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Sparrows

『雀』

[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1926年
監督:William Beaudine
地域:州不明
出演:Mary Pickford、Roy Stewart、Mary Louise Miller、Gustav von Seyffertitz、Charlotte Mineauほか
範疇:原作もの/無声映画/スワンプ(湿地帯)/子供を閉じ込めてこき使う奴隷農園/いじめ/誘拐/脱走/P>

私の評価 : ☆

【Part 1】

南部のあるところに、町の方角は高い塀で囲い、裏手は底なし沼という要塞のような農家があった。悪魔のような主人Gustav von Seyffertitz(グスタフ・フォン・サイファティッツ)とその妻、および妻の連れ子の三人が、孤児や攫われて来た子供たち数人をこき使っている農園である。

孤児たちの中で最年長の少女Mary Pickford(メアリ・ピックフォード)は、主人の留守の際に凧を揚げて助けを呼ぼうとするが、流された凧は高い木に引っ掛かってしまって町まで飛んで行かない。

主人Gustav von Seyffertitzが町から戻って来る。預かっている赤ん坊の母親が小切手を送って来なかったので不機嫌である。彼は子供たちを怒鳴りつけて働かせる。赤ん坊が泣き出す。踊りながら赤ん坊をあやすMary Pickfordに、主人の妻の連れ子が何かぶつける。Mary Pickfordは投げ返して主人の妻の連れ子を泣かせる。

近所の農家の男が豚を買いに来る。男は豚だけでなく、たまたま見掛けた男の子をジャガイモの収穫に使うため(豚の半分の値段で)買って行く。

Mary Pickfordが子供たちに食べさせるため、いくつかのジャガイモを納屋からくすねたのがバレる。主人の妻は子供たち全員に夕食抜きの罰を云い渡す。Mary Pickfordは「私はいいけど、他の子供たちには食べさせて」と頼むが聞き入れられない。Mary Pickfordは、ゴム手袋で乳首を作り赤ん坊にミルクを飲まそうとするが、病気の赤ん坊は飲もうとしない。

主人Gustav von Seyffertitzの仲間のギャングたちが、大富豪の乳児(女の子)を誘拐し、農園に連れて来る。主人はMary Pickfordに女の子の世話を命ずる。Mary Pickfordは女の子をハンモックに寝かせ、病気の赤ん坊を抱いて寝入ってしまう。朝、Mary Pickfordはイエス・キリストの幻影を見る。イエスは息を引き取った赤ん坊を連れて去って行く。

主人Gustav von Seyffertitzは、警察の捜査網が狭まっていること、誘拐犯は極刑に処せられるということを新聞で知り、ビビる。彼は妻に「今夜、あの女の子を底なし沼に沈めて証拠を隠滅してしまおう」と云う。それを聞いた妻の連れ子は、継父より先に面白半分に女の子を底なし沼に沈めようとし、Mary Pickfordと揉み合いになる。

Mary Pickfordは女の子を抱いて納屋の二階に逃げる。主人は梯子を外してMary Pickfordが逃げられないようにし、その夜二人とも底なし沼に沈めることにする。

大富豪は女の子の身代金を払った。誘拐犯たちは捜査網を潜り抜けて農園にやって来る。警察は豚と共に買われて行った男の子の証言から奴隷農園の存在を知り、警官隊を出動させる。そんなことを知らないMary Pickfordは、子供たち全員を率いて裏手のスワンプ(湿地)に脱出する。主人Gustav von Seyffertitzはその報を聞いてほくそ笑んだ。子供たちが向かった方向には鰐が沢山棲息しており、全員助からない。誘拐の証拠は無くなって自分は安全だと思ったのだ…。

IMDbのデータが正しければこの映画の撮影当時Mary Pickfordは34歳だったことになります。少女を演じているにしてはちと老けてるなと思って観ていましたが、まさか34歳とは思いませんでした。無声喜劇によくあるちょこまかとした動きをするので騙されたようです。私には彼女はさほど美しいとは思えませんが、200本以上の映画に出演し、彼女自身の映画製作会社を持つほど人気がある女優でした。特に"little Mary"(少女のMary)として大衆に好かれたようです。30歳を越えた時点で、Mary Pickfordは成人女性を演じ始めたのですが、興行成績はよくありません。で、彼女はファンたちに「どんな役柄の私が見たいですか?」と問いかけ「"little Mary"が見たい!」という圧倒的なリアクションを得ます。そこで彼女は"little Mary"を復活させ、その二本目がこの"Sparrows"『雀』なのだそうです。

イギリスの昔話のように暗い話ですが、Mary Pickfordを囲む少年少女たちがそれぞれ活き活きと個性的であること、Mary Pickfordの教育で子供たち全員が神を信じて素直に祈ることなどで救われています。

原題'Sparrows'『雀』は、子供たちが「この前神様はボクらを助けてくれるって云ったのに、どうして助けに来てくれないの?」と聞くのに、Mary Pickfordが「神様は飛んでる雀が空から落っこちないか心配で見守るのに忙しいの。すぐあたしたちのとこに来て下さるわ」と答えるのに由来しています。

悪魔のような農園主を演ずるGustav von Seyffertitzは、その尖った細い顔と恐ろしい表情で印象に残ります。妻の連れ子の少年役のSpec O'Donnell(スペック・オドネル)は、そばかすだらけの丸顔のトロい、しかし意地悪な男の子を自然に演じています。

後半、鰐がうようよする湿地帯を子供たちが横切るシーンは、撮影・編集も巧みで、ハラハラさせられます。

この映画に関するPart 2はありません。ハリウッドで撮影されているので、南部ものらしさはスワンプ(湿地)しか出て来ないからです。

(March 10, 2012)


Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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