
出演:Bobby Breen、Alan Mowbray、Ralph Morgan、Steffi Duna、Clarence Museほか
範疇:サトウキビ農園/白人少年と黒人奴隷/ボーイソプラノ/歌/ドラマ

私の評価 :☆

【Part 1】

この映画は'Gone With the Wind'『風と共に去りぬ』と同じ年に封切られたというものの、白黒のB級映画風で他愛無い内容なのですが、画期的なことが一つあります。二人の共同脚本家のどちらも黒人なのです。一人は詩人・小説家・劇作家のLangston Hughes(ラングストン・ヒューズ、1902-1967)で、もう一人はこの映画の脇役の一人でもある俳優・エンターテイナーのClarence Muse(クラレンス・ミューズ)。どちらも大学出で、後に二人とも博士号を得ています。

映画の目玉は、当時人気のあったボーイソプラノの歌手Bobby Breen(ボビィ・ブリーン、12歳)を起用して、彼の歌を何曲かフィーチャーしていること。IMDbではこの映画を「ミュージカル」(音楽映画)と定義していますが、いわゆるブロードウェイ・ミュージカル風でもなく、音楽映画と呼べるほど歌の数も多くありません。日本に以前あった“歌謡映画”程度のものに過ぎません。

1854年(南北戦争以前)のルイジアナ州。Ralph Morgan(ラルフ・モーガン)がオーナーである綿花・サトウキビ農園は、代々黒人奴隷を売り払ったりせず、黒人たちの住宅にも金をかけて来たため、黒人たちもオーナーを敬い、家族仲良く暮らしていた。

農園の顧問弁護士Edwin Maxwell(エドウィン・マックスウェル)は、フランス人の女優の気を引き結婚を目論んでいて、この農園から甘い汁を吸おうとしているのだが、中々うまくコトが運ばない。

ある日の夕刻、奴隷の執事Clarence Museが御す馬車で、農園主Ralph Morganと息子のBobby Breenが歌いながらサトウキビ畑に赴く。そこでは刈り取りを終えた畑で黒人たちがサトウキビ祭りを催し、歌い踊っている。ドラムが高鳴り、歌声が高まり、馬車の馬が恐れ戦く。それをなだめようとした農園主Ralph Morganは馬に蹴られて死んでしまう。既に母を亡くしていたBobby Breenは孤児となってしまう。

早速顧問弁護士Edwin Maxwellが管財人となって乗り込んで来た。彼は農園を合理化するふりをして、故人の財産を着服しようとしている。彼の手下は奴隷を鞭打ったりするのでBobby Breenが抗議する。奴隷の執事Clarence Museが「この農園では決して奴隷を鞭打たなかった」と証言するが、弁護士にうるさがられて「お前はこの家に長く居過ぎたな」と売りに出す予言をされる。Clarence Museと、彼の仲良しであるBobby Breenは共にショックを受ける。

Bobby Breenは、黒人奴隷Clarence Museを女装させ白人の“伯母さん”に仕立て(顔はヴェールで隠す)、馬車を駆ってニューオーリンズへ逃げ出す。そこでClarence Museを蒸気船に乗せ、北部に逃がそうという計画だった。

二人は由緒あるフランス人経営のホテルに宿泊する。Clarence Museだけはルームサーヴィスで食事し、Bobby Breenだけ食堂で食べる。Bobby BreenはオーナーのAlan Mowbray(アラン・モーブレイ)夫妻と親しくなる。オーナーは「当ホテルの開館100年記念パーティに出てくれ」と招待する。パーティではBobby Breenが歌声で招待客一同を魅了する。そこへ顧問弁護士Edwin Maxwellもやって来る。彼も招待客の一人だったのだ。Bobby Breenは黒人Clarence Museに又もや女装させてすたこらと逃げ出すしかなかった…。

ホテル・オーナーを演じるAlan MowbrayはJohn Ford(ジョン・フォード)の'My Darling Clementine'『荒野の決闘』(1946)でシェイクスピア役者を演じた人。ここではフランス訛りで喋っています。

Bobby Breenは12歳なのにやや大人びた顔で、そう可愛い少年というわけではありません。となると、その歌声が人気なのでしょうが、この映画では声質の変わり目なのか歌う曲目のせいか「ウィーン少年合唱団」のような清らかな歌声ではありません。ソツなく綺麗にまとめているという風にしか聴けませんでした。黒人霊歌'Sometimes I feel like a motherless child'を大勢の黒人たちを前にして、白人の彼が歌うという趣向も、どうも主客転倒のような気がしました。

(March 09, 2007)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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