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St. Louis Blues

『セントルイス・ブルース』


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1958
監督:Allen Reisner
地域:テネシー州
出演:Nat 'King' Cole、Eartha Kitt、Cab Calloway、Ella Fitzgerald、Mahalia Jackson、Juano Hernandezほか
範疇:ジャズ/作曲家W.C. ハンディの伝記/父子の確執/失意と名声/ドラマ

私の評価 :☆1/2

【Part 1】

“ブルースの父”と呼ばれたW. C. Handy(W. C. ハンディ、1873〜1953)のドラマ化した伝記を、大物歌手Nat 'King' Cole(ナット・キング・コール)が主演した音楽映画。Eartha Kitt(アーサ・キット)、Mahalia Jackson(マハリア・ジャクスン)、Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)などの歌唱も楽しめます。

19世紀末のテネシー州メンフィス。少年時代のW. C. Handyが、労働者たちのワークソングに合わせてコルネット(トランペットの短い形で、音色がトランペットよりあたたかい)を吹いている。Pearl Bailey(パール・ベイリィ)演ずる少年の母代わりの叔母が探しに来て、コルネットを彼女のバッグに隠し、教会へ引っ張って行く。少年の父はその教会の牧師で、少年は聖歌隊のためにオルガンを弾く役目であった。聖歌隊にはMahalia Jacksonがいる。敬虔な賛美歌が、いつの間にかジャズのリズムに変わる。少年のオルガンのリードのせいだった。牧師はかんかんになって怒り、「この世には二種類の音楽がある。神を讃えるものと悪魔を讃えるものだ。あんたらは聖なる歌を邪悪なものに変えてしまった」と云う。

家に帰る途中、父は少年に「お前は大学へ行くんだ」と期待を述べる。叔母のバッグからコルネットが落ち、「お小遣いを貯めて買ったんだ」という少年の涙ながらの嘆願にもかかわらず、父はコルネットを道路に投げ捨て、荷馬車に轢かせてしまう。

14〜15年後、W. C. Handyは大学から戻って父の教会のオルガニストになっている。彼がバーで隠れてコルネットを吹いていると、男がやって来て「シェリフ候補者の選挙キャンペーン・ソングを作曲してくれ」と頼む。W. C. Handyはすぐ曲を作り、バンド仲間を集めて通りを演奏して歩く。それを目にした彼の恋人Ruby Dee(ルビー・ディー)は憤慨する。W. C. Handyと彼のバンドは閑古鳥が鳴いているナイト・クラブの前で演奏し、そこの花形歌手Eartha Kittに認められ、雇われることになる。

歌手Eartha KittはW. C. Handyの才能を高く評価し、「あなたはいつか有名になるわ」と予言し、彼の作る歌を心を込めて唄う。彼が彼女を見る目が変わったことに気づいたEartha Kittは「あたしに惚れちゃ駄目。あたしはあなたに相応しくない女。あなたが曲を作り、あたしが唄う、そういう関係でいましょ。あなたは音楽を愛するほど、人を愛せないわ」と云う。

彼の作曲したブルースの版権、録音権が(金額は少ないが)少しずつ売れ出す。ナイト・クラブも客が入るようになる。しかし、掃除婦Mahalia Jacksonが牧師の息子がナイト・クラブでピアノを弾いている姿を見つけ、牧師に告げ口する。父は「教師になれ。いやなら家を出て行け」と宣告する。W. C. Handyは「おれがやってる音楽はおれたち黒人の音楽だ。白人の音楽じゃない。それはおれが持って生まれたものなんだ」と云うが、父は聞き入れない。

アパート暮らしを始めたW. C. Handyだったが、何故か視力が落ち盲目となってしまう。彼は「これは邪悪な音楽を志向したことへの神の罰か」と考える。恋人Ruby Deeは落ち込んでいる彼に賛美歌を作曲させる。父は会衆に向かって、「息子W. C. Handyが作曲した賛美歌です」と誇らしげにアナウンスする。しばらくすると、奇跡的に視力が回復する。彼は'St. Louis Blues'(セントルイス・ブルース)を作り始める。叔母さんがそれを気に入り、唄い踊る。しかし、彼の頭の中に父の怒りの言葉が甦り、彼は教会に駆け込んでさめざめと泣く。彼は家を出る決意をする…。

後半はW. C. Handyの成功が描かれ、ニューヨーク・フィルハーモニー・オーケストラが'St. Louis Blues'を演奏し、指揮者が息子の業績を絶賛するのを聞いた父が感動し、ついに息子と和解するまでが描かれます。いくつか事実に即している点はあるものの、映画全体はかなり脚色されています。それはpart 2にて。

とにかく、Nat 'King' Cole(39歳)やEartha Kitt(31歳)、Mahalia Jackson(47歳)、Ella Fitzgeraldら(41歳)など最盛期の歌手たちの歌がふんだんに楽しめる映画として、ジャズ・ファンには素晴らしい贈り物です。Ella Fitzgeraldは唄うだけで芝居はしません。Mahalia Jacksonは唄だけでなく、多少演技も披露します。

この当時のNat 'King' Coleは目つきが鋭く、表情も硬い感じです。北島三郎や五木ひろしなんかも売れる前はハングリーな野良犬のような風貌でしたが、次第に柔和な落ち着いた感じになりました。あれに似ているような気がします。Nat 'King' Coleは数々の映画に出演していますが、主演はこれ一本だけ。後は全て脇役かゲスト出演です。なお、彼は奇しくもW. C. Handyと同じアラバマ州の生まれですから、この役を得たことは誇らしかったことでしょう。

Eartha Kittを私は子供の頃から知っていましたが、それは流行歌『ウスクダラ』("Uskudar'a gider iken aldi da bir yagmur"という文句で、日本では江利チエミが唄った)や『証城寺の狸囃子』を英語にしたコミック・ソング'Sho-Jo-Ji' (The Hungry Raccoon)の歌手としてであり、正当なジャズ歌手とは認識していませんでした。ですから、彼女がこの映画で大物ジャズ歌手の役を務めているのでびっくりしました。美人とは云えませんが、若さ(この当時31歳)と色気で大役をこなしています。台詞がかなり早口なのが特徴。彼女は1960年代のTVシリーズ'Batman'でCatwoman(キャットウーマン)を演じたそうです。顔つきからして、これは似合っていたことでしょう。

脇を固める叔母役のPearl Bailey、父親役のJuano Hernandez(フアノ・ヘルナンデス)、したたかなクラブ・オーナーを演じるCab Calloway(キャブ・キャロウェイ)らも堅実な演技でNat 'King' Coleをサポートしています。

短く(105分)、あまりスケールも大きくない映画ですが、ジャズ・ファンにはお薦めです。私はCATVのTurner Classic Moviesの放送で観たのですが、白黒映像もしっとりとして、音声も鮮明で満足すべきものでした。これをソースとしたDVDがリリースされることを期待しましょう。

(April 02, 2007)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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