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Tightrope

タイトロープ


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1984
監督:Richard Tuggle
地域:ルイジアナ州ニューオーリンズ
出演:Clint Eastwood、Geneviève Bujold、Dan Hedaya、Alison Eastwood、Marco St. Johnほか
範疇:刑事もの/連続女性殺人事件/サスペンス/ロマンス

私の評価 :☆

【Part 1】

ルイジアナ州ニューオーリンズ。Clint Eastwood(クリント・イーストウッド)は離婚し、12歳と9歳ぐらいの娘と暮らしている警部。最近この町では若い女性が異常な状況で次々と殺されていた。非番のこの日、フットボールの好きな娘たちと路上でボール遊びをし、夜はスーパードームへセインツの試合を観に行く予定だった。しかし、またも女性が殺されたという電話が入り、ふくれ面する娘たちを残して出勤せねばならなかった。

女性はベッドの上で裸で殺されていた。性器とアナルの両方を犯されていた。犯人の指紋はないが、陰毛の分析によって黒い髪の40代の男性で血液型はO型であることが判る。これは以前の事件と同じであった。

レイプ対策センターの代表Geneviève Bujold(ジュヌヴィエーヴ・ビヨルド)がClint Eastwoodを訪ねて来て、犯人の早期逮捕を要請する。

Clint Eastwoodは死んだ女性について聞き込みを始める。被害者の友人の女性は「変態には警官が多いわよ」などと云いながらClint Eastwoodを誘惑し、彼は期待に応える。彼はネクタイを部屋に忘れて出て来てしまう。

若い女性が殺されてJacuzzi(ジャクージ。ジェット噴射の気泡を楽しむ風呂)に沈んでいた。その女性の腰にある入れ墨を頼りに、入れ墨師を探す。若いセクシーな女性がビキニ姿でアイス・キャンデーを舐めながら入れ墨をして貰っている。

Clint Eastwoodは女性同士が油でねとねとになりながらレスリングをするショーを観に行く。舞台の上にいる一人は入れ墨をして貰っていた女性だった。Clint Eastwoodは彼女に「女性に手錠をはめさせてセックスするのが好きな男を知らないか?」と聞き、Jacuzziで殺された女性の客にそういう男がいたことを知る。Clint Eastwoodは自分も彼女に手錠をはめてセックスする。

レイプ対策センターのGeneviève Bujoldが市長に直か談判したせいで、警察署長に「早く解決しろ」と圧力がかかる。署長が馘になれば、Clint Eastwoodも只では済まない。Clint EastwoodはGeneviève Bujoldに会いに行く。皮肉っぽいやりとりをしながらも、二人は打ち解けて行く。

Clint Eastwoodは娼婦相手に聞き込みを続けるが、聞き込み相手とのセックスも欠かさない(独身だからいいのである)。翌日、彼がセックスした娼婦が、死体となってミシシッピ川に浮かぶ。

Clint Eastwoodはフィットネス・センターでGeneviève Bujoldと出会い、観光船上の生牡蠣のディナーに誘う(生牡蠣を生姜、ニンニク、ケチャップなどを付けて食べるのはニューオーリンズ名物で、しかも安い)。次第に二人は互いに惹かれ合って行く。

Clint Eastwood宛に犯人から「また殺す」と殺人の予告が入り、アイスキャンデーの棒が入っていた。入れ墨師のところや自分の部屋でもアイスキャンデーを舐めていた女性が殺されて、現場にはClint Eastwoodのネクタイが残されていた…。

サンフランシスコの刑事'Dirty Harry'『ダーティ・ハリー』(1972)は、"dirty"と云われてもせいぜい違法捜査をするぐらいで結構潔癖でした。上に書いたように、このニューオーリンズの警部の方がずっと"dirty"です。脚本・監督のRichard Tuggle(リチャード・タグル)は「'Dirty Harry'に出来なかったことをやらそう」と決意して脚本を書いたようです。徹底的に"dirty"になれるのはニューオーリンズであろうという“偏見”でこの土地を選んだような気がします。

"tightrope"とは綱渡りのためにピンと張ったロープで、「危険な状況」という意味もあるそうです。映画の中で、女性心理学者か犯罪学者かがClint Eastwoodから「どういう奴が手錠なんか使ってセックスするのか?」と聞かれて、「神の声を聞いたか、怒り・欲求不満・復讐などが理由でしょうね。誰しも暗い面を持っているものだけど、それをコントロール出来る人間と出来ない者がいるの。私たちはその二者の間で綱渡りしてるようなものよ」と云います。これが題名の由来です。ありがとうございます、脚本家殿。

この脚本家が説明好きであることは、映画に三回登場する鑑識課の男の台詞にも表れています。彼がどのように現場の遺留品を扱い、どのように分析し、どのように結論を導き出したか、克明に説明されるのです。ここまで鑑識の作業にスポットが当てられた映画も珍しいでしょう。私は興味深く拝聴しました。

映画の中の二人の娘のうち長女の方はClint Eastwoodの実の娘Alison Eastwood(アリスン・イーストウッド)です。一回目の映画出演では名前もクレディットされないチョイ役だったようですが、二本目のこの映画では堂々四番目に名前が出るまでに出世。ま、親父がプロデューサーの一人でもあるので出来たことでしょうけど。ちなみに彼女は成長して、現在数多くの映画に出演しています。

次女役の少女はClint Eastwoodと縁戚関係にないせいか、「パパ、"hard-on"(勃起)ってどういうこと?」などという台詞を云わされます。この台詞がこの映画を象徴しています。"dirty"ですよね。

(February 16, 2007)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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