公開：1944
監督：Irving Rapper
地域：ミズーリ州、ミシシッピ州
出演：Fredric March、Alexis Smith、Donald Crisp、Alan Hale、C. Aubrey Smithほか
範疇：伝記もの／マーク・トウェイン／ロマンス／アドヴェンチャー

私の評価 ：☆

【Part 1】

『トム・ソーヤーの冒険』などで知られる作家Mark Twain（マーク・トウェイン）の一生を描いた伝記映画。全てを事実そのままと思い込まず、「映画に仕立て上げた伝記」と悟っていれば結構面白く観られます。

1835年、75年に一度見られるというハレー彗星が輝いた夜、Mark Twain（本名Samuel L. Clemens）は生れた。それが彼の冒険の始まりだった。ミズーリ州のミシシッピ川に面した100人程度の村で育ち、彼はトム・ソーヤーやハックルベリィ・フィンそのままの少年時代を送った。

働けるようになって兄の印刷屋に勤めるが、ある日記事を冗談に変えてしまい、大騒動になる。彼は母に置き手紙し、家を出る。彼は憧れの蒸気船の操舵手として雇って貰う。当時、水深の浅い難所を通る時、数人が舳先から重りを付けた紐を投げ入れて水深を測った。彼等が"Mark twain! Safe Water!"（水深目印：二尋。安全水域！）と怒鳴るとホッと一息だった。【二尋は約3m】

立派な水先案内人となったMark Twainは、ある日船の上でスリの被害に遭った青年を助ける。青年が美しい妹の写真を見せ、Mark Twainはその娘に恋い焦がれる。その夜、船を操りながら青年に川の説明をする。他の客たちの冷やかしにムッとなったMark Twainは船の明りを全部消し、暗闇の中を航行して見せる。

青年の部屋から娘の写真を盗み、彼女との結婚を決意する。しかし、貧しい水先案内人では裕福な娘との結婚は考えられない。彼は船を下り、ゴールド・ラッシュの西部で金探しを始める。目の前で起った銃による殺人事件がショックで、彼は新聞社でニュース原稿を書く。

金を探す荒くれ男たちの楽しみは博奕だった。その一つに蛙のジャンプ競争というのがあった。色んな州から来たチャンピン蛙でトーナメントを行なうもの。Mark Twainも一匹の蝦蟇蛙（がまがえる）を掴まえ、ミズーリ代表として参加し、見事優勝する。このリポートをThe New York Timesに送ることにした。ペン・ネームが必要だった。船で聞いた"Mark twain! Safe water!"という言葉を思い出し、Mark Twainと記した。

南北戦争が始まり、暗い世の中だったため、Mark Twainの蛙の記事は絶賛された。エージェントのDonald Crisp（ドナルド・クリスプ）は長い間作者のMark Twainを探していたが、やっと彼を探し当てる。早速、大劇場で講演会を催すと超満員の盛況だった。最初、おずおずと話し始めたMark Twainだったが、客席に例の青年とその美人の妹Alexis Smith（アレクシス・スミス）を見出し、次第に弁舌爽やかになり、しかもユーモラスな内容で聴衆を笑いの渦に巻き込む。そのまま、彼女の家に求婚に行くのだが…。

主役のFredric March（フレドリック・マーチ）がどんどん本物のMark Twainに似て来るのが見もの。白髪、ひげもじゃになると、モデルに全くそっくりです。

エンタテインメント作品ではありますが、Mark Twainの不幸な時期についても過不足なく描いています。

最初の子供が生まれますが、その子は盲目であることが分ります。Mark Twainは「この子にミシシッピ川を見せたかったのに…」と落胆しますが、奥さんが「世界中の子供たちにミシシッピを見せて上げなさい。本を書くのよ。本になればこの子に読んで上げられるわ」こうして生れたのが『トム・ソーヤーの冒険』だったのです。

冒険ものとも云えるし、一部夫婦愛ものとも云え、見せる工夫は十分なされています。退屈はしません。

(March 26, 2002)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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