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The Last Confederate: The Story of Robert Adams

(未)


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:2005
監督:A. Blaine Miller, Julian Adams
地域:サウス・キャロライナ州
出演:Julian Adams、Gwendolyn Edwards、Eric Holloway、Amy Redford、Joshua Lindseyほか
範疇:実話/南北戦争/アクション/ロマンス/後裔による先祖礼賛の映画

私の評価 :☆

【Part 1】

この映画の最初の原題は'Strike the Tent'(テントを畳む)でした。登場人物の一人の台詞に、当時の戦争の野営テントをシンボライズして、「戦争を継続するか、撤退する(strike the tent)か、どっちにする?」として出て来ます。IMDbではこの最初のタイトルのままになっていますが、DVD化された時に'The Last Confederate: The Story of Robert Adams'と改題されています。

これは実は壮大なホーム・ヴィデオ(ムーヴィ)なのです。南北戦争に従軍した先祖とその妻の物語を、子孫たちが金と力を合わせて映画化したものなのです。インデペンデント映画の範疇ですが、「先祖を描いたインデペンデント映画」というのは非常に珍しいだけでなく、南北戦争の映画を一家で作っちゃおうというアメリカ人のスケールの大きい考えには圧倒される思いです。

映画化の発端は、家族の集まりで常に話される先祖の南軍将校Robert Adams II(ロバート・アダムズ二世、1832〜1882)とその妻Eveline(イヴリン、1834〜1894)の話題を、その玄孫(やしゃご)に当たるJulian Adams(ジュリアン・アダムズ)が「映画にしたら?」と云い出したことでした。Adams一族はそれを実行する決意をしました。製作総指揮はRobert Adams IIの曾孫に当たるWeston Adams(ウェストン・アダムズ)、云い出しっぺのJulian Adamsは共同製作・共同脚本・共同監督・主演で、彼の父母をはじめ一族の他の人々も何らかの形で映画製作に参加しています。

ヒロインの祖父の役でMickey Rooney(ミッキィ・ルーニィ)が出ています。撮影当時85歳で、寝たきりの病人の役とはいえ、台詞廻しにもメリハリがあり、貫禄ある芝居を披露しています。製作総指揮のWeston Adamsは、報道でMickey Rooneyが地元の行事にやって来ることを知り、面会を求めて出演を承諾して貰ったのだそうです。もう一人のゲストは'The Birds'『ヒッチコックの鳥』(1963)の主役Tippi Hedren(ティッピ・ヘドレン)です。この配役はJulian Adamsの母親の案だったそうです。『鳥』の当時のTippi Hedrenは細面でしたが、75歳の彼女はふっくらとした顔になり、唇の周りに皺も出来ています。しかし、それでも美しく老けています(エリザベス・テイラーのように人工的に美しいのではなく、われわれの周りにもいそうな美しい老婦人という感じ)。

[the South]

【物語の現在】1892年、サウス・キャロライナ州の田舎。老いたTippi Hedrenがピアノを弾く。楽譜をめくると、間から手紙が落ちる。それを読み感慨にふける彼女。

【物語の過去】1864年、ヴァージニア州。南軍将校Julian Adams率いる一隊はバトラー将軍の騎兵隊と合流して闘っていた。北軍には外国人も混じっていることが言葉で分る。戦闘は日増しに激しくなっていた。

【物語の大過去】その四年前の1860年、サウス・キャロライナ州。あるパーティでJulian Adamsは若い娘を見初める。それは友人Joshua Lindsey(ジョシュア・リンゼイ)の妹で北部生まれのGwendolyn Edwards(グウェンドリン・エドワーズ)だった。彼女は数ヵ国語を話し、ピアノを弾き、作曲も出来た。今は家庭教師だが、将来は学校を作りたがっていた。彼女の老婦人とのフランス語の会話に、Julian Adamsもフランス語で加わる。

Julian AdamsはGwendolyn Edwardsに求婚する。折悪しく、サウス・キャロライナ州の州議会は連邦脱退を満場一致で決め、南部連邦軍に参加することになった。Julian Adamsは南部の土地と人々を守るために従軍することを決意する。Gwendolyn Edwardsは祖父がくれた懐中時計をJulian Adamsに渡す。

【物語の過去】ある日の戦闘で負傷したJulian Adamsは北軍の捕虜となり、ニューヨーク州にある軍刑務所に送られる。そこには身体の弱ったJoshua Lindseyと、Julian Adamsの古い友達Eric Holloway(エリック・ハロウェイ)もいた。Julian Adamsは脱走を計画する。Joshua Lindseyはペンシルヴェイニア州の祖父の家の地図をJulian Adamsに渡す。Julian Adamsは「君も一緒に行くんだ。ここに残ったら死ぬぞ」と云う。三人は脱走に成功し、野を越え、川を渡って走る。しかし、Joshua Lindseyは力尽き、自ら囮となって追っ手の北軍に捕まり射殺される。

その頃、留守を守っていたGwendolyn Edwardsは南部の家を追われ、馬車の旅で北部の祖父の家に戻る決意をする。

Julian Adamsと相棒のEric Hollowayは、執念深い北軍将校に追われながらペンシルヴェイニア州を目指していた。森で仮眠している二人を、黒人の若者が見つけ、銃で脅して連行する。何と、着いた先の民家にはGwendolyn Edwardsがいて、二人はひしと抱き合う。

Gwendolyn Edwardsの祖父Mickey RooneyがJulian Adamsに云う、「もう戦場に戻るな。君は南部の人々を見捨てられないというが、君の妻は見捨てられるのか?」と。しかし、Julian Adamsは戦争から逃げ出すことは出来ず、ある朝そっと床を抜け出し、妻の額にキスして、相棒Eric Hollowayと共に馬を駆って友軍のもとへ戻って行くのだった…。

南部各州には"Civil War Reenactment"(南北戦争再現)グループが多数存在し、年に一度当時の軍服・銃・大砲・鼓笛隊などで、忠実に南北戦争の戦闘を再現します。「保存会」みたいなものですね。その参加者たちは、それが好きで好きでたまらない人々で、映画の戦闘シーンにもよく雇われるようです。この映画の戦闘シーンは、そういう年に一度のパフォーマンスを撮影したものに間違いありません。CGで群衆を作る予算も膨大な数のエキストラを雇う予算もなかったでしょうから、群衆シーンは「保存会」の公式行事を撮り、そこに映画の登場人物のアップを適当に散りばめているわけです。

実話に基づく映画というのは大体そうですが、あまりドラマチックではありません。そういう意味では、この映画の主人公が北軍の刑務所を脱走するあたりは結構ドラマチックです。

DVDのおまけについている"Making of..."によれば、この映画に出て来る豪邸は一族のある一家が住んでいるものだし、懐中時計も先祖から伝わるもの、ピアノの楽譜も昔のものだそうです。昔は荘園主だった金持ちの一族なんですね。

映画の最後に出て来る老人は製作総指揮のWeston Adamsです。Julian Adamsを特殊メークで老けさせたにしては良く出来ていると思ったら、本物の老人でした:-)。

なお、Gwendolyn Edwardsの嫂を演じているAmy Redford(エイミィ・レッドフォード)は、俳優Robert Redford(ロバート・レッドフォード)の娘です。

(January 17, 2008)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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