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Thunder Road

『死の驀走』

[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1958年
監督:Arthur Ripley
地域:テネシー州
出演:Robert Mitchum、Gene Barry、Jacques Aubuchon、Keely Smith、James Mitchumほか
範疇:サスペンス/密造酒の運び屋/ギャングとの対決/財務省エージェントの追跡/カー・チェイス

私の評価 : ☆

【Part 1】

字幕:「アメリカ東南部で大量の密造酒が作られ、多額の脱税がおこなわれていた。役人たちは、山中に隠された10,000基の蒸留器と3,000台の密造酒輸送車を必死になって捕らえようとしていた。この映画はその運び屋とそれを追う財務省酒類タバコ税貿易管理局捜査官の物語である」

原題"Thunder road"とは、強力エンジンを搭載した密造酒輸送車の轟き渡る音を意味しています。この当時流行した大スターの独立プロの一つRobert Mitchum(ロバート・ミッチャム)のプロダクションの作品で、彼は原作、主演、主題歌の(共同)作曲まで手掛けています。また、彼の息子James Mitchum(ジェイムズ・ミッチャム)が彼の弟の役で出演しています。

テネシー州の山間の谷にある小さな村。ここはアイルランドからの移民が多く、祖国でやっていた密造酒作りをやめられない村人が十人近くいた。朝鮮戦争から帰還したRobert Mitchumの父もその一人で、Robert Mitchumは運び屋の一人として命知らずの運転で逃走することで有名だった。Robert Mitchumの弟James Mitchumは、高校生だが自動車修理が得意だった。彼は兄のような運び屋になりたがっていた。兄Robert Mitchumは弟を可愛がっており、弟に密造酒輸送をさせるような奴は叩き殺すと言明していた。

村の雑貨屋の娘Sandra Knight(サンドラ・ナイト)はRobert Mitchumに惚れていてモーションをかけるが、彼は気にもとめない。

Knoxville(ノックスヴィル)に向かった運び屋が殺された。Robert Mitchumは父と話す。父は、テネシー州の州都Menphis(メンフィス)のギャングJacques Aubuchon(ジャック・オーブション)がこの村の密造酒業者を自分の密売ルートの組織に入れたいと接触して来たことを語る。Robert Mitchumは「そういう連中とは付き合わない方がいい」と云う。

翌日の日曜日、教会の礼拝には女子供ばかり出ていた。密造酒作りに従事している男たちはみな小さな小屋でミーティングを開いていたのだ。議題はMenphisのギャングJacques Aubuchonの傘下に入るかどうかである。死んだ運び屋の父と、娘Sandra Knightに惚れている男Mitch Ryan(ミッチ・ライアン)だけが組織に組み込まれることを希望するが、多数決で否決される。

Robert Mitchumは密造酒を運んでMemphis(メンフィス)に向かう。ギャングの手下によって銃弾がぶち込まれるが、Robert Mitchumは巧妙な手段で追っ手の車をスリップ、大破、炎上させる。

Memphisのナイトクラブ。Robert Mitchumの愛人のジャズ歌手Keely Smith(キーリィ・スミス)が歌っている。ギャングの親分Jacques Aubuchonが「一緒に酒を呑もう」と誘って来るが、Robert Mitchumは断る。Keely Smithが(Robert Mitchum作の)"The Whippoorwill"なる歌を唄う。

翌日、Robert Mitchumはギャングの親分Jacques Aubuchonの事務所を訪ねる。ギャングの親分は「おれたちはあんたの運び屋仲間を一人殺したが、あんたは昨夜おれの手下を二人殺した。あんたが一人分先行している。どこまでやる気だ?」と聞く。Robert Mitchumは親分を空手チョップでぶちのめす。

スピード違反でRobert Mitchumが逮捕される。財務省捜査官のGene Barry(ジーン・バリィ)は、警察署長に「運び屋を泳がせて組織を叩き潰すべきだ」と云い、Robert Mitchumに「あんたが運び屋であることは分かっている。いずれ、あんたを捕らえる」と宣言する。Robert Mitchumは"Catch me if you can."(やれるものならやってみろ!」と云う…。

『Robert Mitchumの物語に基づく映画』というのが一寸うさん臭い感じですが、プロの脚本家の台本によってまあまあ観られる映画にはなっています。

Robert Mitchumは高倉 健が演じたヤクザに近い人物像を作り出しています。すなわち、死を恐れぬアウトローでありながら、義理と人情を貫こうとする孤独な男。彼が出て来ると安心して観ていられる安定感があります。

Robert Mitchumの弟を演じるJames Mitchum(当時16歳)は、親子とはいえ凄まじく顔が似ていて少々気味が悪いくらい。彼は六歳の時に子役で映画に出たことがありますが、事実上のデビューはこの映画です。親父に似て、あまり感情を表に出さない演技ですが、その助けで大過なく責任を全うしています。もともと、この役はElvis Presley(エルヴィス・プレスリィ)にオファーされたものの、彼のマネージャーが超高額の出演料をふっかけて来たので、御破算になったのだそうです。

後にTVの'Burke's Law'(バークにまかせろ!)シリーズ(1963年)で人気を博するGene Barryが、ここでも余裕たっぷりの捜査官を好演しています。

歌手役のKeely Smithは、Louis Prima(ルイ・プリマ)バンドの専属歌手(当時Louis Prima夫人でもあった)ですから、歌えて当然ですが、長編劇場映画はこれが初めてです。

1958年('Bullitt'『ブリット』の10年前、'French Connection'『フレンチ・コネクション』の13年前)の映画ですし、夜の田舎道を走るだけなのでカー・チェイスは地味です。

南部らしさと云えば、この映画のロケ地であるノース・キャロライナ山中で撮影された密造酒作りの蒸留施設ぐらいのもの。夜間のシーンが多いこともあり、あまり南部の風物・特色は出ておらず、私も書くことがありません。

この映画のPart 2はありません。

(July 24, 2011)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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