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公開:2005
監督:Jim Gillespie
地域:ルイジアナ州
出演:Agnes Bruckner、Jonathan Jackson、Laura Ramsey、D.J. Cotrona、Rick Cramerほか
範疇:ホラー/ヴードゥー/毒蛇/ゾンビー/殺戮
私の評価 :☆
【Part 1】
"venom"(ヴェノム)とは毒蛇・サソリ・蜂などが分泌する毒液のことです。
ルイジアナ州の田舎町。黒人の老婆が沼地の近くの墓地を掘り返す。彼女は金属のトランクを掘り出し、ヴードゥーの祈りを捧げる。
同じ町のファーストフード・レストラン。ウェイトレスのAgnes Bruckner(アグネス・ブルックナー)は客の青年Jonathan Jackson(ジョナサン・ジャクスン)と恋仲だったのだが、彼は彼女が州都バトン・ルージュの大学ではなくニューヨークの大学へ行くことに決めたことに立腹して、現在冷戦状態だった。ウェイトレス仲間の黒人娘Meagan Good(ミーガン・グッド)は、「二人の仲は元に戻るわ」と予言めいたことを云う。もう一人のウェイトレスLaura Ramsey(ローラ・ラムゼイ)は青年Jonathan Jacksonの友達D.J. Cotrona(D.J.コトロナ)と親しく付き合っている。
そこへ薄汚れた大型牽引トラックを運転した大男Rick Cramer(リック・クレイマー)がやって来る。大男で頬に大きな切り傷があり、鍵束をジャラつかせ、目つきの鋭い男である。このレストランの常連で注文は決まっているので、Agnes Brucknerは用意してあった食べ物を渡す。Rick Cramerは大型牽引トラックの運転台で食事をする。
店を閉めた後、Agnes Brucknerは自転車で帰宅する。大男Rick Cramerが経営するガソリン・スタンド兼自動車修理工場を通過する。橋にさしかかった時、車でつけて来た青年Jonathan Jacksonに呼び止められる。Jonathan Jacksonはこの町が好きで動きたくないのだが、Agnes Brucknerは町には未練がない。二人の考えはすれ違う。そこへ大型牽引トラックに乗ったRick Cramerがやって来て、「橋の上に車を止めるな、坊や」と云う。彼が去りかけた時、丁度墓地から戻って来た黒人の老婆が橋の上の二台の車をよけ切れず、車半分川の上にせり出して停止してしまう。
老婆は黒人ウェイトレスMeagan Goodの祖母だった。彼女は死に際に大男Rick Cramerに「トランクをお願い!トランクをお願い!」と繰り返す。Rick Cramerは彼女の願いを叶えようと不安定な車に入ってトランクに手を伸ばす。その瞬間、トランクが勝手に開き、毒蛇がうじゃうじゃ飛び出す。バランスを失った車は川に転落し、水没する車の中でRick Cramerは蛇の餌食となる。
その夜、川から引き揚げられたRick Cramerの遺体が死体置き場から消え、検屍官が行方不明になる。大型牽引トラックを運転してガソリン・スタンドに運んだ保安官助手も行方不明になる。
翌朝、青年Jonathan Jacksonは友達のD.J. Cotronaに大男Rick Cramerを助けられなかったことを詫びる。この町の誰もが知っていることだったが、D.J. CotronaはRick Cramerが酒に酔わせてレイプし妊娠させた女の息子だった。しかし、D.J. CotronaはRick Cramerを“レッドネック”と軽蔑し、父と認めたりしなかった。
その頃、Agnes Brucknerは父の墓参りに行き、大男Rick Cramerの大型牽引トラックが動いているのを見掛ける。
ファーストフード・レストランの常連の白人と黒人の娘二人がドライヴの途中、大男Rick Cramerのガソリン・スタンドにやって来る。白人娘は「タイアの空気圧が低いから、死んだ男の空気を貰うわ」と云い、黒人娘は「死んだ男のトイレを借りるわ」と云う。二人は大男Rick Cramerのゾンビーに殺される。
行方不明の人間が出ていることを知ったAgnes Brucknerは、死んだ黒人老婆の孫娘Meagan Goodが何か知っているのではないかと主張し、男女二人の友達とMeagan Goodの祖母の家に向う。そこはヴードウー関連の品々で埋め尽くされていたが、ひと際目立つのは大きな絵画で、白衣の黒人が両手に蛇数匹を握って立っており、その下に悪人の風体の身体が横たわっているものだった。そこへMeagan Goodが現われ、「祖母はヴードウーの司祭だった。その絵は、邪悪な男の魂から毒を抜き取り清める儀式を描いたもの」と説明する。Agnes Brucknerは「トランクの中身は?死んだRick Cramerはどうなったの?私たちはどうすればいいの?」とMeagan Goodを問いつめる…。
DVDを観終わってデータを調べ始めて気づいたのですが、この監督は大ヒット作'I Know What You Did Last Summer'『ラストサマー』(1997)の監督でもあるんですね。ホラー嫌いの私も『ラストサマー』は劇場で観ていました。恐かったですが、ラスト拍子抜け記憶があります。あの大ヒットでさぞかし注文が殺到したかと思いきや、この監督には大して注文が来なかったようです。ところが脚本家の方は逆に大忙し。つまり、監督の技量によるヒットとはみなされなかったことが分ります。
この映画は撮影・照明・編集などは文句がつけようのない出来で、この監督がそう捨てたものでもないことを示しています。うろ覚えですが、『ラストサマー』も同じような印象でした。どちらもこじんまりしているが、手抜きではない映画作りがされていると思います。なお、この映画の弱点についてはPart 2で触れます。
この映画はヴードウー・ネタなので場所はルイジアナ州ということになっており、一応美しいスワンプ(湿地帯)の映像も沢山出て来るのですが、それ以外は別に南部でなくてもいいようなお話です。
スワンプにじゃばじゃば入る芝居が必要だったのは三人の俳優ですが、ワニが出て来るかも知れない恐怖と、蛇や毒虫の恐怖に曝されて、かなり恐い撮影だったようです。お話よりも撮影の方がホラーだったという:-)。
俳優陣の中で私のお気に入りは、祖母のヴードウーを見様見真似で再現しようとする黒人娘Meagan Goodです。他の女優たちもそれぞれ魅力的なのですが、Meagan Goodの顔の造作はとりわけ美しい。顔の他の部品が美しいと、黒人特有の分厚い唇も美しく見えます。彼女の他の映画を観たくなるほどです。
白人と黒人の娘二人が大男Rick Cramerのガソリン・スタンドに立ち寄るのは、運転している白人の娘が「タイアの空気が少ないから」という理由です。ガソリンが少ないならまだしも、空気圧が少ないぐらいで娘っこがガソリン・スタンドに寄るものでしょうか?それも、前夜死んだ男のスタンドへ。普通は「気味が悪いから…」と町中へ戻るまで待つような気がします。こういう脚本の書き方で、映画の出来の想像がつくような気がします。
ところで、空気を入れようとする白人の娘は「空気はタダだから…」と云いますが、2005年8月末のハリケーン「カトリナ」来襲以来、当市のガソリンスタンドの空気や水はもうタダではなくなっています。全部有料。場所によって75セントとか1ドル25セントとか取られます。カトリナ以来、ガソリンの値段は下がらず、電気代その他は値上がりし、非常に暮らしにくくなってしまいました。
(August 09, 2007)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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