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公開:1999
監督:Peter DeLuise
地域:アラバマ州
出演:Peter DeLuise、Jamie Hendrix Collins、Larry Mize、Ron Adamsほか
範疇:コメディ/鉱山会社の土地買収/身体障害者施設/ロマンス
私の評価 :★★★★(黒星=マイナス)
【Part 1】
【これは完全な作品紹介・リヴューではありません。Wikipedia風“書きかけ”でもありません。地図も略】
ニューヨークに本社を持つ、ある鉱山会社。中年男Peter DeLuise(ピーター・デルイーズ)は社長の息子だが、採掘予定地を密かに買収する隠密任務を担当している。今度のターゲットはアラバマ州北東部(アパラチア山脈の南麓)の田舎町Mentone(メントーン)である。社長の息子を歯牙にもかけない出しゃばりの女性秘書と同行するが、秘書はあまりの鄙びた田舎臭さにうんざりして、不平ばかり云う。
Peter DeLuiseは目当ての不動産を管理する女性Jamie Hendrix Collins(ジェイミィ・ヘンドリックス・コリンズ)に会いに行く。彼女は身体障害者の子供たちを集めてスポーツや音楽などを訓練する施設の管理者で、スタッフと遊んでいるくせに「忙しい」などと云って、Peter DeLuiseに土地を案内しない我がまま女。
ホテルのマネージャーRon Adams(ロン・アダムズ)はカントリー・ミュージックが好きで、いつもウェスタン・スタイルの服を着て、暇さえあればギターを奏で、南部の薄ら馬鹿風な喋り方をする男。いつの間にかうざったい女性秘書はアトランタへ行ってしまい、Peter DeLuiseは一人になる。
Peter DeLuiseは土地のダンス・パーティや障害児たちとのスポーツに参加し、管理者Jamie Hendrix Collinsと子供たちの歌を聴いたりして時間をつぶす。やっとJamie Hendrix Collinsが不動産を案内してくれた時、彼女や土地の人々がいかに彼らが生まれ育った山野を愛していて売りたくないかを知る。彼女が好きになり始めていたPeter DeLuiseは、彼女が愛する自然を醜く変えてしまう鉱山開発が次第に後ろめたくなって来る…。
新聞を発行し続け、配達し続けるためには、毎日紙面を埋めなくてはなりません。「昨日は大したニュースがなかったので、本日の朝刊は休みました」と云うわけには行きません。ニュースがなければ、ゴミネタを針小棒大に報道する、それもなければニュースを作るという仕儀に追い込まれます。TV局・ラジオ局や週刊誌なども同じです。
実は映画界も同じなんですね。世界中にある映画館が新しい映画の封切りを待っています。映画会社は「いい脚本がないので、当分映画は作りません」とは云えない。何でもいいから作って配給しないと末端の映画館が困るわけです。「何でもいい」とは云っても、元は取りたいし、出来れば儲けたい。現在、アメリカ映画が「リメイク」や「続編」で溢れかえっている事情はこういう構図だと思います。オリジナルのいい脚本がない、というか映画会社が冒険をためらい、安全牌(そこそこ客を呼べるリメイクや続編)でしかプレイしない。ルーレットで云えば、最も高配当の一点張りを恐がり、当たり易いが配当も低い「赤・黒」とか「偶数・奇数」にしか張らないようなものです。
しかし、インデペンデント映画はそうした時流とは無関係に、映画が好きでたまらないという人々がプログラム・ピクチャーには出来ないユニークなアイデアを映画化するものだと思います。何か「志」(こころざし)があってしかるべきです。メイジャーの映画会社と同じことをするのでは、只の物真似に過ぎません。Elvis Presley(エルヴィス・プレスリー)の髪型と衣装で物真似をしてもElvis Presleyになれるわけではなく、そんなことで人目につこうという浅薄な生き方が哀れに見えるのは、私だけではないと考えます。
ところで、この'Southern Heart'なる映画は、「なんで自分の財産を投げ打ってこんな下らない映画作るの?」と問いかけたくなるような代物です。メイジャーの量産のための一本なら分りますが、インデペンデント映画ですからね。関係者が自分の財産と借金を注ぎ込んで作って、「志」が低いどころか「志」が見えないというのには呆れ果てます。
先ず、脚本が子供っぽい。高校生が書いたようなシナリオです。演出と演技が安っぽい。編集もひどい。TV映画の方がずっとマシというレヴェルです。
実は共同製作・共同脚本がこの映画の主演女優Jamie Hendrix Collinsと助演女優Emily Carpenter(アラバマ州生まれ)の二人なのです。監督は主演男優Peter DeLuise。このPeter DeLuiseはほとんどTV映画の監督で、劇場映画は数本しか担当していません。
'Crystal River'(2007)というジョージア州を背景にしたインデペンデント映画では上記Emily Carpenterが製作総指揮で脚本も執筆し、主演。Jamie Hendrix Collinsは共同製作で助演女優となっています。
Emily CarpenterとJamie Hendrix Collinsは結構な金持ちの娘なんじゃないでしょうか?二本もインデペンデント映画をプロデュース出来るなんて、並の俳優に出来ることではないと思うのです。Emily Carpenterはアトランタで舞台とTVの女優として活躍し、その後Jamie Hendrix Collinsと共にプロダクションを設立。その第一作がこの'Southern Heart'で、第二作が'Crystal River'なのだそうです。悪く云えば、「私だって映画女優よ」と云いたい二人の女性が映画製作ごっこをしている感じにも見えます。
Jamie Hendrix Collinsは成熟した女の色気をぷんぷんさせた美人ですが、生憎脚本がどうしようもないので彼女の人物造形は薄っぺらなままです。Emily Carpenterはまずまずの演技ですが、見せ場はありません。Peter DeLuiseは、監督・主演という仕事にチャレンジした人々の中では、随一と云っていいほどの大根。Red Skelton(レッド・スケルトン)を真面目にしたような風貌ですが、面白くもなく深みもない芝居ばかり。
嫌味な女性秘書は「なんでこの女がこの映画に必要なの?」というぐらい、開巻早々を引っ掻き回すだけ消えてしまうし、ホテル・マネージャー共々臭くてオーヴァーな演技が他の人物たちと水と油。監督の不手際と云っていいと思います。
どうしてこの映画を観る気になったか?と云うと、題名に惹かれたのとIMDbの読者が声を揃えて絶賛していたからです(全七名ですけど)。一人は"A masterpiece!"(傑作だ!)と怒鳴っていました。今思えば、この七名は映画製作者たちの家族か友達なんでしょうね。サクラです。もう、IMDbの'User comments'は信じません。
この映画紹介のPart 2はありません。将来、'Crystal River'を取り上げるつもりもありません。
(April 10, 2007)
【追記】amazon.comはこの映画のDVDを販売しています。そこの読者評欄には男女からの各一通ずつが掲載されていて、男性は「史上最悪の映画ではないが、極めてそれに近い」と評し、女性は「製作・脚本・出演の二人の女性は才能が無いため仕事が得られず、金を借り集めて『あたしだってスターになれる』とこの映画を作ったようだ。彼女たちはクリスチャンなのだろうが、七つの大罪の一つ“虚栄”の罪を忘れている」という厳しい指摘。どうです?私の感想にそっくりです。映画製作者たちの親戚や友人はamazon.comに投書するのを忘れているようで、ここには(サクラではない)厳正なコメントだけが掲載されているのでした。
(May 12, 2007)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。
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