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公開:2001
監督:Martha Coolidge
地域:ミシシッピ州
出演:Peter MacNicol、JoBeth Williams、Angela Bettis、Boyce Holleman、Jenifer Lewisほか
範疇:原作もの/TV映画/底抜け善人/コメディ
私の評価 :☆
【Part 1】
これはアメリカのNHKというかBBCというか、企業や視聴者からの寄付金で成立しているPBS(Public Broadcasting Service)が製作・放送したTV映画です(VHSは販売されています)。かなりマイナーな作品と云えますが、私としては地元ミシシッピ州出身のピューリッツァー賞受賞作家Eudora Welty(ユードラ・ウェルティ、1909-2001)の原作の映画化なので、是非加えたいと思います。
女流作家Eudora Weltyを知らなくても、電子メール・ソフト'Eudora'(ユードラ)の名前は御存知ではないでしょうか?彼女の短編に'Why I Live at the P.O.'(私が郵便局に住むわけ)という一風変わったお話があり、メール・ソフトの作者はこの「自宅=郵便局」というコンセプトを頂いてタイトルにしたわけです。また、'The Addams Family'『アダムズ・ファミリー』のお祖母さんの名がEudoraなのも、このEudora Weltyの名にちなんで命名されたそうです。
ミシシッピ州、Clay County(クレイ郡)という架空の郡のお話。まだ電気洗濯機がやっと金持ちの家に入った時代。この町の富豪Ponder(ポンダー)家の御曹司Peter MacNicol(ピーター・マクニコル)は底抜けのお人好しで、人をハッピーにさせることばかり考え、身につけたものからお金から何から何まで人にやってしまう。彼の姪のJoBeth Williams(ジョーベス・ウィリアムズ)は彼の後をついて歩きながら、伯父のお人好しぶりについて釈明しつつ、伯父がバラまいたものを取り返さなくてはならない。年老いた一家の長Boyce Holleman(ボイス・ホーリマン)は、息子の無茶苦茶な“善行”を見聞きする度に心臓の発作に見舞われる。JoBeth Williamsは "Ponder heart is broad, but weak."(Ponder家の心臓は広い【度量が大きい】けれど、弱いの)と説明する。
Peter MacNicolの行動を落ち着かせるには、やはり結婚させるしかあるまいと周囲は考え、適当な女性を見繕う。結婚式当日、Peter MacNicolは町で見掛けた若い娘Angela Bettis(アンジェラ・ベティス)を教会に引っ張って来て、結婚式はおじゃんになる。
Peter MacNicolは娘を家に住まわせる。彼女は「正式に結婚する前に、試験的に暮らしましょう」と提案する。彼女がPeter MacNicolの母親の結婚衣装を試着した時、自分の亡き妻が蘇ったと錯覚した父Boyce Hollemanは心臓発作で死んでしまう。
Peter MacNicolは父の銀行、不動産会社、木材会社などを相続し、町一番の金持ちとなる。“妻”のAngela Bettisが勝手に自分の父親にトラックを買う手配をしたりするので、姪のJoBeth Williamsは「浪費は駄目」と意見する。Angela BettisはPeter MacNicolに「JoBeth Williamsに私のやることに口を出すなと云い聞かせろ」と命ずる。Peter MacNicolは姪に会いに行くが、何を云いに来たのか忘れて帰り、怒ったAngela Bettisは家を飛び出す。
Peter MacNicolはAngela Bettisの帰りを待ちわびる。やっと彼女が戻って来た日、もの凄い雷雨が襲来し、Angela Bettisは恐怖で家の中を逃げ惑う。Peter MacNicolとJoBeth Williamsが駆けつけた時、暖炉の煙突から火の玉が出て来て部屋をふわふわ通過する。その瞬間、Angela Bettisは落命する。地方検事はPeter MacNicolを妻殺しの犯人として告発し、その裁判が始まる…。
多分、日本の誰もこの映画を観ようなどと思わないだろうと、映画のストーリィの4/5ぐらいまで書いてしまいました。ここまででも破天荒な物語だということがお分かりでしょうが、最後の裁判もハチャメチャです。それはPart 2のお楽しみ。
TV映画だからこじんまりしているというのではなく、こじんまりしたお話だからTV映画に相応しいというべきでしょう。俳優陣も一応劇場映画やTV番組の経験者を揃えていて、演技も水準以上です。撮影も編集もまあまあ文句はありません。スタジオのセットではなく実際の家を使ったせいか(関係者は“ロケセット”と呼ぶ)、録音状態が悪いのが欠点。音が篭って聞き取りにくいところがあります。
Peter MacNicolの役は人が良過ぎて苛々させられますが、やや足りないのでは?と思わせるような個性をPeter MacNicolは軽く演じて臭みはありません。彼の姪はこの物語の語り手であり、ちと妙な人物が多い中で、普通の常識人としての扇の要です。JoBeth Williamsは中年女性ですが、まだ充分美しく、演技もとても自然で安心して見ていられます。
(December 16, 2006)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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