公開：1984
監督：Mark Rydell
出演：Mel Gibson、Sissy Spacek、Scott Glennほか
範疇：ドラマ／農民／洪水／スト破り

私の評価 ：☆

【Part 1】

テネシー州の農民の洪水との闘いの物語。Tennessee Valley Authority (TVA) は森林の乱伐によって下流の河川が氾濫し、農業の危機を招いたことから、河川の流量をコントロールするためのダム開発を基本とする事業でした。よほどこの州の洪水は有名なのでしょう。

Mel Gibson（メル・ギブソン）とSissy Spacek（シシー・スペイセク）の夫婦と二人の息子は、トウモロコシ栽培を主に、他に牛、羊などを飼う家族。

長男が釣りをしていると暗雲が垂れ込め、雷が鳴り始める。彼が家に辿り着く前に、雷雨は豪雨となり、川は増水して上流の農家の牛が流されて来るほど危険な状態になる。Mel Gibsonはブルドーザーを使って堤防を守ろうとするが、キャタピラーが壊れて横転。一家は家畜と共に避難する。トウモロコシは冠水して全滅する。

作物も無く、家や農機具は修理が必要、家族は食わなくてはならない。何をおいても金が必要だった。しかし、銀行は金を貸してくれない。同じような状態に陥った農民たちは町で家財道具のオークションを開催し、わずかでも現金を得ようとする。中には土地そのものを売って立ち退くという農民までいた。

Scott Glenn（スコット・グレン）は町の穀物会社の社長で、農家に種や肥料を供給し、収穫を買い上げる役目を果たしている。彼はダム開発にも一枚噛んでいて、Mel Gibsonらの農地はいずれ水没するという計画を練っている。彼は昔馴染みのSissy Spacekとヨリを戻そうとして、何かにつけて彼女に親切にする。Mel Gibsonにはそれが不愉快で、事ある毎にScott Glennと対立する。

金のため、Mel Gibsonは遠くの町に出稼ぎに行く。それはストライキ中の工員達に代って働く製鉄工場のスト破り要員だった。正規の工員達から石つぶてが飛ぶ中を、トラックに満載された臨時雇いの農民達が突入する。工場内に寝泊まりして、真っ黒になって働く。

家では妻のSissy Spacekと息子達がトウモロコシ畑を守っている。しかし、慣れぬ農機具の手入れでSissy Spacekは怪我をしてしまう。Scott Glennが病院への送迎をしてくれるが、ついでに彼女への愛を告白する…。

'The Southerner'『南部の人』(1945)にも洪水が出て来ましたが、あちらは大きい川をあたかも洪水のように見せた感じでした。こちらは農家の集落が床上浸水、道路も途中で水の中に消え、極めて本格的な洪水です。撮影用の雨は簡単に人工的に降らせられますが、洪水は大変です。どうやって撮ったのか、非常に興味が湧きます。

Mel Gibsonは直情径行、強情、時に乱暴な性格ですが、家族のためなら何でもするという、一本気な農民を熱演しています。農機具の運転などでも板についた演技を見せています。Sissy Spacekは十人並みの容貌にもかかわらず、農家のおかみさんには見えませんが、家を守る健気さをうまく演じています。Scott Glennの役は憎まれ役なのですが、完全にそうとも云えない複雑な役柄です。

音楽はJohn Williams（ジョン・ウィリアムズ）。

(July 06, 2001)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。