公開：2001
監督：Arliss Howard
地域：ミシシッピ州
出演：Arliss Howard、Debra Winger、Paul Le Mat、Rosanna Arquette、Angie Dickinsonほか
範疇：ドラマ／作家志望の男／空想家／別れた妻への未練

私の評価 ：☆

【Part 1】

Arliss Howard （アーリス・ハワード）が兄弟のJim Howard（ジム・ハワード）と共同脚本、妻のDebra Winger（デブラ・ウィンガー）他と共同製作・監督・主演という自主製作の見本のような映画。

ヴィエトナム戦争帰りの中年男Arliss Howardは作家志望で、原稿を書いては雑誌社に送りつけ、送り返されるという日々を繰り返していた。彼には別れた妻Debra Wingerと男の子一人、女の子一人がいた。彼は美しい妻に未練があり、縒りを戻したいと熱望していた。

彼の親友Paul Le Mat（ポール・ル・マット）は親切で、ペンキ塗りの上手いArliss Howard に仕事を持って来る。Arliss Howardは完璧なテクニックでペンキ塗りの仕事をこなし、当座の生活費を得る。

Paul Le MatはRosanna Arquette（ロザンナ・アークエット）に惚れ込んでいる。Arliss Howardと三人は呑み、踊り、酔っ払い運転でふざける。

ある雑誌社の女性編集者から「採用したかったが、反対の声に押し切られた。タイトルを変えれば良かったのかも知れない」と返事があり、Arliss Howardは成功の日は近いと喜ぶ。

子供たちは彼を愛しているが、別れた妻は剣もほろろである。母親Angie Dickinson（アンジー・ディッキンスン）も無職で父親らしくない彼を批判する。

Debra Wingerとの結婚、そして蜜月を思い出しながら、Arliss Howardは涙とともにタイプライターを叩く。この愛の回想録は雑誌社が採用してくれることになる。

親友Paul Le Matと酔っ払い運転していて事故に遭い、Paul Le Matは植物人間となる。おまけに、Arliss Howardの娘も死んでしまい、まさに「禍福はあざなえる縄」の様相を呈して来る…。

Rosanna Arquetteは女優ですが、一本だけ監督作品があります。ドキュメンタリーで'Searching for Debra Winger'『デブラ・ウィンガーを探して』(2002)というもの。女優業と母親の勤めを両立させることの難しさを痛感し、「そういえば'Terms of Endearment'『愛と追憶の日々』(1983)のDebra Wingerはどうしたのかしら？'Forget Paris' 『彼と彼女の第２章』(1995)以来、姿を見ないわ」と、Debra Winger失踪の理由を知る旅に出て、有名女優多数に仕事と家庭を両立させる秘訣を聞いて廻るという筋。

この'Big Bad Love'は2001年に公開されていますから、'Searching for Debra Winger'(2002)の前ですが、多分'Searching for Debra Winger'は編集に時間がかかって公開が遅れたのでしょう。そうでなければ、事実上Debra Wingerの新作が出た後で彼女を探すのは馬鹿げています。

この映画にはふんだんに幻想シーンが出て来ます。それについてはPart 2で触れたいと思います。

主人公がヴィエトナム戦争経験者ということで、戦争の記憶によりまともに社会復帰出来ないさまはよく解ります。'First Blood'『ランボー』(1982)のように殺戮マシーンのままになるか、本編のように自閉症気味になるかどちらかなのでしょう。他所の国にお節介を焼きに行ってこうした病人を作ったアメリカの政府・軍部の責任は重い。しかし、いまだに彼らは反省せず、石油利権を得るために自国の若者たちを死地に追いやっています。

この映画の舞台はどこであってもいいようなものですが、撮影地はミシシッピ州北部のHolly Springs（ホリィ・スプリングス）とOxford（オックスフォード）です。Holly Springsは'Cookie's Fortune'『クッキー・フォーチュン』 (1999)のロケ地としても知られています。

(December 05, 2003)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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