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Wild Things

『ワイルドシングス』


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1998
監督:John McNaughton
地域:フロリダ州
出演:Matt Dillon、Kevin Bacon、Neve Campbell、Theresa Russell、Denise Richardsほか
範疇:高校教師と女生徒/レイプ?/冤罪/裁判/犯罪/スリラー

私の評価 :☆1/2

【Part 1】

この映画を手短かに紹介する場合、「高校教師が名士の娘である女生徒の誘惑を無視したところ、『レイプされた』と申し立てられ、学校は停職処分、妻からは離縁され、裁判で身の証しを立てねばならなくなる」などという風になりそうですが、どうしてどうして、とてもこの映画を一口で紹介することは出来ません。そんな簡単な物語でもなく、鬱屈した映画でもありません。手品で、あらゆるところから(見物人の身体からも)コインを取り出したり消したりする技がありますが、あれを延々見せられている感じ。観客の鼻面を引き廻して手品師(脚本家)が最高に楽しんでいるという映画。

フロリダ州南部。Matt Dillon(マット・ディロン)は高校の生徒指導教官で、すれ違う女生徒たちがため息をつくようなハンサム。彼はジープを乗り廻し、広大な湿原'Everglades'(エヴァーグレイズ)国立公園でエアボート(大きな回転翼で推進するボート)を操縦したり、海でヨットに乗ったりするのが趣味。

女子生徒の一人Denise Richards(デニーズ・リチャーズ)が、女友達と二人でMatt Dillonに洗車のバイトを申し出る。洗車が終ると、Denise Richardsは友達を先に帰し、一人Matt Dillonの家の中に入って行く。

次のシーンでDenise Richardsはふくれ面をしながら家から出て来て、道路をトコトコと走り去る。彼女はこの地域一帯の土地成金の娘で、父親は数年前に自殺し、性的に放縦な母親Theresa Russell(テレサ・ラッセル)と二人で暮らしていた。Denise Richardsは「Matt Dillonに犯された」と母親に告げる。Theresa Russellは過去にMatt Dillonとも関係していたため、娘を犯されたと知って逆上する。

母娘は顧問弁護士のRobert Wagner(ロバート・ワグナー)と共に警察へ行き、Matt Dillonを告訴する。巡査部長Kevin Bacon(ケヴィン・ベイコン)と女性刑事Daphne Rubin-Vega(ダフニ・ルービン=ヴェガ)が事件を担当することになる。Denise Richardsの証言を聞いたDaphne Rubin-Vegaは、「あれは罠よ。あの娘に嘘発見器をつけてもう一度聞くべきだわ」と主張するが、有力者一家の圧力を恐れるKevin Baconは「そんなことは出来ない」と云う。地方検事は「直ちに調査を開始せよ」と命ずる。

Matt Dillonには弁護士が必要だった。この辺一帯で有力者のTheresa Russellに楯突く弁護士がいる筈もなく、町外れの無名の弁護士Bill Murray(ビル・マレイ)を雇うことにする。Matt Dillonの妻はRobert Wagnerの娘だったので、Robert Wagnerは二人の仲を裂くことにし、妻もそれに従うことになる。

刑事たちは見世物の鰐園の主の娘Neve Campbell(ネーヴ・キャンベル)を探す。彼女は「一年前にMatt Dillonに犯された」と云い、地方検事は二人の娘の証言で証拠は充分と判断する。

裁判。先ず、Denise Richardsが「Matt Dillonに犯された」と証言。続いてNeve Campbellも同じ証言をするが、Bill Murrayの反対尋問で一波乱起る。偽証罪による刑務所行きをほのめかされた彼女は、証言を翻し、全てはDenise Richardsが仕組んだ芝居であるとバラす。怒り狂ったDenise RichardsはNeve Campbellに物をぶつけ、法廷はしっちゃかめっちゃかになる。

数日後、母親Theresa Russellと弁護士Robert Wagnerは告訴を取り下げ、Matt Dillonに$800万ドル(9億数千万円)で示談を申し出る。

Matt Dillonが高校を去る日、Denise Richardsが彼に悪態をつく、「あたしの祖父が遺してくれた信託財産は、母が死ぬまで一銭だって使えない。母はその信託財産から、あんたにやる$800万ドルを使ってしまった」と…。

Kevin Baconが筆頭プロデューサーです。彼が惚れ込んだ脚本だけあって生半可なものではありません。只の“不良少女もの”ではないのです。

Robert Wagnerはあまり芝居のしどころがありませんが、Bill Murrayは有名弁護士(Robert Wagner)に一泡吹かせたいと意気込む冴えない弁護士を真面目に演じています。いつもの喜劇調ではなく、ちゃんと周囲の演技陣にとけ込んでいます。

Denise Richardsが学校のプールで泳いでいて、そのままKevin Baconと話すシーンがあります。ここではカメラのスピード・コントロラーを使って、泳ぐ部分は48齣/秒のスローモーション、会話の部分は通常の24齣/秒へと変化させているそうです。私が嘗て仕事で使っていた16mmカメラのアリフレックスなども、やりたければそういうことが出来ましたが、絞りを同期させるのが難しい(48齣で開けておいた絞りを、24齣になるまでにスムーズに手動で絞り込まなくてはならない)。器械を使っているこの映画の場合はうまく同期しています。

この映画は、"The End"と出た後の方が重要という珍しい映画です。数々の説明・種明かしがなされます。よく、クレディット・タイトルと平行して物語の「その後」がスティル写真等で暗示される場合がありますが、この映画では観客が知らなかった過去の出来事が出て来て、ジグソー・パズルの最後の断片のいくつかが嵌まるようになっています。

Part 2ではネタばらしと詳細な分析を行なう予定ですので、この映画を未見の方は絶対に読まないで下さい。私の文章を読むより、この映画を観る方が面白いです。この映画の成功は、同じ題名の2と3が作られていることで明白でしょう。

(March 10, 2007)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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