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My Own Love Song



[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:2010年
監督:Olivier Dahan
地域:ルイジアナ州
出演:Renée Zellweger、Forest Whitaker、Madeline Zima、Nick Nolte、Elias Koteasほか
範疇:車椅子の女性歌手/黒人男性との友情/息子を訪ねる旅

私の評価 : ☆

【Part 1】

カンザス州。バーでRenée Zellweger(ルネー・ツェルエガー)が一人で呑んでいる。旅の男が歌手だという彼女にモーションをかけるが、テーブルを離れた彼女が車椅子に乗っているのを知って、ショックを受けてそそくさと立ち去る。

Renée Zellwegerの面倒を見ている吃りの男Forest Whitaker(フォレスト・ウィタカー)が天使や幽霊などの話をするので、彼女が「あんたは狂ってる!」となじる。口論の末、Forest Whitakerは「あんたはこのまま何もせずに死ぬまでベッドに寝ている気か!」と彼女を責める。

彼女が脚のセラピーで留守にしている間に、彼女の家の中が滅茶滅茶に荒らされていた。隣人は「あの黒人男の仕業だ。私が通報したので今は精神病院に入れられている」と云う。彼女は隣人の車に乗せて貰って病院に行き、鎮静剤を射たれて寝ているForest Whitakerをぼかすか殴る。

夜、病院を抜け出したForest WhitakerがRenée Zellwegerの家に忍び入り、散乱させた本や電気製品、装飾品などを元に戻す。彼はRenée Zellweger宛の彼女の息子からの手紙を目にし、盗み読む。それには「ママ、ボクの10歳の誕生日のパーティに来て」とあり、ルイジアナ州の州都Baton Rouge(バトン・ルージュ)の住所が記されていた。

翌朝、Forest Whitakerの侵入を目撃していた隣人の通報で、警官と精神病院の医師がやって来て、Forest Whitakerが病院に戻らないのなら、執行猶予中の身だから刑務所に行かなきゃならん」と宣告する。隠れていたForest Whitakerが「鎮静剤は嫌いだ」と云うのに、彼女は「じゃ、刑務所行きよ」と応じる。彼は「天使の存在を信じているジェフというニューオーリンズの男に会いたい。助けてくれ」と頼む。

旅支度をした二人は車に乗る。ギターを積み込むForest WhitakerにRenée Zellwegerが「なんでギターが要るの?」と聞く。彼はもごもごと誤魔化す。

途中でオーヴァーヒートした車は白煙を上げる。危険を察知した彼女は、Forest Whitakerに外へ出して貰い、「車椅子も出せ」と命じる。車は火を噴き出すが、彼は車椅子とバッグ類、それにギターを取り出す。その瞬間、車が爆発する。

通りかかったElias Koteas(イリアス・コティーズ)が緑色の中古車を売りつけようとし、「俺をSt. Louis(セントルイス)まで乗せてくれれば値引きする」と云う。しかし、一緒に旅した彼は車を盗んで逃げ去り、二人は長距離バスに乗る羽目になる。バスの中でForest WhitakerはMadeline Zima(マデリーン・ズィーマ)と知り合う。彼女は夫が一ヶ月も行方不明なので探しているところだと云う。三人は彼女の姉の家に行く。姉の夫は花火師で、花火大会で優勝し多額の賞金を得たお祝いのパーティを開いている最中だった。

翌朝、三人はパーティ参加者に乗せて貰って行ったバス停前のレストランで食事しようとするが、Renée Zellwegerは車に財布を忘れたことに気づく。Forest Whitakerの無銭飲食作戦で三人は逃げ出して長距離バスに乗る。三人が責任のなすり合いで喚くので、バスの運転手が三人を抛り出す。エレキギターの音に惹かれて行くと、そこは老いたミュージシャンNick Nolte(ニック・ノルティ)の家で、歓待の代わりにRenée Zellwegerにホテルのレストランで二曲歌ってくれと迫る…。

Forest Whitakerの最初の登場シーンで驚かされます。Renée Zellwegerが、車椅子でガス・スタンドを横切って家に戻って行きます。カメラは星空にパンアップ。星空に星雲とも異なる不思議な白い物体が見え、カメラはそれにズームインして行きます。その物体はコンクリートに上に横たわっているForest Whitakerのシャツだったのです。「変なの!」と思っていると、これは小手調べであって、アニメの巨大な鳥が人物を追って歩いたり、天使のようなイメージが空を舞ったりします。要するに、監督は「これはメルヘンなんだかんね」と云いたいらしいのです。

脚本・監督Olivier Dahan(オリヴィエ・ダアン) はフランス生まれで、 'La Vie En Rose'『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(2007)で主演女優にアカデミー賞をもたらした人。この映画では、アニメの使用や天使を舞わせるCGを含めて、様々な実験に取り組んだ感じ。夜の森を真っ赤な照明で照らしたりするのもその一つのようです。

この映画の音楽監督はBob Dylan(ボブ・ディラン)が務めており、彼も劇伴で歌っていますが、Renée Zellwegerが歌う二曲のうち一曲もBob Dylanの曲'Life is Hard'(人生は辛いよ)です。彼女が歌うもう一曲はWoody Guthrie(ウッディ・ガスリー)の'This Land is Your Land'。

Forest Whitakerは本当は歌えるようですが、本作ではギターの演奏だけ披露します。彼はこの映画の中で唯一天使が見える能力を持つ役柄ですが、彼自身が天使のような優しい心根の人間を演じています。彼がちと足りないのはいいとして、吃りであることは物語に何の意味ももたらさないので無駄な努力だったような気がします。

Nick Nolteがミュージシャンというのは信じられない役柄ですが、それらしくギターを弾いて見せます。Elias Koteasは珍しく軽妙な役柄をそつなく演じています。

映画の中でNick Nolteが語る「Robert Johnson(ロバート・ジョンソン)というブルース歌手が、悪魔に魂を売って楽才を手に入れた」というのは有名な伝説です。Robert Johnsonはミシシッピ・デルタ地域で活躍した人。詳しくは、当サイトの映画'Crossroads'『クロスロード』に関する記事を御覧下さい。

フランス人による脚本・監督だからでしょうが、あまり南部らしい風物や慣習などは出て来ないので、書くことがありません。Part 2はいちゃもんばかりですので、そういうのがお嫌いな方はパスして下さい。Renée Zellwegerは好きな女優なのですが、この映画の彼女はあまりパッとしません。

(January 16, 2011)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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