公開：1989
監督：Herbert Ross
地域：ルイジアナ州
出演：Sally Field、Dolly Parton、Shirley MacLaine、Julia Robertsほか
範疇：戯曲の映画化／ドラマ／悲喜劇

私の評価 ：☆☆☆

【Part 1】

1980年頃、ルイジアナ州の小さな町。今日はSally Field（サリイ・フィールド）の娘Julia Roberts（ジュリア・ロバーツ）の結婚式。二人は式の前に近所の美容院に出掛ける。カントリー・シンガーでもあるDolly Parton（ドリイ・パートン）演ずるヘア・ドレッサーは、丁度新米のDaryl Hannah（ダリル・ハナ）を雇ったところだった。そこへ常連のOlympia Dukakis（オリンピア・デュカキス）とShirley MacLaine（シャーリイ・マクレイン）がやって来る。活発なお喋りが始まる。映画はこの六人の物語である。

Julia Robertsは重い糖尿病を患っている。その日も美容院で急激な発作を起こすが、母親Sally Fieldの手慣れた対応で何とか納まり、結婚式も滞りなく終る。

Sally Fieldは腕白坊主のような夫Tom Skerritt（トム・スケリット）に手を焼いており、Dolly Partonの夫は無職で、Daryl Hannahは旦那に逃げられたばかり。Olympia Dukakisは未亡人になったばかりだし、Shirley MacLaineは金持ちだがズケズケ物を云う嫌われ者で、犬しか愛するものがない。それぞれ問題を抱えている。

Julia Robertsにも問題が発生。医師から「出産は出来ない身体だ」と注意されていたにもかかわらず、妊娠してしまったのだ。娘の身を案じるSally Fieldは妊娠の報に顔を曇らせる。

お産は無事に済み、生まれた男の子は一歳の誕生日を迎える。しかし、Julia Robertsの体調が崩れ、腎移植の手術が予定される。ドナーは母親Sally Fieldである。いつも冗談や他愛のない口喧嘩に興じる美容院の常連達も、急にシンとなる。みんなが手術の成功を祈る…。

Shirley MacLaineはいつも不細工な大きい犬を連れて歩き、「どうせあたしは年取った南部の女ですからね、おかしな帽子を被って、醜悪な服を着て、野菜を栽培するのよ」とうそぶき、コークを飲んでゲップするような女性。彼女と漫才コンビのようなやり取りを見せるOlympia Dukakisは、落ち着いて機転の利く女性。Dolly Partonはいかにも田舎のヘア・ドレッサーという感じで、「私は気の利いたことは云えない人間だけど…」という、まさにそういうタイプを過不足なく演じています。Daryl Hannahは“超”が付く信心深い面とおっちょこちょいの二面を持った女性。女性六人の中軸はJulia RobertsとSally Fieldです。Sally Fieldは娘思いの優しくも気丈な母親を円熟した呼吸で演じています。

題名の"magnolia"は「モクレン」の花ですが、'Steel Magnolias'は「鋼鉄のモクレン」となり、女性達のしぶとさを象徴しています。「モクレン」はミシシッピの州花ですから、このタイトルは誤解を招きますが。

オフ・ブロードウェイの舞台劇が下敷きなので、女性軍のお喋りが主であることには間違いありません。話がどう展開するか分らない最初の30分ほどは男性観客にはちと苦痛ですが、一人一人の個性が面白く、役者達が十分楽しんで演じている雰囲気も楽しく、次第に男にも女にも共通する人生の悲喜劇へと引き摺られて行きます。涙と笑いが堪えられない佳作です。

(March 11, 2001)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。