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公開:1939
監督:Richard Thorpe
地域:ミシシッピ川一帯
出演:Mickey Rooney、Walter Connolly、William Frawley、Rex Ingram、Elisabeth Risdonほか
範疇:原作もの/少年と逃亡奴隷/筏で川下り/ペテン師たち
私の評価 :☆
【Part 1】
TV映画を除き、さらにTom Sawer(トム・ソーヤー)との共演を除くと、Mark Twain(マーク・トウェイン)原作のHuckleberry Finn(ハックルベリー・フィン)の映画は現在までに三本製作されていて、この1939年のものが最初です(二本目の1960年製作のものは既に紹介済み)。六歳から映画に出て人気絶頂だった少年俳優Mickey Rooney(ミッキィ・ルーニィ)のために作られた映画だそうで、タイトルは一枚で以下のように出ます。
Mark Twain's
"The Adventures of
Huckleberry Finn"
Starring
Mickey Rooney
いかに彼の人気が高かったか分ります。ちなみに、この映画は彼のデビュー後117本目に当たります。
ミズーリ州。Huckleberry Finn(以下"Huck"と略)は今日も学校をさぼって、ミシシッピ川で魚釣り。コーンパイプを口にくわえ、釣り竿を垂れながら居眠りしている。友達が大勢やって来て進級の話をする。落第間違い無しのHuckは意気消沈する。
晩餐の食卓では二人の婦人がHuckを待っていた。Huckを預かって育てているWatson(ワトスン)夫人が夕食に遅れたことを叱ると、彼女の姉の優しいDouglas(ダグラス)夫人が色々庇ってくれる。
夕食後、Huckはパイプ煙草をくゆらしながら、Rex Ingram(レックス・イングラム)演じるDouglas夫人の黒人奴隷Jim(ジム)に、自由州に住む彼の妻からの手紙を読んでやる。Jimは妻子を懐かしがり、早く自由の身となって家族再会を果たしたいと願う。
Watson夫人がHuckを一時間の聖書講読につきあわせる。彼のポケットに忍ばせたパイプが服を焦がし、もくもくと煙が上がる。Huckは「アチチ!」と部屋を飛び出す。Douglas夫人が「なぜ、学校へ行かないの?」「なぜ靴をはかないの?」「なぜ煙草を吸うの?」と問い、Huckは様々な口実を並べ立てるが、仕舞いに「嘘です」と正直に白状する。
そこへHuckの実の父親がやって来て、「Huckを取り戻す。もし、まだこの子を育てたいのなら一週間以内に$800払え」と要求する。Douglas夫人は「払います」と宣言する。しかし、Huckは落第坊主の自分に$800の値打ちは無いと考え、置き手紙をして家出する。
父の家に閉じ込められたHuckは、さも自分が誰かに撃ち殺され、ミシシッピ川に投げ込まれたような細工をし、見つけた古ボートに乗り込む。川下りの途中の浅瀬で、何と逃亡を決意した黒人奴隷Jimに出会う。二人はボートで一緒にミシシッピ川を下る。ある廃屋でJimはHuckの父親が殺されているのを発見するが、Huckには黙っている。筏(いかだ)を見つけ、これ以後は筏で下ることになる。
乗り合いの蒸気船とすれ違う際、船長は二人のイカサマ師を川に放り出す。HuckとJimが筏に乗せると、一人は「公爵」と名乗り、もう一人は「フランスの王様」だと云う。二人はこの先の町で亡くなった男の英国の兄弟という触れ込みで、遺族から遺産を巻き上げようと狙っていた…。
先ず驚くのは小学生か中学生の役柄なのに、子供たちがパイプ煙草をふかすこと。いくら南北戦争前の時代の物語とは云え、これには呆れます。Mickey Rooneyは若く見えますが、この映画公開時は19歳だったそうですから、現在の喫煙可能年齢18歳を越えていて法的に問題ないとしても、役の上では吸っちゃいけない年齢です。ほんの少しなら理解出来ますが、ちと吸い過ぎだと思う。彼の同級生たちは明らかに子供なのに、一緒にパイプをふかします。
この映画はカリフォーニアのサクラメント川で撮影されています。1960年製作の二本目も同じ。1993年版になってやっとミシシッピ川ロケが実現します。
ところどころコミカルではあるものの、1960年版のように軽くはなく、かなりリアリスティックに作られています。特に逃亡奴隷Jimの扱いは重みを持っています。彼の自由を望む思いと、それを助けようとするHuckへの感謝。しかし、Huckは"abolitionist"(奴隷制廃止論者)と思われることを極端に恐れます。北部以外でそう思われたら村八分にされるというような時代を象徴しているのでしょう。逃亡奴隷を追う興奮した群衆、そしてJimが入れられた牢を襲って彼を吊るし首にしようとする暴徒。これらのシーンはかなり深刻に描かれています。
イカサマ師の扱いも漫画にならずに、なんとか大人の鑑賞に堪える程度の演技・演出です。
映画の前半はややお喋りが多く、アクションが少ないですが、後半になってからいいスピードでお話が展開します。
(December 22, 2006)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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