公開：1984
監督：Robert Benton
地域：テキサス州
出演：Sally Field、Ed Harris、John Malkovich、Danny Glover、Lindsay Crouseほか
範疇：ドラマ／寡婦／綿花栽培

私の評価 ：☆☆

【Part 1】

1935年（大恐慌の頃）、テキサス州の片田舎。Sally Field（サリィ・フィールド）の夫はシェリフで、9歳の長男と幼い娘の四人家族だった。ある日酔った黒人青年が放った弾丸で夫が亡くなってしまう。涙も乾かぬうちに銀行の貸し付け係が訪れ、「御主人はこの家を買うために$3,000の借金をし、年二回$240を返済する義務がある。あなたの口座には$116しかないので、この家を売り、お子さん達は親戚に預けるしかないだろう」と云う。

Sally Fieldは「家は売らない。子供も離さない」と宣言。たまたま訪れた流れ者の黒人Danny Glover（ダニィ・グローヴァー）を雇って綿花の栽培で家の維持、子供の養育資金を得ることを思い立つ。

銀行の貸し付け係は綿の種を買う資金を貸してくれるが、第一次大戦で盲目となった彼の義弟John Malkovich（ジョン・マルコヴィッチ）を下宿人として押しつける。一見人間嫌いのようなJohn Malkovichもいい人間であることが分り、住み込みのDanny Gloverと合わせて六人家族が出来上がる。

一方、Sally Fieldの姉Lindsay Crouse（リンゼイ・クローズ）の夫Ed Harris（エド・ハリス）は、妻も愛しているかたわら、女教師で人妻のAmy Madigan（エイミー・マディガン）と密会を重ねていた。

畑の耕作が始まる。Sally FieldとDanny Gloverはラバを操り、30エーカー（12ヘクタール）を耕す。折も折、トルネード（大竜巻）が町を襲う。学校が倒壊し、女教師Amy Madiganはこれを不倫への天罰と感じる。

いよいよ綿が開花。一番乗りの納品者には売り上げ代金のほかに$100の賞金が与えられると聞き、Sally Fieldは手を傷だらけにして一番乗りに挑む…。

黒人と白人とを問わず、綿摘みのシーンは数多く見て来ましたが、これほど大変な労働である様は初めてです。先ず、綿の殻によって指が切られ、傷だらけ、血だらけになります。低い姿勢にならざるを得ないので身体の苦痛も著しい。Sally Fieldは着替えもしないで寝てしまったり、果ては綿の木の間を立って歩けず、いざって歩くまでになります。悲痛ですが、綿摘みの凄まじさを描き切った名場面です。

演技陣が素晴らしく、アンサンブルにも成功しています。John Malkovichの盲目の演技は（特に目の使い方）は賞賛に価します。一旦Sally Fieldの食器を盗んで捕まったDanny Gloverですが、Sally Fieldが庇ってくれたお蔭で無罪放免となり、「今度何か盗んだら撃つわよ」と云われて、その後献身的に働き、彼女を支えて行く人物を好演しています。Ed Harrisと彼をめぐる女性二人も、感情の機微を抑制された巧みさで演じています。余談ですが、Ed Harrisと不倫の相手Amy Madiganは、この映画がきっかけで結婚し、不倫ではなく正式に愛し合うことが出来るようになりました:-)。

トルネードによる破壊の凄まじさも絶品。特に嵐の後、スケールの大きい積み木崩しをしたようなロング・ショットが素晴らしい。

Sally Fieldはこの映画で二度目のアカデミー主演女優賞を獲得。脚本・監督のRobert Benton（ロバート・ベントン）も脚本賞を得ました。

なお、Texasを代表する音楽に'Deep in the Heart of Texas'というC&Wの曲があります。私見ですが、この映画の題名"Heart"は登場人物たちの"heart"(="soul")であると同時に、Texasという土地柄をも象徴しているように思えます。

(February 01, 2002)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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