公開：December 22, 2000
監督：Joel Coen
出演：George Clooney、John Turturro、Tim Blake Nelson、John Goodman、Holly Hunterほか
範疇：原作もの／犯罪／コメディ／音楽

私の評価 ： ☆1/2

【Part 1】

舞台は1920年代のミシシッピ。George Clooney（ジョージ・クルーニイ）と頭のトロい二名の囚人が脱走し、隠してある盗品の在り処を目指す。シェリフの追跡を逃れながら、田舎のスタジオでC&Wをトリオで吹き込んだり（これがラジオでヒットしちゃう）、銀行強盗を手伝ったり、町長選挙活動に飛び入り出演したり…というハチャメチャなコメディ。

製作・監督は'Fargo'『ファーゴ』など十作近い映画を作って来たCoen（コーエン）兄弟。'Piano'『ピアノ・レッスン』のHolly Hunter（ホリイ・ハンター）がGeorge Clooneyの奥さん役で共演。

George Clooney主演でロクな映画があった試しは無いので、普通なら観なかったでしょうが、私が住んでいる州が舞台なのでつきあいました。台詞は相当凄い南部訛りの洪水ですが、日本語になるとどうなるのでしょうか？'Forrest Gump'『フォーレスト・ガンプ』の字幕のように、何の変哲も無い標準語になっちゃうのでしょうか？

(February 08, 2001)

【追記】

この映画の題名の出典についてずっと疑問を抱き続けて来ました。このほどCATVのTCM (Turner Classic Movies)で'Salivan's Travels'『サリヴァンの旅』(1942)という映画が放送され、やっと疑問が氷解しました。

この映画は脚本・監督がPreston Sturges（プレストン・スタージェス）で、主演はJoel McCrea（ジョエル・マクリー）。Joel McCrea演ずるJohn L. Salivanは売れっ子の映画監督ですが、ほとほと作り物のお話に厭きていて、次回作はリアルな社会派の'O Brother, Where Art Thou?'という映画を作ると宣言します。撮影所の上層部から「苦労もしたことがないあんたに、そんな映画が撮れるわけがない」と云われ、発奮してみすぼらしい恰好で浮浪者暮しに身を投じます。何度かの旅の末、殺人犯に間違われて刑務所に入れられてしまいます。黒人対象の教会での映画鑑賞会があり、彼は受刑者全員と共に出席します。上映されたのはミッキィ・マウス、ドナルド・ダックなどの漫画映画で、Salivanは最初馬鹿にしていますが、黒人たちや受刑者たちが腹を抱えて大笑いするのにつられ、いつしか彼も笑い転げます。無実が判明し、話題の主の彼が撮影所に帰ると、上層部はこの機を活かそうと'O Brother, Where Art Thou?'の製作を勧めます。しかし、彼は刑務所で得た経験から、「いや、俺が作りたいのは喜劇だ」と云い放ちます。

TCMの解説者はCoen兄弟の近作に触れ、『サリヴァンの旅』に登場する題名を使ったのは、兄弟のPreston Sturges監督へのオマージュであり、同時に喜劇礼賛のメッセージへの賛同を表したものだと云っていました。こんな古い映画を知らない我々には、随分ハタ迷惑な引用だったわけです。

(January 26, 2002)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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