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The Toast of New Orleans

(未)


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1950
監督:Norman Taurog
地域:ルイジアナ州ニューオーリンズ
出演:Kathryn Grayson、Mario Lanza、David Niven、J. Carrol Naish、Rita Morenoほか
範疇:音楽もの/オペラ/漁師からオペラ歌手へ転身/紳士修業/ロマンス

私の評価 :☆1/2

【Part 1】

[the South]

伝説的テナー歌手Mario Lanza(マリオ・ランツァ)のデビュー映画。彼は天才カルーソーが亡くなった年に生まれたので、「カルーソーの生まれ変わり」と呼ばれました。

ルイジアナ州のどこかのバイユー(湿地帯)の漁村。年に一度のお祭りが行なわれようとしていた。そこへオペラの音楽監督兼プロモーターのDavid Niven(デイヴィッド・ニーヴン)に連れられて、有名なコロラトゥーラ・ソプラノ歌手Kathryn Grayson(キャサリン・グレイスン)がやってくる。エビ漁師Mario Lanzaは彼女に一目惚れしてしまう。

歌と踊りの会場で、村長はKathryn Graysonに歌をリクエストする。Mario Lanzaは彼女が美しいばかりでなく、玉を転がすような美声と見事な歌唱力の持ち主であることを知り、ますます惚れ込む。Kathryn Graysonが歌っている最中に、Mario Lanzaは舞台に進み出て彼女に唱和する。最初は彼の不躾な振る舞いに呆れた彼女だったが、彼の素晴らしい歌いっぷりに納得して二重唱を始める。David Nivenも若者の歌声に魅了され「New Orleansへ来てオペラで金持ちにならないか?」とスカウトするが、Mario Lanzaは「このバイユーを離れる気はない」と応える。

嵐の夜、Mario Lanzaと叔父のJ. Carrol Naish(J. キャロル・ナイシュ)が船で沖に出て、暴風雨で船を失う。新たな船を買うには金が要る。オペラで金持ちになって船を買おうと、Mario Lanzaと叔父はニューオーリンズへやって来る。指揮者のRichard Hageman(リチャード・ヘイグマン)によるオーディションでは、Mario Lanzaの歌声がガラスのシャンデリアを震わせ、並みいる人々をびっくりさせる。

David Nivenは指揮者Richard HagemanにMario Lanzaの声楽レッスンを依頼し、同時にMario Lanzaに紳士としての行儀作法を仕込む。

David NivenはKathryn Graysonに求婚しているのだが、なかなかOKが貰えない。彼はKathryn GraysonとMario Lanzaの組み合わせで全米とヨーロッパのツァーを企画する。

Mario Lanzaは急速にオペラ歌唱に習熟し、同時に社交界に出ても恥ずかしくないマナーを身に付ける。オペラハウスの理事たちの承認も得られ、ついにMario Lanzaは『蝶々夫人』のピンカートン役でデビューすることになる。Kathryn Graysonとピクニックに行った折り、彼は彼女にキスし、ほっぺたを叩かれる。意気消沈した彼のところへ、漁村から彼に惚れ込んでいるRita Moreno(リタ・モレノ)と男友達James Mitchell(ジェイムズ・ミッチェル)がやって来るが、上品で紳士的になったMario Lanzaに呆れ「あんたは男じゃない」と罵る。Mario Lanzaも故郷のバイユーに戻ろうかという気になる…。

Mario Lanzaは映画初出演とは思えないほど堂々としており、演技もうまくこなしていて、安心して観ていられます。その後輩出したテナー歌手全ての目標となっただけあって、その声の美しさと声量、そして出せる音の幅は大したものです。

相手役Kathryn Graysonは、大柄な(太った)ソプラノ歌手が多い中で、小柄で華奢な珍しい体型をしていますが、その高音部の声域は信じ難いほど。結局、太ったソプラノ歌手というのは、声のために太っているわけではなく、単に不養生なだけだということが分ります。Kathryn Graysonは、この映画の翌年'Show Boat'に主演します。

Sammy Cahn(サミィ・カーン)作詞、Nicholas Brodszky(ニコラス・ブロズキィ)作曲で、Kathryn GraysonとMario Lanza二人によって歌われるテーマ曲'Be My Love'は、1951年度アカデミー賞のオリジナル歌曲部門にノミネートされました。

同じくKathryn GraysonとMario Lanzaによる『蝶々夫人』(Giacomo Puccini)の「愛の二重唱」も素晴らしい。オペラ全曲が観たくなるほどです。

他に歌われるのは、
・Georges Bizet『カルメン』より「花の歌」
・Giacomo Meyerbeer 『アフリカの女』より「おお、海より現われた楽園」
・Ambroise Thomas『ミニョン』より「 私はティターニア」
・Giuseppe Verdi 『椿姫』より「乾杯の歌」
・Friedrich von Flotow 『マルタ』より「夢のごとく」

Rita Morenoは、「これがあのRita Moreno?」と驚くような若さ。'West Side Story'(1961)の年増姐御しか知らないとびっくりします。

脚本のうまさですが、Mario Lanzaの社交的優雅さを身に付ける訓練の成果が傑作。紳士淑女の前で儀礼的に立ったり座ったり、フランス語を使い、作法通りの応答を無意味に展開するナンセンスが可笑しい。

バイユーのピクニックでMario LanzaとKathryn Graysonがボートに乗りますが、「ここで鰐が出て来たら面白いのに」と思っちゃいました。出て来てもおかしくない環境なのですが、不謹慎ですね、やっぱり。

豪華な色彩(コスチュームなど)とは裏腹に、こじんまりした映画の出来映えは☆一つだと思いますが、Mario Lanzaの喉に星1/2を進呈したいと思います。

(December 31, 2006)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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