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The Last Song

『ラスト・ソング』

[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:2010年
監督:Julie Anne Robinson
地域:ジョージア州
出演:Miley Cyrus、Greg Kinnear、Bobby Coleman、Liam Hemsworthほか
範疇:原作もの/作曲家の父とピアニストの娘/娘のロマンス/蟹の産卵/ステンドグラス/冤罪

私の評価 : ☆1/2

【Part 1】

原作者Nicholas Sparks(ニコラス・スパークス)が初めて自分の原作を脚本化(共同執筆)したという点と、若者向けTVドラマ・シリーズ'Hannah Montana'『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』の主演女優Miley Cyrus(マイリィ・サイラス)が映画に挑戦し、主題歌も歌っているというのが話題の映画。

ニューヨークの高校を出たばかりのMiley Cyrusは、Juliard(ジュリアード)音楽院への入学を許可されていたが、両親の離婚によって音楽の道へ進むことに迷いを感じていた。Miley Cyrusと弟Bobby Coleman(ボビィ・コールマン)に、母は「ひと夏父親と一緒に海辺の生活をしろ」と、半ば強制的にジョージア州の海辺の町の夫のもとに送り届ける。自分を見捨てた父親を怨んでいるMiley Cyrusは、父Greg Kinnear(グレッグ・キニア)につんけんする。

何故かGreg Kinnearは消失した古い教会のステンドグラスの修復に余念がない。父を慕う息子のBobby Colemanは、父の作業を手伝うことにする。

Miley Cyrusはビーチ・バレーに興ずる若者Liam Hemsworth(リーアム・ヘムズワース)と知り合う。同時に、地元の娘とそのヒモのような不良とも知り合う。

Miley Cyrusは父に「Juliard音楽院には行かない」と宣言する。父は「私に腹を立てて私を傷つけるのは構わん。しかし演奏を捨てるのは馬鹿だ」と諌める。

Miley Cyrusは父の家の前の浜辺で、亀が産んだ卵を狸が狙っているのを目撃し、追い払う。彼女は地元の水族館に電話し、亀の卵の保護を依頼する。彼女が亀の巣の前で寝ずの番をする。

亀の卵を守っている二日目の夜、例のビーチ・バレーの若者Liam Hemsworthがやって来る。彼は水族館のヴォランティアで、亀の卵の保護に来たという。二人は話を始め、彼がその秋にコロンビア大学に入る予定であることを知る。

父Greg Kinnearがやって来て、Miley CyrusとLiam Hemsworthの間の砂地に線を引き、「お互いにここから出るな」と云って去る。

朝、冷たく心を閉ざすMiley CyrusにLiam Hemsworthは、「君はトルストイを読み、亀の卵を守っている。冷酷な女を気取っているが、君は優しい女性に違いない」と云い、ついにMiley Cyrusは心を開く。彼が水族館に招待し、大型水槽で大きな魚たちに混じって潜水具を着けて泳ぎながらの作業を見せる。Miley Cyrusはうっとりする。

Liam Hemsworthの以前の彼女が、「水族館で泳いで女の子をうっとりさせるのは、彼のいつもの手口よ」と囁く。それを真に受けたMiley CyrusはLiam Hemsworthに幻滅して付き合いを止めようとする。しかし、彼が「君は他の女の子と違う」と云い、彼女にキスする。Miley Cyrusはたちまちハッピーになる。

ある日、彼が両親と住む家にMiley Cyrusを連れて行く。その家は彼女が口をあんぐり開けっ放しにするような大邸宅だった。彼は億万長者の息子だったのだ。しかし、大学へ行く気のない彼女を、彼の両親は蔑視する。夫婦揃って大学出であることが一家の伝統なのだと自慢する。

傷ついたMiley Cyrusの気持をLiam Hemsworthが和ませる。彼女は、彼の家の納屋にあるピアノを久し振りに弾き出す…。

劇中でMiley CyrusがLiam Hemsworthから遠ざかろうとして、「私は、馬鹿げたひと夏のロマンスのためにここに来たんじゃないわ!」と云います。原作者Nicholas Sparksの小説のほとんどは一目惚れに始まるひと夏のロマンスなので(馬鹿げているかどうかはともかく)、これは原作者の自嘲の台詞と取れないこともありません。私などは彼の原作の映画を観過ぎて、どれがどんな話だったかもう良く解らなくなって来ています。同工異曲なので。

この映画の骨格は次のようなものです。
1) 父娘の不和
2) 父が教会を焼失させたという嫌疑
3) 娘が演奏活動への道に戻るかどうか
4) リッチな青年と中流家庭の娘の恋
5) 亀の子が無事に孵るかどうか
6) 【ネタバレを恐れて伏せておきます】

…と云っても、この映画の惹句(宣伝文句)でネタがバレてるんですけどね。これはひどい宣伝です。センスを疑いますね。

私が気に入ったのは亀の孵化と、亀の赤ちゃんたちが海に走って行くドキュメンタリー映像です。私は蝶の羽化や鳥の巣立ちなどを撮影したことがあるので、その決定的瞬間までの忍耐力の必要性を知っているからです。その瞬間を逃すと、何日もの待機が全くの無駄になってしまいます。

あとの要素は、どうせいつもの御都合主義でうまく行くことが分っていますから、あまりハラハラしません。

青年の両親の豪邸はジョージア州Savannah(サヴァナ)にあるWormsloe Plantationだそうです。「スパニッシュ・モス」という苔のように見える植物が、木々から盛大に垂れ下がっています。これは苔でも寄生植物でもありません。詳しくは当サイトの spanish_moss.html の写真付き説明を御覧下さい。

Greg Kinnearはどう見ても作曲家には見えませんが、ユーモラスな台詞を吐く時は彼らしくいいい味を出しています。彼の息子を演じるBobby Colemanは、可愛くも達者な演技を見せ、好感が持てます。

いくら金持ちでもピアノを納屋に置くもんでしょうか?家の中にはいいピアノがあるという設定で、しかし、それをMiley Cyrusが弾くのは時期尚早(青年の両親が彼女を見直してしまうから)という理由で納屋にしたんでしょうが、ちょっと嘘っぽい。納屋に放ってあるのに、ちゃんと調律出来ているのも不思議です。映画の終りで、Miley Cyrusが自分で運転する車のトレーラーにピアノを積んでニューヨークまで運びます。ピアノというのは専門の業者に頼まないといけないほど繊細な楽器なのに、冷蔵庫か洗濯機みたいに道路をガタゴト走るというのも無神経な話で、この娘はJuliard音楽院へ行く資格はないと思います。

Miley Cyrusファンの方は以下を読まないで「戻る」ボタンを押して下さい。マジです。










私はこのMiley Cyrusという娘に全く魅力を感じません。というか、この娘の表情(特に品のない口元)を見ているのは拷問に近く、十分置きぐらいにDVDを止めなくてはなりませんでした。こんな女の子に惚れ抜く男がいるなんて、いくら映画でもひどいと思いました。まあ蓼食う虫も好きずきですが。

この映画にPart 2はありません。

(September 28, 2010)


Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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